印刷ジョブに応じた印刷処理を一又は複数の用紙Wに実行する印刷装置1であって、印刷ジョブに基づいて、印刷処理を実行する処理期間において所定のノイズ音を発するノイズ印刷動作(例えば、紙折り動作)が実行される複数の実行タイミングを特定する特定部92と、複数の実行タイミングに基づいて、処理期間において所定のノイズ音が周期的に発するように、ノイズ印刷動作を実行する実行タイミングをスケジュールする印刷制御部93と、を備える。
前記印刷制御部は、前記複数の実行タイミングのそれぞれの実行間隔のうちの最も長い最長実行間隔で前記所定のノイズ音が周期的に発するように、前記用紙を給紙する給紙タイミングを遅らせて、前記実行タイミングをスケジュールする
ことを特徴とする請求項1記載の印刷装置。
前記印刷制御部は、前記複数の実行タイミングのそれぞれの実行間隔を等分した等分間隔で前記所定のノイズ音が周期的に発するように、前記ノイズ印刷動作を無紙の状態で実行する無紙実行タイミングを含む前記実行タイミングをスケジュールする
ことを特徴とする請求項1記載の印刷装置。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施例に係る印刷装置について、図面を参照しながら詳細に説明する。また、以下に示す実施例は、この発明の技術的思想を具体化するための装置等を例示するものであって、この発明の技術的思想は、各構成部品の配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0019】
[実施例1]
<印刷装置の構成>
本発明の実施例1に係る印刷装置は、印刷ジョブに応じた印刷処理を一又は複数の用紙に実行する。
図1は、本発明の実施例1に係る印刷装置1の構成を示す概略構成図である。
【0020】
図1に示すように印刷装置1は、用紙Wに所定画像を形成する画像形成処理を実行する画像形成処理装置2と、画像形成処理装置2により所定画像が形成された用紙Wに対して後処理を実行する後処理装置3とを備える。なお、印刷装置1によって実行される印刷処理は、画像形成処理装置2による画像形成処理と、後処理装置3による後処理とを含む。
【0021】
画像形成処理装置2は、外部給紙部10と、内部給紙部20と、印刷部30と、排紙部40と、反転部50とを備える。
【0022】
外部給紙部10は、用紙Wが積載される給紙台11と、給紙台11に載置される最上位置の用紙Wのみを給紙搬送路SR上へ搬送させる1次給紙部12と、この1次給紙部12によって搬送された用紙Wを循環搬送路CR上へ搬送する2次給紙部14とを備える。
【0023】
1次給紙部12により給紙搬送路SR上を搬送された用紙Wは、2次給紙部14に突き当てられる。これにより用紙Wには、先端の位置あわせと斜行修正とがなされる。その後、用紙Wは、所定のタイミングで循環搬送路CRに沿って印刷部30に搬送される。
【0024】
内部給紙部20は、用紙Wが積載される給紙台21と、給紙台21に載置される最上位置の用紙Wのみを給紙搬送路SR上へ搬送させる1次給紙部22とを備える。
【0025】
1次給紙部22により給紙搬送路SR上へ搬送された用紙Wは、給紙搬送路SR上に設置された複数の搬送ローラにより給紙搬送路SR上を搬送され、2次給紙部14に突き当てられる。これにより用紙Wには、先端の位置あわせと斜行修正とがなされる。その後、用紙Wは、所定のタイミングで循環搬送路CRに沿って印刷部30に搬送される。
【0026】
このように、2次給紙部14には、外部給紙部10及び内部給紙部20から用紙Wが搬送され、さらに、後述する反転部50からも用紙Wが搬送される。
【0027】
そのため、搬送方向における2次給紙部14の手前には、給紙された用紙Wの搬送経路と、表面印刷後に装置内を循環搬送され反転部50にて反転された裏面印刷の用紙が循環して搬送されてくる経路とが合流する合流地点が存在する。
図1では、この合流地点を基準に、給紙機構側の経路を給紙搬送路SRと示し、画像形成処理装置2内を用紙Wが循環される経路を循環搬送路CRと示している。
【0028】
印刷部30は、用紙Wに所定画像を形成する。所定画像を形成する方式は、インクジェットや静電ドラムいずれでも良いが、本実施例では、インクジェットの例で示す。
【0029】
