特開2017-185352(P2017-185352A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-185352(P2017-185352A)
(43)【公開日】2017年10月12日
(54)【発明の名称】股関節インプラント
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/32 20060101AFI20170919BHJP
【FI】
   A61F2/32
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【外国語出願】
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2017-139877(P2017-139877)
(22)【出願日】2017年7月19日
(62)【分割の表示】特願2015-128365(P2015-128365)の分割
【原出願日】2011年3月24日
(31)【優先権主張番号】61/322,750
(32)【優先日】2010年4月9日
(33)【優先権主張国】US
(71)【出願人】
【識別番号】512255837
【氏名又は名称】エクセラ オーソピディックス, インコーポレイテッド
(71)【出願人】
【識別番号】501083115
【氏名又は名称】メイヨ・ファウンデーション・フォー・メディカル・エデュケーション・アンド・リサーチ
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】バーナード モリー
(72)【発明者】
【氏名】カイ−ナン アン
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー ソーソン
(72)【発明者】
【氏名】チェン シンシャン
(72)【発明者】
【氏名】シンユアン デイビッド ワン
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムズ ジミン ジアン
【テーマコード(参考)】
4C097
【Fターム(参考)】
4C097AA04
4C097BB01
4C097CC01
4C097CC03
4C097DD01
4C097DD06
4C097DD09
4C097DD10
4C097EE02
(57)【要約】
【課題】股関節インプラントの提供。
【解決手段】本明細書で提供されるものは、股関節インプラント装置と関連する手術方法である。股関節インプラント装置及び方法は、アジア系人の患者で所望される場合は使用することができる。大腿骨構成部品の一例では、中心軸を有するネックと、このネックに対して遠位にある本体とを含む。この本体は、テーパが付けられた部分と、ネック中心軸に垂直な最大断面とを有する。いくつかの態様では、テーパが付けられた部分は、矢状面および冠状面で近位から遠位に向かってテーパが付けられている。このテーパが付けられた部分は、断面の外側から内側に向かって更にテーパを付けることができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
股関節インプラント装置の大腿骨構成部品であって、
(a)ネック中心軸を有するネックと、
(b)前記ネックに対して遠位にある本体とを含み、前記本体は、テーパが付けられた部分と遠位先端とを有し、前記本体の長手方向軸は、前記ネック中心軸に対して斜めに配置されており、前記本体は、大腿骨骨幹端部分を有し、前記本体の前記大腿骨骨幹端部分は、前記ネック中心軸に対して垂直な最大断面を有し、前記本体の前記長手方向軸に対して平行な軸に沿って、前記ネックと前記本体との内側接合部から測定された前記本体の長さが、125mm以下であり、前記ネック中心軸に対して垂直な前記最大断面は、最大幅寸法を有し、前記最大幅寸法は、18.5mm以下である、大腿骨構成部品。
【請求項2】
前記本体が、外側隆起部分を有する、請求項1に記載の大腿骨構成部品。
【請求項3】
前記テーパが付けられた部分は、矢状面と冠状面で、近位から遠位に向かってテーパが付けられている、請求項1に記載の大腿骨構成部品。
【請求項4】
前記テーパが付けられた部分は、断面で外側から内側に向かって更にテーパが付けられている、請求項2に記載の大腿骨構成部品。
【請求項5】
前記本体の長さが、10mm未満である、請求項1に記載の大腿骨構成部品。
【請求項6】
前記本体の長さが、125mmと80mmとの間である、請求項1に記載の大腿骨構成部品。
【請求項7】
前記本体が、外表面を有し、前記大腿骨構成部品が、前記本体の前記表面に対して周囲に塗布された多孔質表面コーティングを更に含む、請求項1に記載の大腿骨構成部品。
【請求項8】
前記本体が、外側隆起部分を有し、前記多孔質表面コーティングが、前記外側隆起部分を被覆する、請求項に記載の大腿骨構成部品。
【請求項9】
前記多孔質表面コーティングが、プラズマ溶射法によって塗布される、請求項に記載の大腿骨構成部品。
【請求項10】
前記多孔質表面コーティングが、金属を含む、請求項に記載の大腿骨構成部品。
【請求項11】
前記多孔質表面コーティングが、チタンを含む、請求項10に記載の大腿骨構成部品。
【請求項12】
前記本体がチタンであり、前記多孔質表面コーティングがチタンである、請求項に記載の大腿骨構成部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、股関節インプラント装置及び関連する手術方法に関する。
関連出願の相互参照
本願は、その全体を参照により本明細書に組み込んだ、2010年4月9日に出願された米国特許出願第61/322,750号の有効性を主張するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、人工股関節全置換術(THR)は、患者の股関節の機能を修復させるために、患者の股関節の種々の構成部品が人工構成部品で置換される外科的手技である。
【0003】
