特開2017-181816(P2017-181816A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ パナソニック液晶ディスプレイ株式会社の特許一覧

特開2017-181816表示装置、液晶表示装置、及び表示装置の製造方法
<>
  • 特開2017181816-表示装置、液晶表示装置、及び表示装置の製造方法 図000003
  • 特開2017181816-表示装置、液晶表示装置、及び表示装置の製造方法 図000004
  • 特開2017181816-表示装置、液晶表示装置、及び表示装置の製造方法 図000005
  • 特開2017181816-表示装置、液晶表示装置、及び表示装置の製造方法 図000006
  • 特開2017181816-表示装置、液晶表示装置、及び表示装置の製造方法 図000007
  • 特開2017181816-表示装置、液晶表示装置、及び表示装置の製造方法 図000008
  • 特開2017181816-表示装置、液晶表示装置、及び表示装置の製造方法 図000009
  • 特開2017181816-表示装置、液晶表示装置、及び表示装置の製造方法 図000010
  • 特開2017181816-表示装置、液晶表示装置、及び表示装置の製造方法 図000011
  • 特開2017181816-表示装置、液晶表示装置、及び表示装置の製造方法 図000012
  • 特開2017181816-表示装置、液晶表示装置、及び表示装置の製造方法 図000013
  • 特開2017181816-表示装置、液晶表示装置、及び表示装置の製造方法 図000014
  • 特開2017181816-表示装置、液晶表示装置、及び表示装置の製造方法 図000015
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-181816(P2017-181816A)
(43)【公開日】2017年10月5日
(54)【発明の名称】表示装置、液晶表示装置、及び表示装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1339 20060101AFI20170908BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20170908BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20170908BHJP
【FI】
   G02F1/1339 505
   G09F9/30 309
   G09F9/30 320
   G09F9/00 338
   G09F9/30 308A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-69541(P2016-69541)
(22)【出願日】2016年3月30日
(71)【出願人】
【識別番号】506087819
【氏名又は名称】パナソニック液晶ディスプレイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】特許業務法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中野 吉樹
(72)【発明者】
【氏名】石川 章
(72)【発明者】
【氏名】平田 将史
(72)【発明者】
【氏名】阿部 勉
(72)【発明者】
【氏名】住谷 尚俊
【テーマコード(参考)】
2H189
5C094
5G435
【Fターム(参考)】
2H189CA13
2H189DA72
2H189DA90
2H189JA14
5C094AA03
5C094AA55
5C094BA03
5C094BA27
5C094BA43
5C094CA19
5C094DA06
5C094DA07
5C094EC02
5C094FA01
5C094GB01
5C094JA08
5G435AA04
5G435AA07
5G435BB05
5G435BB12
5G435CC09
5G435EE12
5G435KK05
(57)【要約】
【課題】曲面状の表示面を有する表示装置において、表示画面の四隅付近に生じる光漏れを低減する。
【解決手段】曲面状の表示面を有する表示装置であって、第1方向に曲げられた第1基板と、前記第1方向に曲げられ、前記第1基板に対向配置された第2基板と、前記第1基板と前記第2基板とを貼り合わせるシール部と、を含み、前記シール部は、前記第1方向に直交する第2方向に延在する第1シール部と、前記第1方向に延在する第2シール部とを含み、前記第1シール部の前記第1方向の幅は、前記第2シール部の前記第2方向の幅よりも大きい。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
