特開2017-184473(P2017-184473A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特開2017184473-電力供給システム 図000006
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-184473(P2017-184473A)
(43)【公開日】2017年10月5日
(54)【発明の名称】電力供給システム
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/28 20060101AFI20170908BHJP
   H02J 1/00 20060101ALI20170908BHJP
【FI】
   H02M3/28 W
   H02M3/28 U
   H02M3/28 B
   H02J1/00 307C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-69042(P2016-69042)
(22)【出願日】2016年3月30日
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成26年度から平成30年度 内閣府総合科学技術・イノベーション会議により創設された「戦略的イノベーション創造プログラム(次世代海洋資源調査技術)」事業、国立研究開発法人海洋研究開発機構における「<生態系調査・長期観測技術開発>ケーブル式観測システムの開発」、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】504194878
【氏名又は名称】国立研究開発法人海洋研究開発機構
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】390001454
【氏名又は名称】NECネッツエスアイ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】390010386
【氏名又は名称】NECマグナスコミュニケーションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085660
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 均
(72)【発明者】
【氏名】川口 勝義
(72)【発明者】
【氏名】横引 貴史
(72)【発明者】
【氏名】菱木 賢治
(72)【発明者】
【氏名】米崎 義高
(72)【発明者】
【氏名】片山 武
(72)【発明者】
【氏名】武井 慎弥
(72)【発明者】
【氏名】鹿野 勝彦
(72)【発明者】
【氏名】水川 達也
(72)【発明者】
【氏名】青木 裕夫
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 省太
【テーマコード(参考)】
5G165
5H730
【Fターム(参考)】
5G165AA01
5G165EA01
5G165HA09
5G165KA04
5G165LA03
5H730AA14
5H730BB21
5H730BB82
5H730BB86
5H730BB88
5H730EE01
5H730XC01
5H730XC19
(57)【要約】
【課題】電力の無駄な消費によるエネルギー損失を低減する。
【解決手段】陸上給電装置10と陸上制御装置2とを有する親装置と、親装置から海底ケーブル16を介して接続された海底装置20と、を備えた電力供給システムであって、各海底装置20は、陸上給電装置10から海底ケーブル16を介して供給された第1直流電力を第2直流電力に変換するメインDC/DCコンバータ64、66、164、166と、各メインDC/DCコンバータから供給された第2直流電力を第3直流電力に変換して観測装置100−1〜100−4に出力する出力用DC/DCコンバータ72−1〜72−4と、各メインDC/DCコンバータの1次側に並列接続され、1次側を開放状態/閉結状態に切り替えるスイッチSW65、67、165、167と、を備え、陸上制御装置2から海底ケーブル16を介して受け取った制御データに応じて各スイッチの開放状態/閉結状態を切り替える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
給電手段と制御手段とを有する親装置と、
前記親装置からケーブルを介して接続された子装置と、を備えた電力供給システムであって、
前記子装置は、
前記親装置の給電手段から前記ケーブルを介して供給された第1直流電力を第2直流電力に変換する複数の第1直流電力変換部と、
前記各第1直流電力変換部から供給された第2直流電力を第3直流電力に変換して外部装置に出力する複数の第2直流電力変換部と、
前記各第1直流電力変換部の1次側に並列接続され、前記1次側を開放状態/閉結状態に切り替えるスイッチと、を備え、
前記親装置の制御手段から前記ケーブルを介して受け取った制御データに応じて前記各スイッチの開放状態/閉結状態を切り替えることを特徴とする電力供給システム。
【請求項2】
前記各第1直流電力変換部の1次側は、他の前記第1直流電力変換部の1次側に直列に接続され、且つ前記各第1直流電力変換部の2次側は、他の前記第1直流電力変換部の2次側に並列に接続され、且つ前記各第2直流電力変換部の1次側は、他の前記第2直流電力変換部の1次側に並列に接続されることを特徴とする請求項1に記載の電力供給システム。
【請求項3】
前記子装置は、
前記親装置の制御手段から前記ケーブルを介して受け取った制御データに基づいて、前記第2直流電力変換部の停止状態/動作状態を切り替えることを特徴とする請求項1又は2に記載の電力供給システム。
【請求項4】
