【解決手段】電子ペン機能を実現する電子ペン本体部11に対して、レーザーポインター機能を実現する拡張部12を、コネクタジャック11J及びコネクタプラグ12Pを通じて接続する。電子ペン本体部11には、充電可能なバッテリー117を搭載し、低重心の電子ペン本体部11を実現し、バッテリー117から拡張部12への電源供給を可能にする。バッテリー117から拡張部12への電源供給は、電子ペン本体部11の制御回路113が電子ペン本体部11の使用状況やバッテリー117の状態に応じて適切に制御する。拡張部12のスイッチ操作部123aが操作されたらレーザー光を照射する。
電子ペンと、前記電子ペンにより指示された位置を検出する位置検出回路を備えた情報処理装置と、前記情報処理装置から映像情報の提供を受けて当該映像情報に応じた映像を表示するように処理する映像表示装置とからなる位置検出システムであって、
前記電子ペンは、
位置検出センサに対して信号を送信する第1の位置指示部と、
制御部と、
第1のコネクタ部と、
外部の電源から前記第1のコネクタ部を通じて充電可能な電源部と、
無線通信部と、
を有する電子ペン本体部と、
前記位置検出センサの入力領域とは異なる所定領域の位置を指示するための第2の位置指示部と、
使用者による操作を受け付ける操作部と、
第2のコネクタ部と、
を有する拡張部と、
を備え、
前記電子ペン本体部と前記拡張部とは、前記第1のコネクタ部と前記第2のコネクタ部とを通じて着脱可能になっており、
前記電子ペン本体部と前記拡張部とが接続された時には、前記電子ペン本体部の前記電源部から前記拡張部への電源の供給と、前記電子ペン本体部と前記拡張部との間でのデータの授受とが可能であり、
前記制御部は、前記拡張部の前記操作部が操作された場合には、前記第2の位置指示部からの指示を受け付けて、前記電子ペン本体部の前記無線通信部を通じて送信するように制御し、
前記情報処理装置は、
前記位置検出回路を通じて検出した前記電子ペンによる指示位置に対応する所定の表示画面上の位置に情報を表示するようにした映像情報を形成して前記映像表示装置に供給する表示制御部と、
前記拡張部の前記第2の位置指示部からの指示であって、前記電子ペン本体部の前記無線通信部から送信された信号を受信する受信部と、
前記所定の表示画面に表示するようにされている映像に加えて、前記受信部を通じて受信した信号に基づいて、前記拡張部からの指示に応じた位置指示子を表示するようにした映像情報を形成して前記映像表示装置に供給する位置指示子表示制御部と、
を備え
前記映像表示装置は、
前記情報処理装置からの映像情報を受け付けて、前記映像情報に応じた映像を所定の表示画面に表示するように処理する表示処理手段を備えることを特徴とする位置検出システム。
電子ペンと、前記電子ペンにより指示された位置を検出する位置検出回路を備えた情報処理装置と、前記情報処理装置から映像情報の提供を受けて当該映像情報に応じた映像を表示するように処理する映像表示装置とからなる位置検出システムであって、
前記電子ペンは、
位置検出センサに対して信号を送信する第1の位置指示部と、
制御部と、
凹部の構成とされた第1のコネクタ部と、
前記第1のコネクタ部が形成された筒状部と
外部の電源から前記第1のコネクタ部を通じて充電可能な電源部と、
無線通信部と、
を有する電子ペン本体部と、
前記位置検出センサの入力領域とは異なる所定領域の位置を指示するための第2の位置指示部と、
使用者による操作を受け付ける操作部と、
凸部の構成とされた第2のコネクタ部と、
前記第2のコネクタ部を囲む壁状部と、
を有する拡張部と、
を備え、
前記電子ペン本体部と前記拡張部とは、前記第1のコネクタ部と前記第2のコネクタ部とを通じて着脱可能になっており、
前記第1のコネクタと前記第2のコネクタとが接続されると、前記筒状部と前記壁状部とが嵌合して、前記第1のコネクタと前記第2のコネクタとを覆って保護し、
前記電子ペン本体部と前記拡張部とが接続された時には、前記電子ペン本体部の前記電源部から前記拡張部への電源の供給と、前記電子ペン本体部と前記拡張部との間でのデータの授受とが可能であり、
前記制御部は、前記拡張部の前記操作部が操作された場合には、前記第2の位置指示部からの指示を受け付けて、前記電子ペン本体部の前記無線通信部を通じて送信するように制御し、
前記情報処理装置は、
前記位置検出回路を通じて検出した前記電子ペンによる指示位置に対応する所定の表示画面上の位置に情報を表示するようにした映像情報を形成して前記映像表示装置に供給する表示制御部と、
前記拡張部の前記第2の位置指示部からの指示であって、前記電子ペン本体部の前記無線通信部から送信された信号を受信する受信部と、
前記所定の表示画面に表示するようにされている映像に加えて、前記受信部を通じて受信した信号に基づいて、前記拡張部からの指示に応じた位置指示子を表示するようにした映像情報を形成して前記映像表示装置に供給する位置指示子表示制御部と、
を備え
前記映像表示装置は、
前記情報処理装置からの映像情報を受け付けて、前記映像情報に応じた映像を所定の表示画面に表示するように処理する表示処理手段を備えることを特徴とする位置検出システム。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図を参照しながら、この発明の電子ペン及び位置検出システムの実施の形態について説明する。
【0023】
[第1の実施の形態]
[電子ペン1の外観]
図1は、第1の実施の形態の電子ペン1の外観を説明するための図である。
図1(A)に示すように、この実施の形態の電子ペン1は、電子ペン本体部11と拡張部12とからなる。電子ペン本体部11は、芯体111を備え、電子ペン本体部11内で発振させた信号を芯体111から送信する信号発振型の電子ペン機能を実現するものであり、例えば、静電容量結合方式の位置検出回路に対して用いられるものである。拡張部12は、レーザーポインターとしての機能を実現するものである。
【0024】
図1(B)に示すように、電子ペン本体部11の後端側(芯体111とは反対側の端部)には、コネクタジャック11Jが設けられている。すなわち、
図1(D)に示すように、電子ペン本体部11の後端側には、筒状部11Tが設けられ、この筒状部11Tの中央部分に凹部の構成とされたコネクタジャック11Jが形成されている。そして、コネクタジャック11Jにコネクタプラグが差し込まれた場合にもコネクタジャック11Jが破損などすることがないように、コネクタジャック11Jが形成された筒状部11Tは肉厚になっている。
【0025】
また、
図1(C)に示すように、拡張部12の電子ペン本体部11と対向する側の端部には、コネクタプラグ12Pが設けられている。電子ペン本体部11のコネクタジャック11Jに対して、拡張部12のコネクタプラグ12Pを差し込むことにより嵌合する。すなわち、
図1(E)に示すように、拡張部12の電子ペン本体部11と対向する側の端部には、凸部の構成とされたコネクタプラグ12Pが設けられる。そして、このコネクタプラグ12Pから所定距離開けて、コネクタプラグ12Pの周囲に円状の壁状部12Wが設けられた構成になっている。この壁状部12Wは、
図1(A)、(C)、(E)に示すように、ある程度の厚みを有している。そして、壁状部12Wの外周と、電子ペン本体部11の外周とは一致するようになっている。また、壁状部12Wの内周は、電子ペン本体部11の筒状部11Tの外周よりも若干大きくなっている。
【0026】
このような構成を有しているので、電子ペン本体部11のコネクタジャック11Jに、拡張部12のコネクタプラグ12Pを差し込んで、電子ペン本体部11と拡張部12とを電気的に接続できる。また、
図1(C)、(E)に示したように、拡張部12のコネクタプラグ12Pと壁状部12Wとの間は、電子ペン本体部11の筒状部11Tが嵌まり込む凹部となっている。このため、電子ペン本体部11のコネクタジャック11Jに、拡張部12のコネクタプラグ12Pを差し込むと、電子ペン本体部11の筒状部11Tが、拡張部12のコネクタプラグ12Pと壁状部12Wとの間に嵌まり込む。これにより、更に強固かつ安定に電子ペン本体部11と拡張部12との接続状態が維持できるようにされる。
【0027】
このように、電子ペン本体部11のコネクタジャック11Jと拡張部12のコネクタプラグ12Pとが第1の嵌合部を構成する。また、電子ペン本体部11の筒状部11Tと拡張部12の壁状部12Wとが第2の嵌合部を構成する。従って、電子ペン本体部11と拡張部12とを接続すると、接続された状態の電子ペン本体部11のコネクタジャック11Jと拡張部12のコネクタプラグ12Pの周囲を、電子ペン本体部11の筒状部11Tと拡張部12の壁状部12Wとが覆う構成とされる。
【0028】
図1に示したように、電子ペン本体部11の筒状部11Tと拡張部12の壁状部12Wとは、所定の高さ(電子ペン1の軸心方向に沿う長さ)を有している。このため、電子ペン本体部11の筒状部11Tと拡張部12の壁状部12Wとが、接続された状態の電子ペン本体部11のコネクタジャック11Jと拡張部12のコネクタプラグ12Pとの双方を強固に保護する構成となる。また、電子ペン本体部11と拡張部12とは、第1、第2の2つの嵌合部によって接続されるので、両者の接続状態を強固かつ安定に維持できる。
