【実施例1】
【0017】
図1は、本発明の実施例1である脳科学用臭気隔離装置100を示す図である。
【0018】
図2は、脳科学用臭気隔離装置100で、被検者20の頭21、顔22を覆った状態を示す図である。
【0019】
脳科学用臭気隔離装置100は、柔軟性機密袋10と、帯状重りWとを有し、被検者20の脳の状態を検査するために使用する装置である。
【0020】
柔軟性機密袋10は、被検者20の頭21と顔22を覆うことができる程度の大きさを持つ袋状体であり、形態が変形自在であり、機密性を具備し、透明であることが好ましい。また、柔軟性機密袋10は、ビニール、ポリエチレン等の合成樹脂製であるが、半透明、不透明であってもよい。
【0021】
帯状重りWは、柔軟性機密袋10の端部10eに設けられ、柔軟性機密袋10の端部10eを被検者20に密着させる密着手段である。帯状重りWは、環状であり、非磁性体であり、柔らかく、被検者20が横になったときに、柔軟性機密袋10の端部10eを被検者20の首または胸に密着する程度の重さを有する。帯状重りWは、環状である代わりに、C字状、U字状であってもよい。この場合、C字状、U字状の開口部が被検者20の背中に位置するようにすれば、被検者20が横たわったときに上記開口部が被検者20の背中で押されるので、機密性を担保できる。
【0022】
柔軟性機密袋10の側面10sにヘッドホンH1、H2、送気パイプP1、排気パイプP2が設けられ、柔軟性機密袋10の
図1中、前面10fに、マイクロホンMが設けられている。
【0023】
ヘッドホンH1、H2のそれぞれに、信号線L1、L2が接続されている。マイクロホンMに信号線L3が接続されている。送気パイプP1の一端、排気パイプP2の一端は、それぞれ、柔軟性機密袋10の内部と通じている。
【0024】
次に、脳科学用臭気隔離装置100を使用してMRI検査を行う場合の動作について説明する。
【0025】
まず、
図2に示すように、脳科学用臭気隔離装置100を被検者20の頭21に被せ、柔軟性機密袋10で頭21、顔22をすっぽり覆う。
【0026】
図3は、脳科学用臭気隔離装置100を被検者20の頭21、顔22に被せた状態で、被検者20がMRI40に横たわっている状態を示す図である。
【0027】
柔軟性機密袋10で頭21、顔22をすっぽり覆った後に、MRI40に設けられているベッド41に被検者20が横たわる。MRI40に設けられているベッド41に被検者20が横たわった後に、ヘッドコイル42を使用して、被検者20の頭21が動かないように固定する。
【0028】
この状態では、帯状重りWが、被検者20の首または胸に載置され、帯状重りWが被検者20の首または、胸に密着し、柔軟性機密袋10がその内部の気体を隔離する。なお、帯状重りWと被検者20の首または胸とが密着していない部分があれば、MRI40の検査員が、帯状重りWを被検者20の首または胸に軽く押しつける。帯状重りWは、ある程度重さがありしかも柔らかいので、押しつけることによって、帯状重りWが被検者20の首または胸と密着する。
【0029】
そして、柔軟性機密袋10に設けられているヘッドホンH1、H2、マイクロホンMに接続されている信号線L1、L2、L3を、図示しない所定の端子に接続する。また、送気パイプP1の他端を臭い発生手段31に接続し、排気パイプP2の他端をMRI室の外部または消臭手段32に接続する。
【0030】
送気パイプP1からは、空気とともに、所定の臭いが被検者20の鼻に送られる。この場合、帯状重りWの重りによって、柔軟性機密袋10の端部10eが被検者20の首、胸に密着しているので、柔軟性機密袋10内の気体、臭いが柔軟性機密袋10の外部に漏れることがない。
【0031】
そして、所定の臭いが被検者20の鼻に送られた状態で、被検者20の脳の状態をMRI40が検出する。
【0032】
このようにして、所定の臭いが被検者20の鼻に送られてから所定時間経過後に、臭い発生手段31からは、臭いを含まない空気が送られ、これとともに、消臭手段32に設けられている排気手段が排気パイプP2を介して、柔軟性機密袋10内の空気と臭いとを吸気する。これによって、排気パイプP2を介して、消臭手段32に送られた臭いは、消臭される。よって、柔軟性機密袋10内の臭いは、短時間で、被検者20の鼻の周囲からなくなる。
【0033】
鼻に送られる臭いを変えることによって、臭い毎に、被検者20の脳の状態を検出することができる。
【0034】
