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特開2017-186780トンネル掘削機およびトンネル掘削工法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-186780(P2017-186780A)
(43)【公開日】2017年10月12日
(54)【発明の名称】トンネル掘削機およびトンネル掘削工法
(51)【国際特許分類】
   E21D 11/10 20060101AFI20170919BHJP
【FI】
   E21D11/10 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-75721(P2016-75721)
(22)【出願日】2016年4月5日
(71)【出願人】
【識別番号】516308364
【氏名又は名称】JIMテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078499
【弁理士】
【氏名又は名称】光石 俊郎
(74)【代理人】
【識別番号】230112449
【弁護士】
【氏名又は名称】光石 春平
(74)【代理人】
【識別番号】100102945
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 康幸
(74)【代理人】
【識別番号】100120673
【弁理士】
【氏名又は名称】松元 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100182224
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲三
(72)【発明者】
【氏名】熊尾 義光
【テーマコード(参考)】
2D055
2D155
【Fターム(参考)】
2D055BA01
2D055BB01
2D055CA01
2D055DA01
2D055GB01
2D055GB02
2D055KA00
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2D155GB02
2D155KA00
(57)【要約】
【課題】複数種類の内型枠を用いることなく曲率を異にする曲線状のトンネルを構築する。
【解決手段】掘削したトンネル100の周壁に沿って円環状の内型枠19を構築する内型枠組立装置20を備えたトンネル掘削機において、前記内型枠19は、軸方向一端面41と軸方向他端面42とが互いに平行でないものであり、前記内型枠組立装置20は、前記内型枠19を所定角度で組み付ける第一の基準内型枠組立工程と、所定回転角度θだけ周方向一方側に回転した状態で前記内型枠19を組み付ける第一の回転内型枠組立工程と、前記内型枠19を前記所定角度で組み付ける第二の基準内型枠組立工程と、前記所定回転角度θだけ周方向他方側に回転した状態で前記内型枠19を組み付ける第二の回転内型枠組立工程とを繰り返し、前記所定回転角度θを調整することによってトンネル前後方向に直線状または所望の曲率から成る曲線状に並ぶ前記内型枠19を構築して成る。
【選択図】図6A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
掘削したトンネルの周壁に沿って円環状の内型枠を構築する内型枠組立装置と、前記周壁と前記内型枠との間の空間にコンクリートを打設するコンクリート打設装置とを備え、コンクリートによるトンネルの覆工を行うトンネル掘削機において、
前記内型枠は、軸方向一端面と軸方向他端面とが互いに平行でないものであり、
前記内型枠組立装置は、前記内型枠を所定角度で組み付ける第一の基準内型枠組立工程と、前記第一の基準内型枠組立工程において組み付けられた前記内型枠に対して所定回転角度だけ周方向一方側に回転した状態で前記内型枠を組み付ける第一の回転内型枠組立工程と、前記第一の回転内型枠組立工程において組み付けられた前記内型枠に対して前記内型枠を前記所定角度で組み付ける第二の基準内型枠組立工程と、前記第二の基準内型枠組立工程において組み付けられた前記内型枠に対して前記所定回転角度だけ周方向他方側に回転した状態で前記内型枠を組み付ける第二の回転内型枠組立工程とを繰り返し、前記所定回転角度を調整することによってトンネル前後方向に直線状または所望の曲率から成る曲線状に並ぶ前記内型枠を構築するものである
ことを特徴とするトンネル掘削機。
【請求項2】
前記軸方向一端面は、前記内型枠の中心軸に対して直交するものであり、
前記軸方向他端面は、前記中心軸に対して傾斜するものである
ことを特徴とする請求項1に記載のトンネル掘削機。
【請求項3】
前記内型枠を脱型する内型枠脱型装置と、前記内型枠脱型装置によって脱型された前記内型枠を前記内型枠組立装置の近傍に搬送する内型枠搬送装置とを備え、
前記内型枠搬送装置は、前記内型枠を載置可能な搬送台車と、前記搬送台車を移動可能な搬送レールとを有するものであり、
前記搬送レールは、前記第一の基準内型枠組立工程において組み付けられる前記内型枠および前記第二の基準内型枠組立工程において組み付けられる前記内型枠に固定される固定レールと、前記固定レール間に跨って設けられる連結レールとが連結されて成るものである
