【課題】本発明の目的は、切除領域が搬送ローラ対にニップされないときでも、適正に用紙を裁断できる用紙裁断装置を提供することであり、さらに、前記裁断により生じた不要部分である切除片を、搬送経路上の下流部に移送することなく、裁断部下方の切除片箱に落下させて確実に回収することである。
【解決手段】前記用紙裁断装置は、用紙を搬送する用紙搬送手段と、前記用紙を用紙の搬送方向と直交する幅方向に裁断する裁断手段と、前記裁断時に用紙を搬送経路上に保持する用紙保持手段とを設けてなることを特徴とするものである。
用紙を搬送する用紙搬送手段と、前記用紙を用紙の搬送方向と直交する幅方向に裁断する裁断手段と、前記用紙の裁断位置を挟んで用紙搬送方向の上流側及び/又は下流側に配置され、前記裁断時に用紙を搬送経路上に保持する用紙保持手段と、を設けてなることを特徴とする用紙裁断装置。
前記用紙保持手段は、用紙の搬送経路上側に設置される固定押さえ部材と、前記用紙の搬送経路を隔てて下側に、前記固定押さえ部材と対向するように設置されると共に、前記固定押さえ部材に対して接離自在に設けられた可動押さえ部材と、からなることを特徴とする請求項1に記載の用紙裁断装置。
前記裁断手段は、用紙搬送経路を介して、固定刃と、前記固定刃に対して上下方向に往復移動することにより用紙を裁断する可動刃とを対向配置することにより構成されることを特徴とする請求項1乃至請求項5に記載の用紙裁断装置。
前記裁断手段は、用紙搬送方向と直交する幅方向に移動することにより用紙を裁断する一対の回転刃を有し、前記一対の回転刃は、用紙搬送経路を介して、上側に配置される上側回転刃と、下側に配置される下側回転刃とを対向配置することにより構成されることを特徴とする請求項1乃至請求項5に記載の用紙裁断装置。
用紙を搬送し、前記用紙を用紙搬送方向と直交する幅方向に裁断する用紙裁断方法において、前記裁断時においては、前記用紙の搬送を前記裁断位置で停止し、用紙を搬送経路上に保持した状態にて、裁断することを特徴とする用紙裁断方法。
前記裁断時においては、用紙搬送経路上側に設置される固定押さえ部材に対して、前記用紙搬送経路を隔てて下側に、前記固定押さえ部材と対向するように設置されると共に、前記固定押さえ部材に対して接離自在に設けられた可動押さえ部材を押圧し、用紙を可動押さえ部材と固定押さえ部材との間に挟持状態とすることを特徴とする請求項8に記載の用紙裁断方法。
用紙搬送時においては、用紙搬送経路を介して上下に対向配置されると共に、裁断位置を挟んで用紙搬送方向の上流側及び下流側にそれぞれ配置された一対の搬送ローラによって用紙を搬送し、前記裁断時において、前記用紙が前記上流側及び下流側に配置される各一対の搬送ローラの両方にニップされているときは、用紙を搬送経路上に保持することなく裁断することを特徴とする請求項8又は請求項9に記載の用紙裁断方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の裁断装置は、用紙の所定部分を印刷部分から分離し、切除する際に、この切除部分の搬送方向長さが短い場合には、裁断刃の前後にある搬送ローラ対にこの切除部分がニップされなくなり、用紙が不安定となるため適正な裁断が行えない不具合が生じることがあった。特に、比較的厚手の用紙を高速で裁断処理する場合には、用紙と可動側の一方の裁断刃との接触による衝撃で、可動側裁断刃が他方の裁断刃から離れる方向に移動し、裁断途中で裁断できなくなり、両裁断刃の間に用紙が挟まって折れ曲がる等の不具合が生じ得る。
【0005】
又、前記裁断時に用紙の切除部分がニップされない場合の問題点を解決する施策として、上記特許文献2に記載の裁断装置のように、裁断刃の前後にある搬送ローラ対の内側に接離自在な押圧部材を備えて、裁断時に用紙を押さえながらカッター(裁断刃)で裁断することも考えられるが、前記裁断により生じた不要部分である切除片は、搬送経路上に残ってしまうか又は、加工品と共に、搬送経路下流側に搬送されてしまう。
【0006】
本発明の目的は、切除領域が搬送ローラ対にニップされないときでも、適正に用紙を裁断できる用紙裁断装置を提供することであり、さらに、前記裁断により生じた不要部分である切除片を、搬送経路上の下流部に移送することなく、裁断部下方の切除片箱に落下させて確実に回収することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、用紙を搬送する用紙搬送手段と、前記用紙を用紙の搬送方向と直交する幅方向に裁断する裁断手段と、前記用紙の裁断位置を挟んで用紙搬送方向の上流側及び/又は下流側に配置され、前記裁断時に用紙を搬送経路上に保持する用紙保持手段と、を設けてなることを特徴とするものである。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1に記載の用紙裁断装置において、前記用紙保持手段は、用紙の搬送経路上側に設置される固定押さえ部材と、前記用紙の搬送経路を隔てて下側に、前記固定押さえ部材と対向するように設置されると共に、前記固定押さえ部材に対して接離自在に設けられた可動押さえ部材と、からなることを特徴とするものである。
【0009】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の用紙裁断装置において、前記可動押さえ部材を、固定押さえ部材に押圧する押圧位置と、固定押さえ部材から退避させる退避位置とに選択的に移動させる制御手段を備え、前記押圧位置においては、前記裁断時において用紙を可動押さえ部材と固定押さえ部材との間に挟持状態に押圧し、又、前記退避位置においては、用紙を下流に搬送するために、可動押さえ部材と固定押さえ部材との間に隙間を形成することを特徴とするものである。
