【解決手段】 バスケット形電極アセンブリは、近位端と遠位端に構造要素を有する。構造要素は、スパインを互いに所望の空間的関係で維持することができ、かつ/又はスパインの遠位端を引張部材に結合することができる。バスケット形電極アセンブリは、スパインが外方に湾曲する拡張配置と、スパインがカテーテル本体の縦軸に沿って概ね配列されている潰れた配置とを有する。
近位端及び遠位端並びに内部を通る少なくとも1つのルーメンを有する細長いカテーテル本体と、前記カテーテル本体の前記遠位端にあるバスケット形電極アセンブリとを備える、カテーテルであって、前記バスケット形電極アセンブリが、近位端を有し近位構造要素と遠位構造要素によって接続された複数のスパインを備え、各スパインが、複数の電極を有し、前記バスケット形電極アセンブリは、前記スパインが半径方向外方に湾曲している拡張配置と、前記スパインが前記カテーテル本体の縦軸に沿って概ね配列されている潰れた配置と、を有する、カテーテル。
近位端と遠位端を有する引張部材を更に備え、前記引張部材が、前記ルーメン内に摺動可能に配置されかつ前記カテーテル本体の前記縦軸と位置合わせされ、その結果、前記バスケット形電極アセンブリは、前記引張部材が前記カテーテル本体に対して前記縦軸に沿った最遠位位置にあるときに前記潰れた配置を有し、前記バスケット形電極アセンブリは、前記引張部材が前記最遠位位置の近位にあるときに前記拡張配置を有する、請求項1に記載のカテーテル。
前記キャップが、外径を有する近位部分と、外径を有する遠位部分とを有し、前記近位部分の前記外径が、前記遠位部分の前記外径より小さい、請求項5に記載のカテーテル。
前記カラーが、前記カラーの外径の周りに配置された複数の長手方向チャネルを有し、各チャネルが、スパインの近位端を収容し固定するように構成されている、請求項14に記載のカテーテル。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、バスケットアセンブリが拡張されたときに特定の形状を達成するために、スパインの展開を制御する構造要素を提供することが望ましい。同様に、引張部材をスパインの遠位端に固定し易くできる構造要素をバスケットアセンブリの遠位端に提供することが望ましい。更に、スパインの相対的放射状間隔を維持するための構造要素を遠位端に提供することが望ましい。更に、スパインの相対的放射状間隔を維持するための構造要素をバスケットアセンブリの近位端に提供することが望ましい。以下の資料に記載される本開示の技術は、これら及び他の必要性を満たす。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、近位端及び遠位端並びに内部を通る少なくとも1つのルーメンを有する細長いカテーテル本体を有するカテーテルを目的とする。カテーテル本体は、遠位端にバスケット形電極アセンブリを有し、バスケット形電極アセンブリは、近位端を有し近位構造要素と遠位構造要素によって接続された複数のスパインを備え、各スパインは、複数の電極を有し、バスケット形電極アセンブリは、スパインが半径方向外方に湾曲している拡張配置と、スパインがカテーテル本体の縦軸に沿って概ね配列されている潰れた配置と、を有する。
【0007】
一態様では、カテーテルは、近位端と遠位端を有する引張部材を有し、引張部材は、ルーメン内に摺動可能に配置されかつカテーテル本体の縦軸と位置合わせされ、その結果、バスケット形電極アセンブリは、引張部材がカテーテル本体に対して縦軸に沿った最遠位置にあるときに潰れた配置を有し、バスケット形の電極アセンブリは、引張部材が最遠位置の近位にあるときに拡張配置を有する。
【0008】
一態様では、遠位構造要素は、引張部材を複数のスパインの遠位端に結合するように構成されたキャップでよい。キャップは、引張部材の遠位端で止め部と係合する肩部を画定する内側凹部を有してもよい。
【0009】
一態様では、スパインは、切断された材料管によって形成された一体構造のフレーム構造であってよい。例えば、材料管は、形状記憶材料であってよい。
【0010】
一態様では、キャップは、外径を有する近位部分と外径を有する遠位部分とを有してもよく、近位部分の外径は、遠位部分の外径より小さい。近位部分の外径は、材料管の内径内にぴったりと嵌まるようにサイズ決めされる。
【0011】
一態様では、バスケット形電極アセンブリの対向スパインは、連続ループ部材によって形成されてもよい。例えば、ループ部材は、形状記憶材料であってよい。
【0012】
一態様では、キャップは、ループ部材が通る対向開口を有してもよい。対向開口は、複数対の対向開口であってよく、各対は、隣接開口に対して螺旋状に互い違いにされる。あるいは、キャップは、ループ部材が通る対向窓を有してもよい。
