【解決手段】車載デバイスは、曲面ディスプレイと、曲面ディスプレイの周縁に配置された枠体を有する、車両に曲面ディスプレイを取り付けるための本体部品と、を備える。曲面ディスプレイは、互いに対向配置されると共に各々が第1方向に曲げられた一対の基板と、一対の基板同士を貼り合わせるシール材と、を含む。シール材は、第2方向に延在する第1シール部と、第1方向に延在し、第1シール部の幅よりも幅広の第2シール部と、を含む。枠体は、曲面ディスプレイの周縁で第1シール部に対応して位置する第1枠縁部分と、曲面ディスプレイの周縁で第2シール部に対応して位置する第2枠縁部分と、を含み、第2枠縁部分は、基板と同じ方向に向かって突出するように第1方向に湾曲した第1曲げ領域を含む。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の一実施形態について、図面を用いて以下に説明する。
図1は、本実施形態に係る曲面ディスプレイの概略構成を示す図である。曲面ディスプレイ1は、画像を表示する表示パネル10と、表示パネル10を駆動する駆動回路(データ線駆動回路20、ゲート線駆動回路30等)と、駆動回路を制御する制御回路40と、表示パネル10に背面側から光を照射するバックライト装置50とを含んで構成されている。駆動回路は、表示パネル10に設けられてもよい。曲面ディスプレイ1は、表示面側又は背面側が凸状となるように湾曲した曲面状の外形を有している。なお、表示面側又は背面側が凹状になるように湾曲した曲面状の外形の場合も同様である。この場合には、薄膜トランジスタ基板(TFT基板)を構成するガラス基板には延伸応力が働き、カラーフィルタ基板(CF基板)を構成するガラス基板には圧縮応力が働く。
【0013】
表示パネル10には、列方向に延在する複数のデータ線11と、行方向に延在する複数のゲート線12とが設けられている。各データ線11と各ゲート線12との各交差部には、薄膜トランジスタ13(TFT)が設けられている。各データ線11及び各ゲート線12は、曲面ディスプレイ1の曲げ方向に応じて湾曲した形状(凸状)に形成される。上記曲げ方向とは、表示面に平行な方向であって、例えば行方向又は列方向をいう。例えば、上記曲げ方向が行方向の場合(後述の
図5参照)、データ線11は直線状に形成され、ゲート線12は湾曲状に形成される。また上記曲げ方向が列方向の場合(後述の
図6参照)、データ線11は湾曲状に形成され、ゲート線12は直線状に形成される。
【0014】
表示パネル10には、各データ線11と各ゲート線12との各交差部に対応して、複数の画素14がマトリクス状(行方向及び列方向)に配置されている。詳細は後述するが、表示パネル10は、薄膜トランジスタ基板(TFT基板)と、カラーフィルタ基板(CF基板)と、両基板間に挟持された液晶層とを含んでいる。TFT基板には、各画素14に対応して設けられた複数の画素電極15と、各画素14に共通する1つの共通電極16とが設けられている。共通電極16は、1つの画素14又は複数の画素14ごとに分割して配置されていてもよい。
【0015】
制御回路40は、外部から入力された入力データ(同期信号、映像信号等)に基づき、データ線駆動回路20及びゲート線駆動回路30の駆動タイミングを制御するための各種の制御信号と、表示パネル10の表示領域に表示する画像に対応する画像データとを出力する。
【0016】
データ線駆動回路20は、制御回路40から入力された制御信号及び画像データに基づいて、各データ線11にデータ信号(データ電圧)を出力する。
【0017】
ゲート線駆動回路30は、外部から入力された電源電圧と、制御回路40から入力された制御信号とに基づいてゲート信号(ゲート電圧)を生成し、各ゲート線12に出力する。
【0018】
図2は、表示パネル10の画素14の構成例を示す平面図である。
図3は
図2のA−A断面図であり、
図4は
図2のB−B断面図である。
図2〜
図4を参照しつつ、画素14の具体的な構成について説明する。
【0019】
