【実施例1】
【0041】
以下、図面を参照して本発明の実施例1を説明する。
【0042】
<全体構成の説明>
図1に、実施例1に係る基板転写装置1の基本構成の平面図が示されている。
【0043】
実施例1に係る基板転写装置1は、
図2(a)に示すように、半導体ウエハW(以下、単に「ウエハW」という)の一方の面に粘着テープT1が貼付けられたマウントフレームMF1から、当該ウエハWの同じ面(一方の面)に新たな粘着テープT2が貼付けられたマウントフレームMF2へとウエハWを転写するものである。
【0044】
一方で、従来例に係る基板転写装置は
図2(b)に示すように、ウエハWの一方の面に粘着テープT1が貼付けられたマウントフレームMF1から(上段)、当該ウエハWの他方の面に新たな粘着テープT2を貼り付け(中段)、粘着テープT1を剥離することによって粘着テープT1から粘着テープT2へと転写させるものである(下段)。このように、転写される面が異なるという点において、本発明に係る基板転写装置1は従来の基板転写装置と相違する。
【0045】
マウントフレームMF1は
図2(c)に示すように、ウエハWの一方の面とリングフレームfとに粘着テープT1を貼付けて製作される。マウントフレームMF2はウエハWの一方の面とリングフレームfとに、粘着テープT1とは異なる新たな粘着テープT2を貼り付けて製作される。なお本実施例において、マウントフレームMF1におけるリングフレームfには符号f1を付し、マウントフレームMF2におけるリングフレームfには符号f2を付して両者を区別する。
【0046】
なお、本実施例で使用されている粘着テープT1および粘着テープT2について、粘着テープT1としては回路保護用の粘着テープとし、粘着テープT2としては耐熱性の粘着テープとする。但し、粘着テープT1および粘着テープT2の特性としては本実施例の構成に限定されるものではなく、ウエハWを処理する目的に応じて、異なる特性を有する粘着テープを適宜用いてよい。
【0047】
本発明に係る基板転写装置1は
図1に示すように、マウントフレーム収納部3と、第1搬送機構5と、保持テーブル7と、第1テープ切断機構9と、紫外線照射機構11と、テープ剥離機構13と、リングフレーム供給部15と、テープ貼付機構17と、第2テープ切断機構19と、マウントフレーム回収部25とを備えている。
【0048】
なお、以後の説明において、
図1におけるx方向を左右方向、z方向を上下方向とする。y方向については
図1の下側を「手前側」とし、
図1の上側を「奥側」とする。すなわち、マウントフレーム回収部25は、
図1に示す基板転写装置1においてマウントフレーム収納部3より奥側に配置されている。なお、基板転写装置1における各構成の配置は
図1に示す構成に限ることはなく、適宜変更してよい。
【0049】
マウントフレーム収納部3は
図3に示すように、ウエハWの一方の面とリングフレームf1とに粘着テープT1を貼付けて製作されるマウントフレームMF1を収納する収納部71が配備されている。この収納部71は、装置フレームに連結固定された縦レール73と、この縦レール73に沿ってモータ75でネジ送り昇降される昇降台77が備えられている。
【0050】
したがって、マウントフレーム収納部3は、マウントフレームMF1を昇降台77に載置してピッチ送り昇降するよう構成されている。また、リングフレーム供給部15およびマウントフレーム回収部25もマウントフレーム供給部3と同様の構成になっている。
図3に示されるマウントフレーム収納部3の構成は一例であり、マウントフレームを収納・供給できる構成であれば適宜構成を変更してよい。
【0051】
第1搬送機構5は、マウントフレーム収納部3に収納されているマウントフレームMF1を、切断位置Sに配置されている保持テーブル7へと搬送する。また、第1搬送機構5は後述するように、第1テープ切断機構9によって粘着テープT1が切り抜かれることによって、ウエハWから分離したリングフレームf1をマウントフレーム収納部3に搬送する機能も有する。すなわちウエハWから分離したリングフレームf1および粘着テープT1は、第1搬送機構5によってマウントフレーム収納部3に回収される。粘着テープT1は、本発明における第1の粘着テープに相当する。
【0052】
保持テーブル7はマウントフレームMF1およびマウントフレームMF2を載置保持するものであり、
図1に示されている切断位置S、転写位置R、照射位置T、および剥離位置Uとの間をそれぞれ往復移動することが可能となるように構成されている。保持テーブル7は
図4ないし
図7に示すように、リングフレームfを保持する環状のフレーム保持部29と、ウエハWを保持する円形のウエハ保持部31とを備えている。またフレーム保持部29およびウエハ保持部31の各々は、載置面の高さを適宜、独自に調節可能に構成される。保持テーブル7は本発明における保持部および保持部材に相当する。
【0053】
フレーム保持部29の保持面には、リングフレームfを吸着保持する吸着孔が形成されている。ウエハ保持部31の保持面には、ウエハWを吸着保持する吸着孔が形成されている。粘着テープT1の切断をより好適に実行するという観点から、ウエハ保持部31の径はウエハWの直径以下であることが好ましい。実施例1において、保持テーブル7は粘着テープT1を非保持面側にした状態で、リングフレームfおよびウエハWを吸着保持する。すなわち、保持テーブル7はマウントフレームMF1を、粘着テープT1が上面側となるように保持する。
