【解決手段】反転装置10は、円弧状の経路を有する反転区域S1を包装袋11とともに連続的に走行する供給ベルト25を有する供給部12と、反転区域S1において供給ベルト25と対向しながら走行可能に設けられた保持ベルト35であって、反転区域S1を走行する供給ベルト25とともに包装袋11を挟んで保持する保持ベルト35を有する搬送保持部13と、反転区域S1において保持ベルト35が供給ベルト25に押しつけられるように保持ベルト35の張力を調整する張力調整部14と、反転区域S1から排出された包装袋11を受け取る搬出部29とを備える。張力調整部14は、保持ベルト35を押圧して配置位置に応じて保持ベルト35の張力が定められる可動式の押圧部45と、保持ベルト35の張力が増大する方向へ押圧部45を付勢する付勢部46とを有する。
前記搬送プーリーの前記外周面部が走行する区域は、前記外周面部が前記供給ベルトを支持する支持区域と、前記外周面部が前記供給ベルトを支持しない非支持区域とを含み、
前記非支持区域の少なくとも一部において前記搬送プーリーの前記外周面部を覆って、前記複数のプーリー開口の通気を制限する蓋部材が設けられる請求項10又は11に記載の反転装置。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。以下の説明における「上流」及び「下流」の用語は、包装袋11の搬送方向を基準とする。また搬送対象の包装袋11は、必ずしも一定の形状を持たず、外力に応じて比較的簡単に変形し、姿勢に応じて外形が変化しうる。この包装袋11には、基本的には固体、液体、及び/又は気体が収容されているが、必ずしも包装袋11の内側には製品等が収容されている必要はない。
【0030】
<第1実施形態>
図1〜
図6を参照して、本発明の第1実施形態に係る反転装置10について説明する。
【0031】
本実施形態の反転装置10は、
図1に示すように、反転区域S1において保持ベルト35が供給ベルト25に押しつけられるように保持ベルト35の張力を調整する張力調整部14を備える。張力調整部14は、保持ベルト35を押圧する可動式の押圧部45と、押圧部45を付勢する付勢部46(後述の
図4参照)とを有する。保持ベルト35の張力は押圧部45の配置位置に応じて変動し、押圧部45は保持ベルト35の張力が増大するような方向へ付勢部46によって付勢される。
【0032】
この反転装置10によれば、反転区域S1において包装袋11を供給ベルト25と保持ベルト35とによって挟みながら適切に搬送することができ、また包装袋11の表面及び裏面を確実且つ安定的に反転させることができる。特に可動式の押圧部45及び付勢部46によって保持ベルト35の張力が包装袋11のサイズ及び形状(特に厚み)に応じて自動的に調整され、供給ベルト25及び保持ベルト35から包装袋11に作用する保持力の大きさが適切に調整される。
【0033】
したがって、たとえ包装袋11の厚みが変わっても、包装袋11の搬送を阻害することなく、押圧部45及び付勢部46によって保持ベルト35の張力が包装袋11の厚みに応じた適切な大きさに自動的に調整される。また相互に重なった状態の複数の包装袋11が反転区域S1に搬送されてきた場合であっても、保持ベルト35の張力は、重なった状態の複数の包装袋11の全体の厚みに応じた適切な大きさに自動的に調整される。そのため、包装袋11の破損(破裂等)や生産性の低下を招くことなく、様々な厚みを有する包装袋11を供給ベルト25及び保持ベルト35によって適切に保持、搬送及び反転させることができる。このように反転区域S1における包装袋11の保持力を包装袋11の厚みに応じた適切な大きさに自動的に調整することによって、反転区域S1の入口付近で包装袋11が詰まってしまうことを防ぎ、包装袋11の反転処理を確実且つ安定的に行うことができる。
【0034】
以下、上述の反転装置10の具体的な構成の一例についてより詳細に説明する。
【0035】
図1は、第1実施形態に係る反転装置10の反転処理に関わる主要部分の概略断面構成を示す図であり、包装袋11が反転区域S1において供給ベルト25及び保持ベルト35により保持される前の状態を示す。
図2は、第1実施形態に係る反転装置10の反転処理に関わる主要部分の概略断面構成を示す図であり、包装袋11が反転区域S1において供給ベルト25及び保持ベルト35により保持されている状態を示す。
【0036】
なお図中の符号「A1」及び「A6」は包装袋11の搬送方向を示し、「A2」は付勢部46による押圧部45の付勢方向を示し、「A3」は保持ベルト35の付勢方向を示し、「A4」搬送プーリー26の回転方向を示し、「A5」は保持ベルト35の走行方向を示し、「A7」は保持ベルト35による押圧部45の付勢方向を示し、「A8」は搬出部29の退避方向を示し、「A9」は搬送保持部13の退避方向を示す。
【0037】
本例の反転装置10は、包装袋11を搬送しながら包装袋11の表面及び裏面を反転させる搬送式表裏反転装置として構成されている。この反転装置10は、搬入コンベア21、供給部12、搬送保持部13及び搬出部29を備える。
【0038】
搬入コンベア21はベルトコンベアとして構成され、反転装置10の前段に設けられる装置から搬送対象の包装袋11を受け取って、その包装袋11を搬送して供給部12に供給する。本例の搬入コンベア21は、上流側に設けられる駆動ローラ(図示省略)及び下流側に設けられる搬入側回転ローラ23を含む複数のローラと、これらの複数のローラにより支持される(張架される(すなわち張力のかかった状態で掛け渡される))無端ベルトによって構成される搬入ベルト22とを有する。搬入コンベア21の駆動ローラは、後述の搬入ベルト駆動部24(
図6参照)により駆動されて回転する。
【0039】
搬入ベルト22は、典型的には単一の平ベルト又は複数本の帯状ベルトによりゴムグリップベルトとして構成可能であり、駆動ローラにより駆動されて包装袋11を略水平方向へ搬送する。包装袋11は、搬入ベルト22に載せられて供給部12に向かって搬送され、搬入ベルト22から供給部12の供給ベルト25に渡される。搬入ベルト22のうち駆動ローラ及び搬入側回転ローラ23の各々によって支持される部分は円弧状の反転部を構成し、搬入ベルト22は、これらの反転部で反転して走行方向が逆方向へ切り換えられ、連続的に走行する。
【0040】
なお、本例では搬入側回転ローラ23よりも上流側に設けられる駆動ローラによって搬入ベルト22が駆動されるが、搬入側回転ローラ23が搬入ベルト22を駆動して走行させてもよい。また、駆動ローラ及び搬入側回転ローラ23に加えて他のローラによって(すなわち3以上のローラによって)、搬入ベルト22を走行可能に支持してもよい。
【0041】
供給部12は、複数のローラ(本例では供給側回転ローラ27及び搬送プーリー26)と、これらの複数のローラにより支持(張架)される供給ベルト25とを有する。供給ベルト25は、一体的なウエブ状(布状)の無端ベルトによって構成される。供給側回転ローラ27及び搬送プーリー26は互いに離間して配置されており、供給ベルト25は、供給側回転ローラ27及び搬送プーリー26によって張力が付与され、緊張した状態で弛みなくピンと張られている。搬送プーリー26は、後述の供給ベルト駆動部26b(
図6参照)を介して駆動され、供給ベルト25を保持しながら回転する。供給ベルト25は、搬送プーリー26によって駆動され、連続的に走行する。
【0042】
供給ベルト25が走行する区域には、供給側回転ローラ27によって供給ベルト25が支持される区域、搬送プーリー26によって供給ベルト25が支持されている区域、及び供給側回転ローラ27及び搬送プーリー26のいずれにも供給ベルト25が支持されない区域が含まれる。供給側回転ローラ27の外周面部の走行する区域は、当該外周面部が供給ベルト25を支持する支持区域と、当該外周面部が供給ベルト25を支持しない非支持区域とを含む。同様に、搬送プーリー26の外周面部の走行する区域は、当該外周面部が供給ベルト25を支持する支持区域と、当該外周面部が供給ベルト25を支持しない非支持区域とを含む。搬送プーリー26によって供給ベルト25が支持されている区域は、円弧状の経路を有する反転区域S1を含む。供給ベルト25は、供給側回転ローラ27と搬送プーリー26との間の区域及び反転区域S1を、包装袋11とともに連続的に走行する。