【0013】
一態様では、近位構造要素は、カテーテル本体のルーメン内に配置されたカラーであってよい。カラーは、カラーの外径の周りに配置された複数の長手方向チャネルを有してもよく、各チャネルは、スパインの近位端を収容し固定するように構成される。各チャネルは、カラーがカテーテル本体内に配置されたときにカテーテル本体の内径とルーメンを形成してもよい。カラーは、引張部材を収容するように構成された第1のルーメンを有してもよい。代替又は追加として、カラーは、バスケット形電極アセンブリに灌注流体を導くように構成された第2のルーメンを有してもよい。代替又は追加として、カラーは、位置センサを固定するように構成された第3のルーメンを有してもよい。
【0014】
この開示は、治療方法であって、近位端及び遠位端並びに内部を通る少なくとも1つのルーメンを有する細長いカテーテル本体と、カテーテル本体の遠位端にあるバスケット形電極アセンブリとを備えるカテーテルを提供することであって、バスケット形電極アセンブリが、近位端を備え近位構造要素と遠位構造要素によって接続された複数のスパインを有し、各スパインが複数の電極を有する、ことと、相互接続されたフレーム構造が、スパインがカテーテル本体の縦軸に概ね沿って配列されている潰れた配置にある状態で、バスケット形電極アセンブリを備えたカテーテルの遠位端を患者内の所望部位に前進させることと、バスケット形電極アセンブリを、要素がカテーテル本体の縦軸から半径方向外方に位置決めされて少なくとも1つの電極が組織に接触するようになっている、拡張配置にすることと、を含む、治療方法を目的とする。
【0015】
一態様では、方法は、組織と接触している少なくとも1つの電極から電気信号を受け取ることを含んでもよい。
【0016】
一態様では、方法は、組織と接触している少なくとも1つの電極に高周波エネルギーを供給して損傷を形成することを含んでもよい。
【発明を実施するための形態】
【0018】
最初に、本開示は、具体的に例示された材料、構成、手順、方法、又は構造に限定されず、変化し得ることが理解されるべきである。したがって、本明細書に記載されているものに類似するか又は等価である多くの選択肢が、本開示の実践又は実施形態において用いられることができるが、好ましい材料及び方法が本明細書に記載されている。
【0019】
本明細書で使用する用語は、本開示の特定の実施形態を説明するためのみのものであり、制限することを意図するものでないことも理解されるべきである。
【0020】
添付の図に関連して下記に示される詳細記述は、本開示の例示的実施形態を説明するためのものであり、本開示が実践可能な限定的な例示的実施形態を示すことを意図したものではない。本記述全体にわたって使用される用語「例示的」とは、「実施例、事例、又は実例として役立つ」ことを意味し、必ずしも他の例示的な実施形態よりも好ましい又は有利であると解釈されるべきではない。詳細記述には、本明細書の例示的な実施形態の徹底した理解を提供することを目的とした、具体的な詳細が含まれる。本明細書の例示的実施形態は、これらの具体的な詳細なしでも実施が可能であることは、当業者にとって明らかであろう。場合によっては、本明細書に示される例示的実施形態の新規性を明確にするために、周知の構造及び装置がブロック図形式で示される。
【0021】
単に便宜的及び明確さの目的で、上、下、左、右、上方、下方、上側、下側、裏側、後側、背側、及び前側などの方向を示す用語が、添付の図に関して使用されることがある。これら及び類似の方向を示す用語は、本開示の範囲をいかなる意味でも制限すると見なされるべきではない。
【0022】
別段の規定がない限り、本明細書で使用される技術用語及び科学用語はすべて、本開示が属する技術分野における当業者によって一般的に理解されている意味と同一の意味を有する。
【0023】
最後に、本明細書及び添付の「特許請求の範囲」において使用されるとき、単数形「a」、「an」及び「the」は、その内容について別段の明確な指示がない限り、複数の指示対象を包含する。
【0024】
心室内での特定の種類の電気的活動は周期的ではない。例としては、動脈粗動又は動脈細動、及び梗塞から生じた心室壁の瘢痕に起因する心室性頻拍が挙げられる。かかる電気的活動は、1心拍ごとに不規則である。この種類の電気的活動を解析する、つまり「マップ」するには、1心拍内など可能な限り迅速に「全体像」を把握することが望ましい。換言すると、マップ、つまり全体像のすべてのポイントは、10分の1秒以内に同時に取得されてよい。本開示の技術によれば、バスケット形電極アセンブリは、この電気的活動を正確にマッピングするために、患者の心臓の解剖学的構造により密接に一致することができる。バスケット形電極アセンブリの近位端と遠位端に構造要素を使用することによって、スパインを所望の特定構成に確実に展開することができる。