【0054】
第1テープ切断機構9は
図4に示すように、切断位置Sに保持テーブル7が位置する場合において、保持テーブル7の上方に配置されており、フレーム33と、可動台35と、支持アーム37と、カッタユニット39とを備えている。可動台35は、フレーム33に沿って昇降移動を可能とする。支持アーム37は、可動台35から片持ち支持されたアームの先端下部に設けられており、ウエハWの径方向に伸縮するように構成されている。
【0055】
カッタユニット39は支持アーム37を介して可動台35に接続されている。カッタユニット39には、刃先を下向きにしたカッタ41がカッタホルダを介して装着されている。カッタユニット39は、支持アーム37を介して旋回半径を調整可能となるように構成されている。カッタ41は支持アーム37を介してz方向の軸回りに旋回し、マウントフレームMF1に貼付けられている粘着テープT1を、ウエハWの外形に沿って切断する。第1テープ切断機構9は、本発明におけるテープ切断部に相当する。リングフレーム供給部15は、新たなリングフレームf2を転写位置Rへ搬送するフレーム搬送部Fを備えている。
【0056】
紫外線照射機構11は、照射位置Tに保持テーブル7が位置する場合において、保持テーブル7の上方に配置されており、ウエハWの上面側(保持テーブル7の非保持面側)に位置する粘着テープT1に対して紫外線を照射する。粘着テープT1として紫外線硬化性のテープである場合、紫外線照射によって粘着テープT1の粘着力は低下するので、容易に粘着テープT1を剥離できるようになる。
【0057】
テープ剥離機構13は、剥離位置Uに保持テーブル7が位置する場合において、保持テーブル7の上方に配置されており、粘着テープT1をウエハWから剥離して回収する。テープ剥離機構13は
図5(a)に示すように、ロール巻きされた剥離テープQを案内する案内ローラ83と、ナイフエッジ状の剥離部材85と、剥離テープQを回収する巻き取り軸87とを備えている。
【0058】
剥離テープQは案内ローラ83によって剥離部材85へ案内され、剥離部材85において折り返し反転した後、巻き取り軸87によって巻き取り回収される。すなわち
図5(b)に示すように、ウエハWの表面に貼り付けられている粘着テープT1に剥離テープQを貼り付けた状態で、ウエハWを保持している保持テーブル7を移動させることによって、粘着テープT1は剥離テープQと一体となってウエハWの表面から剥離される。
【0059】
テープ貼付機構17は
図6に示すように、転写位置Rに保持テーブル7が位置する場合において、保持テーブル7の上方に配置されており、テープ供給部43と、貼付ローラ45と、剥離ローラ49と、テープ回収部51とを備えている。テープ供給部43は、ロール巻きした幅広の粘着テープT2を装填する。貼付ローラ45は、転写位置Rに搬入されているウエハWと、リングフレーム供給部15から新たに供給されたリングフレームf2との上面にわたって、粘着テープT2を貼付ける。
【0060】
テープ貼付機構17によってウエハWは粘着テープT2に転写され、マウントフレームMF2が作製される。テープ貼付機構17は、本発明における転写機構に相当する。粘着テープは、本発明における第2の粘着テープに相当する。
【0061】
第2テープ切断機構19はテープ貼付機構17と同様に、転写位置Rに保持テーブル7が位置する場合において、保持テーブル7の上方に配置されている。第2テープ切断機構19は
図7に示すように、フレーム53と、支軸55と、支持アーム57と、カッタ59と、押圧ローラ61とを備えている。
【0062】
支軸55は、フレーム53に沿って昇降移動を可能としており、z方向の軸回りに回転する。支持アーム57は、支軸55を中心に径方向に複数本延伸している。カッタ59は支持アーム57aの先端に設けられており、貼付けられた粘着テープT2をリングフレームfに沿って切断する。押圧ローラ61は支持アーム57bの先端に設けられており、リングフレームf2上のテープ切断部位を転動しながら押圧する。
【0063】
マウントフレーム回収部25は、粘着テープT1から粘着テープT2への転写によって形成されたマウントフレームMF2を回収・収納する。
【0064】
また、基板転写装置1は
図1に示すように、さらにウエハ収納部91と、ウエハ搬送機構93と、ウエハアライメント部95とを備えている。ウエハ収納部91はウエハWを積層収納する。ウエハ搬送機構93はウエハ収納部91に収納されているウエハWをウエハアライメント部95へ搬送する。ウエハアライメント部95は、搬送されたウエハWの位置合わせを行う。
【0065】
これらの構成はウエハWとリングフレームの一方の面にわたって粘着テープを貼り付けてマウントフレームを作製するために用いられる。本実施例では既にマウントフレームMF1が作製されてマウントフレーム収納部3に収納されている場合を例にとって説明するが、本実施例に係る基板転写装置1は、ウエハWを用いてマウントフレームMF1を作製する、ウエハマウント装置としても用いることができる。
【0066】
<動作の説明>
次に、実施例1に係る基板転写装置1を用いて、所望の処理が施されたマウントフレームMF1から、新しいマウントフレームMF2にウエハWを転写する動作について説明する。
図8(a)は基板転写装置1の動作を示すフローチャートである。