【0043】
なお、本例では下流側に設けられる搬送プーリー26によって供給ベルト25が駆動されるが、供給側回転ローラ27が供給ベルト25を駆動して走行させてもよい。また供給側回転ローラ27及び搬送プーリー26に加えて他のローラによって(すなわち3以上のローラによって)、供給ベルト25を走行可能に支持してもよい。
【0044】
搬送保持部13は、無端ベルトによって構成される保持ベルト35と、当該保持ベルト35を走行可能に支持(張架)する複数のローラとを有する。本実施形態の保持ベルト35は、一体的なウエブ状の無端ベルトによって保持用平ベルトとして構成される。複数のローラは、第1反転部ローラ36、第2反転部ローラ37、第1方向転換ローラ38、第2方向転換ローラ39及び保持ベルト駆動機構40を含む。第1反転部ローラ36、第2反転部ローラ37、第1方向転換ローラ38及び第2方向転換ローラ39は保持ベルト35の裏面側から保持ベルト35を走行可能に支持し、保持ベルト駆動機構40は保持ベルト35の表面側から保持ベルト35を走行可能に支持する。また保持ベルト35は、反転区域S1の少なくとも一部において、供給部12の搬送プーリー26によっても走行可能に支持されており、搬送プーリー26は保持ベルト35の表面側から保持ベルト35を支持する。保持ベルト35は、これらの複数のローラ及び搬送プーリー26によって、基本的には緊張した状態で弛みなくピンと張られており、特に反転区域S1では、供給ベルト25に向かって付勢され包装袋11の落下を防止する押さえベルトとして機能する。
【0045】
第1反転部ローラ36は反転区域S1の入口側に配置され、第2反転部ローラ37は反転区域S1の出口側に配置される。保持ベルト35のうち第1反転部ローラ36と第2反転部ローラ37との間における少なくとも一部が、反転区域S1を走行する供給ベルト25と対向する。すなわち保持ベルト35は、反転区域S1において、搬送プーリー26(供給ベルト25)に沿うように配置されて供給ベルト25と対向しながら走行可能に設けられている。包装袋11は、反転区域S1において、供給ベルト25及び保持ベルト35によって狭圧保持され、下流側に向かって走行する供給ベルト25及び保持ベルト35によって挟まれた状態で搬送される。
【0046】
保持ベルト駆動機構40は、第2反転部ローラ37との間で保持ベルト35を挟み込んで保持ベルト35を支持し、後述の保持ベルト駆動部40b(
図6参照)により駆動されて回転し、保持ベルト35を走行させる。なお、本例では下流側に設けられる保持ベルト駆動機構40によって保持ベルト35が駆動されて走行するが、保持ベルト駆動機構40が回転駆動されることは必ずしも必要ではない。例えば、保持ベルト駆動機構40を回転自在に設けるとともに保持ベルト35を支持する他のローラ(第1反転部ローラ36、第2反転部ローラ37、第1方向転換ローラ38及び/又は第2方向転換ローラ39)が供給ベルト25を駆動して走行させてもよい。また反転区域S1において、搬送プーリー26が、保持ベルト35を介して供給ベルト25を駆動して走行させてもよい。
【0047】
本実施形態の反転装置10では第1方向転換ローラ38及び第2方向転換ローラ39が設けられており、第1方向転換ローラ38は張力調整部14の押圧部45の上流側に設けられ、第2方向転換ローラ39は押圧部45の下流側に設けられる。これらの第1方向転換ローラ38及び第2方向転換ローラ39に対する押圧部45の相対的な位置によって保持ベルト35の張力は定められる。特に本実施形態のように、第1方向転換ローラ38及び第2方向転換ローラ39の間において、第1方向転換ローラ38及び第2方向転換ローラ39による保持ベルト35の支持方向(すなわち押圧方向)と対向する方向へ押圧部45が保持ベルト35を押圧する構成とすることで、搬送保持部13の設置スペースをコンパクトにすることが可能である。
【0048】
張力調整部14は保持ベルト35の張力を自動的に調整する張力付与手段として機能し、保持ベルト35を押圧する可動式の押圧部45と、保持ベルト35の張力が増大する方向へ押圧部45を付勢する付勢部46(
図4参照)とを有する。押圧部45は、保持ベルト35に対して移動自在に設けられており、押圧部45の進退位置に応じて、押圧部45から保持ベルト35に付与される押圧力が変わる。なお保持ベルト35の走行区域は、第1反転部ローラ36及び第2反転部ローラ37によって区分けすることが可能であり、第1反転部ローラ36及び第2反転部ローラ37を基準にして一方側の区域には反転区域S1が配置され、他方側の区域には第1方向転換ローラ38、第2方向転換ローラ39及び押圧部45が配置される。したがって付勢部46によって付勢される押圧部45は、保持ベルト35のうち、第1反転部ローラ36及び第2反転部ローラ37を介して反転区域S1とは反対側の区域を走行する部分を押圧する。また押圧部45は、反転区域S1において供給ベルト25と保持ベルト35とによって挟まれて保持されている1又は複数の包装袋11の厚みに応じて、保持ベルト35から力を受けて配置位置が定められる。付勢部46は、保持ベルト35のうち第1方向転換ローラ38と第2方向転換ローラ39との間に配置される部分が供給ベルト25及び反転区域S1に向かって押圧部45によって押圧されるように、押圧部45を付勢する。これにより保持ベルト35全体の張力が調整され、保持ベルト35は弛みのない緊張状態を維持する。
【0049】
このように押圧部45の配置位置は、「保持ベルト35の張力に応じて保持ベルト35から押圧部45に加えられる力」と「付勢部46によって押圧部45に加えられる付勢力」とのバランスに応じて決定される。これにより反転区域S1では、保持ベルト35が供給ベルト25に押しつけられ、包装袋11が供給ベルト25及び保持ベルト35によって適切に保持される。
【0050】
搬出部29は、搬出ローラ31及び駆動ローラ(図示省略)を含む複数のローラと、当該複数のローラにより支持(張架)され連続的に走行可能な無端ベルトによって構成される搬出ベルト30とを有する。搬出ベルト30は、供給部12(特に供給ベルト25)及び反転区域S1よりも鉛直方向下方に配置され、反転区域S1から排出されて重力の影響で落下する包装袋11を受け取って、反転装置10の後段に設けられる装置に包装袋11を搬送する。なお、本例では下流側に設けられる駆動ローラによって搬出ベルト30が駆動されるが、搬出ローラ31が搬出ベルト30を駆動して走行させてもよい。また搬出ローラ31及び駆動ローラに加えて他のローラによって(すなわち3以上のローラによって)、搬出ベルト30を走行可能に支持してもよい。
【0051】
次に、本実施形態の反転装置10における包装袋11の反転処理の概要について説明する。
【0052】
反転装置10における反転処理は、反転区域S1に向けて包装袋11を搬送する包装袋供給工程と、反転区域S1において供給ベルト25及び保持ベルト35により包装袋11を搬送して包装袋11の表面及び裏面を反転させる包装袋反転工程と、反転後の包装袋11を後段に送る包装袋搬出工程とを含む。包装袋供給工程は、主として搬入コンベア21及び供給部12によって行われ、包装袋反転工程は、主として供給部12によって行われ、包装袋搬出工程は主として搬出部29によって行われる。
【0053】
具体的には、搬入コンベア21の搬入ベルト22から供給部12の供給ベルト25に渡された包装袋11は、供給ベルト25によって搬送され、供給ベルト25と保持ベルト35との間の反転区域S1に進入する。反転区域S1では、包装袋11は供給ベルト25と保持ベルト35とに挟まれて支持された状態で、基本的には姿勢を崩すことなく搬送される。そして包装袋11は、反転区域S1から搬出部29の搬出ベルト30に向かって排出され、供給ベルト25及び保持ベルト35による支持から解放される。包装袋11は搬出ベルト30上に載置され、搬出ベルト30によって反転装置10の後段に設けられる装置に向けて移送される。なお、包装袋11は搬入ベルト22(搬入コンベア21)から供給ベルト25(供給部12)に向かって散在的に送られてきてもよいし、連続的に送られてきてもよい。
