【実施例1】
【0026】
本発明の実施例1に係るトンネル掘削機の構造について、
図1から
図5を参照して説明する。
【0027】
図1に示すように、トンネル掘削機1には、円筒形状を成すスキンプレート(掘削機本体)11が設けられており、スキンプレート11におけるトンネル前方(
図1においては、左方側)には、円盤形状のカッタヘッド12が回転自在に支持されている。また、スキンプレート11には、カッタヘッド12のトンネル後方(
図1においては、右方側)に位置してバルクヘッド13が取り付けられており、これらカッタヘッド12とバルクヘッド13との間には、掘削土砂が一時的に蓄えられる空間(チャンバ)14が形成されている。
【0028】
バルクヘッド13には、カッタヘッド12を回転駆動するためのカッタ駆動モータ15が支持されており、このカッタ駆動モータ15が駆動されると、リングギヤ16および中間ビーム17等を介して、カッタヘッド12が回転駆動されるようになっている。
【0029】
また、スキンプレート11内には、バルクヘッド13を貫通してチャンバ14に開口するスクリューコンベア18が配設されており、チャンバ14内に取り込まれた掘削土砂は、スクリューコンベア18によってトンネル後方へ搬送され、図示しないベルトコンベア等によってトンネル掘削機1の外部へ排出されるようになっている。
【0030】
スキンプレート11におけるトンネル後方には、トンネル100の周壁(スキンプレート11の内周面)に対して所定の間隔を空けて内型枠19を構築する内型枠組立装置20が設けられている。
【0031】
図2に示すように、内型枠19は、周方向に分割された複数(本実施例においては、七個)の型枠ピース31〜37から構成される円環形状を成しており、軸方向一方側(
図2においては、紙面左手前側)の端面(直交面41)が中心軸L
Cに対して直交すると共に、軸方向他方側(
図2においては、紙面右奥側)の端面(傾斜面42)が中心軸L
Cに対して傾斜する(直交しない)ように形成されている。
【0032】
図1に示すように、内型枠組立装置20には、型枠ピース31〜37をそれぞれ保持可能な組立グリッパ20aが備えられている。型枠ピース31〜37は、組立グリッパ20aに保持された状態でトンネル100の周壁(スキンプレート11の内周面)に沿って配置され、既設の内型枠19に組み付けられるようになっている。内型枠組立装置20によって構築された内型枠19とトンネル100の周壁(スキンプレート11の内周面)との間には、コンクリートCを打設するための空間(コンクリート打設空間)21が形成されるようになっている。
【0033】
ここで、内型枠組立装置20は、トンネル前後方向(
図1においては、左右方向)に隣接する内型枠19を傾斜面42(または直交面41)同士が隣接するように構築するようになっている。そして、内型枠組立装置20は、傾斜面42同士が隣接配置される一方の内型枠(以下、本明細書においては、基準内型枠19aと言う)を周方向位置(位相)の基準として所定角度で組み付け、他方の内型枠(以下、本明細書においては、回転内型枠19bと言う)を基準内型枠19aに対して周方向に所定回転角度θ(0°≦θ≦180°)だけ回転して(位相をずらして)組み付けるようになっている(
図6A参照)。
【0034】
また、
図1に示すように、トンネル掘削機1には、内型枠組立装置20のトンネル後方に位置して、トンネル100の周壁に沿って構築された内型枠19の形状を矯正する形状保持装置22が設けられている。つまり、内型枠19は、内型枠組立装置20によって型枠ピース31〜37がそれぞれトンネル100の周壁に沿って配置および組み付けされると共に、形状保持装置22によってその形状(真円度)が保持されて成る。
【0035】
また、スキンプレート11内には、コンクリート打設空間21にコンクリートCを打設するコンクリート打設装置23が設けられている。コンクリート打設装置23には、スキンプレート11と内型枠19との間に配置されてコンクリート打設空間21を閉塞する妻型枠51と、妻型枠51に挿通されてコンクリート打設空間21にコンクリートCを流し込むコンクリート打設管52と、妻型枠51をトンネル後方へ所定圧力で押圧する妻型枠ジャッキ53とが備えられている。コンクリート打設装置23によって打設されたコンクリートCが当該コンクリート打設空間21において養生および硬化されることにより、コンクリートCによるトンネル100の覆工がなされるようになっている。
