【解決手段】電線が接続されるコネクタ1のハウジング11に取付けられ、電線のハウジングから延出する部分を覆うコネクタ用カバー50であって、ハウジングの係止凹部に係止可能であって、コネクタ用カバーのハウジングへの取付け方向である第1の方向と直交する第2の方向に離間した爪部と、ハウジングの第1停止部と当接可能な第1当接部と、ハウジングの第2停止部と当接可能な第2当接部とを備え、第1当接部は、第2の方向に離間した爪部を結ぶ線を仮想回動軸とする回動の第1回動方向に、第1停止部と当接可能であり、第2当接部は第1回動方向と反対の第2回動方向に、第2停止部と当接可能である。
前記第2当接部及び第3当接部は、前記第2の方向に離間した爪部の位置に対し、前記第1の方向及び第2の方向に対して直交する第3の方向に離れた位置となるように前記ハウジングに配設されている請求項2に記載のコネクタ用カバー。
前記第2の方向に離間した側板部と、該側板部の前記第3の方向他端に両側縁が接続された天板部と、該天板部の前記第1の方向前端面から前記第1の方向前方に延出する補助板部とを更に備え、
前記第3当接部は前記補助板部の前記第3の方向他側面であり、
前記第3停止部は、前記ハウジングの基部の前記第1の方向後面に開口する接続凹部の前記第3の方向一側面であり、
前記接続凹部が前記補助板部を受入れた状態で、前記爪部は係止凹部と係止及び離脱が可能である請求項3に記載のコネクタ用カバー。
前記補助板部の前記第2の方向両側面と前記接続凹部の前記第2の方向両側面とは、摺動可能に嵌合し、前記仮想回動軸の方向に関して、前記コネクタ用カバーと前記ハウジングとの相対位置を保持可能である請求項6に記載のコネクタ用カバー。
前記電線通過孔は、略半円筒状の凹部である半割部であって前記電線ガイド蓋部の接合面に形成された半割部を含み、前記電線は、前記電線通過孔を通過して、前記ハウジングから延出する方向と異なる方向に、前記電線ガイド部から延出する請求項9に記載のコネクタ用カバー。
前記第2停止部及び第3停止部は、前記ハウジングの端子収容部及び電線収容部の上方に一体的に配設されたロック部材の操作片の収容部に形成される請求項2に記載のコネクタ用カバー。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、前記従来のコネクタにおいては、係合リブ837がリブ827a及び溝部827bと係合することによってカバー831がハウジング本体811に取付けられているだけなので、カバー831が外れやすくなっている。例えば、電線891が煽られた場合のように、カバー831をハウジング本体811に対して回転させる外力がかかると、係合リブ837とリブ827a及び溝部827bとの係合が弾性変形により解除され易くなる。
【0009】
ここでは、前記従来の問題点を解決して、コネクタから外れにくく、電線の付け根部分を確実に保護することができ、信頼性が高く、製造コストが低く、耐久性の高いコネクタ用カバーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そのために、コネクタ用カバーにおいては、電線が接続されるコネクタのハウジングに取付けられ、前記電線のハウジングから延出する部分を覆うコネクタ用カバーであって、前記ハウジングの係止凹部に係止可能であって、前記コネクタ用カバーのハウジングへの取付け方向である第1の方向と直交する第2の方向に離間した爪部と、前記ハウジングの第1停止部と当接可能な第1当接部と、前記ハウジングの第2停止部と当接可能な第2当接部とを備え、前記第1当接部は、前記第2の方向に離間した爪部を結ぶ線を仮想回動軸とする回動の第1回動方向に前記第1停止部と当接可能であり、前記第2当接部は前記第1回動方向と反対の第2回動方向に前記第2停止部と当接可能である。
【0011】
他のコネクタ用カバーにおいては、さらに、前記ハウジングの第3停止部と当接可能な第3当接部を更に備え、該第3当接部は前記第1回動方向に第3停止部と当接可能である。
【0012】
更に他のコネクタ用カバーにおいては、さらに、前記第2当接部及び第3当接部は、前記第2の方向に離間した爪部の位置に対し、前記第1の方向及び第2の方向に対して直交する第3の方向に離れた位置となるように前記ハウジングに配設されている。
【0013】
更に他のコネクタ用カバーにおいては、さらに、前記第2の方向に離間した側板部と、該側板部の前記第3の方向一端に両側縁が接続された底板部とを更に備え、前記爪部の各々は、前記側板部の前記第1の方向前端であって前記第3の方向の中央部に配設され、前記第1当接部は、前記底板部の前記第1の方向前端面であって、前記爪部よりも前記第1の方向前方に位置する。
【0014】
更に他のコネクタ用カバーにおいては、さらに、前記第2の方向に離間した側板部と、該側板部の前記第3の方向他端に両側縁が接続された天板部とを更に備え、前記第2当接部は、前記天板部の前記第1の方向前端面であって、前記爪部よりも前記第1の方向後方に位置し、前記第2停止部は前記ハウジングの基部の前記第1の方向後端に位置する。
【0015】
