特開2017-186310(P2017-186310A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-186310(P2017-186310A)
(43)【公開日】2017年10月12日
(54)【発明の名称】エアゾール剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/49 20060101AFI20170919BHJP
   A61Q 7/00 20060101ALI20170919BHJP
   A61K 8/365 20060101ALI20170919BHJP
   A61K 8/24 20060101ALI20170919BHJP
【FI】
   A61K8/49
   A61Q7/00
   A61K8/365
   A61K8/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-52720(P2017-52720)
(22)【出願日】2017年3月17日
(31)【優先権主張番号】特願2016-67443(P2016-67443)
(32)【優先日】2016年3月30日
(33)【優先権主張国】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002819
【氏名又は名称】大正製薬株式会社
(72)【発明者】
【氏名】石井 崇之
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 一裕
(72)【発明者】
【氏名】石川 啓輔
(72)【発明者】
【氏名】落合 留美
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB011
4C083AB012
4C083AC102
4C083AC122
4C083AC172
4C083AC301
4C083AC302
4C083AC851
4C083AC852
4C083CC37
4C083DD08
4C083EE01
(57)【要約】
【課題】
ミノキシジルを含有したエアゾール剤において、低温保管時に結晶が析出しないエアゾール剤を提供することを課題とする。
【解決手段】
(a)ミノキシジル、並びに、リン酸、クエン酸、及び乳酸からなる群から選ばれる2種以上の酸を含む原液と、(b)ジメチルエーテルを含む噴射剤からなるエアゾール剤とすることにより、低温保管時に結晶が析出せず、ミノキシジルを溶解状態で含有したエアゾール剤とすることができる。本エアゾール剤は、原液と噴射剤の相溶性にも優れ、計量性も確保したミノキシジル含有エアゾール剤である。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)ミノキシジル、並びに、リン酸、クエン酸、及び乳酸からなる群から選ばれる2種以上の酸を含む原液と、(b)ジメチルエーテルを含む噴射剤からなるエアゾール剤。
【請求項2】
原液中のミノキシジルの含有量が5w/v%以上である、請求項1に記載のエアゾール剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミノキシジルを含有する経時的に安定なエアゾール剤に関する。更に詳細には、低温保管時に析出物を生じないミノキシジル含有エアゾール剤に関する。
【背景技術】
【0002】
ミノキシジルは化学名を6−(1−ピペリジニル)−2,4−ピリミジンジアミン−3−オキサイドと称し、育毛剤としての適応が知られており(特許文献1)、優れた育毛・発毛効果を発揮する薬剤として多数の報告がある。
【0003】
ミノキシジルを頭皮に適用する形態として、主に液剤やローション剤が知られている。ミノキシジルは、溶液中で低温状態に長時間保存すると結晶が析出されるという現象が生じることが知られており、結晶析出を抑制するための技術(特許文献2〜4)が報告されている。
一方、別の形態としてエアゾール剤も知られている。噴射剤の気化により冷感を得られることや、優れた遮光性により成分の保存安定性に優れるといった特徴を有する剤形である。特定の噴射性状にすることによりミノキシジルを頭皮に確実に到達させるエアゾール剤に関する技術が開示されている(特許文献5)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第4139619号
