【解決手段】監視システム100において、監視装置M−1は、カメラC−1により撮影された映像データ11Aにおける動きの変化をイベントとして検出し、通知間隔Dtを経過するたびに設定される通知時刻において、イベントの検出を示すイベント検出通知を映像記録装置R1に送信する。監視装置M−1は、イベント検出通知の送信時刻から通知間隔Dtを遡った時刻を送信基準時刻に決定し、送信基準時刻以後に撮影された記録用映像データ11Cを映像記録装置R1に送信する。映像記録装置R1は、監視装置M−1から送信された記録用映像データ11CをHDD57に保存する。
第1のカメラを含む複数のカメラと、第1のイベント検出装置を含み、イベントを検出する複数のイベント検出装置と、前記複数のカメラにより撮影される映像データを記録する映像記録装置と、を備える監視システムによる監視方法であって、
前記第1のカメラに関連するイベントを前記第1のイベント検出装置により検出するステップと、
前記イベントが検出されたことを示すイベント検出通知を所定の通知間隔が経過するたびに設定される通知時刻に前記イベント検出装置から前記映像記録装置に通知するステップと、
前記映像記録装置において映像データを前記第1のカメラから取得するステップと、
前記第1のカメラから取得した映像データを前記映像記録装置に記憶するステップと、
前記イベント検出通知の送信時刻から前記通知間隔を遡った時刻を第1の送信基準時刻とした場合、前記第1の送信基準時刻以後に撮影された映像データを前記第1のカメラから前記映像記録装置に送信するステップと、
を備える監視方法。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態を詳しく説明する。図中同一又は相当部分には同一符号を付して、特に必要のない限りその説明は繰り返さない。
【0026】
{1.全体構成}
{1.1.監視システムの構成}
図1は、本発明の実施の形態に係る監視システム100の構成を示す機能ブロック図である。
図1に示すように、監視システム100は、映像記録装置R1と、監視用端末2と、LAN(Local Area Network)3と、監視装置M−1〜M−kとを備える。kは、2以上の自然数である。監視システム100は、オフィスビルなどの施設内に構築される。LAN3は、施設内に構築されるローカルなネットワークである。
【0027】
監視装置M−1〜M−kは、施設の玄関、非常口、廊下、施設内の部屋の出入口付近などに設置される。監視装置M−1は、カメラC−1と、イベント検出装置E−1とを備える。カメラC−1は、監視装置M−1が設置された場所の周辺領域を撮影し、映像データを生成する。カメラC−1は、映像記録装置R1のHDD(Hard Disk Drive)に記録するための記録用映像データ11Cと、ライブ表示用の映像データ(ライブ用映像データ11D)とを映像記録装置R1に送信する。イベント検出装置E−1は、監視装置M−1が設置された場所の周辺領域で発生するイベントを検出し、検出したイベントの内容を示すイベント検出通知15を映像記録装置R1に送信する。
【0028】
監視装置M−2は、カメラC−2と、イベント検出装置E−2とを備える。カメラC−2は、記録用映像データ21Cと、ライブ用映像データ21Dとを、映像記録装置R1に送信する。監視装置M−3は、カメラC−3と、イベント検出装置E−3とを備える。カメラC−3は、記録用映像データ31Cと、ライブ用映像データ31Dとを、映像記録装置R1に送信する。監視装置M−kは、カメラC−kと、イベント検出装置E−kとを備える。カメラC−kは、記録用映像データk1Cと、ライブ用映像データk1Dとを、映像記録装置R1に送信する。監視装置M−2〜M−kの構成は、監視装置M−1の構成と同様である。
【0029】
映像記録装置R1は、LAN3を介して監視装置M−1〜M−kと接続され、例えば、施設内の警備室に設置される。イベント検出装置E−1がイベント検出通知15を送信した場合、映像記録装置R1は、送信基準時刻以後の記録用映像データ11Cを監視装置M−1から取得し、取得した記録用映像データ11CをHDDなどの大容量記憶装置に格納する。送信基準時刻は、イベント検出時刻よりも前の時刻である。送信基準時刻の詳細については、後述する。
【0030】
監視用端末2は、例えば、映像記録装置R1とともに施設内の警備室に設置され、監視システム100が構築された施設をリアルタイムで監視するために用いられる。監視用端末2は、カメラC−1〜C−kにより生成されたライブ用映像データ11D〜k1Dを図示しないモニタに表示する。
【0031】
なお、
図1では、映像記録装置R1及び監視用端末2がLAN3に接続される例を示している。しかし、映像記録装置R1及び監視用端末2は、図示しないインターネットを介してLAN3に接続されてもよい。この場合、映像記録装置R1及び監視用端末2を用いて、監視装置M−1〜M−kが設置された施設を遠隔地から監視することができる。
【0032】
{1.2.監視装置M−1の構成}
図2は、
図1に示す監視装置M−1の構成を示す機能ブロック図である。監視装置M−2〜M−kの構成は、監視装置M−1の構成と同様であるため、監視装置M−2〜M−kの構成の説明を省略する。
【0033】
{1.2.1.カメラC−1の構成}
カメラC−1は、撮像部101と、符号化部102と、リングバッファ103と、記録映像送信部104と、バッファ管理部105と、ライブ映像送信部106とを備える。
【0034】
撮像部101は、図示しない光学系及び撮像素子を備え、監視装置M−1が設置された場所における周辺領域を撮影して映像データ11Aを生成する。
【0035】
符号化部102は、撮像部101により生成された映像データ11AをH.264などの所定の符号化方式で符号化して符号化映像データ11Bを生成する。なお、符号化部102は、図示しないマイクにより録音された音声データを符号化し、符号化された音声データを符号化映像データ11Bに多重化してもよい。
【0036】
リングバッファ103は、符号化部102により生成された符号化映像データ11Bを一時的に格納する。リングバッファ103は、所定時間分の符号化映像データ11Bを格納することが可能である。リングバッファ103は、符号化映像データ11Bをリングバッファ103の先頭アドレスから順次書き込む。符号化映像データ11Bがリングバッファ103の終端アドレスに書き込まれた場合、新たに生成された符号化映像データ11Bが、リングバッファ103の先頭アドレスに上書きされる。
【0037】
記録映像送信部104は、イベント検出装置E−1が記録用映像データ11Cの送信を決定した場合、リングバッファ103に記録された符号化映像データ11Bの中から、映像記録装置R1に送信すべき記録用映像データ11Cを特定する。記録映像送信部104は、特定した記録用映像データ11Cをリングバッファ103から読み出して、映像記録装置R1に送信する。
【0038】
バッファ管理部105は、リングバッファ103の記憶容量が不足するか否かを判断する。バッファ管理部105は、記憶容量が不足すると判断した場合、映像記録装置R1に対して、リングバッファ103の記憶容量が不足することを示す容量不足通知を送信する。バッファ管理部105は、仮想バッファの構成を示す構成決定通知を映像記録装置R1から受信した場合、仮想バッファを使用する。仮想バッファは、リングバッファ103と、他の監視装置のリングバッファにおける余剰領域とにより構成される。バッファ管理部105は、符号化映像データ11Bを上記の他の監視装置に送信して、余剰領域に符号化映像データ11Bを一時的に記憶させる。仮想バッファの詳細については、後述する。
【0039】
ライブ映像送信部106は、映像記録装置R1または監視用端末2からの要求に応じて、符号化映像データ11Bを、ライブ用映像データ11Dとして送信する。ライブ用映像データ11Dは、リアルタイムで映像記録装置R1または監視用端末2に送信される。ライブ用映像データ11Dは、映像記録装置R1のHDD(Hard Disk Drive)には記録されない。
【0040】
{1.2.2.イベント検出装置E−1の構成}
イベント検出装置E−1は、動き検出部107と、人感センサ108と、通知部110と、記録判断部111とを備える。
【0041】
動き検出部107は、撮像部101により生成された映像データ11Aを解析して、映像データ11Aにおける時間的な変化を検出する。時間的な変化は、例えば、扉の開閉、人物の動きなどによって発生する。動き検出部107は、映像データ11Aにおける時間的な変化の有無を通知部110及び記録判断部111に通知する。
【0042】
人感センサ108は、例えば、赤外線センサであり、監視装置M−1が設置された場所における所定温度の物体の有無を検出する。人感センサ108は、所定温度の物体を人物として検出し、人物の有無をイベントとして通知部110及び記録判断部111に通知する。
【0043】
通知部110は、動き検出部107及び人感センサ108により検出されるイベントを取得する。通知部110は、映像記録装置R1により決定された通知間隔Dtで、動き検出部107で検出されたイベントの内容と、人感センサ108で検出されたイベントの内容とを示すイベント検出通知15を映像記録装置R1に送信する。通知間隔Dtの詳細については、後述する。
【0044】
記録判断部111は、イベント検出通知15に含まれるイベントの内容に基づいて、記録用映像データ11Cを映像記録装置R1に送信するか否かを判断する。
【0045】
{1.3.映像記録装置R1の構成}
図3は、
図1に示す映像記録装置R1の構成を示す機能ブロック図である。
図3に示すように、映像記録装置R1は、通知間隔決定部51と、映像取得部52と、イベント中継部53と、表示制御部54と、デコーダ55と、モニタ56と、HDD57と、バッファ調整部58と、監視装置データベース59とを備える。
【0046】
通知間隔決定部51は、監視装置M−1〜M−kの各々に対する通知間隔Dtを決定する。監視装置M−1〜M−kは、通知間隔決定部51により決定された通知間隔Dtでイベント検出通知を映像記録装置R1に送信する。
【0047】
イベント中継部53は、イベント検出通知を監視装置M−1〜M−kのいずれかから受信した場合、イベント検出通知の送信元に基づいて、イベント検出通知の中継先を決定する。中継先の決定の際に、各監視装置に対応する中継先を記憶した監視装置データベース59が参照される。イベント中継部53は、監視装置M−i(iは1以上k以下の自然数)を中継先に決定した場合、受信したイベント検出通知を含むイベント中継通知を監視装置M−iに送信する。監視装置M−iにイベント中継通知を送信する中継時刻は、予め決定された中継間隔を経過するたびに設定される。中継間隔の詳細については、後述する。
【0048】
映像取得部52は、監視装置M−iから記録用映像データを取得し、取得した記録用映像データをHDD57に記録する。
【0049】
表示制御部54は、監視装置M−1〜M−kのライブ映像をモニタ56に表示するための制御を行う。具体的には、監視装置M−1〜M−kの中からライブ映像の表示対象を選択し、選択した表示対象の監視装置に対して、ライブ用映像データの送信を指示する。表示制御部54は、表示対象の監視装置から送信されるライブ用映像データを受信する。
【0050】
デコーダ55は、表示制御部54が受信したライブ用映像データをデコードして、映像データを生成する。モニタ56は、ライブ表示画面を表示する。ライブ表示画面は、表示制御部54により生成され、表示対象の監視装置の映像データを所定の表示レイアウトに従って配置した画面である。
【0051】
バッファ調整部58は、監視装置M−iから、リングバッファの容量が不足することを示す容量不足通知を受信した場合、監視装置M−iが使用する仮想バッファの構成を決定する。仮想バッファは、監視装置M−iのリングバッファと、他の監視装置のリングバッファにおける余剰領域とにより構成される。バッファ調整部58は、仮想バッファの構成を示す構成決定通知を監視装置M−iに送信する。
【0052】
{2.監視システムの動作}
{2.1.イベント検出通知に基づく記録用映像データの送信}
{2.1.1.イベント検出通知の送信}
図4は、監視システム100の動作の概略を示す図である。
図4を参照しながら、監視装置M−1〜M−kがイベント検出通知を送信するときにおける監視システム100の動作について説明する。
図4では、監視装置M−1〜M−3を例にして説明するが、他の監視装置も、監視装置M−1〜M−3と同様に動作可能である。
【0053】
映像記録装置R1は、通知間隔Dt及び中継間隔を決定し(ステップS1)、決定した通知間隔Dt及び中継間隔を監視装置M−1〜M−kに送信する(ステップS2)。
【0054】
通知間隔Dtは、監視装置M−1〜M−kが使用する時間パラメータであり、映像記録装置R1に接続される監視装置M−1〜M−kの台数に基づいて決定される。通知間隔Dtは、監視装置M−1〜M−kの各々に対して決定される。通知間隔Dtは、監視装置M−1〜M−kに対して共通の時間であってもよいし、共通の時間でなくてもよい。中継間隔は、映像記録装置R1が使用する時間パラメータである。中継間隔は、監視装置M−1〜M−kに対して共通の時間であり、映像記録装置R1に接続される監視装置M−1〜M−kの台数に基づいて決定される。通知間隔Dt及び中継間隔を決定する具体的な方法については、後述する。
【0055】
以下、特に説明のない限り、通知間隔Dtが、監視装置M−1〜M−kに対して共通の時間である場合を例に説明する。
【0056】
監視装置M−1は、イベントを検出し(ステップS3)、検出したイベントの内容を示すイベント検出通知15を、通知間隔が経過するたびに決定される通知時刻に送信する(ステップS4)。監視装置M−2は、イベントを検出し(ステップS5)、検出したイベントの内容を示すイベント検出通知25を、通知間隔が経過するたびに設定される通知時刻に送信する(ステップS6)。
