【発明を実施するための形態】
【0007】
玩具は、熱可塑性エラストマーを基材樹脂として含む複数の発泡粒子の融着体から構成された発泡体からなる。
(1)発泡体の物性
(i)反発弾性
反発弾性は、40%以上である。40%以上であることで、玩具に適度な反発弾性を付与できる。反発弾性は、45%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましい。反発弾性の上限は、100%である。
(ii)C硬度
C硬度は、10〜70である。この範囲のC硬度であることで、玩具に適度な硬度を付与できる。C硬度は、10〜60であることが好ましく、20〜60であることがより好ましい。
【0008】
(iii)密度
密度は、0.03〜0.2g/cm
3である。この範囲の密度であることで、軽量な玩具を提供できる。密度は、0.03〜0.15g/cm
3であることが好ましく、0.03〜0.1g/cm
3であることがより好ましい。
(iv)圧縮応力
発泡体は、圧縮応力試験における25%ひずみ時に、10kPa以上の圧縮応力を有することが好ましい。10kPa以上の応力を有することで、より適度な硬度を玩具に付与できる。圧縮応力は、50kPa以上であることがより好ましく、100KPa以上であることが更に好ましい。圧縮応力の上限は、1000kPaとすることができる。
【0009】
(2)発泡体の構成
発泡体を構成する発泡粒子は、熱可塑性エラストマーを基材樹脂として含む。この発泡粒子は、熱可塑性エラストマーに由来する反発弾性を示す。この反発弾性は、玩具に適度な反発弾性を与える。
熱可塑性エラストマーは、例えば、アミド系エラストマー、オレフィン系エラストマー及びエステル系エラストマーから選択できる。基材樹脂は、アミド系エラストマー、オレフィン系エラストマー及びエステル系エラストマーのいずれかのみからなっていてもよく、これらエラストマーの混合物であってもよい。
【0010】
(i)アミド系エラストマー
アミド系エラストマーは、架橋していてもよく、非架橋であってもよい。本明細書において、非架橋とは、発泡体のアルコール系溶剤への不溶なゲル分率が3.0質量%以下のものを意味する。また、架橋とはこのゲル分率が3.0質量%より多いものを意味する。
【0011】
ここで、アミド系エラストマー(発泡体)のゲル分率は下記の要領で測定される。
発泡体の質量W1を測定する。次に、130℃のアルコール系溶剤(例えば、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール)100mL中に発泡体を24時間に亘って浸漬する。
次に、アルコール系溶剤の残渣を80メッシュの金網を用いて濾過し、金網上に残った残渣を130℃にて1時間に亘って乾燥させて、金網上に残った残渣の質量W2を測定し、下記式に基づいて発泡体のゲル分率を算出できる。
ゲル分率(質量%)=W2/W1×100
基材樹脂としては、非架橋のアミド系エラストマーが含まれていることが好ましい。
【0012】
アミド系エラストマーはビカット軟化温度が55〜170℃であることが好ましい。ビカット軟化温度が55℃を下回ると発泡後に常温に晒された時点で収縮することがある。170℃を超えると所望の密度への発泡が困難となることがある。ビカット軟化温度は60〜165℃であることがより好ましい。
【0013】
非架橋のアミド系エラストマーには、ポリアミドブロック(ハードセグメント)とポリエーテルブロック(ソフトセグメント)とを有するコポリマーを使用できる。
ポリアミドブロックとしては、例えば、ポリεカプラミド(ナイロン6)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン46)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン612)、ポリウンデカメチレンアジパミド(ナイロン116)、ポリウンデカンアミド(ナイロン11)、ポリラウラミド(ナイロン12)、ポリヘキサメチレンイソフタルアミド(ナイロン6I)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド(ナイロン6T)、ポリナノメチレンテレフタルアミド(ナイロン9T)、ポリメタキシリレンアジパミド(ナイロンMXD6)等のポリアミド構造が挙げられる。ポリアミドブロックは、これらポリアミド構造を構成する単位の組み合わせでもよい。
ポリエーテルブロックとしては、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、ポリテトラメチレングリコール(PTMG)、ポリテトラヒドロフラン(PTHF)等のポリエーテル構造が挙げられる。ポリエーテルブロックは、これらポリエーテル構造を構成する単位の組み合わせでもよい。
ポリアミドブロックとポリエーテルブロックはランダムに分散していてもよい。
【0014】
ポリアミドブロックの数平均分子量Mnは300〜15000であることが好ましく、600〜5000であることがより好ましい。ポリエーテルブロックの数平均分子量Mnは100〜6000であることが好ましく、200〜3000であることがより好ましい。
非架橋のアミド系エラストマーには、米国特許第4,331,786号明細書、米国特許第4,115,475号明細書、米国特許第4,195,015号明細書、米国特許第4,839,441号明細書、米国特許第4,864,014号明細書、米国特許第4,230,838号明細書及び米国特許第4,332,920号明細書に記載されたアミド系エラストマーも使用できる。
【0015】
