【解決手段】本実施形態では、進行基準工事の税抜受注金額及び月次の進捗率に基づいて計算された月次の進行基準未収金残高と入金された月次の前受金残高とを含む月次残高データに基づいて、前受金残高のうち月末に相殺可能な金額である相殺額を計算し、計算された相殺額に基づいて、借方の科目を未成工事受入金とし貸方の科目を進行基準未収金とする相殺仕訳データを作成する。
前記相殺額計算手段は、進行基準未収金残高が前受金残高以上であった場合は前受金残高を相殺額として出力し、進行基準未収金残高が前受金残高未満であった場合は進行基準未収金残高を相殺額として出力する、
ことを特徴とする請求項1に記載の相殺仕訳計上装置。
前記仕訳作成手段は、前記相殺額計算手段で計算された相殺額に基づいて、借方の科目を進行基準未収金とし貸方の科目を未成工事受入金とする相殺仕訳戻しデータを更に作成する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の相殺仕訳計上装置。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は本実施形態により限定されるものではない。
【0016】
[1.概要]
本実施形態は、進行基準工事における未収金・前受金の自動相殺仕訳計上に関する。具体的には、以下の機能を有する。案件別の進行未収金・前受入金実績を帳票出力し、月末時点の進行未収金/未成工事受入金の相殺額を計算し、毎月末に進行未収金/未成工事受入金の相殺仕訳を自動計上する。更に、進行基準・完成基準それぞれの基準で計上科目の設定ができる。また、案件別に計上科目を指定できる。
【0017】
上記により、以下の効果が期待できる。期中での進行未収金残高、未成工事受入金残高が把握できる。月末の経理業務負荷を低減し、月次決算の早期化が実現できる。
【0018】
図1は、本実施形態の概要を説明するための図であり、月末運用フローの一例を示す図である。本実施形態における月末運用は、まず、仮締処理を行い、原価計算一式を算出する。続いて、進行基準未収金一覧表を作成し、仕訳取込処理を行い、仕訳データ作成処理を行う。次に、財務システム側でのチェックを行った後、月次確定処理を行う。なお、
図1の点線で囲った処理M1において、進行基準未収金一覧表として出力された仕訳取込用CSVファイルにて、相殺仕訳の取込を行う。このとき、原価・売上等の修正が発生した場合は、取込仕訳の削除を行い、再度原価計算後、取込仕訳の出力および取込を行う。
【0019】
従来は、完成時に進行未収金と未成工事受入金を相殺していた為、期中の未成工事について正確な金銭債権残高を把握する為には、総勘定元帳を案件別に管理し、手動での計算が必要だった。そのため、進行基準工事を多く請け負う大手・中堅の建設業者においては、その管理、計算の事務作業が非常に煩雑で、業務負荷肥大化の一因となっていた。
【0020】
そこで、本実施形態は、期中での進行未収金残高、未成工事受入金残高が把握でき、月末の経理業務負荷を低減し、月次決算の早期化が実現するように、進行基準工事における未収金・前受金の自動相殺仕訳計上を行う。本実施形態は、進行基準工事であり、かつ、相殺金額が発生している案件の処理に好適である。例えば、経理課にて月末締め処理の際に使用することができる。また、例えば、メニュー>債権管理>残高管理の中に機能を追加して、通常のプレビュー、PDFファイル、CSVファイル出力のほか、仕訳取込処理にて取込可能なCSVファイルフォーマットでの出力機能を実装することもできる。
【0021】
次に、月次確定処理における出力データについて説明する。
図2は、進行基準工事の月次残高データの一例を示す図である。
図2に示すように、月次残高データは、工事番号−契約明細番号ごとに、出力年月、内容、及び進捗率に応じて、請求先、工事番号、税込受注金額、進行基準未収金残高、前受金残高、及び相殺金額の各項目が画面114に表示される。なお、税込金額は消費税として8%を上乗せした金額で計算している。
【0022】
図2に示すように、出力イメージとして示されている相殺金額の欄には、前受金の内、相殺可能な金額が示される。また、
図2の出力イメージにおいて、進行未収金残高は、税別受注金額×進捗率により算出され、前受金残高は、前受発生金額−入金消込金額(
図11参照)により算出され、相殺金額は、進行未収金残高≧前受金残高の場合は前受金残高、進行未収金残高<前受金残高の場合は進行未収金残高として算出される。
【0023】
具体的に説明すると、