【0036】
トンネル掘削機1には、内型枠組立装置20および形状保持装置22のトンネル後方に位置して、トンネル100の周壁に沿って構築された内型枠19を脱型する内型枠脱型装置24が設けられている。内型枠脱型装置24には、型枠ピース31〜37をそれぞれ保持可能な脱型グリッパ24aが備えられている。コンクリートCが硬化された範囲における内型枠19の型枠ピース31〜37は、脱型グリッパ24aに保持された状態で脱型されるようになっている。
【0037】
また、トンネル掘削機1には、内型枠脱型装置24によって脱型された型枠ピース31〜37をトンネル前方(内型枠組立装置20の近傍)に搬送する内型枠搬送装置25が設けられている。
【0038】
図1および
図3に示すように、内型枠搬送装置25には、トンネル100内(トンネル100の周壁に沿って構築された内型枠19の周方向内側)においてトンネル前後方向に延びる搬送レール61と、型枠ピース31〜37の少なくとも一つを載置した状態で搬送レール61上を当該搬送レール61に沿ってトンネル前後方向に移動可能な搬送台車62とが備えられている。
【0039】
よって、型枠ピース31〜37は、内型枠脱型装置24によって内型枠19から脱型されると、搬送台車62に載置されるようになっており、この型枠ピース31〜37が載置された搬送台車62を搬送レール61に沿ってトンネル前方へ移動することによって、内型枠組立装置20の近傍に搬送されるようになっている。
【0040】
図4および
図5に示すように、搬送レール61は、一方の内型枠19(基準内型枠19a)に固定される固定レール61aと、他方の内型枠19(回転内型枠19b)の範囲に位置して固定レール61a間に跨って設置される連結レール61bとから構成されており、これら固定レール61aと連結レール61bとがトンネル前後方向(
図4および
図5においては、左右方向)において交互に連結されて成る。
【0041】
固定レール61aは、固定ボルト63aおよび固定ナット63bによって基準内型枠19aの径方向内側に固定されており(
図3参照)、その軸方向両端部には、延設方向(トンネル前後方向であって、
図4および
図5においては左右方向)に突出して連結レール61bと連結される連結部71が設けられている(
図4および
図5参照)。一方、連結レール61bには、固定レール61aの連結部71を鉛直方向下側(
図5においては、下方側)から挿入可能な溝部81が設けられている。
【0042】
よって、連結部71を溝部81に挿入するように、基準内型枠19aに固定された固定レール61aに対して連結レール61bを鉛直方向上側(
図5においては、上方側)から被せることにより、当該連結レール61bを固定レール61a間に架け渡すことができるようになっている。
【0043】
また、固定レール61aの連結部71および連結レール61bの溝部81には、連結ピン64を挿通可能なピン穴72,82がそれぞれ形成されており、固定レール61aの連結部71を連結レール61bの溝部81に挿入すると共に連結ピン64を固定レール61aのピン穴72および連結レール61bのピン穴82に挿通させることにより、固定レール61aと連結レール61bとの連結(連結レール61bの抜け止め)がなされるようになっている。
【0044】
また、トンネル掘削機1には、スキンプレート11の内周面に沿って複数のシールドジャッキ26が設けられており、このシールドジャッキ26は、トンネル後方へ向けて伸縮可能に配置されている。よって、内型枠組立装置20によって構築された内型枠19に対してシールドジャッキ26を伸長することにより、スキンプレート11すなわちトンネル掘削機1を掘進させるための反力を得ることができる。
【0045】
また、内型枠組立装置20によって構築された内型枠19に対してシールドジャッキ26を縮長することにより、既設の内型枠19(型枠ピース31〜37)との間に空所を形成し、内型枠組立装置20によって型枠ピース31〜37をこの空所に配置すると共に既設の内型枠19に組み付け、新しい内型枠19を構築することができる。
【0046】
本発明の実施例1に係るトンネル掘削機の動作について、
図1から
図8を参照して説明する。
【0047】