曲面状の表示面を有する表示装置であって、
第1方向に曲げられた第1基板と、
前記第1方向に曲げられ、前記第1基板に対向配置された第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板とを貼り合わせるシール部と、を含み、
前記シール部は、前記第1方向に直交する第2方向に延在する第1シール部と、前記第1方向に延在する第2シール部とを含み、
前記第1シール部の前記第1方向の幅は、前記第2シール部の前記第2方向の幅よりも大きい、
ことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記第1シール部の前記第1方向の幅は、前記第2シール部の前記第2方向の幅の1.1〜5.0倍である、
ことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
第1方向に曲げられた第1基板と、前記第1方向に曲げられ前記第1基板に対向配置された第2基板と、前記第1基板及び前記第2基板の間に挟持された液晶層とを含み、曲面状の表示面を有し、前記第1基板及び前記第2基板に略平行な電界を前記液晶層に印加する横電界方式の液晶表示装置であって、
前記第1基板と前記第2基板とを貼り合わせるシール部を含み、
前記シール部は、前記第1方向に直交する第2方向に延在する第1シール部と、前記第1方向に延在する第2シール部とを含み、
前記第1シール部の前記第1方向の幅は、前記第2シール部の前記第2方向の幅よりも大きい、
ことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項4】
前記第1シール部の前記第1方向の幅は、前記第2シール部の前記第2方向の幅の1.1〜5.0倍である、
ことを特徴とする請求項3に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
第1基板を製造する工程と、
第2基板を製造する工程と、
前記第1基板にシール材を塗布する工程と、
前記シール材が塗布された前記第1基板に前記第2基板を貼り合せる工程と、
前記シール材を硬化させる工程と、
前記第1基板及び前記第2基板を第1方向に曲げる工程と、
を含み、
前記シール材を塗布する工程では、前記第1方向に直交する第2方向に塗布する第1シール材の前記第1方向の幅が、前記第1方向に塗布する第2シール材の前記第2方向の幅よりも大きくなるように、前記シール材を塗布する、
ことを特徴とする表示装置の製造方法。
【請求項6】
前記シール材を塗布する工程では、前記第1シール材を塗布するときの塗布速度を、前記第2シール材を塗布するときの塗布速度よりも遅くする、
ことを特徴とする請求項5に記載の表示装置の製造方法。
【請求項7】
前記シール材を塗布する工程では、前記第1シール材を塗布するときの塗布回数を、前記第2シール材を塗布するときの塗布回数よりも多くする、
ことを特徴とする請求項5に記載の表示装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置、液晶表示装置、及び表示装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、曲面状の表示面を有する液晶表示装置が提案されている(例えば特許文献1)。このような液晶表示装置では、一対の基板(薄膜トランジスタ基板(TFT基板)及びカラーフィルタ基板(CF基板))それぞれが曲面状に湾曲するように形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−92884号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、本願発明者らは、曲面状の表示面を有する液晶表示装置のうち特にIPS(In-Place-Switching)方式に代表される横電界方式の液晶表示装置において、表示画面の四隅付近に光漏れ(白浮き)が発生することを見出した。具体的には例えば、表示面側が凸状となるように両基板を曲面状に形成した場合、TFT基板を構成するガラス基板には圧縮応力が働き、CF基板を構成するガラス基板には延伸応力が働く。これにより、両ガラス基板間において、液晶分子に対して斜め方向に位相差が発生する。横電界方式では、液晶分子が両基板に略平行に配置されているため、斜め方向の光(偏光)が上記位相差の影響によりさらに回転する。この結果、偏光の回転が偏光板により相殺されず、光漏れが発生し、黒表示の際に白浮きが視認され易くなる。この光漏れは、ガラス基板面において応力が集中する四隅付近において顕著に現れる。