特開2017-185474(P2017-185474A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特開2017-185474乳化組成物、製品、有機溶媒の含有量を低減させる方法、及び乳化剤の選択方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-185474(P2017-185474A)
(43)【公開日】2017年10月12日
(54)【発明の名称】乳化組成物、製品、有機溶媒の含有量を低減させる方法、及び乳化剤の選択方法
(51)【国際特許分類】
   B01F 17/52 20060101AFI20170919BHJP
   A61K 8/06 20060101ALI20170919BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20170919BHJP
   A61K 8/33 20060101ALI20170919BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20170919BHJP
   A61Q 17/00 20060101ALI20170919BHJP
   A61Q 13/00 20060101ALI20170919BHJP
   A01N 25/04 20060101ALI20170919BHJP
   A01P 17/00 20060101ALI20170919BHJP
   A01P 7/04 20060101ALI20170919BHJP
   A01P 13/00 20060101ALI20170919BHJP
   A01N 37/18 20060101ALI20170919BHJP
   A01N 25/06 20060101ALI20170919BHJP
   C09K 3/30 20060101ALI20170919BHJP
   B01F 17/00 20060101ALI20170919BHJP
【FI】
   B01F17/52
   A61K8/06
   A61K8/73
   A61K8/33
   A61K8/34
   A61Q17/00
   A61Q13/00 102
   A01N25/04 101
   A01P17/00
   A01P7/04
   A01P13/00
   A01N37/18 Z
   A01N25/06
   C09K3/30 Z
   B01F17/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【全頁数】43
(21)【出願番号】特願2016-253170(P2016-253170)
(22)【出願日】2016年12月27日
(31)【優先権主張番号】特願2016-69540(P2016-69540)
(32)【優先日】2016年3月30日
(33)【優先権主張国】JP
(71)【出願人】
【識別番号】592218300
【氏名又は名称】学校法人神奈川大学
(71)【出願人】
【識別番号】000185363
【氏名又は名称】小池化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】田嶋 和夫
(72)【発明者】
【氏名】今井 洋子
(72)【発明者】
【氏名】宮坂 佳那
(72)【発明者】
【氏名】小見 宏幸
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼田 健太
(72)【発明者】
【氏名】竹内 彩乃
【テーマコード(参考)】
4C083
4D077
4H011
【Fターム(参考)】
4C083AC102
4C083AC172
4C083AC422
4C083AC432
4C083AC642
4C083AD282
4C083BB02
4C083BB13
4C083BB14
4C083CC20
4C083CC50
4C083DD08
4C083DD33
4C083EE06
4C083EE07
4C083EE09
4C083EE12
4C083KK03
4D077AB17
4D077AB20
4D077AC03
4D077BA01
4D077BA07
4D077DC36X
4D077DC36Y
4D077DC68X
4D077DC68Y
4D077DD03X
4D077DD03Y
4D077DD08X
4D077DD08Y
4D077DD15X
4D077DD15Y
4D077DD17X
4D077DD17Y
4D077DD32X
4D077DD32Y
4D077DD63X
4D077DD63Y
4D077DE08X
4D077DE08Y
4D077DE10X
4D077DE10Y
4D077DE16X
4D077DE16Y
4H011AB01
4H011AC01
4H011AE02
4H011BA05
4H011BB06
4H011DA16
4H011DA21
(57)【要約】
【課題】有効成分の油について、有機溶媒によらずとも製品に適用可能な乳化組成物、このような乳化組成物を備える製品、乳化組成物中の有機溶媒の含有量を低減させる方法、及び乳化剤の選択方法を提供する。
【解決手段】乳化組成物は、水相と、以下の数式(1)及び(2)の条件を満たす油、を含む油相と、自発的に閉鎖小胞体を形成する両親媒性物質により形成された閉鎖小胞体及び/又は水酸基を有する重縮合ポリマーの粒子とを含有し、組成物中の前記油の含有量に対する、該油に対する良溶媒である有機溶媒の含有量の質量比が、25以下(0を含む)である。


【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水相と、以下の数式(1)及び(2)の条件を満たす油、を含む油相と、自発的に閉鎖小胞体を形成する両親媒性物質により形成された閉鎖小胞体及び/又は水酸基を有する重縮合ポリマーの粒子とを含有し、
組成物中の前記油の含有量に対する、該油に対する良溶媒である有機溶媒の含有量の質量比が、25以下(0を含む)である、乳化組成物。
【数1】
【数2】
(数式(1)中、γは、水と油との25℃における界面張力を意味し、数式(1)及び(2)中、γcmcは、界面活性剤としてラウリル硫酸ナトリウム、セチルトリメチルアンモニウムクロリド又はドデカオキシエチレンラウリルエーテルを臨界ミセル濃度以上の量で含む界面活性剤水溶液と油との25℃における界面張力を意味する。)
【請求項2】
水相と、油を含む油相と、自発的に閉鎖小胞体を形成する両親媒性物質により形成された閉鎖小胞体及び/又は水酸基を有する重縮合ポリマーの粒子とを含有し、
前記油は、ラウリル硫酸ナトリウム、セチルトリメチルアンモニウムクロリド又はドデカオキシエチレンラウリルエーテルのいずれの界面活性剤によっても乳化不可能な油であり、
組成物中の前記油の含有量に対する、該油に対する良溶媒である有機溶媒の含有量の質量比が、25以下(0を含む)である、乳化組成物。
【請求項3】
忌避剤用、芳香剤用、殺虫剤用、殺菌剤用又は除草剤用である、請求項1に記載の乳化組成物。
【請求項4】
忌避剤用、芳香剤用、殺虫剤用、殺菌剤用、除草剤用、又はワックス用である、請求項2に記載の乳化組成物。
【請求項5】
前記有機溶媒の含有量が組成物全体の質量に対して20.0質量%以下(0を含む)である、請求項1から4のいずれかに記載の乳化組成物。
【請求項6】
前記有機溶媒を含まない、請求項1から5のいずれかに乳化組成物。
【請求項7】
O/W型エマルションである、請求項1から6のいずれかに記載の乳化組成物。
【請求項8】
揮発性油を有効成分とする製品用である、請求項1から7のいずれかに記載の乳化組成物。
【請求項9】
自発的に閉鎖小胞体を形成する両親媒性物質により形成された閉鎖小胞体を含有する、請求項1から8のいずれかに記載の乳化組成物。
【請求項10】
前記閉鎖小胞体及び/又は前記重縮合ポリマーの粒子の合計質量と前記油の含有量との質量比が0.0001以上0.001以下:1である、請求項1から9のいずれかに記載の乳化組成物。
【請求項11】
請求項1から10のいずれかに記載の乳化組成物を備える、製品。
【請求項12】
忌避剤、芳香剤、殺虫剤、殺菌剤、又は除草剤である、請求項11に記載の製品。
【請求項13】
揮発性の油を有効成分とする、請求項11又は12に記載の製品。
【請求項14】
エアゾール剤の形態である、請求項11から13のいずれかに記載の製品。
【請求項15】
水相と、以下の数式(1)及び(2)の条件を満たす油、を含む油相とを含む組成物を、自発的に閉鎖小胞体を形成する両親媒性物質により形成された閉鎖小胞体及び/又は水酸基を有する重縮合ポリマーの粒子により乳化することによって、
前記組成物中における前記油の含有量に対する、該油に対する良溶媒である有機溶媒の含有量の質量比を低減させる方法。
【数3】
【数4】
(数式(1)中、γは、水と油との25℃における界面張力を意味し、数式(1)及び(2)中、γcmcは、界面活性剤としてラウリル硫酸ナトリウム、セチルトリメチルアンモニウムクロリド又はドデカオキシエチレンラウリルエーテルを臨界ミセル濃度以上の量で含む界面活性剤水溶液と油との25℃における界面張力を意味する。)
【請求項16】
油について以下の数式(1)及び(2)の条件を満たすか否かを測定し、
その結果に基づいて、該油に対する乳化剤として自発的に閉鎖小胞体を形成する両親媒性物質により形成された閉鎖小胞体又は水酸基を有する重縮合ポリマーを選択する方法。
【数5】
【数6】
(数式(1)中、γは、水と油との25℃における界面張力を意味し、数式(1)及び(2)中、γcmcは、界面活性剤としてラウリル硫酸ナトリウム、セチルトリメチルアンモニウムクロリド又はドデカオキシエチレンラウリルエーテルを臨界ミセル濃度以上の量で含む界面活性剤水溶液と油との25℃における界面張力を意味する。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乳化組成物、製品、有機溶媒の含有量を低減させる方法、及び乳化剤の選択方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、忌避剤、農薬、芳香剤、殺菌剤等の有効成分の油は、水に溶けないものが多いため、そのほとんどが有機溶媒等の油に対する良溶媒に溶かして使用されている。
【0003】
例えば、忌避剤の有効成分として知られているN,N−ジエチル−3−メチルベンズアミド(DEET)は、有機溶剤であるアルコール等に溶解して利用されている。特許文献1には、DEETを炭素数2〜6のアルコールに溶解した忌避剤用の組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014−201581号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のように、溶媒としてアルコールを利用した場合、皮膚に塗布されるような用途として利用するときに皮膚が敏感な子供等に対しては刺激が強いという問題がある。
【0006】
また、有機溶媒は揮発性のものが多いが、その揮発時に有効成分が有機溶媒とともに散ってしまうため、有効成分が長持ちしにくい。
【0007】
したがって、従来有機溶媒に溶解して利用される油について、可能な限り有機溶媒によらずに忌避剤等の製品に適用することが求められている。
【0008】
そこで、本発明者らが、上述のDEETについて、アルコールを用いず、アニオン界面活性剤であるラウリル硫酸ナトリウム、カチオン界面活性剤であるセチルトリメチルアンモニウムクロリド、非イオン界面活性剤であるドデカオキシエチレンラウリルエーテルによりDEETの乳化を試みたところ、乳化することができるものでなかったため、実際の製品に適用できるものでなかった。
【0009】
本発明は以上の実情に鑑みてなされたものであり、有効成分の油について、有機溶媒によらずとも製品に適用可能な乳化組成物、このような乳化組成物を備える製品、乳化組成物中の有機溶媒の含有量を低減させる方法、及び乳化剤の選択方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、いわゆる三相乳化法により、界面活性剤では乳化できない油の特徴、及びそのような油であっても三相乳化法によれば乳化できることを見出し、さらにそれによって有機溶媒の量を低減できることを見出し、本発明を完成するに至った。より具体的には、本発明は以下のようなものを提供する。
【0011】
[1] 水相と、以下の数式(1)及び(2)の条件を満たす油、を含む油相と、自発的に閉鎖小胞体を形成する両親媒性物質により形成された閉鎖小胞体及び/又は水酸基を有する重縮合ポリマーの粒子とを含有し、
組成物中の前記油の含有量に対する、該油に対する良溶媒である有機溶媒の含有量の質量比が、25以下(0を含む)である、乳化組成物。
【数1】
【数2】
(数式(1)中、γは、水と油との25℃における界面張力を意味し、数式(1)及び(2)中、γcmcは、界面活性剤としてラウリル硫酸ナトリウム、セチルトリメチルアンモニウムクロリド又はドデカオキシエチレンラウリルエーテルを臨界ミセル濃度以上の量で含む界面活性剤水溶液と油との25℃における界面張力を意味する。)
【0012】
[2] 水相と、油を含む油相と、自発的に閉鎖小胞体を形成する両親媒性物質により形成された閉鎖小胞体及び/又は水酸基を有する重縮合ポリマーの粒子とを含有し、
前記油は、ラウリル硫酸ナトリウム、セチルトリメチルアンモニウムクロリド又はドデカオキシエチレンラウリルエーテルのいずれの界面活性剤によっても乳化不可能な油であり、
組成物中の前記油の含有量に対する、該油に対する良溶媒である有機溶媒の含有量の質量比が、25以下(0を含む)である、乳化組成物。
【0013】
[3] 忌避剤用、芳香剤用、殺虫剤用、殺菌剤用又は除草剤用である、[1]に記載の乳化組成物。