【0057】
監視装置によるイベント検出通知の送信について、監視装置M−1を例にして説明する。以下、説明を簡単にするために、動き検出部107により検出されたイベントの内容を示すイベント検出通知15の送信について説明し、人感センサ108により検出されるイベントについては後述する。
【0058】
図5は、監視装置M−1がイベント検出通知15を送信する通知時刻の一例を示す図である。通知間隔Dtは、
図5に示すように、例えば、10秒に設定される。この場合、監視装置M−1において、イベント検出通知15を送信する時刻(通知時刻)が10秒ごとに設定される。具体的には、監視装置M−1における通知時刻は、時刻T11、T14、T15である。
【0059】
通知部110は、動き検出部107によるイベント検出結果に基づいて、イベント検出通知15を送信する。動き検出部107は、イベント検出結果として、オン情報及びオフ情報を出力する。
【0060】
動き検出部107は、映像データ11Aがオン状態であるかオフ状態であるかを判断する。オン状態は、映像データ11Aに動きのある状態であり、オフ状態は、映像データ11Aに動きのない状態である。動き検出部107は、オフ状態からオン状態に変化した場合、オン情報を出力する。動き検出部107は、映像データ11Aがオン状態からオフ状態に変化した場合、オフ情報を出力する。
【0061】
図5に示す例において、動き検出部107は、時刻T12までの期間において、映像データ11Aの変化を検出しない。つまり、映像データ11Aは、時刻T12までオフ状態である。時刻T12において、動き検出部107は、映像データ11Aがオフ状態からオン状態に変化したことを検出し、イベント検出結果として、オン情報を通知部110に出力する。
【0062】
また、動き検出部は、時刻T13において、映像データ11Aがオン状態からオフ状態に変化したことを検出し、イベント検出結果として、オフ情報を通知部110に出力する。時刻T13より後の期間において、映像データ11Aは、オフ状態のままである。
【0063】
このように、通知時刻T11から通知時刻T14を経過するまでの期間において、動き検出部107は、2つのイベントを検出する。通知部110は、通知時刻T11から通知時刻T14を経過するまでの期間において検出された2つのイベントのうち、最初に検出された時刻T12のイベントの内容を示すイベント検出通知15を送信する(ステップS4)。通知時刻T14に送信されるイベント検出通知15は、時刻T13で検出されたイベントの内容を含まない。時刻T13よりも後の期間において、動き検出部107がイベントを検出しないため、通知部110は、時刻T15において、時刻T13で検出されたイベントの内容を示すイベント検出通知15を送信する(ステップS4)。
【0064】
つまり、通知部110は、以下に説明する基準(1)〜(4)に従って、イベント検出通知15を送信する。なお、基準(1)〜(4)は、後述する人感センサ108で検出されたイベントについても適用される。
(1)通知間隔Dtを経過するまでの間に、動き検出部107が少なくとも1つのオン情報を出力した場合、通知部110は、最初に出力されたオン情報の内容を示すイベント検出通知15を送信する。
(2)通知間隔Dtが経過するまでの間に、動き検出部107がオフ情報のみを出力した場合、通知部110は、オフ情報の内容を示すイベント検出通知15を送信する。
(3)通知間隔Dtを経過するまでの間に、動き検出部107によりイベントが検出されず、かつ、直前に送信したイベント検出通知15の内容(直前通知内容)が、最後に検出されたイベントの内容と一致しない場合、通知部110は、最後に出力されたオン情報またはオフ情報の内容を含むイベント検出通知15を送信する。基準(3)に従って通知されるイベントは、実質的にオフ情報のみである。また、「イベントが検出されない」とは、動き検出部107が、オン情報及びオフ情報のいずれも出力しないことを示す。
(4)通知間隔Dtを経過するまでの間に、動き検出部107によりイベントが検出されず、かつ、直前通知内容が、最後に検出されたイベント内容と一致する場合、通知部110は、イベント検出通知15を送信しない。
【0065】
従って、検出された全てのイベントの内容が、イベント検出通知15として映像記録装置R1に送信されるとは限らない。例えば、時刻T12〜T13において、映像データ11Aの状態変化が複数回発生した場合、これらの状態変化に対応するイベントの内容は、通知時刻T14に送信されるイベント検出通知15に含まれない。
【0066】
人感センサ108により検出されるイベントについて説明する。人感センサ108は、人物を検出している状態(検出状態)であるか、人物を検出していない状態(非検出状態)であるかを判断する。人感センサ108は、非検出状態から検出状態に変化した場合、イベント検出結果として検出情報を出力する。人感センサ108は、検出状態から非検出状態に変化した場合、イベント検出結果として非検出情報を出力する。
【0067】
通知部110は、動き検出部107によるイベント検出結果と同様に、人感センサ108によるイベント検出結果をイベント検出通知15に含めて送信する。例えば、
図5において、通知時刻T11から通知時刻T14までの期間において、人感センサ108が検出情報を出力した場合、通知部110は、時刻T12において動き検出部107が検出したイベントの内容と、人感センサ108により検出されたイベントの内容とを含むイベント検出通知15を送信する。
【0068】
図6は、監視装置M−1が通知時刻T14に送信するイベント検出通知15の一例を示す図である。
図6に示すように、イベント検出通知15は、通知時刻と、動き検出部107によるイベント検出結果と、人感センサ108によるイベント検出結果とを含む。
【0069】
上述のように、通知部110は、時刻T12において、動き検出部107が時刻T12にオン情報を出力するため、動き検出の欄を「オフ状態からオン状態に変化」と記述する。また、通知時刻T11から通知時刻T14までの期間において、人感センサ108が検出情報を出力した場合、通知部110は、イベント検出通知15の人検出の欄に、「非検出状態から検出状態に変化」と記載する。
【0070】
また、通知時刻T14から通知時刻T15において、動き検出部107がイベントを検出しなかった場合、通知部110は、イベント検出通知15において、動き検出の欄を設けない。通知時刻T14から通知時刻T15において、人感センサ108がイベントを検出しなかった場合、通知部110は、イベント検出通知15において、人物検出の欄を設けない。
【0071】
監視装置M−2におけるイベント検出通知25の送信について説明する。監視装置M−2は、監視装置M−1と同様に、イベントを検出した場合、検出したイベントの内容を含むイベント検出通知25を、通知間隔Dtが経過するたびに設定される通知時刻に送信する。
図5に示す例の場合、監視装置M−2の通知時刻は、時刻T20、T21、T23である。
【0072】
監視装置M−2の動き検出部(図示省略)が、時刻T22でオン情報をイベント検出結果として出力する(ステップS5)。監視装置M−2の通知部(図示省略)が、時刻T22で検出されたイベントの内容を示すイベント検出通知25を通知時刻T23に送信する(ステップS6)。
【0073】
このように、監視装置M−1及びM−2は、イベント検出のたびにイベント検出通知を送信するのではなく、予め設定された通知間隔Dtでイベント検出通知を映像記録装置R1に送信する。これにより、イベント検出のたびにイベント検出通知を送信する場合に比べて、映像記録装置R1におけるイベント検出通知の受信回数を削減することができるため、映像記録装置R1の負荷を軽減することができる。
【0074】
また、イベント検出通知は、イベントが発生したか否かのみを示す情報ではなく、イベントの内容を含む。これにより、他の監視装置は、後述するように、監視装置M−1で実際に検出されたイベントの内容に基づいて、記録用映像データの送信の可否を判断することができる。
【0075】
なお、映像記録装置R1は、監視装置M−1〜M−kに通知間隔Dtを送信する際に(ステップS2)、監視装置M−1〜M−kの各々に対して、通知時刻を決定するための基準時刻を送信することが望ましい。これにより、監視装置M−1〜M−kにおける通知時刻が重複することを防ぐことができ、映像記録装置R1においてイベント検出通知が集中することを防ぐことができる。例えば、監視装置M−1の基準時刻を「2015年2月1日13時0分0秒」に設定し、監視装置M−2,M−3,・・・の基準時刻を、監視装置M−1の基準時刻から0.2秒ずつずらした時刻に設定する。これにより、監視装置M−1〜M−kの各々の通知時刻が同じとなることを防ぐことができるため、映像記録装置R1が、複数のイベント検出通知を同じタイミングで受信することを防ぐことができる。
【0076】
{2.1.2.イベント検出通知に基づく送信判断}
再び
図4を参照しながら、監視装置M−1を例にして、イベント検出通知15の送信をトリガとして記録用映像データを送信する監視装置の動作を説明する。
【0077】
監視装置M−1において、記録判断部111は、ステップS4で送信したイベント検出通知15の内容に基づいて、記録用映像データ11Cを映像記録装置R1に送信するか否かを判断する(ステップS6)。記録判断部111が記録用映像データ11Cの送信を決定した場合、記録映像送信部104は、イベント検出時刻に対応するフレームを含む記録用映像データ11Cを、映像記録装置R1に送信する(ステップS7)。
【0078】
以下、監視装置M−1が、
図5に示す通知時刻T14においてイベント検出通知15を送信した場合における動作を説明する。
図7は、記録判断部111が保持する送信判断テーブル120の一例を示す図である。
【0079】
通知部110が通知時刻T14にイベント検出通知15を送信した場合、記録判断部111は、イベント検出通知15と、
図7に示す送信判断テーブル120とに基づいて、記録用映像データ11Cを送信するか否かを判断する(ステップ6)。
【0080】
図7に示す送信判断テーブル120において、「自装置」は、イベント検出通知15を送信する監視装置M−1を示し、「他の監視装置」は、監視装置M−1以外の監視装置を示す。送信判断テーブル120において、イベントの組み合わせとして、パターン1及び2が設定されている。パターン1は、自装置におけるイベントの組み合わせであり、パターン2には、他の監視装置で検出されたイベントの組み合わせである。
【0081】
記録判断部111は、ステップS6における送信判断において、自装置におけるイベントを考慮し、他の監視装置におけるイベントを考慮しない。このため、記録判断部111は、ステップS6における送信判断においてパターン2を参照しない。パターン2は、後述するように、イベント中継通知をトリガとした送信判断の際に用いられる。
【0082】
記録判断部111は、イベント検出通知15(
図6参照)における動き検出部107のイベントと人感センサ108のイベントとの組み合わせが、送信判断テーブル120のパターン1に一致する場合、記録用映像データ11Cを送信すると判断する。
図6に示すイベント検出通知15は、動き検出部107がオン状態を出力し、人感センサ108が検出状態を出力したことを示している。
図7において、パターン1は、動き検出部107がオン情報を出力し、かつ、人感センサ108が検出情報を出力した場合を示している。イベント検出通知15の内容がパターン1と一致するため、記録判断部111は、記録用映像データ11Cを映像記録装置R1に送信することを決定する。
【0083】
{2.1.3.記録用映像データ11Cの送信}
記録映像送信部104は、記録用映像データ11Cの送信が記録判断部111により決定された場合、通知間隔Dtと、イベント検出通知15を送信した通知時刻T14とを通知部110から取得する。
【0084】
記録映像送信部104は、取得した通知間隔Dtと、通知時刻T14とに基づいて、リングバッファ103に記憶されている符号化映像データ11Bの中から、映像記録装置R1に送信すべき記録用映像データ11Cを特定する。記録映像送信部104は、特定した記録用映像データ11Cをリングバッファ103から読み出して、映像記録装置R1に送信する(ステップS7。
図4参照)。
【0085】
図8は、監視装置M−1における通知時刻と送信基準時刻との関係を示す図である。
図8における時刻T11〜T15は、
図5に示す時刻T11〜T15と同じ時刻を示す。
【0086】
以下、
図8を参照しながら、記録用映像データ11Cの特定について具体的に説明する。記録映像送信部104は、通知時刻T14を基準にして、通知間隔Dtと、固定遡及時間Ftとに基づいて、送信基準時刻T10を決定する。具体的には、記録映像送信部104は、通知間隔Dtと固定遡及時間Ftとを合計した合計遡及時間を計算し、通知時刻T14から合計遡及時間を遡った時刻T10を、送信基準時刻に決定する。ここで、固定遡及時間Ftは、記録映像送信部104に予め設定された時間パラメータであり、イベント検出時刻より前の時刻における映像を記録用映像データ11Cに含めるために設定される。
図8に示す例のように、通知間隔Dtが10秒に設定され、固定遡及時間Ftが3秒に設定された場合、合計遡及時間は、13秒と計算される。記録映像送信部104は、通知時刻T14よりも13秒前の時刻を、送信基準時刻T10に決定する。
【0087】
次に、記録映像送信部104は、送信対象時間を計算する。送信対象時間は、通知時刻T14において記録用映像データ11Cの送信が決定された場合、記録用映像データ11Cが次のイベント検出通知15を送信する通知時刻T15の映像を含むように設定される。この理由については、後述する。例えば、送信対象時間は、40秒に設定される。