一般的なTHR手技の1つでは、人工臼蓋が患者の固有の臼蓋窩の代わりに移植され、次いで大腿義足が患者の大腿骨中に移植される。この大腿義足は、人工臼蓋に係合する頭部を有し、大腿義足/臼蓋の組み合わせが、固有の股関節に非常によく似て機能することを可能にする。しかしながら、人工股関節が患者の固有の股関節のように機能する能力は、特定の患者に移植されたときに、人工股関節の構成部品が如何に良好に適合するかに依存する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明で提供されるものは、股関節インプラント装置のための大腿骨構成部品と関連する手術方法である。大腿骨構成部品の一例では、中心軸を有するネックと、このネックに対して遠位にある本体とを含む。この本体は、テーパが付けられた部分と、ネック中心軸に垂直な最大断面とを有する。ネック中心軸に垂直な最大断面は、最大高さ寸法と最大幅寸法を有し、その中で最大高さ寸法は約23.9mm又はそれ未満であり、所望する場合は20.3mmと23.9mmとの間とすることができる。最大幅寸法は、18.5mm以下とすることができ、所望される場合は15.7mmと18.5mmとの間とすることができる。
【0005】
いくつかの態様では、テーパが付けられた部分は、矢状面および冠状面で近位から遠位に向かってテーパが付けられている。このテーパが付けられた部分は、断面の外側から内側に向かって更にテーパを付けることができる。
【0006】
所望される場合、本体は外表面を有し、多孔質表面コーティングが、本体の表面に対して周囲に塗布されている。この多孔質表面コーティングは、プラズマ溶射法により塗布することができる。この多孔質表面コーティングは、所望される場合は、例えばチタンのような金属を含むことができる。
【0007】
股関節インプラント装置の大腿骨構成部品の別の例は、ネックと、ネックに対して遠位にある本体とを含む。この本体は、テーパが付けられた部分と、遠位先端と中心軸とを有するステム部分とを有する。ステム部分の中心軸に平行な軸に沿って、ネックと本体との内側接合部分から測定された本体の長さは、約125mm以下とすることができる。例えば、本体の長さは、約125、120、115、110、105、100、95、90、85若しくは80mmか、またはこれらより短くすることができ、あるいはこれらの間の任意の値とすることができる。
【0008】
この本体は、外側隆起部分を更に含むことができる。この装置は、三重テーパ状形状を有することができる。この三重テーパ状形状では、テーパが付けられた部分は、矢状断面と冠状断面で近位から遠位に向かってテーパが付けられ、並びに断面の外側から内側に向かってテーパが付けられている。ステム部分は、所望される場合は大腿骨の骨幹部に配置され、骨髄内管の皮質とは接触しない可能性がある。
【0009】
いくつかの態様において、本体は外表面を有し、並びに大腿骨構成部品はこの本体の表面に対して周囲に塗布された多孔質表面コーティングを更に含む。この多孔質表面コーティングは、ステム部分に対して近位で配置することができ、かつ所望される場合は隆起部分を被覆することができる。多孔質表面コーティングは、プラズマ溶射法によって塗布することができる。
【0010】
更に別の例では、股関節移植装置の大腿骨構成部品は、ネックと、ネックに対して遠位にある本体とを含む。この本体は、テーパが付けられた部分と、遠位先端を有するステム部分とを有する。このステム部分は、大腿骨構成部品が大腿骨に移植される場合に、ステム部分が骨髄内管皮質に実質的に接触しないように、釣り合いがとられている。この本体は、所望される場合は外側隆起部分を含むことができる。
【0011】
所望される場合に、大腿骨構成部品が大腿骨に移植される場合、ステム部分は、骨髄内管皮質との接触部を有さない。所望される場合に、大腿骨構成部品が大腿骨に移植される場合、このステム部分は、骨髄内管皮質との接線方向の接触のみを有する。いくつかの例において、ステム部分は中心軸を有し、ステム部分の中心軸に平行な軸に沿って、ネックと本体との内側接合部から測定された本体の長さは、約125mm以下である。例えば、本体の長さは、約125、120、115、110、105、100、95、90、85若しくは80mmであるか、又はこれらより短くすることができ、あるいはこれらの間の任意の値とすることができる。
【0012】
テーパが付けられた部分は、矢状面と冠状面で近位から遠位に向かってテーパを付けることができ、かつ断面で外側から内側に向かって更にテーパを付けることができる。これにより、テーパが付けられた部分は、三重テーパが付けられた形状を有することができる。
【0013】
所望される場合は、本体は外表面を有し、かつ大腿骨構成部品はこの本体の表面に対して周囲に塗布された多孔質表面コーティングを更に含む。この多孔質表面コーティングは、プラズマ溶射法によって塗布することができる。この多孔質表面コーティングは、所望される場合は、例えばチタンのような金属を含むことができる。
【0014】
股関節手術中に大腿骨構成部品を移植させる方法の一例は、本体を含む大腿骨構成部品を提供することと、大腿骨構成部品を患者の大腿骨に移植することとを含む。この例示的方法では、対象者の大腿骨中に移植される場合に、大腿骨構成部品の本体の一部分が患者の骨髄内管に入り、骨髄内管に入る部分が骨髄内管の皮質とは実質的に接触しない。所望される場合には、骨髄内管に入る本体の部分は、骨髄管の皮質とは接触を有しない。所望される場合には、骨髄管に入る本体の部分は、骨髄内管の皮質と、接線方向の接触のみを有する。大腿骨構成部品は、所望される場合は、大腿骨の骨幹端で、患者の大腿骨内に実質的に装着される。患者は、所望される場合はアジア系人である。
【0015】
別の例示的方法は、本体を含む大腿骨構成部品を提供すること(この本体は遠位ステム部分を含み)と、手術処置中に、この大腿骨構成部品を患者の大腿骨内に移植することとを含む。この例示的方法では、遠位ステム部分を包含する、大腿骨構成部品の本体の一部分が、患者の骨髄内管に入り、並びに対象者の大腿骨に大腿骨構成部品が移植される場合、遠位ステム部分が骨髄内管の皮質とは実質的に接触しない。所望される場合には、骨髄内管に入る本体の部分は、骨髄内管の皮質との接触を実質的に有さない。所望される場合には、骨髄内管に入る本体の部分は、骨髄内管の皮質と接線方向の接触のみを有する。大腿骨構成部品は、所望される場合は、大腿骨の骨幹端において、患者の大腿骨内に実質的に装着される。患者は、所望される場合はアジア系人である。