【0014】
[4] 忌避剤用、芳香剤用、殺虫剤用、殺菌剤用、除草剤用、又はワックス用である、[2]に記載の乳化組成物。
【0015】
[5] 前記有機溶媒の含有量が組成物全体の質量に対して20.0質量%以下(0を含む)である、[1]から[4]のいずれかに記載の乳化組成物。
【0016】
[6] 前記有機溶媒を含まない、[1]から[5]のいずれかに乳化組成物。
【0017】
[7] O/W型エマルションである、[1]から[6]のいずれかに記載の乳化組成物。
【0018】
[8] 揮発性油を有効成分とする製品用である、[1]から[6]のいずれかに記載の乳化組成物。
【0019】
[9] 自発的に閉鎖小胞体を形成する両親媒性物質により形成された閉鎖小胞体を含有する、[1]から[8]のいずれかに記載の乳化組成物。
【0020】
[10] 前記閉鎖小胞体及び/又は前記重縮合ポリマーの粒子の合計質量と前記油の含有量との質量比が0.0001以上0.001以下:1である、[1]から[9]のいずれかに記載の乳化組成物。
【0021】
[11] [1]から[10]のいずれかに記載の乳化組成物を備える、製品。
【0022】
[12] 忌避剤、芳香剤、殺虫剤、殺菌剤、又は除草剤である、[11]に記載の製品。
【0023】
[13] 揮発性の油を有効成分とする、[11]又は[12]に記載の製品。
【0024】
[14] エアゾール剤の形態である、[11]から[13]のいずれかに記載の製品。
【0025】
[15] 水相と、以下の数式(1)及び(2)の条件を満たす油、を含む油相とを含む組成物を、自発的に閉鎖小胞体を形成する両親媒性物質により形成された閉鎖小胞体及び/又は水酸基を有する重縮合ポリマーの粒子により乳化することによって、
前記組成物中における前記油の含有量に対する、該油に対する良溶媒である有機溶媒の含有量の質量比を低減させる方法。
【数3】
【数4】
(数式(1)中、γは、水と油との25℃における界面張力を意味し、数式(1)及び(2)中、γcmcは、界面活性剤としてラウリル硫酸ナトリウム、セチルトリメチルアンモニウムクロリド又はドデカオキシエチレンラウリルエーテルを臨界ミセル濃度以上の量で含む界面活性剤水溶液と油との25℃における界面張力を意味する。)
【0026】
[16] 油について以下の数式(1)及び(2)の条件を満たすか否かを測定し、
その結果に基づいて、該油に対する乳化剤として自発的に閉鎖小胞体を形成する両親媒性物質により形成された閉鎖小胞体又は水酸基を有する重縮合ポリマーを選択する方法。
【数5】
【数6】
(数式(1)中、γは、水と油との25℃における界面張力を意味し、数式(1)及び(2)中、γcmcは、界面活性剤としてラウリル硫酸ナトリウム、セチルトリメチルアンモニウムクロリド又はドデカオキシエチレンラウリルエーテルを臨界ミセル濃度以上の量で含む界面活性剤水溶液と油との25℃における界面張力を意味する。)
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、有効成分の油について、有機溶媒によらずとも製品に適用可能な乳化組成物、このような乳化組成物を備える製品、乳化組成物中の有機溶媒の含有量を低減させる方法、及び乳化剤の選択方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】界面活性剤の濃度と油水界面張力の関係を示すグラフである。
図2】実施例11及び比較例13に係る忌避剤についての細胞生存率を示したグラフである。
図3】実施例11及び比較例13に係る忌避剤についての皮膚水分量を示したグラフである。
図4】実施例11及び比較例13に係る忌避剤についての経皮水分蒸散量を示したグラフである。
図5】実施例12及び比較例14に係る芳香剤についての匂いの持続時間を示したグラフである。
図6】実施例13に係る芳香剤と比較例16、比較例17に係る芳香剤の匂いの強さのスコアを示すグラフである。
図7】実施例14と比較例18に係る芳香剤を混合したときの、それぞれの香料の相対的な匂いの強さを示すグラフである。
図8】実施例14と比較例19に係る芳香剤を混合したときの、それぞれの香料の相対的な匂いの強さを示すグラフである。
図9】実施例15と比較例20に係る芳香剤を混合したときの、それぞれの香料の相対的な匂いの強さを示すグラフである。
図10】実施例15と比較例21に係る芳香剤を混合したときの、それぞれの香料の相対的な匂いの強さを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態について説明するが、本発明はこれに限定されない。
【0030】
<乳化組成物>
本発明の乳化組成物は、水相と、以下の数式(1)及び(2)の条件を満たす油、を含む油相と、自発的に閉鎖小胞体を形成する両親媒性物質により形成された閉鎖小胞体及び/又は水酸基を有する重縮合ポリマーの粒子とを含有し、組成物中の油の含有量に対する、該油に対する良溶媒である有機溶媒の含有量の質量比が、25以下(0を含む)である。また、以下の数式(1)中、γは、水と油との25℃における界面張力を意味し、以下の数式(1)及び(2)中、γcmcは、界面活性剤としてラウリル硫酸ナトリウム、セチルトリメチルアンモニウムクロリド又はドデカオキシエチレンラウリルエーテルを臨界ミセル濃度以上の量で含む界面活性剤水溶液と油との25℃における界面張力を意味する。
【0031】
【数7】
【数8】
【0032】
または、本発明の乳化組成物は、水相と、油を含む油相と、自発的に閉鎖小胞体を形成する両親媒性物質により形成された閉鎖小胞体及び/又は水酸基を有する重縮合ポリマーの粒子とを含有し、上記油は、ラウリル硫酸ナトリウム、セチルトリメチルアンモニウムクロリド又はドデカオキシエチレンラウリルエーテルのいずれの界面活性剤によっても乳化不可能な油であり、組成物中の油の含有量に対する、該油に対する良溶媒である有機溶媒の含有量の質量比が、25以下(0を含む)である。
【0033】
本発明の乳化組成物は上述のような式(1)及び(2)の条件を満たす油、又はラウリル硫酸ナトリウム、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、及びドデカオキシエチレンラウリルエーテルのいずれの界面活性剤によっても乳化不可能な油を含むものであっても、その油に対する良溶媒の有機溶媒の量を用いる必要がないため、その量を低減することができる。また、この油を製品の有効成分として用いた場合、有機溶媒とともに揮発しにくくなることから、期待される所望の効果を長時間持続させることができる。また、本発明の乳化組成物における油を製品の有効成分として用いた場合、有機溶媒に有効成分を溶解して用いるより、付着率が優れる。付着率が優れることで、大気中に舞う有効成分の量が少なくなり、呼吸等により人体内に取り入れられる有効成分の量が少なくなるため、人体に取り入れるのが好ましくない油を有効成分とする場合、安全性が高くなる。このことから、本発明の乳化組成物中の上記有機溶媒の含有量が少ない方が好ましい。
【0034】
界面活性剤(ラウリル硫酸ナトリウム、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、ドデカオキシエチレンラウリルエーテル)によると、上述のような式(1)及び(2)の条件を満たす油は乳化をすることができない。その理由は、上述のような式(1)及び(2)の条件を満たす油は、ラウリル硫酸ナトリウム、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、及びドデカオキシエチレンラウリルエーテルを臨界ミセル濃度以上で水中に含んで乳化しようとしても、水と油との界面張力の低下する値が小さく、また、界面活性剤を臨界ミセル濃度以上で水に含んだときの水と油の界面張力が大きいためであると推測される。つまり、これらは、少なくとも、ラウリル硫酸ナトリウム、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、又はドデカオキシエチレンラウリルエーテルにより乳化ができない。このような油は、その油の良溶媒の有機溶媒には溶解するため、アルコールに溶解して所望の製品の有効成分として用いることができる。しかしながら、本発明によると、いわゆる三相乳化法の乳化粒子を用いることで、そのような油を安定に乳化できる。したがって、上述の乳化不可能な油を、有機溶媒によらずとも有効成分として使用可能である。このように、本発明者らは、乳化不可能と考えられる油であっても、三相乳化法によれば、乳化できることを見出した。その理由は、乳化できない原因が上述の界面張力に関するものであることを見出したところ、そのような事実と三相乳化法の乳化のメカニズムを比較すると、三相乳化法は界面張力を低下させて乳化させるものでなく、別のメカニズムに基づく乳化であるためであると推測される。なお、三相乳化法は、自発的に閉鎖小胞体を形成する両親媒性物質により形成された閉鎖小胞体又は水酸基を有する重縮合ポリマーの粒子が、油−水の界面に介在して、ファンデルワールス力により油相に付着することで乳化を可能とするものである。三相乳化は、親水基と疎水基により界面張力を下げる界面活性剤による乳化とは異なるものである。なお、三相乳化可能な粒子か否かは、乳化に用いる親水性ナノ粒子分散液について、光散乱測定を行い、平均粒子径が、例えば、8〜400nmになっていることで判断できる。さらに調製したエマルションについて、原子間顕微鏡(AFM)観察を行い、乳化剤粒子が、油滴表面に付着していることを確認することで、判断することができる。
【0035】
本発明の乳化組成物の乳化形態は、例えば、O/W型のエマルション構造であってもよい。特に、乳化安定性及び付着力が優れることから、O/W型のエマルション構造であることが好ましい。
【0036】
(油相)
本発明の油相は、数式(1)及び(2)の条件を満たす油、又は、ラウリル硫酸ナトリウム、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、もしくはドデカオキシエチレンラウリルエーテルにより乳化ができない油を含む。
【0037】
数式(1)及び(2)の条件を満たす油としては、特に限定されず、適用される製品の用途に応じて適宜選択してもよいが、例えば、忌避剤の有効成分としては、N−ジエチル−3−メチルベンズアミド(DEET)、ピレスロイド系化合物(ピレトリンI、ピレトリンII、シネリンI、シネリンII、ジャスモリンI、ジャスモリンII等の天然ピレスロイド、合成ピレスロイド等)、2−(2−ヒドロキシエチル)−1−メチルプロピル1−ピペリジンカルボキシレート(イカリジン)、フタル酸ジメチル、ブトピロノキシル、2,3,4,5−ビス(2−ブチレン)テトラヒドロ−2−フルアルデヒド、N,N−ジエチルカプリルアミド、N,N−ジエチルベンズアミド、ジメチルカルベート、イソシンコメロン酸ジ−n−プロピル、2−エチルヘキサン−1,3−ジオール、N−オクチルビシクロへプテンジカルボキシイミド、精油(レモングラス、ゼラニウム、ユーカリ油、ラベンダー、シトロネラ等)等であって、数式(1)及び(2)の条件を満たす油が挙げられる。芳香剤の有効成分としては、天然物から水蒸気蒸留、圧搾、抽出等の手段により取り出した天然香料、化学製品から製造した合成香料等であって、数式(1)及び(2)の条件を満たす油が挙げられる。より具体的には、天然香料としては、動物性天然香料(ムスク、シベット、カストリウム、アンバーグリス等)、植物性香料(ローズ、ジャスミン、ミモザ、イランイラン、パチュリ、ユーカリ、ペパーミント、ゼラニウム、ラベンダー、サンダルウッド、セダーウッド、ローズウッド、ベンゾイン、ラブダナム、ベチバー、イリス、ベルガモット、レモン、オレンジ、オークモス、モス、アニス、カルダモン、コリアンダー等)等であって、数式(1)及び(2)の条件を満たす油が挙げられる。合成香料としては、モノテルペン系(リモネン等)、セスキテルペン系(β−カリオフィレン等)、脂肪族アルコール系(シス−3−ヘキセノール等)、モノテルペンアルコール系(リナロール等)、セスキテルペンアルコール系(ファルネソール等)、芳香族アルコール系(β−フェニルエチルアルコール等)、脂肪族アルデヒド系(2,6−ノナジエナール等)、テルペンアルデヒド系(シトラール等)、芳香族アルデヒド系(α−ヘキシルシンナミックアルデヒド等)、脂環式ケトン系(β−イオノン等)、テルペンケトン系(l−カルボン等)、大環状ケトン系(シクロペンタデカノン等)、テルペン系アステル系(酢酸リナリル等)、芳香族エステル系(安息香酸ベンジル等)、ラクトン系(γ−ウンデカラクトン等)フェノール系(オイゲノール等)、オキシド系(ローズオキシド等)、含窒素化合物(インドール等)、アセタール系(フェニルアセトアルデヒドジメチルアセタール等)、シッフ塩基系(オーランチオール等)等であって、数式(1)及び(2)の条件を満たす油が挙げられる。殺虫剤の有効成分としては、有機塩素系化合物(DDT、γ−BHC、ディルドリン、クロルデン、オルトジクロロベンゼン等)、有機リン系化合物(マラチオン、ジクロルボス、ダイアジノン、トリクロルホン、フェンクロホス、ナレド、フェニトロチオン、フェンチオン、テメホス、ブロモホス、シアノホス、カルクロホス、ピリダフェンチオン、クロルピリホスメチル、プロチオホス、プロペタンホス等)カーバメート系及びオキサジアゾール系化合物(カルバリル、プロポクスル、メトキサジアゾン等)、ピレスロイド系化合物(ピレトリンI、ピレトリンII、シネリンI、シネリンII、ジャスモリンI、ジャスモリンII等の天然ピレスロイド、合成ピレスロイド等)、昆虫成長抑制剤(メトプレン、ジフルベンズロン、ピリプロキシフェン等)等あって、数式(1)及び(2)の条件を満たす油が挙げられる。