図2に示した例では、A社の工事番号K0001−0001の案件を201X1年04月に受注金額1,080円で受注した。
201X1年04月は進捗率0%であった場合、出力イメージでは、請求先「A社」、工番「K0001−0001」、税込受注金額「1,080」、進行未収金残高「0」、前受金残高「0」、相殺金額「0」と表示される。
201X1年05月に300円を前請求し、進捗率は10%であった場合、出力イメージでは、請求先「A社」、工番「K0001−0001」、税込受注金額「1,080」、進行未収金残高「100」、前受金残高「0」、相殺金額「0」と表示される。
201X1年06月に300円の入金があり、進捗率は20%であった場合、出力イメージでは、請求先「A社」、工番「K0001−0001」、税込受注金額「1,080」、進行未収金残高「200」、前受金残高「300」、相殺金額「200」と表示される。
201X1年07月に進捗率が50%になった場合、出力イメージでは、請求先「A社」、工番「K0001−0001」、税込受注金額「1,080」、進行未収金残高「500」、前受金残高「300」、相殺金額「300」が表示される。
201X1年08月に進捗率が90%になった場合、出力イメージでは、請求先「A社」、工番「K0001−0001」、税込受注金額「1,080」、進行未収金残高「900」、前受金残高「300」、相殺金額「300」が表示される。
201X1年09月に完成して1,000円の売上があった場合、進捗率は100%であり、出力イメージでは、請求先「A社」、工番「K0001−0001」、税込受注金額「1,080」、進行未収金残高「0」、前受金残高「0」、相殺金額「0」が表示される。
【0024】
[2.構成]
本実施形態に係る相殺仕訳計上装置の構成の一例について、
図3を参照して説明する。
図3は、相殺仕訳計上装置の構成の一例を示すブロック図である。
【0025】
相殺仕訳計上装置100は、例えば、市販のデスクトップ型パーソナルコンピュータである。なお、相殺仕訳計上装置100は、デスクトップ型パーソナルコンピュータのような据置型情報処理装置に限らず、市販されているノート型パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistants)、スマートフォン、タブレット型パーソナルコンピュータなどの携帯型情報処理装置であってもよい。
【0026】
相殺仕訳計上装置100は、制御部102と通信インターフェース部104と記憶部106と入出力インターフェース部108と、を備えている。相殺仕訳計上装置100が備えている各部は、任意の通信路を介して通信可能に接続されている。
【0027】
通信インターフェース部104は、ルータ等の通信装置及び専用線等の有線又は無線の通信回線を介して、相殺仕訳計上装置100をネットワーク300に通信可能に接続する。通信インターフェース部104は、他の装置と通信回線を介してデータを通信する機能を有する。ここで、ネットワーク300は、相殺仕訳計上装置100とサーバ200とを相互に通信可能に接続する機能を有し、例えばインターネットやLAN(Local Area Network)等である。
【0028】
記憶部106には、債権債務科目マスタデータテーブル(以下、マスタと略す場合がある)106a、進行基準売上テーブル106b、前請求テーブル106c、入金消込テーブル106d、各種のデータベース、テーブル、及びファイルなどが格納される。記憶部106には、OS(Operating System)と協働してCPU(Central Processing Unit)に命令を与えて各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録される。記憶部106として、例えば、RAM(Random Access Memory)・ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスクのような固定ディスク装置、フレキシブルディスク、及び光ディスク等を用いることができる。
【0029】
債権債務科目マスタ106aは、債権債務科目についてのデータを格納する。債権債務科目としては、例えば、進行基準債権科目、完成基準債権科目、前受金科目等を含み、債権債務科目を取得する際に、案件別に進行基準債権科目又は完成基準債権科目を選択することができる。また、進行基準売上テーブル106bは、案件別に進行基準売上額についてのデータを格納する。また、前請求テーブル106cは、案件別に前受登録済みか否かの情報及び前請求額についてのデータを格納する。また、入金消込テーブル106dは、案件別に入金消込済みか否かの情報及び入金消込額についてのデータを格納する。