【0029】
なお、この実施の形態において、電子ペン本体部11のコネクタジャック11Jと拡張部12のコネクタプラグ12Pとは、例えば、USB(Universal Serial Bus)規格のものである。USB規格のコネクタを通じては、データの授受だけでなく、電源の授受もできるようになっている。
【0030】
このように、電子ペン本体部11と拡張部12とは、コネクタジャック(第1のコネクタ部)11Jとコネクタプラグ(第2のコネクタ部)12Pとを通じて着脱可能にされる。すなわち、電子ペン本体部11に対して、拡張部12を容易に取り付けたり(接続したり)、取り外したりできる。そして、電子ペン本体部11と拡張部12とを、コネクタジャック11Jとコネクタプラグ12Pとを通じて接続した場合には、電子ペン本体部11から拡張部12への電源の供給が可能にされる。また、後述もするが、電子ペン本体部11にはバッテリ(二次電池)が搭載され、外部よりコネクタジャック11Jを通じて電源の供給を受けて、当該バッテリーを充電することもできる。
【0031】
また、電子ペン本体部11の側面には、サイドスイッチ用のスイッチ操作部(操作ボタン)115a,116aが設けられている。また、拡張部12の側面には、レーザー光の照射のオン/オフスイッチ用のスイッチ操作部(操作ボタン)123aが設けられている。
【0032】
そして、上述もしたように、電子ペン本体部11のコネクタジャック11Jと拡張部12のコネクタプラグ12Pとを接続すると、これらを電子ペン本体部11の筒状部11Tと拡張部12の壁状部12Wとが覆うようになっている。このため、レーザー光の照射のオン/オフスイッチ操作部123aを押下操作し、電子ペン1の軸心方向に交差する方向の力が電子ペン1にかかっても、電子ペン本体部11のコネクタジャック11Jと拡張部12のコネクタプラグ12Pとは、電子ペン本体部11の筒状部11Tと拡張部12の壁状部12Wとよって強固に保護される。
【0033】
したがって、電子ペン本体部11と拡張部12とが簡単にはずれてしまうこともないし、接続された状態の電子ペン本体部11のコネクタジャック11Jと拡張部12のコネクタプラグ12Pとが破損してしまうといったことも生じない。
【0034】
なお、
図1(B)、(D)に示したように、電子ペン本体部11の筒状部11Tの側壁(側面)には、突起Pj1、Pj2、Pj3が設けられている。また、
図1(C)、(E)に示すように、拡張部12の壁状部12Wの内壁(内面)には、筒状部11Tの突起Pj1、Pj2、Pj3の位置に合致する位置に、突起Pj1、Pj2、Pj3に合致する溝Gr1、Gr2、Gr3が設けられている。
【0035】
これら、筒状部11Tの突起Pj1、Pj2、Pj3と壁状部の溝Gr1、Gr2、Gr3は、電子ペン本体部11と拡張部12とを接続する場合の双方の位置を規制することができる。筒状部11Tの突起Pj1、Pj2、Pj3と壁状部の溝Gr1、Gr2、Gr3とにより、電子ペン本体部11と拡張部12とは、常に決まった位置でのみ接続することができる。これにより、コネクタジャック11Jとコネクタプラグ12Pとを逆方向から無理に接続して破損させてしまうこともないようにしている。
【0036】
さらに、筒状部11Tの突起Pj1、Pj2、Pj3と壁状部12Wの溝Gr1、Gr2、Gr3とが嵌合することにより、電子ペン本体部11と拡張部12とが軸心を中止にして異なる方向に回転してしまうことを防止する。すなわち、筒状部11Tの突起Pj1、Pj2、Pj3と壁状部の溝Gr1、Gr2、Gr3とは第3の嵌合部を構成する。この第3の嵌合部の機能により、電子ペン本体部11と拡張部12に対して、軸心を中心にして異なる方向に回転するような外部からの力が加えられた場合に、これを接続されたコネクタジャック11Jとコネクタプラグ12Pとにストレスして伝わることを防止し、コネクタジャック11Jとコネクタプラグ12Pとがねじれて破損や故障の原因にならないようにしている。
【0037】
このように、この実施の形態の電子ペン1において、電子ペン1の電子ペン本体部11と拡張部12との接続部分には、第1の嵌合部と、第2の嵌合部と、第3の嵌合部との3つの嵌合部が構成される態様となっている。これにより、電子ペン1の電子ペン本体部11と拡張部12とを、強固かつ安定に接続し、しかも破損等の障害を生じさることも無いようにしている。
【0038】
なお、この実施の形態では、筒状部11Tに3つの突起Pj1、Pj2、Pj3を設け、壁状部12Wに3つの溝Gr1、Gr2、Gr3を設けるようにしたが、これに限るものではない。筒状部11Tと壁状部12Wとに、相互に対応する1つ以上の突起と溝を設けるようにすればよい。
【0039】
[電子ペン1の使用態様]
図2は、この実施の形態の電子ペン1の使用態様を説明するための図である。
図2において、PC(Personal Computer)2は、静電結合方式のタッチパネル2TPが搭載されたものである。プロジェクタ3は、PC2から映像データの供給を受けて、この映像データに応じた映像をスクリーン4に投影する。したがって、PC2のタッチパネル2TPに対して電子ペン1の電子ペン本体部11の芯体111を接触させて移動させることにより、PC2に対して、図、絵、文字、記号などの情報を入力できる。そして、PC2に入力した図、絵、文字、記号などの情報を、映像データとしてプロジェクタ3に供給することにより、この映像データに応じて映像を、プロジェクタ3を通じてスクリーン4に投影できる。
【0040】
そして、スクリーン4に投影された映像の所定の位置を指し示したいとする。この場合、
図2において矢印MK1が示すように、電子ペン1をPC2のタッチパネル2TPから離し、芯体111とは反対側に位置する拡張部12をスクリーン4に向ける。そして、スイッチ操作部123aを押下操作すると、スクリーン4に向けて拡張部12からレーザー光LZが照射される。これにより、拡張部12から照射されたレーザー光LZによってスクリーン4上の位置Pを指し示すことができる。拡張部12の向きを変えることにより、拡張部12から照射されるレーザー光LZによって、スクリーン4の任意の位置を指し示すことができる。
【0041】
このようにして、電子ペン1を用いることにより、電子ペン機能によるPC2への情報の入力と、スクリーン4上に表示された映像の所定位置をレーザー光LZによって指し示す操作とをシームレスに行うことができる。これにより、会議、ミーティングなどでの説明を分かり易いものとし、会議やミーティングの効果を増大させることができる。
【0042】
このように、この実施の形態の電子ペン1は、電子ペン本体部11に対して拡張部12を接続することにより、電子ペン機能とレーザーポインター機能とを備えるようにしたものである。
【0043】
[電子ペン1の構成例]
図3は、第1の実施の形態の電子ペン1の構成例を説明するためのブロック図である。上述もしたように、電子ペン本体部11の後端部に設けられているコネクタジャック11Jに対して、拡張部12のコネクタプラグ12Pを差し込むことにより両者を接続し、電子ペン機能とレーザーポインター機能とを備えた電子ペン1が構成される。この場合、電子ペン本体部11の筒状部11Tと拡張部12の壁状部12Wとが嵌合し、電子ペン本体部11と拡張部12との接続をより強固にすると共に、コネクタジャック11Jとコネクタプラグ12Pとについても強固に保護できるようになっている。
【0044】
まず、拡張部12について説明する。拡張部12は、
図3に示すように、半導体レーザー121と、電源スイッチ122と、スイッチ回路123と、スイッチ操作部123aとを備える。半導体レーザー121は、半導体に電流を流してレーザー発振させる素子であり、発光の仕組みはLED(Light Emitting Diode)と同じである。電源スイッチ122は、後述する電子ペン本体部11から供給される電源の半導体レーザー121への供給/非供給を切り替えるものである。
【0045】
スイッチ回路123は、スイッチ操作部123aが使用者により押下操作されているときには、オン信号を電源スイッチ122に供給する。なお、スイッチ回路123は、スイッチ操作部123aが使用者により押下操作されていないときには、オン信号を電源スイッチ122に供給しない。これにより、スイッチ操作部123aが使用者に押下操作されているときだけ、電源スイッチ122がオン状態にされ、電子ペン本体部11からの電源が半導体レーザー121に供給されてレーザー光の照射を行うことができるようにされる。
【0046】
なお、ここでは、電源スイッチ122を電気的にオン/オフするものとして説明したが、これに限るものではない。例えば、スイッチ操作部123aの押下操作に応じて、機械的に電源スイッチ122のオン/オフを切り替える構成にすることももちろんできる。
【0047】
次に、電子ペン本体部11について説明する。電子ペン本体部11は、