除草剤の有効成分としては、アセチルCoAカルボキシラーゼ阻害剤(アリルオキシプロピオン酸エステル類、シクロヘキサンジオン類、フェニルピラゾリン類等)、アセト乳酸合成酵素(ALS)阻害(スルホニルウレア類、イミダゾリノン類、トリアゾロピリミジン類、ピリミジニル(チオ)ベンゾエート類、スルホニルアミノカルボニルトリアゾリノン類等)、光合成(光化学系II)阻害(トリアジン類、トリアジノン類、トリアゾリノン類ウラシル類、ピリダジノン類、フェニルカーバメート類、ウレア類、アミド類、ニトリル類、ベンゾチアジアジノン類、フェニルピリダジン類等)、光化学系I電子変換剤(ビピリジウム類等)、プロトポルフィリノーゲン酸化酵素剤(ジフェニルエーテル類、フェニルピラゾール類、N−フェニルフタルイミド類、チアジアゾール類、オキサジアゾール類、トリアゾリノン類、オキサゾリジンジオン類、ピリミジンジオン類、ピラクロニル、プロフルアゾール、フルフェンピルエチル等)、4−ヒドロキシフェニルピルビン酸ジオキシゲナーゼ酵素(4−HPPD)阻害剤(トリケトン類、イソオキサゾール類、ピラゾール類、ベンゾビシクロン等)、カロチノイド生合成(標的部位不明)阻害剤(トリアゾール類、イソオキサゾリジノン類、ウレア類、ジフェニルエーテル類等)、EPSP合成酵素阻害剤(グリシン類等)、グルタミン合成酵素阻害剤(ホスフィン酸類等)、ジヒドロプテロイン酸合成酵素阻害剤(カーバメート等)、微小管重合阻害剤(ジニトロアニリン類、ホスホロアミデート類、ピリジン類、ベンズアミド類、安息香酸類等)、有糸分裂/微小管形成阻害剤(カーバメート類等)、VLCFAの阻害(細胞分裂阻害)剤(クロロアセトアミド類、アセトアミド類、オキシアセトアミド類、テトラゾリノン類、アニロホス、カフェンストロール、ピペロホス等)、細胞壁(セルロース)合成阻害剤(ニトリル類、ベンズアミド類、トリアゾロカルボキサミド類、キノリンカルボン酸類等)、アンカップリング(膜破壊)剤(ジニトロフェノール類等)、脂質合成阻害(非ACCase阻害)剤(チオカーバメート類、ホスホロジチオエート類、ベンゾフラン類、クロロ炭酸類等)、インドール酢酸様活性(合成オーキシン)剤(フェノキシカルボン酸類、安息香酸類、ピリジンカルボン酸類、キノリンカルボン酸類、ベナゾリンエチル等)、オーキシン移動阻害剤(フタラメートセミカルバゾン類等)、除草活性のある物質として炭素数が6〜14の飽和脂肪酸等であって、数式(1)及び(2)の条件を満たす油が挙げられる。殺菌剤の有効成分としてPA殺菌剤(フェニルアミド類、アシルアラニン類、オキサゾリジノン類、ブチロラクトン類等)、ヒドロキシ−(2−アミノ−)ピリミジン類、芳香族ヘテロ環類(イソキサゾール類、イソチアゾロン類等)、カルボン酸類、MBC殺菌剤(メチルベンゾイミダゾールカーバメート、ベンゾイミダゾール類、チオファネート類等)、N−フェニルカーバメート類、ベンズアミド類(トルアミド類)、チアゾールカルボキサミド類(エチルアミノチアゾールカルボキサミド)、フェニルウレア類、ベンズアミド類(ピリジニルメチルベンゾアミド類)、ピリミジンアミン類、ピラゾールカルボキサミド類、コハク酸脱水素酵素阻害剤類(フェニルベンズアミド類、フェニルオキソエチルチオフェンアミド類、ピリジニルエチルベンズアミド類、フランカルボキサミド類、オキサチインカルボキサミド類、チアゾールカルボキサミド類、ピラゾールカルボキサミド類、ピリジンカルボキサミド類等)、QoI殺菌剤(メトキシアクリレート類、メトキシカーバメート類、オキシイミノ酢酸類、オキシイミノアセトアミド類、ジヒドロジオキサジン類、イミダゾリノン類、ベンジルカーバメート類等)、QII殺菌剤(シアノイミダゾール類、スルファモイルトリアゾール類等)、酸化的リン酸化の脱共役剤(ジニトロフェニルクロトン酸類、2,6−ジニトロアニリン類、)、有機スズ化合物(トリフェニルスズ化合物等)、チオフェンカルボキサミド類、QxI殺菌剤(チアゾロピリミジルアミン類等)、AP殺菌剤(アニリノピリミジン類等)、エノピラヌロン酸抗生物質、ヘキソピラノシル抗生物質、グルコピラノシル抗生物質、テトラサイクリン抗生物質、アザ−ナフタレン類(アリルオキシキノリン類、キナゾリノン類等)、PP殺菌剤(フェニルピロール類等)、ジカルボキシイミド類、ホスホロチオレート類、ジチオラン類、AH殺菌剤(芳香族炭化水素類等)、複素芳香族類、カーバメート類、DMI殺菌剤(ピペラジン類、ピリジン類、ピリミジン類、イミダゾール類、トリアゾール類、トリアゾリンチオン類等)、モルフォリン類、ピペリジン類、スピロケタールアミン類、ヒドロキシアニリド類、アミノピラゾリノン類、チオカーバメート類、アリルアミン類、グルコピラノシル抗生物質、ペプチジルピリミジンヌクレオシド、桂皮酸アミド類、バリンアミドカーバメート、マンデル酸アミド、メラニン生合成阻害剤−還元酵素(イソベンゾフラノン類、ピロロキノリノン類、トリアゾロベンゾチアゾール類等)、メラニン生合成阻害剤−脱水酵素(シクロプロパンカルボキサミド類、カルボキサミド類、プロピオンアミド類等)、ベンゾチアジアゾール類、チアジアゾールカルボキサミド類、ラミナリン、オオイタドリ抽出液、シアノアセトアミド−オキシム類、ホスホナート類、フタラミン酸類、ベンゾトリアジン類、ベンゼンスルホン酸類、ピリダジノン類、フェニルアセトアミド、アリルフェニルケトン、チアゾリジン類、ピリミジノンヒドラゾン類、マシン油、有機油、炭酸水素カリウム、天然物起源、ジチオカーバメート類及び類縁体、フタルイミド類、クロロニトリル類、スルファミド類、グアニジン類、トリアジン類、キノン類、キノキサリン類、マレイミド等であって、数式(1)及び(2)の条件を満たす油が挙げられる。上記の殺菌剤、殺虫剤、除草剤は、農薬、医薬部外品等として用いてもよい。また、油が空気中に拡散する有効成分として使用される場合は、数式(1)及び(2)の条件を満たす油は、揮発性油(例えば、精油、香料等)であることが好ましい。
【0038】
また、数式(1)、数式(2)は、上記で述べたとおりのものであり、数式(1)中、γは、水と油との25℃における界面張力を意味する。また、数式(1)及び(2)中、γcmcは、界面活性剤としてラウリル硫酸ナトリウム、セチルトリメチルアンモニウムクロリド又はドデカオキシエチレンラウリルエーテルを臨界ミセル濃度以上の量で含む界面活性剤水溶液と油との25℃における界面張力を意味する。γcmcについて、数式(1)及び(2)の条件を満たす油は、ラウリル硫酸ナトリウム、セチルトリメチルアンモニウムクロリド及びドデカオキシエチレンラウリルエーテルのうち、少なくとも1つの界面活性剤について数式(1)及び数式(2)の条件を満たすものであればよいが、これらのうち、2つ以上の界面活性剤について式(1)及び数式(2)の条件を満たすものであることが好ましく、これら3つ全ての界面活性剤について数式(1)及び数式(2)の条件を満たすものであることがより好ましい。なお、ラウリル硫酸ナトリウム、セチルトリメチルアンモニウムクロリド又はドデカオキシエチレンラウリルエーテルの臨界ミセル濃度は、公知の定数の値である。
【0039】
数式(1)について、γ−γcmcの値の上限値は、18.0mN・m−1以下であれば、特に限定されず、15.0mN・m−1以下であることが好ましく、12.0mN・m−1以下であることがより好ましく、10.0mN・m−1以下であることがさらに好ましく、7.0mN・m−1以下であることがより一層好ましい。γ−γcmcの値の下限値は、特に限定されないが、例えば、1.0mN・m−1以上(2.0mN・m−1以上、4.0mN・m−1以上、6.0mN・m−1以上等)であってよい。
【0040】
数式(2)について、γcmcの値の下限値は、0.5mN・m−1以上であれば、特に限定されず、0.7mN・m−1以上であることが好ましく、1.0mN・m−1以上であることがより好ましく、2.0mN・m−1以上であることがさらに好ましく、3.0mN・m−1以上であることがより一層好ましい。γcmcの値の上限値は、特に限定されないが、例えば、10.0mN・m−1以下(8.0mN・m−1以下、7.0mN・m−1以下、6.0mN・m−1以下等)であってよい。
【0041】
本発明において、界面張力の測定は、25℃の条件下で、協和界面株式会社製の測定機DropMaster700を用いて懸適法により測定する。
【0042】
本発明における、ラウリル硫酸ナトリウム、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、又はドデカオキシエチレンラウリルエーテルのいずれの界面活性剤によっても乳化不可能な油としては、特に限定されず、適用される製品の用途に応じて適宜選択してもよいが、例えば、忌避剤の有効成分としては、N−ジエチル−3−メチルベンズアミド(DEET)、ピレスロイド系化合物(ピレトリンI、ピレトリンII、シネリンI、シネリンII、ジャスモリンI、ジャスモリンII等の天然ピレスロイド、合成ピレスロイド等)、2−(2−ヒドロキシエチル)−1−メチルプロピル1−ピペリジンカルボキシレート(イカリジン)、フタル酸ジメチル、ブトピロノキシル、2,3,4,5−ビス(2−ブチレン)テトラヒドロ−2−フルアルデヒド、N,N−ジエチルカプリルアミド、N,N−ジエチルベンズアミド、ジメチルカルベート、イソシンコメロン酸ジ−n−プロピル、2−エチルヘキサン−1,3−ジオール、N−オクチルビシクロへプテンジカルボキシイミド、精油(レモングラス、ゼラニウム、ユーカリ油、ラベンダー、シトロネラ等)等であって、ラウリル硫酸ナトリウム、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、又はドデカオキシエチレンラウリルエーテルのいずれの界面活性剤によっても乳化不可能な油が挙げられる。芳香剤の有効成分としては、天然物から水蒸気蒸留、圧搾、抽出等の手段により取り出した天然香料、化学製品から製造した合成香料等であって、ラウリル硫酸ナトリウム、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、又はドデカオキシエチレンラウリルエーテルのいずれの界面活性剤によっても乳化不可能な油が挙げられる。より具体的には、天然香料としては、動物性天然香料(ムスク、シベット、カストリウム、アンバーグリス等)、植物性香料(ローズ、ジャスミン、ミモザ、イランイラン、パチュリ、ユーカリ、ペパーミント、ゼラニウム、ラベンダー、サンダルウッド、セダーウッド、ローズウッド、ベンゾイン、ラブダナム、ベチバー、イリス、ベルガモット、レモン、オレンジ、オークモス、モス、アニス、カルダモン、コリアンダー等)等であって、ラウリル硫酸ナトリウム、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、又はドデカオキシエチレンラウリルエーテルのいずれの界面活性剤によっても乳化不可能な油が挙げられる。合成香料としては、モノテルペン系(リモネン等)、セスキテルペン系(β−カリオフィレン等)、脂肪族アルコール系(シス−3−ヘキセノール等)、モノテルペンアルコール系(リナロール等)、セスキテルペンアルコール系(ファルネソール等)、芳香族アルコール系(β−フェニルエチルアルコール等)、脂肪族アルデヒド系(2,6−ノナジエナール等)、テルペンアルデヒド系(シトラール等)、芳香族アルデヒド系(α−ヘキシルシンナミックアルデヒド等)、脂環式ケトン系(β−イオノン等)、テルペンケトン系(l−カルボン等)、大環状ケトン系(シクロペンタデカノン等)、テルペン系アステル系(酢酸リナリル等)、芳香族エステル系(安息香酸ベンジル等)、ラクトン系(γ−ウンデカラクトン等)フェノール系(オイゲノール等)、オキシド系(ローズオキシド等)、含窒素化合物(インドール等)、アセタール系(フェニルアセトアルデヒドジメチルアセタール等)、シッフ塩基系(オーランチオール等)等であって、ラウリル硫酸ナトリウム、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、又はドデカオキシエチレンラウリルエーテルのいずれの界面活性剤によっても乳化不可能な油が挙げられる。殺虫剤の有効成分としては、有機塩素系化合物(DDT、γ−BHC、ディルドリン、クロルデン、オルトジクロロベンゼン等)、有機リン系化合物(マラチオン、ジクロルボス、ダイアジノン、トリクロルホン、フェンクロホス、ナレド、フェニトロチオン、フェンチオン、テメホス、ブロモホス、シアノホス、カルクロホス、ピリダフェンチオン、クロルピリホスメチル、プロチオホス、プロペタンホス等)カーバメート系及びオキサジアゾール系化合物(カルバリル、プロポクスル、メトキサジアゾン等)、ピレスロイド系化合物(ピレトリンI、ピレトリンII、シネリンI、シネリンII、ジャスモリンI、ジャスモリンII等の天然ピレスロイド、合成ピレスロイド等)、昆虫成長抑制剤(メトプレン、ジフルベンズロン、ピリプロキシフェン等)等であって、ラウリル硫酸ナトリウム、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、又はドデカオキシエチレンラウリルエーテルのいずれの界面活性剤によっても乳化不可能な油が挙げられる。