図2において、隣り合う2本のデータ線11と、隣り合う2本のゲート線12とで区画された領域が1つの画素14に相当する。各画素14には、薄膜トランジスタ13が設けられている。薄膜トランジスタ13は、絶縁膜102(
図3参照)上に形成された半導体層21と、半導体層21上に形成されたドレイン電極22及びソース電極23とを含んで構成されている(
図2参照)。ドレイン電極22はデータ線11に電気的に接続されており、ソース電極23はスルーホール24を介して画素電極15に電気的に接続されている。
【0020】
各画素14には、スズ添加酸化インジウム(ITO)等の透明導電膜からなる画素電極15が形成されている。画素電極15は、複数の開口部(スリット)を有しており、ストライプ状に形成されている。開口部の形状は限定されない。各画素14に共通して、表示領域全体にITO等の透明導電膜からなる1つの共通電極16が形成されている。共通電極16における、スルーホール24及び薄膜トランジスタ13のソース電極23に重なる領域には、画素電極15とソース電極23とを電気的に接続させるための開口部(
図2の点線囲みに相当)が形成されている。
【0021】
図3に示すように、表示パネル10は、TFT基板100と、CF基板200と、TFT基板100及びCF基板200の間に挟持される液晶層300と、を含んで構成されている。
【0022】
TFT基板100では、ガラス基板101上にゲート線12(
図4参照)が形成され、ゲート線12を覆うように絶縁膜102が形成されている。絶縁膜102上にはデータ線11(
図3参照)が形成され、データ線11を覆うように絶縁膜103が形成されている。絶縁膜103上には共通電極16が形成され、共通電極16を覆うように絶縁膜104が形成されている。絶縁膜104上には画素電極15が形成され、画素電極15を覆うように配向膜105が形成されている。ガラス基板101におけるバックライト装置50側(液晶層300側とは反対側)の面(背面)には偏光板106が貼り付けられている。
【0023】
CF基板200では、ガラス基板201上にブラックマトリクス203及び着色部202(例えば、赤色部、緑色部、青色部)が形成され、これらを覆うようにオーバコート層204が形成されている。オーバコート層204上には配向膜205が形成されている。ガラス基板201における表示面側(液晶層300側とは反対側)の面(表面)には偏光板206が貼り付けられている。画素14を構成する各部の積層構造は、
図3及び
図4の構成に限定されるものではなく、周知の構成を適用することができる。
【0024】
液晶層300には、液晶301が封入されている。液晶301は、誘電率異方性が負のネガ型液晶であってもよいし、誘電率異方性が正のポジ型液晶であってもよい。配向膜105,205は、ラビング配向処理が施された配向膜であってもよいし、光配向処理が施された光配向膜であってもよい。
【0025】
上記のように、曲面ディスプレイ1は、TFT基板100及びCF基板200に略平行な電界を液晶層300に印加する横電界方式の構成を有している。曲面ディスプレイ1は、例えば、IPS(In Plane Switching)方式の構成を有している。
【0026】
曲面ディスプレイ1の駆動方法を簡単に説明する。ゲート線12にはゲート線駆動回路30から走査用のゲート電圧(ゲートオン電圧、ゲートオフ電圧)が供給される。データ線11にはデータ線駆動回路20から映像用のデータ電圧が供給される。ゲート線12にゲートオン電圧が供給されると、薄膜トランジスタ13がオン状態になり、データ線11に供給されたデータ電圧が、ドレイン電極22及びソース電極23を介して画素電極15に伝達される。共通電極16には、共通電極駆動回路(図示せず)から共通電圧(Vcom)が供給される。共通電極16は、絶縁膜104を介して画素電極15に重なっており、画素電極15には、開口部(スリット)が形成されている。これにより、画素電極15から液晶層300を経て画素電極15の開口部を介して共通電極16に至る電界により液晶301が駆動する。液晶301が駆動して液晶層300を透過する光の透過率を制御することにより画像が表示される。なお、カラー表示を行う場合は、縦ストライプ状のカラーフィルタで形成された赤色部、緑色部、青色部等に対応するそれぞれの画素14の画素電極15に接続されたデータ線11に、所望のデータ電圧を供給することにより実現される。曲面ディスプレイ1の駆動方法は上記の方法に限定されず、周知の方法を適用することができる。