更に他のコネクタ用カバーにおいては、さらに、前記第2の方向に離間した側板部と、該側板部の前記第3の方向他端に両側縁が接続された天板部と、該天板部の前記第1の方向前端面から前記第1の方向前方に延出する補助板部とを更に備え、前記第3当接部は前記補助板部の前記第3の方向他側面であり、前記第3停止部は、前記ハウジングの基部の前記第1の方向後面に開口する接続凹部の前記第3の方向一側面であり、前記接続凹部が前記補助板部を受入れた状態で、前記爪部は係止凹部と係止及び離脱が可能である。
【0016】
更に他のコネクタ用カバーにおいては、さらに、前記補助板部の前記第2の方向両側面と前記接続凹部の前記第2の方向両側面とは、摺動可能に嵌合し、前記仮想回動軸の方向に関して、前記コネクタ用カバーと前記ハウジングとの相対位置を保持可能である。
【0017】
更に他のコネクタ用カバーにおいては、さらに、前記ハウジングの第5停止部と当接可能な第5当接部を更に備え、該第5当接部は、前記仮想回動軸に直交する軸を回動軸とする回動方向に第5停止部と当接可能である。
【0018】
更に他のコネクタ用カバーにおいては、さらに、開閉可能な電線ガイド蓋部を含む電線ガイド部を前記第1の方向後端に更に備え、該電線ガイド部は、前記電線の向きを選択して挿通可能な複数の電線通過孔を含む。
【0019】
更に他のコネクタ用カバーにおいては、さらに、前記電線通過孔は、略半円筒状の凹部である半割部であって前記電線ガイド蓋部の接合面に形成された半割部を含み、前記電線は、前記電線通過孔を通過して、前記ハウジングから延出する方向と異なる方向に、前記電線ガイド部から延出する。
【0020】
更に他のコネクタ用カバーにおいては、さらに、前記電線通過孔は内面に形成された突起を含み、前記電線通過孔を通過する電線は前記突起によって挟持される。
【0021】
更に他のコネクタ用カバーにおいては、さらに、前記ハウジングには、一対の係合突起を含むシール部材が装着され、該シール部材は、前記係合突起が係止凹部と係合することによって位置決めされる。
【0022】
更に他のコネクタ用カバーにおいては、さらに、前記第2停止部及び第3停止部は、前記ハウジングの端子収容部及び電線収容部の上方に一体的に配設されたロック部材の操作片の収容部に形成される。
【発明の効果】
【0023】
本開示によれば、コネクタ用カバーは、コネクタから外れにくく、電線の付け根部分を確実に保護することができ、信頼性が向上し、製造コストが低減され、耐久性が向上する。
【0024】
とりわけ、第1の特徴によれば、爪部及び係止凹部にかかる負荷を軽減することができ、耐久性を向上させることができる。
【0025】
また、第2の特徴によれば、第1の効果に加え、第1回動方向への回動を阻止することができる。
【0026】
また、第3の特徴によれば、第2の効果に加え、第2回動方向への回動を阻止することができる。
【0027】
また、第4の特徴によれば、第3の効果に加え、第1回動方向への回動をさらに阻止することができる。
【0028】
また、第5の特徴によれば、第3の効果に加え、第2回動方向への回動をさらに阻止することができる。
【0029】
また、第6の特徴によれば、第3の効果に加え、第1回動方向へ回動をさらに阻止することができる。
【0030】
また、第7の特徴によれば、第6の効果に加え、第2の方向に離間する爪部の間隔を一定に保持することができる。
【0031】
また、第8の特徴によれば、第1の効果に加え、仮想回動軸と直交する軸まわりの回動を阻止することができる。
【0032】
また、第9の特徴によれば、第1〜8のいずれかの効果に加え、所望の向きに電線を引き出すことが可能である。
【0033】
また、第10の特徴によれば、第9の効果に加え、電線ガイド蓋部を開き電線通過孔を選択することが可能である。
【0034】
また、第11の特徴によれば、第10の効果に加え、電線の保持構造を簡素化することができる。
【0035】
また、第12の特徴によれば、第1〜11のいずれかの効果に加え、係止凹部をシール部材の位置決めに利用可能である。
【0036】
また、第13の特徴によれば、第2の効果に加え、コネクタ用カバーとハウジングとを全体的に小型化することができる。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0039】
図1は本実施の形態におけるカバーがコネクタに取付けられた状態を示す斜視図、
図2は本実施の形態におけるカバーを示す前方から観た斜視図、
図3は本実施の形態におけるカバーを示す後方から観た斜視図、
図4は本実施の形態におけるカバーとコネクタとの関係を示す図である。なお、
図1において、(a)はカバー側から観た図、(b)はコネクタ側から観た図であり、
図2において、(a)は左方から観た図、(b)は右方から観た図であり、
図3において、(a)は上方から観た図、(b)は下方から観た図であり、
図4において、(a)は上後方から観たコネクタの斜視図、(b)は下後方から観たコネクタの斜視図、(c)はカバーの斜視図である。
【0040】
図1において、1は本実施の形態におけるコネクタであり、ハウジング11の後端11rに本実施の形態におけるコネクタ用カバーとしてのカバー50が装着されている。また、ハウジング11の前端11fには、図示されない相手方コネクタが嵌合される。前記コネクタ1は、例えば、自動車のブレーキランプ等のランプ類と電源との接続等に使用される電線用のコネクタであり、後述される電線91の先端が接続されている。なお、前記コネクタ1に接続される電線91の本数は、単数であってもよく、複数であってもよく、何本であってもよいが、ここでは、説明の都合上、2本である場合についてのみ説明する。