【0030】
入出力インターフェース部108には、入力装置112及び出力装置114が接続されている。出力装置114には、モニタ(家庭用テレビを含む)の他、スピーカやプリンタを用いることができる。入力装置112には、キーボード、マウス、及びマイクの他、マウスと協働してポインティングデバイス機能を実現するモニタを用いることができる。なお、以下では、出力装置114をモニタ114または画面114とし、入力装置112をキーボード112またはマウス112として記載する場合がある。
【0031】
制御部102は、相殺仕訳計上装置100を統括的に制御するCPU等であり、作成部102a、相殺額計算部102b、及び仕訳作成部102cを備える。制御部102は、OS等の制御プログラム・各種の処理手順等を規定したプログラム・所要データなどを格納するための内部メモリを有し、格納されているこれらのプログラムに基づいて種々の情報処理を実行する。
【0032】
作成部102aは、進行基準工事の受注金額及び月次の進捗率に基づいて月次の進行基準未収金残高を計算し、該月次の進行基準未収金残高と入金された月次の前受金残高とを含む月次残高データ(
図2の出力イメージを参照)に基づいて、
図4に示すような進行基準未収金一覧表を作成する。
【0033】
図4は、進行基準未収金一覧表の一例を示す図である。
図4に示すように、進行基準未収金一覧表は、請求先、工事番号―契約明細番号、税込受注金額、進行未収金残高、前受金残高、相殺金額の各項目が一覧表として作成される。欄外に、作表条件として、請求先単位、請求先、会計年月日、入金請求先等を表示することができる。更に、作表日、ページ、会社名等の情報を表示してもよい。
【0034】
進行基準未収金一覧表は、例えば、会計年月、又は請求先単位の請求先別もしくは入金先別に検索して表示することができる。
図4では、請求先単位として請求先別を選択し、請求先にコード「002830001」を入力すると、請求先名「○×建設工業(株)」が表示される。入金先別を選択した場合も同様に、コードを入力すると、入金先名が表示される。更に、プレビュー、PDF出力、CSV出力、仕訳出力、前回情報の各アイコンが表示されており、いずれかのアイコンをクリックすると、アイコンの内容に応じて出力される。また、条件解除のアイコンをクリックすると、選択されている条件を解除することができる。
【0035】
図4について具体的に説明すると、請求先に「002830001 ○×建設工業(株)」と表示され、工番‐契約明細NOに「PJ1400001−0001 〇×市役所空調設備工事」、税込受注金額に「44,143,704円」、進行未収金残高に「40,873,800円」、前受金残高に「44,143,704円」、相殺金額に「40,873,800円」が表示されている。更に、次の行は、工番−契約明細NOに「PJ1400005−0001 △△駅電気設備工事」、税込受注金額に「59,400,000円」、進行未収金残高に「45,727,000円」、前受金残高に「56,190,024円」、相殺金額に「45,727,000円」が表示されている。更に、その次の行は、工番‐契約明細NOに「PJ1400011−0001 □□ビル解体工事設備撤去」、税込受注金額に「10,584,000円」、進行基準未収金残高に「523,320円」、前受金残高に「1,344,222円」、相殺金額に「523,320円」が表示されている。更に、その次の行は、工番‐契約明細NOに「PJ1400018−0001 ××ビルディング共同開発」、税込受注金額に「45,468,000円」、進行未収金残高に「14,314,000円」、前受金残高に「11,265,793円」、相殺金額に「11,265,793円」が表示されている。更に、その次の行は、工番‐契約明細NOに「PJ1400025−0002 〇〇建材工業機器設置工事」、税込受注金額に「7,236,000円」、進行未収金残高に「590,940円」、前受金残高に「3,726,000円」、相殺金額に「590,940円」が表示されている。更に、その次の行は、工番‐契約明細NOに「PJ1400103−0001 20XX都市開発プロジェクト電気設置工事」、税込受注金額に「6,804,000円」、進行未収金残高に「789,390円」、前受金残高に「387,936円」、相殺金額に「387,936円」が表示されている。更に、その次の行に請求先計として、税込受注金額に「173,635,704円」、進行未収金残高に「102,818,450円」、前受金残高に「117,057,679円」、相殺金額に「99,368,789円」が表示されている。更に、その次の行に総合計として、税込受注金額に「173,635,704円」、進行未収金残高に「102,818,450円」、前受金残高に「117,057,679円」、相殺金額に「99,368,789円」が表示されている。