【0027】
図5は、曲面ディスプレイ1の概略構成を示す平面図である。
図5では、TFT基板100と、CF基板200と、両基板を貼り合わせるためのシール材60とを示し、他の構成部材は省略している。シール材60は、画像を表示する表示領域の周囲を囲うように枠状に形成されている。シール材60は、例えば光硬化性の樹脂材料から成り、光(例えば紫外線)を照射することによって硬化する。TFT基板100及びCF基板200の間にシール材60を介在させてシール材60を硬化させることにより、TFT基板100及びCF基板200を貼り合わせて固定する。シール材60の内側のTFT基板100及びCF基板200の間には液晶が注入されて封止される。なお、シール材60の内側に液晶を注入するための開口部が、シール材60に設けられていてもよい。
【0028】
具体的には
図5に示すように、シール材60は、曲面ディスプレイ1の曲げ方向に直交する方向に延在する第1シール部61及び第3シール部62と、曲面ディスプレイ1の曲げ方向に平行する方向に延在する第2シール部63及び第4シール部64とを含んで、枠状に形成されている。第1シール部61及び第3シール部62の幅W1は、第2シール部63及び第4シール部64の幅W2よりも大きくなっている。曲面ディスプレイ1の曲げ方向は、
図5に示すように行方向であってもよいし、
図6に示すように列方向であってもよい。第1シール部61の幅W1と第3シール部62の幅W1とは、互いに同一であってもよいし異なっていてもよい。また第2シール部63の幅W2と第4シール部64の幅W2とは、互いに同一であってもよいし異なっていてもよい。
【0029】
図7は、
図5に示す曲面ディスプレイ1のC−C断面図である。
図7に示す曲面ディスプレイ1は、表示面側が凸状となり、行方向(第1方向)に曲げられた曲面状の外形を有している。すなわち、曲面ディスプレイ1は、第1方向において両端に位置する部分よりも、第1方向において中央に位置する部分が、表示面側に凸状になるように湾曲している。例えば、曲面ディスプレイ1は、背面側に曲率中心を取り、曲率半径が500mmの形状を有している。なお、曲面ディスプレイ1は、背面側が凸状となるように湾曲した曲面状の外形を有していてもよい。また、曲率半径の具体的な数値は限定されない。シール材60は、例えば、TFT基板100の配向膜105とCF基板200の配向膜205との間に配置される。
【0030】
次に、表示画面の四隅付近に生じる光漏れについて検証した結果を以下に示す。
【0031】
図8は、比較例に係る曲面ディスプレイにおいて、第1シール部61及び第3シール部62の幅W1と、第2シール部63及び第4シール部64の幅W2とが互いに同一である場合の光の透過率分布を示している。
図8(b)には、シール材60の幅をW1=W2=0.8mmとし、曲率半径を500mmに設定して行方向に曲げた曲面ディスプレイにおいて、表示画面の中央から表示画面の右上の領域における光の透過率を測定した結果を示している。
図8(b)に示すように、表示画面の中央から141mmの付近をピークとして、その周辺領域において透過率が高くなっていることが分かる。なお、透過率のピーク値は0.002568であり、透過率が0.0005以上となる領域が144mm
2であった。すなわち、上記領域において光漏れが多く生じていることが分かる。
【0032】
図9(b)は、上記比較例に係る曲面ディスプレイを曲げたときのTFT基板とCF基板とのズレ量(T/Cズレ量)を測定した結果を示すグラフである。