【特許文献2】特許第5527787号公報
【特許文献3】特許第5561264号公報
【特許文献4】特開2014−214099号公報
【特許文献5】特開平11−12136号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者らは、低温でも結晶析出の生じないミノキシジル含有エアゾール剤を提供するにあたり、低温で結晶析出の生じないミノキシジル含有液剤を調製してこれを原液とし、それに噴射剤を加えてエアゾール剤の製造を試みた。より詳細には、ミノキシジルと、リン酸、クエン酸、又は乳酸を含有する原液と噴射剤を混合して、エアゾール剤を製造したところ、意外にも、低温保管時にエアゾール剤中で析出物が生じる場合があることが分かった。
【0006】
よって、本発明は、ミノキシジルを含有したエアゾール剤において、低温保管時に結晶が析出しないエアゾール剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、意外にも、原液中にクエン酸、リン酸、及び乳酸からなる群から選択される2種以上の酸を配合し、噴射剤としてジメチルエーテルを用いたエアゾール剤は、低温保管時に結晶が析出せず、ミノキシジルを溶解状態で含有できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち本発明は、
(1)(a)ミノキシジル、並びに、リン酸、クエン酸、及び乳酸からなる群から選ばれる2種以上の酸を含む原液と、(b)ジメチルエーテルを含む噴射剤からなるエアゾール剤、
(2)原液中のミノキシジルの含有量が5w/v%以上である、(1)に記載のエアゾール剤、
である。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、ミノキシジルを含有したエアゾール剤において、低温保管時に結晶が析出せず、ミノキシジルを溶解状態で含有したエアゾール剤を提供することが可能となった。また、原液と噴射剤の相溶性に優れたエアゾール剤となった。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明のエアゾール剤は、(a)ミノキシジル、並びに、リン酸、クエン酸、及び乳酸からなる群から選ばれる2種以上の酸を含む原液と、(b)ジメチルエーテルを含む噴射剤とから構成される。本発明のエアゾール剤は、低温保管時に結晶が析出せず、ミノキシジルを溶解状態で含有したエアゾール剤となる。
本発明のエアゾール剤を構成する原液は、ミノキシジル及び、リン酸、クエン酸、及び乳酸からなる群から選ばれる2種以上の酸を必須成分とし、必要に応じてアルコール類、水、その他一般の外用剤に用いられる種々の活性成分や補助成分を配合することができる。
【0011】
本発明の原液中のミノキシジルは、通常医薬品に用いられる品質のものを適宜使用することができる。原液中のミノキシジルの含有量が多くなるにつれ低温での析出の課題が大きくなるため、ミノキシジルの濃度が高いほど、本発明を実施する意義が大きい。具体的には、原液中におけるミノキシジルの濃度は3w/v%以上が好ましく、より好ましくは5w/v%以上である。また上限は10w/v%が好ましい。
【0012】
本発明の原液中には、リン酸、クエン酸及び乳酸からなる群から選ばれる2種以上の酸の配合が必須である。これらのうち1種類の酸だけでエアゾール剤を製造すると、低温保管時に結晶が析出し、ミノキシジルを溶解状態で含有させることができない。本発明の原液中におけるリン酸とクエン酸の配合比率は、リン酸1質量部に対してクエン酸0.3〜5質量部が好ましく、0.5〜2質量部がより好ましい。リン酸及びクエン酸の合計量は、0.1〜2.0w/v%が好ましく、0.3〜1.2w/v%がより好ましく、0.5〜1.0w/v%がさらに好ましい。また、リン酸と乳酸の配合比率は、リン酸1質量部に対して乳酸0.3〜5質量部が好ましく、0.5〜2質量部がより好ましい。リン酸と乳酸の合計量は、0.1〜2.0w/v%が好ましく、0.3〜1.2w/v%がより好ましく、0.5〜1.0w/v%がさらに好ましい。また、クエン酸と乳酸の配合比率は、クエン酸1質量部に対して乳酸0.3〜5質量部が好ましく、0.5〜2質量部がより好ましい。クエン酸及び乳酸の合計量は、0.1〜2.0w/v%が好ましく、0.3〜1.2w/v%がより好ましく、0.5〜1.0w/v%がさらに好ましい。
【0013】