非架橋のアミド系エラストマーは、反応性末端を有するポリアミドブロックと反応性末端を有するポリエーテルブロックとの共重縮合で得られるものが好ましい。この共重縮合としては特に下記のものを挙げることができる:
(a)ジアミン鎖端を有するポリアミドブロックとジカルボン酸鎖端を有するポリオキシアルキレンブロックとの共重縮合、
(b)ポリエーテルジオールとよばれる脂肪族ジヒドロキシ化α,ω−ポリオキシアルキレン単位のシアノエチル化及び水素化で得られるジカルボン酸鎖端を有するポリアミド単位とジアミン鎖端を有するポリオキシアルキレン単位との共重縮合、
(c)ジカルボン酸鎖端を有するポリアミド単位とポリエーテルジオールとの共重縮合(この場合に得られるものを特にポリエーテルエステルアミドとよんでいる)。
【0016】
ジカルボン酸鎖端を有するポリアミドブロックを与える化合物としては、例えば、α,ω−アミノカルボン酸、ラクタム又はジカルボン酸の連鎖調節剤の存在下でのジカルボン酸とジアミンの縮合で得られる化合物が挙げられる。
(a)の共重縮合の場合、非架橋のアミド系エラストマーは、例えば、ポリエーテルジオールと、ラクタム(又はα,ω−アミノ酸)と、連鎖制限剤のジアシッドとを少量の水の存在下で反応させて得ることができる。非架橋のアミド系エラストマーは、種々の長さのポリエーテルブロックとポリアミドブロックとを有していてもよく、更に各成分がランダムに反応することでポリマー鎖中に分散していてもよい。
【0017】
上記共重縮合時において、ポリエーテルジオールのブロックはそのまま用いてもよく、その水酸基とカルボキシ末端基を有するポリアミドブロックとを共重合して用いてもよく、その水酸基をアミノ化してポリエーテルジアミンに変換した後にカルボキシ末端基を有するポリアミドブロックと縮合して用いてもよい。また、ポリエーテルジオールのブロックをポリアミド前駆体及び連鎖制限剤と混合して共重縮合させることで、ランダムに分散させたポリアミドブロックとポリエーテルブロックとを含むポリマーを得ることも可能である。
【0018】
(ii)オレフィン系エラストマー
オレフィン系エラストマーは、架橋していてもよく、非架橋であってもよい。非架橋とは、発泡体のキシレンへの不溶なゲル分率が3.0質量%以下のものを意味する。また、架橋とはこのゲル分率が3.0質量%より多いものを意味する。
ここで、オレフィン系エラストマー(発泡体)のゲル分率は下記の要領で測定される。
発泡体の質量W1を測定する。次に沸騰キシレン80ミリリットル中に発泡体を3時間還流加熱する。次にキシレン中の残渣を80メッシュの金網を用いてろ過し、金網上に残った残渣を130℃にて1時間に亘って乾燥させて、金網上に残った残渣の質量W2を測定し、下記式に基づいて発泡体のゲル分率を算出できる。
ゲル分率(質量%)=100×W2/W1
基材樹脂としては、非架橋のオレフィン系エラストマーが含まれていることが好ましい。
非架橋のオレフィン系エラストマーは、鉱物性油非含有下で、発泡体に所定の密度と圧縮永久ひずみを与え得るものが好ましい。非架橋のオレフィン系エラストマーとしては、例えば、ハードセグメントとソフトセグメントを組み合わせた構造を有するものが挙げられる。このような構造は、常温でゴム弾性を示し、高温では可塑化され成形可能となるという性質を与える。
例えば、ハードセグメントがポリプロピレン系樹脂であり、ソフトセグメントがポリエチレン系樹脂である非架橋のオレフィン系エラストマーが挙げられる。
【0019】
前者のポリプロピレン系樹脂としては、ポリプロピレンを主成分とする樹脂が使用できる。ポリプロピレンとしては、アイソタクチック、シンジオタクチック、アタクチック等から選択される立体規則性を有していてもよい。
後者のポリエチレン系樹脂としては、ポリエチレンを主成分とする樹脂が使用できる。ポリエチレン以外の成分としてはポリプロピレン、ポリブテン等のポリオレフィンが挙げられる。
【0020】
非架橋のオレフィン系エラストマーには、軟化剤が含まれていてもよい。軟化剤としては、例えば、プロセスオイル、潤滑油、パラフィン、流動パラフィン、石油アスファルト、ワセリン等の石油系軟化剤、コールタール、コールタールピッチ等のコールタール系軟化剤、ヒマシ油、ナタネ油、大豆油、ヤシ油等の脂肪油系軟化剤、トール油、蜜ロウ、カルナウバロウ、ラノリン等のロウ類、リシノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム等の脂肪酸又はその金属塩、ナフテン酸又はその金属石鹸、パイン油、ロジン又はその誘導体、テルペン樹脂、石油樹脂、クマロンインデン樹脂、アタクチックポリプロピレン等の合成高分子物質、ジオクチルフタレート、ジオクチルアジペート、ジオクチルセバケート等のエステル系可塑剤、ジイソドデシルカーボネート等の炭酸エステル系可塑剤、その他マイクロクリスタリンワックス、サブ(ファクチス)、液状ポリブタジエン、変性液状ポリブタジエン、液状チオコール、炭化水素系合成潤滑油等が挙げられる。中でも石油系軟化剤と炭化水素系合成潤滑油が好ましい。
【0021】
非架橋のオレフィン系エラストマーとしては、ハードセグメントとなるモノマーとソフトセグメントとなるモノマーの重合を行い、重合反応容器内において直接製造される重合タイプのエラストマー;バンバリーミキサーや二軸押出機等の混練機を用いてハードセグメントとなるポリプロピレン系樹脂と、ソフトセグメントとなるポリエチレン系樹脂とを物理的に分散させて製造されたブレンドタイプのエラストマーが挙げられる。
【0022】
なお、非架橋のオレフィン系エラストマーは、製造された発泡体のリサイクル性を向上できるという効果も奏する。また、通常のポリオレフィン系樹脂を発泡成形する場合と同様の発泡機での製造が容易である。従って、発泡体をリサイクルし再び発泡機へ供給して発泡成形をする場合でも、ゴム成分の発生による発泡不良を抑制できる。