図3に示すように、芯体111と、筆圧検出ユニット112と、制御回路113と、発振器114と、サイドスイッチ115,116と、バッテリー117と、充電/給電回路118とを備える。スイッチ操作部115a,116aは、サイドスイッチ115,116に対する操作ボタンである。サイドスイッチ115,116及びスイッチ操作部115a,116aは、例えば、ポインティングデバイスとしてのいわゆるマウスの左クリックボタン,右クリックボタンに対応する機能を実現するためのものである。また、バッテリー117は、蓄電素子を備えた二次電池であり、充電/給電回路118は、制御回路113の制御の下、外部からの電源の供給を受けてバッテリー117を充電したり、バッテリー117からの電源を各部に供給したりする。
【0048】
芯体111は導電性材料により棒状に形成されたものであり、一方の端部部分が電子ペン本体部11の筐体(ケース)から突出してペン先を構成し、他方の端部部分が筆圧検出ユニット112に装着されることにより、電子ペン本体部11に取り付けられる。これにより、芯体111のペン先に筆圧がかけられると、芯体111が筆圧検出ユニット112を押圧する構成になっている。筆圧検出ユニット112は、芯体111により押圧される機械的な可動部により静電容量を変えることができる可変容量コンデンサが搭載されて構成される。
【0049】
すなわち、筆圧検出ユニット112に搭載された可変容量コンデンサの静電容量が、芯体111にかけられる筆圧(押圧力)に応じて変化する構成になっている。このため、当該可変容量コンデンサの静電容量を制御回路113に供給することにより、制御回路113は、当該静電容量に応じて芯体111にかけられている筆圧の検出(検知)が可能となる。
【0050】
なお、筆圧検出ユニット112に搭載される可変容量コンデンサを半導体デバイスからなるMEMS(Micro Electro Mechanical System)チップとして構成したものを用いるようにしてもよい。また、筆圧検出ユニット112に搭載される感圧用部品である可変容量コンデンサに替えて、押圧力に応じてインダクタンス値や抵抗値を変えることができる感圧用部品を用いるようにしてもよい。
【0051】
制御回路113は、電子ペン本体部11から送信する位置指示信号に関する制御や拡張部12への電源の供給に関する制御などを行う。
図3に示すように、制御回路113には、筆圧検出ユニット112、発振器114、サイドスイッチ115,116、充電/給電回路118及び、コネクタジャック11Jのデータ端子が接続されている。また、制御回路113からの信号線が芯体111に接続されている。そして、制御回路113は、発振器114からの信号に応じた信号を位置指示信号として芯体111に供給し、芯体111を通じて位置検出回路に対して送信するように制御する。
【0052】
また、制御回路113は、筆圧検出ユニット112の可変容量コンデンサからの静電容量に応じて筆圧を検出し、この筆圧に応じて芯体111に供給する位置指示信号の例えば周波数(位相)を変化させる。これにより、位置検出回路側において、この実施の形態の電子ペン1からの位置指示信号の周波数(位相)に応じて、指示位置だけでなく筆圧も検出(検知)できるようにしている。
【0053】
また、サイドスイッチ115,116のスイッチ操作部115a,116aが操作されると、対応するサイドスイッチ115,116から操作されたことを示す信号(オン信号)が制御回路113に供給される。このため、制御回路113は、サイドスイッチ115,116からオン信号が供給されると、操作されたサイドスイッチ115,116に応じて、芯体111に供給する位置指示信号の例えば周波数(位相)を変化させる。これにより、位置検出回路側において、この実施の形態の電子ペン1からの位置指示信号の周波数(位相)に応じて、サイドスイッチ115,116のスイッチ操作部115a,116aが操作されたことも把握できるようにしている。このように制御回路113は、位置指示信号に関する種々の制御を行う。
【0054】
さらに、制御回路113は、コネクタジャック11Jに対して合致するコネクタプラグが差し込まれたときには、接続先からの信号により接続先がどのような機器かを認識できる。このため、制御回路113は、接続先が例えば商用電源に接続されたコネクタプラグであると認識した場合には、充電/給電回路118を充電モードに切り替えるように制御する。これにより、外部から供給される電源が、充電/給電回路118を介してバッテリー117に供給され、バッテリー117が充電される。
【0055】
また、制御回路113は、接続先からの信号により、当該接続先がレーザーポインター機能を実現する拡張部12であると認識した場合には、充電/給電回路118を給電モードに切り替えるように制御する。これにより、バッテリー117からの電源が、拡張部12ン供給するようにされる。但し、制御回路113は、筆圧検出ユニット112からの静電容量に応じて筆圧が検出できている場合には、電子ペン本体部11が利用されている状態であるので、バッテリー117からの電源を拡張部12に供給しないように、充電/給電回路118を制御する。これにより、電子ペン本体部11の利用時に、誤ってレーザー光を照射してしまうといった不都合を回避できる。
【0056】
また、制御回路113は、充電/給電回路118を通じてバッテリー117の電圧を監視できる。このため、例えば、所定時間の間、電子ペン本体部11の電子ペン機能を維持可能なバッテリー117の電圧値を閾値として特定し、制御回路113のメモリに記憶しておく。そして、制御回路113は、監視しているバッテリー117の電圧が、メモリに記憶されている当該閾値以下の場合には、バッテリー117からの電源を拡張部12に供給しないように、充電/給電回路118を制御する。これにより、バッテリー117の電源不足により電子ペン本体部11の電子ペン機能を維持できなくなる不都合をできる限り回避するようにできる。
【0057】
また、制御回路113は、コネクタジャック11Jを介して何も接続されていない場合には、コネクタジャック11Jを通じての外部への電源供給を行わないように、充電/給電回路118を制御できる。このように、電子ペン本体部11の制御回路113は、コネクタジャック11Jを通じて接続された拡張部12への電源の供給制御を適切に行うことができる。
【0058】
このように、電子ペン1は、電子ペン本体部11の電子ペン機能が用いられている場合やバッテリー117の電圧値から電子ペン本体部11の電子ペン機能が利用できなくなる可能性が高くなってきた場合には、拡張部12への電源の供給を行わない。これにより、電子ペン1は、電子ペン機能が動作可能な状態をできるだけ維持しつつ、消費電力の比較的に大きなレーザーポインター機能をも十分に利用できるようにしている。
【0059】
[静電容量結合方式の位置検出回路の概要]
次に、この実施の形態の電子ペン1と共に用いられる位置検出回路の構成例について説明する。
図4は、この実施の形態の電子ペン1の電子ペン本体部11からの信号を受け、センサ上の位置を検出すると共に、筆圧やサイドスイッチの状態を検出する静電容量結合方式の座標検出センサが用いられた位置検出回路300を説明するためのブロック図である。
【0060】
この例の位置検出回路300は、
図4に示すように、静電容量結合方式の座標検出センサ(以下、センサと略称する)310と、このセンサ310に接続されるペン検出回路320とからなる。センサ310は、この例では、断面図は省略するが、下層側から順に、第1の導体群311、絶縁層(図示は省略)、第2の導体群312を積層して形成されたものである。第1の導体群311は、例えば、横方向(X軸方向)に延在した複数の第1の導体311Y1、311Y2、…、311Ym(mは正の整数)を互いに所定間隔離して並列に、Y軸方向に配置したものである。また、第2の導体群312は、第1の導体群311と直交する縦方向(Y軸方向)に延在し互いに所定間隔離して並列に、X軸方向に配置したものである。
【0061】
このように、位置検出回路300のセンサ310では、第1の導体群311と第2の導体群312を交差させて形成したセンサパターンを用いて、電子ペンが指示する位置を検出する構成を備えている。なお、以下の説明において、第1の導体311Y1、311Y2、…、311Ymについて、それぞれの導体を区別する必要がないときには、その導体を、第1の導体211Yと称する。同様に、第2の導体312X1、312X2、…、312Xnについて、それぞれの導体を区別する必要がないときには、その導体を、第2の導体312Xと称することとする。
【0062】
ペン検出回路320は、センサ310との入出力インターフェースとされる選択回路321と、増幅回路322と、バンドパスフィルタ323と、検波回路324と、サンプルホールド回路325と、AD(Analog to Digital)変換回路326と、制御回路327とからなる。
【0063】
選択回路321は、制御回路327からの制御信号に基づいて、第1の導体群311および第2の導体群312の中から1本の導体311Yまたは312Xを選択する。選択回路321により選択された導体は増幅回路322に接続され、電子ペン本体部11からの信号が、選択された導体により検出されて増幅回路322により増幅される。この増幅回路322の出力はバンドパスフィルタ323に供給されて、電子ペン本体部11から送信される信号の周波数の成分のみが抽出される。
