特開2017-186029(P2017-186029A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-186029(P2017-186029A)
(43)【公開日】2017年10月12日
(54)【発明の名称】容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 41/17 20060101AFI20170919BHJP
【FI】
   B65D41/16 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-74915(P2016-74915)
(22)【出願日】2016年4月4日
(71)【出願人】
【識別番号】591029921
【氏名又は名称】フジモリ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085556
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100115211
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 三十義
(72)【発明者】
【氏名】高柳 昌弘
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA05
3E084AA12
3E084BA01
3E084CA01
3E084DA01
3E084DB13
3E084FA09
3E084FC07
3E084GA08
3E084GB02
3E084HA01
3E084HB04
3E084HD01
(57)【要約】
【課題】口部及び蓋に傾斜突条が設けられた容器において、蓋の回転角度に対する軸方向への移動量を確保しながら、摩擦抵抗を小さくする。
【解決手段】容器1の口部20の外周面には、口部軸線直交面sに対して斜めに延びる複数の口部傾斜突条23を形成する。蓋30の蓋周壁32の内周面には、蓋軸線直交面sに対して斜めに延びる複数の蓋傾斜突条33を形成する。これら傾斜突条23,33の側面23a,33aを凸曲面にする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体と、前記容器本体に設けられた筒状の口部と、前記口部に脱着されることで前記口部を開閉する蓋と、を備えた容器であって、
前記口部の外周面には、
前記口部の軸線と直交する口部軸線直交面に対して斜めに延びるとともに互いに周方向に離れて形成された複数の口部傾斜突条と、
環状の凹部又は凸部からなる第1口側嵌合部と、が形成され、
前記蓋が、前記口部の外周に嵌められる筒状の蓋周壁と、前記蓋周壁の先端部を塞ぐ蓋板部を有し、
かつ前記蓋周壁の内周面には、
前記蓋の軸線と直交する蓋軸線直交面に対して斜めに延びるとともに互いに周方向に離れて形成された複数の蓋傾斜突条と、
前記第1口側嵌合部に対して回転可能かつ着脱可能に嵌合される環状の凸部又は凹部からなる第1蓋側嵌合部と、が形成され、
前記口部傾斜突条の側面又は前記蓋傾斜突条の側面が凸曲面になっていることを特徴とする容器。
【請求項2】
前記口部の外周面における周方向に隣接する口部傾斜突条どうし間の間隔が、前記蓋の前記口部への装着時に前記蓋傾斜突条が前記口部の軸線に沿って平行移動のみでこれら口部傾斜突条どうし間に挿入可能な大きさであることを特徴とする請求項1に記載の容器。
【請求項3】
前記第1口側嵌合部が、前記口部における前記口部傾斜突条よりも先端側に配置され、かつ前記第1蓋側嵌合部が、前記蓋における前記蓋傾斜突条よりも前記蓋板部側に配置されており、
前記口部における前記口部傾斜突条よりも前記容器本体側の外周面には、環状の凸部又は凹部からなる第2口側嵌合部が形成され、
前記蓋における前記蓋傾斜突条よりも前記蓋板部とは反対側の内周面には、環状の凹部又は凸部からなる第2蓋側嵌合部が形成され、
前記蓋が前記口部への装着状態から前記口部の軸線方向へずれているときは、前記第2口側嵌合部が外部に現れ、