【0054】
このように包装袋11は、保持ベルト35によって供給ベルト25に押し当てられながら反転区域S1を搬送され、包装袋11の表面と裏面とは反転する。すなわち反転区域S1は円弧状の経路を形成するため、反転区域S1の前後において、包装袋11の表面及び裏面の向きは鉛直方向に関して逆転する。例えば、包装袋11のうち反転区域S1に進入する前には供給ベルト25に接触していた下向きの面(裏面)が、反転区域S1から排出された後の搬出ベルト30上では上向きの面(表面)となる。一方、包装袋11のうち反転区域S1に進入する前には供給ベルト25に接触していなかった上向きの面(表面)が、反転区域S1から排出された後の搬出ベルト30上では搬出ベルト30に接触する下向きの面(裏面)となる。
【0055】
上述の反転処理の一連の工程において、押圧部45は、可動式に設けられるとともに付勢部46によって保持ベルト35の張力が増大する方向へ付勢され、供給ベルト25及び保持ベルト35によって挟まれる包装袋11の厚みに応じて配置位置が定められる。そのため供給ベルト25と保持ベルト35との間における包装袋11の有無にかかわらず、また包装袋11の厚さにかかわらず、保持ベルト35は弛みのない緊張状態を維持し、反転区域S1では供給ベルト25の走行を阻害しない程度に供給ベルト25へ向かって程よく付勢される。例えば、反転区域S1において供給ベルト25と保持ベルト35との間に包装袋11が存在しない場合、保持ベルト35は供給ベルト25に当接した状態で供給ベルト25とともに走行する。一方、反転区域S1において供給ベルト25と保持ベルト35との間に包装袋11が存在する場合、保持ベルト35の張力が増大し、押圧部45は付勢部46によって付勢される方向に逆らう方向(本実施形態では反転区域S1から離間する方向(
図2の矢印「A7」参照))へ移動する。これにより保持ベルト35の張力が調整され、反転区域S1において包装袋11は供給ベルト25及び保持ベルト35から過剰な押圧力が加えられることなく供給ベルト25及び保持ベルト35によって適切に支持され、保持ベルト35は供給ベルト25から離間した状態で供給ベルト25とともに走行する。
【0056】
このように、反転区域S1において供給ベルト25と保持ベルト35との間に包装袋11が進入すると、保持ベルト35は包装袋11に押圧されて張力が増大するが、保持ベルト35の張力の増大に応じて張力調整部14の押圧部45が移動して、保持ベルト35の張力を緩和する。これにより、供給ベルト25及び保持ベルト35から包装袋11に加えられる押圧力が過大にならないように保持ベルト35の張力が自動的に調整され、包装袋11は供給ベルト25及び保持ベルト35から適度な押圧力(支持力)が継続的に加えられて適切に支持される。
【0057】
図3は、第1実施形態に係る反転装置10の反転処理に関わる主要部分の概略断面構成を示す図であり、包装袋11の重なりを検出する機構の一例を示す。
【0058】
本実施形態の反転装置10は、包装袋11の重なり状態を検出する状態検出センサ50を更に備える。
図3に示す状態検出センサ50は、搬入ベルト22によって搬送されている包装袋11を検知することで、包装袋11の重なり状態を検出する。このように本実施形態では、反転区域S1よりも前段の区域である搬入ベルト22が設けられる区域を搬送される包装袋11の状態を検出するセンサによって状態検出センサ50が構成されるが、状態検出センサ50の具体的な構成は特に限定されない。例えば、後述のように(
図14及び
図15参照)反転区域S1を搬送される包装袋11の状態を検出するセンサによって、状態検出センサ50が構成されてもよい。
【0059】
図3に示す例では、搬入ベルト22の表面からの距離が単一の包装袋11の厚みよりも大きい位置(高さ)に、包装袋11の有無を検出する状態検出センサ50が設置されている。この状態検出センサ50は、搬入ベルト22によって単一の包装袋11が搬送されている場合には反応しないが、2以上の包装袋11が重なった状態で搬入ベルト22により搬送され、状態検出センサ50の設置位置に対応する位置(高さ)を包装袋11が通過する場合には反応する。したがって、この状態検出センサ50が反応しない場合には、状態検出センサ50の検出結果が正常を示すことになり、包装袋11が重ならずに搬送されていることが示唆される。一方、この状態検出センサ50が反応する場合には、状態検出センサ50の検出結果が異常を示すことになり、包装袋11が重なった状態で搬送されていることが示唆される。
【0060】
状態検出センサ50の検出結果が正常を示す場合、すなわち搬入ベルト22によって搬送されている包装袋11が重なっていないことを示す場合には、
図1及び
図2に示すように、反転区域S1において保持ベルト35が供給ベルト25に相対的に近接した位置に配置される。一方、状態検出センサ50の検出結果が異常を示す場合、すなわち搬入ベルト22によって複数の包装袋11が重なった状態で搬送されていることを示す場合には、
図3に示すように、反転区域S1において保持ベルト35が供給ベルト25から相対的に離間した位置に配置される。特に包装袋11の反転区域S1からの排出方向に影響を及ぼす第2反転部ローラ37が、搬出部29の搬出ベルト30から離間した位置に配置され(
図3参照)、反転区域S1から排出された包装袋11が搬出部29(搬出ベルト30)外に送られる。搬出部29(搬出ベルト30)外に送られた包装袋11は、図示しない籠等のコンテナに収容されてもよいし、他の装置によって受け取られてもよいが、搬出ベルト30によって後段の装置には送られない。
【0061】
なお、この場合、搬送保持部13(保持ベルト35)を供給部12(供給ベルト25)から離間させるとともに、或いは搬送保持部13(保持ベルト35)を供給部12(供給ベルト25)から離間させずに、搬出部29を搬送保持部13及び反転区域S1から離間させてもよい。すなわち状態検出センサ50の検出結果が異常を示す場合、搬出部29を構成する要素(搬出ベルト30及び搬出ローラ31等)を、搬送保持部13(保持ベルト35)及び反転区域S1から離間させる方向(
図3の退避方向「A8」参照)へ移動(退避)させてもよい。これにより、重なった状態で反転区域S1に進入した複数の包装袋11が搬出ベルト30上に移送されることを防ぎ、後段の装置に送られることを確実に防ぐことができる。
【0062】
次に、上述の
図1〜
図3に示す反転装置10の反転処理構成を実現するための、反転装置10の全体構成例について説明する。
【0063】
図4及び
図5は、第1実施形態に係る反転装置10の側方構成例を示す図であり、
図1〜
図3に示す反転装置10に適用可能な移動機構の一例を示す。
図4は状態検出センサ50の検出結果が正常を示す場合の状態を示し、
図5は状態検出センサ50の検出結果が異常を示す場合の状態を示す。
【0064】
本例の反転装置10は、搬入コンベア21、供給部12及び搬出部29を固定的に支持する第1フレーム51と、搬送保持部13及び張力調整部14を固定的に支持する第2フレーム52とを備える。
【0065】
第1フレーム51及び第2フレーム52の各々は、天板と、底板と、天板及び底板の各々に連結される一対の側板とを具備する。第1フレーム51及び第2フレーム52は、それぞれの一部が相互に重なるようにスライド可能に配置される。第1フレーム51及び第2フレーム52は相対的に移動可能に設けられている。本例では、第1フレーム51は図示しない支持体に固定され、第1フレーム51の位置は基本的に変動しないが、第2フレーム52の位置は変動可能である。
【0066】