【0010】
請求項4記載の発明は、請求項3に記載の用紙裁断装置において、前記用紙を裁断した後の不要部分を下方に廃棄するための廃棄位置をさらに備え、前記制御手段は、前記可動押さえ部材を廃棄位置に選択的に移動させることを特徴とするものである。
【0011】
請求項5記載の発明は、請求項2乃至請求項4に記載の用紙裁断装置において、前記可動押さえ部材は、可動押さえ部材の先端側を上下方向に回動自在に配設された回動部材であることを特徴とするものである。
【0012】
請求項6記載の発明は、請求項1乃至請求項5に記載の用紙裁断装置において、前記裁断手段は、用紙搬送経路を介して、固定刃と、前記固定刃に対して上下方向に往復移動することにより用紙を裁断する可動刃とを対向配置することにより構成されることを特徴とするものである。
【0013】
請求項7記載の発明は、請求項1乃至請求項5に記載の用紙裁断装置において、前記裁断手段は、用紙搬送方向と直交する幅方向に移動することにより用紙を裁断する一対の回転刃を有し、前記一対の回転刃は、用紙搬送経路を介して、上側に配置される上側回転刃と、下側に配置される下側回転刃とを対向配置することを特徴とするものである。
【0014】
請求項8記載の発明は、用紙を搬送し、前記用紙を用紙搬送方向と直交する幅方向に裁断する用紙裁断方法において、前記裁断時においては、前記用紙の搬送を前記裁断位置で停止し、用紙を搬送経路上に保持した状態にて、裁断することを特徴とするものである。
【0015】
請求項9記載の発明は、請求項8に記載の用紙裁断方法において、前記裁断時においては、用紙搬送経路上側に設置される固定押さえ部材に対して、前記用紙搬送経路を隔てて下側に、前記固定押さえ部材と対向するように設置されると共に、前記固定押さえ部材に対して接離自在に設けられた可動押さえ部材を押圧し、用紙を可動押さえ部材と固定押さえ部材との間に挟持状態とすることを特徴とするものである。
【0016】
請求項10記載の発明は、請求項8又は請求項9に記載の用紙裁断方法において、用紙搬送時においては、用紙搬送経路を介して上下に対向配置されると共に、裁断位置を挟んで用紙搬送方向の上流側及び下流側にそれぞれ配置された一対の搬送ローラによって用紙を搬送し、前記裁断時において、前記用紙が前記上流側及び下流側に配置される各一対の搬送ローラの両方にニップされているときは、用紙を搬送経路上に保持することなく裁断することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0017】
請求項1記載の発明によれば、切除領域が搬送ローラ対にニップされないときでも、用紙保持手段により、裁断時に用紙を搬送経路上に保持する為、適正に用紙を裁断することができる。
【0018】
請求項2記載の発明によれば、固定押さえ部材と接離自在な可動押さえ部材とからなる簡易な構成により、裁断時に用紙を搬送経路上に保持する用紙保持手段を実現することができる。
【0019】
請求項3記載の発明によれば、押圧位置と退避位置を備え、前記退避位置においては、用紙を通紙できる程度の最小限の隙間を形成する。したがって、効率良く、用紙の搬送及び経路上への保持を切替えることができる。
【0020】
請求項4記載の発明によれば、押圧位置と退避位置以外に、廃棄位置をさらに備えた為、
用紙を裁断した後の不要部分を確実に下方に廃棄することができる。
【0021】
請求項5記載の発明によれば、可動押さえ部材を、可動押さえ部材の先端側を上下方向に回動自在に配設された回動部材で構成することにより、押圧位置、退避位置及び、廃棄位置を容易に切替えることができる。
【0022】
請求項6記載の発明によれば、用紙裁断装置において、前記裁断手段は、用紙搬送経路を介して、固定刃と、前記固定刃に対して往復移動することにより用紙を裁断する可動刃とを対向配置することにより、安価に構成することができる。
【0023】
請求項7記載の発明によれば、前記裁断手段は、用紙搬送方向と直交する幅方向に移動することにより用紙を裁断する一対の回転刃を有し、前記一対の回転刃は、用紙搬送経路を介して、上側に配置される上側回転刃と、下側に配置される下側回転刃とを対向配置することにより、搬送される用紙幅が大きくなっても裁断刃の反り等による裁断精度上の問題がない。
【0024】
請求項8記載の発明によれば、切除領域が搬送ローラ対にニップされないときでも、用紙保持手段により、裁断時に用紙を搬送経路上に保持する為、適正に用紙を裁断することができる。
【0025】
請求項9記載の発明によれば、固定押さえ部材と接離自在な可動押さえ部材とからなる簡易な構成により、裁断時に用紙を搬送経路上に保持する用紙保持手段を実現することができる。
【0026】
請求項10記載の発明によれば、裁断時において用紙が上流側及び下流側に配置される各一対の搬送ローラの両方にニップされているときは、用紙保持手段により用紙を搬送経路上に保持することなく、裁断手段で裁断することにより、可動押さえ部材の回動に要する時間分を短縮することができ、その結果、用紙裁断装置としての処理速度がUPする。
【発明を実施するための形態】
【0028】
[用紙加工装置100の全体構成]
図1は本発明に係る用紙裁断装置を備えた用紙加工装置の模式縦断面図である。この