【0036】
相殺額計算部102bは、月次残高データに基づいて、前受金残高のうち月末に相殺可能な金額である相殺額を計算する。
【0037】
仕訳作成部102cは、相殺額計算部102bで計算された相殺額に基づいて、借方の科目を未成工事受入金とし貸方の科目を進行基準未収金とする相殺仕訳データ(
図8のM2〜M4を参照)を作成し、
図5に示すような相殺仕訳伝票、及び
図6に示すような相殺仕訳戻し伝票を作成する。
【0038】
図5は、相殺仕訳伝票の一例を示す図であり、
図6は、相殺仕訳戻し伝票の一例を示す図である。
図5と
図6に共通する項目として、摘要別に、借方と貸方のそれぞれに、総勘定科目、消費税本体科目、税区分/全額/消費税額、補助/内訳、部署/取引先、工番−PJMNO−JobNO、分析コードの各項目が画面114に表示される。また、各コードデータとそれに対応する名称等のデータはそれぞれ紐付けられている。更に、欄外には、伝票管理部署、伝票番号、発生日、伝票摘要等が表示される。なお、税込金額は消費税額として5%を計上した金額で表示される。
【0039】
具体的に説明すると、
図5に示す相殺仕訳伝票では、例えば、伝票管理部署にコード「913119」を入力して検索すると部署名「経理課」が表示される。また、部署名を入力して検索すると、コードが表示されるようにしてもよい。更に、発生日に「201X/08/31」と入力して検索すると、伝票番号に「SW1308000274」、伝票摘要に「進行基準未収金相殺」が表示され、相殺仕訳データの一覧が表示される。
【0040】
相殺仕訳データの001番目の欄では、摘要に「進行基準未収金相殺」が表示され、借方は、[借方]総勘定科目にコード「5325」と科目名「前受金未成工事」、税区分/全額/消費税額にコード「00」と金額「10,500円」、補助/内訳にコード「01」と金額「前受金未」、部署/取引先にコード「122411」と部署名「信号設計課」、工番−PJMNO−JobNOにコード「50001」と科目名「工事」と番号「22313K0803−0001」が表示され、貸方は、[貸方]総勘定科目にコード「1121」と科目名「未収金」、税区分/全額/消費税額にコード「00」と金額「10,500円」、補助/内訳にコード「01」と科目名「未収金」、部署/取引先にコード「122411」と部署名「信号設計課」、工番−PJMNO−JobNOにコード「50002」と科目名「工事進行」と番号「22313K0803−0001」が表示されている。
【0041】
002番目の欄では、摘要に「進行基準未収金相殺」が表示され、借方は、[借方]総勘定科目にコード「5325」と科目名「前受金未成工事」、税区分/全額/消費税額にコード「00」と金額「21,000円」、補助/内訳にコード「01」と科目名「前受金未」、部署/取引先にコード「192611」と部署名「無線課」、工番−PJMNO−JobNOにコード「50001」と科目名「工事」と番号「82312K0009−0001」が表示され、貸方は、[貸方]総勘定科目にコード「1121」と科目名「未収金」、税区分/全額/消費税額にコード「00」と金額「21,000円」、補助/内訳にコード「01」と金額「未収金」、部署/取引先にコード「192611」と部署名「無線課」、工番−PJMNO−JobNOにコード「50002」と科目名「工事進行」と番号「82312K0009−0001」が表示されている。欄の下には、借方と貸方のいずれにも、001番と002番の合計金額31,500円が表示されている。
【0042】
図6に示す相殺仕訳戻し伝票では、例えば、伝票管理部署にコード「913119」を入力して検索すると部署名「経理課」が表示される。また、部署名を入力して検索すると、コードが表示されるようにしてもよい。更に、発生日に「201X/09/31」を入力して検索すると、伝票番号に「SW1309000006」、伝票摘要に「進行基準未収金相殺戻し」と表示され、相殺仕訳戻しデータの一覧が表示される。
【0043】