また、原液のpHは、ミノキシジルの安定性、使用時の肌への刺激感、薬物の浸透性、使用感等の点から、4.0〜8.0の範囲に調整することが好ましく、5.0〜7.0の範囲が更に好ましい。
【0014】
本発明の原液には、使用感、ミノキシジルの溶解性及び安定性の点から、アルコール類と水との混合物を配合するのが好ましい。アルコール類の配合量は、原液全体の30〜80w/v%であることが好ましい。アルコール類としては、低級アルコール及び多価アルコールを単独又は組み合わせて使用することができる。低級アルコールとしては、炭素数1〜5のものが好ましく、例えばエタノールやイソプロパノールなどが好ましく、これらを組み合わせて使用することができる。低級アルコールの配合量は、原液全体の30w/v%以上が好ましく、更に好ましくは40w/v%以上である。多価アルコールとしては、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等が挙げられ、これらを1種又は2種以上組み合わせて使用することができる。多価アルコールの配合量は、原液全体の30w/v%以下が好ましい。また、本発明の原液中の水の配合量は、特に制限はないが、原液全体に対して10〜50w/v%が好ましく、10〜30w/v%がより好ましく、10w/v%以上20w/v%未満がさらに好ましい。水の含有量は、配合した水の量及び配合した成分中の水分量から計算によって算出することもできるが、例えばカールフィッシャー水分計で測定することもできる。
【0015】
本発明のミノキシジルを含む原液には、上記した成分の他、本発明の効果を損なわない範囲で、一般の外用剤に用いられる種々の活性成分や補助成分を配合することができる。例えば、賦形剤、育毛成分(6−ベンジルアミノプリン、アデノシン、ペンタデカン酸グリセリド、何首鳥等)、血管拡張剤(塩化カルプロニウム、ニコチン酸ベンジル、センブリ抽出液、オタネニンジンエキス、チクセツニンジンチンキ、トウガラシチンキ等)、抗ヒスタミン剤(塩酸イソチペンジル、塩酸ジフェンヒドラミン等)、抗炎症剤(グアイアズレン、グリチルレチン酸等)、角質溶解剤(尿素、サリチル酸等)、殺菌剤(グルコン酸クロルヘキシジン、イソプロピルメチルフェノール、第4級アンモニウム塩、ピロクトンオラミン、ヒノキチオール等)、保湿剤(ヒアルロン酸又はその塩、コンドロイチン硫酸等)、各種動植物(イチイ、ボタンピ、カンゾウ、オトギリソウ、附子、ビワ、カワラヨモギ、コンフリー、アシタバ、サフラン、サンシシ、ローズマリー、セージ、モッコウ、セイモッコウ、ホップ、プラセンタ、ノコギリヤシ、パンプキンシード等)の抽出物、ビタミン類(酢酸トコフェロール、パントテニルエチルエーテル、パンテノール、塩酸ピリドキシン、酢酸レチノール、アスコルビン酸、硝酸チアミン、シアノコバラミン、ビオチン等)、抗酸化剤(ジブチルヒドロキシトルエン、ピロ亜硫酸ナトリウム、トコフェロール、エデト酸ナトリウム、アスコルビン酸、イソプロピルガレート等)、溶解補助剤(アジピン酸ジイソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、各種植物油、各種動物油、アルキルグリセリルエーテル、炭化水素類等)、代謝賦活剤、ゲル化剤(水溶性高分子等)、粘着剤、香料、清涼化剤(メントール、ハッカ油、カンフル等)、染料等の通常使用される成分を配合することができる。
【0016】
本発明を構成する噴射剤としては、ジメチルエーテルを使用することが必須である。原液との相溶性が優れたものとなり、また、安定性及び使用感も良好となるからである。原液とジメチルエーテルの配合比率は原液1容量部に対してジメチルエーテル0.25〜1容量部が好ましい。0.25容量部を下回ると冷感が得られなくなり、1容量部を上回ると使用時の噴射剤臭が強く、良好な使用感が損なわれるためである。また、安定性、使用感を損なわない範囲でジメチルエーテルとともに他の圧縮ガス等の噴射剤を使用することができる。圧縮ガスとしては、炭酸ガス、窒素、亜酸化窒素等が挙げられる。
【0017】
本発明のエアゾール剤を充填する容器は、エアゾールの内圧に耐える耐圧性と、内容物が洩れない気密性を有していることが必要である。法規で規定される耐圧性能(1.3MPaで変形せず、1.5MPaで破壊されないこと)が維持されていれば、素材は、アルミニウム、ガラス、ブリキ、合成樹脂のいずれであってもよい。ブリキ容器、アルミニウム容器を用いる場合には、腐食防止のために樹脂による表面コートを行うことができるが、汎用性の観点からアルミニウム容器が好ましい。また、本発明のエアゾール剤に用いる容器は、耐圧容器の他、バルブ、ボタン、スパウト、キャップ等が、公知のエアゾール容器と同様に備わっている。