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、曲面状の表示面を有する表示装置において、表示画面の四隅付近に生じる光漏れを低減することができる表示装置及び表示装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係る表示装置は、曲面状の表示面を有する表示装置であって、第1方向に曲げられた第1基板と、前記第1方向に曲げられ、前記第1基板に対向配置された第2基板と、前記第1基板と前記第2基板とを貼り合わせるシール部と、を含み、前記シール部は、前記第1方向に直交する第2方向に延在する第1シール部と、前記第1方向に延在する第2シール部とを含み、前記第1シール部の前記第1方向の幅は、前記第2シール部の前記第2方向の幅よりも大きい、ことを特徴とする。
【0007】
本発明に係る液晶表示装置では、前記第1シール部の前記第1方向の幅は、前記第2シール部の前記第2方向の幅の1.1〜5.0倍であってもよい。
【0008】
また本発明に係る液晶表示装置は、第1方向に曲げられた第1基板と、前記第1方向に曲げられ前記第1基板に対向配置された第2基板と、前記第1基板及び前記第2基板の間に挟持された液晶層とを含み、曲面状の表示面を有し、前記第1基板及び前記第2基板に略平行な電界を前記液晶層に印加する横電界方式の液晶表示装置であって、前記第1基板と前記第2基板とを貼り合わせるシール部を含み、前記シール部は、前記第1方向に直交する第2方向に延在する第1シール部と、前記第1方向に延在する第2シール部とを含み、前記第1シール部の前記第1方向の幅は、前記第2シール部の前記第2方向の幅よりも大きい、ことを特徴とする。
【0009】
本発明に係る液晶表示装置では、前記第1シール部の前記第1方向の幅は、前記第2シール部の前記第2方向の幅の1.1〜5.0倍であってもよい。
【0010】
また本発明に係る表示装置の製造方法は、第1基板を製造する工程と、第2基板を製造する工程と、前記第1基板にシール材を塗布する工程と、前記シール材が塗布された前記第1基板に前記第2基板を貼り合せる工程と、前記シール材を硬化させる工程と、前記第1基板及び前記第2基板を第1方向に曲げる工程と、を含み、前記シール材を塗布する工程では、前記第1方向に直交する第2方向に塗布する第1シール材の前記第1方向の幅が、前記第1方向に塗布する第2シール材の前記第2方向の幅よりも大きくなるように、前記シール材を塗布する、ことを特徴とする。
【0011】
本発明に係る液晶表示装置の製造方法では、前記シール材を塗布する工程では、前記第1シール材を塗布するときの塗布速度を、前記第2シール材を塗布するときの塗布速度よりも遅くしてもよい。
【0012】
本発明に係る液晶表示装置の製造方法では、前記シール材を塗布する工程では、前記第1シール材を塗布するときの塗布回数を、前記第2シール材を塗布するときの塗布回数よりも多くしてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る液晶表示装置及びその製造方法によれば、曲面状の表示面を有する表示装置において、表示画面の四隅付近に生じる光漏れを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本実施形態に係る液晶表示装置の全体構成の概略を示す図である。
図2】本実施形態に係る表示パネルの画素の構成例を示す平面図である。
図3図2のA−A断面図である。
図4図2のB−B断面図である。
図5】本実施形態に係る液晶表示装置の構成を示す平面図である。
図6】本実施形態に係る液晶表示装置の他の構成を示す平面図である。
図7図5のC−C断面図である。
図8】比較例に係る液晶表示装置における光の透過率分布を示す図である。
図9】比較例に係る液晶表示装置におけるT/Cズレ量を測定した結果を示すグラフである。
図10】比較例に係る液晶表示装置を構成するガラス基板のXY平面における応力分布を示す図である。
図11】本実施形態に係る液晶表示装置における光の透過率分布を示す図である。
図12】本実施形態に係る液晶表示装置と比較例に係る液晶表示装置のT/Cズレ量を比較したグラフである。
図13】本実施形態に係る液晶表示装置を構成するガラス基板のXY平面における応力分布を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の一実施形態について、図面を用いて以下に説明する。図1は、本実施形態に係る液晶表示装置の概略構成を示す図である。液晶表示装置1は、画像を表示する表示パネル10と、表示パネル10を駆動する駆動回路(データ線駆動回路20、ゲート線駆動回路30等)と、駆動回路を制御する制御回路40と、表示パネル10に背面側から光を照射するバックライト装置50とを含んで構成されている。駆動回路は、表示パネル10に設けられてもよい。液晶表示装置1は、表示面側又は背面側が凸状となるように湾曲した曲面状の外形を有している。なお、表示面側又は背面側が凹状になるように湾曲した曲面状の外形の場合も同様である。この場合には、薄膜トランジスタ基板(TFT基板)を構成するガラス基板には延伸応力が働き、カラーフィルタ基板(CF基板)を構成するガラス基板には圧縮応力が働く。