前記親装置から前記ケーブルを介して直列に複数の前記子装置が連結されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の電力供給システム。
【請求項5】
給電手段と制御手段とを有する親装置と、
前記親装置からケーブルを介して接続された子装置と、を備えた電力供給システムであって、
前記子装置は、
前記親装置の給電手段から前記ケーブルを介して供給された第1直流電力を第2直流電力に変換する複数の第1直流電力変換部と、
前記各第1直流電力変換部から供給された第2直流電力を第3直流電力に変換して外部装置に出力する複数の第2直流電力変換部と、
前記各第1直流電力変換部の1次側に並列接続され、前記1次側を開放状態/閉結状態に切り替えるスイッチと、を備え、
前記各第1直流電力変換部の1次側は、他の前記第1直流電力変換部の1次側に直列に接続され、且つ前記各第1直流電力変換部の2次側は、他の前記第1直流電力変換部の2次側に並列に接続され、且つ前記各第2直流電力変換部の1次側は、他の前記第2直流電力変換部の1次側に並列に接続され、前記第1直流電力変換部の2次側には、余剰電力を消費するための疑似負荷装置と、該疑似負荷装置を流れる電流を検出するための電流検出装置とを更に備えており、
前記電流検出装置が検出した電流値と前記親装置の制御手段から前記ケーブルを介して予め受け取った閾値電流値とを比較した結果に基づいて前記各スイッチの開放状態/閉結状態を切り替えることを特徴とする電力供給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、親装置から遠方に配置された子装置に対して子装置の動作に必要な電力を供給する電力供給システム、特に、海底ケーブルにより直列に接続された複数の海底装置に対して、海底ケーブルに実装された電力線を介して海底装置の動作に必要な電力を供給するのに好適な電力供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、海底ケーブル通信方式では、通信信号を再生または増幅する中継装置を多数の海底装置にそれぞれ実装し、この海底装置を海底ケーブルにより鎖状に接続し、これを海底に敷設する技術が知られている。このような海底ケーブルには電力線が実装され、各海底装置に設けられた電源回路が電力線に直列接続される。そして、この電力線に陸上の両端に配置された陸上給電装置から、一定値の直流電流(直流定電流)を送電して、各海底装置ではその直流定電流の電圧降下分をそれぞれ電力として利用するように構成されている。
【0003】
このような構成の海底ケーブル通信方式の一例として、特許文献1に記載された発明が知られている。
特許文献1では、海底施設に対する電力供給の信頼性を向上することを目的としており、この海底装置は3箇所で陸上に配置された給電装置と陸揚げケーブルにより接続されている。海底装置は、それぞれ内部に地震計その他の計測装置と、その計測装置の出力を通信信号として伝送する中継装置とを備える。計測装置および中継装置には給電回路から必要な電力が供給される。給電回路は海底ケーブルの内部の電力線に接続され、電力線に供給されている定電流にこの電源回路で生じる電圧降下分をこの海底装置の必要な電力とする海底給電方式が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4335430号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述したような海底給電方式にあっては、各海底装置に対して消費すべき電力量を割当てることで、海底ケーブルに接続されている全ての海底装置に一定した電力量を分配できるように構成されていた。
このため、従来の海底装置にあっては、海底装置が給電可能な状態であるにも拘わらず、観測装置に給電が行われていない場合、観測装置で消費されるべき電力をすべて疑似負荷で消費する必要があった。すなわち、海底装置に割当られた電力のうち、観測装置で消費されなくなった余剰電力を疑似負荷において消費させていた。この結果、疑似負荷において消費させた余剰電力が無駄な損失となっていた。
本発明は、上記に鑑みてなされたもので、その目的としては、電力の無駄な消費によるエネルギー損失を低減することが可能な電力供給システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1記載の発明は、給電手段と制御手段とを有する親装置と、前記親装置からケーブルを介して接続された子装置と、を備えた電力供給システムであって、前記子装置は、前記親装置の給電手段から前記ケーブルを介して供給された第1直流電力を第2直流電力に変換する複数の第1直流電力変換部と、前記各第1直流電力変換部から供給された第2直流電力を第3直流電力に変換して外部装置に出力する複数の第2直流電力変換部と、前記各第1直流電力変換部の1次側に並列接続され、前記1次側を開放状態/閉結状態に切り替えるスイッチと、を備え、前記親装置の制御手段から前記ケーブルを介して受け取った制御データに応じて前記各スイッチの開放状態/閉結状態を切り替えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、電力の無駄な消費によるエネルギー損失を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第1実施形態に係る電力供給システムの概略的な構成について説明するためのブロック図である。
図2】本発明の第1実施形態に係る電力供給システムに備えられた海底装置の構成について説明するためのブロック図である。
図3】本発明の第1実施形態に係る電力供給システムにおいて用いる、メインDC/DCコンバータと出力用DC/DCコンバータとのより詳細な接続関係について説明するためのブロック図である。