印刷部30は、複数の印字ヘッドが組み込まれたヘッドユニット31と、ヘッドユニット31の対向面に設けられた環状の搬送ベルト32とを備える。2次給紙部14により給紙された用紙Wは、印刷条件により定められる速度で搬送ベルト32上を搬送されながら、ヘッドユニット31から吐出されたインクによりライン単位で印刷される。
【0030】
印刷部30により印刷された用紙Wは、循環搬送路CR上に配置された搬送ローラ等によって循環搬送路CRに沿って搬送される。循環搬送路CR上には、循環搬送路CR上を搬送された用紙Wを排紙部40へ誘導するか、又は、循環搬送路CR上を再循環させるかを切り替える切り替え機構43が備えられている。
【0031】
排紙部40は、画像形成処理装置2の筐体から突出した排紙台41と、排紙台41に用紙Wを誘導する一対の排紙ローラ42とを備える。切り替え機構43により排紙部40に誘導された用紙Wは、排紙ローラ42により排紙台41に搬送され、直前に印刷された印刷面を下にした状態で排紙台41に積載される。
【0032】
反転部50は、用紙Wを反転させる反転台51と、循環搬送路CRから反転台51へ用紙Wを搬送するとともに、反転台51から循環搬送路CR上へ用紙Wを搬送する反転ローラ52とを備える。
【0033】
切り替え機構43により反転部50に誘導された用紙Wは、反転ローラ52により循環搬送路CRから反転台51に搬送され、所定時間経過後、反転台51から循環搬送路CRへ搬送されることにより、循環搬送路CRに対して表裏が反転する。
【0034】
表裏が反転された用紙Wは、循環搬送路CR上に設けられた搬送ローラ53等の複数のローラにより循環搬送路CRに沿って搬送され、2次給紙部14に突き当てられる。その後、用紙Wは、所定のタイミングで循環搬送路CRに沿って印刷部30に搬送される。
【0035】
また、循環搬送路CRには、切替機構44が設けられており、用紙Wの後処理を行う場合は、この切替機構44が搬送方向を切替ることにより、用紙Wが循環搬送路CRから後処理経路FRに誘導され、後処理装置3に供給される。
【0036】
後処理装置3は、紙折り部110とステープル部120とを備える。
【0037】
紙折り部110は、後処理経路FRに沿って誘導された用紙Wに、二つ折り、三つ折り、Z折り等の紙折り処理を実行する。紙折処理を実行する場合、切替機構112が搬送方向を切替ることにより、用紙Wが紙折り部110に誘導される。
【0038】
そして、紙折り処理が実行された用紙Wは、後処理経路FRに沿ってトップトレイ101又はステープル部120に搬送される。
【0039】
紙折り処理が実行されない用紙Wは、紙折り部110に誘導されることなく、後処理経路FR上をトップトレイ101又はステープル部120に搬送される。
【0040】
そして、トップトレイ101方向に搬送された用紙Wは、トップトレイ101上に積載される。
【0041】
ステープル部120は、長辺綴じ又は短辺綴じのいずれかで用紙Wを綴じるステープル処理を実行する。ステープル部120によりステープル処理が実行された用紙Wは、スタッカトレイ102上に積載される。
【0042】
次に、
図2を参照して、本発明の実施例1に係る印刷装置1の機能について、具体的に説明する。
図2は、本発明の実施例1に係る印刷装置1の機能を示すブロック図である。
【0043】
図2に示すように、印刷装置1は、ネットワーク(不図示)を介して端末200に接続されている。
【0044】
端末200は、ソフトウェアを実行するコンピュータ等の装置である。端末200は、ソフトウェアを実行することにより、画像データを生成し、生成した画像データと、両面印刷又は片面印刷の指定や後処理の有無などを示す設定データとを含む印刷ジョブを印刷装置1に送信する。なお、後処理の有無を示す設定データとは、例えば、紙折り処理、ステープル処理を実行するか否かを示すデータである。
【0045】
印刷装置1は、外部給紙部10と、内部給紙部20と、印刷部30と、排紙部40と、反転部50と、操作パネル部60と、記憶部70と、音出力部80と、統括制御部90と、紙折り部110と、ステープル部120とを備える。
【0046】
これらの構成のうち、外部給紙部10と、内部給紙部20と、印刷部30と、排紙部40と、反転部50と、紙折り部110と、ステープル部120とは、上述したため、説明を省略する。
【0047】