【0088】
記録映像送信部104は、送信基準時刻T10から予め設定された送信対象時間を経過するまでの時刻T16までの符号化映像データ11Bを、映像記録装置R1に送信すべき記録用映像データ11Cとして特定する。記録映像送信部104は、送信基準時刻T10に対応するリングバッファ103のアドレスから、時刻T16に対応するリングバッファ103のアドレスまでの符号化映像データ11Bを、記録用映像データ11Cとして読み出す。読み出された記録用映像データ11Cは、映像記録装置R1に送信される(ステップS7。
図4参照)。
図8において、符号化映像データ11Bのうち、ハッチングで示す部分が、記録用映像データ11Cに対応する。
【0089】
記録用映像データ11Cの送信は、例えば、以下のようにして行われる。記録映像送信部104は、記録用映像データ11Cの送信を決定した場合、記録用映像データ11Cの送信を開始することを示す送信開始通知を記録映像装置R1に通知する。記録映像装置R1において、映像取得部52(
図3参照)は、記録映像送信部104からの送信開始通知を受信した場合、記録映像送信部104に許可通知を送信する。具体的には、映像取得部52は、HDD57が故障しておらず、かつ、HDD57の空き容量が十分に確保されている場合、許可通知を送信する。記録映像送信部104は、許可通知を受信した場合、リングバッファ103からの記録用映像データ11Cの読み出しを開始し、読み出した符号化映像データ11Bを映像記録装置R1に送信する。
【0090】
なお、映像取得部52は、例えば、HDD57が故障しているか、あるいは、HDD57の空き容量が十分でない場合、記録用映像データ11Cの送信を許可しない。この場合、映像取得部52は、許可通知の送信に代えて、LAN3に接続された図示しないNAS(Network Attached Storage)に記録用映像データ11Cを送信することを指示すればよい。記録映像送信部104は、NASへの送信指示を受信した場合、記録用映像データ11CをNASに送信する。
【0091】
次に、記録映像送信部104が、通知間隔Dtを使用して送信基準時刻を決定する理由を説明する。一般的に、従来の監視システムにおいて、監視装置がイベントを検出した場合、サーバは、イベント検出時刻から固定遡及時間Ftを遡った時刻を特定し、特定した時刻以後の映像を監視装置から取得して記録する。これにより、イベントが検出される前の状況を事後的に確認可能としている。
【0092】
しかし、監視装置M−1は、イベント検出通知15を、通知間隔Dtが経過するたびに設定される通知時刻で送信する。通知間隔Dtは、
図8に示す例では、固定遡及時間Ftよりも長い時間に設定されている。通知時刻T14から固定遡及時間Ftを遡った時刻Taは、イベントが検出される時刻T12よりも後の時刻となる。監視装置M−1は、通知時刻T14から固定遡及時間Ftを遡った時刻Taを送信基準時刻とした場合、時刻Ta以後の符号化映像データ11Bを、記録用映像データ11Cとして映像記録装置R1に送信する。この結果、映像記録装置R1は、時刻T12で検出されたイベントが撮影された記録用映像データ11CをHDD57に記憶することができない。
【0093】
そこで、監視装置M−1は、
図8に示すように、通知間隔Dtと固定遡及時間Ftとを合計して合計遡及時間を決定する。監視装置M−1は、通知時刻T14から合計遡及時間を遡った時刻T10を送信基準時刻に決定し、時刻T10以後の符号化映像データ11Bを記録用映像データ11Cとして映像記録装置R1に送信する。送信基準時刻T10は、イベント検出通知15を送信した通知時刻T14の直前の通知時刻T11よりも前の時刻である。監視装置M−1は、通知時刻T11から通知時刻T14を経過するまでに検出された全てのイベントが撮影された記録用映像データ11Cを映像記録装置R1に送信することができる。つまり、映像記録装置R1は、時刻T12で検出されたイベントが撮影された記録用映像データ11CをHDD57に記憶することができる。また、監視装置M−1は、上述のように、イベントを検出するたびにイベント検出通知15を送信しなくてもよく、イベントを検出するたびに記録用映像データ11Cを送信しなくてもよい。これにより、映像記録装置R1におけるイベント検出通知15の受信処理の回数と、記録用映像データ11Cの受信処理の回数とを削減できるため、映像記録装置R1の負荷が軽減される。
【0094】
また、記録判断部111は、イベント検出通知15を送信する通知時刻において、記録用映像データ11Cの送信が行われている場合、記録用送信データ11Cを送信するか否かを判断しない。この場合、記録判断部111は、送信対象時間を延長するか否かを判断する。
【0095】
例として、
図8に示すように、通知時刻T15において、記録用映像データ11Cの送信が行われている場合を考える。記録判断部111は、通知時刻T15において、動き検出部107が最後に出力したイベント検出結果と、人感センサ108が最後に出力したイベント検出結果とが、送信判断テーブル120のパターン1に該当するか否かを判断する。パターン1に該当する場合、記録判断部111は、記録用映像データ11Cの送信条件が通知時刻T14から通知時刻T15にかけて継続して満たされていると判断し、送信対象時間を通知間隔Dtに相当する時間分延長する。該当しない場合、記録判断部111は、送信対象時間を延長しない。
【0096】
上述のように、記録判断部111が、通知時刻T14において記録用映像データ11Cの送信開始を決定した場合、記録映像送信部104は、次の通知時刻T15までの映像が記録用映像データ11Cに含まれるように、送信対象時間を設定する。これにより、記録映像送信部104は、通知時刻T14から開始された記録用映像データ11Cの送信を、通知時刻T15においても継続させることができる。記録判断部111が通知時刻T15において送信対象時間を延長するか否かを判断することにより、監視装置M−1は、記録用映像データ11Cの送信回数を削減することができる。監視装置M−1が、撮影時間が重複する2つの記録用映像データ11Cを映像記録装置R1に送信することを防ぐことができるため、映像記録装置R1の負荷を低減することができる。
【0097】
なお、記録判断部111は、送信対象時間を延長しなくてもよい。例えば、記録判断部111が、通知時刻T14から通知時刻T15までの期間において、パターン1に該当するイベントが検出されたと判断した場合、記録映像送信部104は、通知時刻T15から合計遡及時間を遡った時刻から、送信対象時間を経過するまでの符号化映像データ11Bを、記録用映像データ11Cとして送信してもよい。この場合、2つの記録用映像データ11Cが重複して送信される期間が発生する。つまり、記録用映像データ11Cは、複数の記録用映像データ11Cを重複して送信してもよい。
【0098】
{2.2.イベント中継通知に基づく記録用映像データの送信}
{2.2.1.イベント中継通知の送信の概略}
図4を参照しながら、イベント中継通知を送信する映像記録装置R1の動作について説明する。
【0099】
上述のように、映像記録装置R1は、監視装置M−1及びM−2からイベント検出通知を受信する(ステップS4及びS6)。映像記録装置R1は、イベント検出通知の中継先として、監視装置M−3を決定する。中継先の決定方法については、後述する。映像記録装置R1は、監視装置M−1及びM−2から受信した2つのイベント検出通知を含むイベント中継通知を監視装置M−3に送信する(ステップS8)。
【0100】
これにより、監視装置M−3は、他の監視装置で検出されたイベントを取得することができるため、監視システム100は、複数の監視装置を連携して動作させることが可能となる。例えば、施設内に不審者が侵入した場合において、侵入時刻において施設内の様々な場所で撮影された記録用映像データを映像記録装置R1に記録することが可能となる。
【0101】
また、監視装置M−3が、映像記録装置R1から送信される中継イベント通知に基づいて、記録用映像データ31Cを映像記録装置R1に送信するか否かを判断する。映像記録装置R1は、監視装置M−3から記録用映像データを取得するか否かを判断しなくてもよいため、映像記録装置R1の負荷が軽減される。
【0102】
{2.2.2.中継先の決定}
図9は、映像記録装置R1がイベント検出通知を受信する時刻と、イベント中継通知を送信する中継時刻との関係を示す図である。
図9に示す時刻T11、T14、T21及びT23は、
図5に示す時刻T11、T14、T21及びT23と同じ時刻である。
図9に示す時刻T14及びT23において送信されるイベント検出通知は、
図5示す時刻T14及びT23において送信されるイベント検出通知と同じである。
【0103】
上述のように、映像記録装置R1は、時刻T14において、イベント検出通知15を監視装置M−1から受信する。映像記録装置R1において、イベント中継部53は、監視装置データベース59を参照して、受信したイベント検出通知15の中継先として監視装置M−3を決定する。
【0104】
図10は、監視装置データベース59の一例を示す図である。
図10に示すように、監視装置データベース59は、監視装置M−1〜M−kの設置場所に関するデータと、監視装置M−1〜M−kのグループ分けに関するデータとを記憶している。
【0105】
図10において、IDは、各監視装置に割り当てられる識別番号である。ID「1」〜「3」は、それぞれ、監視装置M−1〜M−3の識別番号である。名称は、各監視装置に設定される名称である。
図10に示す例では、各監視装置の名称として、設置フロア及び設置場所が使用されているが、他の名称を用いてもよい。設置フロアは、各監視装置が設置されている階を示す。設置場所は、設置フロアにおいて各監視装置が設置されている場所を示す。
【0106】
第1グループは、監視装置M−1〜M−kを設置フロアに基づいてグループ分けした場合における、各監視装置の所属グループを示す。グループAは、1階に設置されているID「1」〜「5」の監視装置により構成される。グループBは、2階に設置されているID「6」〜「9」の監視装置により構成される。グループCは、3階に設置されているID「10」〜「13」の監視装置により構成される。
【0107】
第2グループは、監視装置M−1〜M−kを設置フロア以外の条件に基づいてグループ分けした場合における、各監視装置の所属グループを示す。グループPは、施設に出入り可能な非常口、正面玄関に設置された監視装置のグループであり、ID「1」、「5」、「6」及び「10」の監視装置により構成される。グループQは、フロア間を移動可能なエレベータを撮影可能な監視装置のグループであり、ID「3」、「8」及び「12」の監視装置により構成される。
【0108】
イベント中継部53は、時刻T14において受信したイベント検出通知15の送信元が監視装置M−1であるため、監視装置M−1が所属するグループを特定し、特定したグループに所属する監視装置を中継先に決定する。具体的には、監視装置M−1がグループA及びグループPに所属しているため、イベント中継部53は、グループA及びグループPの少なくとも一方に所属する監視装置を中継先に決定する。具体的には、ID「2」〜「6」及び「10」の監視装置が、中継先に決定される。
【0109】
グループAは、1階に設置された監視装置のグループである。監視装置M−1においてイベントが検出された場合、1階に設定された他の監視装置が、監視装置M−1で検出されたイベントに関連する映像を撮影している可能性がある。このため、グループAに所属する監視装置が中継先に決定される。
【0110】
グループPは、施設の出入口に設置された監視装置のグループである。監視装置M−1においてイベントが検出された場合、監視装置M−1が設置された1階非常口以外の出入口において、他の監視装置が、監視装置M−1で検出されたイベントに関連する映像を撮影している可能性がある。このため、グループPに所属する監視装置が中継先に決定される。
【0111】
再び、
図9を参照する。映像記録装置R1は、監視装置M−1からのイベント検出通知15を時刻T14に受信した後に、時刻T23において、監視装置M−2からのイベント検出通知25を受信する。監視装置M−2は、
図10に示すように、グループAにのみ所属している。イベント中継部53は、監視装置M−2からのイベント検出通知25の中継先として、ID「1」及び「3」〜「5」の監視装置を決定する。
【0112】
この結果、イベント中継部53は、ID「3」〜「5」の監視装置に対して、監視装置M−1からのイベント検出通知15と、監視装置M−2からのイベント検出通知25とを含むイベント中継通知を送信することを決定する。つまり、監視装置M−3には、監視装置M−1及びM−2の各々からのイベント検出通知が中継される。イベント中継部53は、ID「1」の監視装置(監視装置M−1)には、監視装置M−2からのイベント検出通知25を含むイベント中継通知を送信することを決定する。イベント中継部53は、ID「2」、「6」及び「10」の監視装置には、監視装置M−1からのイベント検出を含むイベント中継通知25を送信することを決定する。
【0113】
(イベント中継通知の送信)
イベント中継部53は、監視装置M−1〜M−kの各々に対する中継時刻を設定する。中継時刻は、中継間隔Rtに基づいて決定される。
図9に示す例では、監視装置M−3にイベント中継通知を送信するための時刻(中継時刻)は、時刻T30、T31、T32であり、中継間隔Rtは15秒である。イベント中継部53は、時刻T14及びT23にイベント検出通知を受信した後に最初に設定される中継時刻T32において、イベント中継通知30を監視装置M−3に送信する(ステップS8)。
【0114】
図11は、映像記録装置R1が中継時刻T32において送信するイベント中継通知30の一例を示す図である。