【0016】
表示パネル10には、列方向に延在する複数のデータ線11と、行方向に延在する複数のゲート線12とが設けられている。各データ線11と各ゲート線12との各交差部には、薄膜トランジスタ13(TFT)が設けられている。各データ線11及び各ゲート線12は、液晶表示装置1の曲げ方向に応じて湾曲した形状(凸状)に形成される。上記曲げ方向とは、表示面に水平な方向であって、例えば行方向又は列方向をいう。例えば、上記曲げ方向が行方向の場合(後述の図5参照)、データ線11は直線状に形成され、ゲート線12は湾曲状に形成される。また上記曲げ方向が列方向の場合(後述の図6参照)、データ線11は湾曲状に形成され、ゲート線12は直線状に形成される。
【0017】
表示パネル10には、各データ線11と各ゲート線12との各交差部に対応して、複数の画素14がマトリクス状(行方向及び列方向)に配置されている。詳細は後述するが、表示パネル10は、薄膜トランジスタ基板(TFT基板)と、カラーフィルタ基板(CF基板)と、両基板間に挟持された液晶層とを含んでいる。TFT基板には、各画素14に対応して設けられた複数の画素電極15と、各画素14に共通する1つの共通電極16とが設けられている。共通電極16は、1つの画素14又は複数の画素14ごとに分割して配置されていてもよい。
【0018】
制御回路40は、外部から入力された入力データ(同期信号、映像信号等)に基づき、データ線駆動回路20及びゲート線駆動回路30の駆動タイミングを制御するための各種の制御信号と、表示パネル10の表示領域に表示する画像に対応する画像データとを出力する。
【0019】
データ線駆動回路20は、制御回路40から入力された制御信号及び画像データに基づいて、各データ線11にデータ信号(データ電圧)を出力する。
【0020】
ゲート線駆動回路30は、外部から入力された電源電圧と、制御回路40から入力された制御信号とに基づいてゲート信号(ゲート電圧)を生成し、各ゲート線12に出力する。
【0021】
図2は、表示パネル10の画素14の構成例を示す平面図である。図3図2のA−A断面図であり、図4図2のB−B断面図である。図2図4を参照しつつ、画素14の具体的な構成について説明する。
【0022】
図2において、隣り合う2本のデータ線11と、隣り合う2本のゲート線12とで区画された領域が1つの画素14に相当する。各画素14には、薄膜トランジスタ13が設けられている。薄膜トランジスタ13は、絶縁膜102(図3参照)上に形成された半導体層21と、半導体層21上に形成されたドレイン電極22及びソース電極23とを含んで構成されている(図2参照)。ドレイン電極22はデータ線11に電気的に接続されており、ソース電極23はスルーホール24を介して画素電極15に電気的に接続されている。
【0023】
各画素14には、スズ添加酸化インジウム(ITO)等の透明導電膜からなる画素電極15が形成されている。画素電極15は、複数の開口部(スリット)を有しており、ストライプ状に形成されている。開口部の形状は限定されない。各画素14に共通して、表示領域全体にITO等の透明導電膜からなる1つの共通電極16が形成されている。共通電極16における、スルーホール24及び薄膜トランジスタ13のソース電極23に重なる領域には、画素電極15とソース電極23とを電気的に接続させるための開口部(図2の点線囲みに相当)が形成されている。
【0024】
図3に示すように、表示パネル10は、TFT基板100と、CF基板200と、TFT基板100及びCF基板200の間に挟持される液晶層300と、を含んで構成されている。
【0025】
TFT基板100では、ガラス基板101上にゲート線12(図4参照)が形成され、ゲート線12を覆うように絶縁膜102が形成されている。絶縁膜102上にはデータ線11(図3参照)が形成され、データ線11を覆うように絶縁膜103が形成されている。絶縁膜103上には共通電極16が形成され、共通電極16を覆うように絶縁膜104が形成されている。絶縁膜104上には画素電極15が形成され、画素電極15を覆うように配向膜105が形成されている。ガラス基板101におけるバックライト装置50側(液晶層300側とは反対側)の面(背面)には偏光板106が貼り付けられている。
【0026】