図1において、用紙加工装置100は、装置本体1の用紙Zの搬送方向Fの上流端部に給紙部3を備え、搬送方向Fの下流端部に紙受け部2を備え、該給紙部3と紙受け部2との間に、略水平な搬送経路5が構成されている。給紙部3には給紙ローラ対8が配置され、搬送経路5には、複数の搬送ローラ対9、10、11、12、13等が搬送方向Fに間隔をおいて配置されると共に、主たる加工機構として、用紙搬送上流側から用紙搬送下流側に向けて、スリット形成機構20、折り型形成機構21及び裁断機構22が配置されている。裁断機構22、搬送ローラ対12、13及び、用紙保持手段70は裁断装置101を構成している。また、装置本体1内の下端部には、スリット、裁断等の加工により発生する屑紙である切除片Jを収容する切除片箱23が配置されている。
【0029】
スリット形成機構20の用紙搬送上流側には、読取手段26及びリジェクト機構25が配置され、スリット形成機構20の用紙搬送下流側には、切除片落とし機構27が配置されている。スリット形成機構20、折り型形成機構21及び裁断機構22は、それぞれ着脱可能なユニットとして構成されており、カセット方式により、装置本体1内の所望の位置に着脱できる構造となっている。したがって、加工の種類に応じて、各機構20,21,22の配置順序を変更したり、あるいは他の機構(面取り機構、ミシン目形成機構等)と取り替えたり、追加したりすることができる。
【0030】
各搬送ローラ対9,10,11,12,13は、動力伝達機構を介して各ローラ駆動部41、42,43,44にそれぞれ連結されており、各ローラ駆動部41,42,43,44は制御部45に電気的に接続されている。制御部45には、CPUや、RAM及びROM等の記憶装置が内蔵されており、制御部45のインターフェースには、各種作業設定情報を入力し、かつ、表示するための操作パネル46並びに読取手段26が電気的に接続されている。
【0031】
搬送経路5には、さらに、用紙Zの前端縁(用紙搬送下流端縁)Zaあるいは用紙後端縁(用紙搬送上流端縁)Zbを検出する複数の光透過式の用紙検出センサー31,32,33,34、35が配置されており、それぞれ制御部45のインターフェースに電気的に接続されている。最も用紙搬送上流側の第1の用紙検出センサー31は、読取手段26の用紙搬送上流側近傍に配置され、次の第2の用紙検出センサー32は、スリット形成機構20の用紙搬送上流側近傍に配置され、次の第3の用紙検出センサー33は,スリット形成機構20の途中に配置され、次の第4の用紙検出センサー34は、折り型形成機構21の用紙搬送上流側近傍に配置され、最も用紙搬送下流側の第5の用紙検出センサー35は、紙受け部2の用紙搬送上流側近傍に配置されている。
【0032】
最も搬送方向上流側の第1の用紙検出センサー31は、給紙部3から用紙Zが供給された後、搬送ローラ対9で把持された用紙Zの前端縁Za又は後端縁Zbを検出し、検出した用紙位置を基準にして、搬送経路5上で搬送されている各用紙Zの位置を一義的に検出する。
【0033】
第2の用紙検出センサー32及び第3の用紙検出センサー33は、用紙Zの詰まりを検出する。第4の用紙検出センサー34は、搬送経路5が長くなって搬送経路5上の用紙Zの搬送方向Fの位置ずれ(搬送誤差)の累積が起こった場合に備えて、第1の用紙検出センサー31で得られた用紙位置情報を修正して、当該用紙位置情報をより正確なものにするために補助的に設置している。第5の用紙検出センサー35は、紙受け部2への加工品Qの搬出を検出したり、詰まり等を検出する。
【0034】
[給紙部3]
給紙部3は、吸引搬送ベルト機構を内蔵しており、給紙トレイ3a上に積載された所定枚数の用紙Zを、吸引搬送ベルト機構8a及び給紙ローラ対8により、上端から順に、一枚ずつ搬送経路5に供給する。給紙ローラ対8のうち下方の給紙ローラ8b及び吸引搬送ベルト機構8aは、給紙用駆動部47に接続され、該給紙用駆動部47は制御部45に電気的に接続されている。
【0035】
[読取手段26]
読取手段26は、前記操作パネル46による各種作業設定情報の手動入力とは別に、自動的に作業設定情報を読み取ることができるように設置されている。具体的には、
図8に示すような用紙Zの前端隅部に印刷された位置マークM1の画像を読み取って、用紙Zの搬送方向F及び搬送方向Fと直交する用紙搬送幅方向Wの加工の基準位置を検出するとともに、用紙Zの前端部に印刷されたバーコードM2の画像を読み取って用紙Zに施されるべき各種作業設定情報を取得するCCDセンサー等により構成される。作業設定情報としては、たとえば、用紙Zの搬送方向Fの全長La及び全幅Waに加え、加工されることで得られる加工品Qの寸法、数及び配置に応じた折り線Gの位置情報、用紙Zの裁断位置情報、及び各裁断位置情報に対応した裁断速度情報等が挙げられる。
【0036】
[リジェクト機構25]
図1のリジェクト機構25は、印刷された位置マークM1やバーコードM2が不鮮明であるために読取手段26による読取が不能であった場合、その用紙Zに対して、作動し、読取不能の用紙Zを落下させて廃棄トレイ25aで回収する。
【0037】
[スリット形成機構20]
スリット形成機構20は、搬送方向Fに3つのユニット部を並べており、各ユニット部には、上下の回転刃からなる回転刃対36が、それぞれ搬送幅方向Wに間隔を置いて2組ずつ配置されている。下側の回転刃は、動力伝達機構を介してモータ等の回転刃駆動部48に連結されている。すなわち、回転刃駆動部48の駆動力で下側の各回転刃を回転させることにより、用紙Zに対して、搬送方向Fと平行にスリットを形成するようになっている。前記各回転刃対36の搬送幅方向Wの間隔は任意に変更可能である。
【0038】
[切除片落とし機構27]
切除片落とし機構27は、前記スリット形成機構20の裁断によって生じる搬送方向Fに沿った切除片(