相殺仕訳戻しデータの001番目の欄では、摘要に「進行基準未収金相殺戻し」と表示され、借方は、[借方]総勘定科目にコード「1121」と科目名「未収金」、税区分/全額/消費税額にコード「00」と金額「10,500円」、補助/内訳にコード「01」と科目名「未収金」、部署/取引先にコード「122411」と部署名「信号設計課」、工番−PJMNO−JobNOにコード「50002」と科目名「工事進行」と番号「22313K0803−0001」が表示され、貸方は、[貸方]総勘定科目にコード「5325」と科目名「前受金未成工事」、税区分/全額/消費税額にコード「00」と金額「10,500円」、補助/内訳にコード「01」と「前受金未」、部署/取引先にコード「122411」と部署名「信号設計課」、工番−PJMNO−JobNOにコード「50001」と科目名「工事」と番号「22313K0803−0001」が表示されている。
【0044】
002番目の欄では、摘要に「進行基準未収金相殺戻し」と表示され、借方は、[借方]総勘定科目にコード「5325」と科目名「前受金未成工事」、税区分/全額/消費税額にコード「00」と金額「21,000円」、補助/内訳にコード「01」と科目名「前受金未」、部署/取引先にコード「192611」と部署名「無線課」、工番−PJMNO−JobNOにコード「50001」と科目名「工事」と番号「82312K0009−0001」が表示され、貸方は、[貸方]総勘定科目にコード「1121」と科目名「未収金」、税区分/全額/消費税額にコード「00」と金額「21,000円」、補助/内訳にコード「01」と科目名「未収金」、部署/取引先にコード「192611」と部署名「無線課」、工番−PJMNO−JobNOにコード「50002」と科目名「工事進行」と番号「82312K0009−0001」が表示されている。欄の下には、借方と貸方のいずれにも、001番と002番の合計金額31,500円が表示されている。
【0045】
[3.具体例]
本実施形態の具体例として、
図7から
図11を参照して、本実施形態に係る相殺仕訳計上装置の処理内容について説明する。
図7は、相殺仕訳計上装置100の処理の一例を示すフローチャートである。
【0046】
図7に示すように、ステップS1において、作成部102aは、進行基準工事の受注金額及び月次の進捗率に基づいて月次の進行基準未収金残高を計算し、該月次の進行基準未収金残高と入金された月次の前受金残高とを含む月次残高データ(
図3の出力イメージを参照)を作成する。次に、ステップS2において、相殺額計算部102bは、月次残高データに基づいて、前受金残高のうち月末に相殺可能な金額である相殺額を計算する。続いて、ステップS3において、仕訳作成部102cは、相殺額計算部102bで計算された相殺額に基づいて、借方の科目を未成工事受入金とし貸方の科目を進行基準未収金とする相殺仕訳データ(
図8の仕訳M2〜M4を参照)を作成する。
【0047】
図8は、仕訳表示の一例を示す図である。
図8に示すように、仕訳表示では、計上日、種別、仕訳内容の各項目が画面114に表示される。なお、
図8において、点線で囲った仕訳M2〜M4は月毎の相殺仕訳とその戻しを示しており、この部分は、進行基準未収金一覧表のデータ(例えば
図2に出力イメージとして例示したデータ)を基に作成される。
【0048】
具体的に説明すると、201X+1年05月31日に進行基準売上があり、借方に「進行基準未収金 100円」、貸方に「進行基準売上 100円」が仕訳された。
201X+1年06月20日に入金があり、借方に「CASH 300円」、貸方に「仮受金 300円」が仕訳された。
201X+1年06月20日に入金消込があり、借方に「仮受金 300円」、貸方に「未成工事受入金 300円」が仕訳された。
201X+1年06月30日に進行基準売上があり、借方に「進行基準未収金 100円」、貸方に「進行基準売上 100円」が仕訳された。
201X+1年06月30日に進行未収金相殺があり、借方に「未成工事受入金 200円」、貸方に「進行基準未収金 200円」が仕訳された。
201X+1年07月01日に進行未収金相殺があり、借方に「進行基準未収金 200円」、貸方に「未成工事受入金 200円」が仕訳された。
201X+1年07月31日に進行基準売上があり、借方に「進行基準未収金 300円」、貸方に「進行基準売上 300円」が仕訳された。
201X+1年07月31日に進行未収金相殺があり、借方に「未成工事受入金 300円」、貸方に「進行基準未収金 300円」が仕訳された。
201X+1年08月01日に進行未収金相殺があり、借方に「進行基準未収金 300円」、貸方に「未成工事受入金 300円」が仕訳された。