【0023】
非架橋のオレフィン系エラストマーは、フーリエ変換赤外分光(FT−IR)測定において得られた2920±20cm
-1の範囲の最大ピーク(A2920cm
-1)と1376±20cm
-1の範囲の最大ピーク(A1376cm
-1)の吸光度比(A2920cm
-1/A1376cm
-1)が1.20〜10の範囲にあるエラストマーが好適に使用できる。吸光度比が1.20未満の場合、発泡体の硬度が高くなり、柔軟性の低下を招くことがある。10より大きい場合、発泡時の形状保持が困難となり、収縮を招くことがある。より好ましい吸光度比は1.20〜5である。
【0024】
また、非架橋のオレフィン系エラストマーは、FT−IR測定において得られた2920±20cm
-1の範囲の最大ピーク(A2920cm
-1)と720±20cm
-1の範囲の最大ピーク(A720cm
-1)の吸光度比(A2920cm
-1/A720cm
-1)が0.02〜0.5の範囲にあるエラストマーが好適に使用できる。吸光度比が0.02未満の場合、発泡粒子の硬度が高くなり、柔軟性の低下を招くことがある。0.5より大きい場合、発泡時の形状保持が困難となり、収縮を招くことがある。より好ましい吸光度比は0.05〜0.4である。
【0025】
なお、赤外吸収スペクトルから得られる2920cm
-1での吸光度A2920cm
-1は、オレフィン系エラストマー中のポリメチレン鎖に含まれるメチレン基のC-H伸縮振動に由来する吸収スペクトルに対応する吸光度を、1376cm
-1での吸光度A1376cm
-1は、オレフィン系エラストマー中に含まれる−C−CH
3部位のC−H
3対称変角振動に由来する吸収スペクトルに対応する吸光度をそれぞれ意味している。従って、この吸光度比を測定すれば、非架橋のオレフィン系エラストマー中のハードセグメントとソフトセグメントとの構成成分とその割合をおおよそ推測できる。また720cm
-1での吸光度A720cm
-1は、オレフィン系エラストマー中のポリメチレン鎖の骨格振動に由来する吸収スペクトルに対応する吸光度である。前記の2920±20cm
-1の範囲の最大ピークとの吸光度比を測定することでも、非架橋のオレフィン系エラストマー中のハードセグメントとソフトセグメントとの構成成分とその割合をおおよそ推測できる。
【0026】
非架橋のオレフィン系エラストマーは、ショアA硬度が30〜100であることが好ましく、40〜90であることがより好ましい。非架橋のオレフィン系エラストマーの硬度は、デュロメータ硬さ試験(JIS K6253:97)に準拠して測定される。
また非架橋のオレフィン系エラストマーは、ショアD硬度が10〜70であることが好ましく、20〜60であることがより好ましい。非架橋のオレフィン系エラストマーの硬度は、デュロメータ硬さ試験(ASTM D2240:95)に準拠して測定される。
非架橋のオレフィン系エラストマーは、融点が80〜180℃であることが好ましく、90〜170℃であることがより好ましい。融点は、例えば、JIS K7121:2012の記載に準拠して測定される。
【0027】
(iii)エステル系エラストマー
エステル系エラストマーは、適度な反発弾性及び硬度を備え、かつ軽量な玩具を与えさえすれば特に限定されない。例えば、ハードセグメントとソフトセグメントとを含むエステル系エラストマーが挙げられる。
ハードセグメントは、例えば、ジカルボン酸成分及び/又はジオール成分から構成される。
ジカルボン酸成分としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸等の脂肪族ジカルボン酸及びその誘導体、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸及びその誘導体に由来する成分が挙げられる。
ジオール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール(例えば、1,4−ブタンジオール)等のC
2−10アルキレングリコール、(ポリ)オキシC
2−10アルキレングリコール、C
5−12シクロアルカンジオール、ビスフェノール類又はこれらのアルキレンオキサイド付加体等が挙げられる。ハードセグメントは、結晶性を有していてもよい。
ソフトセグメントは、ポリエステルタイプ及び/又はポリエーテルタイプのセグメントを使用できる。
【0028】
ポリエステルタイプのソフトセグメントとしては、ジカルボン酸類(アジピン酸のような脂肪族C
4−12ジカルボン酸)とジオール類(1,4−ブタンジオールのようなC
2−10アルキレングリコール、エチレングリコールのような(ポリ)オキシC
2−10アルキレングリコール)との重縮合体、オキシカルボン酸の重縮合体やラクトン(ε−カプロラクトンのようなC
3−12ラクトン)の開環重合体等の脂肪族ポリエステルが挙げられる。ポリエステルタイプのソフトセグメントは、非晶性であってもよい。ソフトセグメントとしてのポリエステルの具体例としては、カプロラクトン重合体、ポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペート等のC
2−6アルキレングリコールとC
6−12アルカンジカルボン酸とのポリエステルが挙げられる。このポリエステルの数平均分子量は、200〜15000の範囲であってもよく、200〜10000の範囲であってもよく、300〜8000の範囲であってもよい。
【0029】