【0064】
バンドパスフィルタ323の出力信号は検波回路324によって検波される。この検波回路324の出力信号はサンプルホールド回路325に供給されて、制御回路327からのサンプリング信号により、所定のタイミングでサンプルホールドされた後、AD変換回路326によってデジタル値に変換される。AD変換回路326からのデジタルデータは制御回路327によって読み取られ、処理される。
【0065】
制御回路327は、内部のROMに格納されたプログラムによって、サンプルホールド回路325、AD変換回路326、および選択回路321に、それぞれ制御信号を送出するように動作する。そして、制御回路327は、AD変換回路326からのデジタルデータから、電子ペン本体部11によって指示されたセンサ310上の位置座標を算出する。さらに、制御回路327は、電子ペン本体部11の筆圧検出ユニット112を通じて検出された筆圧と、電子ペン本体部11のサイドスイッチ115,116の状態を検出する。
【0066】
なお、
図2に示したPC2において、タッチパネル2TPは、位置検出回路300のセンサ310と、LCDとが積層配置(重畳配置)されることにより形成される。したがって、センサ310の入力領域とLCDの表示領域とは一致している。
【0067】
[制御回路113による拡張部12への電源の供給制御の例]
図5は、電子ペン本体部11の制御回路113の機能により行われる拡張部12への電源の供給制御の例について説明するためのフローチャートである。
図5のフローチャートに示す処理は、電子ペン1が電源オンの状態にあるときに実行され、電源オフの状態にされたときには終了する。なお、電源のオン/オフは、例えば、サイドスイッチ115のスイッチ操作部115aの長押し操作などの所定の操作により切り替えることができる。もちろん、電子ペン本体部11に電源のオン/オフスイッチを設け、これにより電源のオン/オフを行うようにしてもよい。
【0068】
そして、電子ペン本体部11の電源がオンにされると、電子ペン本体部11の制御回路113は、まず、筆圧検出ユニット112を通じて筆圧が検出されているか否かを判別する(ステップS101)。ステップS101の判別処理において、筆圧は検出されていないと判別したとする。この場合、電子ペン本体部11は使用されていない状態にあるので、制御回路113は、充電/給電回路118を通じて監視しているバッテリー117の電圧が閾値より高いか否かを判別する(ステップS102)。
【0069】
ステップS102の判別処理において、バッテリー117の電圧が閾値よりも高い(電圧OKである)と判別したとする。この場合には、拡張部12への電源の供給が可能な状態であるので、制御回路113は、コネクタジャック11Jを通じて拡張部12が接続されているか否かを判別する(ステップS103)。ステップS103の判別処理において、拡張部12が接続されていると判別したときには、既にバッテリー117から電源を拡張部12に供給中か否かを判別する(ステップS104)。
【0070】
ステップS104の判別処理において、バッテリー117から電源を拡張部12に供給してないと判別したとする。この場合、制御回路113は、充電/給電回路118を制御して、バッテリー117から拡張部12へ電源の供給を開始する(ステップS105)。なお、ステップS105の給電開始処理の後と、ステップS104の判別処理において、バッテリー117から電源を拡張部12に供給していると判別した場合においては、ステップS106の判別処理に進む。
【0071】
この場合、制御回路113は、電子ペン本体部11の電源がオフにされたか否かを判別する(ステップS106)。ステップS106の判別処理において、電源はオフにされていないと判別したときには、ステップS101からの処理を繰り返す。また、ステップS106の判別処理において、電源はオフにされたと判別したときには、充電/給電回路118を制御し、バッテリー117から各部への電源の供給を停止するなどの所定の終了処理を行って(ステップS107)、この
図5に示す処理を終了する。
【0072】
一方、ステップS101の判別処理において筆圧が検出されていると判別した場合と、ステップS102の判別処理においてバッテリー117の電圧が閾値より大きくない(閾値以下である)と判別した場合と、ステップS103の判別処理において拡張部12は接続されていないと判別した場合とにおいては、ステップS108の判別処理に進む。
【0073】
この場合、制御回路113は、既にバッテリー117から電源を拡張部12に供給中か否かを判別する(ステップS108)。ステップS108の判別処理において、バッテリー117から電源を拡張部12に供給していると判別したとする。この場合、制御回路113は、充電/給電回路118を制御し、バッテリー117から拡張部12へ電源の供給を停止する(ステップS109)。
【0074】
ステップS109の給電停止処理の後と、ステップS108の判別処理において、バッテリー117から電源を拡張部12に供給していないと判別した場合においては、ステップS106の判別処理に進む。そして、上述もしたように、電子ペン本体部11の電源がオフにされたか否かを判別する(ステップS106)。ステップS106の判別処理において、オフにされていないと判別したときにはステップS101からの処理を繰り返し、オフにされたと判別したときには、終了処理を行って(ステップS107)、この
図5の処理を終了する。
【0075】
このようにして、電子ペン本体部11の制御回路113は、コネクタジャック11Jを通じて接続された拡張部12に対する電源の供給制御を適切に行う。これにより、例えば、不必要な時にレーザーポインター機能を機能させたり、レーザーポインター機能を使い過ぎたりして、バッテリーを必要以上に消耗させ、必要なときに電子ペン機能が使えなくなってしまうといった不都合を防止できる。すなわち、電子ペン本体部11の電子ペン機能と拡張部12のレーザーポインター機能とを適切に利用することができる。
【0076】
しかも、重量の重いバッテリー117は、電子ペン本体部11側に搭載されているので、いわゆる電子ペン本体部11の低重心化を実現し、電子ペン機能の使い勝手を悪くすることもない。また、電子ペン本体部11と拡張部12とで別々に電源の管理を行うこともない。
【0077】
[第1の実施の形態の変形例]
なお、上述した第1の実施の形態の電子ペン1の場合には、拡張部12に電源スイッチ122を設けるようにしたが、これに限るものではない。拡張部12に電源スイッチ122を設けず、スイッチ回路123からのオン信号を、コネクタプラグ12P及びコネクタジャック11Jを通じて電子ペン本体部11の制御回路113に供給する。そして、制御回路113は、筆圧は検出しておらず、バッテリー117の電圧も閾値よりも大きく、かつ、拡張部12のスイッチ回路123からオン信号が供給されている場合にのみ、充電/給電回路118を制御して、拡張部12に電源を供給するように制御してもよい。
【0078】
したがって、拡張部12のスイッチ回路123からオン信号が供給されている場合であっても、筆圧が検出されている場合やバッテリー117の電圧が閾値以下の場合には、バッテリー117から拡張部12へ電源を供給しないようにする。これにより、不必要な場合にレーザー光が照射されることを防止し、電源の無駄な消費を防止できる。
【0079】
また、電子ペン本体部11側に、拡張部12への電源の供給のオン/オフをするスイッチ回路を設け、これを拡張部12のスイッチ回路123からのオン信号の有無によって、オン/オフする構成とすることもできる。
【0080】
また、上述した第1の実施の形態の電子ペン1では、例えば、所定時間の間、電子ペン本体部11の電子ペン機能を維持可能なバッテリー117の電圧値を閾値として特定する。そして、制御回路113の制御機能により、バッテリー117の電圧値が当該閾値以下になった場合には、拡張部12への電源の供給を行わないようにした。しかし、これに限るものではない。
【0081】
例えば、電子ペン本体部11の電子ペン機能を動作させる場合に必要な電圧がE1であるとする。また、拡張部12の半導体レーザー121を動作させるために必要な電圧がE2であるとする。通常、電子ペン機能を動作させるために必要な電圧E1よりも、半導体レーザー121を動作させるために必要な電圧E2の方が高い。
【0082】
そこで、バッテリー117の電圧Ebが、電子ペン機能を動作させるために必要な電圧E1よりも高く、半導体レーザー121を動作させるために必要な電圧E2よりも低い場合(E1<Eb<E2)には、拡張部12への電源の供給を行わないようにする。このようにすることにより、半導体レーザー121を駆動するために必要な電圧がバッテリー117に確保できていない場合には、拡張部12への電源の供給を停止することができる。これにより、電力の無駄な消費を回避して、電子ペン機能が機能できる状態を維持することができる。
【0083】