201X+1年08月31日に進行基準売上があり、借方に「進行基準未収金 400円」、貸方に「進行基準売上 400円」が仕訳された。
201X+1年08月31日に進行未収金相殺があり、借方に「未成工事受入金 300円」、貸方に「進行基準未収金 300円」が仕訳された。
201X+1年09月01日に進行未収金相殺があり、借方に「進行基準未収金 300円」、貸方に「未成工事受入金 300円」が仕訳された。
201X+1年09月20日に売上(完成)があり、借方に「進行基準未収金 100円」、貸方に「進行基準売上 100円が仕訳され、更に、借方に「進行基準売上 1,000円」、貸方に「進行基準未収金 1,000円」が仕訳され、更に、借方に「完成工事未収金 1,080円」、貸方に「完成工事高 1,080円」が仕訳され、更に、借方に「完成工事受入金 324円」、貸方に「完成工事未収金 324円」が仕訳された。
【0049】
次に、仕訳を作成する際の科目取得・金額算出ロジックについて説明する。
図9は、科目取得・金額算出ロジックの一例を示す図である。
図9に示すように、債権債務科目マスタ106aを参照して債権債務科目を取得し、借方には「進行基準債権科目」、貸方には「前受科目」と設定する。次に、進行基準売上テーブル106bを参照して、進行売上金額+進行売上消費税額を算出し、算出された金額を借方に設定する。続いて、前請求テーブル106c及び入金消込テーブル106dを参照して、前受金額を算出して、算出された金額を貸方に設定する。
【0050】
なお、進行売上消費税額は、消費税法17条の特例措置を考慮し、債権科目上の「進行基準売上税区分」の設定に応じて計上するか否かを選択することが可能である。また、請求先元帳ファンクションとして、前請求テーブル106c及び入金消込テーブル106dを参照して、案件別に、前受登録済み・入金消込済みの前受金残高を計算し、取得することができる。
【0051】
次に、科目設定について説明する。
図10及び
図11は、科目設定の一例を示す図である。なお、
図10において太線で囲まれている設定M5は、進行基準未収金科目の設定を示す。
図11において太線で囲まれているM6は、未成工事受入金科目の設定を示す。科目設定の画面114では、各コードの横には検索アイコンが表示され、コードの数値を入力して検索アイコンをクリックすると、そのコードに対応する科目名が表示される。また、科目名を入力して検索すると、コードの数値が表示されるようにしてもよい。
【0052】
図10について具体的に説明すると、科目区分名に「完成工事未収金」、総勘定科目コードに「1121」、総勘定科目名に「未収金」、補助科目コードに「01」、補助科目名に「未収金」、補助内訳科目コードに「50001」、補助内訳科目名に「完成工事」、進行基準総勘定科目コードに「1121」、進行基準総勘定科目名に「未収金」、進行基準補助科目コードに「01」、進行基準補助科目名に「未収金」、進行基準補助内訳科目コードに「50002」、進行基準補助内訳科目名に「工事進行基準」と表示されている。
【0053】
図11について具体的に説明すると、科目区分名に「完成工事受入金」、総勘定科目コードに「5325」、総勘定科目名に「前受金未成工事受入」、補助科目コードに「01」、補助科目名に「前受金未成工事受入」、補助内訳科目コードに「50001」、補助内訳科目名に「工事」と表示されている。
【0054】
以上、説明したように、本実施形態によれば、進行基準に対する売上に対する前受金・未収金の管理を行う仕組み(工事業では進行基準)を実現することが可能である。また、PKG(パッケージ)の仕組みとして、進行基準における科目管理機能を備え、この設定を利用して計上することが可能である。更に、未成工事受入金と進行基準未収金の相殺を仕訳として自動計上する仕組みを実現することが可能であり、科目の管理方法や金額の計算方法を含めて、未成工事に対して進行基準に合わせて進行基準未収金の相殺仕訳を自動作成する仕組みを実現すること)が可能である。
【0055】
[4.他の実施形態]
本発明は、上述した実施形態以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施形態にて実施されてよいものである。
【0056】
例えば、実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
【0057】