第1フレーム51の各側板には、搬入側回転ローラ23の中心軸部23aが回転自在に連結され、供給側回転ローラ27の中心軸部27aが回転自在に連結され、搬送プーリー26の中心軸部26aが回転自在に連結され、搬出ローラ31の中心軸部31aが回転自在に連結されている。これらの搬入側回転ローラ23、供給側回転ローラ27、搬送プーリー26及び搬出ローラ31の中心軸部23a、27a、26a、31aの両端部は、第1フレーム51のそれぞれの側板によって回転自在に保持されている。これらの要素を含む搬入コンベア21、供給部12及び搬出部29は、主として第1フレーム51の内側に配置され、第1フレーム51の天板、底板及び一対の側板によって囲まれる空間に配置される。また、上述の状態検出センサ50も、第1フレーム51の内側において、第1フレーム51の少なくともいずれか一方の側板に対して固定的に取り付けられている。
【0067】
このように搬入側回転ローラ23、供給側回転ローラ27、搬送プーリー26、搬出ローラ31及び状態検出センサ50は、第1フレーム51に固定的に支持されており、第1フレーム51の並進時には第1フレーム51と一体的に移動する。ただし
図4に示す例では、第1フレーム51の位置は基本的に変動しないため、搬入コンベア21、供給部12、搬出部29及び状態検出センサ50の位置も基本的には変動しない。
【0068】
一方、第2フレーム52の各側板には、第1反転部ローラ36の中心軸部36aが回転自在に連結され、第2反転部ローラ37の中心軸部37aが回転自在に連結され、第1方向転換ローラ38の中心軸部38aが回転自在に連結され、第2方向転換ローラ39の中心軸部39aが回転自在に連結され、保持ベルト駆動機構40の中心軸部40aが回転自在に連結され、押圧部45の中心軸部45aが回転自在に連結されている。これらの、第1反転部ローラ36、第2反転部ローラ37、第1方向転換ローラ38、第2方向転換ローラ39、保持ベルト駆動機構40及び押圧部45の中心軸部36a、37a、38a、39a、40a、45aの両端部は、第2フレーム52のそれぞれの側板によって回転自在に保持されている。
【0069】
搬送保持部13(第1反転部ローラ36、第2反転部ローラ37、第1方向転換ローラ38、第2方向転換ローラ39及び保持ベルト35)は、主として第2フレーム52の内側に配置され、第2フレーム52の天板、底板及び一対の側板によって囲まれる空間に配置される。一方、押圧部45の中心軸部45aは、第2フレーム52の各側板を貫通して設けられており、中心軸部45aの中央部分が第2フレーム52の内側に配置される一方で、中心軸部45aの両端部が第2フレーム52の外側に配置される(
図11参照)。すなわち第2フレーム52の各側板には長孔65が形成され、押圧部45の中心軸部45aは長孔65を貫通する。長孔65は、搬送プーリー26及び押圧部45の配列方向(
図4の紙面の左右方向)へ延在し、押圧部45の中心軸部45aの移動をガイドする。長孔65にガイドされる押圧部45は、長孔65に沿ってスライド可能に設けられ、搬送プーリー26及び反転区域S1に対する相対位置が変動しうる。
【0070】
張力調整部14の付勢部46は、2組設けられ、第2フレーム52の外側に配置された状態で、第2フレーム52のそれぞれの側板に取り付けられる(
図11参照)。本例では、各組の付勢部46が具備するブラケット60、第2エアシリンダ61、当て板62、圧縮ばね63、ストッパー66及び調整軸67は、L字状のブラケット60を介して第2フレーム52の側板に固定される。
【0071】
押圧部45の中心軸部45aの両端部の各々にはブロック64が連結され、各ブロック64には調整軸67の一端部が連結されている。各調整軸67の他端部側にはストッパー66が固定的に設けられている。ブロック64とストッパー66との間には当て板62が設けられ、ブロック64と当て板62との間には圧縮ばね63が設けられている。調整軸67は、当て板62に形成された貫通孔(図示省略)を貫通するとともに、圧縮ばね63を貫通する。当て板62は、第2エアシリンダ61のシリンダ軸61aの先端に固定され、当該シリンダ軸61aの本体部からの突出量に応じた位置に配置される。第2エアシリンダ61の本体部は、シリンダ軸61aを進退可能に保持し、ブラケット60に固定されている。
【0072】
圧縮ばね63は、圧縮された状態で押圧部45及び当て板62に両端が当接し、ブロック64を介して押圧部45を搬送プーリー26及び反転区域S1に向かって付勢する付勢部材として機能する。なお、第2エアシリンダ61の本体からのシリンダ軸61aの突出量を低減させると、当て板62がストッパー66に当接して押圧し、調整軸67、ブロック64及び押圧部45を搬送プーリー26及び反転区域S1から離間する方向へ移動させる。これにより圧縮ばね63の圧縮力が緩和され、押圧部45による保持ベルト35の押圧が弱められ、保持ベルト35の張力も緩められる。なお第2エアシリンダ61のシリンダ軸61aの突出量を最も小さくした場合には、保持ベルト35が押圧部45によって押圧されない位置に、押圧部45が配置されてもよい。
【0073】
このように搬送保持部13(第1反転部ローラ36、第2反転部ローラ37、第1方向転換ローラ38、第2方向転換ローラ39及び保持ベルト駆動機構40)及び張力調整部14(押圧部45及び付勢部46)は、第2フレーム52に対して固定的に支持され、第2フレーム52の並進時には第2フレーム52と一体的に移動する。
【0074】
そして第1フレーム51の天板の外面(天面)には第1エアシリンダ53が固定され、第1エアシリンダ53の進退可能なシリンダ軸53aの先端には、第2フレーム52の天板の内面に固定された第1摺動部材55が取り付けられている。また第1フレーム51の天板の外面には第1レール54が固定され、第1摺動部材55が第1レール54にスライド自在に係合し、第1レール54は第1摺動部材55のスライド移動をガイドする。また第1フレーム51の底板の外面には第2レール56が固定され、第2フレーム52の底板の外面には第2摺動部材57が固定されている。第2摺動部材57が第2レール56にスライド自在に係合し、第2レール56は第2摺動部材57のスライド移動をガイドする。
【0075】
このように本例では、第1フレーム51、第2フレーム52、第1エアシリンダ53、第1レール54、第1摺動部材55、第2レール56及び第2摺動部材57の組み合わせによって、供給ベルト25及び反転区域S1に対する第1反転部ローラ36及び第2反転部ローラ37の相対位置を調整するローラ位置調整機構が構成される。このローラ位置調整機構は搬送制御部によって制御されるが、
図4に示す例では制御盤15がそのような搬送制御部として機能する。
【0076】
すなわち反転装置10は、状態検出センサ50、第1エアシリンダ53及び第2エアシリンダ61の各々に接続される制御盤15を備え、制御盤15が第1エアシリンダ53及び第2エアシリンダ61を制御する。制御盤15は、状態検出センサ50の検出結果に応じてローラ位置調整機構(主として第1エアシリンダ53)を制御し、反転区域S1における供給ベルト25と保持ベルト35との間の相対位置が調整されるように第1反転部ローラ36及び第2反転部ローラ37の位置を調節する。
【0077】
例えば状態検出センサ50の検出結果(検出信号)が正常を示す場合(すなわち包装袋11が重ならずに搬送されていることを示す場合)、制御盤15は、
図4に示すように反転区域S1において保持ベルト35が供給ベルト25に相対的に近接するようにローラ位置調整機構を制御する。具体的には、制御盤15は第1エアシリンダ53を制御して本体から突出するシリンダ軸53aの長さを標準長さに設定する。これにより第1摺動部材55と第1エアシリンダ53の本体とは所定の距離だけ離間した位置に配置され、第1フレーム51と第2フレーム52との相対位置も標準的な位置となって、反転区域S1において保持ベルト35が供給ベルト25に近接した位置に配置される(