CF基板200では、ガラス基板201上にブラックマトリクス203及び着色部202(例えば、赤色部、緑色部、青色部)が形成され、これらを覆うようにオーバコート層204が形成されている。オーバコート層204上には配向膜205が形成されている。ガラス基板201における表示面側(液晶層300側とは反対側)の面(表面)には偏光板206が貼り付けられている。画素14を構成する各部の積層構造は、図3及び図4の構成に限定されるものではなく、周知の構成を適用することができる。
【0027】
液晶層300には、液晶301が封入されている。液晶301は、誘電率異方性が負のネガ型液晶であってもよいし、誘電率異方性が正のポジ型液晶であってもよい。配向膜105,205は、ラビング配向処理が施された配向膜であってもよいし、光配向処理が施された光配向膜であってもよい。
【0028】
上記のように、液晶表示装置1は、TFT基板100及びCF基板200に略平行な電界を液晶層300に印加する横電界方式の構成を有している。液晶表示装置1は、例えば、IPS(In Plane Switching)方式の構成を有している。
【0029】
液晶表示装置1の駆動方法を簡単に説明する。ゲート線12にはゲート線駆動回路30から走査用のゲート電圧(ゲートオン電圧、ゲートオフ電圧)が供給される。データ線11にはデータ線駆動回路20から映像用のデータ電圧が供給される。ゲート線12にゲートオン電圧が供給されると、薄膜トランジスタ13がオン状態になり、データ線11に供給されたデータ電圧が、ドレイン電極22及びソース電極23を介して画素電極15に伝達される。共通電極16には、共通電極駆動回路(図示せず)から共通電圧(Vcom)が供給される。共通電極16は、絶縁膜104を介して画素電極15に重なっており、画素電極15には、開口部(スリット)が形成されている。これにより、画素電極15から液晶層300を経て画素電極15の開口部を介して共通電極16に至る電界により液晶301が駆動する。液晶301が駆動して液晶層300を透過する光の透過率を制御することにより画像が表示される。なお、カラー表示を行う場合は、縦ストライプ状のカラーフィルタで形成された赤色部、緑色部、青色部等に対応するそれぞれの画素14の画素電極15に接続されたデータ線11に、所望のデータ電圧を供給することにより実現される。液晶表示装置1の駆動方法は上記の方法に限定されず、周知の方法を適用することができる。
【0030】
図5は、液晶表示装置1の概略構成を示す平面図である。図5では、TFT基板100と、CF基板200と、両基板を貼り合わせるためのシール部60とを示し、他の構成部材は省略している。シール部60は、画像を表示する表示領域の周囲を囲うように枠状に形成されている。シール部60は、例えば光硬化性の樹脂材料から成り、光(例えば紫外線)を照射することによって硬化する。TFT基板100及びCF基板200の間にシール部60を介在させてシール部60を硬化させることにより、TFT基板100及びCF基板200を貼り合わせて固定する。シール部60の内側のTFT基板100及びCF基板200の間には液晶が注入されて封止される。なお、シール部60の内側に液晶を注入するための開口部が、シール部60に設けられていてもよい。
【0031】
具体的には図5に示すように、シール部60は、液晶表示装置1の曲げ方向に直交する方向に延在する第1シール部61及び第2シール部62と、液晶表示装置1の曲げ方向に平行する方向に延在する第3シール部63及び第4シール部64とを含んで、枠状に形成されている。第1シール部61及び第2シール部62の幅W1は、第3シール部63及び第4シール部64の幅W2よりも大きくなっている。液晶表示装置1の曲げ方向は、図5に示すように行方向であってもよいし、図6に示すように列方向であってもよい。第1シール部61の幅W1と第2シール部62の幅W1とは、互いに同一であってもよいし異なっていてもよい。また第3シール部63の幅W2と第4シール部64の幅W2とは、互いに同一であってもよいし異なっていてもよい。
【0032】
図7は、図5に示す液晶表示装置1のC−C断面図である。図7に示す液晶表示装置1は、表示面側が凸状となり、行方向に曲げられた曲面状の外形を有している。例えば、液晶表示装置1は、背面側に曲率中心を取り、曲率半径が500mmの形状を有している。なお、液晶表示装置1は、背面側が凸状となるように湾曲した曲面状の外形を有していてもよい。また、曲率半径の具体的な数値は限定されない。シール部60は、例えば、TFT基板100の配向膜105とCF基板200の配向膜205との間に配置される。
【0033】
次に、表示画面の四隅付近に生じる光漏れについて検証した結果を以下に示す。
【0034】