操作パネル部60は、画像形成処理装置2の上部に設けられ、表示/入力パネルと、読み取りや印刷等を開始させるためのスタートキー、読み取りや印刷等を停止させるためのストップキー、印刷枚数等を入力するためのテンキー(いずれも不図示)等の各種操作キーとを備える。操作パネル部60は、表示/入力パネル又は操作キーを用いてユーザにより入力された操作データを統括制御部90に送信する。
【0048】
記憶部70は、RAM、ROMあるいは不揮発性メモリなどで構成される。記憶部70は、統括制御部90を構成するCPUの動作プログラムなどの各種プログラムや各種制御データやテーブルを格納する。なお、制御データは、例えば、印刷処理において用紙Wを給紙する給紙間隔などの給紙タイミングに関するデータも含まれる。また、記憶部70は、CPU動作時のワークエリアあるいは、印刷される画像データの展開メモリとしても機能する。
【0049】
ここで、
図3には、記憶部70に記憶されるデータの一例が示されている。
図3に示すように、記憶部70は、ノイズ印刷動作を識別するノイズ印刷動作IDと、給紙からノイズ印刷動作の実行が開始されるまでの開始期間とを関連づけたノイズタイミングテーブルを記憶する。
【0050】
ノイズ印刷動作とは、印刷処理において、所定音量以上となる所定のノイズ音を発する印刷動作である。ノイズ印刷動作としては、例えば、2次給紙部14が用紙Wを2次給紙するための2次給紙動作と、紙折り部110が用紙Wに紙折り処理を行うための紙折り動作と、ステープル部120が用紙Wにステープル処理を行うためのステープル動作と、排紙部40が用紙Wを排紙するための排紙動作とが挙げられる。
【0051】
ノイズ印刷動作は、ユーザによって任意に選定される。よって、ノイズ印刷動作は、2次給紙動作、紙折り動作、ステープル動作、排紙動作に限定されず、他の動作を含んでもよいし、一つの動作のみとしてもよい。
【0052】
開始期間は、用紙Wが給紙される給紙タイミングから、ノイズ印刷動作を実行する実行タイミングまでの期間を示す。開始期間は、印刷装置1の構成によって相違するため、計測等によって印刷装置1ごとに予め設定されている。
【0053】
音出力部80は、所定の音を出力するスピーカとして機能する。音出力部80は、統括制御部90の制御により、記憶部70に記憶される音データに基づいて、所定の音を出力する。
【0054】
統括制御部90は、印刷装置1に備えられる各種機能を制御する。統括制御部90は、CPU(不図示)を備え、制御プログラムを読込んだCPUにより実行される各種機能を実現する。統括制御部90は、各種機能として、ジョブ取得部91と、特定部92と、印刷制御部93とを備える。
【0055】
ジョブ取得部91は、端末200から送信された印刷ジョブを取得する。
【0056】
特定部92は、印刷ジョブに基づいて、印刷処理を実行する処理期間において所定のノイズ音を発するノイズ印刷動作が実行される実行タイミングを特定する。
【0057】
印刷制御部93は、印刷装置1に備えられる各種機能を制御して、印刷処理を実行する。印刷制御部93は、特定部92によって特定された複数の実行タイミングに基づいて、スケジュール処理を実行する。具体的に、印刷制御部93は、複数の実行タイミングに基づいて、印刷処理を実行する処理期間において所定のノイズ音が周期的に発するように、ノイズ印刷動作を実行する実行タイミングをスケジュールする。
【0058】
<印刷装置1の動作>
次に、印刷装置1の動作について説明する。
図4は、印刷装置1が印刷ジョブを取得した際の動作を示すフローチャートである。なお、以下の動作では、ノイズ印刷動作が、A3サイズの用紙Wに実行する紙折り動作である場合を例に挙げて説明する。
【0059】
ステップS10において、ジョブ取得部91は、印刷ジョブを取得する。
【0060】
ステップS20において、特定部92は、印刷ジョブに基づいて、印刷処理を実行する処理期間において紙折り動作が実行される複数の実行タイミングを特定する。
【0061】
ここで、
図5には、複数の用紙W1〜W12に印刷処理を実行する処理期間において、紙折り動作が実行される実行タイミングの一例が示されている。なお、
図5では、横軸が時間軸であり、右に進むほど、後に印刷処理されることを示している。
【0062】
紙折り動作は、複数の用紙W1〜W12のうち、A3サイズの用紙W1,W4,W9,W12に対して実行される。よって、特定部92は、印刷処理を実行する処理期間において、A3サイズの用紙W1,W4,W9,W12に対して紙折り動作が実行される複数の実行タイミングt101〜t104を特定する。