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のトンネル掘削機。
【請求項4】
前記固定レールは、前記第一の基準内型枠組立工程において組み付けられる前記内型枠および前記第二の基準内型枠組立工程において組み付けられる前記内型枠における鉛直方向下側および鉛直方向上側に設けられるものである
ことを特徴とする請求項3に記載のトンネル掘削機。
【請求項5】
前記固定レールには、軸方向両端部から軸方向に突出する連結部が設けられており、
前記連結レールには、前記連結部を鉛直方向下側から挿入可能な溝部が設けられている
ことを特徴とする請求項3または請求項4に記載のトンネル掘削機。
【請求項6】
トンネルの周壁に沿って円環状の内型枠を構築し、前記周壁と前記内型枠との間の空間にコンクリートを打設し、コンクリートによるトンネルの覆工を行うトンネル掘削工法において、
前記内型枠を、軸方向両端面が互いに平行でないものとし、
前記内型枠を所定角度で組み付ける第一の基準内型枠組立工程と、前記第一の基準内型枠組立工程において組み付けられた前記内型枠に対して所定回転角度だけ周方向一方側に回転した状態で前記内型枠を組み付ける第一の回転内型枠組立工程と、前記第一の回転内型枠組立工程において組み付けられた前記内型枠に対して前記内型枠を前記所定角度で組み付ける第二の基準内型枠組立工程と、前記第二の基準内型枠組立工程において組み付けられた前記内型枠に対して前記所定回転角度だけ周方向他方側に回転した状態で前記内型枠を組み付ける第二の回転内型枠組立工程とを繰り返し、
前記所定回転角度を調整することにより、直線状または所望の曲率から成る曲線状のトンネルを形成する
ことを特徴とするトンネル掘削工法。
【請求項7】
前記所定角度を調整することにより、所望の方向に湾曲する曲線状のトンネルを形成する
ことを特徴とする請求項6に記載のトンネル掘削工法。
【請求項8】
前記第一の基準内型枠組立工程において組み付けられる前記内型枠および前記第二の基準内型枠組立工程において組み付けられる前記内型枠に固定される固定レールと、前記固定レール間に跨って設けられる連結レールとを連結することにより、トンネル前後方向に延設される搬送レールを構成し、
前記搬送レールに沿って前記内型枠を載置した搬送台車を移動することにより、トンネル後方で脱型した前記内型枠をトンネル前方へ搬送する
ことを特徴とする請求項6または請求項7に記載のトンネル掘削工法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリートを用いたトンネルの覆工を行うトンネル掘削機およびトンネル掘削工法に関する。
【背景技術】
【0002】
トンネル掘削機には、円筒形状の掘削機本体(スキンプレート)の前方部に円盤形状のカッタヘッドが備えられており、このカッタヘッドがカッタ駆動モータによって回転駆動されることによって前方の地山が掘削される。そして、掘削された地山(トンネル)に対して種々の覆工が行われることにより、トンネルが形成される。
【0003】
トンネルの覆工を行う方法の一つとして、コンクリートを用いたものがある。この覆工方法は、カッタヘッドによって掘削された地山(トンネルの周壁)に対して所定の間隔を空けて内型枠を構築し、この内型枠とトンネルの周壁との間にコンクリートを打設し、その養生および硬化を待って覆工を行うものである。このように、内型枠を構築してコンクリートによる覆工を行う技術として、例えば、特許文献1に記載のものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−41750号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1には、円形リング状の内型枠の両端面を互いに平行とならないよう楕円形状に形成し、トンネル前後方向に隣接する内型枠を互いの幅最大位置と幅最小位置とが一致するように接合することによって直線状に組み立て、また、トンネル前後方向に隣接する内型枠を互いの幅最大位置同士が一致するように接合することによって曲線状に組み立てる技術が開示されている。
【0006】
この技術によれば、一種類の円形リング状の内型枠を用いることにより、直線状のトンネルまたは所定の曲率から成る曲線状のトンネルを構築することはできるが、曲率を異にする曲線状のトンネルを構築することはできない。よって、曲率を異にする曲線状のトンネルを構築する際には、形状を異にする内型枠を用いなければならず、結果として複数種類の内型枠が必要となってしまう。