図4】本発明の第2実施形態に係る電力供給システムにおいて用いる、メインDC/DCコンバータと出力用DC/DCコンバータとのより詳細な接続関係について説明するためのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を図面に示した実施の形態により詳細に説明する。
本発明は、電力の無駄な消費によるエネルギー損失を低減するために、以下の構成を有する。
すなわち、本発明の電力供給システムは、給電手段と制御手段とを有する親装置と、親装置からケーブルを介して接続された子装置と、を備えた電力供給システムであって、子装置は、親装置の給電手段から前記ケーブルを介して供給された第1直流電力を第2直流電力に変換する複数の第1直流電力変換部と、各第1直流電力変換部から供給された第2直流電力を第3直流電力に変換して外部装置に出力する複数の第2直流電力変換部と、各第1直流電力変換部の1次側に並列接続され、1次側を開放状態/閉結状態に切り替えるスイッチと、を備え、親装置の制御手段からケーブルを介して受け取った制御データに応じて各スイッチの開放状態/閉結状態を切り替えることを特徴とする。
以上の構成を備えることにより、電力の無駄な消費によるエネルギー損失を低減することができる。
上記の本発明の特徴に関して、以下、図面を用いて詳細に説明する。
【0010】
本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
<第1実施形態>
<電力供給システムの構成>
図1は、本発明の第1実施形態に係る電力供給システム1の概略的な構成について説明するためのブロック図である。
電力供給システム1は、図1に示すように、陸上制御装置2、陸上給電装置10、海底ケーブル16−1〜16−4、海底装置20−1〜20−3を備えている。
電力供給システム1は、陸上に配置された陸上制御装置2から延びる制御ケーブル4と、陸上給電装置10から延びる電力線12と、を束ねた海底ケーブル16−1が海底装置20−1の一端に接続されている。さらに、海底ケーブル16−1〜16−4の夫々には海底装置20−1〜20−3が夫々介在するように直列に接続されており、最後に海底装置20−3が海底ケーブル16−4に収容された電力線12−4を介してシーアース22−4に接続されている。
【0011】
なお、図1に示すように、電力供給システム1は、陸上給電装置10が陸上側において電気的にアース11に接地されており、且つ、陸上側から最遠端の海底に配置された海底装置20−3において海底ケーブル16−4に収容された電力線12−4がシーアース22−4に接地されていることで、電力供給における閉回路を構成する。
また、この電力供給システム1に備えられている海底装置20−1〜20−3は夫々に機能シーアース22−1〜22−3に抵抗を介して接続されることで、海底装置20−1〜20−3の夫々に接続される観測装置(図示しない)への給電路電位を安定化させる役割を果たす。
【0012】
陸上制御装置2は、制御手段を構成し、制御ケーブル4を介して各海底装置に制御データを出力する。
また、陸上制御装置2は、海底装置20に設けられた伝送部40に対して、給電路パスリレー62を切り替える等の各種制御を行うための制御データを送信する伝送部2aを備えている。
陸上給電装置10は、給電手段を構成し、例えばマイナス極性の直流定電流を発生する直流給電装置である。
本実施形態では、陸上給電装置10(給電手段)と陸上制御装置2(制御手段)とを有することで親装置を構成する。
海底ケーブル16は、複数の異なる波長の光を伝送する光ファイバからなり制御データを搬送する制御ケーブル4と、電力を搬送する電力線12と、を有している。
海底装置20は、子装置を構成し、通常、海底に設置する地震計等の観測装置を接続するため、ジャンクションボックスと呼ばれており、陸上給電装置10又は他の海底装置20から海底ケーブル16を介して供給される電力を観測装置に分配供給し、観測装置において観測された観測データを海底ケーブル16を介して陸上制御装置2に伝送する。
なお、本実施形態では、海底装置20を海底に例えば3台配置していることとして電力供給システム1を説明するが、本発明においては海底装置20の台数を制限するものではない。
【0013】
<海底装置の構成>
図2は、本発明の第1実施形態に係る電力供給システム1に備えられた海底装置20の構成について説明するためのブロック図である。
図1に示す海底装置20−1は、海底ケーブル16−1と海底ケーブル16−2との間に接続されているが、他の海底装置20−2、20−3も2本の異なる海底ケーブルの間に介在するように接続されているので、説明の簡単化のため、ここでは単に海底装置20、海底ケーブル16、機能シーアース22という名称及び符号を用いて説明する。このため、図2においては紙面左側の海底ケーブル16が陸上側に向かって布設されていることとする。
図2に示す海底装置20は、伝送部40、駆動電源部50、受電部60、制御部70、出力部80を備えている。
受電部60と制御部70との間には、互いの1次側が直列接続されたメインDC/DCコンバータ64、66が備えられている。
海底装置20は、各海底ケーブル16を接続するための水中着脱コネクタ30a、30bを筐体20aに備えており、筐体20a内部では水中着脱コネクタ30aから受電部60に接続されている配電線を給電路32a、メインDC/DCコンバータ64のトランスに設けられた1次巻線に直流電力を供給する電路を給電路32b、メインDC/DCコンバータ64の1次巻線とメインDC/DCコンバータ66の1次巻線との間に接続されている電路を給電路32c、メインDC/DCコンバータ66の1次巻線に直流電力を供給する電路を給電路32d、受電部60から駆動電源部50に接続されている配電線を給電路32e、駆動電源部50から水中着脱コネクタ30bに接続されている配電線を給電路32fと呼ぶこととする。