本発明は、例えば、以下を提供する:
(項目1)
股関節インプラントの大腿骨構成部品であって、
(a)中心軸を有するネックと、
(b)前記ネックに対して遠位にある本体とを備え、前記本体は、テーパが付いた部分を有し、前記本体は、前記ネック中心軸に対して垂直な最大断面を有し、前記ネック中心軸に垂直な前記最大断面は、最大高さ寸法及び最大幅寸法を有し、前記最大高さ寸法は約23.9mm以下である、大腿骨構成部品。
(項目2)
前記最大高さ寸法が、約20.3mmと23.9mmとの間である、項目1に記載の大腿骨構成部品。
(項目3)
前記最大幅寸法が、約18.5mm以下である、項目1に記載の大腿骨構成製部品。
(項目4)
前記最大幅寸法が、約15.7mmと18.5mmとの間である、項目3に記載の大腿骨構成部品。
(項目5)
前記テーパが付いた部分は、矢状面及び冠状面で近位から遠位に向かってテーパが付けられている、項目1に記載の大腿骨構成部品。
(項目6)
前記テーパが付いた部分は、断面で外側から内側に向かって更にテーパが付けられている、項目5に記載の大腿骨構成部品。
(項目7)
前記本体が、外表面を有し、前記大腿骨構成部品が、前記本体の前記表面に対して周囲に塗布された多孔質表面コーティングを更に含む、項目1に記載の大腿骨構成部品。
(項目8)
前記多孔質表面コーティングが、プラズマ溶射法によって塗布される、項目7に記載の大腿骨構成部品。
(項目9)
前記多孔質表面コーティングが、金属を含む、項目7に記載の大腿骨構成部品。
(項目10)
前記多孔質表面コーティングが、チタンを含む、項目9に記載の大腿骨構成部品。
(項目11)
前記本体がチタンであり、並びに前記多孔質表面コーティングがチタンである、項目7に記載の大腿骨構成部品。
(項目12)
股関節インプラント装置の大腿骨構成部品であって、
(a)中心軸を有するネックと、
(b)前記ネックに対して遠位にあり、テーパが付いた部分を有する本体とを含み、前記本体は、前記ネック中心軸に対して垂直な最大断面を有し、前記ネック中心軸に垂直な前記最大断面は、最大高さ寸法及び最大幅寸法を有し、前記最大幅寸法は約18.5mm以下である、大腿骨構成部品。
(項目13)
前記最大幅寸法が、約15.7mmと18.5mmとの間である、項目12に記載の大腿骨構成部品。
(項目14)
前記最大高さ寸法が、約23.9mm以下である、項目12に記載の大腿骨構成製部品。
(項目15)
前記最大高さ寸法が、約20.3mmと23.9mmとの間である、項目14に記載の大腿骨構成部品。
(項目16)
前記テーパが付いた部分は、矢状面と冠状面で、近位から遠位に向かってテーパが付けられている、項目12に記載の大腿骨構成部品。
(項目17)
前記テーパが付いた部分は、断面で外側から内側に向かって更にテーパが付けられている、項目16に記載の大腿骨構成部品。
(項目18)
前記本体が、外表面を有し、前記大腿骨構成部品が、前記本体の前記表面に対して周囲に塗布された多孔質表面コーティングを更に含む、項目12に記載の大腿骨構成部品。
(項目19)
前記多孔質表面コーティングが、プラズマ溶射法によって塗布される、項目18に記載の大腿骨構成部品。
(項目20)
前記多孔質表面コーティングが、金属を含む、項目19に記載の大腿骨構成部品。
(項目21)
前記多孔質表面コーティングが、チタンを含む、項目20に記載の大腿骨構成部品。
(項目22)
前記本体がチタンであり、並びに前記多孔質表面コーティングがチタンである、項目18に記載の大腿骨構成部品。
(項目23)
股関節インプラント装置の大腿骨構成部品であって、
(a)ネックと、
(b)前記ネックに対して遠位にある本体とを含み、前記本体は、テーパが付けられた部分と遠位先端を有するステム部分とを含み、前記ステム部分は、中心軸を有し、前記ステム部分の前記中心軸に対して平行な軸に沿って、前記ネックと前記本体との内側接合部から測定された前記本体の長さが、約125mm以下である、大腿骨構成部品。
(項目24)
前記本体が、外側隆起部分を有する、項目23に記載の大腿骨構成部品。
(項目25)
前記テーパが付けられた部分は、矢状面と冠状面で、近位から遠位に向かってテーパが付けられている、項目23に記載の大腿骨構成部品。
(項目26)
前記テーパが付けられた部分は、断面で外側から内側に向かって更にテーパが付けられている、項目24に記載の大腿骨構成部品。
(項目27)
前記本体の長さが、約120、115、110、105、100、95、90、85又は80mm未満である、項目23に記載の大腿骨構成部品。
(項目28)
前記本体の長さが、約125mmと80mmとの間である、項目23に記載の大腿骨構成部品。
(項目29)
前記ステム部分が、大腿骨の骨幹部に配置され、並びに前記大腿骨の皮質に接触しない、項目23の項目に記載の大腿骨構成部品。
(項目30)
前記本体が、外表面を有し、並びに前記大腿骨構成部品が、前記本体の前記表面に対して周囲に塗布された多孔質表面コーティングを更に含む、項目23に記載の大腿骨構成部品。
(項目31)
前記多孔質表面コーティングが、前記ステム部分に対して近位に配置されている、項目30に記載の大腿骨構成部品。
(項目32)
前記本体が、外側隆起部分を有し、並びに前記多孔質表面コーティングが、前記隆起部分を被覆する、項目30に記載の大腿骨構成部品。
(項目33)
前記多孔質表面コーティングが、プラズマ溶射法によって塗布される、項目30に記載の大腿骨構成部品。
(項目34)
前記多孔質表面コーティングが、金属を含む、項目33に記載の大腿骨構成部品。
(項目35)
前記多孔質表面コーティングが、チタンを含む、項目34に記載の大腿骨構成部品。
(項目36)
前記本体がチタンであり、前記多孔質表面コーティングがチタンである、項目30に記載の大腿骨構成部品。
(項目37)
股関節インプラント装置の大腿骨構成部品であって、
(a)ネックと、