【0041】
なお、本実施の形態において、コネクタ1、カバー50及び電線91に含まれる各部の構成及び動作を説明するために使用される上、下、左、右、前、後等の方向を示す表現は、絶対的なものでなく相対的なものであり、コネクタ1、カバー50及び電線91に含まれる各部が図に示される姿勢である場合に適切であるが、コネクタ1、カバー50及び電線91に含まれる各部の姿勢が変化した場合には姿勢の変化に応じて変更して解釈されるべきものである。
【0042】
また、本実施の形態においては、便宜上、カバー50のハウジング11への取付け方向を第1の方向と称し、該第1の方向に直交する方向を第2の方向と称し、前記第1の方向及び第2の方向に対して直交する方向を第3の方向と称することもある。
【0043】
前記カバー50は、電線91のコネクタ1への付け根部分を覆って保護する部材であって、
図2〜4に示されるように、合成樹脂等の絶縁性材料から一体的に形成された本体部51と、該本体部51の後端に一体的に接続された電線ガイド基部61と、前記本体部51に関節部63を介して取付けられ、前記電線ガイド基部61の後部を開閉可能な電線ガイド蓋部62とを備える。なお、前記電線ガイド基部61と電線ガイド蓋部62とを総称して電線ガイド部と称することとする。
【0044】
前記本体部51は、略直方体状の箱状の部材であり、前後に延在する長方形の平板状の底板部52と、該底板部52と平行な平板状の天板部54と、前記底板部52及び天板部54に対してほぼ直交し、前記底板部52及び天板部54の左右両側縁を連結する左右一対の平板状の側板部53とを含んでいる。そして、前記底板部52、側板部53及び天板部54によって周囲を画定された接続用空間55は、前記電線ガイド基部61を貫通して前後に延在する断面矩形の空間である。
【0045】
また、左右の側板部53の前端には、カバー側係止部としての爪部56が一体的に形成されている。該爪部56は、突起状の部材であり、前後方向に対して傾斜したテーパ面56a及び前後方向に対して垂直な、すなわち、本体部51の幅方向に延在する係止面56bを含んでいる。該係止面56bは、前記コネクタ1のハウジング11の係止凹部16の係止部16bに係止される。
【0046】
そして、前記底板部52の前端面52a、及び、天板部54の前端面54dにおける左右の側板部53に隣接した部分は、カバー50がコネクタ1のハウジング11に取付けられた状態で、左右の爪部56を結ぶ直線を仮想回動軸Pとしてカバー50がハウジング11に対して回動するような力が付与された場合に、前記ハウジング11の下部停止面14及び上部停止面17に、それぞれ、当接してカバー50の回動を停止させる第1当接部及び第2当接部として機能する。換言すると、前記前端面52a及び前端面54dは、下部停止面14及び上部停止面17に当接可能な第1当接部及び第2当接部であって、
図4(c)に示されるように、左右に離間した爪部56の位置に対し、上下方向及び前後方向に離れた位置となるようにハウジング11に配設されている。なお、爪部56の各々は、側板部53の前端であって上下方向の中央部に配設され、前記前端面52aは爪部56よりも前方に位置する。また、前記前端面54dは爪部56よりも後方に位置する。
【0047】
なお、前記天板部54は前後方向の寸法が底板部52より短く、その前端面54dは底板部52の前端面52aより後方に位置するので、接続用空間55の上面が大きく開放されている。
【0048】
そして、前記天板部54の前端面54dからは、長方形の平板状の補助板部54aが前方に延出する。該補助板部54aの下面54bは、カバー50がコネクタ1のハウジング11に装着された状態で、左右の爪部56を結ぶ軸を回動軸としてカバー50がハウジング11に対して回動するような力が付与された場合に、前記ハウジング11の接続凹部23の底面23aに当接してカバー50の回動を停止させる第3当接部として機能し、前記第1当接部又は第2当接部を補助する。
【0049】
また、前記補助板部54aの側面54cは、カバー50がコネクタ1のハウジング11に装着された状態で、左右の爪部56を結ぶ軸に垂直な軸を回動軸としてカバー50がハウジング11に対して回動するような力が付与された場合に、前記ハウジング11の後述される接続凹部23の側面23bに当接してカバー50の回動を停止させる第4当接部として機能する。さらに、接続凹部23が補助板部54aを受入れた状態で、爪部56は係止凹部16と係止及び離脱が可能である。
【0050】
前記電線ガイド基部61は本体部51の後端に接続された矩形の枠状の部材であり、天板部54の後端に沿って延在する上枠部61aと、底板部52の後端に沿って延在する下枠部61cと、左右の側板部53の後端に沿って延在する一対の側枠部61bとを備える。そして、上枠部61a、下枠部61c及び側枠部61bの各々の後端面には、電線通過孔65の前半割部65aが2つずつ並んで形成されている。
【0051】