また、本明細書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや検索条件等のパラメータを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0058】
また、相殺仕訳計上装置100に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。
【0059】
例えば、相殺仕訳計上装置100が備える処理機能、特に制御部にて行われる各処理機能については、その全部または任意の一部を、CPUおよび当該CPUにて解釈実行されるプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。尚、プログラムは、本実施形態で説明した処理を情報処理装置に実行させるためのプログラム化された命令を含む一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されており、必要に応じて相殺仕訳計上装置100に機械的に読み取られる。すなわち、ROMまたはHDD(Hard Disk Drive)などの記憶部などには、OSと協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、RAMにロードされることによって実行され、CPUと協働して制御部を構成する。
【0060】
また、このコンピュータプログラムは、相殺仕訳計上装置100に対して任意のネットワークを介して接続されたアプリケーションプログラムサーバに記憶されていてもよく、必要に応じてその全部または一部をダウンロードすることも可能である。
【0061】
また、本実施形態で説明した処理を実行するためのプログラムを、一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよく、また、プログラム製品として構成することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、メモリーカード、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)カード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、CD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)、MO(Magneto−Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、および、Blu−ray(登録商標) Disc等の任意の「可搬用の物理媒体」を含むものとする。
【0062】
また、「プログラム」とは、任意の言語または記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコードまたはバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OSに代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、実施形態に示した各装置において記録媒体を読み取るための具体的な構成および読み取り手順ならびに読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
【0063】
記憶部に格納される各種のデータベース等は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、及び、光ディスク等のストレージ手段であり、各種処理やウェブサイト提供に用いる各種のプログラム、テーブル、データベース、及び、ウェブページ用ファイル等を格納する。
【0064】
また、相殺仕訳計上装置100は、既知のパーソナルコンピュータまたはワークステーション等の情報処理装置として構成してもよく、また、任意の周辺装置が接続された当該情報処理装置として構成してもよい。また、相殺仕訳計上装置100は、当該装置に本実施形態で説明した処理を実現させるソフトウェア(プログラムまたはデータ等を含む)を実装することにより実現してもよい。
【0065】
更に、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部または一部を、各種の付加等に応じてまたは機能負荷に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。すなわち、上述した実施形態を任意に組み合わせて実施してもよく、実施形態を選択的に実施してもよい。