前記蓋が前記装着状態のとき、前記第2口側嵌合部が、前記第2蓋側嵌合部と嵌合されることによって外部から隠れることを特徴とする請求項1又は2に記載の容器。
【請求項4】
前記第2口側嵌合部と第2蓋側嵌合部との嵌合深さが、前記第1口側嵌合部と第1蓋側嵌合部との嵌合深さよりも浅いことを特徴とする請求項3に記載の容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器本体と前記容器本体の口部を開閉する蓋を備えた容器に関し、特に蓋の少しの回転で開閉可能な容器に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の容器においては、蓋をあまり回転させることなく開閉可能とすることが求められる場合がある。特許文献1においては、容器本体の口部の外周及び蓋の内周にそれぞれ傾斜突条が設けられている。これら傾斜突条は、通常のネジのリード角よりも大きく傾斜されている。これら傾斜突条の案内作用によって、蓋が少しの回転で軸方向へ大きく移動することで、開閉操作されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−179391号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記傾斜突条の傾斜角度を大きくすればするほど、蓋の回転角度に対する軸方向への移動量を大きくできる。しかし、前記傾斜角度が大きいと、開閉操作の摩擦抵抗が大きくなる。
本発明は、口部及び蓋に傾斜突条が設けられた容器において、蓋の回転角度に対する軸方向への移動量を確保しながら、摩擦抵抗を小さくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するために、本発明は、容器本体と、前記容器本体に設けられた筒状の口部と、前記口部に脱着されることで前記口部を開閉する蓋と、を備えた容器であって、
前記口部の外周面には、
前記口部の軸線と直交する口部軸線直交面に対して斜めに延びるとともに互いに周方向に離れて形成された複数の口部傾斜突条と、
環状の凹部又は凸部からなる第1口側嵌合部と、が形成され、
前記蓋が、前記口部の外周に嵌められる筒状の蓋周壁と、前記蓋周壁の先端部を塞ぐ蓋板部を有し、
かつ前記蓋周壁の内周面には、
前記蓋の軸線と直交する蓋軸線直交面に対して斜めに延びるとともに互いに周方向に離れて形成された複数の蓋傾斜突条と、
前記第1口側嵌合部に対して回転可能かつ着脱可能に嵌合される環状の凸部又は凹部からなる第1蓋側嵌合部と、が形成され、
前記口部傾斜突条の側面又は前記蓋傾斜突条の側面が凸曲面になっていることを特徴とする。
【0006】
口部傾斜突条及び蓋傾斜突条の傾斜角度を大きくすることによって、蓋の回転角度に対する軸方向への移動量を大きくでき、蓋をあまり回すことなく開け閉めできる。かつ、口部傾斜突条と蓋傾斜突条とを面接触ではなく線接触させることができるから、蓋の回転時の傾斜突条どうしの摩擦抵抗を低減できる。したがって、蓋の開閉負荷を軽減できる。
【0007】
前記口部の外周面における周方向に隣接する口部傾斜突条どうし間の間隔が、前記蓋の前記口部への装着時に前記蓋傾斜突条が前記口部の軸線に沿って平行移動のみでこれら口部傾斜突条どうし間に挿入可能な大きさであることが好ましい。
これによって、蓋を回すことなく押し込むだけで口部に装着でき、閉蓋操作を簡易化できる。
【0008】
前記第1口側嵌合部が、前記口部における前記口部傾斜突条よりも先端側に配置され、かつ前記第1蓋側嵌合部が、前記蓋における前記蓋傾斜突条よりも前記蓋板部側に配置されており、
前記口部における前記口部傾斜突条よりも前記容器本体側の外周面には、環状の凸部又は凹部からなる第2口側嵌合部が形成され、
前記蓋における前記蓋傾斜突条よりも前記蓋板部とは反対側の内周面には、環状の凹部又は凸部からなる第2蓋側嵌合部が形成され、
前記蓋が前記口部への装着状態から前記口部の軸線方向へずれているときは、前記第2口側嵌合部が外部に現れ、