【0025】
図1に示されるように、カテーテル10は、近位端及び遠位端を有する細長いカテーテル本体12と、カテーテル本体の近位端に設けられた制御ハンドル14と、を備え、それぞれが複数の電極20を担持する複数のスパイン18を有するバスケット形電極アセンブリ16が、カテーテル本体12の遠位端に取り付けられている。カテーテル本体12は、単一の軸方向ルーメン、つまり中央ルーメン(図示せず)を有する、細長い管状構造を備えるが、所望により、任意追加的に複数のルーメンを有することもできる。電気信号の正確なマッピングを可能にするために、例えば、1回という少ない拍動で右心房又は左心房の電気的機能の大部分又はその実質的にすべてを検出するために、いくつかの実施形態は、比較的高密度の電極アレイを提供することが望ましいことがある。したがって、用いるスパイン18の数は、8、10、12、又は任意の好適な数であってよい。スパイン18は、半径方向に均一に又は不均一に配置されてよい。更に、各スパイン18は、スパインあたり少なくとも10個及び最大約16個の電極など、複数の電極20を含んでよい。他の用途では、必要に応じてより少ない数のスパイン及び/又は電極を使用してもよい。更に、電極は、各スパインに沿って均一に分散されてもよく、測定された電気信号の解析を容易にするか、又は患者の解剖学的構造の所望の領域にアクセスするために、近位、中央又は遠位に偏らされてもよい。いくつかの実施形態では、電極20の1つ又は2つ以上は、電極に隣接した組織を切除するための無線周波数エネルギーを提供するように構成されてもよい。
【0026】
カテーテル本体12は、可撓性、すなわち、屈曲可能であるが、その長さに沿って実質的に非圧縮性である。カテーテル本体12は、任意の好適な構造を有していてもよく、任意の好適な材料で作製することができる。1つの構造は、ポリウレタン又はPEBAX(登録商標)(ポリエーテルブロックアミド)から作られた外壁を有する。外壁は、カテーテル本体12の捩り剛性を高めるために、ステンレス鋼などの、埋め込まれた編組みメッシュを備えており、そのため、制御ハンドル14が回転されると、カテーテル本体の遠位端がそれに対応する方式で回転するようになっている。カテーテル本体12の外径は重要ではないが、一般に可能な限り小さくあるべきであり、所望の用途に応じて約10フレンチ以下であってよい。同様に、外壁の厚さは重要ではないが、中央ルーメンが、引張部材ワイヤ、リードワイヤ、センサケーブル、及び任意の他のワイヤ、ケーブル、又はチューブを収容できるような十分に薄さでよい。必要に応じて、外壁の内部表面は、改善された捩れ安定性を提供するために補剛チューブ(図示せず)で裏張りされる。本発明と関連して用いるために好適なカテーテル本体構成の例が、米国特許第6,064,905号に記載及び図示されているが、同特許は、その全開示内容が、参照により本明細書に組み込まれる。
【0027】
バスケット形電極アセンブリ16は、また、引張部材22を含んでよく、この引張部材22は、カテーテル本体12と概ね同軸であり、中央ルーメンを通ってカテーテル本体12の近位端から延在し、引張部材22をスパイン18の遠位端に結合するためのキャップ24などの構造要素に取り付けられる。引張部材22は、カテーテル本体に対して長手方向の運動を与えられ、したがって、スパイン18の遠位端をカテーテル本体12に対して近位に移動させて、電極アセンブリを半径方向に拡張させることができる。いくつかの実施形態では、スパイン18は、拘束されていないときに呈する事前形成された拡張配置を有してもよく、引張部材を必要としない。スパイン18の近位端は、
図1に概略的に示されているカラー26などの、カテーテル本体12内に配置された別の構造要素によって受容されてもよい。後で更に詳細に述べるように、カラー26は、スパイン18の近位端を互いに対して所望の放射状形状で固定し維持してもよい。
【0028】
スパイン18の近位端が、カラー26によってカテーテル本体12に固定されるので、スパイン18の遠位端と近位端の間の距離は、外方に拡張配置に湾曲されたときに縮まり、これは引張部材22の近位方向への相対運動と関連付けられることができる。代替又は追加として、スパイン18は、形状記憶材料などの、拡張配置となるのを容易にする後述する材料を含んでよく、これにより、引張部材22は、拡張配置と潰れた配置の間の移行を支援するか、又は不要になる。一実施形態では、引張部材22は、後述するようなニッケルチタン合金など好適な形状記憶材料から形成されたワイヤ又はハイポチューブを含んでもよい。上記の内容から分かるように、縦軸に沿った引張部材22の様々な相対運動量は、湾曲の程度に影響を及ぼすことがあり、例えば、スパイン18が心房組織に大きい圧力をかけて、組織とスパイン上の電極の接触を良好にすることができる。したがって、ユーザは、バスケット形電極アセンブリ16が拡張配置になるときに引張部材22が引っ張られる距離を調整することによって、電極アセンブリの形状を修正することができる。