トンネル掘削機1は、カッタ駆動モータ15を駆動することによって、リングギヤ16および中間ビーム17等を介して、カッタヘッド12を回転駆動すると共に、複数のシールドジャッキ26を伸長して既設の内型枠19(型枠ピース31〜37)から押し付け反力を得ることによって、スキンプレート11を前進させる(
図1参照)。このように、トンネル掘削機1は、カッタヘッド12を回転駆動しつつスキンプレート11を前進させることにより、前方の地山を掘削する。
【0048】
カッタヘッド12の回転駆動によって掘削された土砂は、カッタヘッド12における図示しない土砂取り込み口からチャンバ14内に取り込まれ、当該チャンバ14内に開口して設けられたスクリューコンベア18によってトンネル後方へ搬送されると共に、スクリューコンベア18の後端部から図示しないベルトコンベア等によってトンネル掘削機1の外部へ排出される。
【0049】
そして、トンネル掘削機1は、一部のシールドジャッキ26を縮長して既設の内型枠19(型枠ピース31〜37)との間に空所を形成し、内型枠組立装置20によって型枠ピース31〜37をこの空所に配置すると共に既設の内型枠19に組み付け、新しい内型枠19を構築する。このように、トンネル掘削機1は、その掘進に伴って内型枠19を順次構築することにより、トンネル前後方向において複数段に並ぶ内型枠19を構築する。
【0050】
この内型枠19の構築において、内型枠組立装置20は、傾斜面42(または直交面41)同士が接触するように、基準内型枠19aと回転内型枠19bとをトンネル前後方向において交互に並べて構築すると共に、基準内型枠19aに対して回転内型枠19bを所定回転角度θだけ周方向一方側または周方向他方側に交互に振って(回転して)組み付ける(
図6A参照)。
【0051】
ここで、内型枠組立装置20による内型枠19の構築について、
図6Aから
図6Cおよび
図7Aから
図7Cを参照して詳細に説明する。
【0052】
まず、内型枠組立装置20は、
図7Aに示すように、内型枠19(基準内型枠19a)を所定角度で組み付ける(第一の基準内型枠組立工程)。内型枠19は、中心軸L
Cに対して直交する直交面41と中心軸L
Cに対して傾斜する(直交しない)傾斜面42とを有する円環形状から成るので(
図2参照)、この内型枠19(基準内型枠19a)が所定角度で組み付けられることにより、トンネル100の向きは、第一の所定方向V
1(X
1,0,Z
1)だけ傾けられることとなる。
【0053】
ここで、トンネル100の向きは、トンネル前後方向における最前端に位置する(構築された)内型枠19の端面(直交面41または傾斜面42)の向きである。また、
図7Aにおいては、内型枠19は、その最小幅位置(軸方向の長さが最小となる周方向位置)が左方側に位置するように組み付けられており、トンネル100の向きを示す矢印は、当該最小幅位置(
図7Aにおいては、左方側)を向いている。
【0054】
次に、内型枠組立装置20は、
図7Bに示すように、内型枠19(回転内型枠19b)を既設の内型枠19(基準内型枠19a)に対して所定回転角度θだけ周方向一方側へ回転(
図7Bにおいては、左回転)させた状態で傾斜面42同士が隣接するように組み付ける(第一の回転内型枠組立工程)。
【0055】
このとき、トンネル100の向きは、内型枠19(回転内型枠19b)が既設の内型枠19(基準内型枠19a)に対して所定回転角度θだけ周方向一方側へ回転させて組み付けられることにより、第二の所定方向V
2(X
2,−Y
2,Z
2)だけ傾けられる。ここで、
図7Bにおいて、内型枠19の最小幅位置は、二点鎖線で示された位置であり、トンネル100の向きを示す矢印は、当該最小幅位置(
図7Bにおいては、左下方側)を向いている。
【0056】
つまり、トンネル100の向きは、内型枠組立装置20によって上述した基準内型枠19aおよび回転内型枠19bが組み付けられることにより、第二の所定方向V
2(X
2,−Y
2,Z
2)を加えた総和(X
1+X
2,−Y
2,Z
1+Z
2)だけ傾けられることとなる。
【0057】
次に、内型枠組立装置20は、
図7Aに示すように、内型枠19(基準内型枠19a)を所定角度で直交面41同士が隣接するように組み付ける(第二の基準内型枠組立工程)。このとき、トンネル100の向きは、内型枠組立装置20によって上述した基準内型枠19aおよび回転内型枠19bに加えて更に内型枠19(基準内型枠19a)が所定角度で組み付けられることにより、第一の所定方向V
1(X
1,0,Z