【0014】
伝送部40は、陸上制御装置2から海底ケーブル16の制御ケーブル4を介して制御データを受信する。
駆動電源部50は、伝送部40が受信した制御データに基づいて、給電路パスリレー62の接点状態を切り替える。駆動電源部50は、給電路32e、32f間に直列に接続された定電圧回路、例えばツェナーダイオードZD1を設け、ツェナーダイオードZD1のアノード−カソード間に発生するツェナー電圧を用いて、伝送部40が受信した制御データに基づいて、後述する給電路パスリレー62に設けられたソレノイドコイルに給電することにより、給電路パスリレー62の接点を閉結状態から開放状態に切り替える。
【0015】
受電部60は、給電路32a、32e間に接続され、給電路32a、32e間をパスする給電路パスリレー62を備えている。
受電部60は、メインDC/DCコンバータ64のトランスの1次巻線と、メインDC/DCコンバータ66のトランスの1次巻線と、を備えている。
このメインDC/DCコンバータ64は、給電路32b、32c間に接続されたスイッチSW65と、給電路32b、32c間に接続されたトランスの1次巻線と、スイッチング素子(図示しない)と、この1次巻線に対向する2次巻線と、2次巻線の後段に接続された整流平滑回路(図示しない)と、を有している。
また、メインDC/DCコンバータ66は、給電路32c、32d間に接続されたスイッチSW67と、給電路32c、32d間に接続されたトランスの1次巻線と、スイッチング素子(図示しない)と、この1次巻線に対向する2次巻線と、を有している。
また、スイッチSW65、67は、いわゆるブレークリレーであり、ソレノイドコイルに電流を流したときに接点が開放状態になるように構成されている。スイッチSW65、67を伝送部40が受信した制御データに基づいて切り替えることで、メインDC/DCコンバータ66、67の二次側への電力供給を増減することができる。
【0016】
制御部70は、メインDC/DCコンバータ64のトランスの1次巻線に対向した2次巻線と、メインDC/DCコンバータ66のトランスの1次巻線に対向した2次巻線と、出力用DC/DCコンバータ72−1〜72−4のトランスの1次巻線と、を備えている。
出力用DC/DCコンバータ72−1〜72−4は、メインDC/DCコンバータ64、66の2次側に接続されたトランスの1次巻線と、スイッチング素子(図示しない)と、この1次巻線に対向する2次巻線と、2次巻線の後段に接続された整流平滑回路(図示しない)と、を有している。
出力用DC/DCコンバータ72−1〜72−4は、伝送部40が受信した制御データに基づいて、夫々の動作をON/OFF状態に設定することができる。
【0017】
さらに、制御部70は、メインDC/DCコンバータ64、66の2次側から供給される直流電力のうち余剰電力を疑似負荷90に出力する出力ポートPr1、Pr2と、機能アース端子Gと、を備えている。
電気的に絶縁されフローティング状態に保持されている制御部70の機能アース端子Gを、抵抗R1を介して機能シーアース22に接地することで、観測装置100−1〜100−4への給電路電位を安定化させることができる。
出力部80は、出力用DC/DCコンバータ72−1〜72−4の2次側から夫々に供給される直流電力を出力する出力ポートP1〜P4を備えている。
出力ポートP1〜P4には、必要に応じて海底に配置されている観測装置100−1〜100−4が夫々に接続され、夫々の観測装置100−1〜100−4において電力が消費される。
なお、図2に示すように、伝送部40と制御部70とはケーブル42を介して接続されており、ケーブル42を介して伝送部40から制御部70に制御データが出力される。
【0018】
<制御データ>
ここで、陸上制御装置2から制御ケーブル4を介して海底装置20に送信される制御データについて説明する。
図1に示す海底装置20−1〜20−3の夫々に固有の装置アドレスの形式としては、例えば#001〜#003を用いればよく、これに加えて、装置の給電状態を指定する制御データD0、スイッチSW65のON/OFF状態を指定する制御データD1、スイッチSW67のON/OFF状態を指定する制御データD2、観測装置100−1〜100−4の夫々へ電力を出力する出力用DC/DCコンバータ72−1〜72−4の動作のON/OFF状態を指定する制御データD3〜D6の夫々を指定する。
なお、制御データD0〜D2は、各リレーの接点の状態について、「1」がON状態(閉結状態)を表し、「0」がOFF状態(開放状態)を表すこととする。また、制御データD3〜D6は、各出力用DC/DCコンバータの動作/停止状態について、「1」がON状態(動作状態)を表し、「0」がOFF状態(停止状態)を表すこととする。
【0019】
【表1】
【0020】
なお、表1に示すデータ例は、海底装置20−1〜20−3の全ての出力用DC/DCコンバータ72−1〜72−4が動作状態であることを表している。
【0021】
図3は、本発明の第1実施形態に係る電力供給システム1において用いられる、図2に示すメインDC/DCコンバータ64、66と出力用DC/DCコンバータ72−1〜72−4とのより詳細な接続関係について説明するためのブロック図である。
<メインDC/DCコンバータ>
メインDC/DCコンバータ64、66の1次側は、給電路32cを介在して、給電路32b、32dに直列に接続されている。一方、メインDC/DCコンバータ64、66の2次側は端子O1、O2に互いに並列に接続されている。
メインDC/DCコンバータ64の1次側には、スイッチSW65とコンバータ64iが並列に接続され、さらに、コンバータ64iはトランス64tの1次巻線に並列に接続されている。コンバータ64iは、スイッチSW65が開放状態である場合に、給電路32b、32cから入力される直流電圧をスイッチング素子(図示しない)を用いて高周波スイッチングすることにより、高周波電力に変換してトランス64tの1次巻線に出力する。