【0063】
また、
図6を参照して、
図5に示す複数の用紙W1〜W10のうちの4つの用紙W1〜W4に着目して、特定部92が、実行タイミングt101〜t102を特定する方法について説明する。
図6では、横軸は、時間軸を示しており、右に進むほど、印刷処理が後に実行されることを表す。また、縦軸は、用紙Wの給紙順番を示しており、上に進むほど、用紙Wが後に給紙されることを表す。
【0064】
まず、特定部92は、記憶部70から、紙折り動作の給紙からの実行開始までの開始期間Taと、給紙間隔βとを読み出す。そして、特定部92は、
図6に示すように、先頭でA3サイズの用紙W1の給紙タイミングt100を基準として、t100+Ta=t101の計算式に基づいて、用紙W1に紙折り動作を実行する実行タイミングt101を特定する。
【0065】
また、特定部92は、先頭の用紙W1の給紙タイミングt100を基準として、次のA3サイズの用紙W4の順番を“n(例えば、4)”とした場合、t100+(n−1)β+Ta=t102の計算式から、用紙W4に紙折り動作を実行する実行タイミングt102を特定する。
【0066】
また、実行タイミングt102を特定した方法と同様の方法により、実行タイミングt103〜t104についても特定する。このようにして、特定部92は、
図5に示すように、複数の実行タイミングt101〜t104を特定する。
【0067】
ステップS30において、印刷制御部93は、複数の実行タイミングt101〜t104のそれぞれの実行間隔を特定する。具体的に、印刷制御部93は、
図5に示すように、複数の実行タイミングt101〜t104のそれぞれの実行間隔P101〜P103を特定する。
【0068】
ステップS40において、印刷制御部93は、実行間隔P101〜P103のそれぞれを等分した等分間隔があるか否かを判定する。
【0069】
ここで、等分間隔とは、予め規定した所定閾値期間よりも大きい最大公約数間隔を示す。よって、印刷制御部93は、実行間隔P101〜P103において、所定閾値期間よりも大きい最大公約数間隔があるか否かを判定することにより、等分間隔があるか否かを判定する。また、本実施例では、所定閾値期間が、最小単位期間“0.1秒”である場合を例に挙げて説明する。
【0070】
ステップS50において、印刷制御部93は、等分間隔があると判定した場合(ステップS40“Yes”)、実行間隔P101〜P103のそれぞれの最大公約数間隔を等分間隔として特定する。
【0071】
例えば、
図5に示すように、実行間隔P101が“1.6秒”、実行間隔P102が“2.4秒”、実行間隔P103が“1.6秒”である場合、印刷制御部93は、最小単位期間“0.1秒”よりも大きい最大公約数間隔“0.8秒”があるため、等分間隔があると判定する。
【0072】
そして、印刷制御部93は、等分間隔で所定のノイズ音が周期的に発するように、実行タイミングをスケジュールする。
【0073】
具体的に、
図7に示すように、印刷制御部93は、実行間隔P101〜P103のそれぞれに、紙折り動作を無紙の状態で実行する無紙実行タイミングt121〜t124を割り当てる。なお、紙折り動作などを無紙の状態で実行する動作は、空打ち動作と言い換えられる。
【0074】
これにより、印刷制御部93は、等分間隔Pa“0.8秒”で紙折り動作を周期的に実行するように、無紙実行タイミングt121〜t124を含む実行タイミングをスケジュールし、スケジュールデータを生成する。
【0075】
具体的に、印刷制御部93は、
図7に示すように、複数の用紙W1〜W12の給紙タイミングと、最初の用紙W1の給紙タイミングt100を基準とした無紙実行タイミングt121〜t124を含むスケジュールデータを生成する。
【0076】
一方、ステップS60において、印刷制御部93は、等分間隔がないと判定した場合(ステップS40“No”)、複数の実行タイミングのそれぞれの実行間隔のうちの最も長い最長実行間隔で所定のノイズ音が周期的に発するように、実行タイミングをスケジュールする。
【0077】
ここで、
図8には、複数の用紙W1〜W10に印刷処理を実行する処理期間において、紙折り動作が実行される実行タイミングの一例が示されている。