また、拡張部12への電源の供給制御のために、電圧を基準にする場合を例にして説明したが、これに限るものではない。例えば、充電/給電回路118において、所定の抵抗に流れる電流値を測定し、この電流値に基づいて拡張部12に電源の供給を行うか、電源の供給を停止するかを制御するようしてもよい。また、バッテリー117の電圧値やバッテリー117が所定の抵抗に流せる電流値に基づいて、バッテリー117の残量を求めるようにする。そして、この求めたバッテリー残量に基づいて、拡張部12に電源の供給を行うか、電源の供給を停止するかを制御するようしてもよい。
【0084】
要は、電子ペン機能を動作させるために必要な電源と、拡張部12の拡張機能を動作させるために必要な電源と、バッテリー117が供給可能な電源とに基づいて、拡張部12に電源の供給を行うか、電源の供給を停止するかを制御するようにすればよい。
【0085】
[第2の実施の形態]
[第2の実施の形態の概要]
次に、第2の実施の形態の電子ペン1Aと、電子ペン1AとPC(Personal Computer)とにより構成される位置検出システムの実施の形態について説明する。第2の実施の形態の電子ペン1Aもまた、
図1を用いて説明した第1の実施の形態の電子ペン1と同様に、電子ペン本体部11Aと拡張部12Aとからなるものである。そして、第1の実施の形態の電子ペン1の場合と同様に、電子ペン本体部11Aにはコネクタジャック11Jが設けられ、拡張部12Aにはコネクタプラグ12Pが設けられることにより、これらを通じて相互に接続可能になっている。
【0086】
すなわち、第2の実施の形態の電子ペン1Aの場合にも、電子ペン本体部11Aと拡張部12Aとの接続部分の構成は、
図1に示した第1の実施の形態の電子ペン1と同様の構成とされる。したがって、電子ペン本体部11Aと拡張部12Aとを接続すると、内側から順に拡張部12Aのコネクタプラグ12P、電子ペン本体部11Aのコネクタジャック11J、電子ペン本体部11Aの筒状部11T、拡張部12Aの壁状部12Wが嵌合して両者を接続する。
【0087】
この場合、接続された状態の電子ペン本体部11Aのコネクタジャック11Jと拡張部12Aのコネクタプラグ12Pの周囲を、電子ペン本体部11Aの筒状部11Tと拡張部12Aの壁状部12Wとが覆う構成とされる。
図1に示したように、電子ペン本体部11Aの筒状部11Tと拡張部12Aの壁状部12Wとは、所定の高さ(電子ペン1の軸心方向に沿う長さ)を有しているので、接続された状態の電子ペン本体部11Aのコネクタジャック11Jと拡張部12Aのコネクタプラグ12Pとの双方を強固に保護することができる。
【0088】
そして、第2の実施の形態の電子ペン1Aの拡張部12Aには、ジャイロセンサが搭載され、いわゆるエアーマウス機能を実現している。すなわち、第2の実施の形態の電子ペン1Aは、電子ペン機能を実現する電子ペン本体部11Aと、エアーマウス機能を実現する拡張部12Aとで構成されるものである。
【0089】
[電子ペン1Aの使用態様]
図6は、第2の実施の形態の電子ペン1Aの使用態様を説明するための図である。
図6において、PC(Personal Computer)2Aは、静電結合方式のタッチパネル23が搭載されたものである。プロジェクタ(映像表示装置)3は、PC2Aから映像データの供給を受けて、この映像データに応じた映像をスクリーン4に投影する。そして、上述した第1の実施の形態の場合と同様に、PC2Aのタッチパネル23に対して電子ペン1Aの電子ペン本体部11Aの芯体111を接触させて移動させることにより、PC2Aに対して、図、絵、文字、記号などの情報を入力できる。そして、PC2Aに入力した図、絵、文字、記号などの情報を、映像データとしてプロジェクタ3に供給することにより、この映像データに応じた映像を、プロジェクタ3を通じてスクリーン4に投影できる。
【0090】
このように、この第2の実施の形態の場合には、電子ペン1AとPC2Aとプロジェクタ3とによって位置検出システムが構成される。そして、この位置検出システムの場合には、スクリーン4に投影された映像中に表示される例えば矢印形状とされた位置指示子であるポインターPTの表示位置を移動させることにより、スクリーン4に投影された映像の所定の位置を指し示すことができるようにしている。このポインターPTの表示位置を移動させるために、拡張部12Aのエアーマウス機能が用いられる。すなわち、
図6に示すように、電子ペン1Aを用い、PC2Aのタッチパネル23を通じて情報を入力し、電子ペン1Aの芯体をタッチパネル23から離すと、その直前まで電子ペン1Aの芯体が接触していたタッチパネル23上の位置Pを指し示すようにしてポインターPTが表示される。
【0091】
この場合に、ポインターPTを移動させるには、
図6において矢印MK2が示すように、電子ペン1Aの芯体111をPC2Aのタッチパネル23から離し、芯体111とは反対側に位置する拡張部12Aをスクリーン4に向ける。そして、スイッチ操作部126aを押下操作しながら、電子ペン1Aの周囲に示した矢印のように、ポインターPTを移動させたい方向に、拡張部12Aの向きを変える。すなわち、ポインターPTを現在の表示位置よりも上に移動させたいときには、電子ペン1Aの拡張部12Aを振り上げるようにして向きを変える。これにより、詳しくは後述するが、拡張部12Aに搭載されたジャイロセンサから角速度データが出力され、電子ペン本体部11Aに搭載されている無線通信部を通じてPC2Aに送信される。
【0092】
この実施の形態において、角速度データは、回転方向、回転角度、回転時間からなるデータである。すなわち、角速度データは、拡張部12Aが、どちらの方向に、どの位の角度分、どの位の時間で、回転移動したかを示すものである。PC2Aは、電子ペン本体部11Aからの角速度データ受信できるものであり、受信した角速度データに応じて、ポインターPTをどちらの方向にどれだけ移動させるのかを算出し、これに応じてポインターPTの表示位置を変更する。これにより、ポインターPTの表示位置を移動させて、スクリーン4上の目的とする位置Pを指し示すことができるようにされる。
【0093】
なお、ここでは、ポインターPTを現在の表示位置よりも上に移動させるため、電子ペン1Aの拡張部12Aを振り上げるように向きを変えるものとして説明した。しかし、ポインターPTを移動させたい方向に、電子ペン1Aの拡張部12Aを、向きを変えるように振る動作を行うことで、移動させたい方向にポインターPTを移動させることができる。すなわち、ポインターPTの表示位置は、使用者の意図する方向に移動させることができ、移動量も電子ペン1Aの拡張部12Aを、向きを変えるように振るようにした場合の角速度(どの位の角度をどの位の時間で移動させたか)に応じ変えることができる。
【0094】
このようにして、電子ペン1Aを用いることにより、PC2Aへの情報の入力と、スクリーン4上に表示されたポインターPTの表示位置を移動させる操作とをシームレスに行うことができる。これにより、会議、ミーティングなどでの説明を分かり易いものとし、会議やミーティングの効果を増大させることができる。このように、この実施の形態の電子ペン1Aは、電子ペン本体部11Aに対して拡張部12Aを接続することにより、電子ペン機能といわゆるエアーマウス機能とを備えるようにしたものである。
【0095】
[電子ペン1Aの構成例]
図7は、第2の実施の形態の電子ペン1Aの構成例を説明するためのブロック図である。第2の実施の形態の電子ペン1Aは、上述した第1の実施の形態の電子ペン1の場合と同様に、電子ペン本体部11Aと拡張部12Aとの大きく2つの部分からなる。そして、電子ペン本体部11Aは、第1の実施の形態の電子ペン1の電子ペン本体部11と同様に、主に電子ペン機能を実現するものである。しかし、第2の実施の形態の拡張部12Aは、いわゆるエアーマウス機能を実現するための構成を備えるものである。
【0096】
このため、
図7に示した第2の実施の形態の電子ペン1Aにおいて、
図3を用いて説明した第1の実施の形態の電子ペン1と同様に構成される部分には同じ参照符号を付し、その部分について詳細な説明については重複するので省略する。そして、
図7に示す第2の実施の形態の電子ペン1Aについては、
図3を用いて説明した第1の実施の形態の電子ペン1とは異なる構成部分を中心に説明する。
【0097】
図7に示すように、電子ペン本体部11Aの後端部に設けられているコネクタジャック11Jに対して、拡張部12Aのコネクタプラグ12Pを差し込むことにより両者を接続し、第2の実施の形態の電子ペン1Aが構成される。まず、拡張部12Aについて説明する。拡張部12Aは、
図7に示すように、ジャイロセンサ125と、スイッチ回路126と、スイッチ操作部126aとを備える。
【0098】
ジャイロセンサ125は、回転角速度の測定を実現する慣性センサの一種であり、これが搭載された拡張部12Aの角度が単位時間当たりどれだけ変化しているかを検出できるものである。より具体的に、ジャイロセンサ125は、3軸のジャイロセンサ(角速度センサ)であり、上述もしたように、拡張部12Aが、どちらの方向に、どの位の角度を、どの位の時間で、回転移動したかを示す角速度データを出力する。
【0099】