前記蓋が前記装着状態のとき、前記第2口側嵌合部が、前記第2蓋側嵌合部と嵌合されることによって外部から隠れることが好ましい。
これによって、第2口側嵌合部が外部から視認できるか否かで、蓋が口部に完全に嵌っているか否かを容易に確認することができる。
【0009】
前記第2口側嵌合部と第2蓋側嵌合部との嵌合深さが、前記第1口側嵌合部と第1蓋側嵌合部との嵌合深さよりも浅いことが好ましい。
これによって、第2口側嵌合部と第2蓋側嵌合部どうしを嵌合させたり外したりする際の負荷を小さくできる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、容器における蓋の回転角度に対する軸方向への移動量を確保しながら、傾斜突条どうしの摩擦抵抗を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1(a)は、本発明の一実施形態に係る容器を閉蓋状態で示す斜視図である。図1(b)は、前記容器の容器本体を二点鎖線にして開蓋状態で示す斜視図である。
図2図2は、前記容器の口部及び蓋を閉蓋状態で、かつ一部を断面にして示す正面図である。
図3図3は、図2のIII−III線に沿う平面断面図である。
図4図4は、前記容器における閉蓋操作を順追って示したものであり、同図(a)は、閉蓋操作の初期段階を示す正面図である。同図(b)は、閉蓋操作の途中段階を示す正面図である。同図(c)は、閉蓋操作の完了時を示す正面図である。
図5図5は、前記容器における開蓋操作を順追って示したものであり、同図(a)は、開蓋操作の初期段階を示す正面図である。同図(b)は、開蓋操作の途中段階を示す正面図である。同図(c)は、開蓋操作の終了段階を示す正面図である。
図6図6は、図5(a)のVI−VI線に沿って拡大した平面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態を図面にしたがって説明する。
図1に示すように、容器1は、容器本体10と、蓋30を備えている。容器本体10には、口部20が設けられている。口部20に蓋30が脱着されることで、口部20が開閉される。
【0013】
図1(b)に示すように、口部20は、筒状をなし、容器本体10の上面(1の面)から突出されている。図2及び図3に示すように、口部20の外周面には、複数の口部傾斜突条23が形成されている。これら口部傾斜突条23が、互いに口部20の周方向に離れて等間隔置きに配置されている。ここでは、4つの口部傾斜突条23が90°置きに配置されている。図4に示すように、周方向に隣接する口部傾斜突条23,23どうしの間隔は、各口部傾斜突条23の幅(周方向に沿う寸法)よりも十分に大きい。かつ、これら隣接する口部傾斜突条23,23どうしの間隔は、蓋30の閉操作時に、後記蓋傾斜突条33が口部20の軸線Lに沿う平行移動のみでこれら口部傾斜突条23,23どうし間に挿入可能な大きさになっている。
【0014】
図2に示すように、各口部傾斜突条23は、口部20の軸線Lと直交する口部軸線直交面sに対して斜めに延びている。口部傾斜突条23の口部軸線直交面sに対する傾き方向は、右ネジの傾き方向と同じであり、かつ口部傾斜突条23の口部軸線直交面sに対する傾斜角度θは、右ネジの一般的なリード角よりも十分に大きい。傾斜角度θは、好ましくはθ=30°〜70°であり、より好ましくはθ=45°程度である。口部傾斜突条23の口部軸線直交面sに対する傾きは、口部傾斜突条23の全長にわたって一定である。口部傾斜突条23の先端部(容器本体10とは反対側の端部)は、先細に尖った錐部23eとなっている。
【0015】
図6に示すように、口部傾斜突条23の両側面23a,23bは、凸曲面になっている。すなわち、口部傾斜突条23の延び方向と直交する断面の両側部が外方へ凸の曲線になっている。好ましくは、側面23a,23bは、インボリュート曲線状の曲面になっている。
ここで、側面23aは、開蓋操作時に蓋30を開方向(図3において反時計まわり)へ回すことで後記蓋傾斜突条33と当たる側の面である(図5(a))。側面23bは、閉蓋操作時に蓋30を閉方向(図3において時計まわり)へ回すことで後記蓋傾斜突条33と当たる側の面である。