図8(b)は各ステップにおけるマウントフレームMFの概略構成を示す図である。
【0067】
なお、本発明では、ウエハWにおいて回路パターンが形成されている側の面を表面として説明する。また本実施例では、マウントフレームMF1において、保護用の粘着テープである粘着テープT1が、ウエハWの表面に貼り付けられているものとする。さらに本実施例において、粘着テープT1の粘着層は、紫外線硬化性の粘着剤で構成されるものとする。
【0068】
ステップS1(マウントフレームの保持)
マウントフレーム収納部3には、粘着テープT1がウエハWの表面に貼り付けられて作製されるマウントフレームMF1が積層収納されている。第1搬送機構5はマウントフレームMF1を把持して、
図9に示すように、点線で示す位置から実線で示す位置へと移動する。
【0069】
そして第1搬送機構5は、粘着テープT1が貼付されている面を上側にして、切断位置Sに位置している保持テーブル7にマウントフレームMF1を載置する。第1搬送機構5はマウントフレームMF1を載置した後、待避位置(一例として点線で示す左側の位置)に移動する。マウントフレームMF1が載置された後、フレーム保持部29はリングフレームf1を吸着保持し、ウエハ保持部31はウエハWを吸着保持する。このように、保持テーブル7は粘着テープT1を非保持面側として、マウントフレームF1を吸着保持する。ステップS1における一連の工程は、本発明における保持工程に相当する。
【0070】
ステップS2(粘着テープT1の切断)
マウントフレームMF1が吸着保持された後、第1テープ切断機構9が作動し、粘着テープT1の切断が開始される。すなわち第1テープ切断機構9が作動することによって、
図10(a)に示すように、カッタユニット39が所定の高さまで下降してカッタ41が粘着テープT1に突き刺される。その状態でカッタ41はウエハWの中心を通るz方向の軸回りに旋回し、ウエハWとリングフレームf1との間で粘着テープT1を切断する。本実施例では、カッタ41をウエハWの外径に接触させながら粘着テープT1を切断しているので、粘着テープT1はウエハWと同一の大きさの円形に切り抜かれる。
【0071】
粘着テープT1の切断が完了すると、カッタユニット39は上昇して点線で示す待機位置に戻る。粘着テープT1をウエハWとリングフレームf1との間で切断することにより、
図10(b)に示すように、粘着テープT1を介して繋がっていたリングフレームf1とウエハWとは分離される。実施例1ではカッタ41をウエハWの外径に接触させながら、粘着テープT1をウエハWと同一の形状および大きさに切り抜くので、粘着テープT1のうち粘着面が露出している部分(露出部P)がウエハWから分離される。ステップS2における一連の工程は、本発明におけるテープ切断工程に相当する。
【0072】
ステップS3(リングフレームf1の回収)
粘着テープT1の切断が完了した後、第1搬送機構5によるリングフレームf1の回収を行う。すなわち、第1搬送機構5は
図11に示すように、待避位置から切断位置Sへ移動する。そして第1搬送機構5はマウントフレームMF1の上方において、所定の高さまで下降してリングフレームf1を把持する。リングフレームf1を吸着保持した第1搬送機構5は再度上昇し、左側へ移動してリングフレームf1をマウントフレーム収納部3に収納させる。
【0073】
ステップS2において、粘着テープT1はウエハWの外形に沿って切断されているので、切り抜かれた粘着テープT1(ウエハWから分離された部分の粘着テープT1)は、リングフレームf1とともに第1搬送機構5によって回収される。切り抜かれた粘着テープT1には露出部Pが含まれている。従って、粘着テープT1の露出部Pはリングフレームf1に伴って回収されるので、ステップS2およびステップS3の工程により、保持テーブル7の上で粘着テープT1の粘着面が露出することを回避できる。
【0074】
ステップS4(粘着テープT1の剥離)
リングフレームf1および切り抜かれた粘着テープT1の回収を完了した後、ウエハWの表面に貼付けられている粘着テープT1の剥離を開始する。保持テーブル7はウエハWを吸着保持した状態で、切断位置Sから照射位置Tへ移動する。紫外線照射機構11は、照射位置Tへ搬入されたウエハWの粘着テープT1に対して紫外線を照射する。粘着テープT1の接着層は紫外線硬化性の粘着剤で構成されるので、紫外線の照射によって粘着テープT1の粘着力は低減する。
【0075】
紫外線が照射された後、保持テーブル7はウエハWを吸着保持した状態で照射位置Tから剥離位置Uへ移動する。テープ剥離機構13は、ウエハWの上面側に位置する粘着テープT1をウエハWから剥離して回収する。すなわち
図5(b)に示すように、保持テーブル7に保持されているウエハWの表面に貼り付けられている、粘着テープT1に剥離テープQを貼り付ける。そして粘着テープT1に剥離テープQを貼り付けた状態で、保持テーブル7を
図5(a)の中右方に移動させる。
【0076】
保持テーブル7を移動させることにより、
図5(b)に示すように、剥離テープQが剥離部材85の先端で折り返し走行するので、粘着テープT1は剥離テープQと一体となってウエハWの表面から剥離される。剥離テープQは剥離された粘着テープT1とともに、案内ローラ83によって剥離部材85へ案内され、剥離部材85において折り返し反転した後、巻き取り軸87によって巻き取り回収される。
【0077】