図8の切除領域Kl)を、搬送経路5の下方に排除するためのものであり、用紙Zが切除片落とし機構27を通過する際に、前記切除片Jを切除片箱23へ落下させる。
【0039】
[折り型形成機構21]
折り型形成機構21は、上端凹部を有する下型21Bと、前記凹部に嵌合する下端凸部を有する上型21Aとを備えており、前記上型21Aは、モータ等の折り型駆動部49に動力伝達機構を介して連結されている。すなわち、折り型駆動部49の駆動力で上型21Aを下降させることにより、用紙Zに対して、搬送方向Fと直交する用紙搬送幅方向Wに折り目を形成する。
【0040】
[裁断機構22]
前記給紙部3により一枚ずつ搬送経路5に供給された用紙Zを、裁断刃を有する裁断手段により、用紙搬送方向Fと直交する幅方向Wに裁断する。尚、裁断機構22の具体例については、別途後述する。
【0041】
[用紙の加工品配列パターン]
図8に示す加工品Qの配列パターンは、一枚の用紙Zから折り目を有する4枚の加工品Qを製作するようになっている。基本的には、搬送方向Fと平行に延びる4本のスリット線Sと、用紙搬送幅方向Wに延びる4本の折り線G及び8本の裁断線Cが設定されている。裁断線Cは、前裁断線Cf、中間裁断線Cm1、Cm2、後裁断線Crからなる。搬送方向Fにおける位置が等しい折り線Gまたは裁断線Cは、一回のクリース処理または裁断処理によって同時に形成される。これらのスリット線S及び裁断線Cで用紙Zを裁断し、折り線Gで折り目を形成することにより、折り目を有する4枚の加工品Qを製作する。
【0042】
[用紙加工装置100の全体作業の概要]
(1)
図1に示す操作パネル46より、使用者が用紙Zの大きさ及び種類、加工品の配列、数及び寸法、裁断位置情報、裁断速度情報等に関する各種作業設定情報を入力する。なお、この手動入力の代わり、あるいは、手動入力と協働して、読取手段26によるバーコードM2等の読み取りにより、作業設定情報を自動的に入力させることもできる。
【0043】
(2)
図1の給紙部3の給紙トレイ3a上に積載された複数の用紙Zを、吸引搬送ベルト機構8a及び給紙ローラ8bにより、上端から一枚ずつ搬送経路5に供給する。
【0044】
(3)読取手段26では、必要により、用紙Zの位置マークM1並びに、必要に応じてバーコードM2を読み取って用紙Zに施されるべき各種作業設定情報を取得する。
【0045】
(4)リジェクト機構25では、仮に、読取手段26による読取が不能であり、加工条件が不明である場合には、その用紙Zに対して、作動し、読取不能の用紙Zを落下させて廃棄トレイ25aで回収する。
【0046】
(5)スリット形成機構20では、搬送方向Fと平行な複数のスリット線Sで用紙Zを裁断する。
【0047】
(6)切除片落とし機構27では、前記スリット形成機構20によって裁断された切除片J(
図8の切除領域Kl)を、切除片箱23へ落下させる。
【0048】
(7)折り型形成機構21では、用紙搬送幅方向Wの折り線Gで、折り目を形成する。
【0049】
(8)裁断装置101では、裁断機構22により各裁断線Cf、Cm1、Cm2、Crで順次裁断し、生じた切除片Jは下方の切除片箱23に落下し、加工品Qは紙受け部2に搬送され、積載される。
【0050】
次に、裁断機構22及び、前記裁断機構22を含む裁断装置101の具体例について、以下に説明する。
【0051】
[裁断機構22の第一の実施形態]
まず、裁断機構22の第一の実施形態について
図2を用いて説明する。裁断機構22は、用紙搬送幅方向Wに延び、相対向する一対の裁断刃220を備える。一方の裁断刃220は上側可動刃22Aにより、他方の裁断刃220は下側固定刃22Bにより構成されており、上側可動刃22Aが下側固定刃22Bに対し接触離間し、用紙Zを搬送方向Fと直交する搬送幅方向Wに裁断する。上側可動刃22Aは、動力伝達機構を介してモータ等の裁断駆動部50に連結されている。
【0052】
図2は、裁断機構22の具体例であり、下側固定刃22Bは用紙搬送幅方向Wに延びるように略水平に配置され、上側可動刃22Aは、水平に対して、刃先部22Aaから刃元部22Abに行くに従って低くなるように傾斜しており、搬送方向Fの上流側に配置された上側ガイド体29にとともに上下方向に移動する。上側ガイド板29は、裁断位置Pより搬送方向F上流側で搬送ローラ対12にニップされていない切除片Jが裁断によって跳ね上がるのを防止する。
【0053】
上側可動刃22Aの刃元部22Abは、クランク機構52及びギヤ伝動機構53を介して、裁断駆動部(駆動モータ)50に連動連結されており、裁断駆動部50の駆動動力により、上側可動刃22Aは、用紙搬送幅方向W両側に一対ずつある平行リンク機構51の揺動中心51aを中心として、傾斜状態を保って上下方向に揺動し、上側可動刃22Aが下側固定刃22Bに、搬送幅方向Wに刃元部22Ab側から刃先部22Aa側へ順次接触することにより用紙Zを裁断する。上側可動刃22Aの位置は、2個の光学センサ54a及び遮光板54bからなる裁断刃位置センサ54により検出され、制御部45に送信される。上側可動刃22Aが下側固定刃22Bに順次接触する速度である裁断速度Vは、制御部45が 裁断駆動部50を制御することで変更可能となっている。
【0054】
[裁断機構22の第二の実施形態]
次に、裁断機構22の第二の実施形態について
図3A、
図3B及び
図4を用いて説明する。裁断機構22は、用紙搬送方向Fと直交する幅方向Wに移動することにより用紙を裁断する移動回転刃(一対の回転刃221a、221b)と、前記一対の回転刃221a、221bを幅方向Wに移動させると共に、前記移動させることにより一対の回転刃221a、221bを回転させる回転刃駆動部227a、227bを備える。