該前半割部65aは、概略半円筒状の凹部であって、枠状の部材である電線ガイド基部61の内部と外部とを連通するように、上枠部61a、下枠部61c及び側枠部61bの各々の厚さ方向に延在する。子細に観ると、各前半割部65aは、内側テーパ部65a1、直管部65a2、外側テーパ部65a3及び最外側テーパ部65a4を含んでいる。そして、前半割部65aの内径は、直管部65a2において最も小さく、内側テーパ部65a1においては電線ガイド基部61の内部側の開口に向うに連れて拡大し、外側テーパ部65a3においては電線ガイド基部61の外部側の開口に向うに連れて拡大し、最外側テーパ部65a4においては電線ガイド基部61の外部側の開口に向うに連れて更に拡大するように変化する。
【0052】
また、直管部65a2の内面における電線ガイド基部61の内部側の箇所には、互いに対向する一対の突起66が形成されている。対向する突起66間の寸法は、電線91の外径よりも小さい。これにより、電線通過孔65を通過する電線91は、その外側の絶縁被覆層が前記突起66によって押潰されるようにして、挟持される。なお、少なくとも最外側テーパ部65a4の内径は、電線91の外径よりも大きく設定されている。そして、前半割部65aの形状は、全体的には、電線ガイド基部61の外部側の開口に向うに連れて内径が拡大するラッパ状の形状である。
【0053】
さらに、前記下枠部61cの左右両端における側枠部61bとの接続部分には、電線ガイド蓋部62の係合脚部64aと係合する凹部である係合脚受部64bが形成されている。また、前記係合脚部64aに形成された係合孔部66aと係合する凸部である係合突起部66bが形成されている。
【0054】
前記電線ガイド蓋部62は、関節部63を介して本体部51の後端に接続され、
図4に示されるような電線ガイド部を閉じた閉位置と、
図1〜3に示されるような電線ガイド部を開けた開位置との間で姿勢変化可能な部材である。そして、前記電線ガイド蓋部62は、長方形の平板状の背板部62dと、閉位置における背板部62dの上端に沿って延在する上枠部62aと、閉位置における背板部62dの下端に沿って延在する下枠部62cと、背板部62dの左右の側端に沿って延在する一対の側枠部62bとを備える。そして、上枠部62a、下枠部62c及び側枠部62bの各々の前端面には、電線通過孔65の後半割部65bが2つずつ並んで形成されている。
【0055】
該後半割部65bは、電線ガイド蓋部62が閉位置にあるとき、前半割部65aと一体となって電線通過孔65を構成する部分であり、前半割部65aと同様の形状を備える。そして、後半割部65bの内側テーパ部65b1、直管部65b2、外側テーパ部65b3及び最外側テーパ部65b4は、各々、前半割部65aの内側テーパ部65a1、直管部65a2、外側テーパ部65a3及び最外側テーパ部65a4と同様の形状を備える。なお、後半割部65bには突起66が形成されていない。そして、前半割部65aと後半割部65bとが一体となって構成する電線通過孔65の形状は、全体的には、電線ガイド部の外部側の開口に向うに連れて内径が拡大するラッパ状の形状である。
【0056】
さらに、前記下枠部62cの左右両端における側枠部62bとの接続部分には、係合孔部66aを含む係合脚部64aが形成されている。そして、電線ガイド蓋部62が閉位置になると、前記係合脚部64a及び係合孔部66aは、電線ガイド基部61の係合脚受部64b及び係合突起部66bと、それぞれ、係合し、電線ガイド蓋部62が閉位置にある状態を維持する。
【0057】
次に、前記コネクタ1の構成について説明する。
【0058】
図5は本実施の形態におけるコネクタを示す前方から観た斜視図、
図6は本実施の形態におけるコネクタを示す二面図である。なお、
図6において、(a)は側面図、(b)は(a)におけるA−A矢視断面図である。
【0059】
コネクタ1のハウジング11は合成樹脂等の絶縁性材料から一体的に形成された部材であって、図に示されるように、ハウジング本体12と、該ハウジング本体12における前端11f寄りの部分を覆う覆部13とを備える。
【0060】
前記ハウジング本体12は、後端11r寄りの基部12aと、該基部12aから前方へ延出する部分であって図示されない相手方コネクタと嵌合する嵌合部12bと、前端11fから後端11rまで貫通する本体貫通孔21を含んでいる。該本体貫通孔21の数はいくつであってもよいが、ここでは、電線91の数に合せて2つとなっている場合についてのみ説明する。そして、各本体貫通孔21は、各電線91の先端部分を収容する電線収容部21bと、各電線91の先端に接続された後述される端子95を収容する端子収容部21aとを含んでいる。図に示される例においては、電線収容部21bが形成された範囲がほぼ基部12aに対応し、端子収容部21aが形成された範囲がほぼ嵌合部12bに対応している。
【0061】
前記覆部13は、嵌合部12bの上方を覆う天板部13aと、嵌合部12bの左右の側方を覆う一対の側板部13bと、嵌合部12bの下方を覆う底板部13cとを含んでいる。そして、覆部13の内面と嵌合部12bの外面との間には、前端11fに開口し、後方に向けて延在する空間である嵌合空間部22が形成されている。該嵌合空間部22は、コネクタ1が相手方コネクタと嵌合する際に相手方コネクタの備える相手方ハウジングの嵌合部を収容する。
【0062】