図4参照)。なお、第2フレーム52に取り付けられている搬送保持部13及び張力調整部14は、第1フレーム51に取り付けられる搬入コンベア21、供給部12及び搬出部29に近接した位置(保持位置)に配置される。
【0078】
したがって正常な状態で重なることなく一つずつ反転区域S1を通過する包装袋11は、反転区域S1から排出された後に搬出ベルト30上に載置され、後段に向かって搬送される。なお第1エアシリンダ53の本体から突出するシリンダ軸53aの標準長さは、可変であってもよく、包装袋11の標準的な厚みに応じて決められてもよい。
【0079】
一方、状態検出センサ50の検出結果(検出信号)が異常を示す場合(すなわち複数の包装袋11が重なった状態で搬送されていることを示す場合)、制御盤15は、
図5に示すように反転区域S1において保持ベルト35が供給ベルト25から相対的に離間するようにローラ位置調整機構を制御する。具体的には、制御盤15は第1エアシリンダ53を制御し、本体から突出するシリンダ軸53aの長さを標準長さよりも長く設定する。これにより第1摺動部材55は第1エアシリンダ53の本体から遠ざかる方向へ移動し、第1フレーム51及び第2フレーム52は相対的に離れた位置に配置される。そのため供給部12と搬送保持部13とが離間し、反転区域S1において保持ベルト35が供給ベルト25から離間した位置に配置される(
図5参照)。したがって、第2フレーム52に取り付けられている搬送保持部13及び張力調整部14は、第1フレーム51に取り付けられる搬入コンベア21、供給部12及び搬出部29から離間した位置(退避位置)に配置される。
【0080】
したがって重なった状態で反転区域S1を通過した2以上の包装袋11は、搬出ベルト30の外側に向かって落下し、搬出ベルト30上には送られず、搬出ベルト30(搬出部29)の外部に排出される。なお、重なった状態の包装袋11が反転区域S1から排出された後に、第1エアシリンダ53の本体から突出するシリンダ軸53aの長さは標準長さに戻され、第2フレーム52及び当該第2フレーム52に取り付けられた搬送保持部13及び張力調整部14は
図4に示される元の位置(標準位置)に戻される。
【0081】
なお制御盤15は、上述のような搬送制御部として機能するだけではなく、保持ベルト35の走行速度を決定するベルト速度制御部としても機能する。
【0082】
図6は、制御盤15の機能ブロック図である。制御盤15は、演算処理部15a及びユーザーインターフェース15bを有し、状態検出センサ50、第1エアシリンダ53、第2エアシリンダ61に接続されるとともに、搬入ベルト駆動部24、供給ベルト駆動部26b、保持ベルト駆動部40b及び搬出ベルト駆動部32に接続されている。搬入ベルト駆動部24は、搬入コンベア21の一部を構成し、搬入コンベア21の上流側に設けられる駆動ローラを回転させて搬入ベルト22を走行させる。供給ベルト駆動部26bは、供給部12の一部を構成し、搬送プーリー26を回転させて供給ベルト25を走行させる。保持ベルト駆動部40bは、搬送保持部13の一部を構成し、保持ベルト駆動機構40を回転させて保持ベルト35を走行させる。搬出ベルト駆動部32は、搬出部29の一部を構成し、搬出部29の下流側に設けられる駆動ローラを回転させて搬出ベルト30を走行させる。
【0083】
ユーザーは、ユーザーインターフェース15bを介して、供給ベルト25の走行速度及び/又は包装袋11の厚さに関するデータを入力することができる。ユーザーインターフェース15bに入力されたデータは演算処理部15aに送られ、演算処理部15aはユーザーインターフェース15bから送られてくるデータに基づいて保持ベルト35の走行速度を決定する。制御盤15は、保持ベルト駆動部40bを制御し、決定した走行速度で保持ベルト35を走行させる。
【0084】
なお制御盤15は、「供給ベルト25の走行速度」及び「包装袋11の厚さ」に加えて他のファクターを考慮して保持ベルト35の走行速度を決定してもよい。また制御盤15は、「供給ベルト25の走行速度」及び「包装袋11の厚さ」等のファクターを、ユーザーインターフェース15bを介して取得してもよいし、別個に設けられるセンサの検出結果から取得してもよい。
【0085】
以上説明したように本実施形態の反転装置10によれば、包装袋11の厚さが変わっても、包装袋11の厚みに応じて保持ベルト35の張力と付勢部46から押圧部45に加えられる付勢力とが適切にバランスする。これにより、付勢部46の付勢力に抗して押圧部45が適切な位置に移動し、保持ベルト35の張力、すなわち反転区域S1における保持ベルト35及び供給ベルト25による包装袋11の保持力が適正に調整される。その結果、従来必要とされていた「供給ベルト25の格別な調整作業」が不要になり、作業の煩雑化や生産性の低下を防止できる。
【0086】
また反転処理の前工程で複数の包装袋11が部分的に上下に重なり、その状態のまま反転区域S1に搬送されてきた場合であっても、包装袋11が反転させられる前に状態検出センサ50によって包装袋11の重なり状態が検出される。その検出信号に基づいて、搬送保持部13及び張力調整部14が退避位置に移動させられる。そのため、重なった状態の包装袋11が供給ベルト25及び保持ベルト35により過度に圧迫されて破裂することを確実に防止でき、また続いて搬送されてくる別の包装袋11の反転処理に支障をもたらすこともない。その結果、従来の反転装置で必要とされていた「包装設備全体の停止」を行う必要がなくなり、生産性の低下も生じない。
【0087】
また反転区域S1において供給ベルト25が走行する円弧状の経路と保持ベルト35が走行する円弧状の経路とは、異なる曲率半径を有する。そのため、供給ベルト25及び保持ベルト35によって包装袋11を適切に保持する観点からは、供給ベルト25の走行速度と保持ベルト35の走行速度とは必ずしも一致せず、供給ベルト25の走行速度と保持ベルト35の走行速度との間には包装袋11の厚みに応じた理想的な相対速度差がある。本実施形態の制御盤15は、供給ベルト25の走行速度及び包装袋11の厚さに基づいて保持ベルト35の走行速度を決定し、保持ベルト35がその決定された走行速度で走行するように、保持ベルト駆動部40bを制御する。したがって本実施形態の反転装置10では、理想的な走行速度で供給ベルト25及び保持ベルト35を走行させることが可能であり、保持ベルト35及び供給ベルト25による包装袋11の保持が安定化され、包装袋11の反転処理を的確に行うことができる。
【0088】
[変形例]
上述の実施形態では、状態検出センサ50の検出結果に応じて反転区域S1における供給ベルト25と保持ベルト35との間の相対位置を調整することで保持ベルト35に働く張力がコントロールされているが、これに限定されない。
【0089】
例えば制御盤15は、状態検出センサ50の検出結果に応じて付勢部46(特に第2エアシリンダ61)を制御し、反転区域S1における供給ベルト25に対する保持ベルト35の押しつけ状態が調整されるように押圧部45による保持ベルト35の押圧状態を調節してもよい。例えば状態検出センサ50の検出結果が正常を示す場合(すなわち包装袋11が重ならずに搬送されていることを示す場合)、制御盤15は、反転区域S1において保持ベルト35が供給ベルト25に対して相対的に強く押しつけられるように、付勢部46の第2エアシリンダ61を制御する。すなわち、第2エアシリンダ61の本体からのシリンダ軸61aの突出量は、相対的に大きく設定され、標準的な突出量にされる。一方、状態検出センサ50の検出結果が異常を示す場合(すなわち複数の包装袋11が重なった状態で搬送されていることを示す場合)、制御盤15は、反転区域S1において保持ベルト35が供給ベルト25に対して相対的に弱く押しつけられるように、付勢部46の第2エアシリンダ61を制御する。すなわち、第2エアシリンダ61の本体からのシリンダ軸61aの突出量は、相対的に小さく設定され、標準的な突出量よりも小さな突出量にされる。
【0090】