【0007】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、複数種類の内型枠を用いることなく曲率を異にする曲線状のトンネルを構築することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する第一の発明に係るトンネル掘削機は、掘削したトンネルの周壁に沿って円環状の内型枠を構築する内型枠組立装置と、前記周壁と前記内型枠との間の空間にコンクリートを打設するコンクリート打設装置とを備え、コンクリートによるトンネルの覆工を行うトンネル掘削機において、前記内型枠は、軸方向一端面と軸方向他端面とが互いに平行でないものであり、前記内型枠組立装置は、前記内型枠を所定角度で組み付ける第一の基準内型枠組立工程と、前記第一の基準内型枠組立工程において組み付けられた前記内型枠に対して所定回転角度だけ周方向一方側に回転した状態で前記内型枠を組み付ける第一の回転内型枠組立工程と、前記第一の回転内型枠組立工程において組み付けられた前記内型枠に対して前記内型枠を前記所定角度で組み付ける第二の基準内型枠組立工程と、前記第二の基準内型枠組立工程において組み付けられた前記内型枠に対して前記所定回転角度だけ周方向他方側に回転した状態で前記内型枠を組み付ける第二の回転内型枠組立工程とを繰り返し、前記所定回転角度を調整することによってトンネル前後方向に直線状または所望の曲率から成る曲線状に並ぶ前記内型枠を構築するものであることを特徴とする。
【0009】
上記課題を解決する第二の発明に係るトンネル掘削機は、第一の発明に係るトンネル掘削機において、前記軸方向一端面は、前記内型枠の中心軸に対して直交するものであり、前記軸方向他端面は、前記中心軸に対して傾斜するものであることを特徴とする。
【0010】
上記課題を解決する第三の発明に係るトンネル掘削機は、第一または第二の発明に係るトンネル掘削機において、前記内型枠を脱型する内型枠脱型装置と、前記内型枠脱型装置によって脱型された前記内型枠を前記内型枠組立装置の近傍に搬送する内型枠搬送装置とを備え、前記内型枠搬送装置は、前記内型枠を載置可能な搬送台車と、前記搬送台車を移動可能な搬送レールとを有するものであり、前記搬送レールは、前記第一の基準内型枠組立工程において組み付けられる前記内型枠および前記第二の基準内型枠組立工程において組み付けられる前記内型枠に固定される固定レールと、前記固定レール間に跨って設けられる連結レールとが連結されて成るものであることを特徴とする。
【0011】
上記課題を解決する第四の発明に係るトンネル掘削機は、第三の発明に係るトンネル掘削機において、前記固定レールは、前記第一の基準内型枠組立工程において組み付けられる前記内型枠および前記第二の基準内型枠組立工程において組み付けられる前記内型枠における鉛直方向下側および鉛直方向上側に設けられるものであることを特徴とする。
【0012】
上記課題を解決する第五の発明に係るトンネル掘削機は、第三または第四の発明に係るトンネル掘削機において、前記固定レールには、軸方向両端部から軸方向に突出する連結部が設けられており、前記連結レールには、前記連結部を鉛直方向下側から挿入可能な溝部が設けられていることを特徴とする。
【0013】
上記課題を解決する第六の発明に係るトンネル掘削工法は、トンネルの周壁に沿って円環状の内型枠を構築し、前記周壁と前記内型枠との間の空間にコンクリートを打設し、コンクリートによるトンネルの覆工を行うトンネル掘削工法において、前記内型枠を、軸方向両端面が互いに平行でないものとし、前記内型枠を所定角度で組み付ける第一の基準内型枠組立工程と、前記第一の基準内型枠組立工程において組み付けられた前記内型枠に対して所定回転角度だけ周方向一方側に回転した状態で前記内型枠を組み付ける第一の回転内型枠組立工程と、前記第一の回転内型枠組立工程において組み付けられた前記内型枠に対して前記内型枠を前記所定角度で組み付ける第二の基準内型枠組立工程と、前記第二の基準内型枠組立工程において組み付けられた前記内型枠に対して前記所定回転角度だけ周方向他方側に回転した状態で前記内型枠を組み付ける第二の回転内型枠組立工程とを繰り返し、前記所定回転角度を調整することにより、直線状または所望の曲率から成る曲線状のトンネルを形成することを特徴とする。
【0014】
上記課題を解決する第七の発明に係るトンネル掘削工法は、第六の発明に係るトンネル掘削工法において、前記所定角度を調整することにより、所望の方向に湾曲する曲線状のトンネルを形成することを特徴とする。
【0015】
上記課題を解決する第八の発明に係るトンネル掘削工法は、第六または第七の発明に係るトンネル掘削工法において、前記第一の基準内型枠組立工程において組み付けられる前記内型枠および前記第二の基準内型枠組立工程において組み付けられる前記内型枠に固定される固定レールと、前記固定レール間に跨って設けられる連結レールとを連結することにより、トンネル前後方向に延設される搬送レールを構成し、前記搬送レールに沿って前記内型枠を載置した搬送台車を移動することにより、トンネル後方で脱型した前記内型枠をトンネル前方へ搬送することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
第一の発明に係るトンネル掘削機によれば、一種類の内型枠で、直線状のトンネルおよび曲率を異にする曲線状のトンネルを構築することができる。
【0017】
第二の発明に係るトンネル掘削機によれば、中心軸に対して直交する直交面と傾斜する傾斜面とを有する一種類の片テーパの内型枠を用いて、直線状のトンネルおよび曲率を異にする曲線状のトンネルを構築することができる。