ポリエーテルタイプのソフトセグメントとしては、ポリアルキレングリコール(例えば、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール)のような脂肪族ポリエーテルに由来するセグメントが挙げられる。ポリエーテルの数平均分子量は、200〜10000の範囲であってもよく、200〜6000の範囲であってもよく、300〜5000の範囲であってもよい。
ソフトセグメントは、脂肪族のポリエステルとポリエーテルとの共重合体(ポリエーテル−ポリエステル)のようなポリエーテル単位を有するポリエステル、ポリオキシアルキレングリコール(例えば、ポリオキシテトラメチレングリコール)のようなポリエーテルと脂肪族ジカルボン酸とのポリエステルに由来するセグメントであってもよい。
ハードセグメントとソフトセグメントとの質量割合は、20:80〜90:10であってもよく、30:70〜85:15であってもよく、40:60〜80:20であってもよく、45:55〜70:30であってもよい。
エステル系エラストマーには、東洋紡社製ペルプレン(PELPLENE)シリーズやバイロン(VYLON)シリーズが好適に使用できる。特に、ペルプレンシリーズを使用することが好ましい。
【0030】
(iv)他の樹脂
基材樹脂には、本発明の効果を阻害しない範囲で、アミド系樹脂(エラストマーを除く)、オレフィン系樹脂(エラストマーを除く)、エステル系樹脂(エラストマーを除く)、ポリエーテル樹脂等の他の樹脂が含まれていてもよい。他の樹脂は、公知の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂であってもよい。
【0031】
(3)製造方法
発泡体は、発泡粒子が型内に複数充填された一対の金型を加熱媒体により加熱成形することで製造できる。例えば、多数の小孔を有する金型により構成された型内に発泡粒子を充填し、加圧水蒸気で発泡粒子を加熱発泡させ、発泡粒子間の空隙を埋めると共に、発泡粒子を相互に融着させ、一体化させることにより得ることができる。
【0032】
発泡粒子に不活性ガス又は空気(以下、不活性ガス等と称する)を含浸させて、発泡粒子の発泡力を向上させてもよい。発泡力を向上させることにより、加熱発泡時に発泡粒子同士の融着性が向上し、発泡体は更に優れた発泡性を有する。なお、不活性ガスとしては、例えば、二酸化炭素、窒素、ヘリウム、アルゴン等が挙げられる。
【0033】
発泡粒子に不活性ガス等を含浸させる方法としては、例えば、常圧以上の圧力を有する不活性ガス等の雰囲気下に発泡粒子を置くことによって、発泡粒子中に不活性ガス等を含浸させる方法が挙げられる。発泡粒子は、金型内に充填する前に不活性ガス等が含浸されてもよいが、発泡粒子を金型内に充填した後に金型ごと不活性ガス等の雰囲気下に置くことで含浸されてもよい。なお、不活性ガスが窒素である場合、0.1〜2.0MPaの窒素雰囲気中に発泡粒子を20分〜24時間に亘って放置することが好ましい。
発泡粒子に不活性ガス等を含浸させた場合、発泡粒子をこのまま、金型内にて加熱、発泡させてもよいが、発泡粒子を金型内に充填する前に加熱、発泡させて、高発泡倍率の発泡粒子とした上で金型内に充填して加熱、発泡させてもよい。このような高発泡倍率の発泡粒子を用いることによって、高発泡倍率の発泡体を得ることができる。
【0034】
金型に充填される発泡粒子は、樹脂粒子に発泡剤を含浸させて発泡性粒子を得る工程(含浸工程)、発泡性粒子を発泡させる発泡工程を経て得ることができる。
(A)含浸工程
(a)樹脂粒子
樹脂粒子は、公知の製造方法及び製造設備を使用して得ることができる。
例えば、押出機から押し出された樹脂の溶融混練物を、水中カット、ストランドカット等により造粒することによって、樹脂粒子を製造できる。溶融混練時の温度、時間、圧力等は、使用原料及び製造設備に合わせて適宜設定できる。
溶融混練時の押出機内の溶融混練温度は、樹脂が十分に軟化する温度である、170〜250℃が好ましく、200〜230℃がより好ましい。溶融混練温度とは、押出機ヘッド付近の溶融混練物流路の中心部温度を熱伝対式温度計で測定した押出機内部の溶融混練物の温度を意味する。
【0035】
樹脂粒子の形状は、例えば、真球状、楕円球状(卵状)、円柱状、角柱状、ペレット状又はグラニュラー状である。
樹脂粒子は、0.5〜3.5mmの平均粒子径を有することが好ましい。平均粒子径が0.5mm未満の場合、発泡剤の保持力が低下して発泡性が低下することがある。3.5mmより大きい場合、成形型内への充填性が低下することがある。
樹脂粒子は、その長さをL、平均径をDとした場合のL/Dが0.5〜3であることが好ましい。樹脂粒子のL/Dが0.5未満や3を超えている場合、金型内への充填性が低下することがある。なお、樹脂粒子の長さLは、押出方向の長さをいい、平均径Dは長さLの方向に実質的に直交する樹脂粒子の切断面の直径をいう。
樹脂粒子の平均径Dは0.5〜3.5mmが好ましい。平均径が0.5mm未満の場合、発泡剤の保持性が低下して発泡性粒子の発泡性が低下することがある。3.5mmより大きいと、金型内への発泡粒子の充填性が低下すると共に、板状の発泡体を製造する場合に発泡体の厚みを薄くできないことがある。
【0036】
樹脂粒子には、気泡調整剤が含まれていてもよい。
気泡調整剤としては、重曹クエン酸、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸ビスアミド、高級脂肪酸塩、無機気泡核剤等が挙げられる。これら気泡調整剤は、複数種組み合わせてもよい。
高級脂肪酸アミドとしては、ステアリン酸アミド、12−ヒドロキシステアリン酸アミド等が挙げられる。
高級脂肪酸ビスアミドとしては、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビス−12−ヒドロキシステアリン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド等が挙げられる。