図12に示すように、イベント中継通知30は、時刻T14に受信したイベント検出通知15と、時刻T23に受信したイベント検出通知25と、中継間隔Rtとを含む。
図11に示すイベント検出通知15は、
図6に示すイベント検出通知15と同じであり、監視装置M−1のID「1」に対応付けられている。イベント検出通知25は、監視装置M−2のID「2」に対応付けられており、監視装置M−2の映像データがオフ状態からオン状態に変化したことを示している。通知時刻T21から通知時刻T23までの期間において、監視装置M−2において人感センサのイベントが検出されていないため、イベント検出通知25は、人感センサに関するイベントの内容を有しない。詳細については後述するが、イベント中継通知30に含まれる中継間隔Rtは、イベント中継通知30を受信した監視装置が記録用映像データを送信する際に用いられる。
【0115】
図12は、各監視装置に対する中継時刻の設定方法を説明する図である。
図12に示すように、イベント中継部53は、中継装置M−1〜M−kにイベント中継通知を送信する順序を定めている。送信順序は、例えば、中継装置M−1,M−2,M−3,・・・,M−kの順である。イベント中継通知の送信対象が監視装置M−kとなった場合、次の送信対象は、監視装置M−1に戻る。
【0116】
イベント中継部53は、監視装置M−1〜M−kへの送信順序が中継間隔Rtで一巡するように、各監視装置に対する中継時刻を決定する。
図12に示すように、監視装置M−1に対する中継時刻が、時刻Ta1であり、中継間隔Rtが、15秒に決定されている場合、監視装置M−1に対する次の中継時刻は、時刻Ta1の15秒後の時刻Ta6である。時刻Ta1から時刻Ta6までの期間に、監視装置M−2〜M−kの中継時刻が設定される。例えば、監視装置M−3に対する中継時刻は、時刻Ta3である。監視装置M−kに対する中継時刻は、時刻Ta5である。このように、各中継装置に対する中継時刻が、中継間隔Rtに基づいて、15秒に1回の頻度で設定される。
【0117】
イベント中継部53は、監視装置M−3(ID「3」の監視装置)の他に、上述のように中継先に決定されたID「1」、「2」、「4」〜「6」及び「10」の監視装置に対して、監視装置ごとに設定された中継時刻で、イベント中継通知を送信する(ステップS8)。
【0118】
なお、
図12に示す例では、各監視装置に対する中継時刻が重複しないように設定されているが、映像記録装置R1の負荷に余裕があれば、一部の監視装置に対する中継時刻が重複するようにしてもよい。
【0119】
(イベント中継通知に基づく送信判断)
再び、
図4を参照する。監視装置M−3は、イベント中継通知30を受信した場合、自装置で検出されたイベントの内容と、イベント中継通知30に含まれるイベントの内容とに基づいて、記録用映像データ31Cを送信するか否かを判断する(ステップS9)。
【0120】
以下、監視装置M−3が、中継時刻T32(
図9参照)に受信したイベント中継通知30に基づいて、記録用映像データ31Cを送信するか否かを判断する場合を例にして説明する。
【0121】
監視装置M−3は、中継時刻T32に受信したイベント中継通知30の内容(
図11参照)が送信判断テーブル120のパターン2に該当するか否かを判断する。
図7に示すように、送信判断テーブル120のパターン2は、自装置以外の他の検出装置において動き検出部がオン情報を出力し、かつ、人感センサが検出情報を出力した場合を示している。ここで、パターン2の組み合わせは、単一の監視装置において検出されたイベントの組み合わせを示す。
【0122】
図11に示すイベント中継通知30において、イベント検出通知15は、動き検出部107がオン状態を出力し、人感センサ108が検出状態を出力したことを示しており、送信判断テーブル120のパターン2に一致する。このため、監視装置M−3は、イベント中継通知30の内容が送信条件を満たしていると判断し、記録用映像データ31Cを送信することを決定する。
【0123】
このように、監視装置M−3は、イベント中継通知30の内容が送信判断テーブル120におけるパターン2に一致した場合、自装置で検出されたイベントの内容を考慮することなく、記録用映像データ31Cの送信を決定する。このため、監視装置M−3は、中継時刻T32(
図9参照)までにイベントを検出しない場合であっても、他の監視装置により検出されたイベントの内容に基づいて記録用映像データ31Cを送信することが可能である。
【0124】
(記録用映像データの送信)
再び、
図9を参照する。監視装置M−3は、記録用映像データ31Cの送信を決定したため、リングバッファ303に記録された符号化映像データ31Bの中から、映像記録装置R1に送信すべき記録用映像データ31Cを特定する。具体的には、監視装置M−3は、中継間隔Rtと、通知間隔Dtと、固定遡及時間Ftとを合計した合計遡及時間を計算する。監視装置M−3は、合計遡及時間を計算する際に、時刻T32において受信したイベント中継通知30に記録された中継間隔Rtを使用する。
図9に示すように、固定遡及時間Ftが3秒であり、通知間隔Dtが10秒であり、中継間隔Rtが15秒である場合、合計遡及時間は、28秒となる。監視装置M−3は、イベント中継通知の受信時刻T32から合計遡及時間を遡った時刻T40を、送信基準時刻に決定する。
【0125】
監視装置M−3は、中継時刻T32の次の中継時刻が含まれるように、送信対象時間を計算する。この理由は、イベント検出通知15の送信をトリガとする記録用映像データ11Cの送信時において、次の通知時刻を送信対象時間に含める理由と同じである。例えば、送信対象時間は、60秒に設定される。
【0126】
監視装置M−3は、送信基準時刻T40に対応するリングバッファ303のアドレスから、送信対象時間が経過する時刻T41に対応するリングバッファ303のアドレスまでの符号化映像データ31Bを、記録用映像データ31Cとして読み出す。監視装置M−3は、読み出した記録用映像データ31Cを映像記録装置R1に送信する(ステップS10)。映像記録装置R1は、監視装置M−3から送信される記録用映像データ31CをHDD57に記憶する。
【0127】
監視装置M−3は、中継時刻T32の次の中継時刻(図示省略)においてイベント中継通知30を受信した場合、記録用映像データ31Cの送信が継続されているか否かを判断する。記録用映像データ31Cの送信が継続されている場合、監視装置M−3は、イベント中継通知30の内容が送信判断テーブル120のパターン2に該当するか否かを判断する。イベント中継通知30の内容がパターン2に該当する場合、送信対象時間を、中継間隔Rtの時間分だけ延長する。該当しない場合、監視装置M−3は、送信対象時間を延長しない。
【0128】
以下、監視装置M−3が、イベント中継通知30に基づいて記録用映像データ31Cを送信すると判断した場合に(ステップS9)、中継間隔Rt及び通知間隔Dtを使用して送信基準時刻T40を決定する理由を説明する。
【0129】
図11に示すように、イベント中継通知30は、時刻T12に監視装置M−1で検出されたイベントの内容を含む。つまり、監視装置M−3は、時刻T12で検出されたイベントの内容を考慮して記録用映像データ31Cの送信を決定する。このため、監視装置M−3から送信される記録用映像データ31Cは、時刻T12において監視装置M−3で撮影された映像を含むことが望ましい。
【0130】
しかし、監視装置M−1が時刻T12においてイベントを検出してから、時刻T12におけるイベントの検出が監視装置M―3に通知されるまでに遅延が発生する。従って、監視装置M−3は、記録用映像データ31Cを映像記録装置R1に送信する場合、この遅延を考慮に入れて、リングバッファ303の読み出しアドレスを決定する。
【0131】
監視装置M−1がイベントを検出してからイベント検出通知15を映像記録装置R1に送信するまでに生じる遅延を、イベント通知遅延と定義する。イベント通知遅延は、
図9に示す時刻T12に検出されたイベントの場合、時刻T12から時刻T14までの時間に相当する。イベント通知遅延の最大値は、通知間隔Dtである。この理由は、監視装置M−1が通知時刻T11の直後にイベントを検出したと仮定した場合、このイベントの内容を示すイベント検出通知15が通知間隔Dtの経過後に映像記録装置R1に送信されるためである。
【0132】
また、イベント中継部53が監視装置M−1からイベント検出通知15を受信してから、イベント中継通知30を送信するまでに生じる遅延を、イベント中継遅延と定義する。イベント中継部53が、時刻T14に送信されたイベント検出通知15を中継する場合、イベント中継遅延は、時刻T14から時刻T32までの時間に相当する。イベント中継遅延の最大値は、中継間隔Rtである。この理由は、中継時刻T31の直後にイベント検出通知15を監視装置M−1から受信したと仮定した場合、イベント検出通知15は、中継間隔Rtを経過した後に送信されるためである。
【0133】
監視装置M−1における通知時刻と、監視装置M−3に対する中継時刻とは、独立して決定される。このため、監視装置M−1がイベントを検出してから、このイベントの検出が監視装置M−3に通知されるまでの遅延の最大値は、イベント通知遅延の最大値と、イベント中継遅延の最大値との合計である。このため、監視装置M−3は、固定遡及時間Ftと、通知間隔Dtと、中継間隔Rtとを合計した合計遡及時間を計算し、イベント中継通知30の受信時刻T32から合計遡及時間を遡った時刻を、送信基準時刻に決定する。これにより、監視装置M−3は、監視装置M−1がイベントを検出する前の時刻における記録用映像データ31Cを、映像記録装置R1に送信することができる。
【0134】
{2.2.3.通知間隔Dt及び中継間隔Rtの決定}
映像記録装置R1による通知間隔Dt及び中継間隔Rtの決定について詳しく説明する。
【0135】
最初に、通知間隔Dtの決定で用いられる検出スループットと、中継間隔Rtの決定で用いられる中継スループットとについて説明する。検出スループットは、映像記録装置R1が単位時間あたりに受信することができるイベント検出通知の数である。中継スループットは、映像記録装置R1が単位時間あたりに送信することができるイベント中継通知の数である。検出スループット及び中継スループットは、映像記録装置R1において、イベント中継部53に割り当てられた処理能力を考慮して設定される。
【0136】
イベント検出通知の受信回数が、イベント中継通知の送信回数よりも高くなる可能性が高いため、検出スループットが中継スループットよりも高く設定される。単位時間を1秒とした場合、検出スループットを32に設定し、中継スループットを16に設定することができる。また、以下の説明における検出スループット及び中継スループットの具体的な数値は、単位時間を1秒とした場合の数値である。
【0137】
(中継間隔Rtの決定)
中継間隔Rtは、監視装置M−1〜M−kに共通の時間である。中継間隔をRt(秒)、中継スループットをKr、映像記録装置R1に接続される監視装置の数(接続台数)をkとした場合、イベント中継部53は、中継間隔Rtを(式1)を用いて計算する。
【0139】
例えば、接続台数(k)が64であり、中継スループット(Kr)が16である場合、中継間隔Rtは、4(秒)となる。イベント中継部53は、中継装置M−i(iは1以上k以下の自然数)に対するイベント中継通知を4秒おきに送信する。中継間隔Rtは、監視装置の接続台数の増加に伴って長くなる。
【0140】
(通知間隔の決定(その1))
以下、通知間隔Dtを決定する第1の決定方法を説明する。第1の決定方法により通知間隔Dtを決定した場合、通知間隔Dtは、監視装置M−1〜M−kで共通となる。通知間隔をDt(秒)、検出スループットをKd、接続台数をkとした場合、第1の決定方法は、各監視装置の通知間隔Dtを以下の(式2)を用いて計算する。
【0142】
例えば、接続台数(k)が64であり、検出スループット(Kd)が32である場合、通知間隔Dtは、2(秒)となる。この場合、監視装置M−iは、イベント検出通知を2秒おきに映像記録装置R1に送信する。通知間隔Dtは、監視装置の接続台数の増加に伴って長くなる。
【0143】
(通知間隔の決定(その2))
以下、通知間隔Dtを決定する第2の決定方法を説明する。第2の決定方法は、映像記録装置R1において、ライブ映像の表示を自動で切り替える場合に用いられ、2種類の通知間隔Dtが決定される。
【0144】
2種類の通知間隔のうち、一方の通知間隔は、優先通知間隔である。優先通知間隔は、映像記録装置R1においてライブ映像が表示されている監視装置に適用される。他方の通知間隔は、通常通知間隔である。通常通知間隔は、ライブ映像が表示されていない監視装置に適用される。優先通知間隔は、通常通知間隔よりも短くなるように設定される。ライブ映像が表示されている監視装置は、ライブ映像が表示されていない監視装置よりも高頻度でイベント検出通知を送信することが可能となる。これにより、映像記録装置R1は、後述するように、ライブ映像が表示されている監視装置でイベントが検出されたことを、オペレータに速やかに通知することができる。
【0145】
図13は、映像記録装置R1のモニタ56に表示されるライブ映像を自動で切り替える場合における表示レイアウトの変化の一例を示す図である。
図13は、接続台数(k)が64である場合における表示レイアウトの変化を示している。
【0146】
図13に示すように、表示制御部54は、監視装置M−1〜M−kのライブ映像を、表示レイアウトLa、Lb、Lc、Ldの順に変化させる。表示制御部54は、例えば、10秒ごとに表示レイアウトを切り替える。表示レイアウトLa〜Ld内に記載されている符号は、監視装置M−1〜M−kの各々のライブ映像が表示される位置を示す。