【0029】
引張部材22がその最も遠位の位置から相対的により近位の位置まで移動する範囲は、潰れた配置から
図1に概略的に示された概略球形を有する拡張配置へのバスケット形電極アセンブリ16のたわみに対応する。潰れた配置のとき、スパインはガイド用シースなどによって拘束されてもよく、ガイド用シースを引っ張って引張部材22に十分な力を加えることによって、スパインを潰れた配置から第1の膨張展開形状にたわませてもよい。上記の内容から分かるように、潰れた配置では、スパイン18は、外径を最小にして患者内に挿入し患者からの引き出すために、カテーテル本体12と略直線状に整列する。拡張配置まで拡張する際、バスケット形電極アセンブリ16のスパイン18は外方に湾曲する。患者内の所望の位置に位置決めされたとき、拡張配置になることによって、電極20は、バスケット形電極アセンブリ16が位置決めされたチャンバ又は他の領域の壁と接触又は接近してもよい。バスケット形電極アセンブリ16の全体サイズは、右心房や左心房などの調査又は治療される患者の部位にぴったりと合うように、患者の解剖学的構造に基づいて選択されてもよい。いくつかの実施形態では、引張部材22は、制御ハンドル14上のアクチュエータに結合されてもよく、アクチュエータは、摺動レバー、回転ノブ、又は任意の他の適切な実現形態であってよい。したがって、アクチュエータは、引張部材22の相対的長手方向位置を調整するために使用されてもよく、詳細には、バスケット形電極アセンブリ16の1つ又は2つ以上の所望の拡張配置を達成するために引張部材22の位置を調整するように構成されてもよい。
【0030】
バスケット形電極アセンブリ16は、適切な基材材料のフレーム構造を使用して構成されてもよい。一態様では、拡張配置と潰れた配置を呈するのを支援するために、形状記憶材料が使用されてもよい。例えば、ニチノールとして知られているニッケルチタン合金を使用してよい。ニチノール製ワイヤは、体温で可撓性かつ弾性であり、大部分の金属のように、ニチノール製ワイヤは、最小限の力を受けたときに変形し、力の不在でそれらの形状に戻る。ニチノールは、形状記憶合金(SMA)と呼ばれる材料区分に属し、可撓性及び弾性以外にも形状記憶及び超弾性など興味深い機械的特性を有する。このため、ニチノールは、その温相に依存する「記憶形状」を有することができる。オーステナイト相はニチノールのより強い、より高い温相であり、単純な立法晶構造を有する。超弾性挙動は、この相(50℃〜60℃の温度の広がりにわたる)で生じる。それに応じて、マルテンサイト相は比較的弱く、より低い温相であり、双晶構造を有する。ニチノール材料がマルテンサイト相内にあるとき、比較的容易に変形し、変形した状態で留まる。しかしながら、そのオーステナイト遷移温度を超えて加熱すると、ニチノール材料は変形前の形状に戻り、「形状記憶」効果をもたらす。加熱にあたり、ニチノールがオーステナイトへの変換を開始する温度は、「As」温度と呼ばれる。加熱にあたり、ニチノールがオーステナイトへの変換を完了した温度は、「Af」温度と呼ばれる。したがって、バスケット形電極アセンブリ16は、これらの材料から形成されたとき、容易に収縮してガイド用シース内に送り込まれ、次にガイド用シースの除去及び/又は引張部材22の操作によって患者の所望部位に送達されたときにその拡張された形状記憶形状に容易に戻ることができる三次元形状を有してよい。
【0031】
1つの例示的な実施形態では、フレーム構造28は、
図2に示されるような一体構造のフレーム構造を提供するために、レーザー切断又は他の類似技術によってニチノールハイポチューブから形成されてもよい。実施形態により、約0.02〜0.022cm(8〜9ミル)の壁厚を有する3mmの管が使用されうる。代替実施形態は、必ずしも形状記憶特性を有さないが、拡張及び潰れた配置を呈するのに十分な弾性を有する他の材料、例えばステンレス鋼などの金属材料又はポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などの高分子材料を使用してもよい。
【0032】
切断管から形成されたフレーム構造28と共に使用するように適合されたキャップ24の一実施形態が、
図3に断面で示される。キャップ24は、フレーム構造28を形成するために使用される管の内径内にぴったりと嵌まるようにサイズ決めされた直径D