また、嵌合部12bの上方と天板部13aとの間の空間から基部12aの上方の空間、すなわち、端子収容部21a及び電線収容部21bの上方の空間は、ロック部材の操作片19aの収容部19として機能する。前記ロック部材は、コネクタ1が相手方コネクタと嵌合する際に、相手方コネクタの備える相手方ロック部材をロックするための部材であって、前記操作片19aは、オペレータが手指等によって前記ロック部材のロック解除等の操作を行うための部材である。なお、前記ロック部材は、端子収容部21a及び電線収容部21bの上方に一体的に配設されている。
【0063】
前記基部12aの後端11rにおける左右の側面には、上下方向に延在する上部停止面17が形成されている。そして、前記上部停止面17は、カバー50がコネクタ1のハウジング11に装着された状態で、左右の爪部56を結ぶ軸を回動軸としてカバー50がハウジング11に対して回動するような力が付与された場合に、カバー50の天板部54の前端面54dに当接してカバー50の第2回動方向への回動(
図4(c)において、左側から観て、爪部56を中心とする反時計回り方向の回動)を停止させる第2停止部として機能する。
【0064】
また、ハウジング本体12と覆部13との接続部、より具体的には、基部12aの側面と側板部13bとの接続部15には、該接続部15の表面から凹入する係止凹部16が形成されている。
図6(b)に示されるように、該係止凹部16の前端は、後述されるシール部材80の係合突起84が挿入される連通開口16aを介して、嵌合空間部22における嵌合部12bの側面と側板部13bとの間の部分の後端と連通する。また、前記係止凹部16の後端には、カバー50の爪部56の係止面56bが係止される係止部16bが形成されている。なお、前記係止凹部16の前端には、前記連通開口16aに隣接して、後述されるシール部材80の係合突起84の前方係合部84aと係合するシール係合部16cが形成されている。
【0065】
前記基部12aの左右の側面における幅狭部分、すなわち、側面における下方の部分には段差部18が形成されている。該段差部18によって、
図6(b)に示されるように、幅狭部分の幅は後方に行くに従って漸減する。すなわち、左右の段差部18同士の間隔は、ハウジング11から電線91が延出する方向に向うに連れて漸減する。図に示される例において、段差部18における各段の角部を結ぶような包絡面は、
図6(b)において直線状の破線L3で示されるように、後方に行くに従って互いの間隔が漸減するテーパ面となっている。
【0066】
仮に、前記段差部18に代えて、スムーズなテーパ面が形成されているとすると、カバー50をハウジング11の後方から相対的に前進させてハウジング11に装着させる際に、カバー50の左右の爪部56は、そのテーパ面56aが前記テーパ面に沿ってスライドすることによって、その間隔がスムーズに押広げられつつ、係止凹部16にまで到達することができる。しかし、オペレータが手指等によって、カバー50及び/又はハウジング11を操作し、カバー50をハウジング11の後方から相対的に前進させる際には、必ずしも、カバー50がハウジング11に対して適正な姿勢、すなわち、平面視においてカバー50の前後方向に延在する中心軸とハウジング11の前後方向に延在する中心軸とが一致した姿勢にならず、カバー50の中心軸とハウジング11の中心軸とが傾斜した姿勢になることがある。このような姿勢でカバー50がハウジング11に対して前進すると、左右の爪部56のテーパ面56aがハウジング11の左右のテーパ面に当接したまま進行し、係止凹部16に到達する前に、左右の爪部56の間隔が最大限にまで広げられるので、左右の爪部56のテーパ面56aがハウジング11のテーパ面に密着して、カバー50の前進も後退も、また、姿勢変化も不能となってしまう可能性がある。
【0067】
これに対して、本実施の形態においては、ハウジング11の基部12aの左右の側面が段差部18となっているので、平面視においてカバー50の中心軸がハウジング11の中心軸に対して傾斜した姿勢のままでカバー50がハウジング11に対して前進しても、左右の爪部56のテーパ面56aがともにハウジング11の基部12aの左右の側面に密着してしまうことがない。したがって、係止凹部16に到達する前に、左右の爪部56の間隔が最大限にまで広げられてカバー50の前進が不能になっても、その状態でカバー50の後退又は姿勢変化が可能なので、オペレータは、カバー50の姿勢を修正してカバー50の中心軸とハウジング11の中心軸とを一致させた後に、再度、カバー50をハウジング11に対して前進させ、左右の爪部56を係止凹部16にまで到達させることができる。
【0068】
このように、本実施の形態においては、ハウジング11の基部12aの左右の側面が後方に行くに従って互いの間隔が漸減する段差部18となっているので、カバー50の中心軸とハウジング11の中心軸とが一致する場合のみならず、カバー50の中心軸がハウジング11の中心軸に対して傾斜した場合であっても、カバー50をハウジング11に対して前進させて、左右の爪部56を係止凹部16と係止させることができる。
【0069】
また、基部12aの下面と底板部13cとの接続部分には、ハウジング11の幅方向に延在する下部停止面14が形成されている。該下部停止面14は、カバー50がコネクタ1のハウジング11に装着された状態で、左右の爪部56を結ぶ軸を回動軸としてカバー50がハウジング11に対して回動するような力が付与された場合に、カバー50の底板部52の前端面52aに当接してカバー50の第1回動方向への回動(