図13において、各表示レイアウトにおける監視装置の符号の表示を一部省略している。表示レイアウトLaでは、監視装置M−1〜M−16のライブ映像が表示される。表示レイアウトLbでは、監視装置M−17〜M−32のライブ映像が表示される。表示レイアウトLcでは、監視装置M−33〜M−48のライブ映像が表示される。表示レイアウトLdでは、監視装置M−49〜M−64のライブ映像が表示される。
【0147】
通知間隔決定部51は、モニタ56に表示されている表示レイアウトに従って、優先通知間隔Dtpを適用する監視装置と、通常通知間隔Dtnを適用する監視装置とを決定する。例えば、表示レイアウトLaがモニタ56に表示されている場合、通知間隔決定部51は、優先通知間隔Dtpを監視装置M−1〜M−16に適用し、通常通知間隔Dtnを監視装置M−17〜M64に適用する。表示制御部54は、表示レイアウトLaをモニタ56に表示させてから10秒を経過した場合、表示レイアウトLaから表示レイアウトLbに切り替える。この場合、通知間隔決定部51は、優先通知間隔Dtpを監視装置M−17〜M−32に適用し、通常通知間隔Dtnを監視装置M−1〜M−16及びM−33〜M−64に適用する。
【0148】
優先通知間隔Dtp及び通常通知間隔Dtnの決定方法について具体的に説明する。優先通知間隔Dtpは、通知間隔決定部51に予め設定された固定時間であり、例えば、2/3秒(約0.6667秒)である。
【0149】
通常通知間隔Dtnは、下記の(式3)に従って計算される。
【0151】
(式3)において、kは接続台数であり、Kdは検出スループットであり、Vnは、1つの表示レイアウトに表示される監視装置のライブ映像の数であり、Dtpは、優先通知間隔である。(式3)は、ライブ映像が表示されていない監視装置に対して割り当てられる検出スループットを、ライブ映像が表示されていない監視装置の数で除算することにより、通常通知間隔Dtnが得られることを示している。
【0152】
例えば、接続台数(k)が64であり、検出スループット(Kd)が32であり、1つの表示レイアウトで表示される監視装置の映像の数(Vn)が16であり、優先通知間隔Dtpが2/3秒である場合、通常通知間隔Dtnは、6(秒)となる。
【0153】
優先通知間隔Dtpは、1秒以下であることが望ましい。以下、その理由を、
図14を参照しながら説明する。
図14は、映像記録装置R1のモニタ56に表示される監視装置M−1のライブ映像の一例を示す図である。
【0154】
図14に示すように、監視装置M−1のライブ映像が表示されている場合を考える。この場合において、イベント中継部53が監視装置M−1からイベント検出通知15を受信する。表示制御部54は、イベント中継部53が受信した監視装置M−1のイベント検出通知15の内容に基づいて、イベント検出メッセージ561を監視装置M−1のライブ映像上に表示させる。これにより、監視装置M−1でイベントが検出されたことをオペレータに速やかに知らせることができる。
【0155】
優先通知間隔Dtpが1秒以上に設定された場合、イベントを検出してからイベント検出通知を送信するまでの時間が1秒以上となる場合がある。監視装置M−1がイベント検出してからイベント検出メッセージ561が表示されるまでの時間は、優先通知間隔Dtpに依存する。従って、優先通知間隔Dtpが長くなるにつれて、イベント検出メッセージ561の表示遅延が増大する。優先通知間隔Dtpを長く設定することにより、監視装置M−1において変化のある映像が表示されているにもかかわらず、イベント検出メッセージ561が表示されない場合が発生する。この結果、オペレータが、監視装置M−1のライブ映像の変化を見逃す可能性がある。
【0156】
一方、優先通知間隔Dtpが1秒以下に設定された場合、表示制御部54は、監視装置M−1のライブ映像の変化に合わせて、イベント検出メッセージ561を速やかに表示することができる。監視装置M−1でイベントが検出されたことについて、速やかに注意喚起をすることができる。
【0157】
(通知間隔の決定(その3))
以下、通知間隔Dtを決定する第3の決定方法を説明する。第3の決定方法は、映像記録装置R1において、ライブ映像の表示をオペレータの操作に応じて切り替える場合に用いられる。第3の決定方法は、第2の決定方法と同様に、優先通知間隔Dtpと通常通知間隔Dtnを用いる。
【0158】
図15は、映像記録装置R1のモニタ56に表示されるライブ映像を、オペレータの操作に応じて切り替える場合における表示レイアウトの変化の一例を示す図である。
図15は、接続台数(k)が64である場合における表示レイアウトの変化を示している。
【0159】
表示制御部54は、最初に、監視装置M−1〜M−16のライブ映像を表示レイアウトLaでモニタ56に表示させる。表示制御部54は、オペレータの操作に応じて、表示レイアウトLaから表示レイアウトLeに切り替える。表示レイアウトLeでは、監視装置M−1〜M−4のライブ映像が表示される。その後、表示制御部54は、オペレータの操作に応じて、表示レイアウトLeから表示レイアウトLfに切り替える。表示レイアウトLfでは、監視装置M−1のライブ映像がフルスクリーンモードで表示される。
【0160】
上記のようにライブ映像の表示がオペレータの操作に応じて切り替えられる場合、通知間隔決定部51は、ライブ映像が表示されている監視装置に対して優先通知間隔Dtpを適用し、ライブ映像が表示されていない監視装置に対して通常通知間隔Dtnを適用する。
【0161】
レイアウトLeの場合、通知間隔決定部51は、監視装置M−1〜M−4に対して優先通知間隔Dtpを適用し、監視装置M−5〜M−64に対して通常通知間隔Dtnを適用する。レイアウトLeにおいて、1つの表示レイアウトで表示される監視装置の映像の数(Vn)が4である。接続台数(k)が64であり、検出スループット(Kd)が32であり、優先通知間隔Dtpが2/3秒である場合、通常通知間隔Dtnは、(式3)を用いて計算することにより、約2.3(秒)となる。
【0162】
レイアウトLfの場合、通知間隔決定部51は、監視装置M−1に対して優先通知間隔Dtpを適用し、監視装置M−2〜M−64に対して通常通知間隔Dtnを適用する。レイアウトLfにおいて、1つの表示レイアウトで表示される監視装置の映像の数(Vn)が1である。接続台数(k)が64であり、検出スループット(Kd)が32であり、優先通知間隔Dtpが2/3秒である場合、通常通知間隔Dtnは、(式3)を用いて計算することにより、約2.06(秒)となる。
【0163】
(通知間隔の決定(その4))
以下、通知間隔Dtを決定する第4の決定方法を説明する。第4の決定方法は、監視装置M−1〜M−kの設置場所に応じて、各監視装置に対して、優先通知間隔Dtp及び通常通知間隔Dtnのいずれか一方を適用する。
【0164】
図16は、第4の決定方法を用いて通知間隔Dtを決定する場合における、通知間隔決定部51の動作を示すフローチャートである。以下、
図10及び
図16を参照しながら、第4の決定方法を用いて通知間隔Dtを決定する通知間隔決定部51の動作を説明する。
【0165】
映像記録装置R1が起動した場合、通知間隔決定部51は、最初の優先グループを決定する(ステップS401)。最初の優先グループは、監視装置データベース59に登録されているグループA〜C、P及びQのうち、いずれか1つのグループである。最初の優先グループは、通知間隔決定部51に予め設定されている。通知間隔決定部51は、例えば、最初の優先グループとして、グループAを決定する。
【0166】
通知間隔決定部51は、優先グループに属する監視装置に優先通知間隔Dtpを適用する(ステップS402)。優先通知間隔Dtpの決定方法は、上記の第2の決定方法と同様であり、予め設定された固定値である。グループAが最初の優先グループに決定されている場合、通知間隔決定部51は、
図10に示す監視装置データベース59に登録されている監視装置のうち、ID「1」〜「5」の監視装置に対して、優先通知間隔Dtpを適用する。
【0167】
通知間隔決定部51は、優先グループ以外のグループに属する監視装置に通常通知間隔Dtnを適用する(ステップS403)。通常通知間隔Dtnの決定方法は、上記の第2の決定方法と同様である。ただし、第4の決定方法を用いて通常通知間隔Dtnを決定する場合、(式3)におけるVnは、1つの表示レイアウトに表示される監視装置のライブ映像の数ではなく、優先グループに属する監視装置の数である。グループAが優先グループに決定されている場合、ID「1」〜「5」の監視装置以外の監視装置に対して、通常通知間隔Dtnを適用する。
【0168】
通知間隔決定部51は、イベント中継部53がイベント検出通知を受信するまで(ステップS404においてYes)、待機する。通知間隔決定部51は、イベント検出通知の受信待機中に(ステップS404においてNo)、監視終了がオペレータにより指示された場合(ステップS406においてYes)、
図16に示す処理を終了する。
【0169】
通知間隔決定部51は、イベント中継部53がイベント検出通知を受信した場合(ステップS404においてYes)、受信したイベント検出通知の送信元に基づいて、優先グループを更新する(ステップS405)。例えば、イベント中継部53が、イベント検出通知を監視装置M−1から受信した場合、通知間隔決定部51は、イベント検出通知の送信元である監視装置M−1が属するグループを、優先グループとして決定する。
図10に示すように、監視装置M−1がグループA及びPに所属しているため、通知間隔決定部51は、優先グループをグループAから、グループA及びPに更新する。
【0170】
通知間隔決定部51は、更新された優先グループに属する監視装置に対して、優先通知間隔Dtpを適用する(ステップS402)。更新後の優先グループが、グループA及びPである場合、通知間隔決定部51は、グループA及びPの少なくとも1つに属するID「1」〜「6」及び「10」の監視装置に、優先通知間隔Dtpを適用する。
【0171】
通知間隔決定部51は、更新されたグループ以外のグループに属する監視装置に対して、通常通知間隔Dtnを適用する(ステップS403)。更新後の優先グループが、グループA及びPである場合、通知間隔決定部51は、グループA及びPのいずれにも属していない監視装置に対して、通常通知間隔Dtnを適用する。ステップS405における優先グループの更新により、優先通知間隔Dtpが適用される監視装置の数が変動する場合、上記(式3)におけるVnが変化する場合がある。
【0172】
以下、イベント検出通知を受信した場合(ステップS404においてYes)、通知間隔決定部51は、ステップS405を実行し、その後、S402及びS403を実行する。これにより、優先通知間隔Dtp及び通常通知間隔Dtnの適用対象が再び変更される。
【0173】
このように、通知間隔決定部51が、上記のようにして優先グループを更新して、優先通知間隔Dtpの適用対象を変更することにより、優先通知間隔Dtpの適用対象となる監視装置を、侵入者の侵入経路に応じて変更することができる。これにより、表示制御部54は、優先グループに属する監視装置の映像をライブで表示し、優先グループに属する監視装置のイベント検出メッセージを速やかに表示することができる。これにより、オペレータは、施設内の侵入者を容易に監視することができる。
【0174】
なお、第2〜第4の決定方法により通知間隔Dtを決定する場合、各監視装置が用いる通知間隔Dtが変動する。映像記録装置R1は、第2〜第4の決定方法により通知間隔Dtを決定する場合、
図11に示すイベント中継通知において、各監視装置の通知間隔Dtを記述する。監視装置は、イベント中継通知をトリガとして記録用映像データを送信すると判断した場合、合計遡及時間の計算に、イベント中継通知30に含まれる通知間隔Dtの中で最大の通知間隔を使用する。
【0175】
(その他の決定方法)
以上、通知間隔の決定方法として、第1〜第4の決定方法を説明したが、第4の決定方法を第1〜第3の決定方法と組み合わせてもよい。
【0176】
例えば、第1の決定方法と第4の決定方法とを組み合わせる場合、通知間隔決定部51は、
図16に示すステップS401の処理に代えて、第1の決定方法を用いて各監視装置の通知間隔Dtを適用すればよい。
【0177】
第2の決定方法と第4の決定方法とを組み合わせる場合、通知間隔決定部51は、ステップS401に代えて、第2の決定方法により各監視装置の通知間隔Dtを決定すればよい。第3の決定方法と第4の決定方法を組み合わせる場合も、第3の決定方法により各監視装置の通知間隔Dtを決定すればよい。つまり、第1〜第4の決定方法を組み合わせて通知間隔を決定する場合、組み合わせ対象の決定方法について優先順序を設定しておけばよい。
【0178】
また、第2〜第4の決定方法において、優先通知間隔Dtp及び通常通知間隔Dtnのいずれかを一方を各監視装置に適用する例を説明したが、これに限られない。通知間隔決定部51は、2つ以上の優先通知間隔を用いてもよい。
【0179】
例えば、通知間隔決定部51は、第4の決定方法を用いて通知間隔を決定する場合、ステップS401(
図16参照)において、第1の優先グループと、第2の優先グループとを決定してもよい。例えば、通知間隔決定部51は、ステップS401において、第1の優先グループとしてグループP(
図10参照)を決定し、第2の優先グループとして、グループAを決定する。通知間隔決定部51は、ステップS402において、第1の優先グループ(グループP)に属する監視装置に対して、優先通知間隔Dtpとして2/3(秒)を適用する。また、通知間隔決定部51は、第2の優先グループ(グループA)に属する監視装置に対して、優先通知間隔Dtpとして1(秒)を適用する。このように、複数の優先グループを使用する場合、通知間隔決定部51は、優先グループの優先順位が高くなるにつれて、短い優先通知間隔Dtpを適用すればよい。
【0180】