このように付勢部46を制御して押圧部45から保持ベルト35に加えられる押圧力を調整することでも、反転区域S1において供給ベルト25及び保持ベルト35から包装袋11に加えられる押圧力を最適化でき、反転区域S1において包装袋11を適切に搬送できる。重なった状態の複数の包装袋11が反転区域S1から排出された後は、第2エアシリンダ61のシリンダ軸61aの突出量は元に戻され、付勢部46から押圧部45に加えられる付勢力も元に戻される。
【0091】
なお本変形例では、複数の包装袋11が重なった状態で反転区域S1から排出される場合、排出後の包装袋11は搬出部29の搬出ベルト30上に載せられて、反転装置10の後段に送られる。重なった状態で搬出ベルト30上に載せられた包装袋11は、下流側において搬送ライン外に別途排出されてもよい。
【0092】
<第2実施形態>
本実施形態において、上述の第1実施形態に係る反転装置10と同一又は類似の要素には第1実施形態に係る反転装置10における符号と同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0093】
図7は、第2実施形態に係る反転装置10の側方構成例を示す図であり、状態検出センサ50の検出結果が正常を示す場合の状態を示す。
【0094】
本実施形態の搬送保持部13は、第1実施形態の搬送保持部13が具備する第1方向転換ローラ38及び第2方向転換ローラ39(
図1等参照)を有しておらず、保持ベルト35が第1反転部ローラ36、第2反転部ローラ37及び押圧部45によって支持されている。すなわち保持ベルト35が走行可能なように、第1反転部ローラ36、第2反転部ローラ37及び押圧部45が保持ベルト35の内側面を支持し、保持ベルト35は基本的には緊張した状態で弛みなくピンと張られている。
【0095】
本実施形態の張力調整部14の押圧部45は、供給部12(搬送プーリー26及び供給ベルト25)から遠ざかる方向へ保持ベルト35を押圧する。付勢部46は、供給部12(搬送プーリー26及び供給ベルト25)から遠ざかる方向(
図7の矢印「A2」参照)へ保持ベルト35を付勢する。
【0096】
図7に示す付勢部46は、ブラケット60、第2エアシリンダ61、連結部材68、引っ張りばね69及びブロック64を有する。引っ張りばね69は伸張され、引っ張りばね69の両端はそれぞれブロック64及び連結部材68に取り付けられており、ブロック64及び連結部材68を相互に近づける方向へ引っ張りばね69からブロック64及び連結部材68に弾性力が加えられている。ブロック64は、引っ張りばね69により引っ張られて供給部12及び反転区域S1から離間する方向へ力を受ける。したがって、ブロック64に固定される押圧部45も、引っ張りばね69による引っ張り力を受けて、供給部12及び反転区域S1から離間する方向へ付勢される。なお連結部材68が第1実施形態の当て板62の代わりに設けられている。連結部材68は、第2エアシリンダ61のシリンダ軸61aの先端に取り付けられ、第2エアシリンダ61の本体からのシリンダ軸61aの突出量に応じて配置位置が決められる。引っ張りばね69からブロック64に作用する力の大きさは、第2エアシリンダ61の本体からのシリンダ軸61aの突出量に応じて調整する。
【0097】
なお、第2エアシリンダ61の本体からのシリンダ軸61aの突出量を最大とした場合、引っ張りばね69からブロック64及び押圧部45に付与される弾性力(引っ張り力)が弱まって保持ベルト35が弛む位置に、連結部材68が配置されてもよい。
【0098】
他の構成は、上述の第1実施形態に係る反転装置10の構成と同様である。
【0099】
本実施形態においても、包装袋11のサイズ(特に厚み)に応じて、張力調整部14(押圧部45及び付勢部46)が保持ベルト35の張力を自動的に調整し、反転区域S1において包装袋11は供給ベルト25及び保持ベルト35によって適切な保持力によって支持される。なお保持ベルト35は供給ベルト25に向かって付勢され、保持ベルト35の張力と付勢部46から押圧部45に加えられる付勢力とのバランスに応じて押圧部45の位置が決まる。
【0100】
図1等に示す上述の第1実施形態では押圧部45(張力調整部14)による保持ベルト35の押圧方向及び付勢部46によって押圧部45が付勢される方向が反転区域S1における保持ベルト35の付勢方向とほぼ同じであったが、
図7に示す本実施形態では、押圧部45による保持ベルト35の押圧方向及び付勢部46による押圧部45の付勢方向が反転区域S1における保持ベルト35の付勢方向とは逆方向になる。このように、押圧部45による保持ベルト35の押圧方向及び付勢部46による押圧部45の付勢方向と反転区域S1における保持ベルト35の付勢方向とは、一致していてもよいし、一致していなくてもよい。
【0101】
<第3実施形態>
本実施形態において、上述の第1実施形態に係る反転装置10と同一又は類似の要素には第1実施形態に係る反転装置10における符号と同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0102】
図8は、第3実施形態に係る反転装置10の反転処理に関わる主要部分の概略断面構成を示す図であり、包装袋11が反転区域S1において供給ベルト25及び保持ベルト35により保持されている状態を示す。
図9は、
図8に示す断面線IX−IXに沿った搬送プーリー26の断面構成を示す図である。
図10は、
図9の符号「X」で示す部分の拡大断面図である。
【0103】
本実施形態の搬送プーリー26は中空形状を有し、負圧室72と、少なくとも反転区域S1において供給ベルト25を支持する外周面部26cとを具備する。外周面部26cは、負圧室72に連通する複数のプーリー開口26dを有する。本例の搬送プーリー26の外周面部26cには、外周面部26cのほぼ全域にわたって均等に多数のプーリー開口26dが形成されている。これらの複数のプーリー開口26dは、不規則的に不等間隔に配置されてもよいし、等間隔に配置されてもよい。
【0104】
図9に示すように負圧室72は、搬送プーリー26の中心軸部26aの一方の端部に形成される連結部73を介して真空ポンプ74に連通され、圧力が標準大気圧よりも低い負圧の状態に保たれる。なお搬送プーリー26の中心軸部26aの他方の端部には供給ベルト駆動部26bが取り付けられ、供給ベルト駆動部26bが中心軸部26aを回転させることによって搬送プーリー26全体が回転させられる。搬送プーリー26の中心軸部26aの両端部は、第1フレーム51のそれぞれの側板を貫通するように設けられ、各側板は中心軸部26a(搬送プーリー26)を回転自在に保持する。
【0105】
一方、一体的なウエブ状の平ベルトとして構成される供給ベルト25は、少なくとも反転区域S1において、プーリー開口26dと連通する1又は複数のベルト開口71を有する(
図10参照)。本例の供給ベルト25には、供給ベルト25のほぼ全域にわたって均等にベルト開口71が形成されている。これらの複数のベルト開口71は、不規則的に不等間隔に配置されてもよいし、等間隔に配置されてもよい。
【0106】
搬送プーリー26の外周面部26cに形成される複数のプーリー開口26dの間隔I2は、供給ベルト25に形成される複数のベルト開口71の間隔I1とは異なる(すなわち「I1≠I2」)。
図10に示す例では、ベルト開口71が等間隔に設けられ、プーリー開口26dが等間隔に設けられ、複数のプーリー開口26dの間隔I2の方が複数のベルト開口71の間隔I1よりも大きい(すなわち「I2>I1」)。また
図10に示す例では、各プーリー開口26dの径D2の方が各ベルト開口71の径D1よりも大きい(すなわち「D2>D1」)。
【0107】
また
図8に示すように、搬送プーリー26の外周面部26cが走行する区域のうち外周面部26cが供給ベルト25を支持しない非支持区域の少なくとも一部には、外周面部26cの外面形状に応じた内面形状(本例では円弧状の断面形状を持つ内面形状)を有する蓋部材75が設けられている。蓋部材75は、搬送プーリー26の外周面部26cを覆って、上述の非支持区域におけるプーリー開口26dの通気を制限する。具体的には、蓋部材75は、回転する搬送プーリー26の外周面部26c上を摺動し、上述の非支持区域におけるプーリー開口26dを塞いで密閉する。