図8は、比較例に係る液晶表示装置において、第1シール部61及び第2シール部62の幅W1と、第3シール部63及び第4シール部64の幅W2とが互いに同一である場合の光の透過率分布を示している。図8(b)には、シール部60の幅をW1=W2=0.8mmとし、曲率半径を500mmに設定して行方向に曲げた液晶表示装置において、表示画面の中央から表示画面の右上の領域における光の透過率を測定した結果を示している。図8(b)に示すように、表示画面の中央から141mmの付近をピークとして、その周辺領域において透過率が高くなっていることが分かる。なお、透過率のピーク値は0.002568であり、透過率が0.0005以上となる領域が144mmであった。すなわち、上記領域において光漏れが多く生じていることが分かる。
【0035】
図9(b)は、上記比較例に係る液晶表示装置を曲げたときのTFT基板とCF基板とのズレ量(T/Cズレ量)を測定した結果を示すグラフである。図9(a)、(b)に示すように、透過率(光漏れ量)が高い領域では、T/Cズレ量が大きいことが分かる。さらに、図10(a)、(b)は、上記比較例に係る液晶表示装置を構成するTFTガラス基板及びCFガラス基板のXY平面における応力分布を示す図である。図10(a)、(b)に示すように、透過率(光漏れ量)が高くT/Cズレ量が大きい領域では、応力が大きいことが分かる。これらのことから、シール部の幅、特には液晶表示装置の曲げ方向に直交する方向に延在するシール部の幅W1(図8(a)参照)が小さい場合は、T/Cズレ量が大きくなり(図9(b)参照)、T/Cズレ量が大きい領域に応力が集中し(図10参照)、この応力変化に起因して生じる位相差の影響により光の透過率(光漏れ量)が高くなることが推察される。
【0036】
上記の推察に基づき、本実施形態に係る液晶表示装置1では、液晶表示装置1の曲げ方向に直交する方向に延在するシール部(第1シール部61及び第2シール部62)の幅W1が、上記曲げ方向に平行する方向に延在するシール部(第3シール部63及び第4シール部64)の幅W2よりも大きい構成を有している。
【0037】
図11は、本実施形態に係る液晶表示装置1において、第1シール部61及び第2シール部62の幅W1が、第3シール部63及び第4シール部64の幅W2より大きい場合の光の透過率分布を示している。図11(b)には、第1シール部61及び第2シール部62の幅をW1=3.0mm、第3シール部63及び第4シール部64の幅をW2=0.8mmとし、曲率半径を500mmに設定して行方向に曲げた液晶表示装置1において、表示画面の中央から表示画面の右上の領域における光の透過率を測定した結果を示している。ここでは、透過率のピーク値は0.001702であり、透過率が0.0005以上となる領域が51mmであった。図11(b)に示すように、表示画面の中央から141mmの付近において、透過率が、比較例に係る液晶表示装置の場合(図8(b))と比べて低くなっていることが分かる。すなわち、上記領域において光漏れ量が減少していることが分かる。
【0038】
図12は、第1シール部61及び第2シール部62の幅W1が、0.8mm(比較例に係る液晶表示装置)の場合と、3.0mm(本実施形態に係る液晶表示装置1)の場合のT/Cズレ量を比較したグラフである。図12に示すように、W1=3.0mmの方が基板の全領域に亘ってT/Cズレ量が小さいことが分かる。さらに、図13(a)、(b)は、本実施形態に係る液晶表示装置1を構成するTFTガラス基板及びCFガラス基板のXY平面における応力分布を示す図である。図13(a)、(b)に示すように、W1=3.0mmの方が、W1=0.8mmの場合(比較例に係る液晶表示装置)(図10参照)と比べて、応力が小さいことが分かる。
【0039】
以上のことから、液晶表示装置の曲げ方向に直交する方向に延在するシール部の幅W1を大きくする、例えば幅W1を上記曲げ方向に平行する方向に延在するシール部の幅W2よりも大きくすることにより(W1>W2)、T/Cズレ量が小さくなり(図12(b)参照)、ガラス基板における応力が分散し応力集中が生じ難くなるため(図13参照)、光の透過率(光漏れ量)が低くなることが推察される。よって、本実施形態に係る液晶表示装置1によれば、表示画面の四隅付近に生じる光漏れを低減することができる。なお、液晶表示装置1において、第3シール部63及び第4シール部64の幅W2は0.7mm〜1.1mmであることが好ましい。また、第1シール部61及び第2シール部62の幅W1は、幅W2の1.1〜5.0倍であることが好ましい。
【0040】
次に、本実施形態に係る液晶表示装置1の製造方法について説明する。液晶表示装置1の製造工程には、TFT基板製造工程、CF基板製造工程、基板貼り合せ工程、偏光板貼り付け工程、曲げ工程、液晶注入工程が含まれる。