なお、ステップS4を開始する時点において、粘着テープT1の露出部Pは既にウエハWから分離され、回収除去されている。そのため、粘着テープT1は粘着面がウエハWの外側にはみ出ていないので、粘着テープT1を剥離する際に、粘着テープT1とウエハWの側面とが接着することを確実に回避できる。また、粘着テープT1と基板保持部31とが接着することを確実に回避することも可能となる。ステップS4における一連の工程は、本発明におけるテープ剥離工程に相当する。
【0078】
ステップS5(リングフレームf2の供給)
粘着テープT1の剥離を完了した後、新しいリングフレームf2の供給を行う。すなわち保持テーブル7はウエハWを吸着保持した状態で、剥離位置Uから転写位置Rへと移動する。フレーム搬送部Fは、リングフレーム供給部15に収納されているリングフレームf2の上面を吸着保持し、転写位置Rへと移動する。
【0079】
そしてフレーム搬送部Fは
図12に示すように、転写位置Rに位置しているリングフレーム保持部29にリングフレームf2を載置する。フレーム搬送部Fはリングフレームf2を載置した後、待避位置へ移動する。リングフレームf2が載置された後、フレーム保持部29はリングフレームf2を吸着保持する。リングフレームf2が吸着保持されることにより、リングフレームf2の供給は完了する。なお、リングフレームf2を供給する工程は、粘着テープT1を剥離する工程の前に行ってもよい。
【0080】
ステップS6(粘着テープT2の貼付け)
粘着テープT1の剥離およびリングフレームf2の供給が完了した後、テープ貼付機構17が作動し、粘着テープT2の貼付けを開始する。すなわちテープ貼付機構17が作動することによって、
図13(a)に示すように、貼付ローラ45が所定の高さまで下降して図における右から左へ転動する。貼付ローラ45が転動することによって、テープ供給部43に装填されている粘着テープT2は、ウエハWおよびリングフレームf2の上面にわたって貼付けられる(
図13(b))。
【0081】
ウエハWの上面はすなわち、粘着テープT1が剥離されたウエハWの表面側である。そのため、粘着テープT2が貼付けられることにより、ウエハWの表面は粘着テープT1から新しい粘着テープT2へ転写される。すなわち転写によってウエハWの同一面において転写が行われ、新たなマウントフレームMF2が作製される。ステップS5における一連の工程は、本発明における転写工程に相当する。
【0082】
ステップS7(粘着テープT2の切断)
ウエハWおよびリングフレームf2に粘着テープT2を貼り付けた後、第2テープ切断機構19が作動し、粘着テープT2の切断が開始される。すなわち
図14に示すように、第2テープ切断機構19が作動することによって、支軸55は所定の高さまで下降し、カッタ59が粘着テープT2に突き刺される。この状態で支軸55をz方向の軸回りに回転させ、粘着テープT2をリングフレームf2に沿って円形に切断する。
【0083】
リングフレームf2上で粘着テープT2が切断された部位は、転動する押圧ローラ61によって押圧される。その後、テープ貼付機構17に設けられている剥離ローラ49を図の右から左に転動させて、切断線の外側に残された不要な粘着テープT2をリングフレームf2から剥離する。剥離された不要な粘着テープT2は、テープ回収部51によって巻き取り回収される。
【0084】
ステップS8(マウントフレームの回収)
粘着テープT2の貼付けおよび切断が完了した後、マウントフレームの回収を行う。すなわち図示しない第2搬送装置は、粘着テープT2の貼付によって形成されたマウントフレームMF2を、マウントフレーム回収部25へ搬送する。マウントフレーム回収部25は、マウントフレームMF2を回収・収納する
【0085】
以上の一連の動作により、ウエハWの表面に粘着テープT1が貼り付けられて構成されるマウントフレームMF1から、ウエハWの表面に粘着テープT2が貼り付けられて構成されるマウントフレームMF2へ転写させる工程が全て完了する。
【0086】
以上で一巡の基本動作が終了し、以後同じ動作が繰り返される。
【0087】
<実施例1の構成による効果>
従来の基板転写方法では、
図2(b)に示すように、ウエハWの一方の面から他方の面へ粘着テープを転写する。そのため、ウエハの同じ面に異なる粘着テープを貼り付ける必要がある場合、従来では2回転写を行う必要があった。
【0088】
すなわち従来の構成では、まず一方の面に粘着テープT1が貼り付けられているウエハW(
図15、上段)に対して、当該ウエハWの他方の面に粘着テープT3を貼り付けて粘着テープT1を剥離する(
図15、中段)。そして、粘着テープT1が剥離された後のウエハWの一方の面に、新たな粘着テープT2を貼り付けて粘着テープT3を剥離する必要がある(
図15、下段)。
【0089】
その結果、従来の構成では、ウエハの同じ面に転写を行うための工程が煩雑となる。また、粘着テープT3およびこれを貼り付ける構成が必要となるので、転写に要するコストも上昇するという問題も懸念される。
【0090】
本発明者等は、実験などを繰り返し鋭意検討した結果、以下のような知見を得ることができた。粘着テープT1をリングフレームf1およびウエハWのそれぞれから直接剥離する場合、リングフレームf1、ウエハW、および粘着テープT1の材料によってはウエハWの破損や剥離の不良が発生するという問題が懸念される。すなわち、各構成の材料によっては、リングフレームf1と粘着テープT1の間の接着力B1、およびウエハWと粘着テープT1の間の接着力B2が異なることとなる。なお、リングフレームf1、ウエハW、および粘着テープとして用いられる材料の一般例から鑑みて、通常は接着力B1が接着力B2より強くなる。