除草剤の有効成分としては、アセチルCoAカルボキシラーゼ阻害剤(アリルオキシプロピオン酸エステル類、シクロヘキサンジオン類、フェニルピラゾリン類等)、アセト乳酸合成酵素(ALS)阻害(スルホニルウレア類、イミダゾリノン類、トリアゾロピリミジン類、ピリミジニル(チオ)ベンゾエート類、スルホニルアミノカルボニルトリアゾリノン類等)、光合成(光化学系II)阻害(トリアジン類、トリアジノン類、トリアゾリノン類ウラシル類、ピリダジノン類、フェニルカーバメート類、ウレア類、アミド類、ニトリル類、ベンゾチアジアジノン類、フェニルピリダジン類等)、光化学系I電子変換剤(ビピリジウム類等)、プロトポルフィリノーゲン酸化酵素剤(ジフェニルエーテル類、フェニルピラゾール類、N−フェニルフタルイミド類、チアジアゾール類、オキサジアゾール類、トリアゾリノン類、オキサゾリジンジオン類、ピリミジンジオン類、ピラクロニル、プロフルアゾール、フルフェンピルエチル等)、4−ヒドロキシフェニルピルビン酸ジオキシゲナーゼ酵素(4−HPPD)阻害剤(トリケトン類、イソオキサゾール類、ピラゾール類、ベンゾビシクロン等)、カロチノイド生合成(標的部位不明)阻害剤(トリアゾール類、イソオキサゾリジノン類、ウレア類、ジフェニルエーテル類等)、EPSP合成酵素阻害剤(グリシン類等)、グルタミン合成酵素阻害剤(ホスフィン酸類等)、ジヒドロプテロイン酸合成酵素阻害剤(カーバメート等)、微小管重合阻害剤(ジニトロアニリン類、ホスホロアミデート類、ピリジン類、ベンズアミド類、安息香酸類等)、有糸分裂/微小管形成阻害剤(カーバメート類等)、VLCFAの阻害(細胞分裂阻害)剤(クロロアセトアミド類、アセトアミド類、オキシアセトアミド類、テトラゾリノン類、アニロホス、カフェンストロール、ピペロホス等)、細胞壁(セルロース)合成阻害剤(ニトリル類、ベンズアミド類、トリアゾロカルボキサミド類、キノリンカルボン酸類等)、アンカップリング(膜破壊)剤(ジニトロフェノール類等)、脂質合成阻害(非ACCase阻害)剤(チオカーバメート類、ホスホロジチオエート類、ベンゾフラン類、クロロ炭酸類等)、インドール酢酸様活性(合成オーキシン)剤(フェノキシカルボン酸類、安息香酸類、ピリジンカルボン酸類、キノリンカルボン酸類、ベナゾリンエチル等)、オーキシン移動阻害剤(フタラメートセミカルバゾン類等)、除草活性のある物質として炭素数が6〜14の飽和脂肪酸等であって、ラウリル硫酸ナトリウム、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、又はドデカオキシエチレンラウリルエーテルのいずれの界面活性剤によっても乳化不可能な油が挙げられる。殺菌剤の有効成分としてPA殺菌剤(フェニルアミド類、アシルアラニン類、オキサゾリジノン類、ブチロラクトン類等)、ヒドロキシ−(2−アミノ−)ピリミジン類、芳香族ヘテロ環類(イソキサゾール類、イソチアゾロン類等)、カルボン酸類、MBC殺菌剤(メチルベンゾイミダゾールカーバメート、ベンゾイミダゾール類、チオファネート類等)、N−フェニルカーバメート類、ベンズアミド類(トルアミド類)、チアゾールカルボキサミド類(エチルアミノチアゾールカルボキサミド)、フェニルウレア類、ベンズアミド類(ピリジニルメチルベンゾアミド類)、ピリミジンアミン類、ピラゾールカルボキサミド類、コハク酸脱水素酵素阻害剤類(フェニルベンズアミド類、フェニルオキソエチルチオフェンアミド類、ピリジニルエチルベンズアミド類、フランカルボキサミド類、オキサチインカルボキサミド類、チアゾールカルボキサミド類、ピラゾールカルボキサミド類、ピリジンカルボキサミド類等)、QoI殺菌剤(メトキシアクリレート類、メトキシカーバメート類、オキシイミノ酢酸類、オキシイミノアセトアミド類、ジヒドロジオキサジン類、イミダゾリノン類、ベンジルカーバメート類等)、QII殺菌剤(シアノイミダゾール類、スルファモイルトリアゾール類等)、酸化的リン酸化の脱共役剤(ジニトロフェニルクロトン酸類、2,6−ジニトロアニリン類、)、有機スズ化合物(トリフェニルスズ化合物等)、チオフェンカルボキサミド類、QxI殺菌剤(チアゾロピリミジルアミン類等)、AP殺菌剤(アニリノピリミジン類等)、エノピラヌロン酸抗生物質、ヘキソピラノシル抗生物質、グルコピラノシル抗生物質、テトラサイクリン抗生物質、アザ−ナフタレン類(アリルオキシキノリン類、キナゾリノン類等)、PP殺菌剤(フェニルピロール類等)、ジカルボキシイミド類、ホスホロチオレート類、ジチオラン類、AH殺菌剤(芳香族炭化水素類等)、複素芳香族類、カーバメート類、DMI殺菌剤(ピペラジン類、ピリジン類、ピリミジン類、イミダゾール類、トリアゾール類、トリアゾリンチオン類等)、モルフォリン類、ピペリジン類、スピロケタールアミン類、ヒドロキシアニリド類、アミノピラゾリノン類、チオカーバメート類、アリルアミン類、グルコピラノシル抗生物質、ペプチジルピリミジンヌクレオシド、桂皮酸アミド類、バリンアミドカーバメート、マンデル酸アミド、メラニン生合成阻害剤−還元酵素(イソベンゾフラノン類、ピロロキノリノン類、トリアゾロベンゾチアゾール類等)、メラニン生合成阻害剤−脱水酵素(シクロプロパンカルボキサミド類、カルボキサミド類、プロピオンアミド類等)、ベンゾチアジアゾール類、チアジアゾールカルボキサミド類、ラミナリン、オオイタドリ抽出液、シアノアセトアミド−オキシム類、ホスホナート類、フタラミン酸類、ベンゾトリアジン類、ベンゼンスルホン酸類、ピリダジノン類、フェニルアセトアミド、アリルフェニルケトン、チアゾリジン類、ピリミジノンヒドラゾン類、マシン油、有機油、炭酸水素カリウム、天然物起源、ジチオカーバメート類及び類縁体、フタルイミド類、クロロニトリル類、スルファミド類、グアニジン類、トリアジン類、キノン類、キノキサリン類、マレイミド等であって、ラウリル硫酸ナトリウム、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、又はドデカオキシエチレンラウリルエーテルのいずれの界面活性剤によっても乳化不可能な油が挙げられる。上記の殺菌剤、殺虫剤、除草剤は、農薬、医薬部外品等として用いてもよい。ワックスの有効成分としては、カルナバロウ、キャンデリラロウ、コメヌカロウ、ミツロウ、サトウキビロウ、パームロウ、モンタンロウ、鯨ロウ、マトウダイロウ、虫白ロウ、セラック、ラノリン、オレンジラフィー油、ホホバ油等であって、ラウリル硫酸ナトリウム、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、又はドデカオキシエチレンラウリルエーテルのいずれの界面活性剤によっても乳化不可能な油が挙げられる。また、油が空気中に拡散する有効成分として使用される場合があることに鑑みると、乳化不可能な油は、揮発性油(精油等)であることが好ましい。なお、本発明において、ラウリル硫酸ナトリウム、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、又はドデカオキシエチレンラウリルエーテルにより「乳化不可能な油」について乳化可能か不可能化の判断は、以下の方法にて行う。
【0043】
セチルトリメチルアンモニウムクロリド、又はドデカオキシエチレンラウリルエーテルについて、水溶液中の濃度が3.0wt%(質量%)となるように水溶液を調製する。この水溶液と、乳化可能か否かを判断する対象の油とを質量比で1:1となるように混ぜて攪拌し、乳化判断対象の組成物を調製する。これらの操作は、全て25.0℃で行う。組成物の調製時の攪拌条件は、6000rpm、5分間とし、攪拌機はIKA社製のIKA T25 Digital Ultra Tarraxを用いる。乳化の可否判定は、25℃で3日〜5日間静置後、油相分離又は油滴浮上の有無を目視で確認することにより行う。より具体的には、油相分離又は油滴浮上の有無の判断は、油相の比重が水より小さい場合、エマルションの液面にレンズ状の油滴が観察出来るか否かで判断する。比重が水より大きい場合はエマルションの最下部に球状の油滴が観察されるか否かで判断する。なお本発明でいう「乳化できない」、「乳化ができない」あるいは「乳化不可能」の語義は、上記の定められた条件で、油相分離又は油滴浮上があると判断されたものを指す。
【0044】
本発明の油相は、上述の数式(1)及び(2)の条件を満たす油、又はラウリル硫酸ナトリウム、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、もしくはドデカオキシエチレンラウリルエーテルのいずれの界面活性剤によっても乳化不可能な油以外の油を含んでもよく、含まなくてもよい。そのような油としては、エステル油等が挙げられる。しかしながら、このような油(数式(1)及び(2)の条件を満たす油、又はラウリル硫酸ナトリウム、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、もしくはドデカオキシエチレンラウリルエーテルのいずれの界面活性剤によっても乳化不可能な油)の含有量が、全油相の質量に対して多ければ、多いほど、乳化が困難となり、有機溶媒の量を低減しにくくなるが、本発明の乳化組成物によると、このような油の含有量が多くても、乳化することができ、有機溶媒の量を低減することができる。この観点から、本発明の油相は、上述のような数式(1)及び(2)の条件を満たす油、又は、ラウリル硫酸ナトリウム、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、及びドデカオキシエチレンラウリルエーテルのいずれの界面活性剤によっても乳化不可能な油の含有量が、全油相の質量に対して、50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましく、99質量以上であることがより一層好ましく、100質量%であることがさらに好ましい。
【0045】
本発明における乳化組成物全体の質量に対する上記油(数式(1)及び(2)の条件を満たす油、又はラウリル硫酸ナトリウム、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、もしくはドデカオキシエチレンラウリルエーテルのいずれの界面活性剤によっても乳化不可能な油)の含有量は、特に限定されず、乳化組成物の形態や目的に応じて、適宜選択することができる。ただし、通常油の量が過剰であると、乳化しにくくなるが、本発明における乳化組成物によると、油の量が多く入っていても、乳化することができ、有機溶媒の量を低減することができる。この観点において、本発明における乳化組成物全体の質量に対する油(数式(1)及び(2)の条件を満たす油、又はラウリル硫酸ナトリウム、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、もしくはドデカオキシエチレンラウリルエーテルのいずれの界面活性剤によっても乳化不可能な油)の含有量は、1.0質量%以上であることが好ましく、5.0質量%以上であることがより好ましく、10.0質量%以上であることがさらに好ましく、30質量%以上であることがより一層好ましく、50質量%以上であることが最も好ましい。ただし、多すぎると、乳化しにくくなることから、例えば、60質量%以下であることがさらに好ましく、40質量%以下であることがより一層好ましく、35質量%以下であることが最も好ましい。特に、本発明の乳化組成物がO/W型のエマルション構造である場合は、油の含有量が上記範囲内にあることが好ましい。
【0046】
本発明における閉鎖小胞体又は重縮合ポリマーの粒子は、乳化性能に極めて優れる。このため、乳化組成物における水の量は、例えば、10〜90質量%であることが好ましく、20〜80質量%であることがより好ましく、50〜70質量%であることがさらに好ましい。特に、本発明の乳化組成物がO/W型のエマルション構造である場合は、水の含有量が上記範囲内にあることが好ましい。
【0047】
本発明の乳化組成物において、上述のとおり、上記油(数式(1)及び(2)の条件を満たす油、又はラウリル硫酸ナトリウム、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、もしくはドデカオキシエチレンラウリルエーテルのいずれの界面活性剤によっても乳化不可能な油)に対する良溶媒である有機溶媒の含有量を少なくすることができ、具体的には、乳化組成物中の上記油(数式(1)及び(2)の条件を満たす油、又はラウリル硫酸ナトリウム、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、もしくはドデカオキシエチレンラウリルエーテルのいずれの界面活性剤によっても乳化不可能な油)の含有量に対する、該油に対する良溶媒である有機溶媒の含有量の質量比は、25以下(0を含む)とすることができるが、好ましくは、15以下であり、より好ましくは10以下であり、さらに好ましくは、5以下であり、より一層好ましくは、1以下であり、もっと好ましくは0.5以下であり、さらに一層好ましくは、0.1以下であり、最も好ましくは、0(上記有機溶媒を含まない)である。このような有機溶媒の含有量が上記範囲内であっても、本発明の乳化組成物は、上記油(数式(1)及び(2)の条件を満たす油、又はラウリル硫酸ナトリウム、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、もしくはドデカオキシエチレンラウリルエーテルのいずれの界面活性剤によっても乳化不可能な油)を乳化でき、その油を所望の製品の有効成分として使用できる。
【0048】