図8に示すように、A3サイズの用紙W1,W4,W8,W10に対して紙折り動作を実行する複数の実行タイミングt201〜t204が特定された場合、印刷制御部93は、実行タイミングt201〜t204に基づいて、実行間隔P201〜P203を特定する。
【0078】
そして、
図8に示すように、実行間隔P201が“1.5秒”、実行間隔P202が“1.9秒”、実行間隔P203が“1.1秒”である場合、印刷制御部93は、最小単位期間“0.1秒”よりも大きい最大公約数間隔が無いため、等分間隔が無いと判定する。
【0079】
印刷制御部93は、等分間隔がないと判定した場合(ステップS40“No”)、実行間隔P201〜P203のうちの最も長い実行間隔P202“1.9秒”を最長実行間隔として特定する。
【0080】
印刷制御部93は、最長実行間隔として特定した実行間隔P202“1.9秒”で、所定のノイズ音が周期的に発するように、用紙Wを給紙する給紙タイミングを遅らせて、実行タイミングをスケジュールする。
【0081】
具体的に、
図9に示すように、印刷制御部93は、実行間隔P211〜P213それぞれが、最長実行間隔である実行間隔P202“1.9秒”と等しくなるように、実行間隔P211に給紙しない遅延期間B1“0.4秒間”を割り当てるとともに、実行間隔P213に給紙しない遅延期間B2“0.8秒間”を割り当てる。
【0082】
すなわち、印刷制御部93は、実行間隔P211おいて用紙W4の給紙タイミングを遅延期間B1“0.4秒間”だけ遅らせるとともに、用紙W10を給紙する給紙タイミングを遅延期間B2“0.8秒間”だけ遅らせる。
【0083】
これにより、印刷制御部93は、最長実行間隔として特定した実行間隔P202“1.9秒”で紙折り動作を周期的に実行するように、実行タイミングt211〜t214をスケジュールして、スケジュールデータを生成する。
【0084】
具体的に、印刷制御部93は、用紙W4の給紙タイミングと用紙W10の給紙タイミングを遅延させた複数の用紙W1〜W10の給紙タイミングを含むスケジュールデータを生成する。
【0085】
ステップS70において、印刷制御部93は、印刷ジョブに応じた印刷処理を実行する。具体的に、印刷制御部93は、ステップS50でスケジュールしたスケジュールデータ、又は、ステップS60でスケジュールしたスケジュールデータに基づいて、印刷処理を実行する。
【0086】
例えば、印刷制御部93は、ステップS50でスケジュールしたスケジュールデータに基づいて印刷処理を実行する場合、印刷ジョブに基づいて複数の用紙W1〜W12の給紙タイミングで給紙するとともに、無紙実行タイミングt121〜t124で紙折り動作を無紙の状態で実行させる。
【0087】
これにより、印刷制御部93は、所定のノイズ音が周期的に発するように、紙折り動作を等分間隔で周期的に実行させながら、印刷処理を実行する。
【0088】
一方、印刷制御部93は、ステップS60でスケジュールしたスケジュールデータに基づいて印刷処理を実行する場合、用紙W4の給紙タイミングと用紙W10の給紙タイミングとを遅延させた複数の用紙W1〜W10の給紙タイミングに基づいて給紙する。
【0089】
これにより、印刷制御部93は、所定のノイズ音が周期的に発するように、紙折り動作を最長実行間隔で周期的に実行させながら、印刷処理を実行する。
【0090】
<作用及び効果>
以上のように、本発明の実施例1に係る印刷装置1では、特定部92が、印刷ジョブに基づいて、所定のノイズ音が発するノイズ印刷動作が実行される複数の実行タイミングを特定し、印刷制御部93が、複数の実行タイミングに基づいて、所定のノイズ音が周期的に発するように、ノイズ印刷動作を実行する実行タイミングをスケジュールする。
【0091】
これにより、印刷処理を実行する処理期間において、所定のノイズ音が周期的に発せられるので、所定のノイズ音がランダムに発生する場合に比べてユーザに与える不快感を抑制できる。すなわち、音量以外の要素として所定のノイズ音のリズムを制御することにより不快感を抑制できる。
【0092】
本発明の実施例1に係る印刷装置1では、印刷制御部93は、複数の実行タイミングのそれぞれの実行間隔のうちの最も長い最長実行間隔で所定のノイズ音が周期的に発するように、用紙Wを給紙する給紙タイミングを遅らせて、複数の実行タイミングをスケジュールする。
【0093】