1)を更に加えた総和(2X
1+X
2,−Y
2,2Z
1+Z
2)だけ傾けられることとなる。
【0058】
次に、内型枠組立装置20は、
図7Cに示すように、内型枠19(回転内型枠19b)を既設の内型枠19(基準内型枠19a)に対して所定回転角度θだけ周方向他方側へ回転(
図7Cにおいては、右回転)させて傾斜面42同士が隣接するように組み付ける(第二の回転内型枠組立工程)。
【0059】
このとき、トンネル100の向きは、内型枠19(回転内型枠19b)が既設の内型枠19(基準内型枠19a)に対して所定角度だけ周方向他方側へ回転させて組み付けられることにより、第三の所定方向V
3(X
2,Y
2,Z
2)だけ傾けられる。ここで、
図7Cにおいて、内型枠19の最小幅位置は、二点鎖線で示された位置であり、トンネル100の向きを示す矢印は、当該最小幅位置(
図7Cにおいては、左上方側)を向いている。
【0060】
つまり、基準内型枠19aと回転内型枠19bとをトンネル前後方向において交互に並べて構築すると共に、基準内型枠19aに対して回転内型枠19bを所定回転角度θだけ周方向一方側または周方向他方側に交互に振って(回転して)組み付けることにより、トンネル100の向きは、それらの総和(2X
1+2X
2,0,2Z
1+2Z
2)だけ傾けられることとなる。
【0061】
ここで、所定回転角度θによる移動方向成分の一部(Y方向成分であって、
図7Aから
図7Cにおいては、上下方向の成分)は相殺されている。よって、トンネル100は、基準内型枠19aが組み付けられた所定角度に基づく所望の方向に向かって湾曲するように形成されると共に、回転内型枠19bが組み付けられる所定回転角度θに基づく所望の曲率Rで湾曲するように形成される。
【0062】
なお、
図6Bに示すように、基準内型枠19aに対して回転内型枠19bを周方向一方側および周方向他方側へ所定回転角度θ(θ=0°)ずつ交互に振って組み付ける、すなわち、基準内型枠19aの最小幅位置と回転内型枠19bの最小幅位置とが一致するように組み付けることにより、トンネル前後方向において構築可能な最小曲率R
MINから成る曲線状に並ぶ内型枠19を構築することができる。
【0063】
また、
図6Cに示すように、基準内型枠19aに対して回転内型枠19bを周方向一方側および周方向他方側へ所定回転角度θ(θ=180°)ずつ交互に振って組み付ける、すなわち、基準内型枠19aの最小幅位置と回転内型枠19bの最小幅位置とが逆位相となる(基準内型枠19aの最小幅位置と回転内型枠19bの最大幅位置とが一致する)ように組み付けることにより、トンネル前後方向において直線状に並ぶ内型枠19を構築することができる。
【0064】
以上のようにして、内型枠組立装置20によってトンネル前後方向において複数段に並べて内型枠19(基準内型枠19aおよび回転内型枠19b)を構築し、形状保持装置22によって当該内型枠19の形状(真円)を保持する。
【0065】
なお、内型枠組立装置20によって構築された内型枠19がトンネル100の周壁に対して大きく偏心した場合には、コンクリートCによる覆工をトンネル100の周方向において略均一に行う、すなわち、周方向に略均一な厚みのコンクリートCを得ることができない。そこで、内型枠組立装置20は、当該偏心が小さくなるように内型枠19を構築する、すなわち、トンネル100の周壁に対する内型枠19の位置調整を行う。
【0066】
このトンネル100の周壁に対する内型枠19の位置調整は、
図8に示すように、トンネル前後方向(
図8においては、左右方向)において複数段に構築される内型枠19の一部を、傾斜面42(または直交面41)同士ではなく、直交面41と傾斜面42とが接触するように組み付けることによって行う。
【0067】
具体的には、基準内型枠19aをその傾斜面42が既設の回転内型枠19bにおける直交面41と接触するように組み付けた後、回転内型枠19bをその傾斜面42が基準内型枠19aの直交面41と接触するように組み付けることにより、一つの内型枠19(基準内型枠19a)によって、トンネル100の周壁に対する内型枠19の位置を調整することができる。
【0068】
もちろん、内型枠組立装置20は、上述したように回転内型枠19bを基準内型枠19aに対して所定回転角度θだけ周方向一方側および周方向他方側へ交互に振って組み付けることによっても、トンネル100の周壁に対する内型枠19の位置調整を行うことができるものである。