【0018】
第三の発明に係るトンネル掘削機によれば、搬送レールの組み付け作業を簡易化し、当該作業および内型枠の搬送作業を容易に行うことができる。
【0019】
第四の発明に係るトンネル掘削機によれば、例えば、水平面内において左右方向へ湾曲するトンネルを形成する場合であっても、固定レールの着脱を行わずに、搬送レールの組み付け作業および搬送台車の移動(内型枠の搬送)を容易に行うことができる。
【0020】
第五の発明に係るトンネル掘削機によれば、固定レールと連結レールとの組み付け構造および組み付け作業を簡易なものとすることができる。
【0021】
第六の発明に係るトンネル掘削工法によれば、一種類の内型枠で、直線状のトンネルおよび曲率を異にする曲線状のトンネルを構築することができる。
【0022】
第七の発明に係るトンネル掘削工法によれば、所望の方向に湾曲する曲線状のトンネルを構築することができる。
【0023】
第八の発明に係るトンネル掘削工法によれば、搬送レールの組み付け作業を簡易化し、当該作業および内型枠の搬送作業を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】実施例1に係るトンネル掘削機を示す説明図である。
図2】実施例1に係るトンネル掘削機における内型枠を示す説明図である。
図3】実施例1に係るトンネル掘削機における内型枠搬送装置を示す説明図(図1におけるIII−III矢視断面図)である。
図4】実施例1に係るトンネル掘削機における搬送レールを示す説明図(図3におけるIV−IV矢視断面図)である。
図5】実施例1に係るトンネル掘削機における搬送レールを示す説明図(図4におけるV−V矢視断面図)である。
図6A】実施例1に係るトンネル掘削機において所望の曲率から成る曲線状に構築される内型枠を示す説明図である。
図6B】実施例1に係るトンネル掘削機における最小曲率から成る曲線状に構築される内型枠を示す説明図である。
図6C】実施例1に係るトンネル掘削機における直線状に構築される内型枠を示す説明図である。
図7A】実施例1に係るトンネル掘削機における内型枠(基準内型枠)を示す説明図である。
図7B】実施例1に係るトンネル掘削機における内型枠(回転内型枠)を示す説明図である。
図7C】実施例1に係るトンネル掘削機における内型枠(回転内型枠)を示す説明図である。
図8】実施例1に係るトンネル掘削機における内型枠の位置調整を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に、本発明に係るトンネル掘削工法の実施例について、添付図面を参照して詳細に説明する。もちろん、本発明は以下の実施例に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各種変更が可能であることは言うまでもない。
【実施例1】
【0026】
本発明の実施例1に係るトンネル掘削機の構造について、図1から図5を参照して説明する。
【0027】
図1に示すように、トンネル掘削機1には、円筒形状を成すスキンプレート(掘削機本体)11が設けられており、スキンプレート11におけるトンネル前方(図1においては、左方側)には、円盤形状のカッタヘッド12が回転自在に支持されている。また、スキンプレート11には、カッタヘッド12のトンネル後方(図1においては、右方側)に位置してバルクヘッド13が取り付けられており、これらカッタヘッド12とバルクヘッド13との間には、掘削土砂が一時的に蓄えられる空間(チャンバ)14が形成されている。
【0028】
バルクヘッド13には、カッタヘッド12を回転駆動するためのカッタ駆動モータ15が支持されており、このカッタ駆動モータ15が駆動されると、リングギヤ16および中間ビーム17等を介して、カッタヘッド12が回転駆動されるようになっている。
【0029】
また、スキンプレート11内には、バルクヘッド13を貫通してチャンバ14に開口するスクリューコンベア18が配設されており、チャンバ14内に取り込まれた掘削土砂は、スクリューコンベア18によってトンネル後方へ搬送され、図示しないベルトコンベア等によってトンネル掘削機1の外部へ排出されるようになっている。
【0030】
スキンプレート11におけるトンネル後方には、トンネル100の周壁(スキンプレート11の内周面)に対して所定の間隔を空けて内型枠19を構築する内型枠組立装置20が設けられている。
【0031】
図2に示すように、内型枠19は、周方向に分割された複数(本実施例においては、七個)の型枠ピース31〜37から構成される円環形状を成しており、軸方向一方側(図2においては、紙面左手前側)の端面(直交面41)が中心軸LCに対して直交すると共に、軸方向他方側(図2においては、紙面右奥側)の端面(傾斜面42)が中心軸LCに対して傾斜する(直交しない)ように形成されている。
【0032】