前記一対の回転刃221a、221bは、用紙搬送経路5を介して、上側に配置される上側回転刃221aと、下側に配置される下側回転刃221bとを対向配置し、又、前記回転刃駆動部227a、227bは、用紙搬送経路5を介して、上側回転刃駆動部227aと下側回転刃駆動部227bとを対向配置することにより構成される。
【0055】
裁断機構22の具体例として、
図3Aは、第二の実施形態に係る裁断機構22の概略正面図であり、
図3Bは、
図3Aの左側面図である。
図4は、
図3Aの裁断機構22について一対の回転刃221a、221bの駆動系を示す透視図である。
図3A、
図3Bに示すように、裁断機構22は、さらに具体的には、搬送される最大サイズの用紙幅の全域にわたって設けられたフレーム210と、一対の回転刃221a、221bを回転自在に支持し、用紙搬送方向と直交する幅方向に往復移動するホルダ211a、211bと、前記ホルダ211a、211bを移動させる回転刃駆動部227a、227bとを備える。
【0056】
フレーム210は、断面略コの字状の部材の上面部及び下面部にホルダ211a、211bをスライド自在に支えるラックギヤ部材213a、213bを備える。フレーム210の内側には回転刃駆動部227a、227bを収容する。
【0057】
次に、回転刃駆動部227a、227bについて説明する。
図3B、
図4に示すように、回転刃駆動部227a、227bは、所定の間隔を置いて併設されたタイミングベルト217a、217bを備えている。
タイミングベルト217aは、プーリ215aとプーリ216aとの間に掛け渡され、
タイミングベルト217bは、プーリ215bとプーリ216bとの間に掛け渡されている。さらに、プーリ215aと共通の回転軸226aに取り付けられたプーリ205aと、プーリ215bと共通の回転軸226bに取り付けられたプーリ205bとの間には、タイミングベルト225が掛け渡されている。
【0058】
回転軸226aおよび回転軸226bはそれぞれフレーム210に回転自在に支持され、回転軸226aはフレーム210を貫通して反対側へ延出している。
そして、プーリ215a、プーリ205aと共に回転軸226aに固定されたプーリ208と、駆動モータ219の回転軸に取り付けられたプーリ209とは、タイミングベルト207を介して連結されている。
【0059】
つまり、前記、回転刃駆動部227a、227bは、駆動手段として機能する駆動モータ219、駆動モータの回転軸に取り付けられたプーリ209、回転軸226aに取り付けられたプーリ208、およびこれらのプーリ209、208間に掛け渡されたタイミングベルト207を備えている。
そして、駆動モータ219が回転駆動されると、その駆動力はプーリ209、タイミングベルト207、プーリ208、回転軸226aを介してプーリ205a、215aに伝達され、さらに、プーリ205a、タイミングベルト225を介してプーリ205b、
回転軸226bを介してプーリ215bに伝達され、その結果、タイミングベルト217a、217bが走行される。尚、タイミングベルト225にはテンションを付与するテンション付与ローラー206が設けられている。
【0060】
タイミングベルト217a、217bは閉ループのベルトであり、その一部は固定部222a、222bにてホルダ211a、211bに固定されている。
【0061】
一対の回転刃221a、221bを回転させるためには大きな力が必要である。本実施形態では、各々の回転刃の回動軸にギヤ部材を装着して、回転刃を確実に回転させる構成としたものである。
図3Aに示すように、一対の回転刃221a、221bの回動軸には、中間ギヤ218a、218bを挿通固定し、さらにホルダ211a、211b上に回転自在に支持されるピニオンギヤ部材214a、214bと噛合させる。また、前記ピニオンギヤ部材214a、214bと噛合するように、フレーム210前面の上面部及び下面部には、ホルダ211a、211bの可動範囲にわたって、ラックギヤ部材213a、213bを備える。
【0062】
前述のように、駆動モータ219の駆動力により、タイミングベルト217a、217bが走行され、それに伴いホルダ211a、211bが用紙搬送方向Fと直交する幅方向Wに移動すると、前記ラックギヤ部材213a、213bとのギヤの噛み合いでピニオンギヤ部材214a、214bが回転し、中間ギヤ218a、218bを介して一対の回転刃221a、221bが回転する。このように、一対の回転刃221a、221bは、ピニオンギヤ部材214a、214bとラックギヤ部材213a、213bとのギヤ部材同士の噛み合いによって回転するため、スリップ等の異常で一対の回転刃221a、221bの回転が停止することはない。
【0063】
本実施形態によれば、一対の回転刃221a、221bを回転させるのにギヤ部材を用いて大きな回転力を得るようにしたので、ホルダ211a、211bの移動に連動して一対の回転刃221a、221bを確実に回転させることが可能となった。従って、用紙を確実に切断することができる。
【0064】
尚、前記構成においては、一対の回転刃221a、221bを回転させるのにギヤ部材(ラックギヤ部材213a、213b及び、ピニオンギヤ部材214a、214b)を用いて回転力を得るようにしたが、本実施例はこれに限られるものではなく、
例えば、