上記の有機溶媒は、上記油(数式(1)及び(2)の条件を満たす油、又はラウリル硫酸ナトリウム、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、もしくはドデカオキシエチレンラウリルエーテルのいずれの界面活性剤によっても乳化不可能な油)に対する良溶媒であれば特に限定されず、油の種類によって適宜選択されるが、例えば、炭化水素類(トルエン、キシレン類、ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ノルマルヘプタン、スチレン、コールタールナフサ、ミネラルスピリット、石油ベンジン、リモネン、イソパラフィン類、エチルベンゼン、ベンゼン等)、アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、1−プロピルアルコール、イソブチルアルコール、1−ブタノール、2−ブタノール等)、酢酸エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソブチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、酢酸ペンチル等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、イソホロン等)、グリコール類(エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール等)、セロソルブ類(エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノーノルマルブチルエーテル、エチレングリコールモノターシャリーブチルエーテル、酢酸2−メトキシメチル、酢酸2−エトキシエチル等)、他グリコールエーテル類(3−メトキシ−3−メチルブタノール、3−メトキシ−3−メチルブチルアセテート、1−メトキシ−2−プロパノール、1−メトキシプロピル−2−アセテート、1−エトキシ−2−プロパノール、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、3−メトキシブチルアセテート、3−エトキシプロピオン酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル等)、エーテル類(テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等)、塩化炭化水素類(ジクロロメタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、四塩化炭素、1,1,1−トリクロロエタン、1,2−ジクロロプロパン、1,1−ジクロロ−1−フルオロエタン等)、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、カルボン酸メチルエステル混合物、γ−ブチロラクトン、乳酸エチル等が挙げられる。これらのうち、人体に使用することを想定した製品の場合、アルコールの量が低減されることが好ましい。アルコールとしては、例えば、炭素数7以下の低級アルコール(メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールとその異性体、ブタノールとその異性体等)、炭素数8以上の高級アルコール(カプリルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール等)、多価アルコール(エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール等)等が挙げられる。これらのうち、エタノールの含有量が少ないことが好ましい。
【0049】
本発明の乳化組成物は、上記の有機溶媒の含有量が少ないか、又は上記の有機溶媒を含まないことにより、油を製品の有効成分として用いた場合、有機溶媒とともに揮発しにくくなることから、期待される所望の効果を長時間持続させることができる。また、有機溶媒を含むことによる弊害(例えば、アルコールによる刺激等)を抑制することができる。また、本発明の乳化組成物は、有機溶媒の含有量が少ない方が、付着率に優れる。これらのことから、本発明の乳化組成物は、上記油(数式(1)及び(2)の条件を満たす油、又はラウリル硫酸ナトリウム、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、もしくはドデカオキシエチレンラウリルエーテルのいずれの界面活性剤によっても乳化不可能な油)に対する良溶媒である有機溶媒の含有量が少ない方が好ましく、より具体的には、組成物全体の質量に対して20質量%以下であることが好ましく10質量%以下であることがより好ましく、5.0質量%以下であることがさらに好ましく、1.0質量%以下であることがもっと好ましく、0.1質量%以下であることがより一層好ましく、含まないことが最も好ましい。
【0050】
本発明の乳化組成物の用途は、例えば、有効成分を有機溶媒に溶解して使用される製品に適しており、油の種類に応じて適宜その用途を設定できる。具体的には、本発明の乳化組成物の油相に含まれる油が、数式(1)及び(2)の条件を満たす油である場合、忌避剤用、芳香剤用、除草剤用、殺菌剤用又は殺虫剤用として用いることが好ましい。また、本発明の乳化組成物の油相に含まれる油が、ラウリル硫酸ナトリウム、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、又はドデカオキシエチレンラウリルエーテルのいずれの界面活性剤によっても乳化不可能な油である場合、忌避剤用、芳香剤用、除草剤用、殺菌剤用、殺虫剤用、又はワックス用として用いることが好ましい。また、上述のとおり、本発明の乳化組成物は、油が空気中に揮発した際に、長時間有効成分の効果を発揮できることから、揮発性油を有効成分とする製品の用途(有効成分を空気中に拡散させて使用させる用途)に適しており、そのような用途としては、忌避剤用、芳香剤用、殺菌剤用、殺虫剤用等が挙げられる。また、別の観点で、不揮発性油を有効成分として用いる場合、除草剤、ワックスとして用いることに適している。なお、「ワックス」とは、艶出しのための用途を指し、より具体的には、床の艶出し、皮革(革靴等)の艶出し、車のボディ又はタイヤの艶出し等に用いられるものである。
【0051】
本発明において、閉鎖小胞体又は重縮合ポリマーの粒子の他、使用の態様においては界面活性剤や他の乳化剤を併用して含んでもよく、含まなくてもよいが、刺激等を抑えるという観点においては、乳化組成物中の界面活性剤の含有量は、少ない方が好ましく、例えば、乳化組成物全体の質量に対して10質量%以下(5質量%以下、1質量%以下、0.1質量%以下、0.05質量%以下、0.01質量%以下等)であることが好ましく、乳化組成物が界面活性剤を含まない方がより好ましい。
【0052】
本発明における閉鎖小胞体は、自発的に閉鎖小胞体を形成する両親媒性物質により形成される。閉鎖小胞体を形成する両親媒性物質としては、下記の一般式1で表されるポリオキシエチレン硬化ひまし油の誘導体もしくは一般式2で表されるようなジアルキルアンモニウム誘導体、トリアルキルアンモニウム誘導体、テトラアルキルアンモニウム誘導体、ジアルケニルアンモニウム誘導体、トリアルケニルアンモニウム誘導体、又はテトラアルケニルアンモニウム誘導体のハロゲン塩の誘導体を採用するとよい。
【0053】
一般式1
【化1】
【0054】
式中、エチレンオキシドの平均付加モル数であるEは、3〜100である。Eが過大になると、両親媒性物質を溶解する良溶媒の種類が制限されるため、親水性ナノ粒子の製造の自由度が狭まる。Eの上限は好ましくは50であり、より好ましくは40であり、Eの下限は好ましくは5である。
【0055】
一般式2
【化2】
【0056】
式中、R1及びR2は、各々独立して炭素数8〜22のアルキル基又はアルケニル基であり、R3及びR4は、各々独立して水素又は炭素数1〜4のアルキル基であり、XはF、Cl、Br、I又はCHCOOである。
【0057】
あるいは、リン脂質やリン脂質誘導体等を採用してもよい。リン脂質としては、下記の一般式3で示される構成のうち、炭素鎖長12のDLPC(1,2−Dilauroyl−sn−glycero−3−phospho−rac−1−choline)、炭素鎖長14のDMPC(1,2−Dimyristoyl−sn−glycero−3−phospho−rac−1−choline)、炭素鎖長16のDPPC(1,2−Dipalmitoyl−sn−glycero−3−phospho−rac−1−choline)が採用可能である。
【0058】
一般式3
【化3】
【0059】
また、下記の一般式4で示される構成のうち、炭素鎖長12のDLPG(1,2−Dilauroyl−sn−glycero−3−phospho−rac−1−glycerol)のNa塩又はNH塩、炭素鎖長14のDMPG(1,2−Dimyristoyl−sn−glycero−3−phospho−rac−1−glycerol)のNa塩又はNH塩、炭素鎖長16のDPPG(1,2−Dipalmitoyl−sn−glycero−3−phospho−rac−1−glycerol)のNa塩又はNH塩を採用してもよい。
【0060】
一般式4
【化4】
【0061】
また、リン脂質、リン脂質誘導体としては、レシチン(天然レシチン、水添レシチン等)を用いることができる。
【0062】
ポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、ポリグリセリンと直鎖脂肪酸又は分岐脂肪酸のエステルであり、具体的には、モノパルミチン酸ポリグリセリル、ジパルミチン酸ポリグリセリル、トリパルミチン酸ポリグリセリル、モノステアリン酸ポリグリセリル、ジステアリン酸ポリグリセリル、トリステアリン酸ポリグリセリル、モノイソステアリン酸ポリグリセリル、ジイソステアリン酸ポリグリセリル、トリイソステアリン酸ポリグリセリル等が挙げられる。
【0063】
両親媒性物質としては、上記油の乳化力が向上することから、ポリオキシエチレン硬化ひまし油の誘導体(日光ケミカルズ株式会社社製の「HCO−10」、「HCO−30」、「HCO−40」、「HCO−50」、「HCO−100」等)、ポリグリセリン脂肪酸エステルを用いることが好ましい。
【0064】
水酸基を有する重縮合ポリマーは、特に限定されず、天然高分子又は合成高分子のいずれであってもよく、用途に応じて適宜選択されてよい。ただし、安全性に優れ、一般的に安価である点で、天然高分子が好ましく、乳化機能に優れる点で以下に述べる糖ポリマーがより好ましい。なお、粒子とは、重縮合ポリマーが単粒子化したもの、又はその単粒子同士が連なったもののいずれも包含する一方、単粒子化される前の凝集体(網目構造を有する)は包含しない。水酸基を有する重縮合ポリマーは、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0065】
糖ポリマーは、セルロース、デンプン等のグルコシド構造を有するポリマーである。例えば、リボース、キシロース、ラムノース、フコース、グルコース、マンノース、グルクロン酸、グルコン酸等の単糖類の中からいくつかの糖を構成要素として微生物が産生するもの、キサンタンガム、アラビアゴム、グァーガム、カラヤガム、カラギーナン、ペクチン、フコイダン、クインシードガム、トラントガム、ローカストビーンガム、ガラクトマンナン、カードラン、ジェランガム、フコゲル、カゼイン、ゼラチン、デンプン、コラーゲン、シロキクラゲ多糖類等の天然高分子、メチルセルロース、エチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ステアロキシヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、セルロース結晶体、デンプン・アクリル酸ナトリウムグラフト重合体、疎水化ヒドロキシプロピルメチルセルロース等の半合成高分子等が挙げられる。糖ポリマーは、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また、糖ポリマーの他に、水酸基を有する重縮合ポリマーとしては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸塩、ポリエチレンオキシド等の合成高分子が挙げられる。
【0066】
糖ポリマーは、ヒドロキシエチルセルロース、ステアロキシヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、グァーガム、又はこれらの塩を用いることが好ましく、特に、ヒドロキシエチルセルロース、ステアロキシヒドロキシプロピルメチルセルロースを用いることが好ましい。
【0067】
本発明の乳化組成物は、閉鎖小胞体及び重縮合ポリマーの粒子のいずれも含有することが好ましい。これにより、長時間、三相乳化粒子が組成物から浮いてこず、三相乳化粒子が安定に分散した状態を維持できる。また、別の観点で、本発明の乳化組成物は、閉鎖小胞体及び重縮合ポリマーの粒子のうち、閉鎖小胞体を含むことで、より高い乳化安定性が得られる。このことから、本発明の乳化組成物は、閉鎖小胞体を含むことが好ましい。
【0068】
本発明における乳化組成物の内相の平均粒径は、特に限定されず、例えば、0.001μm以上であってもよいが、本発明における乳化組成物は、三相乳化によるものであるため、界面活性剤を利用した従来の乳化と比較すると、平均粒径の大きさを幅広い範囲にすることが可能である。油相の平均粒径は、目的や用途に応じて適宜設定してもよいが、例えば、上記油(数式(1)及び(2)の条件を満たす油、又はラウリル硫酸ナトリウム、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、もしくはドデカオキシエチレンラウリルエーテルのいずれの界面活性剤によっても乳化不可能な油)の乳化力を向上させることを目的として使用する場合、内相の平均粒径は、500μm以下であることが好ましく、250μm以下であることがより好ましく、100μm以下であることがさらに好ましい。なお、内相の平均粒径は、濃厚系対応粒径アナライザーFPAR−1000(大塚電子(株)製)により、測定する。
【0069】
本発明における閉鎖小胞体又は重縮合ポリマー粒子は、例えば、平均粒径8nm〜2000nm程度であってもよいが、粒径が小さい方が、比誘電率が15.0以上である油の乳化力が向上する。このことから、平均粒径は8nm以上800nm以下であることが好ましく、8nm以上500nm以下であることがさらに好ましい。これらの調製方法は、特許第3855203号等に開示されるとおり、三相乳化能を有する粒子の調製方法として従来公知であるため、省略する。
【0070】