通知間隔決定部51は、イベント検出通知を受信した場合(ステップS404においてYes)、2つ以上の優先グループに更新してもよい(ステップS405)。この場合、通知間隔決定部51は、各グループ間の優先順位を定めたデータベース(図示省略)に基づいて、更新後の複数の優先グループの優先順位を決定すればよい。
【0181】
また、複数の優先グループを使用する場合、通常通知間隔Dtnは、下記(式4)に基づいて決定される。
【0183】
(式4)において、Kdは検出スループットである。nは、優先グループの数であり、V(i)は、優先順位がi番目の優先グループに属する監視装置の数であり、Dtp(i)は、優先順位がi番目の優先グループに設定された優先通知間隔である。Vtは、優先順位が複数の優先グループに属する監視装置の合計数である。つまり、Vtは、下記(式5)により表される。
【0185】
つまり、(式4)におけるシグマ演算子の項は、優先グループに属する監視装置に割り当てられた単位時間あたりのイベント検出通知の数である。
【0186】
{2.2.4.監視装置データベース59の作成}
監視装置データベース59(
図10参照)については、オペレータが映像記録装置R1を操作することにより、以下のようにして作成することができる。監視システム100が構築される施設における各フロアの間取り図(フロアマップ)を作成し、HDD57に記憶する。フロアマップは、HDD57以外の大容量の記憶装置(フラッシュメモリや、電源バックアップ機能が附属したSRAM(Static Random Access Memory))に記憶されてもよい。フロアマップにおいて、フロア番号(階数)が設定される。また、フロアマップは、各フロアにおいて、エレベータ、エレベータホール、廊下、部屋、非常口、非常階段などの設備が配置された場所を特定する情報を保持している。オペレータは、モニタ56に表示されたフロアマップにおいて、監視装置M−1〜M−kの設置場所を指定する。
【0187】
映像記録装置R1は、オペレータの操作に応じて、監視装置M−1〜M−kの設置場所を特定する情報を生成する。例えば、施設の1階における非常口が、監視装置M−1の設置場所として指定された場合、映像記録装置R1は、監視装置M−1の設置場所を特定する情報として、フロア番号が1階であり、かつ、設置場所が非常口であることを示す情報を生成する。
【0188】
映像記録装置R1は、監視装置M−1〜M−kの各々の設置場所を特定する情報に基づいて、監視装置データベース59を作成する。このとき、映像記録装置R1は、ID「1」〜「13」の監視装置(
図10参照)が設置されたフロアを示す情報に基づいて、これらの監視装置をグループA〜Cのいずれか1つに分類する。また、映像記録装置R1は、ID「1」〜「13」の監視装置が設置された場所に基づいて、ID「1」、「5」、「6」及び「10」の監視装置をグループPに分類し、ID「3」、「8」及び「12」の監視装置をグループQに分類する。また、映像記録装置R1は、ID「1」〜「13」の監視装置の名称も、設置された場所に基づいて設定してもよい。
【0189】
また、映像記録装置R1は、監視装置M−1〜M−kの各々に設定された名称に基づいて、監視装置データベース59を生成してもよい。具体的には、各監視装置の名称を記述するルールを予め決定しておく。例えば、監視装置の名所を、「フロア番号」、「設置場所」、「機器の分類」の順に記述することを決定する。「フロア番号」は、監視装置が設置されるフロアの番号(階数)であり、「設置場所」は、設置フロアにおいて各監視装置が設置される具体的な場所である。「機器の分類」は、例えば、「カメラ」である。映像記録装置R1は、上述のルールに基づいて各監視装置の名称を解析することにより、各監視装置の設置フロア、設置場所を特定して、監視装置データベース59を作成する。各監視装置が所属するグループについては、フロア番号、又は、設置場所に基づいて分類される。
【0190】
また、映像記録装置R1は、モニタ56に各監視装置のライブ映像を表示する際に、フロアマップを合わせて表示してもよい。例えば、映像記録装置R1は、1階のフロアマップをモニタ56に表示する。
図10に示すように、監視装置M−1が、1階の非常口に設置されていると仮定する。監視装置M−1がイベントを検出した場合、映像記録装置R1は、表示されている1階のフロアマップの非常口の周辺に、監視装置M−1のライブ映像を表示する。これにより、オペレータは、1階におけるイベントの発生状況と、監視装置のライブ映像との両者を容易に把握することができる。また、映像記録装置R1と別の装置(例えば、監視用端末2)が、モニタ56に各監視装置のライブ映像を表示する際に、フロアマップを合わせて表示してもよい。
【0191】
また、映像記録装置R1以外の外部装置がLAN3に接続されている場合、外部装置が、フロアマップを作成する機能を有していてもよい。この場合、映像記録装置R1は、外部装置からフロアマップを取得し、取得したフロアマップを用いて、監視装置データベース59を作成してもよい。外部装置が、作成したフロアマップを用いて、監視装置データベース59を作成してもよい。あるいは、映像記録装置R1及び外部装置以外の装置が、外部装置からフロアマップを取得して、監視装置データベース59を作成してもよい。
【0192】
{2.3.仮想バッファの使用}
監視システム100において、監視装置M−i(iは1以上の自然数)は、リングバッファに符号化映像データを一時的に記憶する。しかし、監視装置M−iは、リングバッファの記憶容量が不足すると判断した場合、監視装置M−iのリングバッファと、他の監視装置におけるリングバッファの余剰領域とにより構成される仮想バッファに、符号化映像データを一時的に記憶する。
【0193】
{2.3.1.リングバッファの容量と合計遡及時間との関係}
上述したように、監視装置M−iは、イベント中継通知の受信をトリガとして、記録用映像データを映像記録装置R1に送信する。このとき、監視装置M−iは、イベント中継通知の受信時刻から合計遡及時間を遡った時刻を送信基準時刻として決定し、送信基準時刻以後の符号化映像データをリングバッファから読み出す。従って、各監視装置のリングバッファは、少なくとも、合計遡及時間分の符号化映像データを記憶することができる記憶容量を有する必要がある。
【0194】
図17は、監視装置M−1〜M−3のリングバッファ103〜303に必要な記憶容量を示す図である。リングバッファ103〜303に必要な記憶容量は、
図17に示すように、バッファ時間Ytと、固定遡及時間Ftと、通知間隔Dtと、中継間隔Rtとを合計した時間(使用容量特定時間Zt)により決定される。バッファ時間Ytは、各監視装置と映像記録装置R1とのネットワーク通信時に生じる通信速度の揺らぎを吸収するために設定される時間である。リングバッファ103〜303の各々に必要な記憶容量は、使用容量特定時間Ztに符号化映像データ11B〜31Bの各々のビットレートを乗ずることにより計算される。
【0195】
監視装置M−2及びM−3における使用容量特定時間Ztは、リングバッファ203及び303の記憶時間Xtよりも短い。記憶時間Xtは、リングバッファ103〜303の各々において記憶可能な符号化映像データの時間である。記憶時間Xtは、例えば、リングバッファ203では、符号化映像データ21Bのビットレートとリングバッファ203の記憶容量とから計算される。
【0196】
監視装置M−2及びM−3は、符号化映像データ21B及び31Bを使用容量特定時間Ztに対応する使用領域203A及び303Aにそれぞれ記憶する。リングバッファ203及び303において、余剰領域203B及び303Bは、記憶時間Xtと使用容量特定時間Ztとの差分時間に相当する領域であり、符号化映像データ21B及び31Bが記憶されない領域である。
【0197】
一方、監視装置M−1において、使用容量特定時間Ztが、リングバッファ103の記憶時間Xtよりも長くなっている。これは、監視装置M−1の固定遡及時間Ftが、監視装置M−2及びM−3の固定遡及時間Ftよりも大幅に長いためである。固定遡及時間Ftは、監視の目的や、監視装置の設置位置などに応じて監視装置ごとに変更することが可能である。監視装置M−1において、使用容量特定時間Ztが記憶時間Xtよりも長いため、リングバッファ103は、使用容量特定時間Zt分の符号化映像データ11Bを記憶することができない。
【0198】
また、通知間隔Dt及び中継間隔Rtは、映像記録装置R1に接続される台数に応じて変化する。優先通知間隔Dtp及び通常通知間隔Dtnのいずれかを監視装置に適用する場合、監視装置に適用される通知間隔Dtが変動する。これらの理由により、監視装置M−1〜M−kのいずれかで、リングバッファの記憶容量が不足することが考えられる。
【0199】
上述のように、監視装置M−1は、リングバッファ103の記憶容量が不足する場合、リングバッファ103と、余剰領域203B及び303Bとにより構成された仮想バッファを使用する。これにより、監視装置M−1は、使用容量特定時間Zt分の記憶容量を確保する。
【0200】
{2.3.2.仮想バッファ使用時の監視システムの動作}
図18は、監視装置M−1が仮想バッファを使用するときにおける監視システム100の動作を示すシーケンス図である。
【0201】
(リングバッファの記憶容量の確認)
図18に示すように、映像記録装置R1は、リングバッファにおける空き容量の決定に必要な時間パラメータを監視装置M−1〜M−3に送信する(ステップS501〜S503)。
図18に示していないが、時間パラメータは、映像記録装置R1に接続される他の監視装置にも送信される。時間パラメータは、具体的には、バッファ時間Ytと、中継間隔Rtと、固定遡及時間Ftと、通知間隔Dtとして設定される最大時間とを含む。
【0202】
上述のように、各監視装置に適用される通知間隔Dtは、イベント検出や、映像記録装置R1におけるライブ表示の状態に応じて変更される場合がある。各監視装置は、リングバッファに格納すべき符号化映像データの最大データサイズを特定するために、使用容量特定時間Ztの計算に、最大の通知間隔Dtを使用する。これにより、各監視装置は、符号化映像データの最大データサイズに対応する使用領域を確保することができる。
【0203】
監視装置M−1において、バッファ管理部105は、ステップS501で受信した時間パラメータに基づいて、リングバッファ103における余剰領域の有無を判断する(ステップS504)。バッファ管理部105は、リングバッファ103の記憶容量と、符号化映像データ11Bのビットレートとに基づいて、リングバッファ303の記憶時間Xtを決定する。バッファ管理部105は、バッファ時間Ytと、中継間隔Rtと、固定遡及時間Ftと、通知間隔Dtの最大時間とを合計して、使用容量特定時間Ztを計算する。
【0204】
バッファ管理部105は、使用容量特定時間Ztを記憶時間Xtと比較することにより、リングバッファ103における余剰領域の有無を判断する。使用時間特定容量Ztが記憶時間Xtよりもより短い場合、バッファ管理部105は、余剰領域があると判断する。バッファ管理部105は、余剰領域があると判断した場合、記憶時間Xtから使用容量特定時間Ztを減算した減算値と、符号化映像データ11Bのビットレートとに基づいて、余剰領域のデータサイズ(余剰容量)を計算する。
【0205】
一方、使用容量特定時間Ztが記憶時間Xtよりも長い場合、バッファ管理部105は、リングバッファ103の記憶容量が不足すると判断する。バッファ管理部105は、使用容量特定時間Ztから記憶時間Xtを減算した減算値と、符号化映像データ11Bのビットレートとに基づいて、不足領域103Bの記憶容量を計算する。不足領域103Bは、
図17に示すように、使用容量特定時間Zt分の符号化映像データ11Bのうち、リングバッファ103に記憶することができない符号化映像データ11Bを記憶するための仮想的な領域である。以下、不足領域103Bの記憶容量を、「不足容量」と記載する。
【0206】
図17に示す例の場合、リングバッファ103の記憶時間Xtが、使用容量特定時間Ztよりも短いため、バッファ管理部105は、リングバッファ103の記憶容量が不足すると判断し、不足容量を計算する。バッファ管理部105は、容量不足通知を映像記録装置R1に送信する(ステップS505)。容量不足通知は、リングバッファ103の記憶容量が不足することを通知するメッセージであり、不足容量を含む。
【0207】
監視装置M−2は、ステップS504と同様の手順により、余剰領域203Bがリングバッファ203にあると判断し(ステップS506)、余剰領域通知を映像記録装置R1に送信する(ステップS507)。余剰領域通知は、リングバッファ203に余剰領域203Bがあることを示すメッセージであり、余剰領域203Bの記憶容量と、余剰領域203Bの開始アドレス及び終了アドレスとを含む。
【0208】
監視装置M−3は、ステップS504と同様の手順により、余剰領域303Bがリングバッファ303にあると判断し(ステップS508)、余剰領域通知を映像記録装置R1に送信する(ステップS509)。ステップS509で送信される余剰領域通知は、余剰領域303Bの記憶容量と、余剰領域303Bの開始アドレス及び終了アドレスとを含む。
【0209】
(仮想バッファの構成の決定)
映像記録装置R1において、バッファ調整部58は、ステップS505で受信した容量不足通知に基づいて、監視装置M−1が仮想バッファを使用することを決定する。バッファ調整部58は、ステップS507及びS509で受信した余剰領域通知に基づいて、監視装置M−1が使用する仮想バッファの構成を決定する(ステップS510)。具体的には、バッファ調整部58は、リングバッファ103の不足容量が余剰領域203Bの記憶容量と余剰領域303Bの記憶容量との合計よりも小さい場合、余剰領域203B及び303Bを仮想バッファに用いることを決定する。これにより、仮想バッファが、リングバッファ103と、余剰領域203B及び303Bとにより構成されることが決定される。