図10に示すように、ラックギヤ部材213a、213bに替えて、取付け板231a、231bの端部に取付けられたゴム板232a、232bを、又、ピニオンギヤ部材214a、214bに替えて、一対の回転刃221a、221bの回動軸に挿通固定したゴムローラ233a、233bを設置し、前記ゴムローラ233a、233bが前記ゴム板232a、232b上を回転自在に支持されるように構成してもよい。
前記構成によれば、ホルダ211a、211bが用紙搬送方向Fと直交する幅方向Wに移動すると、ゴムローラ233a、233bがゴム板232a、232b上を回転しながら移動する。それにより、前記ゴムローラ233a、233bを介して、一対の回転刃221a、221bが回転する。
【0065】
[裁断装置101の第一の実施形態]
(裁断装置101の基本構成)
裁断装置101は、主に、裁断機構22、搬送ローラ対12、13及び、用紙保持手段70から構成されている。
詳細には、
図5A、
図2のように、裁断機構22は、用紙搬送幅方向Wに延び、相対向する一対の裁断刃220を備える。一方の裁断刃220は上側可動刃22Aにより、他方の裁断刃220は下側固定刃22Bにより構成されており、上側可動刃22Aが下側固定刃22Bに対し接触離間し、用紙Zを搬送方向Fと直交する搬送幅方向Wに裁断する。上側可動刃22Aは、動力伝達機構を介してモータ等の裁断駆動部50に連結されている。
【0066】
又、用紙搬送手段として、用紙搬送経路5を介して上下に対向配置されると共に、裁断位置を挟んで用紙搬送方向の上流側及び下流側にそれぞれ配置された一対の搬送ローラ12、13を備えている。
【0067】
又、用紙保持手段70は、前記一対の搬送ローラ12、13の内側であって、用紙の裁断位置を挟んで用紙搬送方向の上流側及び/又は下流側に配置され、裁断時に用紙を搬送経路上に保持する手段である。前記用紙保持手段70は、用紙の搬送経路上側に設置される固定押さえ部材71a、71bと、前記用紙の搬送経路を隔てて下側に、前記固定押さえ部材71a、71bと対向するように設置されると共に、前記固定押さえ部材に対して接離自在に設けられた可動押さえ部材72a、72bとから構成される。
【0068】
図7に示すように、前記固定押さえ部材71a、71bは、用紙搬送幅方向Wに延びる板状のガイド部材である。
又、前記可動押さえ部材72a、72bは、回転軸部73a、73bと一体的に構成された用紙搬送幅方向Wに延びる板状のガイド部材(押え部材)である。尚、
図7においては、回転軸部73a、73bを支持するガイド部材74a、74bは省略している。
そして、不図示の駆動モータにより回転軸部73a、73bを回転させることにより、可動押さえ部材72a、72bの先端側は上下方向に回動自在に構成される。尚、前記可動押さえ部材72a、72bは、P点を中心に回動する。
【0069】
(裁断装置101の動作)
次に、上記構成の裁断装置101の動作について順を追って説明する。裁断装置101は、以下(1)〜(3)に示すように、可動押さえ部材72a、72bを「退避位置」、「押圧位置」、「廃棄位置」に選択的に移動させる制御手段を備える。
(1)
図5Aは、可動押さえ部材72a、72bが「退避位置」にある状態を示している。
退避位置においては、
図5Aに示すように、可動押さえ部材72a、72bと固定押さえ部材71a、71bとの間に隙間を形成しており、一対の搬送ローラ12により、この隙間を通して、用紙Zを所定の裁断位置に向けて(搬送方向Fに)供給する。
好ましくは、可動押さえ部材72a、72bは、
図5Aのように、水平状態ではなく、搬送方向上流側に向かって傾斜させるのがよい。前記用紙Zを供給する際、用紙先端部が突き当たってジャムとなることを防ぐ為である。
【0070】
(2)
図5Bは、可動押さえ部材72a、72bが「押圧位置」にある状態を示している。
用紙Zが裁断位置(裁断線C(前裁断線Cf))に達すると、一対の搬送ローラ12による搬送を停止すると共に、前記可動押さえ部材72a、72bが固定押さえ部材71a、71bに向けて移動し、
図5Bに示すように、用紙Zを可動押さえ部材と固定押さえ部材71a、71bとの間に挟持状態に押圧する。そして、前記挟持状態のまま、裁断機構22の上側可動刃22Aが下側固定刃22Bに向けて移動し、用紙Zの裁断位置(裁断線C(前裁断線Cf))において裁断する。
【0071】
(3)
図5Cは、可動押さえ部材72a、72bが「廃棄位置」にある状態を示している。
前記用紙Zの裁断後、前記可動押さえ部材72a、72bは、前記退避位置よりさらに固定押さえ部材71a、71bから離れる方向に移動し、
図5Cに示すように、下方に向けて傾斜した姿勢となる。したがって、用紙Zが裁断位置(裁断線C(前裁断線Cf))において裁断され生じた切除片J(前端切除領域Kf)は、下方の切除片箱23にスムーズに落下し、収納される。
【0072】
図5Dのように、切除片J(後端切除領域Kr)が用紙Zの後端部に配置される場合についても、裁断装置101は、前記(1)〜(3)と同様の動作を行うが、(3)の「廃棄位置」においては、切除片Jは、可動押さえ部材72bの傾斜により、下方の切除片箱23にスムーズに落下し、収納される。尚、(1)の「退避位置」においては、用紙Zの先端部は、一対の搬送ローラ12から一対の搬送ローラ13への受渡しにより、隙間を通して、所定の裁断位置に向けて(搬送方向Fに)供給される。
【0073】
搬送される用紙Zが裁断位置(裁断線C(中間裁断線Cm1))に到達した際、
図5Eのように、ニップ位置N1、N2にて、前記用紙Zが前記上流側及び下流側に配置される各一対の搬送ローラ12、13の両方にニップされる場合は、前記用紙保持手段70により用紙を搬送経路上に保持することなく、裁断手段で裁断する。この場合、用紙保持手段70を用いなくとも、前記両方のニップにより用紙Zが両側に保持されている為、適正に用紙Zを裁断することができる。