1を有する近位部分30を有してもよく、その遠位部分は完全な状態のまま残してもよい。更に、キャップ24は、D
1より大きい直径D
2を有する遠位部分32を有してもよく、直径D
2は、例えばフレーム構造28を形成するために使用される管の外径に近いが、少なくともその管の内径より大きい。したがって、キャップ24の近位部分30は、完全な状態のままの切断されていない部分内で、フレーム構造28の遠位端内に配置されて、該遠位端に固定されてもよい。キャップ24は、また、内径D
3を有する内側凹部34を有する。ルーメン36が、凹部34からキャップ24の近位端まで延在する。ルーメン36は内径D4を有し、この内径D
4は、凹部34の内径D
3と相まって、引張部材22と相互作用する肩部38を画定する。
図4に示されたように、引張部材22の遠位端は、凹部34の内径D
3内に嵌まるが、ルーメン36の内径D
4より大きい外径D
5を有する止め部40を有し、したがって、止め部40は肩部38と係合する。したがって、引張部材22をキャップ24に容易に固定することができ、止め部40は、肩部38との機械的相互作用を提供し、それにより、引張部材22の近位方向の動きが、対応するキャップ24とスパイン18の遠位端の近位方向への動きを確実に引き起こして、バスケット形電極アセンブリ16が拡張配置となるときに外方への湾曲を生じさせる。止め部40は、接着を含む適切な技術によって凹部34内に保持されてもよい。
【0033】
バスケット形電極アセンブリ16の遠位端の詳細図は、キャップ24とフレーム構造28の管状遠位端との接続を示す
図5に示される。この図に示されるように、スパイン18は、フレーム構造28によって形成された基材を有し、また非導電性被覆42を有してもよく、非導電性被覆42は、ポリウレタン又はポリイミドチューブなど、電極20が取り付けられる生体適合性プラスチックチューブを含んでもよい。高分子フレーム構造を特徴とする実施形態では、非導電性被覆が省略されてもよい。
図5に示された構成は、隣接した近位部分によって画定された曲率半径内に概略位置決めされた、凹状構造を示すスパイン18の遠位部分を使用する。この嵌入設計は、比較的丸くて非侵襲的な表面を提供することによって、安全上の理由のためにバスケット形電極アセンブリ16の上部を外側湾曲とほぼ面一に維持する。更に、電極20は、凹状遠位部分32が近位の凸状部分に移行する変曲点に位置決めされて、バスケット形電極アセンブリ16の極性領域内の有効範囲を提供してもよい。スパイン18は、患者の解剖学的構造とより密接に一致するように様々な湾曲度を有してもよい。
【0034】
別の例示的な実施形態では、バスケット形電極アセンブリ16のフレーム構造は、2つの対向スパイン18を形成するために連続的な材料ループを採用してもよい。例えば、
図6及び
図7は、それぞれループ部材44及び46を示し、これらはそれぞれ対向スパイン18を形成する。
図6に示されるように、ループ部材44は、ループ部材44の曲率半径の外側に概ね形成された凸状遠位部分48を有してもよい。あるいは、
図7に示されるように、ループ部材46は、ループ部材46の曲率半径の内側に概ね形成された凹状遠位部分50を有してもよい。凸状部分48及び/又は凹状部分50は、積み重ねられることがある他のループ部材との干渉を少なくして、所望数のスパイン18を有する完全なバスケット形電極アセンブリ16を形成するために使用されることがある。各ループ部材の凸状部分48及び/又は凹状部分50の曲率半径は、他のループ部材に対するクリアランスを提供するために、必要に応じて調整されてもよい。ループ部材44及び/又は46は、フレーム構造28に関して前述された弾性材料のような任意の適切な弾性材料も含んでもよい。いくつかの実施形態では、ニチノール又は他の形状記憶材料が使用されうる。更に、ループ部材44及び/又は46は、必要に応じて、円形、楕円形、正方形又は他の矩形形状を有してもよい。
【0035】
図8に、ループ部材44から形成されたバスケット形電極アセンブリ16の一実施形態の部分図を示す。前述した他の実施形態と同様に、ループ部材44は、電極20が上に配置された非導電性被覆42を有してもよい。スパイン18の遠位端を引張部材22に結合するための構造要素は、キャップ52の形で提供され、キャップ52は、ループ部材44が通される複数の対向開口54を有する。更に他の実施形態では、各スパイン18は、個別の部材によって構成されてもよく、各部材は、キャップ52の開口54によって遠位端に固定されてもよい。これらの各実施形態で、開口54は、スパイン18の遠位端を互いに対して所望の半径方向間隔で維持するのに役立つ。
【0036】