図1に示すように、内型枠組立装置20には、型枠ピース31〜37をそれぞれ保持可能な組立グリッパ20aが備えられている。型枠ピース31〜37は、組立グリッパ20aに保持された状態でトンネル100の周壁(スキンプレート11の内周面)に沿って配置され、既設の内型枠19に組み付けられるようになっている。内型枠組立装置20によって構築された内型枠19とトンネル100の周壁(スキンプレート11の内周面)との間には、コンクリートCを打設するための空間(コンクリート打設空間)21が形成されるようになっている。
【0033】
ここで、内型枠組立装置20は、トンネル前後方向(図1においては、左右方向)に隣接する内型枠19を傾斜面42(または直交面41)同士が隣接するように構築するようになっている。そして、内型枠組立装置20は、傾斜面42同士が隣接配置される一方の内型枠(以下、本明細書においては、基準内型枠19aと言う)を周方向位置(位相)の基準として所定角度で組み付け、他方の内型枠(以下、本明細書においては、回転内型枠19bと言う)を基準内型枠19aに対して周方向に所定回転角度θ(0°≦θ≦180°)だけ回転して(位相をずらして)組み付けるようになっている(図6A参照)。
【0034】
また、図1に示すように、トンネル掘削機1には、内型枠組立装置20のトンネル後方に位置して、トンネル100の周壁に沿って構築された内型枠19の形状を矯正する形状保持装置22が設けられている。つまり、内型枠19は、内型枠組立装置20によって型枠ピース31〜37がそれぞれトンネル100の周壁に沿って配置および組み付けされると共に、形状保持装置22によってその形状(真円度)が保持されて成る。
【0035】
また、スキンプレート11内には、コンクリート打設空間21にコンクリートCを打設するコンクリート打設装置23が設けられている。コンクリート打設装置23には、スキンプレート11と内型枠19との間に配置されてコンクリート打設空間21を閉塞する妻型枠51と、妻型枠51に挿通されてコンクリート打設空間21にコンクリートCを流し込むコンクリート打設管52と、妻型枠51をトンネル後方へ所定圧力で押圧する妻型枠ジャッキ53とが備えられている。コンクリート打設装置23によって打設されたコンクリートCが当該コンクリート打設空間21において養生および硬化されることにより、コンクリートCによるトンネル100の覆工がなされるようになっている。
【0036】
トンネル掘削機1には、内型枠組立装置20および形状保持装置22のトンネル後方に位置して、トンネル100の周壁に沿って構築された内型枠19を脱型する内型枠脱型装置24が設けられている。内型枠脱型装置24には、型枠ピース31〜37をそれぞれ保持可能な脱型グリッパ24aが備えられている。コンクリートCが硬化された範囲における内型枠19の型枠ピース31〜37は、脱型グリッパ24aに保持された状態で脱型されるようになっている。
【0037】
また、トンネル掘削機1には、内型枠脱型装置24によって脱型された型枠ピース31〜37をトンネル前方(内型枠組立装置20の近傍)に搬送する内型枠搬送装置25が設けられている。
【0038】
図1および図3に示すように、内型枠搬送装置25には、トンネル100内(トンネル100の周壁に沿って構築された内型枠19の周方向内側)においてトンネル前後方向に延びる搬送レール61と、型枠ピース31〜37の少なくとも一つを載置した状態で搬送レール61上を当該搬送レール61に沿ってトンネル前後方向に移動可能な搬送台車62とが備えられている。
【0039】
よって、型枠ピース31〜37は、内型枠脱型装置24によって内型枠19から脱型されると、搬送台車62に載置されるようになっており、この型枠ピース31〜37が載置された搬送台車62を搬送レール61に沿ってトンネル前方へ移動することによって、内型枠組立装置20の近傍に搬送されるようになっている。
【0040】
図4および図5に示すように、搬送レール61は、一方の内型枠19(基準内型枠19a)に固定される固定レール61aと、他方の内型枠19(回転内型枠19b)の範囲に位置して固定レール61a間に跨って設置される連結レール61bとから構成されており、これら固定レール61aと連結レール61bとがトンネル前後方向(図4および図5においては、左右方向)において交互に連結されて成る。
【0041】
固定レール61aは、固定ボルト63aおよび固定ナット63bによって基準内型枠19aの径方向内側に固定されており(図3参照)、その軸方向両端部には、延設方向(トンネル前後方向であって、図4および図5においては左右方向)に突出して連結レール61bと連結される連結部71が設けられている(図4および図5参照)。一方、連結レール61bには、固定レール61aの連結部71を鉛直方向下側(図5においては、下方側)から挿入可能な溝部81が設けられている。
【0042】
よって、連結部71を溝部81に挿入するように、基準内型枠19aに固定された固定レール61aに対して連結レール61bを鉛直方向上側(図5においては、上方側)から被せることにより、当該連結レール61bを固定レール61a間に架け渡すことができるようになっている。
【0043】