スイッチ回路126は、いわゆる2段押しスイッチの構成とされ、半押ししたとき(軽く押したとき)には、ジャイロセンサのオン/オフ信号を出力し、本押ししたとき(強く押したとき)には、位置の決定信号を出力する。スイッチ回路126からのジャイロセンサのオン/オフ信号および位置の決定信号は、コネクタプラグ12P及びコネクタジャック11Jを通じて電子ペン本体部11Aの制御回路113に供給される。
【0100】
これにより、スイッチ操作部126aが使用者により半押しされたときには、電子ペン本体部11Aの制御回路113は、ジャイロセンサ125のオン/オフを制御する。そして、ジャイロセンサ125がオンにされて動作している状態にある時に、ジャイロセンサ125からの角速度データを受信して、これをPC2Aに送信できる。また、スイッチ操作部126aが使用者により本押しされたときには、電子ペン本体部11Aの制御回路113は、位置の決定信号をPC2Aに送信し、その直前にジャイロセンサ125から受信した角速度データにより特定される位置を、使用者により指示された位置として特定するようにできる。
【0101】
以上の操作を、
図6における位置検出システム上の動作として説明をする。スイッチ操作部126aが半押しされているとき拡張部12Aの移動方向に従ってジャイロセンサ125からの角速度データによりポインターPTがスクリーン4上を動く。これにより、ポインターPTをスクリーン上の任意の対象物(オブジェクト)上に位置させる。更に、本押しされた時、位置の決定信号をPC2Aに送信することで、ポインターPTの指示している対象物(オブジェクト)を選択・決定するという動作となる。
【0102】
なお、2段押しのスイッチに限ることなく、例えば、ジャイロセンサ125のオン/オフスイッチと、位置の決定用のスイッチとの2つのスイッチを設け、これを使い分けるようにしてもよい。すなわち、ジャイロセンサ125のオン/オフスイッチにより、ジャイロセンサ125のオン(動作)/オフ(非動作)を制御する。そして、ジャイロセンサが動作状態にあるときだけ、位置の決定用のスイッチの操作を有効にして、決定を行えるようにすることもできる。
【0103】
また、スイッチ操作部126aが使用者により継続して押下操作されているときだけ、ジャイロセンサ125を動作させ、スイッチ操作部126aが使用者により押下操作されていないときには、ジャイロセンサ125を停止させるように制御することも可能である。この場合、スイッチ操作部126aが使用者により押下操作されている状態から押下操作されなくなった時点において、ポインターPTが指し示す位置の決定時点となる。
【0104】
次に、電子ペン本体部11Aについて説明する。
図7に示すように、第2の実施の形態の電子ペン本体部11Aは、無線通信部119及びアンテナ119Aが設けられている点が、
図3に示した第1の実施の形態の電子ペン本体部11とは異なっている。無線通信部119及びアンテナ119Aは、この実施の形態では、デジタル機器用近距離無線通信の規格のひとつである「Bluetooth(登録商標)」規格の無線通信機能を実現する。
【0105】
また、
図7に示すように、電子ペン本体部11Aの制御回路113には、拡張部12Aのスイッチ回路126が接続され、スイッチ回路126からのオン信号が制御回路113に供給されるようになっている。また、電子ペン本体部11Aの制御回路113には、拡張部12Aのジャイロセンサ125が接続され、相互にデータの授受が可能になっている。また、電子ペン本体部11Aの充電/給電回路118と、拡張部12Aのジャイロセンサとが接続され、電子ペン本体部11Aのバッテリー117から拡張部12Aのジャイロセンサ125に対して電源の供給ができるようになっている。
【0106】
そして、電子ペン本体部11Aの制御回路113は、スイッチ回路126のスイッチ操作部126aが半押しされた場合にジャイロセンサ125のオン/オフ制御を行う。すなわち、スイッチ回路126のスイッチ操作部126aが半押しされたら、ジャイロセンサ125が非動作であればオンにして動作状態にし、ジャイロセンサ125が動作状態であればオフにして非動作状態にする。
【0107】
また、電子ペン本体部11Aの制御回路113は、ジャイロセンサ125が動作状態にあるときには、ジャイロセンサ125からの角速度データを受け付ける。そして、制御回路113は、受け付けた角速度データを、無線通信部119及びアンテナ119Aを介して、PC2Aに無線送信するようにしている。これにより、拡張部12Aを振る操作に応じた角速度データが、PC2Aに送信され、
図6を用いて説明したように、スクリーン4上に表示されたポインターPTの表示位置を変えることができる。
【0108】
そして、電子ペン本体部11Aの制御回路113は、ジャイロセンサ125が動作状態にある時、スイッチ回路126のスイッチ操作部126aが本押しされた場合には、決定信号をPC2Aに送信する。これにより、PC2Aにおいて、その直前にジャイロセンサ125から受信した角速度データにより特定される位置を、使用者により指示された位置として特定できるようにする。
【0109】
なお、第2の実施の形態の電子ペン1Aにおいても、第1の実施の形態の電子ペン1の場合と同様にして、電子ペン本体部11Aのバッテリー117から拡張部12Aに対する電源の供給制御を行うことができる。
【0110】
[電子ペン1Aと共に位置検出システムを構成する機器]
図8は、電子ペン1Aと共に、位置検出システムを構成するPC2Aと、プロジェクタ3の構成例について説明するためのブロック図である。PC2Aは、電子ペン1Aの電子ペン本体部11Aの電子ペン機能を用いた位置指示入力と、電子ペン1Aの拡張部12Aのエアーマウス機能を用いた位置指示入力とを受け付けることができるものである。そして、
図8に示すように、PC2Aは、制御回路21と、表示コントローラ22と、タッチパネル23と、無線通信部24と、アンテナ24Aとを備える。
【0111】
制御回路21は、PC2Aの各部を制御するものである。表示コントローラ22は、制御回路21の制御に基づいて、映像を表示部400に表示したり、また、表示部400に表示させる映像と同じ映像を表示させるための映像データをプロジェクタ3に出力したりする。タッチパネル23は、PC2Aの1つの入力デバイスを実現するものであり、位置検出回路300と表示部400とが積層されて(重畳配置されて)構成される。
【0112】
そして、使用者は、表示部400の画面上の表示を押す(タッチする)ことで情報を入力したり、表示部400の画面上に電子ペン1Aの芯体111を接触させて、これを移動することにより、文字、図形、記号、絵などの情報(軌跡)を入力したりできる。なお、位置検出回路300は、例えば、
図4を用いて説明した構成のものであり、センサ310を備えるものである。また、表示部400は、この実施の形態では、LCD(Liquid Crystal Display)である。
【0113】
この第2の実施の形態においても、位置検出回路300のセンサ310と表示部400とが重畳配置され、タッチパネル23が構成される。したがって、センサ310の入力領域と表示部400の表示画面とは一致している。
【0114】
無線通信部24及びアンテナ24Aは、この実施の形態では、デジタル機器用近距離無線通信の規格のひとつである「Bluetooth(登録商標)」規格の無線通信機能を実現する。したがって、無線通信部24及びアンテナ24Aを備えるPC2Aは、無線通信部119及びアンテナ119Aを備える電子ペン1Aの電子ペン本体部11Aとの間で無線通信を行うことができるようになっている。
【0115】
プロジェクタ3は、表示コントローラ31と発光部32とを備える。表示コントローラ31は、PC2Aからの映像データに応じた映像を発光部32が内蔵する表示部に表示させるための映像信号を形成し、これを発光部32に供給する。発光部32は、表示コントローラ31から映像信号に応じた映像を内蔵する表示部に表示させると共に、この表示部の背面から光を照射して、表示部に表示された映像をスクリーン4に拡大表示させる。
【0116】
これにより、タッチパネル23を通じてPC2Aに入力され、PC2Aの表示部400に表示された映像と同じ映像を、プロジェクタ3を通じてスクリーン4に拡大して表示できる。そして、電子ペン1Aの電子ペン本体部11Aの芯体111を表示部400の表示画面に接触させるようにして情報を入力した後、芯体111を表示部400の表示画面から離すようにしたとする。この場合、制御回路21は、表示コントローラ22を通じて、直前まで芯体111が接触していた位置Pを示すようにポインターPTを表示部400に表示する。
【0117】
これにより、スクリーン4にも、表示部400の表示画面に表示された映像と同様の映像が表示されるので、ポインターPTが表示される。ポインターPTの表示位置は、電子ペン1Aの拡張部12Aをスクリーン4に向け、スイッチ操作部126aを半押ししてジャイロセンサ125を動作させ、ポインターPTを移動させたい方向に拡張部12Aの向きを変えるように振る操作を行うことにより移動させることができる。すなわち、振る操作が行われた拡張部12Aのジャイロセンサ125からの角速度データが、電子ペン本体部11Aの無線通信部119及びアンテナ119Aを通じてPC2Aに送信される。