【0091】
そのため、マウントフレームMF1の一方の面から粘着テープT1を剥離する際に、粘着テープT1を確実にリングフレームf1から剥離すべく、接着力B1に応じた強い力を加える場合、ウエハWへ過度に強い力が加わる結果、ウエハWが破損する問題が懸念される。また、保持テーブルがウエハWを保持しきれずにウエハWが散逸する問題が懸念される。特にマウントフレームMF1の他方の面が粘着テープなどで支持されていない場合、ウエハWとリングフレームf1とが支持されていないので、ウエハWが散逸する可能性がより高くなる。
【0092】
一方でウエハWの破損を回避すべく、接着力B2に応じた弱い力をマウントフレームMF1にかける場合、粘着テープT1を確実にリングフレームf1から剥離することが困難となる結果、剥離不良が発生するという問題が懸念される。
【0093】
従って、従来の転写方法では、マウントフレームMF1の他方の面に別の粘着テープT3を貼り付けてリングフレームf1とウエハWとを支持させた状態で、比較的強い力を加えて粘着テープT1を剥離する必要がある。その結果、従来の構成ではマウントフレームMFの同じ面について粘着テープの転写を行う場合、転写を少なくとも2回行う必要があるので、転写の工程が煩雑となる。
【0094】
近年ではバックグラインド処理を行ったウエハの裏面に対して、多種多様な処理を連続で行う要求が大きくなっている。一例としては、バックグラインド処理後に酸/アルカリ処理や熱処理によって当該裏面の光屈折率を変える工程、熱処理等の後にダイシング、ブレイキング、エキスバンドなどの各処理によってチップを個片化する工程、個片化後にチップをピックアップする工程などが挙げられる。
【0095】
このような工程を好適に実行するためには、ウエハの表面に貼り付けられている保護用の粘着テープを、耐溶剤テープ、耐熱テープ、ダイシングテープ、ピックアップ用テープなど、各工程の内容に応じた特性を有する新たな粘着テープに順次貼り替える必要がある。従来の転写方法ではウエハの同一面に対して粘着テープを貼り替える度に2回の転写工程を要するので、ウエハに対して多種多様な処理を連続で行うことが困難である。
【0096】
このような従来例に対し、実施例1に係る基板転写装置1は第1テープ切断機構9とテープ剥離機構13とを備えている。第1テープ切断機構9はステップS2において、ウエハWとリングフレームf1との間で粘着テープT1を切断してウエハWとリングフレームf1とを分離する。その後、テープ剥離機構13はステップS3において、リングフレームf1から分離されたウエハWから粘着テープT1を剥離する。
【0097】
ステップS3において、ウエハWに接着している粘着テープT1はリングフレームf1とは接着していない。そのため、テープ剥離機構13はウエハWと粘着テープT1の間の接着力B2に応じた、比較的弱い力を加えることによって粘着テープT1を好適に剥離できる。すなわち、リングフレームf1と粘着テープT1の間の接着力B1に応じた、過度に強い力を加えることによってウエハWが破損・散逸する問題を好適に回避できる。
【0098】
また、接着力B2に応じた比較的弱い力によって粘着テープT1をウエハWから剥離できるので、実施例1では粘着テープT1をウエハWから剥離する際に、別の粘着テープによってマウントフレームMF1の他方の面を支持する必要がない。従って、実施例1に係る基板転写方法では、1回の転写によって、マウントフレームMF1の同一面における粘着テープの貼り替え(転写)を実行できる(
図2(a))。その結果、マウントフレームMF1の同一面における粘着テープの貼り替えに要する工程を単純化できるとともに、コストを大きく抑えることができる。
【0099】
また、実施例1において、保持テーブル7はマウントフレームMF1を保持した状態で、少なくとも切断位置S、転写位置R、剥離位置Uの間を自由に往復移動できる。すなわち、粘着テープの転写処理を行うための一連の工程は同一の保持テーブル7の上で全て行われるので、転写処理の際にウエハWを保持テーブル7から別の保持テーブルへ搬送する必要がない。
【0100】
そのため、ウエハWがバックグラインド処理によって薄層化された状態やダイシング処理によって個片化された状態など、一般的にウエハWの搬送が困難な場合であっても、保持テーブル7がウエハWを安定に保持した状態で、ウエハWの同一面に対する粘着テープT1から粘着テープT2への転写を実行できる。
【0101】
従って、バックグラインド処理やダイシング処理後に多様な処理を連続で行う場合であっても、保持テーブル7がウエハWを安定に保持した状態で、必要な処理の内容に応じた特性を有する粘着テープへ容易に順次転写できる。その結果、薄層化処理や個片化処理が行われたウエハに対して、酸/アルカリ処理やブレイキング処理などの多様な処理を連続で行う場合であっても、単純な工程で適切な粘着テープに順次転写できるので、ウエハに対する当該処理を好適に実行できる。
【0102】