【0016】
図2に示すように、口部20の外周には、第1、第2の口側嵌合部24,25が形成されている。図4(a)に示すように、第1口側嵌合部24は、口部20における傾斜突条23よりも先端側(同図において上側)に配置されるとともに、口部20の外周面の全周にわたる環状の凹部になっている。
第2口側嵌合部25は、口部20における傾斜突条23よりも容器本体10側(図2において下側)に配置されるとともに、口部20の外周面の全周にわたる環状の凸部となっている。
【0017】
図1に示すように、蓋30は、蓋周壁32と、蓋板部31を有している。蓋周壁32は、筒状をなし、口部20の外周に嵌められる。蓋板部31が、蓋周壁32の先端部(図1において上端部)を塞いでいる。蓋30における蓋板部31とは反対側(図1において下側)の端部は、開口されている。
【0018】
図2及び図3に示すように、蓋周壁32の内周面には、複数の蓋傾斜突条33が形成されている。蓋傾斜突条33の数は、口部傾斜突条23の数と合致している。これら蓋傾斜突条33が、互いに蓋30の周方向に離れて等間隔置きに配置されている。ここでは、4つの蓋傾斜突条33が90°置きに配置されている。図4に示すように、周方向に隣接する蓋傾斜突条33,33どうしの間隔は、各蓋傾斜突条33の幅(周方向に沿う寸法)よりも大きい。かつ、これら隣接する蓋傾斜突条33,33どうしの間隔は、蓋30の閉操作時に、軸線Lに沿う平行移動のみで、これら蓋傾斜突条33,33どうしの間に口部傾斜突条23を挿入可能な大きさになっている。
【0019】
図2に示すように、各蓋傾斜突条33は、蓋30の軸線Lと直交する蓋軸線直交面sに対して斜めに延びている。蓋傾斜突条33の蓋軸線直交面sに対する傾き方向は、右ネジの傾き方向と同じであり、かつ蓋傾斜突条33の蓋軸線直交面sに対する傾斜角度θは、右ネジの一般的なリード角よりも十分に大きい。傾斜角度θは、好ましく、θ=30°〜70°であり、より好ましくはθ=45°程度である。蓋傾斜突条33の蓋軸線直交面sに対する傾きは、蓋傾斜突条33の全長にわたって一定である。
図2に示すように、蓋傾斜突条33における蓋開口側(図2において下側)の端部は、先細に尖った錐部33eとなっている。
【0020】
図6に示すように、蓋傾斜突条33の両側面33a,33bは凸曲面になっている。すなわち、蓋傾斜突条33の延び方向と直交する断面の両側部が外方へ凸の曲線になっている。好ましくは、側面33a,33bは、インボリュート曲線状の曲面になっている。
側面33aは、開蓋操作時に蓋30を開方向(図3において反時計まわり)へ回すことで口部傾斜突条23の側面23aと当たる。
側面33bは、閉蓋操作時に蓋30を閉方向(図3において時計まわり)へ回すことで口部傾斜突条23の側面23bと当たる。
【0021】
図2及び図4(a)に示すように、蓋周壁32の内周には、第1、第2の蓋側嵌合部34,35が形成されている。第1蓋側嵌合部34は、蓋周壁32における蓋傾斜突条33よりも蓋板部31側(図2において上側)に配置されるとともに、蓋30の全周にわたる環状の凸部になっている。
第2蓋側嵌合部35は、蓋周壁32における傾斜突条33よりも蓋30の開口部側(図2において下側)に配置されるとともに、蓋30の全周にわたる環状の凹部になっている。
【0022】
図2に示すように、蓋板部31の内面(図2において下面)には、シール部材36が設けられている。蓋板部31の内面と蓋周壁32の内周面との角部付近には、シール係止部37が設けられている。このシール係止部37によってシール部材36の周縁部が係止されている。
なお、シール部材36を二色成形によって蓋30と一体成形してもよい。
【0023】
図2及び図4(c)に示すように、蓋30を口部20に装着した状態(閉蓋状態)では、口部20の先端部(図2において上端部)が、シール部材36に押し当てられている。これによって、蓋30と口部20との間がシールされる。
【0024】