閉鎖小胞体又は重縮合ポリマー粒子の量は、油相の量に応じて適宜設定されてよく、特に限定されないが、合計で0.0001〜5質量%であってよい。これにより、上記油(数式(1)及び(2)の条件を満たす油、又はラウリル硫酸ナトリウム、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、もしくはドデカオキシエチレンラウリルエーテルのいずれの界面活性剤によっても乳化不可能な油)を乳化することができ、また、付着率が優れる。従来の界面活性剤と異なり、閉鎖小胞体又は重縮合ポリマー粒子は優れた乳化特性を有するため、5質量%以下(具体的には、4質量%以下、3質量%以下、2質量%以下、1.0質量%以下、0.75質量%以下)という少量でも、乳化状態を維持することができる。なお、上記量は、いずれも固形分含量である。また、閉鎖小胞体又は重縮合ポリマー粒子の量が多い方が、上記油(数式(1)及び(2)の条件を満たす油、又はラウリル硫酸ナトリウム、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、もしくはドデカオキシエチレンラウリルエーテルのいずれの界面活性剤によっても乳化不可能な油)を乳化しやすいことから、乳化組成物全体の質量に対して0.001質量%以上であることが好ましく、0.01質量%以上であることがより好ましく、0.10質量%以上であることが好ましい。乳化をしやすくする観点から、閉鎖小胞体及び/又は重縮合ポリマーの粒子の合計質量と上記油(数式(1)及び(2)の条件を満たす油、又はラウリル硫酸ナトリウム、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、もしくはドデカオキシエチレンラウリルエーテルのいずれの界面活性剤によっても乳化不可能な油)の含有量との質量比において、閉鎖小胞体及び/又は重縮合ポリマーの粒子の合計質量の下限は、0.0001以上:1であることが好ましく、0.001以上:1であることがより好ましく、0.005以上:1であることがさらに好ましく、0.01以上:1であることがより一層好ましく、0.02以上:1であることが最も好ましい。閉鎖小胞体及び/又は重縮合ポリマーの粒子の合計質量と上記油(数式(1)及び(2)の条件を満たす油、又はラウリル硫酸ナトリウム、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、もしくはドデカオキシエチレンラウリルエーテルのいずれの界面活性剤によっても乳化不可能な油)の含有量との質量比において、閉鎖小胞体及び/又は重縮合ポリマーの粒子の合計質量の上限は、例えば、1以下(0.1以下:1、0.01以下:1、0.001以下:1等)等:1であってもよい。
【0071】
また、本発明における乳化組成物は、上記以外の成分の他、pH調整剤、防腐剤、着色剤、抗酸化剤等を含んでもよい。しかし、特にこれに限定されず、含まなくてもよい。
【0072】
乳化組成物は、閉鎖小胞体又は重縮合ポリマー粒子を含む分散液と、油性成分とを混合してO/W型又はW/O型エマルションの組成物を調製することができる。水溶性の任意成分は、乳化前に添加してもよく、乳化後に添加してもよい。
【0073】
<製品>
本発明は、上記の乳化組成物を備える、製品を包含する。
【0074】
本発明の製品は、上記の乳化組成物における油(数式(1)及び(2)の条件を満たす油、又はラウリル硫酸ナトリウム、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、もしくはドデカオキシエチレンラウリルエーテルのいずれの界面活性剤によっても乳化不可能な油)を有効成分として、所望の効果を得るための製品とすることができる。本発明の製品の用途は、例えば、有効成分を有機溶媒に溶解して使用されるものであることに適しており、油の種類に応じて、適宜その用途を設定することができる。具体的には、有効成分が数式(1)及び(2)の条件を満たす油である場合、忌避剤、芳香剤、除草剤、殺菌剤又は殺虫剤として用いることが好ましい。有効成分がラウリル硫酸ナトリウム、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、もしくはドデカオキシエチレンラウリルエーテルのいずれの界面活性剤によっても乳化不可能な油である場合、忌避剤、芳香剤、除草剤、殺菌剤、殺虫剤、又はワックスとして用いることが好ましい。また、上述の乳化組成物の油は、空気中に揮発した際に、長時間有効成分の効果を発揮できることから、揮発性油を有効成分とする製品であることが好ましく、そのような用途としては、忌避剤、芳香剤、殺菌剤、殺虫剤等が挙げられる。また、本発明の製品を忌避剤として用いる場合、より具体的な用途は、特に限定されず、有効成分に応じて適宜設定されるが、例えば、害虫用(蝦等の虫除け用等)又は動物用に用いることができる。忌避剤の用途は、付着性に優れることから、虫除け用等の、人体に適用される用途であることが好ましい。また、忌避剤の用途は、アルコールの含有量を低減でき、刺激を抑制できることから、子供用は敏感肌用として好適に使用できる。
【0075】
本発明の製品の形態は、特に限定されず、例えば、エアゾール剤、ポンプ剤、液剤、塗布剤(軟膏剤、クリーム剤等)、パッチ剤等が挙げられるが、特に、噴霧時の付着性に優れることから、エアゾール剤の形態であることが好ましい。また、製品は、容器に収容されてもよく、用途や目的に応じて適切な容器を選択することができる。
【0076】
本発明におけるエアゾール剤とは、乳化組成物からなる原液と、噴射剤とを含むものである。
【0077】
噴射剤としては、特に限定されないが、圧縮ガス、液化ガス又はこれらの混合ガスを用いることができる。
【0078】
液化ガスとしては、特に限定されないが、例えば、ブタン、プロパン、ジメチルエーテル、フロロカーボン等が挙げられる。これらは、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。乳化組成物がO/W型エマルションの場合、これらのうち、ジメチルエーテルを用いることが好ましい。液化ガスの含有量は、特に限定されず、例えば、液化ガスと原液との合計質量に対し、5〜95質量%であってもよい。液化ガスを用いる場合の圧力は、20℃の温度における圧力が例えば、0.1〜1.0MPaのものを用いることができる。
【0079】
圧縮ガスとしては、特に限定されないが、例えば、N、CO、NO等を使用してもよく、あるいは、空気等の複数のガスの混合物を使用することができる。これらのうち、窒素ガスを用いることが好ましい。圧縮ガスの圧力は、特に限定されないが、例えば、高圧ガス保安法で規定されているとおり、35℃で1MPa未満、かつ、常用温度で1MPa未満(例えば、0.1〜0.91MPa)とすることができる。
【0080】
本発明の製品の製造は、常法にしたがって行うことができる。例えば、本発明の製品をエアゾール剤として用いる場合、準備した乳化組成物からなる原液を、容器に加え、これに噴射剤を充填することで行うことができる。
【0081】
本発明の製品は、エアゾール剤として用いる場合の容器は、特に限定されず、従来の公知のフォーム剤の容器として使用できるものを使用することができる。例えば、金属、樹脂、ガラス等の材質のものを使用することができる。また、必要に応じて、バルブ、アクチュエーター、キャップ等の、従来の公知のエアゾール剤の容器に備え付けられるものを、容器に備えてもよい。
【0082】
<有機溶媒の含有量を低減させる方法>
本発明は、水相と、以下の数式(1)及び(2)の条件を満たす油、を含む油相とを含む組成物を、自発的に閉鎖小胞体を形成する両親媒性物質により形成された閉鎖小胞体及び/又は水酸基を有する重縮合ポリマーの粒子により乳化することによって、組成物中における油の含有量に対する、該油に対する良溶媒である有機溶媒の含有量の質量比を低減させる方法を包含する。
【0083】
【数9】
【数10】
(数式(1)中、γは、水と油との25℃における界面張力を意味し、数式(1)及び(2)中、γcmcは、界面活性剤としてラウリル硫酸ナトリウム、セチルトリメチルアンモニウムクロリド又はドデカオキシエチレンラウリルエーテルを臨界ミセル濃度以上の量で含む界面活性剤水溶液と油との25℃における界面張力を意味する。)
【0084】
上述した本発明の乳化組成物について述べた事項は、本発明の有機溶媒の含有量を低減させる方法にも適用される。すなわち、例えば、乳化組成物中の油相は、ラウリル硫酸ナトリウム、セチルトリメチルアンモニウムクロリド又はドデカオキシエチレンラウリルエーテルのいずれの界面活性剤によっても乳化不可能な油を含むものであってもよい。
【0085】
本発明の有機溶媒の含有量を低減させる方法は、上記乳化組成物中における上記油(数式(1)及び(2)の条件を満たす油、又はラウリル硫酸ナトリウム、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、もしくはドデカオキシエチレンラウリルエーテルのいずれの界面活性剤によっても乳化不可能な油)の含有量に対する、該油に対する良溶媒である有機溶媒の含有量の質量比を、25以下まで低減させるのが好ましく、15以下まで低減させるのがより好ましく、10以下まで低減させるのがより一層好ましく、5以下まで低減させるのがさらに一層好ましく、1以下まで低減させるのがもっと好ましく、0.5以下まで低減させるのがもっと一層好ましく、0.1以下まで低減させるのが特に好ましく、0まで低減させるのが最も好ましい。
【0086】
(乳化剤の選択方法)
本発明は、油について以下の数式(1)及び(2)の条件を満たすか否かを測定し、その結果に基づいて、該油に対する乳化剤として自発的に閉鎖小胞体を形成する両親媒性物質により形成された閉鎖小胞体又は水酸基を有する重縮合ポリマーを選択する方法を包含する。
【0087】
【数11】
【数12】
(数式(1)中、γは、水と油との25℃における界面張力を意味し、数式(1)及び(2)中、γcmcは、界面活性剤としてラウリル硫酸ナトリウム、セチルトリメチルアンモニウムクロリド又はドデカオキシエチレンラウリルエーテルを臨界ミセル濃度以上の量で含む界面活性剤水溶液と油との25℃における界面張力を意味する。)
【0088】
本発明の乳化剤の選択方法によると、油が上記の数式(1)及び(2)の条件を満たすか否かを測定し、油が上記の数式(1)及び(2)の条件を満たさなければ、ラウリル硫酸ナトリウム、セチルトリメチルアンモニウムクロリド又はドデカオキシエチレンラウリルエーテルによる乳化に適さないと判断できるため、そのような油については、乳化剤として三相乳化粒子(すなわち、自発的に閉鎖小胞体を形成する両親媒性物質により形成された閉鎖小胞体又は水酸基を有する重縮合ポリマー)を選択できる。また、油が上記の数式(1)及び(2)の条件を満たすか否かを測定し、油が上記の数式(1)及び(2)の条件を満たすようであれば、ラウリル硫酸ナトリウム、セチルトリメチルアンモニウムクロリド又はドデカオキシエチレンラウリルエーテルによる乳化に適していると判断することができる。
【実施例】
【0089】
<比較例1〜11>
忌避剤の有効成分としてのN,N−ジエチル−3−メチルベンズアミド(DEET)、界面活性剤、水を混合し、比較例1〜11に係る組成物を調製した。界面活性剤はアニオン界面活性剤であるラウリル硫酸ナトリウム(Sodium Dodecylsulfate:SDS、和光純薬工業社製)、カチオン界面活性剤であるセチルトリメチルアンモニウムクロリド(Cetyltrimethylammonium chloride:CTAC、Aldrivh Chem.Comp製)、又は非イオン界面活性剤であるドデカオキシエチレンラウリルエーテル(Dodecaoxyethylenelaurylether C1225(EO)12、EMALEX #712(MW;710)、日本エマルション株式会社製)を用いた。調製したそれぞれの組成物について、乳化状態の観察を行った。表1〜3に、各成分の処方及び観察結果を示す。表1は、アニオン界面活性剤のラウリル硫酸ナトリウム(SDS)、表2は、カチオン界面活性剤のセチルトリメチルアンモニウムクロリド(CTAC)、表3は、非イオン界面活性剤のポリオキシエチレンラウリルエーテル(C12(EO)12)を用いた際の処方及び観察結果を示す。なお、SDSのCMC(臨界ミセル濃度)は、8.2×10−3mol/L=0.236wt%であり、CTACのCMCは1.2×10−3mol/L=0.0458wt%であり、ポリオキシエチレンラウリルエーテルのCMCは3.2×10−4mol/L=0.0227wt%である。
【0090】
【表1】
【0091】
【表2】
【0092】
【表3】
【0093】
表1〜3に示すとおり、アニオン界面活性剤(比較例1〜3)、カチオン界面活性剤(比較例4〜7)、非イオン界面活性剤(比較例8〜11)の3種類について乳化を行ったところ、いずれの系においても乳化現象は認められなかった。
【0094】
<実施例1〜6>
三相乳化粒子の分散液として、0.1質量%ヒドロキシプロピルメチルセルロースステアロキシエーテルの粒子の分散液、5質量%ジステアリン酸ポリグリセリルの閉鎖小胞体の分散液、2.0%ポリオキシエチレン硬化ひまし油の誘導体(HCO−40)の閉鎖小胞体の分散液、0.1質量%ヒドロキシエチルセルロースの粒子の分散液をそれぞれ調製した。これら分散液に対して、DEET、水を加えて攪拌し、O/W型エマルションの実施例1〜6に係る乳化組成物を作製した。実施例1については、0.1質量%ヒドロキシプロピルメチルセルロースステアロキシエーテルの粒子の分散液を用いて作成したが各成分の配合量を変更したものを3つ(実施例1−a、実施例1−b、実施例1−c)作製した。実施例5においては、2.0%ポリオキシエチレン硬化ひまし油の誘導体(HCO−40)の閉鎖小胞体の分散液と、0.1質量%ヒドロキシプロピルメチルセルロースステアロキシエーテルの粒子の分散液とを併用した。実施例6においては、2.0%ポリオキシエチレン硬化ひまし油の誘導体(HCO−40)の閉鎖小胞体の分散液と、0.1質量%ヒドロキシエチルセルロースの粒子の分散液とを併用した。また、対象例1として、エタノールにDEETを溶解し、水と混合したものを対照例1に係る乳化組成物として作製した。これらの処方と、乳化結果及び乳化安定性を表4に示す。表4中、「乳化結果」の項目のうち、油水分離したものを「×」で示し、油水分離せずに安定に乳化できたものを「○」で示す。表4中、「乳化安定性」の項目のうち、乳化状態の保持時間が長かったものを「○」で示し、乳化状態の保持時間が特に長かったものを「◎」で示す。