メインDC/DCコンバータ64の2次側には、トランス64tの2次巻線に整流平滑回路64cが並列に接続されており、整流平滑回路64cはトランス64tの2次巻線に誘起した高周波電力をダイオード及びコンデンサにより整流平滑して直流電圧を生成し、直流電圧をダイオードDi1を介して端子O1に出力する。
メインDC/DCコンバータ66は、メインDC/DCコンバータ64と同様の構成を有しており、その説明を省略する。
メインDC/DCコンバータ64、66に設けられたダイオードDi1、Di2は、メインDC/DCコンバータ64、66の2次側を端子O1、O2に互いに並列に接続させた場合に、一方のメインDC/DCコンバータから他方のメインDC/DCコンバータに出力電流が流れ込むのを防止するために設けられている。ダイオードDi1、Di2を介在させることにより、メインDC/DCコンバータ64、66の出力同士を並列に接続することができる。
【0022】
上述したように、メインDC/DCコンバータ64、66の2次側は端子O1、O2に互いに並列に接続されており、図3に示すように、端子O1は端子I1に接続され、端子O2は端子I2に接続されている。
この端子I1、I2には、出力用DC/DCコンバータ72−1〜72−4の1次側が互いに並列に接続されており、出力用DC/DCコンバータ72−1〜72−4の2次側は夫々に独立して出力ポートP1〜P4に接続されている。なお、出力ポートP1〜P4には観測装置100−1〜100−4が必要に応じて着脱自在に接続可能である。
出力用DC/DCコンバータ72−1〜72−4の夫々に設けられたコンバータ及び整流平滑回路の動作については、メインDC/DCコンバータ64のコンバータ64i及びコンバータ64cと同様であるのでその説明を省略する。
なお、端子O2、端子I2は制御部70に設けられた機能アース端子G(図2)に接続されており、図2に示すように、機能アース端子Gから抵抗R1を介して機能シーアース22に接続されている。
【0023】
<電力供給システムの基本動作>
次に、図1図3を参照して、本発明の第1実施形態に係る電力供給システム1の基本的な動作について説明する。
<海底装置の起動動作>
図1に示す電力供給システム1を起動する場合、陸上側に配置された陸上給電装置10に電源を投入し、陸上給電装置10から海底ケーブル16−1を介して海底装置20−1〜20−3に定電流給電を行う。
例えば図2に示す海底装置20において、海底ケーブル16、給電路32a、給電路パスリレー62、給電路32e、駆動電源部50、給電路32f、海底ケーブル16という順に定電流給電が行われる。
同様に、図1に示す海底装置20−2、20−3に順次に定電流給電が行われ、電力供給システム1の全ての装置に定電流給電が行われる。
陸上給電装置10からの定電流給電が完了した場合、海底装置20−1〜20−3に夫々に設けられた伝送部40に対して、陸上制御装置2からの制御が可能になる。
【0024】
陸上制御装置2は、海底装置20−1〜20−3の夫々に設けられた給電路パスリレー62、スイッチSW65、67を閉結状態から開放状態に制御し、メインDC/DCコンバータ64、66、出力用DC/DCコンバータ72−1〜72−4の動作をON状態に制御するための装置アドレス及び制御データを伝送部2aから海底ケーブル16−1を介して海底装置20−1〜20−3に送信する。
なお、電力供給システム1に用いる通信プロトコルや通信フォーマットについては、周知の方式を用いてもよい。
【0025】
陸上制御装置2から海底ケーブル16−1を介して装置アドレス及び制御データを受信した海底装置20−1〜20−3の伝送部40は、受信した装置アドレスが当該装置の装置アドレスと一致した場合に、制御データD0を受電部60に出力する。
受電部60は、伝送部40から入力された制御データD0=0に基づいて、給電路パスリレー62に設けられたソレノイドコイルに給電することにより、受電部60に設けられた給電路パスリレー62の接点を閉結状態から開放状態に切り替える。
【0026】
<メインDC/DCコンバータの起動>
図2において、受電部60では、制御データD0=0に基づいて、給電路パスリレー62の接点が閉結状態から開放状態に切り替わる。同時に、図3において、メインDC/DCコンバータ64では、伝送部40から入力された制御データD1=0に基づいて、スイッチSW65が閉結状態から開放状態に切り替わる。
これにより、給電路32b、32d間に直列に接続されたメインDC/DCコンバータ64のトランスの1次巻線と、スイッチング素子(図示しない)に電力が給電され、メインDC/DCコンバータ64が起動する。すなわち、メインDC/DCコンバータ64では、コンバータ64iに設けられたスイッチング素子が高周波スイッチングされることにより、1次巻線に生じた磁気エネルギーが2次巻線に電圧を誘起させ、2次巻線の後段に接続された整流平滑回路64cにより直流電圧が発生し、出力用DC/DCコンバータ72に直流電圧が出力される。
また、メインDC/DCコンバータ64の起動と同様に、メインDC/DCコンバータ66も起動される。
【0027】
<出力用DC/DCコンバータの起動>
同時に、図3において、出力用DC/DCコンバータ72−1〜72−4では、伝送部40から入力された制御データD3=1、D4=1、D5=1、D6=1に基づいて、各コンバータが停止状態から起動状態に切り替える。これにより、出力用DC/DCコンバータ72−1〜72−4が起動する。