【0018】
本発明のエアゾール剤は、常法に従い、上記各成分を含有することにより調製される。
【0019】
以下に、実施例、比較例及び試験例を記載し、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例等により何ら制約されるものではない。
【実施例】
【0020】
下記の原液1〜5を調製した。なお、エタノールは95%エタノールを使用した。
【0021】
※原液1
ミノキシジル5g、1,3−ブチレングリコール10g、エタノール60g、クエン酸0.45g、リン酸0.38g、精製水で全量を100mLとし、撹拌溶解してpH6.1の原液を得た。なお、原液中の水の含量は、17g/100mLであった。
【0022】
※原液2
ミノキシジル5g、1,3−ブチレングリコール10g、エタノール60g、クエン酸0.55g、リン酸0.34g、精製水で全量を100mLとし、撹拌溶解してpH6.1の原液を得た。なお、原液中の水の含量は、17g/100mLであった。
【0023】
※原液3
ミノキシジル5g、1,3−ブチレングリコール10g、エタノール60g、リン酸0.4g、乳酸0.4g、精製水で全量を100mLとし、撹拌溶解してpH6.1の原液を得た。なお、原液中の水の含量は、17g/100mLであった。
【0024】
※原液4
ミノキシジル5g、1,3−ブチレングリコール10g、エタノール60g、クエン酸0.45g、乳酸0.5g、精製水で全量を100mLとし、撹拌溶解してpH6.0の原液を得た。なお、原液中の水の含量は、16g/100mLであった。
【0025】
※原液5
ミノキシジル5g、1,3−ブチレングリコール12g、エタノール60g、クエン酸0.45g、乳酸0.5g、精製水で全量を100mLとし、撹拌溶解してpH6.0の原液を得た。なお、原液中の水の含量は、14g/100mLであった。
【0026】
※原液6
ミノキシジル5g、1,3−ブチレングリコール10g、エタノール60g、リン酸0.38g、精製水で全量を100mLとし、撹拌溶解してpH6.5の原液を得た。なお、原液中の水の含量は、17g/100mLであった。
【0027】
※原液7
ミノキシジル5g、1,3−ブチレングリコール10g、エタノール60g、クエン酸0.45g、精製水で全量を100mLとし、撹拌溶解してpH6.5の原液を得た。なお、原液中の水の含量は、17g/100mLであった。
【0028】
※原液8
ミノキシジル5g、1,3−ブチレングリコール10g、エタノール60g、リン酸1.02g、精製水で全量を100mLとし、撹拌溶解してpH6.0の原液を得た。なお、原液中の水の含量は、17g/100mLであった。
【0029】
※原液9
ミノキシジル5g、1,3−ブチレングリコール10g、エタノール60g、乳酸0.5g、精製水で全量を100mLとし、撹拌溶解してpH6.4の原液を得た。なお、原液中の水の含量は、17g/100mLであった。
【0030】
原液1〜9の処方を表1に示す(なお、表中の単位はg/100mLである。)
【0031】
【表1】
【0032】
<試験例1:原液の低温安定性試験>
原液1〜9をそれぞれ透明容器に充填し、5℃で9日間保管後の結晶析出の有無を目視で評価した。その結果、結晶析出は生じなかった。
【0033】
(実施例1)
原液1のうち26.7mLを透明ガラス耐圧瓶に充填した。次に、透明ガラス耐圧瓶にエアゾールバルブを取りつけ、原液と噴射剤であるジメチルエーテルとの容積比が1/0.5になるように13.3mLのジメチルエーテルを透明ガラス耐圧瓶に充填し、エアゾール剤を得た。
【0034】
(実施例2)
原液1のうち32.0mLを透明ガラス耐圧瓶に充填した。次に、透明ガラス耐圧瓶にエアゾールバルブを取りつけ、原液と噴射剤であるジメチルエーテルを容積比が1/0.25になるように8.0mLのジメチルエーテルを透明ガラス耐圧瓶に充填し、エアゾール剤を得た。
【0035】
(実施例3)
原液2のうち26.7mLを透明ガラス耐圧瓶に充填した。次に、透明ガラス耐圧瓶にエアゾールバルブを取りつけ、原液と噴射剤であるジメチルエーテルを容積比が1/0.5になるように13.3mLのジメチルエーテルを透明ガラス耐圧瓶に充填し、エアゾール剤を得た。