【0095】
【表4】
【0096】
表4に示すとおり、実施例1〜6において、油水分離せずに乳化できたことが示された。また、閉鎖小胞体を使用した実施例2〜6では、乳化状態の安定性が著しく高かった。これは、閉鎖小胞体の方が重縮合ポリマー粒子よりナノ粒子の密度が小さくて、乳化するのに必要な油との界面張力が重縮合ポリマー粒子より小さくなり、結果的に乳化能が高いことに起因したものと推測される。
【0097】
以上で示す結果より、三相乳化法によると、DEETを安定に乳化でき、界面活性剤によると、十分に乳化できず油水分離してしまうことがわかった。特に、閉鎖小胞体の方が、重縮合ポリマー粒子より、DEETのような油に対する乳化能が高いことがわかった。
【0098】
<実施例7〜9>
三相乳化粒子の分散液として、2質量%DEAE(ヒドロキシエチル−ジアルカノイルメチル−アンモニウム メチルサルフェート)の閉鎖小胞体の分散液、2.0質量%ポリオキシエチレン硬化ひまし油の誘導体(HCO−40)の閉鎖小胞体の分散液、0.1質量%ヒドロキシエチルセルロースの重縮合ポリマー粒子の分散液をそれぞれ調製した。これら分散液に対して、DEET、水を加えて攪拌し、O/W型エマルションの実施例7〜9に係る乳化組成物を調製した。また、三相乳化粒子を含まない水を用いて、対照例2に係る乳化組成物を調製した。この際、油の量を、組成物全体の質量に対して50質量%とした。実施例7〜9に係る乳化組成物について、乳化状態を観察した。また、各組成物のDEETと界面活性剤水溶液との界面張力、界面活性剤水溶液の表面張力も測定した。表5に、各三相乳化粒子の量、界面張力、表面張力及び乳化性の評価を示す。
【0099】
【表5】
【0100】
DEETの含有量を50質量%と多くしても、表8に示すように三相乳化によると安定な乳化が可能であることがわかった。
【0101】
<乳化現象の解析>
上記のように、DEETをラウリル硫酸ナトリウム、セチルトリメチルアンモニウムクロリド及びドデカオキシエチレンラウリルエーテルにより乳化できないことについて、解析を行った。まず、Gibbs式を用いて、界面活性剤の油水界面における濃度は、下記の(3)の式により表すことができる。
【0102】
【数13】
【0103】
ここで、上記式(3)における界面活性剤の含まない場合の水と、界面活性剤を臨界ミセル濃度で含む場合の水との油水界面張力の変化は、下記式(4)のように表すことができる。
【0104】
【数14】
【0105】
上記式(4)について、γを「1」としたときの、界面活性剤の濃度と油水界面張力の関係を図1に示す。図1中、★1が、界面活性剤の濃度が0(含まない)ときの油水界面張力(γ)を示し、★2が、界面活性剤を臨界ミセル濃度以上で水相に含むときの油水界面張力を示す。図1に示すように、界面活性剤を水が臨界ミセル濃度より多く含んでも、油水界面張力はほぼ一定であることがわかる。
【0106】
ここで、界面活性剤を臨界ミセル濃度以上で水相に含むときの界面活性剤の油水界面における吸着量をΓcmcとして、上記式(4)のφcmcを上記(3)の式に代入すると、上記式(3)は下記の式(5)のように表すことができる。
【0107】
【数15】
【0108】
上記の式(5)φcmcにCcmcをかけると、上記式(4)から、以下の式(6)ように示される。
【0109】
【数16】
【0110】
ここで、nは、界面活性剤の化学種の数(ラウリル硫酸ナトリウム n=2、セチルトリメチルアンモニウムクロリド n=2、ドデカオキシエチレンラウリルエーテル n=1)により数値が定まっており、温度を25℃とすると、Rの気体常数も、8.314(J・k−1・mol−1)と定まった値である。また、Tの値も、温度を25℃とすると、273.14+25=298.14(K)、と決まった値となる。
【0111】
したがって、界面活性剤の種類が定まれば、式(6)における変数は、γとγcmcのみであることがわかる。よって、Γcmcの値は、γとγcmcのみに影響を受けることがわかる。
【0112】
ここで、界面活性剤により乳化可能な油は、Γcmcが所定値以上必要であると仮定すると、γとγcmcとの差が所定値以上必要であると仮定される。そこで、後述する表6において、種々の油について、γと、界面活性剤としてラウリル硫酸ナトリウム(SDS)、セチルトリメチルアンモニウムクロリド(CTAC)、又はドデカオキシエチレンラウリルエーテル(C12EO)を用いたときのγcmcを測定し、γとγcmcとの差(表6中の△γ)を、界面活性剤による乳化が可能であるための条件の1つと仮定して算出した。また、同時に、三相乳化粒子としてヒドロキシプロピルメチルセルロースステアロキシエーテルを用いて、これらの油について乳化可能か否かを調べた。その結果を、以下の表6に示す。表中、「×」が乳化できなかったことを示し、「〇」が乳化できたことを示す。また、γ/mNm−1は水と各油との界面張力又は界面活性剤(C12EO、SDS又はCTAC)を臨界ミセル濃度以上で含む水と各油との界面張力(γcmc)を示す。なお、乳化の可否の判定は、以下のとおりの方法で行った。
【0113】
[乳化の可否の判定]
(界面活性剤種)
・ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、アニオン性界面活性剤
・ドデシルオキシエチレンラウリルエーテル(C12EO12)、非イオン界面活性剤
・ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド(CTAC)、カチオン性界面活性剤
【0114】
(乳化判断対象の組成物の調製条件と判定条件)
・調製時の温度:25.0℃
・各界面活性剤水溶液濃度:3.0wt%
・乳化判断対象の組成物の組成:油50.0wt%、上記各界面活性剤水溶液50.0wt%(ただし、表6に示す油のうち、ハロキシホップメチル(※除草剤)、アレスリン、50%フルアジナム/酢酸エチル(※殺菌剤)、及びIcaridin(※忌避剤)は、、乳化判断対象の組成物の組成が、油:濃度30.0wt%、各界面活性剤の水溶液:70.0wt%となるように調製)
・乳化判断対象の組成物の調製時の攪拌条件:6000rpm,5分間(撹拝機 型番IKA T25(IKA社製))
・乳化の可否判定(目視)2人以上の合意により行い、調製後、25℃で、3日〜5日間静置後油相分離又は油滴浮上の有無の確認
【0115】
[界面張力の測定]
界面張力の測定は協和界面株式会社製の測定機DropMaster 700を用いて懸適法で25℃で測定した。測定時には、CCDカメラで懸滴の外形を映像化し、その形から所定式にしたがって、界面張力を自動的に換算して数値化した。
【0116】
【表6】
【0117】
表6に示すように、界面活性剤により乳化できなかった油は、少なくともγとγcmcとの差(Δγ)が18mN・m−1より小さいものが多かった。ただし、トリオレインについてみると、γとγcmcとの差(Δγ)が18mN・m−1より小さいにもかかわらず、界面活性剤により乳化ができていた。トリオレインと他の油の違いについてみると、トリオレインは、γcmc(界面活性剤(C12EO、SDS又はCTAC)を臨界ミセル濃度以上で含む水と各油との界面張力)が、0.5N・m−1より小さいのに対し、それ以外の油については、γcmc(界面活性剤(C12EO、SDS又はCTAC)を臨界ミセル濃度以上で含む水と各油との界面張力)が、0.5以上であった。
【0118】
ここで、乳化現象には、自己乳化現象と自然乳化現象とが知られているところ、自己乳化現象は、油剤が存在しないで、水に界面活性剤や両親媒性物質を入れたとき、自然に分散して、乳白濁化する現象である。一方、自然乳化現象は、一般に「自然乳化、Self emulsification」と呼ばれる現象であり、油水界面張力が0.1mNm−1以下になると、外部から機械的な攪拌等の過剰エネルギーを加えなくても、自然の熱エネルギーだけで、熱力学的に油剤が界面活性剤水溶液中に拡散的に分散する。言い換えると、系のエントロピーによる安定化が起こる。この考え方に基づくと、上記のように、界面活性剤による乳化は、γとγcmcとの差(Δγ)が18mN・m−1より小さくても、γcmc(界面活性剤(C12EO、SDS又はCTAC)を臨界ミセル濃度以上で含む水と各油との界面張力)が、0.5未満である油、つまり、界面活性剤を臨界ミセル濃度以上で水に含んだときの水と油の界面張力がそもそも小さい油であれば、界面活性剤による乳化が可能であると考えられる。
【0119】
以上の結果から、γとγcmcとの差(Δγ)が18mN・m−1以上であり、かつ、γcmcが0.5mN・m−1以上である油、すなわち、以下の式(1)及び(2)で示される条件を満たす油は、界面活性剤により乳化できないことがわかった。
【0120】
【数17】
【数18】
【0121】
これに対し、表6に示す油について、上述の実施例1と同一の三相乳化粒子溶液(つまり、0.1%ヒドロキシプロピルメチルセルロースステアロキシエーテル)を界面活性剤溶液に代わりに用いて、上記の乳化の可否の判定と同様に乳化可能か否かを確認したところ、乳化できることがわかった。
【0122】
このことから、三相乳化粒子によると、上記の式(1)及び(2)の条件を満たす油を乳化できるため、このような油について、有機溶媒を利用せずとも様々な製品に適用できることがわかった。
【0123】
<実施例10、比較例12>
実施例6に係る乳化組成物を原液として、これを耐圧ガラス瓶に収容し、次いで、原液に対して、窒素ガスを0.8MPaとなるように充填し、エアゾール化し、実施例11に係る忌避剤を作製した。原液として、DEET10g、エタノール40g、水50gの合計100gの組成物を用いた点以外は実施例10と同様の手順で、比較例12に係る忌避剤を作製した。
【0124】
実施例10、比較例12に係る忌避剤を用いて、固体表面に対する付着性の評価を行った。
【0125】
測定は、以下の方法で行った。
【0126】
(測定版の準備)
まず、ろ紙(QUALITATIVE ITEM1 600mm×600mm)を1/4に切り、300mm×300mmのサイズにした。次いで、垂直に立たせたアルミ板に、上記ろ紙をクリップで固定した。固定後、アルミ板を天秤の上に置き、0点補正を行った。
【0127】
(付着率の測定)
まず、各々の忌避剤を25℃の恒温水槽に30分以上浸漬し、浸透後、忌避剤を恒温水槽から取り出し、水分をよく拭き取り、忌避剤の容器にアクチュエーターを取り付けて秤量し、この値を「W1」とした。その後、気流の影響を受けない環境で、各々の忌避剤を測定版から20cmの距離に固定し、5秒間噴射した後、ろ紙に付着した内容物を秤量した。この際の天秤の値が内容物の付着量であり、この値を「W2」とした。また、噴射後の忌避剤の重量を容器にアクチュエーターを取り付けた状態で測定し、この値を「W3」とした。これらW1〜W3の値を用いて、付着率を以下の計算式を用いて算出した。
付着率(%)=W2/(W1−W3)×100
【0128】
付着率の測定結果及び忌避剤の内圧を、表7に示す。また、噴霧した粒子の粒径を表8に示す。
【0129】
【表7】
【0130】
【表8】
【0131】
上記の結果から、付着率は、アルコールを用いた比較例12よりも、三相乳化法による実施例10の方が付着率は高かった。粒子径や内圧により、付着率が変動しうることを効力すると、上記の結果は、粒子径及び内圧がいずれもほとんど同じであるにもかかわらず、実施例10の方が付着率は高いことがわかった。これらのことから、アルコールを用いた比較例12より、三相乳化法を用いた実施例10の方が、付着性が高いことが実証された。
【0132】
<実施例11、比較例13>
忌避剤の有効成分として、三相乳化粒子として0.57質量%のヒドロキシプロピルメチルセルロースステアロキシエーテル、DEET10質量%、水89.43質量%の実施例11に係る乳化組成物を作製した。また、比較例13として、模擬的調整したエタノール忌避剤(DEET:10質量%、その他の成分としてエタノール、BG(1,3−ブチレングリコール)、無水ケイ酸、グリセリン脂肪酸エステル含有)を準備した。これらを用いて、耐水性試験1(ヒト上腕内側を対象としたカップシェイク法による試験)を行った。
【0133】
(耐水試験方法1)
まず、サンプル塗布ヒト上腕内側に、実施例11又は比較例13の組成物を20μLを塗布し自然乾燥させた。次いで、直径17.5mmの容器に精製水2mLを入れ、サンプルを塗布した箇所に容器開口部を接触させ密閉した。密閉状態を維持しつつ容器内の精製水を上下に移動させ、これを5往復行った(カップシェイク法)。この試験を、合計4回実施した。カップシェイク法実施後の回収精製水中のDEET濃度をGC(ガスクロマトグラフィー)で定量した。また、サンプル未塗布箇所においても、同様の試験を実施し、これをコントロールとした。その結果を表9に示す。
【0134】
【表9】
【0135】
表9に示すように、比較例13は、カップシェイク(水)により55%溶出したのに対し、実施例11は、カップシェイク(水)による溶出はなかったことがわかった。
【0136】
(耐水試験方法2)