【0108】
他の構成は、上述の第1実施形態に係る反転装置10の構成と同様である。
【0109】
本実施形態の反転装置10によれば、反転区域S1において、包装袋11は、プーリー開口26d及びベルト開口71を介して供給ベルト25に吸着保持される。これにより、反転区域S1では、包装袋11がより安定的に保持される。
【0110】
このように負圧室72の負圧によって包装袋11をより安定的に保持することで、反転区域S1を通過する包装袋11に対して供給ベルト25及び保持ベルト35から加えられる保持力を低減することも可能である。例えば比較的大きな力で保持ベルト35が押し当てられることがあまり好ましくない包装袋11であっても、本実施形態の反転装置10によれば、包装袋11は供給ベルト25に吸着保持される。したがって保持ベルト35の張力を弱めることが可能であり、そのような包装袋11に対して保持ベルト35をソフトに押し当てた状態で、包装袋11を供給ベルト25及び保持ベルト35によって適切に保持、搬送及び反転できる。
【0111】
<第4実施形態>
本実施形態において、上述の第3実施形態に係る反転装置10と同一又は類似の要素には第3実施形態に係る反転装置10における符号と同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0112】
図11は、第4実施形態に係る反転装置10の反転処理に関わる主要部分を上方から見た平面図である。
図12は、
図11に示す搬送プーリー26の断面構成を示す図である。
図13は、
図12の符号「XIII」で示す部分の拡大断面図である。
【0113】
本実施形態では、一体的な部材によって平ベルトとして構成される上述の供給ベルト25の代わりに、相互に離間して配置される複数の部材によって構成される複数の線状供給ベルト25aが用いられる。搬送プーリー26の外周面部26cには、負圧室72に連通する多数のプーリー開口26dが形成されており、
図13に示すように、複数の線状供給ベルト25aの間にプーリー開口26dが配置される。
【0114】
各線状供給ベルト25aは、リング状の形状を有し、搬送プーリー26の外周面部26cにおいてプーリー開口26d間に設けられるプーリー溝部78に嵌合する。各プーリー溝部78は搬送プーリー26の周方向(すなわち回転方向)へ延在し、搬送プーリー26の外周を取り囲むように配置される。これらのプーリー溝部78は中心軸部26aの延在方向に関して等間隔に離間して設けられており、各プーリー溝部78には一つの線状供給ベルト25aが配置される。このように本実施形態の供給ベルト(搬送プーリー26及び供給側回転ローラ27によって走行可能に支持されるベルト)は、相互に離間して配置される線状供給ベルト25aによって構成される。
【0115】
線状供給ベルト25aの各々の断面は、図示の例では円形状であるが、特に限定されず、例えば矩形状等の多角形状であってもよい。
【0116】
他の構成は、上述の第3実施形態に係る反転装置10の構成と同様である。
【0117】
本実施形態の反転装置10によれば、包装袋11は反転区域S1においてプーリー開口26dを介して供給ベルト25に吸着されて安定的に保持される。
【0118】
また本実施形態の反転装置10では、プーリー開口26d間に配設される線状供給ベルト25aによって包装袋11が支持される。そのため、線状供給ベルト25aによって搬送されている包装袋11から水分が落下しても、線状供給ベルト25a上においてその落下した水分が留まり難い。したがって、包装袋11から落下した水分が供給ベルト上に留まることで供給ベルトの保持力が低減するという事態を防いで、線状供給ベルト25aによって包装袋11を的確に支持できる。
【0119】
<第5実施形態>
本実施形態において、上述の第1実施形態に係る反転装置10と同一又は類似の要素には第1実施形態に係る反転装置10における符号と同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0120】
図14及び
図15は、第5実施形態に係る反転装置10の側方構成例を示す図であり、
図14は状態検出センサ50の検出結果が正常を示す場合の状態を示し、
図15は状態検出センサ50の検出結果が異常を示す場合の状態を示す。
【0121】
本実施形態の反転装置10は、第2反転部ローラ37の位置を調整するローラ位置調整機構81と、搬出部29の位置を調整するコンベア位置調整機構82とを備える。
【0122】
ローラ位置調整機構81は、第2フレーム52の側板に固定されるブラケット84と、ブラケット84に取り付けられる第3エアシリンダ83と、第3エアシリンダ83のシリンダ軸83aの先端に当接するレバー85と、第2フレーム52の側板に固定されレバー85を揺動可能に支持する旋回軸部86とを有する。コンベア位置調整機構82は、第1フレーム51の側板に固定されるブラケット90と、ブラケット90に取り付けられる第4エアシリンダ89と、第4エアシリンダ89のシリンダ軸89aの先端に当接するレバー91と、第1フレーム51の側板に固定されレバー91を揺動可能に支持する旋回軸92とを有する。
【0123】
ローラ位置調整機構81のレバー85は、第3エアシリンダ83の本体からのシリンダ軸83aの突出量に応じて揺動し、レバー85の揺動姿勢はシリンダ軸83aの突出量に応じて決められる。同様に、コンベア位置調整機構82のレバー91は、第4エアシリンダ89の本体からのシリンダ軸89aの突出量に応じて揺動し、レバー91の揺動姿勢はシリンダ軸89aの突出量に応じて決められる。
【0124】
ローラ位置調整機構81のレバー85の端部のうち旋回軸部86が設けられていない側の端部には、第2反転部ローラ37が取り付けられている。コンベア位置調整機構82のレバー91の端部のうち旋回軸92が設けられていない側の端部には、搬出ローラ31が取り付けられている。本実施形態の第2反転部ローラ37はローラ位置調整機構81のレバー85とともに揺動し、搬出ローラ31はコンベア位置調整機構82のレバー91とともに揺動する。したがって第2反転部ローラ37及び搬出ローラ31は、ローラ位置調整機構81のレバー85及びコンベア位置調整機構82のレバー91の揺動姿勢に応じて配置位置が決められる。
【0125】
搬送制御部として機能する制御盤15は、ローラ位置調整機構81の第3エアシリンダ83及びコンベア位置調整機構82の第4エアシリンダ89を制御する。すなわち制御盤15は、状態検出センサ50の検出結果に応じてローラ位置調整機構81を制御し、反転区域S1から排出される包装袋11の排出位置が調整されるように第2反転部ローラ37の位置を調節する。また制御盤15は、状態検出センサ50の検出結果に応じてコンベア位置調整機構82を制御し、反転区域S1と搬出部29の搬出ローラ31との間の相対位置が調整されるように搬出ローラ31の位置を調節する。
【0126】
なお本実施形態の状態検出センサ50は、ストッパー66の近傍に配置され、ストッパー66の位置を検出する。調整軸67にはストッパー66が固定されるとともにブロック64を介して押圧部45が固定されており、「押圧部45の位置」と「ストッパー66の位置」とは相関がある。そのためストッパー66の位置を検知することで、押圧部45の位置を間接的に検出できる。また「押圧部45の位置」と「供給ベルト25と保持ベルト35との間に配置される包装袋11の厚み及び数」とは相関があるため、「供給ベルト25と保持ベルト35との間に配置される包装袋11の厚み及び数」と「ストッパー66の位置」とも相関がある。したがって本実施形態の状態検出センサ50は、押圧部45の配置位置を間接的に検知することで、包装袋11の重なり状態を検出する。なお状態検出センサ50は、押圧部45を直接的に検知することで、包装袋11の重なり状態を検出してもよい。
【0127】