(b)前記ネックに対して遠位にある本体とを含み、前記本体は、テーパが付けられた部分と遠位先端を有するステム部分とを含み、前記大腿骨構成部品が大腿骨に移植される場合、前記ステム部分が骨髄内管皮質との実質的な接触を有しないように、前記ステム部分は釣り合いがとられている、大腿骨構成部品。
(項目38)
前記本体が、外側隆起部分を有する、項目37に記載の大腿骨構成部品。
(項目39)
前記大腿骨構成部品が大腿骨に移植される場合、前記ステム部分が、前記骨髄内管の皮質との接触を有しない、項目37に記載の大腿骨構成部品。
(項目40)
前記大腿骨構成部品が大腿骨に移植される場合、前記ステム部分が、前記骨髄内管皮質と接線方向の接触のみを有する、項目37に記載の大腿骨構成部品。
(項目41)
前記ステム部分が、中心軸を有し、前記ステム部分の前記中心軸に対して平行な軸に沿って、前記ネックと前記本体との内側接合部から測定された前記本体の長さが、約125mm以下である、項目37に記載の大腿骨構成部品。
(項目42)
前記テーパが付けられた部分は、矢状面と冠状面で、近位から遠位に向かってテーパが付けられている、項目37に記載の大腿骨構成部品。
(項目43)
前記テーパが付けられた部分は、断面で外側から内側に向かって更にテーパが付けられている、項目37に記載の大腿骨構成部品。
(項目44)
前記本体の長さが、約120、115、110、105、100、95、90、85又は80mm未満である、項目41に記載の大腿骨構成部品。
(項目45)
前記本体の長さが、約125mmと80mmとの間である、項目41に記載の大腿骨構成部品。
(項目46)
前記本体が、外表面を有し、前記大腿骨構成部品が、前記本体の前記表面に対して周囲に塗布された多孔質表面コーティングを更に含む、項目37に記載の大腿骨構成部品。
(項目47)
前記多孔質表面コーティングが、前記ステム部分に対して近位に配置されている、項目46に記載の大腿骨構成部品。
(項目48)
前記本体が、外側隆起部分を有し、前記多孔質表面コーティングが、前記隆起部分を被覆する、項目46に記載の大腿骨構成部品。
(項目49)
前記多孔質表面コーティングが、プラズマ溶射法によって塗布される、項目46に記載の大腿骨構成部品。
(項目50)
前記多孔質表面コーティングが、金属を含む、項目49に記載の大腿骨構成部品。
(項目51)
前記多孔質表面コーティングが、チタンを含む、項目50に記載の大腿骨構成部品。
(項目52)
前記本体がチタンであり、前記多孔質表面コーティングがチタンである、項目46に記載の大腿骨構成部品。
(項目53)
股関節手術中に大腿骨構成部品を移植する方法であって、
(a)本体を備える大腿骨構成部品を提供することと、
(b)前記大腿骨構成部品を患者の大腿骨内に移植すること、とを含む方法であって、
前記大腿骨構成部品の前記本体の一部分が、前記大腿骨の前記骨髄内管に入り、前記患者の大腿骨に移植される場合、前記骨髄内管に入る前記部分は、前記骨髄内管の前記皮質に実質的に接触しない、方法。
(項目54)
前記骨髄内管に入る前記本体の前記部分が、前記骨髄内管の前記皮質との接触を有しない、項目53に記載の方法。
(項目55)
前記骨髄内管に入る前記本体の前記部分が、前記骨髄内管の前記皮質との接線方向の接触のみを有する、項目53に記載の方法。
(項目56)
前記患者がアジア系人である、項目53に記載の方法。
(項目57)
前記大腿骨構成部品が、前記大腿骨の骨幹端で前記患者の大腿骨内に実質的に装着される、項目53に記載の方法。
(項目58)
股関節手術中に、大腿骨構成部品を移植させる方法であって、
(a)本体を含み、前記本体が遠位ステム部分を含む、大腿骨構成部品を提供することと、
(b)前記大腿骨構成部品を、患者の大腿骨に移植させることと、を含む方法であって、前記遠位ステム部分を含む、前記大腿骨構成部品の前記本体の一部分が、前記大腿骨の前記骨髄内管に入り、前記大腿骨構成部品が患者の大腿骨内に移植される場合、前記遠位ステム部分は、前記骨髄内管の前記皮質と実質的に接触しない、方法。
(項目59)
前記骨髄内管に入る前記本体の前記部分が、前記骨髄内管の前記皮質との接触を有し前記ない、項目58に記載の方法。
(項目60)
前記骨髄内管に入る前記本体の前記部分が、前記骨髄内管の前記皮質との接線方向の接触のみを有する、項目58に記載の方法。
(項目61)
前記患者がアジア系人である、項目58に記載の方法。
(項目62)
前記大腿骨構成部品が、前記大腿骨の骨幹端で前記患者の大腿骨内に実質的に装着される、項目58に記載の方法。
【0016】
本発明の1つ以上の実施形態の詳細は、添付されている図面及び以下の説明に記載されている。本発明の他の特徴、目的、及び利点は、説明及び図面、並びに特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
種々の図面中の同様の参照記号は、同様の要素を指す。
図1】本発明のいくつかの実施形態による、ステムレス股関節インプラントの側面図である。
図2】本発明の図1のステムレス股関節インプラントの断面図である。
図3】本発明のいくつかの実施形態による、ステムレス股関節インプラントの側面図である。
図4】本発明の図3のステムレス股関節インプラントの断面図である。
図5】本発明のいくつかの実施形態による、ステムレス股関節インプラントの側面図である。
図6図6A〜6Cは、本発明の図5のステムレス股関節インプラントの側面図、背面図及び断面図である。
図7】本発明のいくつかの実施形態による、ステム付き股関節インプラントの側面図である。
図8】本発明の図7のステム付き股関節インプラントの断面図である。
図9】本発明のいくつかの実施形態による、大腿骨に移植されたステム付き股関節インプラントの側面図である。
図10】本発明の図9の股関節インプラント及び大腿骨の断面図である。
図11】本発明のいくつかの実施形態による、インプラントステムが大腿骨皮質と接触しない、大腿骨に移植されたステム付き股関節インプラントの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