また、閉蓋状態では、第1蓋側嵌合部34が第1口側嵌合部24に嵌っている。かつ、第2蓋側嵌合部35に第2口側嵌合部25が嵌っている。第1蓋側嵌合部34と第1口側嵌合部24の嵌合深さは、第2口側嵌合部25と第2蓋側嵌合部35との嵌合深さよりも大きい。
【0025】
更に、図3に示すように、閉蓋状態においては、各蓋傾斜突条33が、口部20の周方向に隣接する2つの口部傾斜突条23,23どうしの間に配置されている。この閉蓋状態において、蓋30が、口部20に対して、口部傾斜突条23の配置ピッチと対応する角度だけ空回り(自由回転)可能である。
図2に示すように、閉蓋状態においては、蓋30の錐部33eが、口部傾斜突条23の容器本体10側(図2において下側)の端部よりも口部20の先端側(図2において上側)に位置している。また、口部20の錐部23eが、蓋傾斜突条33の蓋板部31側(図2において上側)の端部よりも蓋開口側(図2において下側)に位置している。
【0026】
図4(b)に示すように、蓋30が口部20への装着の途中段階で、装着状態(図4(c))よりも軸線L方向の上方へずれているときは、第2口側嵌合部25が、蓋30よりも下方に位置することで外部に現れている。
図4(c)に示すように、蓋30が装着状態(閉蓋状態)のとき、第2口側嵌合部25が、第2蓋側嵌合部35と嵌合されることによって外部から隠れる。
【0027】
蓋30は、次のようにして口部20に着脱される。
<閉蓋操作>
図4(a)に示すように、蓋30を口部20に装着(閉蓋)する際は、蓋30を口部20と対向させる。好ましくは、蓋傾斜突条33が、隣接する口部傾斜突条23,23どうしの中間に位置するように、蓋30の口部20に対する軸線Lまわりの角度を調節する。
そして、図4(a)〜図4(b)に示すように、蓋30を口部20へ真っ直ぐ移動させることで、蓋周壁32を口部20の外周に嵌め込む。このとき、蓋傾斜突条33は、口部20の軸線方向に平行移動しながら、隣接する口部傾斜突条23,23どうし間に挿し入れられる。口部傾斜突条23の配置間隔を大きく設定することよって、挿し入れ途中に蓋傾斜突条33が口部傾斜突条23に突き当たるのを回避できる。
【0028】
図4(b)に示すように、蓋30の装着途中段階では、第2口側嵌合部25を外部から視認できる。これによって、蓋30が閉まり切っていないことを簡単に確認できる。
更に、蓋30を真っ直ぐ口部20へ押し込むことで、図4(c)に示すように、第1蓋側嵌合部34が第1口側嵌合部24に嵌る。これによって、蓋30を回すことなく短時間で口部20に装着できる。
第1蓋側嵌合部34が第1口側嵌合部24に嵌ると同時に、第2蓋側嵌合部35に第2口側嵌合部25が嵌ることで、第2口側嵌合部25が外部から見えなくなる。これによって、蓋30が口部20に完全に嵌ったことを確認できる。
【0029】
なお、蓋30の口部20に対する軸線Lまわりの角度によっては、蓋30の嵌め込み途中で、蓋傾斜突条33が口部傾斜突条23に突き当たる場合がある。その場合には、蓋30を押し込みながら閉方向(図3において時計回り)に回すことで、蓋傾斜突条33の側面33bを口部傾斜突条23の側面23bに沿って摺動させる。これら側面33b,23bが凸曲面になっているために、摩擦抵抗を低減できる。
【0030】
<開蓋操作>
蓋30を口部20から外す際(開蓋時)は、蓋30を開方向(図3において反時計回り)へ回す。当初、傾斜突条23,33どうしが離れている場合は、その離間距離分だけ蓋30が空回りする。
やがて、図5(a)及び図6に示すように、蓋傾斜突条33の側面33aが口部傾斜突条23の側面23aに当たる。
【0031】
図5(b)に示すように、蓋30を更に開方向へ回すと、蓋傾斜突条33の側面33aが口部傾斜突条23の側面23bに沿って摺動し、これら側面33a,23aどうしの案内作用によって、蓋30が軸線方向に沿って容器本体10から離れる向き(図5(b)において上方)へ移動される。この移動によって、第1蓋側嵌合部34が第1口側嵌合部24から外れる。かつ、第2蓋側嵌合部35が第2口側嵌合部25から外れる。