高級脂肪酸塩としては、ステアリン酸カルシウムが挙げられる。
無機気泡核剤としては、タルク、珪酸カルシウム、合成あるいは天然に産出される二酸化ケイ素等が挙げられる。
樹脂粒子は、他に、ヘキサブロモシクロドデカン、トリアリルイソシアヌレート6臭素化物等の難燃剤、カーボンブラック、酸化鉄、グラファイト等の着色剤等を含んでいてもよい。
【0037】
(b)発泡性粒子
樹脂粒子に発泡剤を含浸させて発泡性粒子を製造する。なお、樹脂粒子に発泡剤を含浸させる要領としては、公知の要領を用い得る。例えば、密閉可能なオートクレーブ内に、樹脂粒子、分散剤及び水を供給して撹拌することによって、樹脂粒子を水中に分散させて分散液を製造し、この分散液中に発泡剤を圧入し、樹脂粒子中に発泡剤を含浸させる方法が挙げられる。
分散剤としては、特に限定されず、例えば、リン酸カルシウム、ピロリン酸マグネシウム、ピロリン酸ナトリウム、酸化マグネシウム、ハイドロキシアパタイト等の難水溶性無機物や、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムのような界面活性剤が挙げられる。
発泡剤としては、汎用のものが用いられ、例えば、空気、窒素、二酸化炭素(炭酸ガス)等の無機ガス;プロパン、ブタン、ペンタン等の脂肪族炭化水素;ハロゲン化炭化水素が挙げられ、脂肪族炭化水素、無機ガスが好ましい。なお、発泡剤は単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
【0038】
樹脂粒子に含浸させる発泡剤の量は、樹脂粒子100質量部に対して、1〜12質量部であることが好ましい。発泡剤の含有量が1質量部未満であると、発泡力が低くなり、高い発泡倍率では、良好に発泡させ難いことがある。12質量部を超えると、気泡膜の破れが生じやすくなり、可塑化効果が大きくなりすぎて、発泡時の粘度が低下しやすくなり、かつ収縮が起こりやすくなる。より好ましい発泡剤の量は6〜8質量部である。この範囲内であれば、発泡力を十分に高めることができ、高い発泡倍率であっても、より一層良好に発泡させることができる。発泡剤の含有量が8質量部以下であると、気泡膜の破れが抑えられ、可塑化効果が大きくなりすぎないために、発泡時の粘度の過度の低下が抑えられ、かつ収縮が抑えられる。
【0039】
樹脂粒子100質量部に対して含浸された発泡剤の含有量(含浸量)は、以下のようにして測定される。
樹脂粒子を圧力容器に入れる前の質量Xgを測定する。圧力容器内で、樹脂粒子に発泡剤を含浸させた後、圧力容器から含浸物を取り出した後の質量Ygを測定する。下記式により、樹脂粒子100質量部に対して含浸された発泡剤の含有量(含浸量)が求められる。
発泡剤の含有量(質量部)=((Y−X)/X)×100
樹脂粒子への発泡剤の含浸温度は、低いと、樹脂粒子に発泡剤を含浸させるのに要する時間が長くなって生産効率が低下することがある。また、高いと、樹脂粒子同士が融着して結合粒が発生することがある。含浸温度は、60〜120℃が好ましく、70〜110℃がより好ましい。発泡助剤(可塑剤)を、発泡剤と併用してもよい。発泡助剤(可塑剤)としては、アジピン酸ジイソブチル、トルエン、シクロヘキサン、エチルベンゼン等が挙げられる。
【0040】
発泡性粒子の形状は、特に限定されず、真球状、楕円球状(卵状)、円柱状、角柱状、ペレット状又はグラニュラー状等が挙げられる。
発泡性粒子は、0.5〜3.5mmの平均粒子径を有することが好ましい。平均粒子径が0.5mm未満の場合、発泡剤の保持性が低下して発泡性が低下することがある。3.5mmより大きいと、金型内への発泡粒子の充填性が低下すると共に、板状の発泡体を製造する場合に発泡体の厚みを薄くできないことがある。
【0041】
(B)発泡工程
発泡工程では、発泡性粒子を発泡させて、発泡粒子を得ることができれば発泡温度、加熱媒体は特に限定されない。
なお、発泡前に、発泡性粒子の表面に、ポリアミドパウダーや界面活性剤等の合着防止剤、帯電防止剤を塗布してもよい。帯電防止剤としては、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、及びステアリン酸モノグリセリド等が挙げられる。
発泡粒子は、0.01〜0.20g/cm
3の範囲の嵩密度を有する。嵩密度が0.01g/cm
3より小さい場合、得られる発泡体に収縮が発生して外観が良好とならずかつ発泡体の機械的強度が低下することがある。0.20g/cm
3より大きい場合、発泡体の軽量性が低下することがある。
【0042】
発泡粒子は、20〜320μmの平均気泡径を有することが好ましい。平均気泡径が20μm未満の場合、発泡体が収縮することがある。320μmより大きい場合、成形体の外観の悪化や融着の不良を招くことがある。平均気泡径は20〜200μmであることがより好ましく、40〜150μmであることが更に好ましい。
発泡粒子は、1.5〜5mmの平均粒子径を有することが好ましい。平均粒子径が1.5mm未満の場合、成形時の2次発泡性が低下することがある。5mmより大きい場合、加熱発泡により発泡体を作製する際に金型への充填性が低下することがある。平均粒子径は、2〜5mmであることがより好ましい。
【0043】
(4)玩具の種類
玩具は、適度な反発弾性及び硬度と、軽量性が求められるものであれば、特に限定されない。具体的な玩具としては、ボール、ブロック、積み木等が挙げられる。これら玩具の大きさは、特に限定されない。
【実施例】
【0044】
次に実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<樹脂粒子の長さL及び平均径D>