また、固定レール61aの連結部71および連結レール61bの溝部81には、連結ピン64を挿通可能なピン穴72,82がそれぞれ形成されており、固定レール61aの連結部71を連結レール61bの溝部81に挿入すると共に連結ピン64を固定レール61aのピン穴72および連結レール61bのピン穴82に挿通させることにより、固定レール61aと連結レール61bとの連結(連結レール61bの抜け止め)がなされるようになっている。
【0044】
また、トンネル掘削機1には、スキンプレート11の内周面に沿って複数のシールドジャッキ26が設けられており、このシールドジャッキ26は、トンネル後方へ向けて伸縮可能に配置されている。よって、内型枠組立装置20によって構築された内型枠19に対してシールドジャッキ26を伸長することにより、スキンプレート11すなわちトンネル掘削機1を掘進させるための反力を得ることができる。
【0045】
また、内型枠組立装置20によって構築された内型枠19に対してシールドジャッキ26を縮長することにより、既設の内型枠19(型枠ピース31〜37)との間に空所を形成し、内型枠組立装置20によって型枠ピース31〜37をこの空所に配置すると共に既設の内型枠19に組み付け、新しい内型枠19を構築することができる。
【0046】
本発明の実施例1に係るトンネル掘削機の動作について、図1から図8を参照して説明する。
【0047】
トンネル掘削機1は、カッタ駆動モータ15を駆動することによって、リングギヤ16および中間ビーム17等を介して、カッタヘッド12を回転駆動すると共に、複数のシールドジャッキ26を伸長して既設の内型枠19(型枠ピース31〜37)から押し付け反力を得ることによって、スキンプレート11を前進させる(図1参照)。このように、トンネル掘削機1は、カッタヘッド12を回転駆動しつつスキンプレート11を前進させることにより、前方の地山を掘削する。
【0048】
カッタヘッド12の回転駆動によって掘削された土砂は、カッタヘッド12における図示しない土砂取り込み口からチャンバ14内に取り込まれ、当該チャンバ14内に開口して設けられたスクリューコンベア18によってトンネル後方へ搬送されると共に、スクリューコンベア18の後端部から図示しないベルトコンベア等によってトンネル掘削機1の外部へ排出される。
【0049】
そして、トンネル掘削機1は、一部のシールドジャッキ26を縮長して既設の内型枠19(型枠ピース31〜37)との間に空所を形成し、内型枠組立装置20によって型枠ピース31〜37をこの空所に配置すると共に既設の内型枠19に組み付け、新しい内型枠19を構築する。このように、トンネル掘削機1は、その掘進に伴って内型枠19を順次構築することにより、トンネル前後方向において複数段に並ぶ内型枠19を構築する。
【0050】
この内型枠19の構築において、内型枠組立装置20は、傾斜面42(または直交面41)同士が接触するように、基準内型枠19aと回転内型枠19bとをトンネル前後方向において交互に並べて構築すると共に、基準内型枠19aに対して回転内型枠19bを所定回転角度θだけ周方向一方側または周方向他方側に交互に振って(回転して)組み付ける(図6A参照)。
【0051】
ここで、内型枠組立装置20による内型枠19の構築について、図6Aから図6Cおよび図7Aから図7Cを参照して詳細に説明する。
【0052】
まず、内型枠組立装置20は、図7Aに示すように、内型枠19(基準内型枠19a)を所定角度で組み付ける(第一の基準内型枠組立工程)。内型枠19は、中心軸LCに対して直交する直交面41と中心軸LCに対して傾斜する(直交しない)傾斜面42とを有する円環形状から成るので(図2参照)、この内型枠19(基準内型枠19a)が所定角度で組み付けられることにより、トンネル100の向きは、第一の所定方向V1(X1,0,Z1)だけ傾けられることとなる。
【0053】
ここで、トンネル100の向きは、トンネル前後方向における最前端に位置する(構築された)内型枠19の端面(直交面41または傾斜面42)の向きである。また、図7Aにおいては、内型枠19は、その最小幅位置(軸方向の長さが最小となる周方向位置)が左方側に位置するように組み付けられており、トンネル100の向きを示す矢印は、当該最小幅位置(図7Aにおいては、左方側)を向いている。
【0054】
次に、内型枠組立装置20は、図7Bに示すように、内型枠19(回転内型枠19b)を既設の内型枠19(基準内型枠19a)に対して所定回転角度θだけ周方向一方側へ回転(図7Bにおいては、左回転)させた状態で傾斜面42同士が隣接するように組み付ける(第一の回転内型枠組立工程)。
【0055】
このとき、トンネル100の向きは、内型枠19(回転内型枠19b)が既設の内型枠19(基準内型枠19a)に対して所定回転角度θだけ周方向一方側へ回転させて組み付けられることにより、第二の所定方向V2(X2,−Y2,Z2)だけ傾けられる。ここで、図7Bにおいて、内型枠19の最小幅位置は、二点鎖線で示された位置であり、トンネル100の向きを示す矢印は、当該最小幅位置(図7Bにおいては、左下方側)を向いている。
【0056】
つまり、トンネル100の向きは、内型枠組立装置20によって上述した基準内型枠19aおよび回転内型枠19bが組み付けられることにより、第二の所定方向V2(X2,−Y2,Z2)を加えた総和(X1+X2,−Y2,Z1+Z2)だけ傾けられることとなる。