傾斜突条23,33の傾斜角度θ,θ図2)が通常のネジのリード角より大きいために、蓋30の回転量に対して蓋30の軸線方向への移動量を大きくできる。したがって、蓋30を少し回すだけで、嵌合部24,34;25,35どうしの嵌合を解除できる。このとき、蓋側嵌合部34,35は、回転しながら口側嵌合部24,25から抜け出るため、嵌合の解除抵抗を小さくできる。
しかも、側面33a,23aが凸曲面になっているために、口部傾斜突条23と蓋傾斜突条33とを面接触ではなく線接触させることができる。したがって、傾斜突条23,33どうしの摺動抵抗を低減できる。ひいては、嵌合部24,34;25,35どうしの嵌合解除抵抗を一層小さくできる。
【0032】
図5(c)に示すように、嵌合部24,34;25,35どうしの嵌合解除後は、蓋30を軸線方向に沿って開蓋側(図5(c)において上側)へ真っ直ぐ平行移動させてもよく、或いは、蓋30を更に開方向へ回すことで傾斜突条33,23どうしの案内作用によって開蓋側(上側)へ移動させてもよい。蓋30を更に開方向へ回す場合でも、蓋30を少し回すだけで、容器本体10とは反対側(上側)へ大きく移動させることができる。
この結果、蓋30をあまり回すことなく、素早く、かつ容易に口部20から外すことができる。開蓋操作に要する蓋30の回転角度は、最大でも例えば90°程度である。したがって、手首を返して蓋30をつかみ直す必要が無い。
【0033】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨に反しない範囲内で種々の改変をなすことができる。
例えば、口部傾斜突条23及び蓋傾斜突条33の数は、それぞれ2つ〜3つでもよく、5つ以上でもよい。
口部傾斜突条23の口部軸線直交面sに対する傾きが、容器本体10に近づくにしたがって小さくなっていてもよい。同様に、蓋傾斜突条33の蓋軸線直交面sに対する傾きが、蓋板部31から遠ざかるにしたがって小さくなっていてもよい。
傾斜突条23,33の軸線直交面s,sに対する傾き方向が、左ネジの傾き方向と同じであってもよい。
口部傾斜突条23の側面23a,33a及び蓋傾斜突条33の側面33a,33bは、凸曲面になっていればよく、必ずしもインボリュート曲線状の凸曲面である必要はない。更には、傾斜突条23,33の側面23a,33aのうち少なくとも一方が凸曲面であればよく、これら側面23a,33aの他方は平坦面であってもよい。
口部傾斜突条23の両側面23a,23b及び蓋傾斜突条33の両側面33a,33bのうち、少なくとも蓋30を開けるときに互いに押し当たる側面23a,33aどうしが、凸曲面であればよい。
第1口側嵌合部24が環状の凸部であり、第1蓋側嵌合部34が環状の凹部であってもよい。
第2口側嵌合部25が環状の凹部であり、第2蓋側嵌合部35が環状の凸部であってもよい。
第2口側嵌合部25及び第2蓋側嵌合部35を省略してもよい。
第1口側嵌合部24が、口部20における口部斜突条23よりも容器本体10側(図2において下側)に配置されていてもよい。第1蓋側嵌合部34が、蓋30における蓋傾斜突条33よりも蓋開口側(図2において下側)に配置されていてもよい。
蓋板部31の上面には、開方向及び閉方向を示す表示を設けてもよい。
蓋板部31の内面にシール用インナーリングを設けてもよい。蓋30を口部20へ装着すると、前記シール用インナーリングが口部20の先端部の周側面に押し当てられることによって、蓋30と口部20との間がシールされるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明は、容器の蓋構造に適用できる。
【符号の説明】
【0035】
口部軸線
蓋軸線
口部軸線直交面
蓋軸線直交面
1 容器
10 容器本体
20 口部
23 口部傾斜突条
23a 側面
23b 側面
24 第1口側嵌合部
25 第2口側嵌合部
30 蓋
31 蓋板部
32 蓋周壁
33 蓋傾斜突条
33a 側面
33b 側面
34 第1蓋側嵌合部
35 第2蓋側嵌合部
図1
図2
図3
図4
図5
図6