ノギスを用いて樹脂粒子の長さLと平均径Dを測った。樹脂粒子を製造する際の押出方向の長さをL、押出方向に対して垂直方向の長さを平均径Dとした。
【0045】
<粒子の平均粒子径>
粒子約50gをロータップ型篩振とう機(飯田製作所社製)を用いて、篩目開き16.00mm、13.20mm、11.20mm、9.50mm、8.00mm、6.70mm、5.60mm、4.75mm、4.00mm、3.35mm、2.80mm、2.50mm、2.36mm、2.00mm、1.70mm、1.40mm、1.18mm、1.00mmのJIS標準篩で5分間分級した。篩網上の試料質量を測定し、その結果から得られた累積質量分布曲線を元にして累積質量が50%となる粒子径(メディアン径)を平均粒子径とした。
【0046】
<発泡粒子の嵩密度>
まず、発泡粒子を測定試料としてWg採取し、この測定試料をメスシリンダー内に自然落下させた後、メスシリンダーの底をたたいて試料の見掛け体積(V)cm
3を一定にし、その質量と体積を測定し、次式に基づいて発泡粒子の嵩密度を算出した。
嵩密度(g/cm
3)=測定試料の質量(W)/測定試料の体積(V)
【0047】
<発泡体の密度>
発泡体の密度はJIS KI 7222:2005「発泡プラスチック及びゴムー見掛け密度の求め方」記載の方法で測定した。すなわち、100cm
3以上の試験片を材料の元のセル構造を変えない様に切断し、その質量を測定し、次式により算出した。
密度(g/cm
3)=試験片質量(g)/試験片体積(cm
3)
測定用の試験片は、成形後72時間以上経過した試料から100mm×100mm×厚み10mmに切り取り、温度23±2℃、湿度50±5%又は、温度27±2℃、湿度65±5%の雰囲気条件に16時問以上放置したものを使用した。
【0048】
<反発弾性>
JIS K 6400−3:2011に準拠して測定した。反発弾性試験機(高分子計器社製、FR−2)に、温度23±2℃、湿度50±5%の環境下で72時間以上状態調節した、同一の発泡体から切り出した100×100×厚み11mmの試料を5枚重ねてセットし、500mmの高さ(a)から銅球(φ5/8インチ、16.3g)を自由落下させて、その反発最高到達時の高さ(b)読み取り、式(b)/(a)×100により反発弾性(%)を算出した。ただし、同一試験片を用いて3回測定を行い、これらの中央値を反発弾性とした。
【0049】
<C硬度>
C硬度は、300×400×厚み11mmの試料を温度23±2℃、湿度50±5%の環境下で72時間以上状態調節後、アスカーゴム・プラスチック硬度計C形(高分子計器社製)を用いて測定した。押針が試験片測定面に垂直になるように加圧面を密着させて、直ちに目盛を読み取った。発泡粒子同士の融着面をさけて、試料の5箇所を測定し、その平均値をC硬度とした。
【0050】
<圧縮応力>
JIS K6767:1999「発泡プラスチック−ポリエチレン−試験方法」記載の方法により測定した。すなわち、テンシロン万能試験機UCT−10T(オリエンテック社製)、万能試験機データ処理UTPS−458X(ソフトブレーン社製)を用いて、試験体サイズは50×50×厚み11mmで圧縮速度を5.0mm/min(1分あたりの移動速度ができるだけ試験片厚さの50%に近い速度)とした。変位原点は圧縮弾性率の交点とし、厚みの25%圧縮時の圧縮応力(kPa)を測定した。試験片の数は3個とし、JIS K 7100:1999の記号「23/50」(温度23℃、相対湿度50%)、2級の標準雰囲気下で16時間かけて状態調整した後、同じ標準雰囲気下で測定を行った。
25%圧縮応力σ
25は次式により算出した。
σ
25=10
3×F
25/A
0
σ
25:圧縮応力(kPa)
F
25:25%変形時の荷重(N)
A
0:試験片の初めの断面積(mm
2)
【0051】
(実施例1)
(1)樹脂粒子
ナイロン12をハードセグメントとし、ポリテトラメチレングリコールをソフトセグメントとするアミド系エラストマー(商品名「Pebax5533 SA01」、ビカット軟化温度142℃、アルケマ社製)100質量部と有機系気泡調整剤(商品名「花王ワックスEBFF」、花王社製)0.3質量部を単軸押出機に供給して溶融混練した。なお、単軸押出機内において、アミド系エラストマーを始めは180℃にて溶融混練した後に220℃まで昇温させながら溶融混練した。
続いて、溶融状態のアミド系エラストマーを冷却した後、単軸押出機の前端に取り付けたマルチノズル金型の各ノズルからアミド系エラストマーを押出した。なお、マルチノズル金型は、出口部の直径が0.7mmのノズルを40個有しており、ノズルの出口部は全て、マルチノズル金型の前端面に想定した、直径が139.5mmの仮想円上に等間隔毎に配設されていた。マルチノズル金型は220℃に保持されていた。
回転軸の後端部外周面には、4枚の回転刃が回転軸の周方向に等間隔毎に一体的に設けられており、各回転刃はマルチノズル金型の前端面に常時、接触した状態で仮想円上を移動するように構成されていた。
更に、冷却部材は、正面円形状の前部と、この前部の外周縁から後方に向かって延設されかつ内径が315mmの円筒状の周壁部とからなる冷却ドラムを備えていた。そして、供給管及びドラムの供給口を通じて冷却ドラム内に冷却水が供給されており、周壁部の内面全面には、この内面に沿って20℃の冷却水が前方に向かって螺旋状に流れていた。
【0052】
そして、マルチノズル金型の前端面に配設した回転刃を3440rpmの回転数で回転させてあり、マルチノズル金型の各ノズルの出口部から押出されたアミド系エラストマー押出物を回転刃によって切断して略球状の樹脂粒子を製造した。