【0057】
次に、内型枠組立装置20は、図7Aに示すように、内型枠19(基準内型枠19a)を所定角度で直交面41同士が隣接するように組み付ける(第二の基準内型枠組立工程)。このとき、トンネル100の向きは、内型枠組立装置20によって上述した基準内型枠19aおよび回転内型枠19bに加えて更に内型枠19(基準内型枠19a)が所定角度で組み付けられることにより、第一の所定方向V1(X1,0,Z1)を更に加えた総和(2X1+X2,−Y2,2Z1+Z2)だけ傾けられることとなる。
【0058】
次に、内型枠組立装置20は、図7Cに示すように、内型枠19(回転内型枠19b)を既設の内型枠19(基準内型枠19a)に対して所定回転角度θだけ周方向他方側へ回転(図7Cにおいては、右回転)させて傾斜面42同士が隣接するように組み付ける(第二の回転内型枠組立工程)。
【0059】
このとき、トンネル100の向きは、内型枠19(回転内型枠19b)が既設の内型枠19(基準内型枠19a)に対して所定角度だけ周方向他方側へ回転させて組み付けられることにより、第三の所定方向V3(X2,Y2,Z2)だけ傾けられる。ここで、図7Cにおいて、内型枠19の最小幅位置は、二点鎖線で示された位置であり、トンネル100の向きを示す矢印は、当該最小幅位置(図7Cにおいては、左上方側)を向いている。
【0060】
つまり、基準内型枠19aと回転内型枠19bとをトンネル前後方向において交互に並べて構築すると共に、基準内型枠19aに対して回転内型枠19bを所定回転角度θだけ周方向一方側または周方向他方側に交互に振って(回転して)組み付けることにより、トンネル100の向きは、それらの総和(2X1+2X2,0,2Z1+2Z2)だけ傾けられることとなる。
【0061】
ここで、所定回転角度θによる移動方向成分の一部(Y方向成分であって、図7Aから図7Cにおいては、上下方向の成分)は相殺されている。よって、トンネル100は、基準内型枠19aが組み付けられた所定角度に基づく所望の方向に向かって湾曲するように形成されると共に、回転内型枠19bが組み付けられる所定回転角度θに基づく所望の曲率Rで湾曲するように形成される。
【0062】
なお、図6Bに示すように、基準内型枠19aに対して回転内型枠19bを周方向一方側および周方向他方側へ所定回転角度θ(θ=0°)ずつ交互に振って組み付ける、すなわち、基準内型枠19aの最小幅位置と回転内型枠19bの最小幅位置とが一致するように組み付けることにより、トンネル前後方向において構築可能な最小曲率RMINから成る曲線状に並ぶ内型枠19を構築することができる。
【0063】
また、図6Cに示すように、基準内型枠19aに対して回転内型枠19bを周方向一方側および周方向他方側へ所定回転角度θ(θ=180°)ずつ交互に振って組み付ける、すなわち、基準内型枠19aの最小幅位置と回転内型枠19bの最小幅位置とが逆位相となる(基準内型枠19aの最小幅位置と回転内型枠19bの最大幅位置とが一致する)ように組み付けることにより、トンネル前後方向において直線状に並ぶ内型枠19を構築することができる。
【0064】
以上のようにして、内型枠組立装置20によってトンネル前後方向において複数段に並べて内型枠19(基準内型枠19aおよび回転内型枠19b)を構築し、形状保持装置22によって当該内型枠19の形状(真円)を保持する。
【0065】
なお、内型枠組立装置20によって構築された内型枠19がトンネル100の周壁に対して大きく偏心した場合には、コンクリートCによる覆工をトンネル100の周方向において略均一に行う、すなわち、周方向に略均一な厚みのコンクリートCを得ることができない。そこで、内型枠組立装置20は、当該偏心が小さくなるように内型枠19を構築する、すなわち、トンネル100の周壁に対する内型枠19の位置調整を行う。
【0066】
このトンネル100の周壁に対する内型枠19の位置調整は、図8に示すように、トンネル前後方向(図8においては、左右方向)において複数段に構築される内型枠19の一部を、傾斜面42(または直交面41)同士ではなく、直交面41と傾斜面42とが接触するように組み付けることによって行う。
【0067】
具体的には、基準内型枠19aをその傾斜面42が既設の回転内型枠19bにおける直交面41と接触するように組み付けた後、回転内型枠19bをその傾斜面42が基準内型枠19aの直交面41と接触するように組み付けることにより、一つの内型枠19(基準内型枠19a)によって、トンネル100の周壁に対する内型枠19の位置を調整することができる。
【0068】
もちろん、内型枠組立装置20は、上述したように回転内型枠19bを基準内型枠19aに対して所定回転角度θだけ周方向一方側および周方向他方側へ交互に振って組み付けることによっても、トンネル100の周壁に対する内型枠19の位置調整を行うことができるものである。
【0069】