図4(c)において、左側から観て、爪部56を中心とする時計回り方向の回動)を停止させる第1停止部として機能する。
【0070】
さらに、基部12aの後面における電線収容部21bの上方には、接続凹部23が開口している。該接続凹部23は、カバー50がハウジング11に装着された状態でカバー50の補助板部54aが挿入される凹部であって、前記補助板部54aの下面54bと対向する底面23aと、前記補助板部54aの左右の側面54cと対向する左右の側面23bとを含んでいる。前記接続凹部23の底面23aは、カバー50がコネクタ1のハウジング11に装着された状態で、左右の爪部56を結ぶ軸を回動軸としてカバー50がハウジング11に対して回動するような力が付与された場合に、カバー50の補助板部54aの下面54bに当接してカバー50の第1回動方向への回動を停止させる第3停止部として機能し、前記第1停止部又は第2停止部を補助する。また、前記接続凹部23の側面23bは、カバー50がコネクタ1のハウジング11に装着された状態で、左右の爪部56を結ぶ軸に垂直な軸を回動軸としてカバー50がハウジング11に対して回動するような力が付与された場合に、カバー50の補助板部54aの側面54cに当接してカバー50の回動を停止させる第4停止部として機能する。
【0071】
次に、前記ハウジング11に装着されるシール部材80の構成について説明する。
【0072】
図7は本実施の形態におけるシール部材を示す斜視図、
図8は本実施の形態におけるシール部材を示す二面図である。なお、
図7において、(a)は前方から観た図、(b)は後方から観た図であり、
図8において、(a)は側面図、(b)は(a)におけるB−B矢視断面図である。
【0073】
シール部材80は、例えば、シリコーンゴム等のゴムのように柔軟性を有する樹脂製の一体的に形成された部材であり、断面が略楕円形のような筒状の全体形状を有する。そして、前記シール部材80は、筒状の後方部81と、該後方部81の前端から前方に向けて延出する前方部82と、前記後方部81及び前方部82を連続して貫通する貫通孔部83とを含んでいる。また、前記後方部81の左右両側面には、外方へ向けて突出する係合突起84が一体的に接続されている。なお、該係合突起84の前面には、ハウジング11の係止凹部16に形成されたシール係合部16cと係合する前方係合部84aが形成されている。
【0074】
前記シール部材80は、ハウジング11の嵌合部12bの周囲に嵌付けられる。具体的には、後述されるように、前記貫通孔部83に嵌合部12bが挿入された状態となり、後方部81が基部12aと嵌合部12bとの接続部分の周囲を覆い、前方部82が前記接続部分から所定の長さまでの範囲内の嵌合部12bの周囲を覆うようになる。また、係合突起84は、連通開口16aを通って係止凹部16内に進入し、前方係合部84aがシール係合部16cと係合する。このように、係合突起84が係止凹部16と係合することによって、シール部材80が位置決めされる。
【0075】
次に、前記カバー50をコネクタ1に装着する動作について説明する。なお、ここでは、電線91はコネクタ1に接続されていないものとする。すなわち、カバー50がコネクタ1に装着された後に、電線91がコネクタ1に接続されるものとする。
【0076】
図9は本実施の形態におけるカバーをコネクタに装着する動作を示す斜視図、
図10は本実施の形態におけるカバーがコネクタに取付けられた状態を示す第1の二面図、
図11は本実施の形態におけるカバーがコネクタに取付けられた状態を示す第2の二面図である。なお、
図9において、(a)はカバー側から観た図、(b)はコネクタ側から観た図であり、
図10において、(a)は側面図、(b)は(a)におけるC−C矢視断面図であり、
図11において、(a)は
図10(a)におけるD−D矢視断面図、(b)は
図10(a)におけるD−D矢視断面を含む斜視図である。
【0077】
まず、オペレータは、手指等によって、コネクタ1のハウジング11にシール部材80を装着する。該シール部材80の装着が完了すると、
図10(b)及び11に示されるように、後方部81がハウジング11の基部12aと嵌合部12bとの接続部分の周囲を覆い、前方部82が前記接続部分から所定の長さまでの範囲内の嵌合部12bの周囲を覆い、係合突起84が連通開口16aを通って係止凹部16内に進入し、前方係合部84aがシール係合部16cと係合する。
【0078】
続いて、オペレータは、手指等によって、カバー50をコネクタ1の後方に位置させ、カバー50及びコネクタ1の姿勢を制御し、ハウジング11の後端11rと本体部51の前端とを正対させる。すなわち、下部停止面14に対して底板部52の前端面52aが正対し、平面視においてカバー50の前後方向に延在する中心軸とハウジング11の前後方向に延在する中心軸とが一致する姿勢とする。
【0079】
そして、オペレータは、カバー50をコネクタ1に対して相対的に前進させ、