【0210】
バッファ調整部58は、構成決定通知を監視装置M−1に送信する(ステップS511)。構成決定通知は、ステップS510で決定された仮想バッファの構成(リングバッファ103、余剰領域203B及び303B)を示すデータであり、余剰領域203B及び303Bの各々の記憶容量と、開始アドレスと、終了アドレスとを含む。
【0211】
監視装置M−1において、バッファ管理部105は、構成決定通知を受信した場合、使用領域通知を監視装置M−2に送信して、余剰領域203Bを仮想バッファとして使用することを通知する(ステップS512)。使用領域通知は、構成決定通知に基づいて生成され、余剰領域203Bの開始アドレス及び終了アドレスを含む。監視装置M−2は、使用領域通知を受信した場合、符号化映像データ21Bを余剰領域203Bに記憶しないことを決定する。監視装置M−2は、確保通知を監視装置M−1に送信して、余剰領域203Bを仮想バッファ用の領域として確保したことを通知する(ステップS513)。
【0212】
バッファ管理部105は、ステップS512と同様に、使用領域通知を監視装置M−3に送信する(ステップS514)。監視装置M−3は、使用領域通知を受信した場合、符号化映像データ31Bを余剰領域303Bに記憶しないことを決定する。監視装置M−3は、確保通知を監視装置M−1に送信して、余剰領域303Bを仮想バッファ用の領域として確保したことを通知する(ステップS515)。
【0213】
(仮想バッファを用いた符号化映像データの記憶開始)
図19は、
図18に示すステップS515以降における監視システム100の動作を示すシーケンス図である。バッファ管理部105は、確保通知を監視装置M−2及びM−3から受信した場合(ステップS513及びS515)、リングバッファ103において、インデックス領域及び送信バッファ領域を設定する(ステップS516)。これにより、監視装置M−1は、仮想バッファに符号化映像データ11Bを記憶することが可能となる。
【0214】
図20は、監視装置M−1が使用する仮想バッファの構成を示す模式図である。
図20に示すように、仮想バッファ150は、リングバッファ103と、余剰領域203Bと、余剰領域303Bとにより構成される。監視装置M−1で生成される符号化映像データ11Bは、リングバッファ103と、余剰領域203Bと、余剰領域303Bとのいずれかに格納される。
【0215】
バッファ管理部105は、ステップS516において、リングバッファ103を複数の領域に分割する。複数の領域は、映像格納領域151と、インデックス領域152及び153と、送信バッファ領域154及び155として使用される。映像格納領域151は、符号化映像データ11Bを格納する。インデックス領域152は、余剰領域203Bに格納される符号化映像データ11Bに関するインデックスデータ172を格納する。インデックス領域153は、余剰領域303Bに格納される符号化映像データ11Bに関するインデックスデータ173を格納する。インデックスデータ172及び173の詳細は、後述する。
【0216】
送信バッファ領域154は、符号化映像データ11Bを監視装置M−2に送信するための送信バッファとして用いられ、ネットワーク通信の揺らぎを吸収するために設定される。送信バッファ領域155は、符号化映像データ11Bを監視装置M−3に送信するための送信バッファとして用いられる。
【0217】
バッファ管理部105は、映像格納領域151への符号化映像データ11Bの格納を開始する(ステップS517)。符号化映像データ11Bは、パケット161として映像格納領域151に格納される。パケット161は、映像格納領域151の先頭アドレスから順次格納される。本実施の形態における「パケット」は、符号化映像データ11Bを所定のサイズに区分して仮想バッファ150に格納するために使用される。
【0218】
図21は、仮想バッファ150に格納されるパケット161の構成を示す図である。パケット161は、ヘッダ部161Aと、データ部161Bとを備える。データ部161Bは、所定のサイズに区分された映像データ、音声データ等を格納する。
【0219】
ヘッダ部161Aは、仮想バッファ150における符号化映像データ11Bの記憶位置に関する情報を記録する。具体的には、ヘッダ部161Aは、デバイスIDと、記録IDと、データIDと、直前アドレスと、直後アドレスと、データ種別と、データアドレスと、データサイズとを含む。
【0220】
デバイスIDは、データ部161Bに格納される符号化映像データ11Bを生成する監視装置M−1の識別番号である。記録IDは、監視装置M−1が使用する固有の識別番号であり、データIDは、1つの記録ID内で用いられる固有の識別番号である。記録ID及びデータIDを用いることにより、仮想バッファ150に格納されるパケット161を一意に特定することができる。直前アドレスは、仮想バッファ150に格納される一のパケット161において、一のパケット161の直前に記録されたパケット161のヘッダ部の先頭アドレスである。直後アドレスは、一のパケット161に続けて記録されるパケット161のヘッダ部の先頭アドレスである。監視装置M−1は、仮想バッファ150のアドレスとして、リングバッファ103のアドレスを便宜的に使用する。
【0221】
データ種別は、符号化映像データ11Bが映像及び音声を多重化したデータである場合において、データ部161Bに格納される符号化映像データ11Bが映像データ、音声データ、その他の情報のうちどの情報であるかを示す。データアドレスは、仮想バッファ150におけるデータ部161Bの先頭アドレスを示す。サイズは、データ部161Bに格納される符号化映像データ11Bのサイズを示す。
【0222】
再び、
図19を参照する。バッファ管理部105は、パケット161の映像格納領域151への格納を開始した場合(ステップS517)、映像格納領域151の空き領域がなくなるまで、符号化映像データ11Bを映像格納領域151に格納する処理を継続する。バッファ管理部105は、映像格納領域151の空き領域がなくなった場合、映像格納領域151の使用を停止する(ステップS518)。
【0223】
バッファ管理部105は、映像格納領域151の空き領域がなくなったため、余剰領域203Bの使用を開始する(ステップS519)。具体的には、バッファ管理部105は、余剰領域203Bに格納するパケット161を送信バッファ領域154に格納し、送信バッファ領域154に格納したパケット161に対応するインデックスデータ172を生成する。バッファ管理部105は、送信バッファ領域154に格納されたパケット161を監視装置M−2に送信する。インデックスデータ172は、インデックス領域152の先頭から順次格納される。監視装置M−2は、パケット161を受信した順に余剰領域203Bに記憶する(ステップS520)。
【0224】
図22は、インデックスデータ172の構成の一例を示す図である。
図22に示すように、インデックスデータ172は、ヘッダ部172Aと、エリアデータ部172Bとを備える。
【0225】
ヘッダ部172Aは、映像格納領域151に格納されるパケット161のヘッダ部161Aと同様のフォーマットである。ただし、ヘッダ部172Aにおいて、直前アドレスは、直前のインデックスデータ172におけるヘッダ部のアドレスであり、直後アドレスは、直後のインデックスデータ172におけるヘッダ部のアドレスである。
【0226】
エリアデータ部172Bは、余剰領域203Bにおける記憶位置を特定するための情報を格納する。具体的には、エリアデータ部172Bは、余剰領域203Bを提供する監視装置M−2のデバイスIDと、余剰領域203Bにおけるパケット161の先頭アドレスとを含む。なお、バッファ管理部105は、余剰領域203Bの先頭アドレスと、予め定められたパケット161のデータサイズとに基づいて、エリアデータ部172Bに含まれる余剰領域203Bの先頭アドレスを計算し、エリアデータ部172Bに登録する。バッファ管理部105は、エリアデータ部172Bを参照することにより、余剰領域203Bにおけるパケット161の記憶位置を把握することができる。
【0227】
再び、
図19を参照する。バッファ管理部105は、ステップS519の後に、余剰領域203Bの空き領域がなくなるまで、パケット161の監視装置M−2への送信と、インデックスデータ172の生成とを継続する。バッファ管理部105は、余剰領域203Bの空き領域がなくなった場合、余剰領域203Bの使用を停止する(ステップS521)。
【0228】
バッファ管理部105は、リングバッファ303の余剰領域303Bの使用を開始する(ステップS522)。バッファ管理部105は、パケット161を送信バッファ領域155に格納し、格納したパケット161に対応するインデックスデータ173を生成する。インデックスデータ173は、インデックスデータ172と同様の構成を有する。バッファ管理部105は、送信バッファ領域155に格納されたパケット161を監視装置M−3に送信し、生成したインデックスデータ173をインデックス領域153の先頭アドレスから順次格納する。バッファ管理部105が仮想バッファの一部として余剰領域303Bを使用する処理は、余剰領域203Bを使用する処理と同様であるため、その詳細な説明を省略する。監視装置M−3は、監視装置M−1から送信されるパケット161を順次余剰領域303Bに記憶する(ステップS523)。
【0229】
バッファ管理部105は、余剰領域303Bにおける空き領域がなくなるまで、パケット161の監視装置M−3への送信と、インデックスデータ173の生成とを継続する。バッファ管理部105は、余剰領域203Bの空き領域がなくなった場合、余剰領域203Bの使用を停止する(ステップS524)。
【0230】
そして、バッファ管理部105は、映像格納領域151に対する符号化映像データ11Bの上書きを開始する(ステップS525)。以後、ステップS518〜S525が繰り返されるより、仮想バッファ150に対する符号化映像データ11Bの記憶が継続される。
【0231】
(仮想バッファからの読み出し)
以下、監視装置M−1が、イベント中継通知の受信をトリガとして、仮想バッファ150に記憶された符号化映像データ11Bを、記録用映像データ11Cとして送信する場合における監視システム100の動作を説明する。
【0232】
図23は、仮想バッファ150から符号化映像データ11Bを読み出すときにおける監視システム100の動作を示すシーケンス図である。監視装置M−1は、
図20に示す仮想バッファ150を使用して、符号化映像データ11Bを記憶している。
【0233】
映像記録装置R1において、イベント中継部53が、イベント中継通知を監視装置M−1に送信する(ステップS601)。監視装置M−1において、記録判断部111は、受信したイベント中継通知に基づいて、記録用映像データ11Cを映像記録装置R1に送信することを決定する(ステップS602)。つまり、監視装置M−1は、イベント中継通知の受信をトリガとして、記録用映像データ11Cの送信を決定する。
【0234】
監視装置M−1において、記録映像送信部104は、仮想バッファ150における読み出し開始位置及び読み出し終了位置を決定する(ステップS603)。具体的には、記録映像送信部104は、読み出し開始位置を決定するために、合計遡及時間を計算する。合計遡及時間は、固定遡及時間Ftと、通知間隔Dtと、中継間隔Rtとの合計である。記録映像送信部104は、イベント中継通知の受信時刻から合計遡及時間を遡った時刻を送信基準時刻に決定する。また、記録映像送信部104は、イベント中継通知をトリガとした記録用映像データ11Cの送信の際に用いられる送信対象時間を設定する。
【0235】
バッファ管理部105は、仮想バッファ150に格納されているパケットの中から、送信基準時刻に対応するパケット161のアドレスを特定する。バッファ管理部105は、映像格納領域151に格納されたパケット161のアドレスと、インデックスデータ172及び173のアドレスとを、符号化映像データ11Bの各フレームの時刻に対応付けたアドレステーブル(図示省略)を保持している。バッファ管理部105は、アドレステーブルを参照して、送信基準時刻に対応するアドレスを特定する。バッファ管理部105は、特定したアドレスを、読み出し開始位置に設定する。
【0236】
図24は、監視装置M−1が
図20に示す仮想バッファ150を使用している場合における、送信基準時刻に対応する読み出し位置の一例を示す図である。
図24において、読み出し開始位置は、余剰領域303Bを示している。
【0237】
また、バッファ管理部105は、仮想バッファ150に格納されているパケットの中で、送信基準時刻から送信対象時間を経過した時刻に対応するパケット161を特定する。
図24に示す例の場合、読み出し終了位置は、監視装置M−2におけるリングバッファ203の余剰領域203Bを示している。
【0238】
以下、記録映像送信部104が、
図24に示す読み出し位置及び読み出し終了位置を特定した場合を例にして、仮想バッファ150からの符号化映像データ11Bの読み出しを説明する。
【0239】
(余剰領域303Bからの読み出し)
記録映像送信部104は、読み出し位置を記録しているインデックスデータ173を、リングバッファ103のインデックス領域153から読み出し、読み出したインデックスデータ173を映像記録装置R1に送信する(ステップS604)。
【0240】
映像記録装置R1がインデックスデータ173を受信した場合、映像取得部52は、インデックスデータ173におけるエリアデータ部からデータサイズを取得する。取得したデータサイズは、インデックスデータ173に対応するパケット161に格納されている符号化映像データ11Bのデータサイズを示す。映像取得部52は、取得したデータサイズに基づいて、パケット161に格納されている符号化映像データ11Bの保存領域を、HDD57に確保する(ステップS605)。