【0036】
(実施例4)
原液3のうち30.0mLを透明ガラス耐圧瓶に充填した。次に、透明ガラス耐圧瓶にエアゾールバルブを取りつけ、原液と噴射剤であるジメチルエーテルを容積比が1/0.5になるように15.0mLのジメチルエーテルを透明ガラス耐圧瓶に充填し、エアゾール剤を得た。
【0037】
(実施例5)
原液4のうち30.0mLを透明ガラス耐圧瓶に充填した。次に、透明ガラス耐圧瓶にエアゾールバルブを取りつけ、原液と噴射剤であるジメチルエーテルを容積比が1/0.5になるように15.0mLのジメチルエーテルを透明ガラス耐圧瓶に充填し、エアゾール剤を得た。
【0038】
(実施例6)
原液5のうち30.0mLを透明ガラス耐圧瓶に充填した。次に、透明ガラス耐圧瓶にエアゾールバルブを取りつけ、原液と噴射剤であるジメチルエーテルを容積比が1/0.5になるように15.0mLのジメチルエーテルを透明ガラス耐圧瓶に充填し、エアゾール剤を得た。
【0039】
(比較例1)
原液6のうち26.7mLを透明ガラス耐圧瓶に充填した。次に、透明ガラス耐圧瓶にエアゾールバルブを取りつけ、原液と噴射剤であるジメチルエーテルを容積比が1/0.5になるように13.3mLのジメチルエーテルを透明ガラス耐圧瓶に充填し、エアゾール剤を得た。
【0040】
(比較例2)
原液7のうち26.7mLを透明ガラス耐圧瓶に充填した。次に、透明ガラス耐圧瓶にエアゾールバルブを取りつけ、原液と噴射剤であるジメチルエーテルを容積比が1/0.5になるように13.3mLのジメチルエーテルを透明ガラス耐圧瓶に充填し、エアゾール剤を得た。
【0041】
(比較例3)
原液8のうち26.7mLを透明ガラス耐圧瓶に充填した。次に、透明ガラス耐圧瓶にエアゾールバルブを取りつけ、原液と噴射剤であるジメチルエーテルを容積比が1/0.5になるように13.3mLのジメチルエーテルを透明ガラス耐圧瓶に充填し、エアゾール剤を得た。
【0042】
(比較例4)
原液9のうち30.0mLを透明ガラス耐圧瓶に充填した。次に、透明ガラス耐圧瓶にエアゾールバルブを取りつけ、原液と噴射剤であるジメチルエーテルを容積比が1/0.5になるように15.0mLのジメチルエーテルを透明ガラス耐圧瓶に充填し、エアゾール剤を得た。
【0043】
(比較例5)
原液1のうち26.7mLを透明ガラス耐圧瓶に充填した。次に、透明ガラス耐圧瓶にエアゾールバルブを取りつけ、原液と噴射剤である液化石油ガスを容積比が1/0.5になるように13.3mLの液化石油ガスを透明ガラス耐圧瓶に充填し、エアゾール剤を得た。
【0044】
実施例1〜実施例6、比較例1〜比較例5の原液と噴射剤を表2に示す(なお、表中のDMEはジメチルエーテルの略であり、LPGは液化石油ガスの略である。)
【0045】
【表2】
【0046】
<試験例2:相溶性、低温安定性の評価>
実施例1〜実施例6及び比較例1〜比較例5に関し、調製直後の相溶性及び5℃で9日間保管後の結晶析出の有無を評価した。調製直後の相溶性は、原液と噴射剤が混和した場合を○、原液と噴射剤が分離したものを×と表記した。低温安定性の評価は、結晶が析出せず混和したままであったものを○、結晶が析出したものを×と表記した。結果を表3に示す。
【0047】
【表3】
【0048】
試験例1から明らかなように、クエン酸、リン酸、または乳酸を単独使用した原液6〜9については、いずれも5℃で9日間保管したときに、結晶析出等の問題はなかった。しかし、噴射剤としてジメチルエーテルを用いてエアゾール剤とすると、低温保管時に結晶が析出した(比較例1〜4)。一方、本発明の、原液中にクエン酸、リン酸及び乳酸から選ばれる2種以上の酸を併用した実施例1〜6は、噴射剤としてジメチルエーテルを用いたエアゾール剤を調製しても低温保管時に結晶析出を生じなかった。また、比較例5に示すように、噴射剤として液化石油ガスを用いた場合、調製直後から原液と噴射剤が分離し、均一にならなかった。計量性が求められずミノキシジル含有エアゾール剤としては、適さないという結果となった。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明により、ミノキシジルを含有したエアゾール剤において、低温保管時に結晶が析出せず、ミノキシジルを溶解状態で含有したエアゾール剤を提供することが可能になった。