図9に示されるような位置関係にする。続いて、オペレータがカバー50をコネクタ1に対して更に前進させると、左右の爪部56は、各段の角部を結ぶ包絡面がテーパ面となっている段差部18に沿って前進することにより、間隔が押広げられる。そして、左右の爪部56が段差部18の前方に位置する係止凹部16に到達すると、前記爪部56が係止凹部16に嵌込まれ、
図1、10及び11に示されるように、カバー50のコネクタ1への装着が完了する。
【0080】
なお、カバー50をコネクタ1に対して相対的に前進させる際に、平面視においてカバー50の中心軸がハウジング11の中心軸に対して傾斜した姿勢となり、係止凹部16に到達する前に、左右の爪部56の間隔が段差部18によって最大限にまで広げられてカバー50の前進が不能になっても、前述のように、その状態でカバー50の後退又は姿勢変化が可能である。したがって、オペレータは、カバー50の姿勢を修正してカバー50の中心軸とハウジング11の中心軸とを一致させた後に、再度、カバー50をハウジング11に対して前進させ、カバー50をコネクタ1に装着することができる。
【0081】
カバー50のコネクタ1への装着が完了すると、左右の爪部56が係止凹部16に嵌込まれて該係止凹部16と係合するので、カバー50がコネクタ1から離脱することが効果的に防止される。より詳細には、爪部56の係止面56bが係止凹部16の係止部16bに係止される。また、係止凹部16内において、爪部56は、シール部材80の係合突起84に当接して後方に押圧される。これにより、爪部56の係止凹部16に対する位置関係が安定し、その結果、カバー50のコネクタ1に対する位置関係が安定し、カバー50のコネクタ1に対するがたつきが防止される。
【0082】
また、カバー50のコネクタ1への装着が完了すると、底板部52の前端面52aは下部停止面14に対向し、天板部54の前端面54dは上部停止面17に対向し、補助板部54aは接続凹部23に進入し、補助板部54aの下面54b及び側面54cは接続凹部23の底面23a及び側面23bに対向する。
【0083】
さらに、カバー50のコネクタ1への装着が完了すると、左右の側板部53の内側面における上端近傍部分が基部12aの側面における段差部18の上方部分に対向する。前記側板部53の内側面における上端近傍部分は側板上端部53aである第5当接部53aとして機能し、前記基部12aの側面における段差部18の上方部分は側面下方部12cである第5停止部12cとして機能する。そして、左右の爪部56を結ぶ軸に垂直な軸を回動軸としてカバー50がハウジング11に対して回動するような力が付与された場合に、側板上端部53aが、側面下方部12cに当接して、カバー50の回動が停止する。
【0084】
次に、電線91がコネクタ1に接続された状態について説明する。
【0085】
図12は本実施の形態におけるコネクタに電線が接続された状態を示す斜視図、
図13は本実施の形態におけるコネクタに電線が接続された状態を示す正面図、
図14は本実施の形態におけるコネクタに電線が接続された状態を示す二面図である。
図12において、(a)はカバー側から観た図、(b)は電線の引出態様を説明する図であり、
図14において、(a)は側面図、(b)は(a)におけるE−E矢視断面図である。
【0086】
図14(b)に示されるように、電線91の先端には、金属等の導電性材料から成る端子95があらかじめ接続されている。なお、該端子95は、絶縁被覆によって周囲が被覆された電線91の芯金に導通するように接続されている。そして、オペレータは、手指等によって、端子95が接続された電線91の先端を、
図1〜3に示されるような電線ガイド蓋部62が開位置にある状態において、カバー50の後方から接続用空間55を通して、ハウジング11の後端11rに開口する本体貫通孔21内に挿入する。これにより、電線91はコネクタ1に接続される。そして、電線91がコネクタ1に接続された状態において、端子95は端子収容部21a内に収容されて保持され、前記端子95の後端に接続された電線91の先端部分は電線収容部21b内に収容されて保持される。なお、前記電線91の先端部分の周囲には、ゴム等の柔軟性を備える材料から成る電線用シール部材93が嵌付けられており、該電線用シール部材93は、電線収容部21bの内面と電線91の先端部分の外面との間の隙間を密閉し、後端11rから塵埃、水分等の異物が本体貫通孔21内に進入することを防止する。
【0087】
続いて、オペレータは、電線91のコネクタ1への付け根部分、すなわち、後端11rにおける本体貫通孔21の開口から後方へ向けて接続用空間55に延出した部分を、上下左右のうちの任意の方向に湾曲し、電線ガイド基部61に形成された前半割部65aに押込む。該前半割部65aに押込まれた電線91は、その外側の絶縁被覆層が前半割部65aの内面に形成された一対の突起66によって押潰されるようにして、挟持される。
【0088】
続いて、オペレータは、電線ガイド蓋部62の姿勢を閉位置に変化させ電線ガイド基部61の後部を閉じる。これにより、電線91は、電線通過孔65を通って、電線ガイド部から外方へ導出された状態となる。なお、電線91は、いずれの電線通過孔65を通って外方へ導出されてもよい。
図12(b)には、説明のために、電線91が仮想的にすべての電線通過孔65を通って外方へ導出された状態が示されているが、本実施の形態において、電線91は2本である。また、電線91は、2本が並んで、上下左右のいずれかの方向に導出されてもよいし、1本ずつ別々の方向に導出されてもよいが、ここでは、