次に、コンクリート打設装置23によって、スキンプレート11の内周面と内型枠19との間に形成されたコンクリート打設空間21にコンクリートCを打設する(図1参照)。つまり、スキンプレート11の内周面と内型枠19との間に配置された妻型枠51によってコンクリート打設空間21を閉塞し、この閉塞されたコンクリート打設空間21にコンクリート打設管52からコンクリートCを供給すると共に、妻型枠ジャッキ53によって妻型枠51をトンネル後方へ向けて押圧することにより、コンクリートCをコンクリート打設空間21において隙間なく充填する。その後、コンクリートCが養生および硬化し、コンクリートCによるトンネル100の覆工がなされる。
【0070】
次に、内型枠脱型装置24によって、コンクリートCが養生および硬化された範囲における内型枠19を脱型し、内型枠搬送装置25によって、脱型した内型枠19(型枠ピース31〜37)をトンネル前方(内型枠組立装置20の近傍)に搬送する。つまり、内型枠脱型装置24の脱型グリッパ24aによって、トンネル100の周壁に沿って構築された内型枠19から型枠ピース31〜37を脱型して内型枠搬送装置25の搬送台車62に載置し、この搬送台車62を搬送レール61に沿ってトンネル前方へ移動する。その後、内型枠組立装置20の組立グリッパ20aによって、搬送台車62に載置された型枠ピース31〜37を保持してトンネル100の周壁に沿って配置および既設の内型枠19に組み付けることにより、新たな内型枠19を構築する。
【0071】
この型枠ピース31〜37の搬送(搬送台車62の移動)においては、基準内型枠19aに固定された固定レール61aに対して、連結レール61bを連結することによって、搬送レール61を組み上げる。
【0072】
ここで、基準内型枠19aは、トンネル100の湾曲方向(トンネル掘削機1の掘進方向)に合わせた所定角度で組み付けられているため、同方向に湾曲する曲線状のトンネル100または直線状のトンネル100を形成する間は周方向に回転されることはなく、基準内型枠19aに固定された固定レール61aは、常に鉛直方向下側に位置(存在)する。よって、搬送レール61の組み付け作業が簡易化され、当該作業および搬送台車62の移動(型枠ピース31〜37の搬送)を容易に行うことができる。
【0073】
また、トンネル掘削機1においては、固定レール61aが基準内型枠19aの鉛直方向下側および鉛直方向上側に設けられている。よって、基準内型枠19aを組み付ける所定角度を180°回転(反転)させた場合であっても、当該固定レール61aが鉛直方向下側に位置(存在)し、搬送台車62の移動すなわち型枠ピース31〜37の搬送を行うことができる。つまり、水平面内において左右両側へ湾曲するトンネル100を形成する場合であっても、固定レール61aの着脱を行わずに、搬送レール61の組み付け作業および搬送台車62の移動(型枠ピース31〜37の搬送)を容易に行うことができる。
【0074】
以上に説明したように、本実施例に係るトンネル掘削機1によれば、内型枠19は、軸方向一端面(直交面)41と軸方向他端面(傾斜面)42とが互いに平行でないものであり、内型枠組立装置20は、内型枠19(基準内型枠19a)を所定角度で組み付ける第一の基準内型枠組立工程と、第一の基準内型枠組立工程において組み付けられた内型枠19(基準内型枠19a)に対して周方向一方側に所定回転角度θだけ回転した状態で内型枠19(回転内型枠19b)を組み付ける第一の回転内型枠組立工程と、第一の回転内型枠組立工程において組み付けられた内型枠19(回転内型枠19b)に対して内型枠19(基準内型枠19a)を所定角度で組み付ける第二の基準内型枠組立工程と、第二の基準内型枠組立工程において組み付けられた内型枠19(基準内型枠19a)に対して周方向他方側に前記所定回転角度だけ回転した状態で内型枠19(回転内型枠19b)を組み付ける第二の回転内型枠組立工程とを繰り返し、所定回転角度θを調整することによってトンネル前後方向に直線状または所望の曲率から成る曲線状に並ぶ内型枠19(基準内型枠19aおよび回転内型枠19b)を構築するものであるので、一種類の内型枠19(基準内型枠19aおよび回転内型枠19b)で、直線状のトンネル100(図6C参照)および曲率を異にする曲線状のトンネル100(図6Aおよび図6B参照)を形成することができる。
【符号の説明】
【0075】
1 トンネル掘削機
11 スキンプレート
12 カッタヘッド
13 バルクヘッド
14 チャンバ
15 カッタ駆動モータ
16 リングギヤ
17 中間ビーム
18 スクリューコンベア
19 内型枠
19a 基準内型枠
19b 回転内型枠
20 内型枠組立装置
20a 内型枠組立装置の組立グリッパ
21 コンクリート打設空間
22 形状保持装置
23 コンクリート打設装置
24 内型枠脱型装置
24a 内型枠脱型装置の脱型グリッパ
25 内型枠搬送装置
26 シールドジャッキ(推進手段)
31〜37 型枠ピース
61 内型枠搬送装置の搬送レール
61a 固定レール
61b 連結レール
62 内型枠搬送装置の搬送台車
63a 固定ボルト
63b 固定ナット
64 連結ピン
71 固定レールの連結部
72 固定レールのピン穴
81 連結レールの溝部
82 連結レールのピン穴
100 トンネル
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図7C
図8