人工股関節(例えば、人工臼蓋、及び大腿義足など)の設計は、股関節及び大腿骨の解剖学的構造における著しい違いによって複雑化される。股関節及び大腿骨の解剖学的構造は、人種及び疾患型に基づいて変動することが知られている。例えば、発育性股関節異形成症(DDH)のアジア系の患者の大腿骨は、股関節疾患がない個人又は骨関節炎などのような別の股関節疾患を有する患者よりも、大きな大腿骨頸部前捻(FNA)角度及び/又はより狭い骨髄内管を有する場合がある。このようなアジア系人の患者はまた、湾曲しかつ小さい大腿骨を有することもある。
【0019】
そのため、別の疾患型の患者又は別の人種の患者に移植される場合、白人の骨関節炎患者のために設計された人工股関節の構成部品は、最適に機能しない。更に、DDHの患者の解剖学的異常性(例えば、より大きなFNA角度又はより狭い骨髄内管)が、DDHの患者にTHR処置を実施することの技術的困難さを増大させている。人工股関節インプラントの機能の不良としては、術中の骨折のリスクの増加、痛みの増加、アンバランスな歩行、微細動作及びインプラント構成部品と周辺の骨との間の緩み、インプラント構成部品への不十分な支持、不良な初期プレス嵌合、インプラント破損率の増加、患者の運動性の低下、並びに不良な人工股関節安定性などが挙げられる場合がある。
【0020】
本発明で提供されるものは、股関節インプラント装置及び関連する手術方法である。装置及び方法は、所望される場合は、アジア人患者に使用することができる。例えば、装置及び方法は、所望される場合は、DDH又は骨関節炎のような他の股関節病状を有するアジア人系患者に、使用されることができ、そのような患者のための股関節手術が示されている。
【0021】
ここで図1〜2を参照すると、股関節インプラントシステムのいくつかの実施形態は、大腿骨に移植されるように構成された大腿骨インプラント100を含む。大腿骨インプラント100は、大腿骨インプラント100上の近位に配置されたネック部分110と、遠位に配置された本体120とを含むことができる。大腿骨インプラント100は、遠位方向に配置された本体120の少なくとも一部分が、大腿骨内に外科的に形成された空隙の内側に移植することができるように構成することができ、かつネック部分110は、ボールおよび連結されたネック部分110を臼蓋の内側に配置することができるように、ボールを受け入れることができる。この構成では、大腿骨インプラント100は、その股関節が損傷された患者又は股関節手術が意図されるようにその股関節が適切に機能しない患者(例えば、機械的損傷、疾患、先天的病状、発育状態、加齢等による)に対して股関節機能を修復させるために使用することができる。ネック部分110は、代替ボールを受け入れるためのシャフト112と、シャフト112と本体120との間を移行するように機能する移行部分114とを含むことができる。いくつかの実施形態において、シャフト112は中心軸113を画定する。一例では、シャフト112は、中心軸113を備える、テーパが付けられた円筒状のシャフトである。
【0022】
いくつかの実施形態では、大腿骨インプラント100は、患者での大腿骨インプラントの使用が、低身長、湾曲した大腿骨等の患者の生理学的要素に基づいて制限されないように構成することができる。例えば、本明細書に記載された装置は、アジア系対象者に使用することができる。いくつかの例において、アジア系対象者は、DDH、減少した大腿骨頭部オフセット、増大した前捻角度、増大した大腿骨湾曲等を有する場合がある。いくつかの例では、大腿骨インプラント100は、より小さい断面積を備えた大腿骨を有する患者に移植されるために十分に小さい断面130を有する本体120を含むことができる。別の例において、インプラント100が大腿骨内の外科的に調製された空間の内部に配置される場合、本体120は骨幹端の外科的に形成された空隙の内部に少なくとも部分的に配置されるが、大腿骨骨幹部の骨髄内管には実質的に入らないように、本体120は十分に短い全長を有する(図5に関連して大変詳細に記載される)。このいわゆるステムレス設計では、本体120が大腿骨骨幹部には実質的に入らないために、インプラント100が大腿骨骨幹部の形態に依存せず、したがって、広範囲の大腿骨形態と併せて使用することができる。この場合、インプラント装置の装着の主要な部位における骨幹端及び骨幹部は、手術プランニング及び患者への装置の装着の目的で、所望される場合は省略することができる。更に、インプラント100は、より低い身長の患者、例えば湾曲した大腿骨等の特殊な形態を有する患者で好都合に使用することができる。
【0023】
ここで表1を参照すると、白人集団とアジア人集団との間で、大腿骨インプラントの適合に影響を及ぼすような差異が存在する。表2は、アジア人DDH患者とアジア人非DDH患者との間を識別するパラメータにおいて有意な差があることを示している。病理が、インプラントの適合に影響を及ぼすような、DDH患者と非DDH患者との間の異なる大腿骨形態、特に異なる前捻角度へと導く。更にコンピューターシミュレーションは、最高のグローバルブランドを含める現行の西洋人股関節インプラントが、20%のアジア人患者の大腿骨には適切に適合しないことを示唆している。いくつかの実施形態において、ステムレスインプラント100(例えば、その本体120が、大腿骨骨幹部の骨髄内腔又は骨髄内管に実質的に入らないようなインプラント100)は、伝統的な大腿骨インプラントよりも一層適切であるかもしれない。
【0024】
【表1】
【0025】
【表2】

大腿骨インプラント100は、以下でより詳細に説明されるように、本体120の近位部分122を含み、これは大腿骨の寸法での変化を許容するために三方向にテーパが付けられている。いくつかの実施形態において、領域123は、インプラント100とインプラントが移植される大腿骨との間の強化された境界面を促進するための表面処理を含むことができる。例えば、この近位部分122内に配置された領域123は、領域123の表面に対して周囲に塗布された多孔質コーティングを含むことができる。いくつかの実施形態では、この多孔質領域は、プラズマコーティングプロセスを介して、塗布することができる。このプロセスは、インプラント100を実質的に修正又は弱体化させることなく、多孔質表面(骨成長及び接着を促進するための)を好都合に付加することができる。いくつかの実施形態において、プラズマコーティングは、塗布されたコーティングにその機能を果たさせるような特徴を有する任意の生体適合性材料を含むことができる。例えば、このコーティングは、チタン合金、コバルトとクロムの合金等を含むことができる。本体120は、近位部分122に対してある角度で存在する遠位領域124を含むことができる。本体120は、遠位先端部分126を含むことができる。いくつかの実施形態において、先端部分126は、2mmの半径を有するエッヂを備えた5mmの幅を有するような鈍頭形状に構成することができる。いくつかの実施形態では、鈍頭の遠位先端部分126は、製造に有利に影響を及ぼすことができる。