【0241】
映像取得部52は、インデックスデータ173のエリアデータ部に記録されたパケット161の先頭アドレスを監視装置M−3に送信して、監視装置M−3に対して、記録用映像データ11C(余剰領域303Bに記憶された符号化映像データ11B)の送信を要求する(ステップS606)。監視装置M−3は、ステップS606で受信した先頭アドレスに基づいて、余剰領域303Bから符号化映像データ11Bを取得し、取得した符号化映像データ11Bを記録用映像データ11Cとして送信する(ステップS607)。映像取得部52は、監視装置M−3から送信された記録用映像データ11Cを、ステップS605において確保した保存領域に保存する(ステップS608)。
【0242】
監視装置M−1において、記録映像送信部104が、インデックス領域153の終端に位置するインデックスデータ173を読み出すまで、ステップS604〜S608の処理が繰り返される。これにより、余剰領域303Bに記録された符号化映像データ11Bが、記録用映像データ11Cとして映像記録装置R1のHDD57に保存される。
【0243】
(映像格納領域151からの読み出し)
記録映像送信部104は、インデックス領域153の終端に位置するインデックスデータ173を読み出した後に、リングバッファ103の映像格納領域151に記憶された符号化映像データ11Bを、記録用映像データ11Cとして読み出す。記録映像送信部104は、読み出した記録用映像データ11Cを映像記録装置R1に送信する(ステップS609)。具体的には、記録映像送信部104は、記録映像領域151の先頭に記憶されているパケット161を読み出す。記録映像送信部104は、読み出したパケット161のデータ部161Bから符号化映像データ11Bを取得し、取得した符号化映像データ11Bを記録用映像データ11Cとして映像記録装置R1に送信する。
【0244】
映像記録装置R1において、映像取得部52は、記録映像送信部104から送信される符号化映像データ11BをHDD57に保存する(ステップS610)。HDD57は、監視装置M−3から送信された記録用映像データ11Cの保存した領域に続く領域に、監視装置M−1から受信した記録用映像データ11Cを保存する。
【0245】
以下、映像格納領域151の終端に記憶されたパケット161が読み出されるまで、ステップS609〜S610が繰り返される。
【0246】
(余剰領域203Bからの読み出し)
記録映像送信部104は、映像格納領域151の終端に記憶されたパケット161を読み出した後に、リングバッファ103のインデックス領域152の先頭に記録されたインデックスデータ172を読み出す。記録映像送信部104は、読み出したインデックスデータ172を映像記録装置R1に送信する(ステップS611)。これにより、記録映像送信部104は、映像記録装置R1に余剰領域203Bから記録用映像データ11C(符号化映像データ11B)を取得するように指示する。
【0247】
映像記録装置R1は、記録映像送信部104から受信したインデックスデータ172に基づいて、余剰領域203Bから記録用映像データ11Cを取得してHDD57に保存する(ステップS612〜S615)。ステップS612〜S615の処理は、
図41におけるステップS605〜S608の処理と同様の処理であるため、その詳細な説明を省略する。
【0248】
記録映像送信部104は、読み出し終了位置のアドレスのインデックスデータ172を読み出して映像記録装置R1に送信した後に、記録用映像データ11Cの送信終了を、映像記録装置R1に送信する(ステップS616)。これにより、仮想バッファ150からの符号化映像データ11Bの読み出しが完了する。
【0249】
図24は、読み出し開始位置が余剰領域303Bに対応し、読み出し終了位置が余剰領域203Bに対応する例を示している。しかし、読み出し開始位置及び読み出し終了位置が
図24に示す例と異なる場合であっても、映像格納領域151、余剰領域203B及び余剰領域303Bから記録用映像データ11Cを取得する順序が異なるだけである。映像記録装置R1が、映像格納領域151から記録用映像データ11Cを取得して保存する処理、余剰領域203B及び303Bから記録用映像データ11Cを取得して保存する処理は、変更されない。
【0250】
以上説明したように、監視システム100において、監視装置M−1〜M−kは、各々に設定された通知間隔Dtを経過するごとに設定される通知時刻でイベント検出通知を送信する。監視装置M−1〜M−kがイベントを検出するたびにイベント検出通知を送信しないため、映像記録装置R1におけるイベント検出通知の受信回数を削減できる。
【0251】
また、映像記録装置R1は、監視装置M−1〜M−kからイベント検出通知を受信した場合、イベント検出通知の送信元に基づいて、イベント検出通知の中継先となる監視装置を決定する。映像記録装置R1は、イベント中継通知を送信すべき中継時刻を、監視装置M−1〜M−kの各々に対して個別に設定しており、中継時刻は、中継間隔Rtが経過するごとに設定される。映像記録装置R1は、中継間隔Rtが経過するまでに、複数のイベント検出通知を複数の監視装置から受信した場合、受信した複数のイベント検出通知を含むイベント中継通知を、中継先に送信する。これにより、映像記録装置R1は、イベント検出通知を受信するたびにイベント中継通知を送信しなくてもよいため、イベント中継通知の送信回数を削減することができる。
【0252】
このように、監視装置M−1〜M−kにおいてイベントが短時間に集中して発生したとしても、映像記録装置R1におけるイベント検出通知の受信回数及びイベント中継通知の送信回数の増加を抑制できる。映像記録装置R1の負荷上昇を抑制することができるため、映像記録装置R1は、各監視装置の記録用映像データを取得して記録することができる。
【0253】
また、監視装置は、自装置のリングバッファの記憶容量が、通知間隔Dtと中継間隔Rtと固定遡及時間Ftとバッファ時間Ytを合計した使用容量特定時間Ztに相当する符号化映像データのデータサイズよりも大きいか否かを判断する。記憶容量が合計遡及時間に相当する符号化映像データのデータサイズよりも小さい場合、監視装置は、自装置のリングバッファと、他の監視装置のリングバッファの余剰領域とにより構成される仮想バッファを使用して、符号化映像データを記憶する。これにより、映像記録装置R1に記録すべき記録用映像データが失われることを防ぐことが可能となる。
【0254】
{変形例}
上記実施の形態において、監視装置M−1がイベント検出通知の送信をトリガして記録用映像データ11Cを送信する場合、通知間隔Dtと固定遡及時間Ftとを合計して合計遡及時間を計算する例を説明したが、これに限られない。監視装置M−1は、上記の場合において、通知間隔Dtと、中継間隔Rtと、固定遡及時間Ftとを合計して合計遡及時間を計算してもよい。
【0255】
また、上記実施の形態において、イベント中継部53が、イベント検出通知の送信元に基づいて、受信したイベント検出通知の中継先を決定する場合を説明したが、これに限られない。イベント中継部53は、監視装置M−1〜M−kの全てを中継先としてもよい。
【0256】
また、上記実施の形態として、イベント検出装置E−1が動き検出部107と人感センサ108とを備える例を説明したが、これに限られない。イベント検出装置E−1は、他のセンサ等を用いてもよい。例えば、イベント検出装置E−1は、3軸ジャイロセンサ、照度センサ、マスクセンサなどを備えてもよい。3軸ジャイロセンサは、カメラC−1の向きが変更されたことを検出するために用いられる。照度センサは、監視装置M−1が設置された場所における照明のオン、オフを検出するために用いられる。マスクセンサは、カメラC−1のレンズが遮光することを検出するために用いられ、レンズからの反射光を検出する光センサなどである。
【0257】
また、上記実施の形態において、監視装置M−3が、イベント中継通知に基づいて記録用映像データ31Cの送信を決定した場合、送信の決定に続けて記録用映像データ31Cを送信する例を説明したが、これに限られない。監視装置M−3が、図示しない大容量の記憶装置(フラッシュメモリなど)を備えている場合、記録用映像データ31Cを大容量の記憶装置に記憶してもよい。この場合、監視装置M−3は、映像記録装置R1に記録すべき記録用映像データ31Cがあることを映像記録装置R1に通知し、記録用映像データ31Cを送信しなくてもよい。映像記録装置R1は、監視装置M−3から上記の通知を受信した場合、映像記録装置R1の負荷が低い時間帯において、記録用映像データ31Cを監視装置M−3から取得すればよい。これにより、映像記録装置R1において、記録用映像データの受信処理が集中することを防ぐことが可能となる。
【0258】
また、上記実施の形態において、監視装置M−1〜M−kが記録用映像データ11Cを送信するか否かを判断する例を説明したが、これに限られない。映像記録装置R1が、監視装置M−1〜M−kから送信されるイベント検出通知の内容に基づいて、記録用映像データを監視装置M−1〜M−kから取得するか否かを判断してもよい。映像記録装置R1は、記録用映像データの取得を決定した場合、送信基準時刻と、送信対象時間とを決定して監視装置M−1〜M−kに通知する。監視装置M−1〜M−kは、送信基準時刻と送信対象時間とを用いて、リングバッファから記録用映像データを読み出して映像記録装置R1に送信する。同様に、映像記録装置R1が、中継先に送信するイベント中継通知の内容に基づいて、中継先の監視装置から記録用映像データを取得するか否かを判断してもよい。
【0259】
また、上記実施の形態において、監視装置M−1〜M−kの各々がカメラ及びイベント検出装置を備える例を説明したが、これに限られない。イベント検出装置を、監視装置と別に設けてもよい。例えば、イベント検出装置として、入退室管理装置で用いられるカード読み取り装置を使用してもよい。カード読み取り装置と監視装置M−1とをオフィスの出入口に設置した場合を考える。オフィスの職員がカード読み取り装置にカードを通した場合、カード読み取り装置は、イベントを検出したと判断し、通知間隔Dtを経過するたびに設定される通知時刻にイベント検出通知を映像記録装置R1に送信する。映像記録装置R1は、カード読み取り装置からのイベント検出通知の中継先として監視装置M−1を決定し、カード読み取り装置からのイベント検出通知を含むイベント中継通知を監視装置M−1に送信する。これにより、監視装置M−1は、カード読み取り装置により検出されたイベントに基づいて、記録用映像データ11Cを映像記録装置R1に送信することができる。
【0260】
また、上記実施の形態において、送信判断テーブル120(
図7参照)が、自装置におけるイベントの組み合わせであるパターン1と、他の監視装置におけるイベントの組み合わせパターン2とを備える例を説明したが、これに限られない。送信判断テーブル120は、パターン1及び2の他に、自装置におけるイベントと、他の監視装置におけるイベントとの組み合わせたパターンを備えていてもよい。例えば、送信判断テーブル120は、パターン3として、自装置が備える人感センサによるオン状態の検出と、他の監視装置における動き検出部によるオン状態の検出との組み合わせたパターンを備えていてもよい。
【0261】
また、上記実施の形態における監視装置M−1〜M−kまたは映像記録装置R1の各機能ブロック(各機能部)の処理の一部または全部は、プログラムにより実現されるものであってもよい。そして、上記各実施の形態の監視装置M−1〜M−kまたは映像記録装置R1において、各機能ブロックの処理の一部または全部は、コンピュータにおいて、中央演算装置(CPU)により行われる。また、それぞれの処理を行うためのプログラムは、ハードディスク、ROMなどの記憶装置に格納されており、ROMにおいて、あるいはRAMに読み出されて実行される。例えば、監視装置M−1〜M−k及び映像記録装置R1の各々の構成を、
図25に示すような構成とすることにより、上記各実施形態の各機能ブロック(各機能部)の処理の一部または全部が実行されるものであっても良い。
【0262】
また、上記実施の形態の各処理をハードウェアにより実現してもよいし、ソフトウェア(OS(オペレーティングシステム)、ミドルウェア、あるいは、所定のライブラリとともに実現される場合を含む。)により実現してもよい。さらに、ソフトウェアおよびハードウェアの混在処理により実現しても良い。
【0263】
また、上記実施の形態における処理方法の実行順序は、必ずしも、上記実施形態の記載に制限されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で、実行順序を入れ替えることができるものである。
【0264】
前述した方法をコンピュータに実行させるコンピュータプログラム及びそのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、本発明の範囲に含まれる。ここで、コンピュータ読み取り可能な記録媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、CD−ROM、MO、DVD、DVD−ROM、DVD−RAM、大容量DVD、次世代DVD、半導体メモリを挙げることができる。
【0265】
上記コンピュータプログラムは、上記記録媒体に記録されたものに限られず、電気通信回線、無線又は有線通信回線、インターネットを代表とするネットワーク等を経由して伝送されるものであってもよい。
【0266】
また、文言「部」は、「サーキトリー(circuitry)」を含む概念であってもよい。サーキトリーは、ハードウェア、ソフトウェア、あるいは、ハードウェアおよびソフトウェアの混在により、その全部または一部が、実現されるものであってもよい。