図9(a)、(b)に示すように、透過率(光漏れ量)が高い領域では、T/Cズレ量が大きいことが分かる。さらに、
図10(a)、(b)は、上記比較例に係る曲面ディスプレイを構成するTFTガラス基板及びCFガラス基板のXY平面における応力分布を示す図である。
図10(a)、(b)に示すように、透過率(光漏れ量)が高くT/Cズレ量が大きい領域では、応力も大きいことが分かる。これらのことから、T/Cズレ量が大きい領域では、応力も大きくなり、この結果、基板に複屈折率差が生じて、当該領域で透過率(光漏れ量)が高くなることが推察される。
【0033】
図11は、本実施形態に係る曲面ディスプレイ1において、第1シール部61及び第3シール部62の幅W1が、第2シール部63及び第4シール部64の幅W2より大きい場合の光の透過率分布を示している。
図11(b)には、第1シール部61及び第3シール部62の幅をW1=3.0mm、第2シール部63及び第4シール部64の幅をW2=0.8mmとし、曲率半径を500mmに設定して行方向に曲げた曲面ディスプレイ1において、表示画面の中央から表示画面の右上の領域における光の透過率を測定した結果を示している。ここでは、透過率のピーク値は0.001702であり、透過率が0.0005以上となる領域が51mm
2であった。
図11(b)に示すように、表示画面の中央から141mmの付近において、透過率が、比較例に係る曲面ディスプレイの場合(
図8(b))と比べて低くなっていることが分かる。すなわち、上記領域において光漏れ量が減少していることが分かる。
【0034】
図12は、第1シール部61及び第3シール部62の幅W1が、0.8mm(比較例に係る曲面ディスプレイ)の場合と、3.0mm(本実施形態に係る曲面ディスプレイ1)の場合のT/Cズレ量を比較したグラフである。
図12に示すように、W1=3.0mmの方が基板の全領域に亘ってT/Cズレ量が小さいことが分かる。さらに、
図13(a)、(b)は、本実施形態に係る曲面ディスプレイ1を構成するTFTガラス基板及びCFガラス基板のXY平面における応力分布を示す図である。
図13(a)、(b)に示すように、W1=3.0mmの方が、W1=0.8mmの場合(比較例に係る曲面ディスプレイ)(
図10参照)と比べて、応力が小さいことが分かる。
【0035】
図14は、
図8(a)に示す比較例に係る曲面ディスプレイ1において、第1シール部61及び第3シール部62の幅W1と、第2シール部63及び第4シール部64の幅W2とが互いに同一で3.0mmとした場合の光の透過率分布を示している(W1=W2=3.0mm)。
図14には、曲率半径を500mmに設定して行方向に曲げた曲面ディスプレイにおいて、表示画面の中央から表示画面の右上の領域における光の透過率を測定した結果を示している。ここでは、透過率のピーク値は0.001578であり、透過率が0.0005以上となる領域が47mm
2であった。
図14に示すように、表示画面の中央から141mmの付近において、透過率が、
図8(b)に示す比較例に係る曲面ディスプレイの場合と比べて低くなってはいるものの、
図11に示す本実施形態に係る曲面ディスプレイ1と比べて光漏れの程度はあまり変わらないレベルとなっている。
【0036】
以上のことから、T/Cズレ量を小さくして、曲面ディスプレイ1の4隅に生じる光漏れ量を低減するためには、曲面ディスプレイの曲げ方向に直交する方向に延在するシール部の幅W1を大きくすることが有効であり、曲面ディスプレイの曲げ方向に平行な方向に延在するシール部の幅W2の大きさは相対的に影響度が低いことが理解される。すなわち、本実施形態のように、曲面ディスプレイの曲げ方向に直交する方向に延在するシール部の幅W1を大きくする、例えば幅W1を上記曲げ方向に平行する方向に延在するシール部の幅W2よりも大きくすることにより(W1>W2)、T/Cズレ量が小さくなり(
図12(b)参照)、ガラス基板における応力が分散し応力集中が生じ難くなるため(