これにより、印刷ジョブに基づくノイズ印刷動作のそれぞれの実行間隔がバラバラであっても、最長実行間隔によって全ての実行間隔を確実に共通化できる。よって、最長実行間隔を実行間隔として、所定のノイズ音が周期的に発するように、実行タイミングを確実にスケジュールできる。
【0094】
本発明の実施例1に係る印刷装置1では、印刷制御部93は、複数の実行タイミングのそれぞれの実行間隔を等分した等分間隔でノイズ音が周期的に発するように、ノイズ印刷動作を無紙の状態で実行する無紙実行タイミングを含む実行タイミングをスケジュールする。
【0095】
これにより、実行タイミングをスケジュールする際に、印刷ジョブに応じた印刷処理を実行する処理期間を延長せずに、等分間隔で所定のノイズ音を周期的に発することができるため、印刷処理の生産性の低下を抑制できる。
【0096】
なお、印刷制御部93は、実行タイミングをスケジュールした後、スケジュールした実行タイミングによって発せられる所定のノイズ音を試聴音として出力してもよい。
【0097】
例えば、紙折り動作により発せられる所定のノイズ音を出力する音データを予め記憶部70に記憶する。そして、印刷制御部93は、記憶部70から音データを読み出して、
図7に示すように、実行タイミングt111〜t114と無紙実行タイミングt121〜t124とによって、音データに応じた所定のノイズ音を音出力部80から出力させてもよい。また、印刷制御部93は、記憶部70から音データを読み出して、
図9に示すように、実行タイミングt211〜t214によって、音データに応じた所定のノイズ音を音出力部80から出力させてもよい。
【0098】
また、印刷制御部93は、音データに応じた所定のノイズ音を音出力部80から出力させる替わりに、紙折り動作を無紙の状態で実行させることにより所定のノイズ音を試聴音として出力してもよい。
【0099】
このように、所定のノイズ音を試聴音として出力すれば、ユーザは、どのような音が発せられるかを確認した上で、印刷処理を実行できる。
【0100】
また、実施例1では、印刷装置1が、複数の用紙Wを対象に印刷処理を実行する場合を例に挙げて説明したが、一の用紙Wを対象に印刷処理を実行してもよい。
【0101】
印刷装置1は、一の用紙Wを対象に印刷処理を実行する場合、2次給紙動作と、紙折り動作と、排紙動作との少なくとも2つ以上を含む複数のノイズ印刷動作を一の用紙に実行する。また、特定部92は、複数のノイズ印刷動作を一の用紙に実行する実行タイミングを特定し、印刷制御部93は、一の用紙に実行される複数の実行タイミングに基づいて、処理期間において所定のノイズ音が周期的に発するように、ノイズ印刷動作を実行する実行タイミングをスケジュールする。
【0102】
これにより、印刷装置1は、一の用紙に印刷処理を実行する場合であっても、所定のノイズ音が周期的に発せられるので、所定のノイズ音がランダムに発生する場合に比べてユーザに与える不快感を抑制できる。
【0103】
[変形例1]
次いで、本発明の実施例1に係る印刷装置1の変形例1について、実施例1に係る印刷装置1との相違点に着目して説明する。
【0104】
ここで、本変形例1に係る印刷装置1では、複数の用紙Wが、用紙W1(第1用紙)と、用紙W1の次に搬送される用紙W2(第2用紙)とを含むとともに、ノイズ印刷動作として、用紙W1に実行される第1ノイズ印刷動作と、用紙W2に実行される第2ノイズ印刷動作とを含むこととする。
【0105】
また、本変形例1では、用紙W1に実行される第1ノイズ印刷動作は、紙折り動作であり、用紙W2に実行される第2ノイズ印刷動作は、2次給紙動作であることとする。
【0106】
本変形例1に係る印刷装置1では、印刷制御部93は、上述したステップS50及びステップS60において、実行タイミングをスケジュールする際に、用紙W1に紙折り動作が実行される実行タイミングと、用紙W2に2次給紙動作が実行される実行タイミングとを合わせる。
【0107】
例えば、
図10(a)に示すように、特定部92は、用紙W1に紙折り動作が実行される実行タイミングS1と、用紙W2に2次給紙動作が実行される実行タイミングS2とを特定した場合、印刷制御部93は、
図10(b)に示すように、実行タイミングをスケジュールする際に、実行タイミングS1と実行タイミングS2との差分Δtだけ、実行タイミングS2を遅らせる。
【0108】