図9に、カテーテル52の詳細な横断面図を示す。開口54a及び54bなどの各対の対向開口54は、通されるループ部材44(この図では示されていない)間の干渉を提供するために、キャップ52の半径のまわりに螺旋状に互い違いにされてもよい。開口54は、例えば円形、楕円形、正方形又は長方形を有することによって、ループ部材44及び/又は46の形状に対応するように成形されてもよい。キャップ52は、また、肩部60を構成するために協力する凹部56とルーメン58を特徴としてもよい。キャップ52のこれらの態様は、引張部材22の止め部40を固定するために、キャップ24に関して前述したようにサイズ決めされてもよい。代替実施形態は、
図10に示されるキャップ62の形で示され、キャップ62は、ループ部材44及び/又は46のより大きいクリアランスを提供するために複数の窓64を採用している。この図には示されていないが、キャップ62は、引張部材22の止め部40と係合するために、他の実施形態と類似の内側肩部を有してもよい。
【0037】
前述のように、スパイン18の近位端は、フレーム構造28と同様に管から切断されるか、ループ部材44及び/又は46の対向端を含むかにかかわらず、
図11に示されるカラー26などの構造要素によって収容され固定されてもよい。カラー26は、カテーテル本体12内にぴったり嵌まるようにサイズ決めされた概略筒状形状を有してもよい。カラー26の円筒体の周りには、複数の長手方向チャネル66が放射状に配置される。各チャネル66は、1つのスパイン18の近位端を収容し固定するようにサイズ決めされてもよい。チャンネル66は、カラー26がカテーテル本体内に配置されたときにカテーテル本体12の内径の表面と共にルーメンを形成してもよく、スパイン18は、接着を含む任意の適切な手法でチャネルによって固定されてもよい。チャネル66が、スパイン18の近位端を互いに対して所望の放射状間隔で維持することが理解されよう。均一に配置されて示されているが、いくつかの実施形態では、チャネルは、必要に応じて、不均一に分散され、これに対応するスパイン18の放射状分布を形成してもよい。カラー26は、近位端から遠位端まで延在する第1のルーメン68を有してもよく、第1のルーメン68に引張部材44が通ってもよい。カラー26は、ヘパリン添加食塩水などの適切な灌注流体をバスケット形電極アセンブリ16まで供給するために、やはり近位端から遠位端まで延在する第2のルーメン70を有してもよい。灌注流体を適切な供給源又はポンプから、ルーメン70と連通する、カテーテル本体12内を通るルーメン又は管まで導くために、制御ハンドル14内にフィッティング(図示せず)が提供されてもよい。カラー26は、更に詳細に述べるように、患者内のバスケット形電極アセンブリ16の位置の特定を支援するために使用されうる位置センサ(この図では示されていない)を固定し位置決めするために、カラー26の本体内で終端する第3のルーメン72を有してもよい。
【0038】
一態様では、電気生理学医は、当該分野において一般に知られているように、ガイド用シース、ガイドワイヤ、及び拡張器を患者の体内に導入してもよい。本発明のカテーテルに関連して使用するのに好適なガイド用シースの例は、PREFACE(商標)編組ガイド用シース(Biosense Webster,Inc.(Diamond Bar,CA)から市販されている)及びDiRex(商標)ガイド用シース(BARD(Murray Hill,NJ)から市販されている)である。ガイド用シースを通してガイドワイヤが挿入され、拡張器が除去され、カテーテルが導入され、それにより、引張部材内のガイドワイヤルーメンは、カテーテルがガイドワイヤの上に通されることを可能にする。
図12に図示する1つの例示的方法では、カテーテルは、下大静脈(IVC)を通って右心房(RA)に最初に導入され、左房(LA)に到達するために、隔膜(S)を通過する。
【0039】
上記の内容から分かるように、ガイド用シース74は、収縮位置にあるバスケット形電極アセンブリ16のスパイン18を覆い、それにより、カテーテル全体を患者の脈管系を介して所望の位置まで通すことができる。引張部材22は、アセンブリがガイド用シースに通されている間にアセンブリのスパインを平らにできるように、カテーテル本体の遠位に位置決めされてもよい。カテーテルの遠位端が所望の位置、例えば、左心房に到達すると、ガイド用シースは引き抜かれて、バスケット形電極アセンブリ16が露出する。引張部材22が、近位に引っ張られるか他の方法で操作され、それにより、スパイン18は、遠位接点と近位接点の間で外方に湾曲する。バスケット形電極アセンブリ16が半径方向に拡張した状態で、電極20は心房組織と接触する。
【0040】