また本実施形態の保持ベルト駆動機構40は、第2方向転換ローラ39との間で保持ベルト35を挟み込んで保持ベルト35を支持し、保持ベルト駆動部40b(
図6参照)により駆動されて回転し、保持ベルト35を走行させる。
【0128】
他の構成は、上述の第1実施形態に係る反転装置10の構成と同様である。
【0129】
例えば状態検出センサ50の検出結果が正常を示す場合(すなわち包装袋11が重ならずに搬送されていることを示す場合)、制御盤15は、反転区域S1から排出された包装袋11を搬出部29の搬出ベルト30に渡すための位置に第2反転部ローラ37を配置するようにローラ位置調整機構81を制御する。すなわち
図14に示すように、第3エアシリンダ83の本体からのシリンダ軸83aの突出量が標準突出量に設定され、第2反転部ローラ37が供給ベルト25及び搬出ローラ31に近接した位置に配置される。
【0130】
また状態検出センサ50の検出結果が正常を示す場合、制御盤15は、反転区域S1から排出された包装袋11を受け取るための位置に搬出部29の搬出ローラ31を配置するようにコンベア位置調整機構82を制御する。すなわち
図14に示すように、第4エアシリンダ89の本体からのシリンダ軸89aの突出量が標準突出量に設定され、搬出ローラ31が供給ベルト25及び第2反転部ローラ37に近接した位置に配置される。
【0131】
したがって包装袋11が重ならずに搬送されており状態検出センサ50の検出結果が正常を示す場合には、包装袋11は反転区域S1から排出された後に搬出部29の搬出ベルト30上に適切に載せられて後段に送られる。
【0132】
一方、状態検出センサ50の検出結果が異常を示す場合(すなわち複数の包装袋11が重なった状態で搬送されていることを示す場合)、制御盤15は、反転区域S1から排出された包装袋11を搬出部29外に送るための位置に第2反転部ローラ37を配置するようにローラ位置調整機構81を制御する。すなわち
図15に示すように、第3エアシリンダ83の本体からのシリンダ軸83aの突出量が標準突出量よりも短く設定され、第2反転部ローラ37が供給ベルト25及び搬出ローラ31から離間した位置に配置される。
【0133】
また状態検出センサ50の検出結果が異常を示す場合、制御盤15は、反転区域S1から排出された包装袋11を搬出部29の搬出ベルト30外に送るための位置に搬出部29を配置するようにコンベア位置調整機構82を制御する。すなわち
図15に示すように、第4エアシリンダ89の本体からのシリンダ軸89aの突出量が標準突出量よりも短く設定され、搬出ローラ31が供給ベルト25及び第2反転部ローラ37から離間した位置に配置される。
【0134】
したがって複数の包装袋11が重なった状態で搬送されており状態検出センサ50の検出結果が異常を示す場合、包装袋11は反転区域S1から排出された後に搬出ローラ31と第2反転部ローラ37との間の空間を通って搬出部29外に送られ、反転装置10の後段には送られない。重なった状態の複数の包装袋11が反転区域S1から排出された後は、第3エアシリンダ83のシリンダ軸83aの突出量及び第4エアシリンダ89のシリンダ軸89aの突出量は元に戻され、搬出ローラ31及び第2反転部ローラ37が再び近接して配置され、反転区域S1から排出された包装袋11が搬出ベルト30上に載せられる。
【0135】
なお上述の例では、ローラ位置調整機構81及びコンベア位置調整機構82の両方が作動する例について説明したが、制御盤15は、状態検出センサ50の検出結果に応じて、ローラ位置調整機構81及びコンベア位置調整機構82のうちのいずれか一方のみを作動させてもよい。例えば包装袋11が重ならずに搬送されており状態検出センサ50の検出結果が正常を示す場合には、第2反転部ローラ37及び搬出ローラ31が相互に近接した位置に配置されるが、複数の包装袋11が重なった状態で搬送されており状態検出センサ50の検出結果が異常を示す場合には、第3エアシリンダ83及び第4エアシリンダ89のうちいずれか一方のみを作動させて第2反転部ローラ37及び搬出ローラ31のうちいずれか一方のみを移動させて、第2反転部ローラ37及び搬出ローラ31を相互に離間させてもよい。
【0136】
また上述の実施形態及び変形例同士を適宜組み合わせてもよい。例えば、第5実施形態の状態検出センサ50(
図15)が、第1実施形態〜第4実施形態の反転装置10(
図1等参照)に適用されてもよいし、第1実施形態〜第4実施形態の状態検出センサ50が第5実施形態の反転装置10に適用されてもよい。
【0137】
また上述の実施形態及び変形例では、包装袋11の重なり状態が状態検出センサ50により検出され、包装袋11の状態の異常及び正常が包装袋11の重なりの有無に基づいて定められていたが、重なりの有無以外の包装袋11の状態に基づいて包装袋11の状態の異常及び正常が定められてもよい。例えば、搬送されている包装袋11の向きや姿勢を状態検出センサ50により検出し、包装袋11が適切な向きを向いているか否か、或いは適切な姿勢で搬送されているか否かに基づいて、制御盤15は包装袋11の状態の異常及び正常を定めてもよい。
【0138】
反転装置10の後段(特に搬出部29よりも後段)において、包装袋11の特定部(例えば特定面)のみを対象とした処理が行われる場合には、後段に設けられる処理装置による処理を受けるための所定方向へ包装袋11の特定部が向いている必要がある。例えば包装袋11の特定面(例えば底面)のみを重点的に洗浄したい場合には、その特定面が後段に設けられる洗浄処理装置側を向いた状態で、包装袋11が洗浄処理装置による洗浄処理を受ける位置まで搬送されることが求められる。そのような場合に、状態検出センサ50により包装袋11の向きや姿勢を検出し、制御盤15によって、特定部が所定方向を向いている包装袋11は正常な状態で搬送されていると判定し、特定部が所定方向を向いていない包装袋11は異常な状態で搬送されていると判定することもできる。例えば、状態検出センサ50の検出結果が正常を示す場合、すなわち包装袋11の特定部が所定方向を向いている場合には、制御盤15は各種デバイス(例えば第1エアシリンダ53、第3エアシリンダ83及び/又は第4エアシリンダ89)を制御し、その包装袋11を搬出ベルト30上に排出して搬出ベルト30により後段に送ることができる。一方、状態検出センサ50の検出結果が異常を示す場合、すなわち包装袋11の特定部が所定方向を向いていない場合には、制御盤15は各種デバイス(例えば第1エアシリンダ53、第3エアシリンダ83及び/又は第4エアシリンダ89)を制御し、その包装袋11を搬出ベルト30外に排出して後段に送らないようにすることができる。これにより正常な状態で搬送されている包装袋11に対してのみ、反転装置10の後段で行われる処理を施すことができる。
【0139】
なお状態検出センサ50の具体的な検知対象は特に限定されず、上述のように特定の位置(例えば高さ)における包装袋11の有無を状態検出センサ50により検知することで包装袋11の状態を検出してもよいし、包装袋11を状態検出センサ50により撮像して撮像データの画像解析を行うことで包装袋11の状態を検出してもよい。なお撮像データの解析は、状態検出センサ50で行われてもよいし状態検出センサ50に接続される制御盤15で行われてもよく、包装袋11の輪郭(エッジ)を検出することで包装袋11の向きや姿勢を検出することが可能である。状態検出センサ50が包装袋11の撮像を行う場合には、搬送中の各包装袋11の全体を撮像可能な位置に状態検出センサ50が設置されることが好ましく、例えば搬入ベルト22又は供給ベルト25の上方(典型的には第1フレーム51の天板)に状態検出センサ50が設けられてもよい。
【0140】
本発明は、上述の実施形態及び変形例に限定されるものではなく、当業者が想到しうる種々の変形が加えられた各種態様も含みうるものであり、本発明によって奏される効果も上述の事項に限定されない。したがって、本発明の技術的思想及び趣旨を逸脱しない範囲で、特許請求の範囲及び明細書に記載される各要素に対して種々の追加、変更及び部分的削除が可能である。