これにより、印刷制御部93は、実行タイミングS1と実行タイミングS2とを合わせる、すなわち、同期させる。
【0109】
以上のように、本変形例1に係る印刷装置1では、印刷制御部93は、実行タイミングをスケジュールする際に、用紙W1に紙折り動作が実行される実行タイミングS1と、用紙W2に2次給紙動作が実行される実行タイミングS2とを合わせる。これにより、ノイズ印刷動作により、所定のノイズ音が発せられる回数を低減できる。
【0110】
なお、上述した変形例1では、第1ノイズ印刷動作は、紙折り動作であることとしたが、紙折り動作以外のノイズ印刷動作であってもよい。また、第2ノイズ印刷動作は、2次給紙動作であることとしたが、2次給紙動作以外のノイズ印刷動作であってもよい。
【0111】
[変形例2]
次いで、本発明の実施例1に係る印刷装置1の変形例2について説明する。
【0112】
ここで、上述した実施例1では、印刷制御部93は、実行間隔に等分間隔がない場合(ステップS40“No”)、ステップS60において、複数の実行タイミングのそれぞれの実行間隔のうちの最も長い最長実行間隔で所定のノイズ音が周期的に発するように、実行タイミングをスケジュールしていた。
【0113】
本変形例2に係る印刷装置1では、印刷制御部93は、実行間隔に等分間隔がない場合(ステップS40“No”)、実行間隔を補正して、補正後の実行間隔に等分間隔があるか否かを判定する。
【0114】
図11は、本変形例2に係る印刷装置1の動作を示すフローチャートである。なお、
図11に示すステップS10〜S40の動作は、実施例1に示したステップS10〜S40の動作と同様であるため、説明を省略する。
【0115】
ステップS51において、印刷制御部93は、実行間隔に等分間隔がない場合(ステップS40“No”)、複数の実行タイミングのそれぞれの実行間隔のうちの最も長い最長実行間隔を特定するとともに、実行間隔の数を特定する。なお、印刷制御部93は、実行タイミングの数をtnとした場合、tn−1=Pnの計算式に基づいて、実行間隔の数Pnを特定する。
【0116】
そして、印刷制御部93は、最長実行間隔に実行間隔の数Pnを乗算して、最大延長期間を算出する。例えば、
図8に示すように、実行間隔P202“1.9秒”が、最長実行間隔である場合、実行間隔P202“1.9秒”に実行間隔の数Pn“3”を乗算して、最大延長期間Pm“5.7秒”を算出する。
【0117】
ステップS52において、印刷制御部93は、各実行間隔P201〜P203に補正値を加算する。例えば、実行間隔P201“1.5秒”、実行間隔P202“1.9秒”、実行間隔P203“1.1秒”のそれぞれに、補正値“0.1秒”を加算することにより補正する。
【0118】
具体的に、
図12に示すように、実行間隔P201に補正値B11“0.1秒”を加算して実行間隔P231“1.6秒”に補正し、実行間隔P202に補正値B12“0.1秒”を加算して実行間隔P232“2.0秒”に補正し、実行間隔P201に補正値B13“0.1秒”を加算して実行間隔P233“1.2秒”に補正する。
【0119】
ステップS53において、印刷制御部93は、補正後の実行間隔P231〜P234に等分間隔があるか否かを判定する。具体的に、印刷制御部93は、補正後の実行間隔P231〜P234に所定閾値期間である最小単位期間“0.1秒”よりも大きい最大公約数間隔があるか否かを判定することにより、等分間隔があるか否かを判定する。
【0120】
なお、印刷制御部93は、補正後の実行間隔P231〜P234に等分間隔が無いと判定した場合(ステップS53“No”)、補正前の実行間隔P201〜P203に基づいて、ステップS60の動作を行う。
【0121】
一方、
図12の例に示すように、補正後の実行間隔P231“1.6秒”、補正後の実行間隔P232を“2.0秒”、補正後の実行間隔P233“1.2秒”とした場合、印刷制御部93は、最小単位期間“0.1秒”よりも大きい最大公約数間隔“0.4秒”があるため、等分間隔があると判定する。
【0122】
ステップS54において、印刷制御部93は、補正後の実行間隔P231〜P234に等分間隔があると判定した場合(ステップS53“Yes”)、補正後の実行間隔P231〜P234の合計値が、最大延長期間Pmよりも小さいか否かを判定する。
【0123】