さらに実施例1において、第1テープ切断機構9は、保持テーブル7に保持されているマウントフレームMF1の粘着テープT1を、ウエハWと同じ大きさに切断する。ウエハWと同じ形状および大きさに粘着テープT1を切断することにより、ウエハWの一方の面から外側にはみ出ている粘着テープT1すなわち露出部Pは、ウエハWから分離される。そして分離された露出部Pはリングフレームf1とともに第1搬送機構5によって回収され、マウントフレーム収納部3へ収納される。
【0103】
粘着テープT1の露出部PがウエハWから分離されているので、粘着テープT1を切り抜いた後、粘着テープT1の粘着面がウエハWの外側にはみ出ることがない。従って、ウエハWの表面から粘着テープT1を剥離する際に、粘着テープT1の粘着面がウエハWの側面に接着することや、粘着テープT1の粘着面が保持テーブル7に接着することを確実に回避できる。従って、粘着テープT1を剥離する工程を、より高い精度で行うことが可能となる。また実施例1に係る保持テーブル7ではウエハ保持部31をウエハWの径より小さくできるので、基板転写装置1の大型化を回避することが可能となる。
【実施例2】
【0104】
次に、本発明の実施例2を説明する。
図16(a)は実施例2に係る基板転写装置の動作を示すフローチャートである。
図16(b)は実施例2に係る各ステップにおけるマウントフレームMFの概略構成を示す図である。なお、実施例2に係る基板転写装置の構成は実施例1に係る基板転写装置1と同様である。但し、実施例2に係る基板転写装置の動作は、実施例1に係るステップS2〜S4の工程を省略するという点で実施例1に係る動作とは相違する。
【0105】
すなわち実施例2では、まず、粘着テープT1を非保持面側にした状態で、保持テーブル7にマウントフレームMF1を吸着保持させる(ステップS1A)。そしてテープ剥離機構13はリングフレームf1およびウエハWの各々から粘着テープT1を剥離する(ステップS2A)。
【0106】
テープ貼付機構17は、粘着テープT1が剥離された後のリングフレームf1およびウエハWの上面側(非保持面側)に新たな粘着テープT2を貼り付け、新たなマウントフレームMF2を作成する(ステップS3A)。その後、粘着テープT2をリングフレームf1の上面に沿って切断し(ステップS4A)、マウントフレームMF2を回収する(ステップS5A)。
【0107】
以下、実施例2における各ステップについて詳述する。なお、実施例1と共通する点については説明を簡略化する。
【0108】
ステップS1A(マウントフレームの保持)
ステップS1Aの工程は、実施例1のステップS1と共通する。すなわち、第1搬送機構5はマウントフレーム収納部3に収納されているマウントフレームMF1を把持して、粘着テープT1が貼付されている面を上側にして、切断位置Sに位置している保持テーブル7にマウントフレームMF1を載置する(
図9)。保持テーブル7は粘着テープT1を非保持面側として、マウントフレームF1を吸着保持する。
【0109】
ステップS2A(粘着テープT1の剥離)
マウントフレームMF1が吸着保持された後、マウントフレームMF1の表面に貼付けられている粘着テープT1の剥離を開始する。保持テーブル7はマウントフレームMF1を吸着保持した状態で、切断位置Sから照射位置Tへ移動する。紫外線照射機構11は、照射位置Tへ搬入されたマウントフレームMF1の粘着テープT1に対して紫外線を照射する。粘着テープT1の接着層は紫外線硬化性の粘着剤で構成されるので、紫外線の照射によって粘着テープT1の粘着力は低減する。
【0110】
紫外線が照射された後、保持テーブル7はマウントフレームMF1を吸着保持した状態で照射位置Tから剥離位置Uへ移動する。テープ剥離機構13は、ウエハWの上面側に位置する粘着テープT1をマウントフレームMF1から剥離して回収する。すなわち
図17に示すように、マウントフレームMF1の表面に貼り付けられている粘着テープT1に、剥離テープQを貼り付ける。そして粘着テープT1に剥離テープQを貼り付けた状態で、保持テーブル7を移動させる。
【0111】
保持テーブル7を移動させることにより、
図17に示すように、剥離テープQが剥離部材85の先端で折り返し走行するので、粘着テープT1は、剥離テープQと一体となってリングフレームf1およびウエハWの表面から剥離される。粘着テープT1は紫外線照射によって粘着力が低減しているので、マウントフレームMF1に加えられる力が比較的弱い力であっても、粘着テープT1をリングフレームf1から容易に剥離できる。
【0112】
従って、マウントフレームMF1から直接粘着テープT1を剥離する構成、すなわちリングフレームf1およびウエハWの各々から同時に粘着テープT1を剥離する構成であっても、過剰な力が加わることによるウエハWの破損や散逸を好適に回避できる。なお剥離テープQは実施例1と同様に、剥離された粘着テープT1とともに案内ローラ83によって剥離部材85へ案内され、剥離部材85において折り返し反転した後、巻き取り軸87によって巻き取り回収される。
【0113】
ステップS3A(粘着テープT2の貼付け)
粘着テープT1の剥離を完了した後、テープ貼付機構17が作動し、粘着テープT2の貼付けを開始する。なお実施例2では実施例1と異なり、リングフレームf1の回収工程およびリングフレームf2の供給工程を省略している。そのため、実施例2において、粘着テープT2はウエハWおよびリングフレームf1に対して貼り付けられる。
【0114】
粘着テープT2を貼り付ける工程自体は実施例1と共通する。すなわち、テープ貼付機構17が作動することによって、