【0118】
PC2Aは、無線通信部24及びアンテナ24Aを通じて電子ペン本体部11Aからの角速度データを受信し、制御回路21が受信した角速度データに応じてポインターPTの移動方向、移動量を特定する。そして、制御回路21は、特定した移動方向、移動量に基づいて、表示コントローラ22を介して、ポインターPTの表示位置を変更する。また、ジャイロセンサ125が動作状態にある時に、スイッチ操作部126aを本押しすると、上述もしたように、ジャイロセンサ125からの出力に応じて移動させているポインターPTの位置を決定して対象物(オブジェクト)を選択させることができる。
【0119】
このように、この実施の形態の位置検出システムは、電子ペン1Aを用いたタッチパネル23を通じての情報入力ができる。さらに、この実施の形態の位置検出システムは、電子ペン1Aの主に拡張部12Aにより実現されるエアーマウスの機能により、ポインターPTの表示位置の変更と決定とを行うことができる。
【0120】
[電子ペン1AとPC2Aの連携動作]
図9は、第2の実施の形態の位置検出システムを構成する電子ペン1AとPC2Aの連携処理を説明するためのフローチャートであり、
図9(A)は電子ペン1Aの処理を示し、
図9(B)はPC2Aの処理を示している。以下においては、まず、
図9(A)の電子ペン1Aの処理を説明し、その後に、
図9(B)のPC2Aの処理を説明する。
【0121】
電子ペン1Aにおいては、例えば、スイッチ操作部115aが長押しされることにより電源が投入するようにされた場合に、制御回路113が充電/給電回路118を制御して、各部に電源を供給するようにし、
図9(A)に示す処理を開始する。そして、電子ペン1Aにおいては、制御回路113が各部を制御し、電子ペン本体部11Aの電子ペン機能を有効にする(ステップS201)。これにより、電子ペン本体部11Aから位置検出信号の送信が開始される。
【0122】
そして、電子ペン1Aにおいて制御回路113は、エアーマウス機能がオンにされたか否かを判別する(ステップS202)。制御回路113は、ジャイロセンサ125の状態を管理している。このため、ステップS202の判別処理では、ジャイロセンサ125が非動作状態にあるときに、拡張部12Aのスイッチ操作部126aが半押しされることによりスイッチ回路126から出力されるオン/オフ信号の供給を受けた場合に、エアーマウス機能がオンにされたと判別する。
【0123】
ステップS202の判別処理において、エアーマウス機能がオンにされていないと判別したときには、ステップS201からの処理を繰り返し、電子ペン1Aの電子ペン本体部11Aを通じて位置指示入力を継続して行えるようにする。ステップS202の判別処理において、エアーマウス機能がオンにされたと判別したときには、電子ペン本体部11Aの制御回路113は、拡張部12Aのジャイロセンサ125からの角速度データを取得する(ステップS203)。そして、制御回路113は、ステップS203で取得した角速度データを、無線通信部119及びアンテナ119Aを通じてPC2Aに送信する(ステップS204)。また、ステップS204の処理では、拡張部12Aのスイッチ操作部126aが本押しされた場合には、位置の決定信号をPC2Aに送信する。
【0124】
この後、電子ペン本体部11Aの制御回路113は、エアーマウス機能がオフにされたか否かを判別する(ステップS205)。このステップS205の判別処理では、ジャイロセンサ125が動作状態にあるときに、拡張部12Aのスイッチ操作部126aが半押しされることによりスイッチ回路126から出力されるオン/オフ信号の供給を受けた場合に、エアーマウス機能がオフにされたと判別する。ステップS205の判別処理において、エアーマウス機能はオフではないと判別したときには、ステップS203からの処理を繰り返すようにし、角速度データの取得処理と、取得した角速度データのPC2Aへの送信処理とを繰り返すようにする。
【0125】
また、ステップS205の判別処理において、エアーマウス機能がオフにされたと判別したとする。この場合、電子ペン本体部11Aの制御回路113は、スイッチ操作部115aが長押しされるなどして、電子ペン1Aの電源がオフにするようにされたか否かを判別する(ステップS206)。
【0126】
ステップS206の判別処理において、電源はオフにするようにされていないと判別したときには、制御回路113は、ステップS201からの処理を繰り返す。また、ステップS206の判別処理において、電源がオフにするようにされたと判別したときには、制御回路113は、充電/給電回路118を制御して、各部への電源の供給を停止させるなどの所定の終了処理を行って(ステップS207)、この
図9(A)に示す処理を終了させる。
【0127】
一方、PC2Aにおいては、図示しないが電源ボタンが押下され、電源が投入されると、
図9(B)に示す処理を開始する。PC2Aでは、電源が投入されると、タッチパネル23を通じて、電子ペン1Aによる指示位置の検出、筆圧の検出、サイドスイッチの押下操作の検出を行うことができるようにされる(ステップS301)。そして、PC2Aでは、制御回路21及び表示コントローラ22が機能し、指示位置の検出結果に応じた軌跡等の表示処理が行われる(ステップS302)。ステップS302の処理では、電子ペン1Aによる指示位置が検出できなくなった場合には、電子ペン1Aの芯体111がタッチパネル23から離れた状態になったと考えられるので、直近の指示位置Pを指し示すポインターPTを表示する処理も行われる。
【0128】
そして、PC2Aの制御回路21は、アンテナ24A及び無線通信部24を通じて、電子ペン1Aからの角速度データや位置の決定信号を受信したか否かを判別する(ステップS303)。ステップS303の判別処理で角速度データを受信したと判別したときには、制御回路21は、受信した角速度データの変化量を、ポインターPTの移動先の画面座標に変換する(ステップS304)。この後、制御回路21は、表示コントローラ22を制御して、ポインターPTの表示位置を、ステップS304で求めた画面座標が示す位置に変更する(ステップS305)。
【0129】
なお、ステップS303の判別処理で位置の確定信号を受信したと判別したときには、制御回路21は、ステップS304において、その直前に受信した角速度データにより示された位置を、確定した位置とし、その位置に存在する対象物(オブジェクト)を選択する。この後、制御回路21は、ステップS305において、当該確定した位置にポインターPTを位置付けて固定する。
【0130】
ステップS305の処理の後と、ステップS303の判別処理において、角速度データを受信していないと判別したときには、制御回路21は、PC2Aの電源をオフにする操作がされたか否かを判別する(ステップS306)。ステップS306の判別処理において、電源をオフにする操作はされていないと判別したときには、制御回路21は、ステップS301からの処理を繰り返す。また、ステップS306の判別処理において、電源をオフにする操作がされたと判別したときには、制御回路21は、各部への電源の供給を停止させるなどの所定の終了処理を行って(ステップS307)、この
図9(B)に示す処理を終了させる。
【0131】
このように、第2の実施の形態の電子ペン1Aは、電子ペン機能とエアーマウス機能とを備えるものである。そして、タッチパネル23や無線通信部24を備えるPC2Aと協働することにより、電子ペン機能によるPC2Aへの情報の入力と、エアーマウス機能によるポインターPTの移動操作とをシームレスに行うことができる。これにより、会議、ミーティングなどでの説明を分かり易いものとし、会議、ミーティングなどの効果を増大させることができる。
【0132】
また、この第2の実施の形態の電子ペン1Aの場合にも、重量の重いバッテリー117は、電子ペン本体部11側に搭載されているので、いわゆる電子ペン本体部11の低重心化を実現し、電子ペン機能の使い勝手もよくすることができる。また、この第2の実施の形態の電子ペン1Aの場合にも、第1の電子ペン1の場合と同様に、電子ペン本体部11Aに搭載されたバッテリー117から拡張部12Aへの電源の供給制御を、電子ペン本体部11Aの制御回路113が行うようにすることができる。
【0133】
また、この第2の実施の形態の電子ペン1Aの場合にも、接続された状態の電子ペン本体部11Aのコネクタジャック11Jと拡張部12Aのコネクタプラグ12Pの周囲を、電子ペン本体部11Aの筒状部11Tと拡張部12Aの壁状部12Wとが覆う構成とされる。このため、電子ペン本体部11Aの筒状部11Tと拡張部12Aの壁状部12Wとにより、接続された状態の電子ペン本体部11Aのコネクタジャック11Jと拡張部12Aのコネクタプラグ12Pとの双方を強固に保護することができる。
【0134】
[電子ペン1Aにおける拡張部12Aの電源の供給制御]
この第2の実施の形態の電子ペン1Aにおいても、第1の実施の形態の電子ペン1の場合と同様にして、バッテリー117から拡張部12Aへの電源の供給制御を行うことができる。