図12(a)、13等に示されるように、2本が並んでともに下方に導出されている例について説明する。
【0089】
前述のように、電線通過孔65の内面に形成された一対の突起66によって電線91が挟持されているので、電線91の外方へ導出された部分に引張力が付与されても、電線91がコネクタ1から抜けてしまうことがない。また、前述のように、電線通過孔65の形状は、全体的に、電線ガイド部の外部側の開口に向うに連れて内径が拡大するラッパ状の形状なので、電線91の外方へ導出された部分に振動や煽りが付与されても、電線91の絶縁被覆層が電線通過孔65の外部側の端部から損傷を受けることがない。
【0090】
ここでは、カバー50がコネクタ1に装着された後に、電線91がコネクタ1に接続される例についてのみ説明したが、電線91がコネクタ1に接続された後に、カバー50をコネクタ1に装着することもできる。この場合、例えば、カバー50の本体部51の底板部52に、電線91が通過可能な幅のスリットであって前後に延在して底板部52を左右に分割するようなスリットを形成することが望ましい。これにより、電線91がコネクタ1に接続された後でも、カバー50をコネクタ1に容易に装着することができる。
【0091】
このように、本実施の形態において、カバー50は、電線91が接続されるコネクタ1のハウジング11に取付けられ、電線91のハウジング11から延出する部分を覆うようになっている。そして、カバー50は、ハウジング11の係止凹部16に係止可能な一対の爪部56と、ハウジング11の下部停止面14と当接可能な前端面52aと、ハウジング11の上部停止面17と当接可能な前端面54dとを備え、前端面52aは、左右に離間した爪部56を結ぶ線を仮想回動軸Pとする回動の第1回動方向に下部停止面14と当接可能であり、前端面54dは第1回動方向と反対の第2回動方向に上部停止面17と当接可能である。
【0092】
一方、コネクタ1は、端子95を収容し、端子95に接続された電線91が延出するハウジング11を備え、電線91のハウジング11から延出する部分を覆うカバー50がハウジング11に取付けられるようになっている。そして、カバー50の爪部56が係止可能な一対の係止凹部16と、カバー50の前端面52aが当接可能な下部停止面14と、カバー50の前端面54dが当接可能な上部停止面17とを備え、下部停止面14は、仮想回動軸Pの回りの第2回動方向に前端面52aと当接可能であり、上部停止面17は第2回動方向と反対の第1回動方向に前端面54dと当接可能である。
【0093】
これにより、カバー50がコネクタ1のハウジング11に取付けられた状態で、カバー50をハウジング11に対して回動させるような外力が付与された場合であっても、カバー50のハウジング11に対する回動を効果的に防止することができ、その結果、カバー50がハウジング11から外れてしまうことを効果的に防止することができる。
【0094】
さらに、カバー50は、ハウジング11の底面23aと当接可能な補助板部54aの下面54bを更に備え、補助板部54aの下面54bは第1回動方向にハウジング11の底面23aと当接可能である。一方、コネクタ1は、カバー50の補助板部54aの下面54bが当接可能なハウジング11の底面23aを更に備え、ハウジング11の底面23aは第2回動方向に補助板部54aの下面54bと当接可能である。これにより、カバー50のハウジング11に対する回動を更に効果的に防止することができる。
【0095】
さらに、カバー50は、複数の電線通過孔65を含む電線ガイド部を更に備え、電線91は、電線通過孔65を通過して、ハウジング11から延出する方向と異なる方向に、電線ガイド部から延出する。そして、電線通過孔65は内面に形成された突起66を含み、電線通過孔65を通過する電線91は突起66によって挟持される。したがって、電線91の外方へ導出された部分に外力が付与されても、電線91がコネクタ1から抜けてしまうことがない。
【0096】
さらに、ハウジング11は、ハウジング11から電線91が延出する方向に関して係止凹部16の下流側に形成された一対の段差部18を含み、一対の段差部18同士の間隔は、ハウジング11から電線91が延出する方向に向うに連れて漸減する。したがって、カバー50をハウジング11に取付ける際に、左右の爪部56は、段差部18に沿って進行することによって、間隔が押広げられ、係止凹部16に到達すると、爪部56を係止凹部16に嵌込むことができる。また、カバー50の姿勢が不適切で前進不能となっても、カバー50の姿勢を修正して、左右の爪部56を段差部18に沿って進行させることができる。
【0097】
さらに、ハウジング11には、一対の係合突起84を含むシール部材80が装着され、シール部材80は、係合突起84が係止凹部16と係合することによって位置決めされる。これにより、爪部56も係合突起84と係合するので、カバー50も位置決めされる。
【0098】
なお、本明細書の開示は、好適で例示的な実施の形態に関する特徴を述べたものである。ここに添付された特許請求の範囲内及びその趣旨内における種々の他の実施の形態、修正及び変形は、当業者であれば、本明細書の開示を総覧することにより、当然に考え付くことである。