図13(a)に示すように、貼付ローラ45が所定の高さまで下降して図における右から左へ転動する。貼付ローラ45が転動することによって、テープ供給部43に装填されている粘着テープT2は、ウエハWおよびリングフレームf1の上面にわたって貼付けられる(
図13(b))。
【0115】
ウエハWの上面はすなわち、粘着テープT1が剥離されたウエハWの表面側である。そのため、粘着テープT2が貼付けられることにより、ウエハWの表面は粘着テープT1から新しい粘着テープT2へ転写される。すなわち転写によってウエハWの同一面において転写が行われ、新たなマウントフレームMF2が作製される。ステップS3Aにおける一連の工程は、本発明における転写工程に相当する。
【0116】
ステップS4A(粘着テープT2の切断)
ウエハWおよびリングフレームf1に粘着テープT2を貼り付けた後、第2テープ切断機構19が作動し、粘着テープT2の切断が開始される。ステップS4Aの工程は実施例1に係るステップS7と共通する。すなわち
図14に示すように、第2テープ切断機構19が作動することによって、カッタ59がリングフレームf1上の粘着テープT2に突き刺される。この状態で支軸55をz方向の軸回りに回転させ、粘着テープT2をリングフレームf1に沿って円形に切断する。
【0117】
リングフレームf1上で粘着テープT2が切断された部位は、転動する押圧ローラ61によって押圧される。その後、テープ貼付機構17に設けられている剥離ローラ49を図の右から左に転動させて、切断線の外側に残された不要な粘着テープT2をリングフレームf1から剥離する。剥離された不要な粘着テープT2は、テープ回収部51によって巻き取り回収される。
【0118】
ステップS5A(マウントフレームの回収)
粘着テープT2の貼付けおよび切断が完了した後、実施例1と同様にマウントフレームの回収を行う。すなわち図示しない第2搬送装置は、粘着テープT2の貼付によって形成されたマウントフレームMF2を、マウントフレーム回収部25へ搬送する。マウントフレーム回収部25は、マウントフレームMF2を回収・収納する。
【0119】
以上の一連の動作により、ウエハWの表面において粘着テープT1から新たな粘着テープT2に転写させる工程が全て完了する。
【0120】
<実施例2の構成による効果>
実施例2では実施例1と同様に、1回の転写工程によって、ウエハWの同一面において粘着テープT1から粘着テープT2へ貼り替えることができる。そのため、実施例1と同様に、マウントフレームMF1の同一面における粘着テープの貼り替えに要する工程を単純化できるとともに、コストを大きく抑えることができる。また、一連の工程は同一の保持テーブル7の上で行われるので、薄層化処理や個片化処理が行われたウエハに対して、多様な処理を連続で行う場合であっても、適切な粘着テープに順次転写する処理を好適に実行できる。
【0121】
また実施例2では、リングフレームf1およびウエハWから同時に粘着テープT1を剥離し、剥離された同一の面に対して粘着テープT2を貼り付ける。そのため実施例2では実施例1と異なり、粘着テープT1を切断する工程、およびリングフレームf1をリングフレームf2に交換する一連の工程を省略できる。従って、実施例2では第1テープ切断機構9、リングフレームf2、およびリングフレーム供給部15を省略できるので、基板転写装置1の大型化を回避できるとともに、コストを低下させることも可能となる。
【0122】
本発明は、上記実施形態に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。
【0123】
(1)上述した各実施例において、紫外線硬化性の粘着テープT1および紫外線照射機構11を用いる構成としたが、粘着テープT1の粘着力を低減させる構成であれば、紫外線を用いる構成に限られない。すなわち一例として、粘着テープT1として熱硬化性の粘着テープを用い、粘着テープT1を剥離する前段階として粘着テープT1を加熱することによって粘着力を低減させる構成としてもよい。
【0124】
このような構成であっても粘着テープT1を剥離する前に粘着力を低減させるので、粘着テープT1を剥離する際に必要な力を比較的低くすることができる。その結果、粘着テープT1を剥離する際にウエハWが破損・散逸することを好適に回避できる。なお、粘着テープT1を剥離する際にウエハWが破損・散逸することを好適に回避できる構成であれば、粘着テープT1を剥離する前に粘着テープT1の粘着力を低減させる工程(予備操作)を行わない構成であってもよい。特に実施例1では紫外線を照射して予備操作を行う工程を省略してもよい。予備操作を省略する構成をとる場合、粘着テープT1の粘着層を構成する材料によらず、各実施例に係る効果を奏することができる。
【0125】
(2)上述した実施例1ではステップS3において、切り抜かれた部分の粘着テープT1をリングフレームf1とともに回収する構成であったがこれに限られない。すなわち、切り抜かれた部分の粘着テープT1をリングフレームf1から剥離し、切り抜かれた部分の粘着テープT1のみを回収する構成であってもよい。
【0126】
このような変形例(2)に係る構成では、実施例1に係る構成においても新たにリングフレームf2を用いることなく、ステップS6においてリングフレームf1とウエハWの他方の面とにわたって粘着テープT2を貼り付けることができる。従って、リングフレームf2およびリングフレーム供給部15を省略できるので、基板転写装置1の大型化を回避できるとともに、コストを低下させることも可能となる。