図13参照)、光の透過率(光漏れ量)が低くなることが推察される。
【0037】
よって、本実施形態に係る曲面ディスプレイ1によれば、曲面ディスプレイの曲げ方向に直交する方向に延在するシール部の幅W1を上記曲げ方向に平行な方向に延在するシール部の幅W2よりも相対的に大きくすることで、材料費を抑えつつ有効表示領域を広く確保した上で、表示画面の四隅付近に生じる光漏れを低減することができる。なお、曲面ディスプレイ1において、第2シール部63及び第4シール部64の幅W2は0.7mm〜1.1mmであることが好ましい。また、第1シール部61及び第3シール部62の幅W1は、幅W2の1.1〜5.0倍であることが好ましい。
【0038】
次に、本実施形態に係る曲面ディスプレイ1の製造方法について説明する。曲面ディスプレイ1の製造工程には、TFT基板製造工程、CF基板製造工程、基板貼り合せ工程、偏光板貼り付け工程、曲げ工程、液晶注入工程が含まれる。
【0039】
TFT基板製造工程では、横電界方式(IPS方式)の構成を実現するための周知の工程を適用することができる。例えば、ガラス基板101の第1面上に、ゲート線12となる金属材料をスパッタにより成膜してホトエッチング工程でパターン化する。これにより、平面パターンとしてゲート線12が形成される。次に、化学気層成長法CVDにより、ゲート線12を覆うように絶縁膜102を積層し、絶縁膜102上に半導体層21を積層する。さらに半導体層21上に、データ線11となる金属材料をスパッタで成膜する。データ線11とソース電極23とをハーフトーン露光を用いて同時に形成する。次に、データ線11とソース電極23とを覆うように、CVDにより絶縁膜103を積層する。次に、絶縁膜103上にITOを成膜した後、ホトエッチング加工により共通電極16を形成する。次に、共通電極16を覆うように、CVDにより絶縁膜104を形成する。また、絶縁膜103及び絶縁膜104をドライエッチング加工して、ソース電極23に達するスルーホール24を形成する。絶縁膜104上及びスルーホール24内に、スパッタによりITOを成膜した後、ホトエッチング加工により画素電極15を形成する。画素電極15は、スリットを有するパターンに加工する。画素電極15の一部は、ソース電極23上に直接成膜する。これにより、画素電極15とソース電極23とが電気的に接続される。
【0040】
CF基板製造工程では、例えば、ガラス基板201の第1面上に、カラーフィルタ202とブラックマトリクス203とを形成する。
【0041】
基板貼り合せ工程では、TFT基板製造工程において製造されたTFT基板100にシール材(シール材60)を塗布する工程と、液晶材料を滴下するODF工程と、シール材が塗布されたTFT基板100に、CF基板製造工程において製造されたCF基板200を位置合わせして貼り合わせる工程と、シール材に光を照射して硬化させる工程とを行う。
【0042】
ここで、シール材を塗布する工程では、曲面ディスプレイ1の曲げ方向に直交する方向に延在するシール材(第1シール部61及び第3シール部62)を塗布するときの塗布速度を、上記曲げ方向に平行する方向に延在するシール材(第2シール部63及び第4シール部64)を塗布するときの塗布速度よりも遅くする。また、シール材を塗布する他の方法として、曲面ディスプレイ1の曲げ方向に直交する方向に延在するシール材(第1シール部61及び第3シール部62)を塗布するときの塗布回数を、上記曲げ方向に平行する方向に延在するシール材(第2シール部63及び第4シール部64)を塗布するときの塗布回数よりも多くする。これにより、第1シール部61及び第3シール部62の幅W1を、第2シール部63及び第4シール部64の幅W2よりも大きくすることができる。なおシール材を塗布する方法は、上記方法に限定されず、W1>W2を満たすようにシール材を塗布すればよい。
【0043】
偏光板貼り付け工程では、ガラス基板101の第1面とは反対側の第2面上に偏光板106を貼り付けるとともに、ガラス基板201の第1面とは反対側の第2面上に偏光板206を貼り付ける。