このステップS54の動作により、印刷制御部93は、補正後の実行間隔P231〜P234に等分間隔で実行タイミングをスケジュールした印刷処理の処理期間が、補正前の実行間隔の中の最長実行間隔で実行タイミングをスケジュールした場合よりも、短くなるか否かを判定する。
【0124】
印刷制御部93は、補正後の実行間隔P231〜P234の合計値が、最大延長期間Pm以上であると判定した場合(ステップS54“No”)、補正前の実行間隔P201〜P203に基づいて、ステップS60の動作を行う。
【0125】
一方、
図12の例に示すように、補正後の実行間隔P231“1.6秒”、実行間隔P232を“2.0秒”、実行間隔P233“1.2秒”とした場合、印刷制御部93は、補正後の実行間隔P231〜P233の合計値“4.8秒”が、最大延長期間Pm“5.7秒”よりも小さいと判定し、ステップS50の動作を行う。
【0126】
ステップS50において、印刷制御部93は、
図12に示すように、実行間隔P231〜P233のそれぞれに、等分間隔Pa“0.4秒”で紙折り動作を周期的に実行するように、紙折り動作を無紙の状態で実行する無紙実行タイミングt241〜t249を割り当てる。
【0127】
これにより、印刷制御部93は、実行タイミングt231〜t234だけでなく、無紙実行タイミングt241〜t249を含む実行タイミングをスケジュールして、スケジュールデータを生成する。
【0128】
この後、
図11に示すステップS60〜S70の動作を行うが、実施例1に示したステップS60〜S70の動作と同様であるため、説明を省略する。
【0129】
以上のように、本変形例2に係る印刷装置1によれば、補正後の実行間隔を等分した等分期間があり、かつ、補正後の実行間隔の合計値が最大延長期間Pmよりも小さい場合に、補正後の実行間隔を等分した等分期間でノイズ音が周期的に発するように、実行タイミングをスケジュールする。
【0130】
これにより、最長実行間隔によって全ての実行間隔を共通化させて実行タイミングをスケジュールする場合に比べて、印刷処理を実行する処理期間を短くできるため、印刷処理の生産性の低下を抑制できる。
【0131】
[本発明のその他の実施形態]
以上、上述の実施形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。
【0132】
例えば、上述した実施形態では、印刷装置1では、最小単位期間が“0.1秒”である場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。最小単位期間は、任意な値を設定可能であり、例えば、0.01秒であってもよいし、1.0秒であってもよい。
【0133】
また、上述した実施形態では、印刷装置1では、等分間隔を規定する所定閾値期間が、最小単位期間“0.1秒”である場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、所定閾値期間は、最小単位期間よりも大きくしてもよく、例えば、1.0秒であってもよい。
【0134】
また、上述した実施形態では、後処理装置3が紙折り部110とステープル部120とを備える場合を例に挙げて説明したが、用紙Wにパンチ穴を穿孔するパンチ部や、用紙Wを中綴じ(中折り)する中綴じ部など、他の後処理を行う機能を備えていてもよい。
【0135】
また、上述した実施形態では、
図6に示すように、用紙Wの給紙間隔βが一定値である場合を例に挙げて説明したが、用紙Wの種類等に応じて異なる給紙間隔を規定してもよい。例えば、A3サイズの用紙Wの給紙間隔をβ1とし、A4サイズの用紙Wを給紙間隔β2として規定してもよい。この場合、特定部92は、次のようにして、用紙W4に紙折り動作を実行する実行タイミングt102を特定する。
【0136】
具体的に、特定部92は、先頭の用紙W1の給紙タイミングt100を基準として、次のA3サイズの用紙W4までのA3サイズの用紙Wの数を“na(
図6の例では、1)”とし、次のA3サイズの用紙W4までのA4サイズの用紙Wの数を“nb(
図6の例では、2)”として、t100+(na×β1)+(nb×β2)+Ta=t102の計算式から、用紙W4に紙折り動作を実行する実行タイミングt102を特定する。
【0137】
このように、本発明は上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。