【0026】
ここで図2を参照すると、インプラント100は、軸113(図1)に対して垂直である、本体120内の平面状断面130を含有し得る。図示されたように、断面130は、軸113に対して垂直であるような本体内の最大断面積を実質的に呈する。本体120の部分(例えば、断面130、領域123、近位部分122の部分等)は、インプラント100と大腿骨の骨幹端の少なくとも一部分との間の摩擦嵌合を提供するよう構成することができる。断面130は、断面130を画定することができる幅132と高さ134とを含むことができる。いくつかの実施形態において、高さ134と幅132は、インプラント100を、より低い身長の患者(例えば、アジア人集団の構成員、若年患者、より小さい大腿骨を有する患者等)に好都合に移植することができるように十分に小さい。例えば、インプラント100は、サイズが異なる大腿骨に適応可能であるように複数のサイズで使用可能とすることができる。表3は、断面130の高さ134と幅132のいくつかの例、又はそれらの組み合わせ例を表示している。
【0027】
【表3】

いくつかの実施形態では、断面130は、約23.9ミリメートル(mm)以下の高さ134と、約18.5ミリメートル(mm)以下の幅132とを含むことができる。いくつかの例において、高さ134は、20.3mmと23.9mmとの間の任意の値とすることができる。例えば、高さは、20.3、20.4、20.5、20.6、20.7、20.8、20.9、21.0、21.1、21.2、21.3、21.4、21.5、21.6、21.7、21.8、21.9、22.0、22.1、22.2、22.3、22.4、22.5、22.6、22.7、22.8、又は22.9mmとすることができる。いくつかの実施形態では、幅132は15.7mmと18.5mmとの間の任意の値とすることができる。例えば、幅は、15.7、15.8、15.9、16.0、16.1、16.2、16.3、16.4、16.5、16.6、16.7、16.8、16.9、17.0、17.1、17.2、17.3、17.4、17.5、17.6、17.7、17.8、17.9、18.0、18.1、18.2、18.3、18.4、又は18.5mmとすることができる。高さ134と幅132の他の組み合わせも使用することができることが理解されるべきである。例えば、インプラント100は、術前検査(例えばX線検査、MRI検査等)、手術処置中に取得された情報(例えば、切除中に大腿骨に作られた空隙のサイズ)などに従って、外科医によって選択することができる。
【0028】
上記のようなインプラント100の種々の構成部品は、インプラント100がその機能を果たすことを可能にするような特徴を有する任意の生体適合性材料から製造されてもよい。種々の生体適合性金属、プラスチック、及びセラミックスが、インプラント100の構成部品を製造するために使用されてもよい。例えば、ネック110、本体120等は、任意の高強度生体適合性材料から製造されてもよい。例としては、コバルトとクロムの合金、チタン合金、及びステンレス鋼合金が挙げられる。例示的一実施形態において、臼蓋は、例えば超高分子量ポリエチレンのような生体適合性耐摩耗性材料から作られた内表面を有する金属で裏打された臼蓋であってもよい。
【0029】
上記の例示的一実施形態によるインプラント100は、いくつかの手術手技を使用して移植されてもよい。許容可能な外科的手技の例としては、後方、側方、前側方及び前方アプローチ、並びに転子骨切除術が挙げられる。更には、二重切開術、最小侵襲術、コンピューター誘導外科的手技も採用されてもよい。人工股関節の構成部品の移植で使用されてもよい種々の手術手技及び手術機器は、双方ともにその全体を参照により本明細書に組み込んだ、Whitesideらへの米国特許第5,342,366号及びBohnへの米国特許第5,507,833号に教示されている。
【0030】
ここで図3〜4を参照すると、インプラント100は、実質的にはネック部分110と本体120との間の境界面にある断面140を含むことができる。簡単に言うと、使用の際に、インプラント100が大腿骨内の外科的に調製された空隙の内部に移植される場合、断面140は、大腿骨の残存する近位部分に実質的に同一平面にすることができる断面を呈する。これらの実施形態において、断面140は、断面130よりも小さくすることができ、かつに断面140は、インプラント100と大腿骨の皮質との間に摩擦嵌合をもたらさない場合があり、したがって、外科的に変更された大腿骨の近位端上へのストレスを好都合に最小化する。
【0031】
いくつかの実施形態において、インプラント100は、ネック部分110と本体120との間の境界面の近くに配置されたオリフィス102を含むことができる。使用の際に、外科的ツールを、このオリフィス102に挿入することができ、大腿骨内へのインプラント100の配置において支援するよう使用することができる(例えば、更なる活用を供給するため、大腿骨内のインプラント100の位置合わせを補助するため等に使用)。
【0032】