バスケット形電極アセンブリ16がその拡張配置に展開されたとき、電気生理学医は、電極20を使用して局所的活動時間をマッピングしかつ/又は切除してもよく、これにより電気生理学医は指針を与えられて、患者を診断し、治療を施すことができる。カテーテルは、カテーテル本体上に装着された1個若しくは2個以上の基準リング電極を含んでよい、及び/又は1個若しくは2個以上の基準電極が患者の体の外側に置かれてもよい。バスケット形状の電極アセンブリ上に複数の電極を有する本発明のカテーテルを使用することにより、電気生理学医は、心房など心臓の洞領域の、真の解剖学的構造を得ることができ、従来のカテーテルよりも少ないポイントを測定することで、この領域をより迅速にマップすることができる。
【0041】
更なる態様では、各スパイン18は、2013年4月11日出願の米国特許出願第13/860,921号、発明の名称「HIGH DENSITY ELECTRODE STRUCTURE」及び2013年10月25日出願の米国特許出願第14/063,477号、発明の名称「CONNECTION OF ELECTRODES TO WIRES COILED ON A CORE」(これらの開示内容の全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されるスパインによって行われる電極20の内蔵型又は埋込型リードワイヤの配線を含んでもよい。
【0042】
バスケット形電極アセンブリ16の使用法の説明の一助として、
図13は、実施形態による侵襲性医療処置の概略図を示す。カテーテル10は、遠位端にバスケット形電極アセンブリ16(この図では図示なし)を備え、近位端に、それぞれの電極20(この図で示されていない)からのワイヤを、検出された信号を記録し解析するためのコンソール82に結合するコネクタ80を有してもよい。電気生理学医84は、患者86の心臓88から電極電位信号を取得するために、患者86にカテーテル10を挿入してよい。この専門家は、挿入を実施するために、カテーテルに取り付けられた制御ハンドル14を使用する。コンソール82は、受信信号を解析する処理装置90を含んでよく、コンソールに取り付けられたディスプレイ92に、解析結果を表示してよい。この結果は典型的に、信号から誘導されたマップ、数値表示、及び/又はグラフの形式である。
【0043】
更なる態様では、処理装置90はまた、例えば前述のようにカラー26のルーメン72によって固定されることによって、バスケット形電極アセンブリ16に隣接したカテーテル10の遠位端の近くに提供された1個又は2個以上の位置センサから信号を受け取ってもよい。このセンサは、1個の磁場応答コイル又は複数個のかかるコイルをそれぞれ備えてよい。複数のコイルを使用することにより、六次元位置及び向き座標を決定できる。したがって、センサは、外部コイルからの磁場に応答して電気位置信号を生成し、それによってプロセッサ90が、心臓腔内におけるカテーテル10の遠位端の位置(例えば、場所及び向き)を測定できる。次いで、電気生理学医は、ディスプレイ92で患者の心臓画像上のバスケット形状の電極アセンブリ16の位置を見ることができる。例として、この位置検出方法は、Biosense Webster Inc.(Diamond Bar,Calif.)により製造されたCARTO(商標)システムを使用して実施されることができ、米国特許第5,391,199号、同第6,690,963号、同第6,484,118号、同第6,239,724号、同第6,618,612号、及び同第6,332,089号、PCT特許公開第96/05768号、並びに米国特許出願公開第2002/0065455 A1号、同第2003/0120150 A1号、及び同第2004/0068178 A1号(これらの開示はすべて参照により本明細書に組み込まれる)に詳細に記載されている。上記の内容から分かるように、他の位置検出法を用いてもよい。必要に応じて、少なくとも2個の位置センサが、バスケット形電極アセンブリ16の近位及び遠位に位置決めされてもよい。近位センサに対する遠位センサの座標が決定され、またバスケット形電極アセンブリ16に関する他の既知の情報と共に、各電極20の位置を求めるために使用される。
【0044】
上記の説明文は、本発明の現時点において開示されている実施形態に基づいて示されたものである。本発明が属する当業者であれば、本発明の原理、趣旨、及び範囲を有意に逸脱することなく、説明された構造に改変及び変更が実施されてもよいことを理解するであろう。当業者には理解されるように、図面は必ずしも縮尺通りではない。したがって、上記の説明は、添付図面に記載及び例示される精密な構造のみに関連するものとして読まれるべきではなく、むしろ以下の最も完全で公正な範囲を有するとされる特許請求の範囲と一致し、かつそれらを補助するものとして読まれるべきである。
【0045】
〔実施の態様〕