【0074】
用紙保持手段70は、用紙の裁断位置を挟んで用紙搬送方向の上流側及び下流側の両側に配置されるのが最も好ましいが、用紙Zの裁断する仕様によれば、上流側又は下流側の一方に配置されるように構成してもよい。
【0075】
以上説明したように、裁断装置101の第一の実施形態によれば、切除領域が搬送ローラ対にニップされないときでも、用紙保持手段70により、裁断時に用紙を搬送経路上に保持する為、適正に用紙を裁断することができる。
【0076】
又、押圧位置と退避位置以外に、廃棄位置をさらに備えた為、用紙を裁断した後の不要部分を確実に下方に廃棄することができる。
【0077】
又、可動押さえ部材72a、72bを、可動押さえ部材72a、72bの先端側を上下方向に回動自在に配設された回動部材で構成することにより、押圧位置、退避位置及び、廃棄位置を容易に切替えることができる。
【0078】
さらに、裁断時において用紙が上流側及び下流側に配置される各一対の搬送ローラ12、13の両方にニップされているときは、用紙保持手段70により用紙を搬送経路上に保持することなく、裁断手段で裁断することにより、可動押さえ部材72a、72bの回動に要する時間分を短縮することができ、その結果、裁断装置101としての処理速度がUPする。
【0079】
[裁断装置101の第二の実施形態]
(裁断装置101の基本構成)
裁断装置101は、主に、裁断機構22、搬送ローラ対12、13及び、用紙保持手段70から構成されている。
詳細には、
図6A、
図3Aのように、裁断機構22は、用紙搬送方向Fと直交する幅方向Wに移動することにより用紙を裁断する移動回転刃(一対の回転刃221a、221b)と、前記一対の回転刃221a、221bを幅方向Wに移動させると共に、前記移動させることにより一対の回転刃221a、221bを回転させる回転刃駆動部227a、227bを備える。前記一対の回転刃221a、221bは、用紙搬送経路5を介して、上側に配置される上側回転刃221aと、下側に配置される下側回転刃221bとを対向配置し、又、前記回転刃駆動部227a、227bは、用紙搬送経路5を介して、上側回転刃駆動部227aと下側回転刃駆動部227bとを対向配置することにより構成される。
【0080】
又、用紙搬送手段として、用紙搬送経路5を介して上下に対向配置されると共に、裁断位置を挟んで用紙搬送方向の上流側及び下流側にそれぞれ配置された一対の搬送ローラ12、13を備えている。
【0081】
又、用紙保持手段70は、第一の実施形態と同様に、前記一対の搬送ローラ12、13の内側であって、用紙の裁断位置を挟んで用紙搬送方向の上流側及び/又は下流側に配置され、裁断時に用紙を搬送経路上に保持する手段である。前記用紙保持手段70は、用紙の搬送経路上側に設置される固定押さえ部材71a、71bと、前記用紙の搬送経路を隔てて下側に、前記固定押さえ部材71a、71bと対向するように設置されると共に、前記固定押さえ部材に対して接離自在に設けられた可動押さえ部材72a、72bとから構成される。
【0082】
図7に示すように、前記固定押さえ部材71a、71bは、用紙搬送幅方向Wに延びる板状のガイド部材である。又、前記可動押さえ部材72a、72bは、回転軸部73a、73bと一体的に構成された用紙搬送幅方向Wに延びる板状のガイド部材(押え部材)である。尚、
図7においては、回転軸部73a、73bを支持するガイド部材74a、74bは省略している。
そして、不図示の駆動モータにより回転軸部73a、73bを回転させることにより、可動押さえ部材72a、72bの先端側は上下方向に回動自在に構成される。尚、前記可動押さえ部材72a、72bは、P点を中心に回動する。
【0083】
(裁断装置101の動作)
次に、上記構成の裁断装置101の動作について順を追って説明する。裁断装置101は、以下(1)〜(3)に示すように、可動押さえ部材72a、72bを「退避位置」、「押圧位置」、「廃棄位置」に選択的に移動させる制御手段を備える。
(1)
図6Aは、可動押さえ部材72a、72bが「退避位置」にある状態を示している。
退避位置においては、
図6Aに示すように、可動押さえ部材72a、72bと固定押さえ部材71a、71bとの間に隙間を形成しており、一対の搬送ローラ12により、この隙間を通して、用紙Zを所定の裁断位置に向けて(搬送方向F)供給する。
好ましくは、可動押さえ部材72a、72bは、
図6Aのように、水平状態ではなく、搬送方向上流側に向かって傾斜させるのがよい。前記用紙Zを供給する際、用紙先端部が突き当たってジャムとなることを防ぐ為である。
【0084】
(2)
図6Bは、可動押さえ部材72a、72bが「押圧位置」にある状態を示している。
用紙Zが裁断位置(裁断線C(前裁断線Cf))に達すると、一対の搬送ローラ12による搬送を停止すると共に、前記可動押さえ部材72a、72bが固定押さえ部材71a、71bに向けて移動し、
図6Bに示すように、用紙Zを可動押さえ部材と固定押さえ部材との間に挟持状態に押圧する。そして、前記挟持状態のまま、裁断機構22の一対の回転刃221a、221bが用紙搬送方向Fと直交する幅方向Wに移動することにより、用紙Zの裁断位置(裁断線C)において裁断する。
【0085】
(3)
図6Cは、可動押さえ部材72a、72bが「廃棄位置」にある状態を示している。
前記用紙Zの裁断後、前記可動押さえ部材72a、72bは、前記退避位置よりさらに固定押さえ部材71a、71bから離れる方向に移動し、