すなわち、出力用DC/DCコンバータ72−1〜72−4では、コンバータに設けられたスイッチング素子がON/OFF制御されることにより、1次巻線に生じた磁気エネルギーが2次巻線に電圧を誘起させ、2次巻線の後段に接続された整流平滑回路により直流電圧が発生する。
【0028】
さらに、出力用DC/DCコンバータ72−1〜72−4の整流平滑回路の夫々から出力ポートP1〜P4に直流電力が供給され、図2に示す出力ポートP1〜P4から海底に配置されている観測装置100−1〜100−4に電力が供給され、夫々の観測装置100−1〜100−4において観測が開始される。
このように、海底装置20−1〜20−3に夫々に設けられた給電路パスリレー62を開放状態に制御し、かつDC/DCコンバータ64、66に設けられたスイッチSW65、67を開放状態に制御し、さらに、出力用DC/DCコンバータ72−1〜72−4を動作状態に制御することで、海底装置20−1〜20−3に夫々に設けられた制御部70が起動して、観測装置100−1〜100−4への給電を行う出力部80を制御することが可能になる。
【0029】
<観測装置の離脱時のDC/DCコンバータの停止動作>
次に、海底装置20−1に接続されている観測装置100−1、100−2が離脱する場合での出力用DC/DCコンバータ72−1、72−2の停止動作について説明する。
例えば、図2に示す海底装置20に接続されている観測装置100−1〜100−2を修理する場合、まず観測装置100−1〜100−2を海底装置20から離脱させるために、事前に出力用DC/DCコンバータ72−1、72−2の動作を停止する必要がある。
例えば、表2に示すように、海底装置20の制御データD3=0、D4=0に変更すればよい。
【0030】
【表2】
【0031】
<出力用DC/DCコンバータの動作停止>
まず、図1に示す陸上制御装置2は、海底装置20−1を制御するために、海底装置20−1に固有の装置アドレス(#001)及び制御データを海底ケーブル16−1を介して海底装置20−1に送信する。
次いで、図2に示す海底装置20の伝送部40は、受信した制御データの装置アドレス(#001)が当該装置の装置アドレス(#001)と一致した場合に、制御データを制御部70に出力する。図3に示す制御部70は、前記伝送部40から入力された制御データD3=0、D4=0に基づいて、出力用DC/DCコンバータ72−1〜72−2を動作状態から停止状態に切り替える。これにより、出力用DC/DCコンバータ72−1〜72−2から観測装置100−1〜100−2に供給されていた直流電力が停止される。
これにより、観測装置100−1〜100−2は出力ポートP1〜P2から離脱することができる。
【0032】
<メインDC/DCコンバータの動作停止>
出力用DC/DCコンバータ72−1〜72−2が停止すると、これまで出力用DC/DCコンバータ72−1〜72−2の出力ポートP1、P2に接続されている観測装置100−1、100−2で消費していた電力が余ることになる。このとき、図2に示す疑似負荷90がこの余剰電力を消費する働きをする。
この疑似負荷90による余剰電力の消費は、エネルギーの無駄であるため、残る出力用DC/DCコンバータ72−3〜72−4の出力ポートP3、P4に接続されている観測装置の消費電力をメインDC/DCコンバータ64、66のいずれか一方で、賄えるならば、メインDC/DCコンバータの一方を停止することでエネルギーの無駄な消費を減らすことができる。
例えば、メインDC/DCコンバータ64を停止する場合は、表3に示すように、海底装置20−1の制御データD1=1に変更すればよい。
【0033】
【表3】
【0034】
まず、図1に示す陸上制御装置2は、海底装置20−1を制御するために、海底装置20−1に固有の装置アドレス(#001)及び制御データを海底ケーブル16−1を介して海底装置20−1に送信する。
次いで、図2に示す海底装置20の伝送部40は、装置アドレス(#001)が当該装置の装置アドレス(#001)と一致した場合に、制御データを受電部60に出力する。
図3に示す海底装置20の受電部60は、伝送部40から入力された制御データD1=1に基づいて、スイッチSW65の接点状態を開放状態から閉結状態に切り替える。
すなわち、海底装置20の受電部60は、伝送部40が受信した制御データD1=1に基づいて、スイッチSW65に設けられたソレノイドコイルへの給電を停止することにより、スイッチSW65の接点を開放状態から閉結状態に切り替える。
受電部60において、スイッチSW65の接点が開放状態から閉結状態に切り替ると、給電路32b、32c間に接続されたメインDC/DCコンバータ64のコンバータ64iへの電力が停止され、メインDC/DCコンバータ64がその動作を停止する。
この間、図3に示すように、メインDC/DCコンバータ66は動作を継続しており、且つメインDC/DCコンバータ64、66の2次側は端子O1、O2に対して並列接続されているため、出力用DC/DCコンバータ72−3〜72−4の動作は継続することができる。
【0035】
上記の実施形態では、海底装置から2つの観測装置を離脱させる場合を例に説明したが、観測装置を海底装置から離脱させる場合だけでなく、海底装置20の4つの出力ポートに観測装置がフル装備されていても、4つの観測装置の消費電力の合計が少なく、一方のメインDC/DCコンバータの出力だけで賄える状況であれば、他方のメインDC/DCコンバータの出力を停止することでムダな電力消費を抑えて適切な電力供給を実現することが可能になる。
【0036】
<第2実施形態>
次に、図4を参照して、本発明の第2実施形態に係る電力供給システム1について説明する。
図4は、本発明の第2実施形態に係る電力供給システム1において用いられる、メインDC/DCコンバータ64、66、164、166と出力用DC/DCコンバータ72−1〜72−4とのより詳細な接続関係について説明するためのブロック図である。