ここで図5を参照すると、インプラント100は、インプラント100が多様な形態を呈する大腿骨内に移植されることを可能にする特徴を含むことができる。例えば、実質的に大腿骨骨幹部には入らないような、より短い本体120は、インプラント100が、異なる形状の大腿骨(例えば、より小さい大腿骨頭部オフセットを有する、より大きな湾曲角度を有する、より大きな前捻角度を有する等の、長さが短い大腿骨)を有する患者に使用されることを可能にする。図4と関連付けて前述したように、インプラント100は、外科的に変更された大腿骨に移植される場合、大腿骨の外側エッヂと実質的に同一平面になる断面140を含むことができる。インプラント100は、断面140によって画定される平面とシャフト112の近位面118との間で画定されるネックオフセット116を含むことができる。インプラント100が外科的に変更された大腿骨内に移植される場合、特定の寸法を、大腿骨によって画定される中心軸104(例えば、大腿骨の中央シャフト)から測定することができるように、インプラント100を構成することができる。例えば、本体オフセット105は、軸104とシャフト112の近位面118上の点119との間で存在することができる。点119は、軸113が近位面118と交差する場所での点であると定義することができる。別の実施形態において、断面140は、断面140の下方部分上にある点142(図4参照)を含むことができる。このように、本体長さ121は、中心軸104に平行であるベクトルに沿った長さとして定義することができ、点142と中心軸104に垂直である平面125によって囲まれ(すなわち、本体長さ121)、かつ先端部分126の外側先端127に接触する。本体長さ121、ネックオフセット116、及び本体オフセット105の例は、表4で確認することができる。いくつかの実施形態において、132°の角度106が、軸104と軸113の間に存在することができる。
【0033】
【表4】

ここで図6A〜6Cを参照すると、インプラント100は、異なる形態を有する大腿骨でのインプラントの使用を実質的に制限しないと同時に、本体120の断面積を好都合に最大化することができる三重テーパ設計で構成されることができる。三重テーパ設計は、本体120の少なくとも一部分が、三平面でテーパが付けられているように構成される。いくつかの実施形態では、三重テーパ形状の本体120は、近位大腿骨とは類似しない形状であり、このため、この三重テーパ形状は、予想可能な方法ではあるが、浸透の深さがほとんどない方法で、大腿骨の不規則な管に安定化させることができる。大腿骨管は、骨幹端の装填を増加させるために役立つ可能性があるインプラント設計にテーパが取り入れられているこれら平面でもまた、テーパ状になることが知られている。いくつかの実施形態において、この三重テーパ設計は、非テーパ付設計では他の方法では可能ではないかもしれない大腿骨形態に、インプラント100が対合することを補助している。いくつかの場合では、好都合にテーパが付けられていないようなインプラントは、大腿骨の内側に適切に装着するためにはより小さい断面積を必要とする可能性があり、このために、インプラントが脆弱化される可能性がある。これらのインプラントはまた、特定の大腿骨形態(例えば大腿骨の湾曲)によっても制限される可能性がある。図6A〜6Cそれぞれは、3つのテーパのうちの1つを図示している。図6Aは、外側面160と内側面162が見えるように、冠状面でのインプラント100(インプラントが大腿骨内に移植される場合)を示している。テーパ角度161は、冠状面内の外側面160と内側面162との間で画定される。いくつかの実施形態では、テーパ角度161は、約5.0°である。図6Bは、前面164と後面166が見えるように、矢状面でのインプラント100(大腿骨に移植された場合)を図示する。テーパ角度165は、矢状面内の前面164と後面166との間で画定される。いくつかの実施形態では、テーパ角度165は、約12.0°である。図6Cは、前面164と後面166が見えるように、横断面でのインプラント100の断面(大腿骨に移植された場合)を図示している。テーパ角度167は、横断面内の前面164と後面166との間で画定される。いくつかの実施形態では、テーパ角度167は、約8.5°である。
【0034】
ここで図7を参照すると、いくつかの実施形態において、股関節インプラントシステムは、大腿骨に移植されるよう構成された、ステム付き大腿骨インプラント200を含むことができる。インプラント100と同様に、大腿骨インプラント200は、大腿骨インプラント200上で近位に配置されたネック部分210と、遠位に配置された本体220とを含むことができ、これによって、遠位に配置された本体220の少なくとも一部分を、大腿骨内に外科的に形成された空隙の内側に移植することができ、かつネック部分210が、ボールと連結されたネック部分210を股関節のソケット関節の内側に配置することができるように、ボールを受け入れることができる。ステム付き大腿骨インプラント200は、インプラント200が大腿骨内に移植される場合、骨髄内管内に配置される遠位ステム部分224を含む。
【0035】
いくつかの実施形態において、大腿骨インプラント200は、患者での大腿骨インプラントの使用が、例えば低身長、湾曲した大腿骨等の患者の生理学的要素に基づいて制限されないように構成することができる。例えば、大腿骨インプラント200は、より小さい断面積を有する骨髄内管を有する大腿骨を持つ患者に移植されるのに十分なほどに小さい断面230を有する本体220(図8参照)を含むことができる。
【0036】
表5は、いくつかの断面230の高さ234と幅232の組み合わせ例を表示している。異なる寸法を有する大腿骨において、高さ234と幅232の他の組み合わせも使用することができることが理解されるべきである。別の例において、本体220は、インプラント100が大腿骨内及び/又は骨髄内管内の外科的に調製された空間に配置される場合、本体220の長さが、短い大腿骨、湾曲した大腿骨等を有する患者におけるインプラント200の使用を妨害することがないように、十分に短い全長を有することができる(以下により詳細に説明されている)。
【0037】