なお、樹脂粒子の製造にあたっては、まず、マルチノズル金型に回転軸を取り付けずかっ冷却部材をマルチノズル金型から退避させておいた。この状態で、押出機から樹脂を押出した。次に、マルチノズル金型に回転軸を取り付けかつ冷却部材を所定位置に配心した後、回転軸を回転させ、樹脂をノズルの出口部の開口端において回転刃で切断して樹脂粒子を製造した。
この樹脂粒子は、回転刃による切断応力によって外方あるいは前方に向かって飛ばされ、冷却部材の冷却ドラムの内面に沿って流れている冷却水に衝突して直ちに冷却された。
冷却された樹脂粒子は、冷却ドラムの排出口を通じて冷却水と共に排出された後、脱水機にて冷却水と分筆された。得られた樹脂粒子は、粒子の長さLが1.2〜1.7mmで、粒子の平均径Dが0.8〜0.9mmであった。
【0053】
(2)発泡性粒子
樹脂粒子(平均粒子径1.3mm)15kg(100質量部)を加温密閉可能な内容積43リットルの耐圧回転式混合機に投入した。更に、合着防止剤としてエパン740(第一工業製薬社製:ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール分子量2000、エチレンオキサイド単位含有率40質量%)0.5質量部を投入し撹拌した。樹脂粒子を撹拌させながら、発泡剤としてブタン(ノルマルブタン:イソブタン=65:35)12質量部を圧入し、70℃に昇温させ2時間撹拌を続けたその後、20℃まで冷却して混合機から除圧後すぐに取り出すことで、発泡性粒子を得た。
(3)発泡粒子
内容積50Lの撹拌機付き円筒型予備発泡機に発泡性粒子を2kg投入し、0.21MPaの水蒸気で撹拌しながら、発泡させ、嵩密度0.10g/cm
3の発泡粒子を得た。得られた発泡粒子を密閉容器内に入れ、この密閉容器内に窒素を0.5MPaの圧力で圧入して常温にて18時間に亘って放置して発泡粒子に窒素を含浸した。内容積50Lの撹拌機付き円筒型予備発泡機に発泡粒子を0.2kg投入し、0.16MPaの水蒸気で撹拌しながら発泡し、より低密度の発泡粒子を得た(2回発泡)。発泡粒子の嵩密度は0.054g/cm
3であった。
(4)発泡体
発泡粒子を密閉容器内に入れ、この密閉容器内に窒素を0.5MPaの圧力で圧入して常温にて18時間に亘って放置して発泡粒子に窒素を含浸した。
発泡粒子を密閉容器から取り出し、400mm×300mm×厚み11mmの大きさのキャビティを有する成形型のキャビティ内に充填し、0.25MPaの水蒸気で35秒間加熱し成形を行い、発泡体を得た。
発泡体の密度は0.065g/cm
3、C硬度は40、反発弾性は60%、圧縮応力は87kPaであった。
【0054】
(実施例2)
2回発泡を行わなかったこと、加熱時間を変更して発泡粒子の嵩密度を0.083g/cm
3に変更したこと以外は実施例1と同様にして発泡体を得た。発泡体の密度は0.10g/cm
3、C硬度は50、反発弾性は57%、圧縮応力は230kPaであった。
(実施例3)
2回発泡を行わなかったこと、加熱時間を変更して発泡粒子の嵩密度を0.13g/cm
3に変更したこと以外は実施例1と同様にして発泡体を得た。発泡体の密度は0.15g/cm
3、C硬度は63、反発弾性は54%、圧縮応力は400kPaであった。
(実施例4)
2回発泡を行わなかったこと、加熱時間を変更して発泡粒子の嵩密度を0.16g/cm
3に変更したこと以外は実施例1と同様にして発泡体を得た。発泡体の密度は0.19g/cm
3、C硬度は69、反発弾性は53%、圧縮応力は545kPaであった。
【0055】
(実施例5)
(1)樹脂粒子
熱可塑性のオレフィン系エラストマーであるTPO R110E(プライムポリマー社製)100質量部と気泡調整剤としての重曹クエン酸系の化学発泡剤(商品名「ファインセルマスターPO410K」、大日精化社製)0.5質量部とを45kg/hのペースで、口径50mmの単軸押出機と口径65mmの単軸押出機とが連結されたタンデム型押出機に連続的に供給した。
押出機内における最高到達温度が260℃となるようにしてオレフィン系エラストマーを溶融混錬した。この溶融オレフィン系エラストマーを下流側の押出機(口径65mmの押出機)を通過させつつこの押出機先端部における樹脂温度が230℃となるように冷却した。
上記溶融オレフィン系エラストマーを押出機の先端部に装着したダイス(温度320℃、入り口側樹脂圧18MPa)のダイス孔(直径0.8mm、ランド長さ3.0mmのノズルが32個配置)から約70℃の冷却水を収容したチャンバー内に押し出した。押出物を8枚の切断刃を有する回転刃の回転軸を3400rpmの回転数で回転させ、粒状に切断し、冷却水で冷却させて樹脂粒子を得た。
(2)発泡性粒子
樹脂粒子(平均粒子径1.2mm)を容量5Lの圧力容器内で密閉し、炭酸ガスを含浸圧4.0MPaまで圧入した。その後、温度20℃の環境下で24時間静置し、樹脂粒子に炭酸ガスを含浸することで発泡性粒子を得た。
【0056】
(3)発泡粒子
上記含浸工程のおける除圧の後、すぐに圧力容器から発泡性粒子を取り出し、炭酸カルシウム0.1質量部を添加し、混合した。その後、発泡性粒子を容積量が50リットルである円筒型バッチ式加圧予備発泡機に投入し、0.1MPaの水蒸気で撹拌しながら加熱することにより発泡粒子を得た。得られた発泡粒子を塩化水素水溶液で洗浄することで炭酸カルシウムを除去した後、乾燥した。
得られた発泡粒子は収縮した。この収縮した発泡粒子を圧力容器内に密閉し、窒素ガスを圧力計が0.5MPaを示すまで圧入した。その圧力容器を室温で24時間静置し、発泡粒子に窒素ガスを含浸し収縮していな発泡粒子を得た。