(1) 近位端及び遠位端並びに内部を通る少なくとも1つのルーメンを有する細長いカテーテル本体と、前記カテーテル本体の前記遠位端にあるバスケット形電極アセンブリとを備える、カテーテルであって、前記バスケット形電極アセンブリが、近位端を有し近位構造要素と遠位構造要素によって接続された複数のスパインを備え、各スパインが、複数の電極を有し、前記バスケット形電極アセンブリは、前記スパインが半径方向外方に湾曲している拡張配置と、前記スパインが前記カテーテル本体の縦軸に沿って概ね配列されている潰れた配置と、を有する、カテーテル。
(2) 近位端と遠位端を有する引張部材を更に備え、前記引張部材が、前記ルーメン内に摺動可能に配置されかつ前記カテーテル本体の前記縦軸と位置合わせされ、その結果、前記バスケット形電極アセンブリは、前記引張部材が前記カテーテル本体に対して前記縦軸に沿った最遠位位置にあるときに前記潰れた配置を有し、前記バスケット形電極アセンブリは、前記引張部材が前記最遠位位置の近位にあるときに前記拡張配置を有する、実施態様1に記載のカテーテル。
(3) 前記遠位構造要素が、前記引張部材を前記複数のスパインの前記遠位端に結合するように構成されたキャップを有する、実施態様2に記載のカテーテル。
(4) 前記キャップが、前記引張部材の遠位端で止め部と係合する肩部を画定する内側凹部を有する、実施態様3に記載のカテーテル。
(5) 前記スパインが、切断された材料管によって形成された一体構造のフレーム構造を有する、実施態様4に記載のカテーテル。
【0046】
(6) 材料管が、形状記憶材料を含む、実施態様5に記載のカテーテル。
(7) 前記キャップが、外径を有する近位部分と、外径を有する遠位部分とを有し、前記近位部分の前記外径が、前記遠位部分の前記外径より小さい、実施態様5に記載のカテーテル。
(8) 前記近位部分の前記外径が、前記材料管の内径内にぴったりと嵌まるようにサイズ決めされている、実施態様7に記載のカテーテル。
(9) 対向スパインが、連続ループ部材によって形成されている、実施態様4に記載のカテーテル。
(10) 前記ループ部材が、形状記憶材料を含む、実施態様9に記載のカテーテル。
【0047】
(11) 前記キャップは、前記ループ部材が通る対向開口を有する、実施態様9に記載のカテーテル。
(12) 複数対の対向開口を更に備え、各対が、隣接開口に対して螺旋状に互い違いにされている、実施態様11に記載のカテーテル。
(13) 前記キャップは、前記ループ部材が通る対向窓を有する、実施態様9に記載のカテーテル。
(14) 前記近位構造要素が、前記カテーテル本体の前記ルーメン内に配置されたカラーを有する、実施態様1に記載のカテーテル。
(15) 前記カラーが、前記カラーの外径の周りに配置された複数の長手方向チャネルを有し、各チャネルが、スパインの近位端を収容し固定するように構成されている、実施態様14に記載のカテーテル。
【0048】
(16) 各チャネルは、前記カラーが前記カテーテル本体内に配置されたときに前記カテーテル本体の内径とルーメンを形成する、実施態様15に記載のカテーテル。
(17) 前記カラーが、引張部材を収容するように構成された第1のルーメンを有する、実施態様14に記載のカテーテル。
(18) 前記カラーが、前記バスケット形電極アセンブリに潅注流体を導くように構成された第2のルーメンを有する、実施態様14に記載のカテーテル。
(19) 前記カラーが、位置センサを固定するように構成された第3のルーメンを有する、実施態様14に記載のカテーテル。
(20) 治療方法であって、
近位端及び遠位端並びに内部を通る少なくとも1つのルーメンを有する細長いカテーテル本体と、前記カテーテル本体の前記遠位端にあるバスケット形電極アセンブリとを備えるカテーテルを提供することであって、前記バスケット形電極アセンブリが、近位端を備え近位構造要素と遠位構造要素によって接続された複数のスパインを有し、各スパインが複数の電極を有する、ことと、
相互接続されたフレーム構造が、前記スパインが前記カテーテル本体の縦軸に概ね沿って配列されている潰れた配置にある状態で、前記バスケット形電極アセンブリを備えた前記カテーテルの前記遠位端を患者内の所望部位に前進させることと、
前記バスケット形電極アセンブリを、前記要素が前記カテーテル本体の縦軸から半径方向外方に位置決めされて少なくとも1つの電極が組織と接触するようになっている、拡張配置にすることと、を含む方法。
【0049】
(21) 組織と接触している前記少なくとも1つの電極から電気信号を受け取ることを更に含む、実施態様20に記載の方法。
(22) 組織と接触している前記少なくとも1つの電極に高周波エネルギーを供給して損傷を形成することを更に含む、実施態様20に記載の方法。