図6Cに示すように、下方に向けて傾斜した姿勢となる。したがって、用紙Zが裁断位置(裁断線C(前裁断線Cf))において裁断され生じた切除片J(前端切除領域Kf)は、下方の切除片箱23にスムーズに落下し、収納される。
【0086】
第二の実施形態についても、前述の第一の実施形態図における
図5Dと同様に、切除片Jが用紙Zの後端部に配置される場合についても、裁断装置101は、前記(1)〜(3)と同様の動作を行うが、(3)の「廃棄位置」においては、切除片Jは、可動押さえ部材72bの傾斜により、下方の切除片箱23にスムーズに落下し、収納される。尚、(1)の「退避位置」においては、用紙Zの先端部は、一対の搬送ローラ12から一対の搬送ローラ13への受渡しにより、隙間を通して、所定の裁断位置に向けて(搬送方向Fに)供給される。
【0087】
又、第二の実施形態についても、搬送される用紙Zが裁断位置(裁断線C(中間裁断線Cm1))に到達した際、前述の第一の実施形態図における
図5Eと同様に、前記用紙Zが前記上流側及び下流側に配置される各一対の搬送ローラ12、13の両方にニップされる場合は、前記用紙保持手段70により用紙を搬送経路上に保持することなく、裁断手段で裁断する。この場合、用紙保持手段70を用いなくとも、前記両方のニップにより用紙Zが両側に保されている為、適正に用紙Zを裁断することができる。
【0088】
以上説明したように、裁断装置101の第二の実施形態によれば、切除領域が搬送ローラ対にニップされないときでも、用紙保持手段70により、裁断時に用紙を搬送経路上に保持する為、適正に用紙を裁断することができる。
【0089】
又、押圧位置と退避位置以外に、廃棄位置をさらに備えた為、用紙を裁断した後の不要部分を確実に下方に廃棄することができる。
【0090】
又、可動押さえ部材72a、72bを、可動押さえ部材72a、72bの先端側を上下方向に回動自在に配設された回動部材で構成することにより、押圧位置、退避位置及び、廃棄位置を容易に切替えることができる。
【0091】
さらに、裁断時において用紙が上流側及び下流側に配置される各一対の搬送ローラ12、13の両方にニップされているときは、用紙保持手段70により用紙を搬送経路上に保持することなく、裁断手段で裁断することにより、可動押さえ部材72a、72bの回動に要する時間分を短縮することができ、その結果、裁断装置101としての処理速度がUPする。
【0092】
前述の第一、第二の実施形態において、裁断する切断領域(Kf、Km、Kr)の用紙搬送方向長さが、所定以上長い場合は、可動押さえ部材72aが「廃棄位置」に配置されても、裁断され生じた切除片Jは、可動押さえ部材72aに引っかかって、下方の切除片箱23にスムーズに落下しない。
【0093】
その場合は、
図11に示すように、用紙先端部Zaの移送前に可動押さえ部材72aを「廃棄位置」に配置し、用紙先端部Zaを下方にガイドしながら裁断位置まで移送するように構成してもよい。尚、このとき、可動押さえ部材72bは「退避位置」から「押圧位置」に移動する。
【0094】
又は、
図12に示すように、裁断装置101の搬送方向下流側にリジェクトゲート235をさらに備え、リジェクトゲート235を退避位置(実線位置)に配置し、用紙先端部Zaを下方にガイドしながら裁断位置まで移送するように構成してもよい。
【0095】
[用紙保持手段70の他の実施形態]
用紙保持手段70は、例えば、
図9に示すように、固定押さえ部材71a、71bは、押圧位置(実線部)と退避位置(破線部)の間で上下動するように構成し、可動押さえ部材72a、72bは、押圧位置(実線部)と廃棄位置(破線部)の間で回動するように構成してもよい。
【0096】
(1)用紙Zの通紙時においては、固定押さえ部材71a、71bは退避位置(破線部)とし、可動押さえ部材72a、72bは、押圧位置(実線部)とすることにより隙間を形成し、一対の搬送ローラ12により、この隙間を通して、用紙Zを所定の裁断位置に向けて(搬送方向F)供給する。
【0097】
(2)用紙Zの裁断時においては、可動押さえ部材72a、72bは、押圧位置(実線部)そのままの位置で、固定押さえ部材71a、71bが、下方にスライド移動して押圧位置(実線部)となることにより、用紙Zを可動押さえ部材と固定押さえ部材との間に挟持状態に押圧する。そして、前記挟持状態のまま、裁断機構22の上側可動刃22Aが下側固定刃22Bに向けて移動し、用紙Zの裁断位置(裁断線C)において裁断する。
尚、前記裁断機構22は、移動回転刃(一対の回転刃221a、221b)を備える構成にも適用可能である。
【0098】
(3)用紙Zの裁断後においては、固定押さえ部材71a、71bは、そのままの位置で、
可動押さえ部材72a、72bが、下方に回動して廃棄位置(破線部)となる。したがって、用紙Zが裁断位置(裁断線C)において裁断され生じた切除片Jは、下方の切除片箱23にスムーズに落下し、収納される。
【0099】
以上、上述した実施例においては、裁断装置101を用紙加工装置100の一部として構成し、該用紙加工装置100は、搬送方向Fと直交する用紙搬送幅方向Wに用紙を裁断する裁断機構22と共に、搬送方向Fと平行なスリットを形成するスリット形成機構20及び用紙搬送幅方向Wに折り目を形成する折り型形成機構21を備えたが、裁断装置101のみを独立して備えてもよく、裁断機構と他の加工機構(ミシン目形成機構、丸み形成機構等も含む)とを適宜組み合わせた用紙加工装置、更には加工機構、搬送ローラ対の数が前記実施の形態と異なる用紙加工装置にも、本発明を適用できることはいうまでもない。