【0044】
曲げ工程では、貼り合わされたTFT基板100及びCF基板200を所望の一軸方向(例えば行方向又は列方向)に曲げる。曲げ方法は、限定されず、治具を用いてもよいし、熱収縮フィルムを用いてもよい。
【0045】
その後、バックライト装置等の組立工程、検査工程等を経て、曲面ディスプレイ1が完成する。
【0046】
以上の説明では、横電界方式(IPS方式)の曲面ディスプレイを例に挙げたが、本発明はこれに限定されない。上述したシール材60の構成及びシール材60の塗布方法は、横電界方式以外の曲面ディスプレイや有機EL曲面ディスプレイ等の各種の曲面ディスプレイに適用することもできる。
【0047】
なお、本発明に関する曲面ディスプレイ1は、テレビ、スマートフォン等の電子機器以外にも、医療用デバイス、車載デバイスなど様々な電子機器に適用可能である。以下で、本発明に関する曲面ディスプレイ1を車載デバイスとして用いられる場合について、詳しく説明することにする。
【0048】
図15は、曲面ディスプレイ1が組み込まれた車載デバイスを、車両2001に搭載した例を示す概略図である。
図15に示すように、本発明に関する車載デバイスとしては、車両2001内外の情報を投影可能な電子ミラー装置2005や、センターインフォメイションディスプレイ(以下、CID(Center Information Display))2007や、クラスタ部2008などに適用可能である。これらの車載デバイスは、運転者の安全運転を支援するのに効果的である。なお、電子ミラー装置2005は取付部2006を介して車室内2002に組み込まれている。また、本発明に関する車載デバイスとしては、助手席者用ディスプレイ2009や、後部座席者用ディスプレイ2010などにも適用可能である。これらの車載デバイスは、運転者以外の人が運転者の安全運転を支援するのに効果的である。また、本発明に関する車載デバイスとしては、フロントガラスとサイドガラスの間に位置するピラー部に配置される広視野確保ディスプレイ2011にも適用可能である。ピラー部においては、運転者にとって死角が発生する可能性がある。ピラー部に、死角に相当する車外情報を映すことができれば、運転者の安全運転を支援することができる。そこで、ピラー部に車外の情報を映すことが可能な広視野角確保ディスプレイ2011を配置することが好ましい。なお、これらは一例であって、車載デバイスは、車両2001に搭載されて映像を表示する装置である限り、その適用対象は特に限定されない。
【0049】
図16は、車載デバイス500が、CID2007として用いられる例を示している。なお、
図16は、車載デバイス500の正面図である。
図16に示すように、車載デバイス500は、本体部品501と、本体部品501に保持された曲面ディスプレイ1と、を有している。本体部品501は、曲面ディスプレイ1を車両2001に取り付けるための部品であり、ハウジングや筐体とも呼ばれ得る。本体部品501は、曲面ディスプレイ1の周縁に配置された枠体510を有し、枠体510に囲まれた開口503から、曲面ディスプレイ1の映像を表示する表示面S1が露出している。
【0050】
図16に示すように、本体部品501の枠体510は、行方向(曲げ方向、第1方向)に対向して配置された(列方向(第2方向)に延在する)第1枠縁部分511及び第3枠縁部分513と、列方向に対向して配置された(行方向(第1方向)に延在する)第2枠縁部分512及び第4枠縁部分514と、を含んでいる。後述する
図18から理解されるように、第1枠縁部分511は、曲面ディスプレイ1の周縁で第1シール部61に対応、より詳細には沿って位置し、第2枠縁部分512は、曲面ディスプレイ1の周縁で第2シール部63に対応、より詳細には沿って位置し、第3枠縁部分513は、曲面ディスプレイ1の周縁で第3シール部62に対応、より詳細には沿って位置し、第4枠縁部分514は、曲面ディスプレイ1の周縁で第4シール部64に対応、より詳細には沿って位置している。