【0135】
すなわち、
図5のフローチャートを参照して説明したように、電子ペン本体部11Aの制御回路113において、筆圧が検出されておらず、かつ、バッテリー117の電圧が閾値よりも高い場合であって、電源を拡張部12Aに供給していないとする。この場合には、制御回路113は、充電/給電回路118を制御して、バッテリー117から拡張部12Aの電源の供給を開始する。そして、拡張部12Aへの電源の供給開始後に、制御回路113において、筆圧が検出されたり、バッテリー117の電圧が閾値以下となったり、拡張部12Aの接続がなくなったりしたとする。この場合には、制御回路113は、充電/給電回路118を制御して、拡張部12Aの電源の供給を停止する。
【0136】
また、電子ペン本体部11Aの制御回路113において、筆圧が検出されておらず、かつ、バッテリー117の電圧が閾値よりも高い場合であって、電源を拡張部12Aに供給していないとする。この場合でも、拡張部12Aのスイッチ回路126からのオン信号が存在する場合にだけ、制御回路113が充電/給電回路118を制御して、バッテリー117からの電源を拡張部12Aに供給する。そして、拡張部12Aのスイッチ回路126からのオン信号が存在しなくなったら、制御回路113が充電/給電回路118を制御して、バッテリー117から拡張部12Aへの電源の供給を停止する。このように、拡張部12Aのスイッチ回路126からのオン信号の有無をも考慮して、拡張部12Aへの電源の供給制御を行うようにしてもよい。
【0137】
[第2の実施の形態の変形例]
上述した第2の実施の形態では、電子ペン本体部11Aを用いて位置検出回路300のセンサ310に対して情報を入力している状態から、拡張部12AによるポインターPTの位置変更を行うようにした場合に表示されるものとした。つまり、タッチパネル23を構成する位置検出回路300において、電子ペン1Aによる指示位置が消失した場合に、指示位置が消失した位置(直近の指示位置)を基準点とし、この基準点をポインターPTにより指し示す位置Pとした。しかし、これに限るものではない。
【0138】
電子ペン本体部11Aによる位置指示が終了した場合に、最初にポインターPTが指し示す基準点は、表示部400の表示画面の中心、当該表示画面の四隅の内のいずれかの位置、当該表示画面上の予め決められた任意の位置など、適宜の位置とすることができる。
【0139】
また、上述した第2の実施の形態の位置検出システムは、電子ペン1Aと、情報処理装置としてのPC2Aと、表示処理装置としてのプロジェクタ3とにより構成するものとして説明した。しかし、これに限るものではない。例えば、電子ペン1Aと情報処理装置としてのPC2Aとだけで、位置検出システムを構成することもできる。この場合、拡張部12Aの操作により、PC2Aの表示部400の表示画面に表示されたポインターPTの表示位置を移動させるシステムとなる。
【0140】
また、上述した第2の実施の形態の位置検出システムにおいて、情報処理装置としてのPC2Aは、表示部400を備えるものとして説明したが、PC2Aは、表示部400を備えず、プロジェクタ3により表示される映像だけを利用するシステムとして構成することもできる。
【0141】
また、位置を検出するタッチセンサ(座標検出センサ)を内蔵したボードと位置を指定する電子ペンとで構成されるいわゆるデジタイザーと、タッチパネルを備えず、表示装置だけを備えた従来型のパーソナルコンピュータとによって、位置検出システムを構成することもできる。この場合、電子ペン1の電子ペン本体部11Aを用い、デジタイザーを通じてパーソナルコンピュータに情報の入力を行い、入力情報をパーソナルコンピュータの表示装置に表示する。そして、当該表示装置にポインターPTを表示させることにより、電子ペン1Aの拡張部12Aの機能により、パーソナルコンピュータの表示装置に表示させたポインターPTの表示位置を移動させることができる。
【0142】
このように、この発明による位置検出システムは、電子ペン1Aと、位置検出回路を備えた入力デバイスと、当該入力デバイスを通じて受け付けた入力情報に応じた映像情報を形成して、表示部や映像表示装置に供給でき、電子ペンと無線通信が可能な情報処理装置とにより構成することが可能である。
【0143】
また、上述した実施の形態では、センサ310の入力領域と、PC2、PC2Aの表示部の表示画面の表示領域とは一致し、スクリーン4上に表示された映像の表示領域は、PC2、PC2Aの表示部の表示画面の表示領域に対応するものとなっている。したがって、センサ310を通じて位置を指示し、その位置に対応する表示部の表示画面上の位置に情報を表示することができる。そして、表示部の表示画面に表示された映像をスクリーン4に拡大して表示できる。
【0144】
しかし、センサ310の入力領域と、PC2、PC2Aの表示部の表示画面の表示領域と、スクリーン4上に表示された映像の表示領域との関係は、必ずしも上述した実施の形態のものでなくてもよい。少なくとも、センサ310の入力領域は、PC2、PC2Aの表示部の表示画面の表示領域に含まれていればよく、また、PC2、PC2Aの表示部の表示画面の表示領域は、スクリーン4に表示される映像の表示領域に含まれていればよい。これにより、指示位置と表示位置との関係は1対1の対応が取れる。
【0145】
また、上述した第2の実施の形態において、電子ペン1AとPC2Aとは、例えば、「Bluetooth(登録商標)」規格の無線通信機能を有するものとして説明したが、これに限るものではない。電子ペン1AとPC2Aとの間で適切に通信を行うことが可能な種々の規格の通信方式を用いることができる。
【0146】
また、上述した第2の実施の形態では、PC2Aの表示部400やスクリーン4に表示させるポインターPTは、矢印形状のものを用いるものとして説明したが、これに限るものではない。ポインターPTの形状は種々のものとすることが可能である。
【0147】
[その他]
また、上述した第1、第2の実施の形態において、電子ペン1、1Aは、いずれも信号発振方式のものである場合を例にして説明したが、これに限るものではない。共振型の電子ペンにもこの発明を適用できる。共振型の電子ペンの場合には、バッテリーなどの電源を設ける必要はないが、低重心の電子ペン本体部を実現するために、バッテリーを電子ペン本体部に設け、これか拡張部に電源を供給する態様とすることができる。この場合であっても、少なくとも、筆圧が検出されている場合には、拡張部への電源の供給をしないように制御することで、無駄に拡張部を機能させたり、バッテリーを消耗させたりしないようにできる。
【0148】
また、上述した実施の形態では、電子ペン本体部11、11Aに対して拡張部12、12Aを接続し、第1の実施の形態において拡張部12はレーザーポインターであり、第2の実施の形態において拡張部12Aはエアーマウス(ジャイロセンサ)であるものとした。すなわち、電子ペン本体部11、11Aと、拡張部12、12Aとは、いずれも位置指示機能を実現するものであった。しかし、これに限るものではない。
【0149】
電子ペン本体部11、11Aに対して接続される拡張部の機能は、電子ペン本体部11、11Aにより描画した軌跡などを消去する消去機能(消去信号の送信機能)、電子ペン本体部11、11Aの電源のオン/オフを切り替えるスイッチ機能、カメラ機能、マイクロホンと音声記憶部とからなる音声記録機能など、種々の機能を搭載することが可能である。なお、カメラ機能は、周囲の被写体を撮影する機能や画像を撮影することにより指示位置の色を判別して取得するいわゆるカラーピッカー機能を実現したりできる。更に、電子ペン本体部11、11Aに無線通信部が設けられていたが、拡張部に設けられていても良い。また、電子ペン本体部11、11Aと、拡張部12、12Aとの両方に異なる仕様の無線通信部が設けられていても良い。
【0150】
また、上述した実施の形態では、電子ペン本体部11、11Aにコネクタジャック(凹部の構成とされたコネクタ部)11Jと筒状部11Tとを設け、拡張部12、12Aにコネクタプラグ(凸部の構成とされたコネクタ部)12Pと壁状部12Wを設けるようにしたが、これに限るものではない。逆の構成とすることもできる。すなわち、電子ペン本体部11、11Aにコネクタプラグと壁状部を設け、拡張部12、12Aにコネクタジャックと筒状部とを設けるようにしてもよい。このようにした場合でも、上述した実施の形態の電子ペン1、1Aと同様の効果を得ることができる。
【0151】
また、上記の実施の形態では、電源は電子ペン本体部11、11Aに配置されていたが、拡張部12、12Aに電源が配置されていても良い。拡張部12、12A自体が、電源ユニットとなっていても良い。
【0152】
また、上記の実施の形態では、拡張部12、12Aを動作させるのにスイッチである操作部を設けていたが、位置検出装置側からの指示信号を受信して、拡張部12、12Aの機能を動作状態にしても良い。
【0153】
また、拡張部12、12Aに複数の機能が搭載されていても良い。この場合、操作用のスイッチでの切り替え、更に位置検出装置側からの指示信号を受信して、機能を自動的に切り替えるものであっても良い。