ところで、被検者20が所定の臭いを嗅ぐことによって、脳の状態が変化すると考えられ、活性化した脳の部分には、血流が増加し、これによって、血液中のヘモグロビンが増加する。ヘモグロビンは鉄を含み、この鉄の量を検出すれば、脳の活性化部分を特定することができるとともに、活性化の度合いを検出することができる。
【0035】
なお、信号線L1、L2、L3として使用する銅線は非磁性体であるので、MRI40内で使用しても問題がない。
【0036】
一方、柔軟機密袋10に面ファスナーを、
図1に示す柔軟性機密袋10の端部10eに設けるようにしてもよい。面ファスナーは、フック部とループ部とを有する。フック部とループ部とは、それぞれ、柔軟性機密袋10の端部10e(開口付近)に固着されている。柔軟性機密袋10が、
図1中、横方向に伸びでいる状態では、フック部とループ部とが、互いに所定間隔を保っている。フック部とループ部と貼り合わせると、柔軟性機密袋10の端部10e(開口部)が括られる。面ファスナーを絞める場合、被検者20が呼吸に支障がない程度の強さで面ファスナーを絞める。これによって、被検者20の頭21、顔22は、機密性が保たれ、柔軟性機密袋10内の気体は、柔軟性機密袋10の外には漏れない。
【0037】
このようにして、臭い発生手段31から送気パイプP1を介して、空気のみを送り、排気パイプP2を介して、臭いを吸気するので、短時間で、柔軟性機密袋10内の臭いがなくなり、また、MRI40が設置されているMRI室には、臭いが拡散されない。
【0038】
上記実施例において、帯状重りWの代わりに、紐または輪ゴムを使用するようにしてもよい。また、帯状重りWとともに、面ファスナー、紐、輪ゴムのうちの少なくとも1つを使用するようにしてもよい。すなわち、柔軟性機密袋10の端部10eを被検者20に密着させる場合、帯状重りW、粘土状重り、面ファスナー、紐、輪ゴムのうちの少なくとも1つの密着手段を使用する。
【0039】
なお、上記実施例において、柔軟性機密袋10に、ヘッドホンH1、H2とマイクロホンMとを設けなくてもよい。
【0040】
上記実施例において、ヘッドコイル42を柔軟性機密袋10で包むようにしてもよい。つまり、柔軟性機密袋10の中にヘッドコイル42を入れるようにしてもよい。
【0041】
脳科学用臭気隔離装置100は、MRIで脳の状態を検査するための臭気隔離装置であるが、MRIを使用する代わりに、脳磁計(MEG)、脳赤外計測(NIRS)等を使用して脳の状態を検査するようにしてもよい。
【実施例2】
【0042】
図4は、本発明の実施例2である消臭装置200を示す図である。
【0043】
消臭装置200は、基本的には、MRI用臭気隔離装置100と同じである。消臭装置200がMRI用臭気隔離装置100と異なる点は、MRI用臭気隔離装置100において、臭い発生手段31の他に、光触媒供給手段35を設け、消臭手段32の代わりに、排気手段36を設け、光照射手段50を追加した点である。
【0044】
光触媒供給手段35は、光触媒性ナノ粒子を柔軟性機密袋10に供給する手段であり、上記光触媒性ナノ粒子を人体に供給する手段である。
【0045】
光触媒性ナノ粒子は、花粉程度の大きさの粒子であり、人体には悪影響を及ぼさない物質である。光触媒性ナノ粒子として、たとえば二酸化チタン(TiO2)が考えられ、これは、生体に対してほとんど無害である。特に、多孔質二酸化チタンは、光触媒で極めて重要な物質である。多孔質二酸化チタンナノ粒子を得るには、水熱法、ゾル−ゲル法、自己集合法が知られているが、超臨界流体を反応場とする有機・無機ハイブリッドナノ粒子合成法が報告され、極めて短時間でナノ粒子の合成が可能である。
【0046】
排気手段36は、柔軟性機密袋10内の空気を、柔軟性機密袋10の外部に排出する手段である。
【0047】
光照射手段50は、柔軟性機密袋10内の臭いを消去するために供給された光触媒性ナノ粒子に照射する光を発生する手段である。光照射手段50が照射する光の波長は、柔軟性機密袋10内に供給された光触媒性ナノ粒子が活性化し、においを分解する波長であり、光照射手段50が照射する光は、可視光、赤外光、紫外光である。
【0048】
上記実施例において、においと光触媒性ナノ粒子とを、柔軟性機密袋10に、交互に供給するようにしてもよい。
【0049】
また、光触媒性ナノ粒子を人の髪の毛に供給し、所定の波長の光を照射するようにしてもよい。このようにすると、光触媒の効果で、短時間で、髪の毛のにおいを除去することができる。