この設計では、ステム部分224の外側ステム径225は、ステム部分224が大腿骨の骨髄内管の皮質に実質的に接触しないように、十分に小さい。いくつかの場合には、直径225は、骨髄内管の直径よりも著しく小さい可能性があり、かつ/又はステム部分224が骨髄内管皮質に顕著に接触することなく湾曲した大腿骨の内側に配置することができるように、本体220の長さが十分に短い可能性がある。所望される場合は、装置の本体は、その骨髄内管内に配置されている本体部分の全長に沿って、骨髄内管の皮質に実質的に接触することはない。これらの場合、本体の周囲は、その骨髄内管内に配置されている本体部分の長さに沿って、近位から遠位にいたるそれぞれの対応する位置で、骨髄内管の周囲よりも短い。所望される場合には、本体の一部分が骨髄内管の皮質と接触しているが、そのステム部分は、骨髄内管の皮質と実質的に接触していない。わずかな接触としては、図9〜11に示された接線方向での接触が挙げられる。
【0038】
ステム部分224、又はいくつかの場合には全本体部分220は、骨髄内管の皮質に実質的には接触していない場合があるために、対象者でのインプラントの適合は、大腿骨骨幹の形態にはより依存せず、したがって、広範囲の大腿骨形態に併せて使用することができる。この場合、装置の主要装着が、患者の大腿骨の骨幹端領域に提供される。インプラント200は、より低い身長、湾曲した大腿骨のような特殊な形態を有する患者等で所望される場合は使用することができる。所望される場合には、この装置は、アジア系人の患者で使用される。
【0039】
【表5】

大腿骨インプラント200は、大腿骨の寸法の変化を許容するために、テーパが付けられている本体220の近位部分222を含むことができる。いくつかの実施形態において、領域223は、インプラント200とその中にインプラントが移植される大腿骨との間の強化された境界面を促進させるための表面準備を含むことができる。例えば、領域223は、近位部分222の一部分の外周の周りに実質的に連続する多孔質表面を含むことができる。いくつかの実施形態において、多孔質領域は、プラズマコーティングプロセスを介して塗布することができる。このプロセスは、インプラント200を実質的に修正したり或いは弱体化させることなく、多孔質表面(骨成長及び接着を促進させるための)を好都合に付加することができる。
【0040】
ここで図7〜8を参照すると、インプラント200は、多様な形態を呈する大腿骨にインプラントを移植可能にするような特徴を含むことができる。例えば、より短い本体220は、異なる形状の大腿骨(例えば、長さが短い、曲率が異なる等)を有する患者でインプラント200が使用されることを可能にすることができる。インプラント200は、より保存的な切除手技が実行されないような大腿骨への移植に対応するように構成された外側隆起領域240を含むことができる。例えば、いくつかの大腿骨切除手技(例えば、ステムを有する大腿骨インプラントを移植する場合に使用されるような手技)は、保存的手技よりも多くの実体の除去を免れない。例えば、大腿骨頸部の外科的切除を通してそれが挿入される場合に、相当な長さと嵩のステムは、骨髄管の曲線に対処しない場合がある。これらの場合、インプラントの遠位軸を大腿骨の骨幹部に一直線にそろえるような直線状の挿入を可能にするために、上方頸部の一部分及び大転子部が切除されてもよい。これら例において、インプラント200は、切除中に残された上方頸部及び大転子部内の空隙を少なくとも部分的に埋めることができる側面隆起領域240を好都合に含有することができる。この空隙を少なくとも部分的に詰めることは、別の方法で空隙に移動する可能性がある摩耗破片に対する有害反応のような、合併症の可能性を減らすことができる。インプラント200は、断面230によって画定される平面とシャフト212の近位面218との間で画定されるネックオフセット216を含むことができる。インプラント200が外科的に変更された大腿骨に移植される場合、特定の寸法が、ステム部分224によって画定される中心軸204から測定され得るように、インプラント200は構成されることができる。例えば、本体オフセット205は、軸204とシャフト212の近位面218上の点219との間に存在することができる。点219は、軸213が近位面218と交差する点として定義することができる。別の実施形態において、断面230は、断面230の下部部分上の点232を包含することができる(図8参照)。このように、本体長さ221は、中心軸304に平行なベクトルに沿った長さとして画定することができ、かつ点242と中心軸204(ひいては本体長さ221)に垂直である平面229とによって囲まれており、かつ先端部分226の外側先端227に接触する。本体長さ221、ネックオフセット216、及び本体オフセット205の例は、表6で確認することができる。いくつかの実施形態では、132°の角度206が、軸204と軸213との間に存在することができる。
【0041】
【表6】

ここで図9〜11を参照すると、インプラント200が大腿骨10に移植される場合、本体の少なくとも一部分、例えばステム部分224の一部分が、大腿骨骨幹部の骨髄内管12内に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、ステム224のこの部分は、周辺の皮質と摩擦嵌合を形成しない。これら実施形態では、図11に示されたように、ステム224は、皮質14と接触しなくてよく、又は図10に示されたように、皮質と接線方向でのみ接触してもよい。いくつかのオプションの場合では、骨髄内管内に存在する本体の部分が、摩擦嵌合をもたらすために、皮質に接触しない。
【0042】
本発明のいくつかの実施形態が説明されてきた。しかし、種々の修正が、発明の精神及び範囲を逸脱しない限りにおいてなされてもよいことが理解されるであろう。したがって、他の実施形態は、以下の特許請求の範囲の範囲内にあるものとする。本明細書全体で使用されるとき、用語「例示的(exemplary)」は、例(example)を意味する。このため、「例えば(for example)」、及び「寸法例は(exemplary dimension is)」並びに「例(example)」、或いは「所望される場合の寸法(optional dimension)」及び「他の例(other examples)」又は「所望される場合の寸法(optional dimensions)」もまた使うことができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【外国語明細書】
2017185352000001.pdf