【0041】
TFT基板製造工程では、横電界方式(IPS方式)の構成を実現するための周知の工程を適用することができる。例えば、ガラス基板101の第1面上に、ゲート線12となる金属材料をスパッタにより成膜してホトエッチング工程でパターン化する。これにより、平面パターンとしてゲート線12が形成される。次に、化学気層成長法CVDにより、ゲート線12を覆うように絶縁膜102を積層し、絶縁膜102上に半導体層21を積層する。さらに半導体層21上に、データ線11となる金属材料をスパッタで成膜する。データ線11とソース電極23とをハーフトーン露光を用いて同時に形成する。次に、データ線11とソース電極23とを覆うように、CVDにより絶縁膜103を積層する。次に、絶縁膜103上にITOを成膜した後、ホトエッチング加工により共通電極16を形成する。次に、共通電極16を覆うように、CVDにより絶縁膜104を形成する。また、絶縁膜103及び絶縁膜104をドライエッチング加工して、ソース電極23に達するスルーホール24を形成する。絶縁膜104上及びスルーホール24内に、スパッタによりITOを成膜した後、ホトエッチング加工により画素電極15を形成する。画素電極15は、スリットを有するパターンに加工する。画素電極15の一部は、ソース電極23上に直接成膜する。これにより、画素電極15とソース電極23とが電気的に接続される。
【0042】
CF基板製造工程では、例えば、ガラス基板201の第1面上に、カラーフィルタ202とブラックマトリクス203とを形成する。
【0043】
基板貼り合せ工程では、TFT基板製造工程において製造されたTFT基板100にシール材(シール部60)を塗布する工程と、液晶材料を滴下するODF工程と、シール材が塗布されたTFT基板100に、CF基板製造工程において製造されたCF基板200を位置合わせして貼り合わせる工程と、シール材に光を照射して硬化させる工程とを行う。
【0044】
ここで、シール材を塗布する工程では、液晶表示装置1の曲げ方向に直交する方向に延在するシール材(第1シール部61及び第2シール部62)を塗布するときの塗布速度を、上記曲げ方向に平行する方向に延在するシール材(第3シール部63及び第4シール部64)を塗布するときの塗布速度よりも遅くする。また、シール材を塗布する他の方法として、液晶表示装置1の曲げ方向に直交する方向に延在するシール材(第1シール部61及び第2シール部62)を塗布するときの塗布回数を、上記曲げ方向に平行する方向に延在するシール材(第3シール部63及び第4シール部64)を塗布するときの塗布回数よりも多くする。これにより、第1シール部61及び第2シール部62の幅W1を、第3シール部63及び第4シール部64の幅W2よりも大きくすることができる。なおシール材を塗布する方法は、上記方法に限定されず、W1>W2を満たすようにシール材を塗布すればよい。
【0045】
偏光板貼り付け工程では、ガラス基板101の第1面とは反対側の第2面上に偏光板106を貼り付けるとともに、ガラス基板201の第1面とは反対側の第2面上に偏光板206を貼り付ける。
【0046】
曲げ工程では、貼り合わされたTFT基板100及びCF基板200を所望の一軸方向(例えば行方向又は列方向)に曲げる。曲げ方法は、限定されず、治具を用いてもよいし、熱収縮フィルムを用いてもよい。
【0047】
その後、バックライト装置等の組立工程、検査工程等を経て、液晶表示装置1が完成する。
【0048】
以上の説明では、横電界方式(IPS方式)の液晶表示装置を例に挙げたが、本発明はこれに限定されない。上述したシール部60の構成及びシール部60の塗布方法は、横電界方式以外の液晶表示装置や有機EL表示装置等の各種の表示装置に適用することもできる。
【0049】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で上記各実施形態から当業者が適宜変更した形態も本発明の技術的範囲に含まれることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0050】
1 液晶表示装置、10 表示パネル、20 データ線駆動回路、30 ゲート線駆動回路、40 制御回路、50 バックライト装置、60 シール部、61 第1シール部、62 第2シール部、63 第3シール部、64 第4シール部、11 データ線、12 ゲート線、13 薄膜トランジスタ、14 画素、15 画素電極、16 共通電極、100 薄膜トランジスタ基板、101 ガラス基板、106 偏光板、200 カラーフィルタ基板、201 ガラス基板、206 偏光板、300 液晶層。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13