【0127】
(3)上述した実施例1では、ステップS5において新しいリングフレームf2を供給した後、ステップS6において粘着テープT2をリングフレームf2とウエハWとの上面に貼付けたが、粘着テープT2に転写する構成はこれに限られない。すなわち、転写位置Rに搬入されたウエハWに対して、粘着テープT2が予め貼り付けられたリングフレームf2を供給し、粘着テープT2をウエハWの上面に貼り付ける構成であってもよい。
【0128】
(4)上述した実施例および変形例において、第1テープ切断機構9はカッタ41を用いる構成としたが、カッタ刃の代わりにレーザによって粘着テープを切断する構成であってもよい。
【0129】
(5)上記実施例および変形例では、基板として半導体ウエハを例にとって説明したが、当該装置は、LED用の基板や回路基板など種々の形状およびサイズの基板に適用することが可能である。この場合、テープ切断工程において切断される粘着テープT1の形状は、適用される基板の外形に応じて変更される。
【0130】
したがって、使用する基板支持用のフレームは、ウエハ用のリングフレームfに限定されず、使用する基板の形状に応じた四角形などのフレームを利用することも可能である。四角形のフレームであれば、例えば複数個の四角形の基板を粘着テープにより接着保持することができ、デッドスペースを削減可能となる。その結果、作業効率を高めることができる。
【0131】
(6)上記の各実施例では、転写元のリングフレームf1と転写先の新しいリングフレームf2に同一形状のものを利用していたが、異なる形状のフレームを組み合わせて使用してもよい。
【0132】
(7)上記の各実施例および変形例において、予めリングフレーム形状に切断されたプリカットタイプの粘着テープT2をリングフレームf2に貼り付けてもよい。
【0133】
(8)上記実施例1ではステップS2において、ウエハWの直径より小さいウエハ保持部31で保持した状態で、カッタ41をウエハの外形に接触させながら切断している。しかし、ステップS2に係るテープ切断工程は、このような粘着テープT1をウエハWと同一の大きさに切り抜く構成に限られない。すなわち
図18(a)に示すように、ウエハWの直径より大きいウエハ保持部31で保持した状態で、カッタ41をウエハ保持部31の外形に接触させながら、粘着テープT1を切断してもよい。
【0134】
このような変形例(8)に係る構成では、ステップS2において、粘着テープT1はウエハWの直径と比べて広い大きさとなるように切り抜かれる。このような変形例において、テープ切断工程後において、切り抜かれた粘着テープT1のうちウエハWの外側にはみ出ている部分の長さkは、
図18(a)に示すようにウエハWの厚さG以下であることが好ましい。
【0135】
(9)また変形例(8)に係る他の構成として
図18(b)に示すように、カッタ41をウエハWの外径およびウエハ保持部31の外径のいずれにも接触させることなく、粘着テープT1をウエハWよりやや広い大きさに切り抜く構成であってもよい。このような変形例(9)では変形例(8)と同様に、テープ切断工程後において、略円形に切り抜かれた粘着テープT1のうちウエハWの外側にはみ出ている部分の長さk(切り抜かれた粘着テープT1の半径TrとウエハWの半径Wrとの差)は、ウエハWの厚さG以下であることが好ましい。
【0136】
長さkが厚さG以下である場合、
図16(c)に示すように、転写工程において粘着テープT1がウエハWの端で、点線で示す位置から実線で示す位置へと折れ曲がるように変形した場合であっても、粘着テープT1とウエハ保持部31とが接触することを確実に回避できる。従って、粘着テープT1とウエハ保持部31とが接着することによって粘着テープT1をウエハWから剥離する操作に支障をきたすことをより確実に回避できるので、粘着テープT2への転写をより好適に実行できる。
【0137】
また変形例(9)に係る構成において、ウエハ保持部31の半径Dは切り抜かれた粘着テープT1の半径Trより小さいことが好ましい。この場合、カッタ41は粘着テープT1を貫通するように切断できるので、より好適に粘着テープT1を切断できる。本発明に係る各実施例および変形例において、テープ切断工程における「ウエハの外形に沿って粘着テープを切断する」とは、粘着テープT1をウエハWと同一の大きさに切断する場合のみならず、切断後の粘着テープT1とウエハ保持部31との接着を確実に回避できる程度に、ウエハWの外形より広い大きさに粘着テープT1を切断する場合をも含むものとする。
【0138】
(10)なお、上述した実施例2では粘着テープT1を剥離した後にリングフレームf1を再使用し、リングフレームf1およびウエハWの非保持面側に粘着テープT2を貼り付けたがこれに限られない。すなわち実施例2においても実施例1と同様に、粘着テープT1を剥離した後にリングフレームf1を回収して新たなリングフレームf2を供給してもよい。
【0139】
また、実施例2において、粘着テープT1を剥離した後にリングフレームf1を再使用するか、リングフレームf1をリングフレームf2に交換するかの選択を可能とする構成を採用してもよい。この場合、ウエハWの形状や処理に応じて、粘着テープT2を貼り付けるリングフレームをf1またはf2に適宜選択できるので、転写工程の汎用性を向上できる。