第1実施形態において用いた図3に示すブロック図では、メインDC/DCコンバータ64、66が給電路32b、32dに直列に接続され、メインDC/DCコンバータ64、66の2次側が端子O1、O2に並列に接続され、またスイッチSW65、67の状態を制御データD1、D2を用いて制御するように構成され、さらに、出力用DC/DCコンバータ72−1〜72−4の動作状態/停止状態を制御データD3〜D6を用いて制御するように構成されていた。
【0037】
これに対して、第2実施形態において用いる図4に示すブロック図では、メインDC/DCコンバータ64、66、164、166が給電路32b、32dに直列に接続され、メインDC/DCコンバータ64、66、164、166の2次側が端子O1、O2に並列に接続され、またスイッチSW65、67、164、166の閉結状態/開放状態を制御データd1〜d4を用いて制御するように構成され、さらに、出力用DC/DCコンバータ72−1〜72−4の動作状態/停止状態を制御データd5〜d8を用いて制御するように構成されている。
【0038】
このように、観測装置が消費する電力の合計に見合うように、海底装置20に設けられたスイッチSW65、67、165、167の何れかを閉結状態に制御することで、観測装置の動作を維持しつつ、ムダな電力消費を抑えて適切な電力供給を実現することが可能になる。
本実施形態によれば、観測装置100の接続台数が減少した場合や観測装置が消費する電力の合計が少ない場合でも、電力の無駄な消費によるエネルギー損失を低減することができる。
【0039】
<第3実施形態>
次に、図2を参照して、本発明の第3実施形態に係る電力供給システム1について説明する。
第1実施形態又は第2実施形態では、例えば、出力用DC/DCコンバータ72−1〜72−2が停止すると、これまで出力用DC/DCコンバータ72−1〜72−2の出力ポートP1、P2に接続されている観測装置100−1、100−2で消費していた電力が余ることになるため、図2に示す疑似負荷90がこの余剰電力を消費する働きをさせていた。
【0040】
これに対して、第3実施形態において、陸上制御装置2は、閾値電流値データを海底ケーブル16を介して各海底装置20に送信するように構成する。
一方、各海底装置20の制御部70は、海底ケーブル16を介して予め受け取った閾値電流値データを記憶するように構成し、さらに、制御部70は、疑似負荷90を流れる電流を検出するための電流検出抵抗R3を疑似負荷90と直列に接続し、電流検出抵抗R3の両端に発生する端子間電圧を電圧データに変換するA/Dコンバータを備えるように構成する。
各海底装置20の制御部70は、A/Dコンバータから取得した電流検出抵抗R3の両端に発生する端子間電圧データをオームの法則に従って、電流検出抵抗R3が検出した電流値データに変換しておく。
そして、制御部70は、電流検出抵抗R3が検出した電流値データと、陸上制御装置2から海底ケーブル16を介して予め受け取った閾値電流値データとを比較する。
この際、制御部70は、電流検出抵抗R3が検出した電流値データが閾値電流値データ未満である場合には、各スイッチSW65,67,165,167の閉結状態に切り替える。
一方、制御部70は、電流検出抵抗R3が検出した電流値データが閾値電流値データ以上である場合には、各スイッチSW65,67,165,167の開放状態に切り替える。
【0041】
このように、疑似負荷90を流れる電流の電流値データと陸上制御装置2から予め受け取った閾値電流値データとを比較した結果に基づいて各スイッチの開放状態/閉結状態を切り替えることで、さらに電力の無駄な消費によるエネルギー損失を低減することができる。
この結果、観測装置100−1〜100−4がフル装備されているとき(消費電力が大きい)も、観測装置100−1〜100−4が少しだけ装備されているとき(消費電力が小さい)も、さらにムダな電力消費を抑えて適切な電力供給を実現することが可能になる。
【0042】
<本発明の実施態様例の構成、作用、効果>
<第1態様>
本態様の電力供給システム1は、陸上給電装置10(給電手段)と陸上制御装置2(制御手段)とを有する親装置と、親装置から海底ケーブル16を介して接続された海底装置20(子装置)と、を備えた電力供給システムであって、各海底装置20(子装置)は、陸上給電装置10(親装置の給電手段)から海底ケーブル16を介して供給された第1直流電力を第2直流電力に変換するメインDC/DCコンバータ64、66、164、166(複数の第1直流電力変換部)と、各メインDC/DCコンバータ64、66、164、166から供給された第2直流電力を第3直流電力に変換して観測装置100−1〜100−4に出力する出力用DC/DCコンバータ72−1〜72−4(複数の第2直流電力変換部)と、各メインDC/DCコンバータ64、66、164、166の1次側に並列接続され、1次側を開放状態/閉結状態に切り替えるスイッチSW65、67、165、167(スイッチ)と、を備え、陸上制御装置2(親装置の制御手段)から海底ケーブル16を介して受け取った制御データに応じて各スイッチの開放状態/閉結状態を切り替えることを特徴とする。
本態様によれば、観測装置100の接続台数が減少した場合や観測装置が消費する電力の合計が小さい場合でも、スイッチSW65、67、165、167のいずれかの接点を閉結状態に切り替えることで、電力の無駄な消費によるエネルギー損失を低減することができる。この結果、観測装置100−1〜100−4がフル装備されているとき(消費電力が大きい)も、観測装置100−1〜100−4が少しだけ装備されているとき(消費電力が小さい)も、ムダな電力消費を抑えて適切な電力供給を実現することが可能になる。
【0043】
<第2態様>