この発泡粒子を圧力容器内に密閉し、窒素ガスを圧力計が2.5MPaを示すまで圧入し、室温で24時間静置した。静置後、圧力容器から取り出し、容積量が50リットルである円筒型バッチ式加圧予備発泡機に投入し、0.04MPaの水蒸気で撹拌しながら加熱することにより、より低密度の発泡粒子を得た(2回発泡)。発泡粒子の嵩密度は0.022g/cm
3であった。
(4)発泡体
発泡粒子を圧力容器内に密閉し、窒素ガスを圧力計が2.0MPaを示すまで圧入した。その圧力容器を室温で24時間静置し、発泡粒子に窒素ガスを含浸した。窒素ガスを含浸した発泡粒子を、300×400×厚み11mmの成形金型内に充填し、0.10MPaの水蒸気で34秒間加熱を行うことで発泡体を得た。次いで発泡体の面圧が0.01MPa以下になるまで冷却し、発泡体を取り出した。
発泡体の密度は0.033g/cm
3、C硬度は10、反発弾性は57%、圧縮応力は20kPaであった。
【0057】
(実施例6)
2回発泡を行わなかったこと、加熱時間を変更して発泡粒子の嵩密度を0.075g/cm
3に変更したこと以外は実施例5と同様にして発泡体を得た。発泡体の密度は0.090g/cm
3、C硬度は30、反発弾性は47%、圧縮応力は70kPaであった。
(実施例7)
2回発泡を行わなかったこと、加熱時間を変更して発泡粒子の嵩密度を0.12g/cm
3に変更したこと以外は実施例5と同様にして発泡体を得た。発泡体の密度は0.14g/cm
3、C硬度は42、反発弾性は40%、圧縮応力は120kPaであった。
【0058】
(実施例8)
(1)樹脂粒子
ポリブチレンテレフタレート(PBT)をハードセグメント、脂肪族ポリエーテルをソフトセグメントとするエステル系エラストマー(商品名:「ペルプレンGP475」、融点:155℃、ビカット軟化点:110℃、東洋紡社製)100質量部と有機系気泡調整剤(商品名:「花王ワックスEBFF」、花王社製)0.3質量部を単軸押出機に供給し、180〜280℃で溶融混練した。次に、溶融状態のエステル系エラストマーを冷却して粘度を調整した後、単軸押出機の前端に取り付けたマルチノズル金型(直径1.3mmのノズルを8穴有する)の各ノズルから樹脂を押し出し、水中カットした。なお、水温は30〜50℃、カッター刃数は8枚、カッター回転数は3000〜4500rpmとした。得られた樹脂粒子は、粒子の長さLが1.4〜1.8mm、粒子の平均径Dが1.4〜1.8mmであった。
(2)発泡性粒子
内容積5Lの撹拌機付オートクレーブに、樹脂粒子1.5kg(100質量部)、蒸留水3L、界面活性剤(商品名:「ニューレックスR」、油化産業社製)5gを投入し、密閉した後、撹拌状態で発泡剤のブタン(ノルマルブタン:イソブタン=7:3)16質量部を圧入した。次に、オートクレーブを100℃で2時間加熱して、25℃まで冷却した。冷却完了後にオートクレーブを除圧し、直ちに蒸留水で界面活性剤を洗浄し、脱水することで発泡性粒子を得た。
【0059】
(3)発泡粒子
発泡性粒子1.5kg(100質量部)に合着防止剤(商品名:「エパン450」、第一工業製薬社製)0.25質量部を塗布した後、内容積50Lの撹拌機付円筒型予備発泡機に投入し、撹拌させながらゲージ圧0.14MPaの水蒸気で加熱して、発泡粒子を得た。発泡粒子の嵩密度は0.18g/cm
3であった。
(4)発泡体
発泡粒子をオートクレーブに投入し、ゲージ圧0.5MPaの窒素ガスを圧入した後、30℃で18時間静置して、発泡粒子に窒素ガスを含浸した。
窒素ガスを含浸させた発泡粒子をオートクレーブから取り出して、直ちに水蒸気孔を有する400mm×300mm×厚み11mmの大きさの成形用キャビティ内に充填し、ゲージ圧0.21MPaの水蒸気で加熱成形を行い、発泡体を得た。発泡体の密度は0.20g/cm
3、C硬度は48、反発弾性は60%、圧縮応力は228kPaであった。
【0060】
(実施例9)
(1)樹脂粒子
実施例8と同様の方法で作製した。
(2)発泡性粒子
実施例8と同様の方法で作製した。
(3)発泡粒子
水蒸気のゲージ圧力を0.15MPaに変更したこと以外は実施例8と同様に作製した。発泡粒子の嵩密度は、0.13g/cm
3であった。
(4)発泡体
水蒸気のゲージ圧を0.20MPaに変更したこと以外は実施例8と同様の方法で作製した。発泡体の密度は0.14g/cm
3、C硬度は31、反発弾性は63%、圧縮応力は116kPaであった。
【0061】
(比較例1)
市販のポリエチレン発泡体(イノアック社製、PE15S)を評価した。発泡体の密度は0.066g/cm
3、C硬度は46、反発弾性は26%、圧縮応力は149kPaであった。
(比較例2)
市販のポリエチレン発泡体(イノアック社製、PE10C)を評価した。発泡体の密度は0.089g/cm
3、C硬度は41、反発弾性は24%、圧縮応力は153kPaであった。
(比較例3)
市販のポリ塩化ビニル発泡体(安田プラスチック社製、CB70)を評価した。発泡体の密度は0.15g/cm
3、C硬度は16、反発弾性は21%、圧縮応力は56kPaであった。
(比較例4)
市販のポリウレタン発泡体(セキスイウレタン加工社製、50H)を評価した。発泡体の密度は0.052g/cm
3、C硬度は4、反発弾性は38%、圧縮応力は16kPaであった。
(比較例5)
市販のポリウレタン発泡体(セキスイウレタン加工社製、80SH)を評価した。発泡体の密度は0.077g/cm
3、C硬度は12、反発弾性は29%、圧縮応力は35kPaであった。
なお、実施例1〜9及び比較例1〜5の結果を樹脂種と共にまとめて表1及び2に示した。
【0062】
【表1】
【0063】
【表2】
【0064】
実施例1〜9及び比較例1〜5より、40%以上の反発弾性、10〜70のC硬度及び0.03〜0.2g/cm
3の密度を有する発泡体は、玩具として良好な物性を示すことが分かった。