【0051】
図17は、車載デバイス500の側面図である。
図17に示すように、第2枠縁部分512は、曲面ディスプレイ1と同じ方向に向かって突出するように行方向(第1方向)に湾曲した第1曲げ領域512aを含んでいる。
図17に示す例では、曲面ディスプレイ1は、行方向において中央に位置する部分が背面側から表示面側に向かって凸状になるように湾曲しているため、第1曲げ領域512aも、行方向において中央に位置する部分が背面側から表示面側に向かって凸状になるように湾曲している。このような形態によれば、曲面ディスプレイ1の周縁に配置された枠体510の少なくとも一部が曲面ディスプレイ1に沿って湾曲するため、曲面ディスプレイ1と枠体510との境界から、異物やゴミが侵入するおそれを低減することができる。
【0052】
図17から理解されるように、行方向(第1方向)において第1シール部61と第3シール部62との間となる領域に、第1曲げ領域512aが位置している。
【0053】
また、第2枠縁部分512は、第1曲げ領域512aよりも第1シール部61寄りに配置された第2曲げ領域512bを有している。第2曲げ領域512bは、第1曲げ領域512aと反対方向に向かって突出するように行方向(第1方向)に湾曲している。すなわち、第2曲げ領域512bは、行方向において中央に位置する部分が表示面側から背面側に向かって凸状になるように湾曲している。
【0054】
図18は、曲面ディスプレイ1中のシール材60と枠体510の平面図である。
図19は、
図18のD−Dの線で切断した断面図を示す。
図18及び
図19に示すように、第1枠縁部分511、第2枠縁部分512、第3枠縁部分513、第4枠縁部分514は、それぞれ、平面視で曲面ディスプレイ1の周縁領域の一部を覆っている。とりわけ、第1枠縁部分511は、平面視で第1シール部61と重なっており、第2枠縁部分512は、平面視で第2シール部63と重なっており、第3枠縁部分513は、平面視で第3シール部62と重なっており、第4枠縁部分514は、平面視で第4シール部64と重なっている。各枠縁部分511〜514が平面視で対応するシール部61〜64と重なることにより、曲面ディスプレイ1の4隅から生じ得る光漏れを目立たなくさせることができる。
【0055】
図18に示す例では、第1枠縁部分511は、平面視で第1シール部61を越えて曲面ディスプレイ1の中央側にはみ出しており、第2枠縁部分512は、平面視で第2シール部63を越えて曲面ディスプレイ1の中央側にはみ出している。そして、平面視で第2枠縁部分512が第2シール部63からはみ出た長さL2は、平面視で第1枠縁部分511が第1シール部61からはみ出た長さL1よりも長い。
【0056】
図19には、曲面ディスプレイ1の層構成が示されている。
図19に示すように、曲面ディスプレイ1は、曲面状に成形された前面板400を有しており、前面板400に接着剤450を介して表示パネル10が接着されている。このような構成によれば、表示パネル10を湾曲した状態で前面板400に保持させることができる。
【0057】
図20は、
図19の変形例を示しており、枠体510における第2枠縁部分512が無い場合を示している。
図20に示す例では、本体部品501の枠体510は、曲面ディスプレイ1の周縁で第1シール部61に沿って位置する第1枠縁部分511と、曲面ディスプレイ1の周縁で第3シール部62に沿って位置する第3枠縁部分513と、を含み、第1枠縁部分511は、平面視で第1シール部61と重なり、第3枠縁部分513は、平面視で第3シール部62と重なっている。
【0058】
図21は、
図19に対応する断面において、第1曲げ領域512aの配置の変形例を示している。
図21に示す例では、第2枠縁部分512は、第1曲げ領域512aと、第1曲げ領域512aよりも第1シール部61から離間した領域に配置された平坦領域512cと、を有している。第1曲げ領域512aは、曲面ディスプレイ1の中心X1よりも第1シール部61寄りに位置している。より詳細には、第1曲げ領域512aは、第1シール部61から曲面ディスプレイ1の中心X1までの距離の半分よりも小さい距離だけ第1シール部61から離れて位置している。なお、