次いで、皮膚透過性因子を考慮しないで試験するために、上記の実施例11、比較例13を用いて、人工皮膚モデルによる耐水試験方法を行った。
【0137】
まず、人工皮膚モデル(BIO SKIN PLATE30代モデル(株式会社ビューラックス製))を一定面積となるように切り出し、切り出した人工皮膚モデル表面に実施例11又は比較例13を20μLずつ滴下し、自然乾燥させた。なお、実施例11、比較例13について、それぞれn=3で実施した。その後、純水1mL×2回で洗浄し洗浄液は全量回収させ、人工皮膚モデルを自然乾燥させた。乾燥後、人工皮膚モデルに付着したDEETをメタノール1mL×2回滴下し全量回収した。DEET溶出液と洗浄液のDEET濃度をGCで定量し、人工皮膚モデルDEET付着量と洗浄によって流されたDEET量を算出した。なお、実施例11、比較例13について、それぞれn=3で実施した。
【0138】
その結果、比較例13においては、洗浄時にDEETが溶出していたことがわかった。これに対し、実施例11においては、洗浄液中にDEETがなく、人工皮膚モデルにDEETが残存していることがわかった。
【0139】
以上の結果から、三相乳化にる乳化組成物は、皮膚に塗布後の耐水性が向上することがわかった。
【0140】
(三次元皮膚モデルを使用した細胞生存率比較試験)
実施例11、比較例13を用いて、細胞生存率比較試験を行った。また、実施例11と比較例13について、それぞれDEET未配合のものを準備した。
【0141】
まず、三次元皮膚モデルにそれぞれのサンプルを25μL/well塗布した。次いで、サンプル塗布1時間後(後培養なし)の細胞生存率を測定した。その結果を、図2に示す。
【0142】
図2に示すように、DEET未配合のもの同士の比較では、比較例13のDEET未配合品より実施例11のDEET未配合品の方が有意に細胞生存率が高かった。具体的には、25%細胞生存率が高かった。他方、DEETを配合すると比較例13、実施例11そもに細胞生存率は約50%低下したものの、細胞生存率は、実施例11の方が高かった。この結果より、DEETを配合しても三相乳化したものの方が有意に細胞生存率が高かったことがわかった。
【0143】
(ヒトを対象とした皮膚水分量と経皮水分蒸散量)
実施例11、比較例13を用いて、皮膚水分量と経皮水分蒸散量を測定した。試験部位はヒト上腕内側とした。まず、ヒト上腕内側の特定箇所の皮膚水分量と経皮水分蒸散量を測定し、当該特定箇所にサンプル20μLを塗布し自然乾燥させた。その後、サンプルを塗布した箇所の皮膚水分量と経皮水分蒸散量を測定した。その結果を、図3図4に示す。
【0144】
図3に示すように、サンプル塗布前後の水分量は、比較例13においては、2時間後に塗布前より水分減少した。これは、アルコールによる肌荒れが原因と考えられる。これに対し、実施例11においては、2時間後も塗布前と同じ水分量であった。また、図4に示すように、サンプル塗布前後の経皮水分蒸散量は、比較例13においては、肌からの水分蒸散量が増加した。これは、アルコールによる肌ダメージが原因と考えられる。これに対し、実施例11においては、肌からの水分蒸散量が減少した。これは、三相乳化により水分蒸散量を抑制されたからと考えられる。
【0145】
<忌避効果の評価>
上述の実施例10と比較例12に係る忌避剤を用いて、忌避効果の評価を行った。
【0146】
[試験対象虫及び試験場]
試験対象虫及び試験場は以下のとおりとした。
試験場所:一般財団法人 日本環境衛生センター 4F 生物試験室C
試験対象虫(供試虫):ヒトスジシマカ Aedes albopictus(医科研コロニー、羽化6〜13日齢 雌成虫 1群 10匹、上記のセンターで累代飼育中の集団)
【0147】
[忌避効力試験(人腕を用いた吸血阻止効力試験]
評価の手順は、以下の手順及び条件で行った。
【0148】
まず、吸血体勢を示す供試虫を吸虫管を用いて選別捕集し、両端にガーゼ蓋をした直径4cm、長さ12.5cmのガラスリング内に10匹ずつ放した。次いで、被験者の前腕部(肘〜手首の間)に、供試検体を2mg/cmの割合で指先で均一に塗り広げた。なお、被験者の処理範囲及び忌避剤の処理量は以下のとおりとした。
・被験者I(53歳女性):約364.5cmの範囲に、供試薬剤(実施例10又は比較例12に係る忌避剤)を0.73g処理
・被験者II(36歳男性):約494cmの範囲に、供試薬剤(実施例10又は比較例12に係る忌避剤)を0.99g処理
・被験者III(28歳女性):約390cmの範囲に、供試薬剤(実施例10又は比較例12に係る忌避剤)を0.78g処理
【0149】
忌避剤の塗布2、4、6、8時間後に、供試虫を入れた上記ガラスリングの一方のガーゼ蓋を外して、その開口部を薬剤塗布面に押し付け、10分聞の吸血個体数を数えた。忌避剤を塗布していない上腕部を無処理対照区として、上記と同様の試験を処理区試験の前後いずれかに実施した。なお、この試験は被験者1名を1反復として、合計3反復行った。また、供試虫は試験毎に別の未吸血個体を使用した。さらに、ガラス管を押しつける位置は試験毎に変更し、一度試験に使用した範囲は再使用しなかった。得られた結果から、以下の計算式で忌避指数を算出した。
忌避指数={1−(T/C)}×100
T:検体区の吸血率 C:無処理対照区の吸血率
【0150】
評価結果を、以下の表10、表11に示す。
【0151】
【表10】
【0152】
【表11】
【0153】
表10、11に示すように、実施例10及び比較例12に係る忌避剤の吸血率は、塗布8時問後まですべて0%となり、無処理対照区の吸血率から算出した忌避指数は、100となった。
【0154】
以上の結果から、実施例10は、比較例11に係る忌避剤と同様に、ヒトスジシマカに対して高い忌避(吸血阻止)効果が得られることがわかった。
【0155】
忌避剤のような用途の製品は、有効成分の油が揮発性油であり、揮発させて空気中に拡散することで、効果を発揮する。そのため、揮発性の高い有機溶媒を用いて、有機溶媒とともに空気中に拡散させることで、高い所望の効果を得ることが期待される。このことから、上述の実施例10のような忌避剤の場合、有機溶媒を用いず、溶媒として水のみを用いることと閉鎖小胞体又は重縮合ポリマー粒子がDEET表面を覆っていることでDEET自体の揮発を抑制しているため、有効成分であるDEETの空気中に拡散する能力が低くなり、本来の忌避剤としての効果が低下することが予想される。しかしながら、予想外なことに、実施例10のような忌避剤は、有機溶媒を含まないにもかかわらず、有機溶媒(アルコール)を含む比較例12に係る忌避剤と同様の忌避効果を奏することがわかった。この結果から、三相乳化粒子で有効成分を乳化して得られた乳化組成物を忌避剤として用いることで、有機溶媒であるアルコールの量を低減させつつ、所望の効果を得られることがわかった。この結果から、さらに時間を延長して試験をすることで実施例10の方が忌避効果が長時間保持されることが考えられる。
【0156】
<実施例12及び比較例14>
<芳香剤の調製及び官能性試験>
芳香剤の有効成分である香料(ラウリル硫酸ナトリウム、セチルトリメチルアンモニウムクロリド及びドデカオキシエチレンラウリルエーテルにより乳化できなかったもの)を3質量%となるように配合し、三相乳化粒子として0.1%ヒドロキシプロピルメチルセルロースステアロキシエーテルを用いてO/W型の乳化組成物を調製し、これを実施例12に係る芳香剤とした。また、実施例12と同様の芳香剤と、エタノールをそれぞれ3質量%となるように水と混合して、比較例14に係る芳香剤を調製した。
【0157】
実施例12又は比較例14に係る芳香剤をろ紙に塗布して官能試験で匂いの強さを測定した。より具体的には、8cm角のろ紙に実施例12又は比較例14に係る芳香剤0.1%ヒドロキシプロピルメチルセルロースステアロキシエーテルを0.5gを満遍なく塗布し室温で放置した。その後、女性4名、男性2名で官能試験を実施して匂いの強さをスコア化した。スコアは、以下のとおりの基準とした。
匂い無 :0
微かに匂う:1
匂う :2
強く匂う :3
【0158】
評価結果を図5に示す。図5に示すとおり、実施例12に係る芳香剤の方が、比較例14に係る芳香剤より、匂いの持続時間が長いことがわかった。特に、三相乳化品である実施例12に係る芳香剤は24時間後でもろ紙に香りが残っていた。このことから、芳香剤のような揮発性油を有効成分とする用途の製品において、三相乳化粒子を使用することで、有機溶媒を使用するものより期待される効果が長時間持続することがわかった。
【0159】
<芳香剤の調製及び徐放性試験>
<実施例13、比較例16、比較例17>
芳香剤の有効成分である香料(ラウリル硫酸ナトリウム、セチルトリメチルアンモニウムクロリド及びドデカオキシエチレンラウリルエーテルにより乳化できなかったもの)を0.2質量%(乳化組成物における終濃度)となるように配合し、三相乳化粒子としてポリオキシエチレン硬化ひまし油の誘導体(HCO−30、日光ケミカルズ株式会社社製)の閉鎖小胞体の分散液を用いてO/W型の乳化組成物(閉鎖小胞体の終濃度:0.04質量%)を調製し、これを実施例13に係る芳香剤とした。
【0160】
また、乳化剤として三相乳化粒子の代わりに0.02質量%(乳化組成物における終濃度)のポリオキシエチレン硬化ひまし油の誘導体(HCO−30、日光ケミカルズ株式会社社製)を閉鎖小胞体化(粒子化)することなく用いた点以外は、実施例13と同様の手順でO/W型の乳化組成物を調製し、これを比較例16に係る芳香剤とした。
【0161】
また、実施例13に係る芳香剤と同様の芳香剤を0.2質量%と、エタノールが99.8質量%となるようにそれぞれ水と混合して、比較例17に係る芳香剤を調製した。
【0162】
それぞれの芳香剤をろ紙に同量滴下し、官能試験で匂いの強さを測定した。具体的には、・8cm角のろ紙にサンプル0.5gを満遍なく塗布し室温で放置し、女性3名、男性1名で官能試験を実施して匂いの強さをスコア化した。その結果を図6に示す。
【0163】
図6に示すように、三相乳化品である実施例13に係る芳香剤は、比較例16、比較例17より経時的に香料が残っていることから、徐放性を有することがわかった。
【0164】
<実施例14〜実施例17、比較例18〜比較例21>
芳香剤の有効成分である香料R(ラウリル硫酸ナトリウム、セチルトリメチルアンモニウムクロリド及びドデカオキシエチレンラウリルエーテルにより乳化できなかったもの)を1.0質量%となるように配合し、三相乳化粒子としててポリオキシエチレン硬化ひまし油の誘導体(HCO−40、日光ケミカルズ株式会社社製)の閉鎖小胞体の分散液を用いてO/W型の乳化組成物(閉鎖小胞体の終濃度:1.0質量%)を調製し、これを実施例14に係る芳香剤とした。また、芳香剤の有効成分G(ラウリル硫酸ナトリウム、セチルトリメチルアンモニウムクロリド及びドデカオキシエチレンラウリルエーテルにより乳化できなかったもの)が1.0質量%、エタノールが5質量%となるように水と混合して、比較例18に係る芳香剤を調製した。また、芳香剤の有効成分である香料Gが1.0質量%、エタノールが20質量%となるように水と混合して、比較例19に係る芳香剤を調製した。
【0165】
芳香剤の有効成分である香料Gを1.0質量%となるように配合し、三相乳化粒子としてポリオキシエチレン硬化ひまし油の誘導体(HCO−40、日光ケミカルズ株式会社社製)の閉鎖小胞体の分散液を用いてO/W型の乳化組成物(閉鎖小胞体の終濃度:1.0質量%)を調製し、これを実施例15に係る芳香剤とした。また、芳香剤の有効成分Rが1.0質量%、エタノールが5.0質量%となるように水と混合して、比較例20に係る芳香剤を調製した。また、芳香剤の有効成分である香料Rが1.0質量%、エタノールが20質量%となるように水と混合して、比較例21に係る芳香剤を調製した。
【0166】
実施例14と比較例18に係る芳香剤を混合し、実施例13と同様の手順で、香料Rと香料Gの匂いの強さを評価した。スコア化は、スコアが高いほど、三相乳化品の香料の香りが強いようにスコア化を行った。実施例14と比較例19、実施例15と比較例20、実施例15と比較例21についても同様に評価を行った。実施例14に係る芳香剤と比較例18に係る芳香剤を混合した結果を図7に、実施例14に係る芳香剤と比較例19に係る芳香剤を混合した結果を図8に、実施例15に係る芳香剤と比較例20に係る芳香剤を混合した結果を図9に、実施例15に係る芳香剤と比較例21に係る芳香剤を混合した結果を図10に示す。
【0167】
図7、8に示すように、香料Rについて、時間が経過したときの匂いの強さが三相乳化品の方が高くなった。また、図9、10に示すように、香料Gについて、時間が経過したときの匂いの強さが三相乳化品の方が高くなった。このように、三相乳化物の香料とエタノールの香料を逆にしても三相乳化品の方が高い徐放性を発揮したことから、三相乳化粒子を使用することで、有機溶媒を使用するものより徐放性を発揮することがわかった。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2017年8月22日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0102
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0102】
【数13】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0107
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0107】
【数15】
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0109
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0109】
【数16】