【0069】
次に、コンクリート打設装置23によって、スキンプレート11の内周面と内型枠19との間に形成されたコンクリート打設空間21にコンクリートCを打設する(
図1参照)。つまり、スキンプレート11の内周面と内型枠19との間に配置された妻型枠51によってコンクリート打設空間21を閉塞し、この閉塞されたコンクリート打設空間21にコンクリート打設管52からコンクリートCを供給すると共に、妻型枠ジャッキ53によって妻型枠51をトンネル後方へ向けて押圧することにより、コンクリートCをコンクリート打設空間21において隙間なく充填する。その後、コンクリートCが養生および硬化し、コンクリートCによるトンネル100の覆工がなされる。
【0070】
次に、内型枠脱型装置24によって、コンクリートCが養生および硬化された範囲における内型枠19を脱型し、内型枠搬送装置25によって、脱型した内型枠19(型枠ピース31〜37)をトンネル前方(内型枠組立装置20の近傍)に搬送する。つまり、内型枠脱型装置24の脱型グリッパ24aによって、トンネル100の周壁に沿って構築された内型枠19から型枠ピース31〜37を脱型して内型枠搬送装置25の搬送台車62に載置し、この搬送台車62を搬送レール61に沿ってトンネル前方へ移動する。その後、内型枠組立装置20の組立グリッパ20aによって、搬送台車62に載置された型枠ピース31〜37を保持してトンネル100の周壁に沿って配置および既設の内型枠19に組み付けることにより、新たな内型枠19を構築する。
【0071】
この型枠ピース31〜37の搬送(搬送台車62の移動)においては、基準内型枠19aに固定された固定レール61aに対して、連結レール61bを連結することによって、搬送レール61を組み上げる。
【0072】
ここで、基準内型枠19aは、トンネル100の湾曲方向(トンネル掘削機1の掘進方向)に合わせた所定角度で組み付けられているため、同方向に湾曲する曲線状のトンネル100または直線状のトンネル100を形成する間は周方向に回転されることはなく、基準内型枠19aに固定された固定レール61aは、常に鉛直方向下側に位置(存在)する。よって、搬送レール61の組み付け作業が簡易化され、当該作業および搬送台車62の移動(型枠ピース31〜37の搬送)を容易に行うことができる。
【0073】
また、トンネル掘削機1においては、固定レール61aが基準内型枠19aの鉛直方向下側および鉛直方向上側に設けられている。よって、基準内型枠19aを組み付ける所定角度を180°回転(反転)させた場合であっても、当該固定レール61aが鉛直方向下側に位置(存在)し、搬送台車62の移動すなわち型枠ピース31〜37の搬送を行うことができる。つまり、水平面内において左右両側へ湾曲するトンネル100を形成する場合であっても、固定レール61aの着脱を行わずに、搬送レール61の組み付け作業および搬送台車62の移動(型枠ピース31〜37の搬送)を容易に行うことができる。
【0074】
以上に説明したように、本実施例に係るトンネル掘削機1によれば、内型枠19は、軸方向一端面(直交面)41と軸方向他端面(傾斜面)42とが互いに平行でないものであり、内型枠組立装置20は、内型枠19(基準内型枠19a)を所定角度で組み付ける第一の基準内型枠組立工程と、第一の基準内型枠組立工程において組み付けられた内型枠19(基準内型枠19a)に対して周方向一方側に所定回転角度θだけ回転した状態で内型枠19(回転内型枠19b)を組み付ける第一の回転内型枠組立工程と、第一の回転内型枠組立工程において組み付けられた内型枠19(回転内型枠19b)に対して内型枠19(基準内型枠19a)を所定角度で組み付ける第二の基準内型枠組立工程と、第二の基準内型枠組立工程において組み付けられた内型枠19(基準内型枠19a)に対して周方向他方側に前記所定回転角度だけ回転した状態で内型枠19(回転内型枠19b)を組み付ける第二の回転内型枠組立工程とを繰り返し、所定回転角度θを調整することによってトンネル前後方向に直線状または所望の曲率から成る曲線状に並ぶ内型枠19(基準内型枠19aおよび回転内型枠19b)を構築するものであるので、一種類の内型枠19(基準内型枠19aおよび回転内型枠19b)で、直線状のトンネル100(
図6C参照)および曲率を異にする曲線状のトンネル100(
図6Aおよび
図6B参照)を形成することができる。