本態様の電力供給システム1は、各メインDC/DCコンバータ64、66、164、166(第1直流電力変換部)の1次側は、他のメインDC/DCコンバータ64、66、164、166の1次側に直列に接続され、且つ各メインDC/DCコンバータ64、66、164、166の2次側は、他のメインDC/DCコンバータ64、66、164、166の2次側に並列に接続され、且つ各出力用DC/DCコンバータ72−1〜72−4(第2直流電力変換部)の1次側は、他の出力用DC/DCコンバータ72−1〜72−4の1次側に並列に接続されることを特徴とする。
本態様によれば、観測装置100の接続台数が減少した場合や観測装置が消費する電力の合計が小さい場合でも、動作状態にあるメインDC/DCコンバータから供給される直流電力により出力用DC/DCコンバータを動作させることができる。
この結果、観測装置100−1〜100−4がフル装備されているとき(消費電力が大きい)も、観測装置100−1〜100−4が少しだけ装備されているとき(消費電力が小さい)も、ムダな電力消費を抑えて適切な電力供給を実現することが可能になる。
【0044】
<第3態様>
本態様の海底装置20(子装置)は、陸上制御装置2(親装置の制御手段)から海底ケーブル16を介して受け取った制御データに基づいて、各出力用DC/DCコンバータ72−1〜72−4(第2直流電力変換部)の停止状態/動作状態を切り替えることを特徴とする。
本態様によれば、陸上制御装置2から受け取った制御データに基づいて、各出力用DC/DCコンバータ72−1〜72−4の停止状態/動作状態を切り替えることで、電力の無駄な消費によるエネルギー損失を低減することができる。
【0045】
<第4態様>
本態様の電力供給システム1は、親装置から海底ケーブル16を介して直列に複数の海底装置20(子装置)が連結されていることを特徴とする。
本態様によれば、親装置から海底ケーブル16を介して直列に複数の海底装置20(子装置)が連結されていることで、直列に連結されている複数の海底装置20(子装置)の夫々に対して、電力の無駄な消費によるエネルギー損失を低減することができる。
【0046】
<第5態様>
本態様の電力供給システム1は、陸上給電装置10(給電手段)と陸上制御装置2(制御手段)とを有する親装置と、親装置から海底ケーブル16を介して接続された海底装置20(子装置)と、を備えた電力供給システムであって、各海底装置20(子装置)は、
親装置の陸上給電装置10(給電手段)から海底ケーブル16を介して供給された第1直流電力を第2直流電力に変換するメインDC/DCコンバータ64、66、164、166(複数の第1直流電力変換部)と、各メインDC/DCコンバータ64、66、164、166から供給された第2直流電力を第3直流電力に変換して外部装置に出力する出力用DC/DCコンバータ72−1〜72−4(複数の第2直流電力変換部)と、各メインDC/DCコンバータ64、66、164、166の1次側に並列接続され、1次側を開放状態/閉結状態に切り替えるスイッチSW65、67、165、167(スイッチ)と、を備え、各メインDC/DCコンバータの1次側は、他のメインDC/DCコンバータの1次側に直列に接続され、且つ各メインDC/DCコンバータの2次側は、他のメインDC/DCコンバータの2次側に並列に接続され、且つ各出力用DC/DCコンバータの1次側は、他の出力用DC/DCコンバータの1次側に並列に接続され、メインDC/DCコンバータの2次側には、余剰電力を消費するための疑似負荷90(疑似負荷装置)と、該疑似負荷90(疑似負荷装置)を流れる電流を検出するための電流検出抵抗R3(電流検出装置)とを更に備えており、電流検出抵抗R3(電流検出装置)が検出した電流値データと陸上制御装置2(親装置の制御手段)から海底ケーブル16を介して予め受け取った閾値電流値データとを比較した結果に基づいて各スイッチの開放状態/閉結状態を切り替えることを特徴とする。
本態様によれば、観測装置100の接続台数が減少した場合や観測装置が消費する電力の合計が小さい場合でも、動作状態にあるメインDC/DCコンバータから供給される直流電力により出力用DC/DCコンバータを動作させることができる。
さらに、疑似負荷90を流れる電流の電流値データと陸上制御装置2から予め受け取った閾値電流値データとを比較した結果に基づいて各スイッチの開放状態/閉結状態を切り替えることで、さらに電力の無駄な消費によるエネルギー損失を低減することができる。
この結果、観測装置100−1〜100−4がフル装備されているとき(消費電力が大きい)も、観測装置100−1〜100−4が少しだけ装備されているとき(消費電力が小さい)も、さらにムダな電力消費を抑えて適切な電力供給を実現することが可能になる。
【0047】
以上、本発明を陸上の親装置と海底の子装置とを海底ケーブルを介して接続したものを例に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、火山の火口付近に設置した噴火監視装置に電力供給する場合や、ダムの水位監視装置に電力供給する場合など、人里離れた遠隔地に設置された子装置に電力供給するあらゆる場面に適用可能である。
また、陸上での電力供給に関し、各家庭、もしくは、各家庭の部屋に直流方式(DC)で電力を供給するシステムにも適用可能である。
【符号の説明】
【0048】
1…電力供給システム、2…陸上制御装置(制御手段)、2a…伝送部、4…制御ケーブル、10…陸上給電装置(給電手段)、12…電力線、16…海底ケーブル、20…海底装置(子装置)、22…シーアース、40…伝送部、62…給電路パスリレー、50…駆動電源部、60…受電部、70…制御部、80…出力部、64…メインDC/DCコンバータ、65…スイッチSW、66…メインDC/DCコンバータ、67…スイッチSW、72…出力用DC/DCコンバータ、90…疑似負荷、100…観測装置
図1
図2
図3
図4