図21に示す例においても、
図17に示す例のように、第2枠縁部分512が第2曲げ領域512bをさらに有し、第2曲げ領域512bが、第1曲げ領域512aよりもディスプレイ側から離れた位置に配置されていても構わない。
【0059】
図22は、曲面ディスプレイ1の他の適用例を示すブロック図であり、
図23は、曲面ディスプレイ1のさらに別の適用例を示すブロック図である。本適用例に係る車載デバイス1000としては、
図22、
図23に示すように、本発明に関する曲面ディスプレイ1001と、車の外側に関する情報又は車の内側に関する情報1006を第1の信号1004として受信するユニット1002と、第1の信号1004を第2の信号1005に変換するユニット1003とを有し、ユニット1003は、第2の信号1005を曲面ディスプレイ1001に送信することができる構成とする。なお、少なくとも、車載デバイス1000は、本発明に関する曲面ディスプレイ1001と、車の外側に関する情報又は車の内側に関する情報1006に関する第2の信号1005を曲面ディスプレイ1001に送信するユニット1003を有すればよい。つまり、より具体的には、曲面ディスプレイ1と、車の外側に関する情報又は車の内側に関する情報1006としての第1の信号1004を第2の信号1005に変換するユニット1003を有し、ユニット1003は、第2の信号1005を曲面ディスプレイ1に送信することができ、曲面ディスプレイ1は、第1方向に曲げられた第1基板100と、第1方向に曲げられ、第1基板100に対向配置された第2基板200と、第1基板100と第2基板200とを貼り合わせるシール材60と、を含み、シール材60は、第1方向に直交する第2方向に延在する第1シール部61と、第1方向に延在する第2シール部63とを含み、第1シール部61の第1方向の幅は、第2シール部63の第2方向の幅よりも大きい、となる。なお、ユニット1002は、
図22に示すように、車載デバイス1000とは別の部品として構成されていても構わないし、
図23に示すように、車載デバイス1000の一部として構成されていても構わない。
【0060】
ここで、車の外側に関する情報1006とは、前後方に位置する人もしくは物に関する位置情報(自分の車両から前後方に位置する人もしくは物までの距離情報、もしくは方向情報)である。または、車の外側に関する情報とは、気温、湿度、風速、もしくは、風向きなどの自然情報である。
【0061】
ここで、車の内側に関する情報1006とは、車内に位置する人もしくは物に関する位置情報(ある位置から車内に位置する人もしくは物までの距離情報、もしくは方向情報)である。または、車の内側に関する情報とは、車内の温度、または、湿度などの自然情報である。
【0062】
ここで、ユニット1002としては、温度センサ、湿度センサ、圧力センサ、赤外線センサ、TOF(Time of Flight)センサ、イメージセンサ、角速度センサ、加速度センサなどの様々なセンサが適用可能である。
【0063】
ここで、ユニット1003としては、アナログ情報をデジタル情報に変換可能なユニットや、デジタル情報をアナログ情報に変換可能なユニットや、デジタル情報を別のデジタル情報に変換可能なユニットや、増幅回路などが考えられる。デジタル情報を別のデジタル情報に変換する方法としては、例えば、温度に関する情報であれば、温度センサとして機能するユニット1002が温度をデジタル情報として検出した後に、曲面ディスプレイに数字として投影するためのデジタル情報に変換する方法などがある。
【0064】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で上記各実施形態から当業者が適宜変更した形態も本発明の技術的範囲に含まれることは言うまでもない。