(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-186861(P2017-186861A)
(43)【公開日】2017年10月12日
(54)【発明の名称】小水飛沫防止シートおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
E03D 9/00 20060101AFI20170919BHJP
【FI】
E03D9/00 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】書面
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-84829(P2016-84829)
(22)【出願日】2016年4月4日
(71)【出願人】
【識別番号】507340050
【氏名又は名称】井上 隆
(72)【発明者】
【氏名】井上 隆
(72)【発明者】
【氏名】古田 元信
(72)【発明者】
【氏名】木口 一誠
(72)【発明者】
【氏名】八巻 洸郁
(72)【発明者】
【氏名】情野 勝弘
【テーマコード(参考)】
2D038
【Fターム(参考)】
2D038ZA02
(57)【要約】 (修正有)
【課題】便器の壁面から小水が飛散し、衣服や壁面、床面に付着、汚染することを防止できる小水飛散防止シートを提供する。
【解決手段】便器に取り付け可能な、軟質樹脂または加硫ゴムを材質とし、基板のシート表面から突起したモノフィラメントの列と、基板のシートを貫通する貫通孔の列から構成されるシートが、小水飛散防止に極めて優れた効果を発現することを見出した。具体例として、ここでは三次元プリンターを用いて、ABS樹脂を材質とする上記小水飛散防止シートを成形し、それが優れた小水飛散防止効果を示すことを実際に確かめた。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器内に取り付け可能な、軟質樹脂または加硫ゴムを材質とする小水飛散防止シートであり、このシートが、基板のシート表面から突起したモノフィラメントと、基板のシートを貫通する貫通孔から構成されることを特徴とする、小水飛散防止シート。
【請求項2】
請求項1に記載のモノフィラメントの形状が、円柱、四角垂、三角錐、円錐、S字のいずれかであることを特徴とする、請求項1に記載の小水飛散防止シート。
【請求項3】
請求項1に記載のモノフィラメントと貫通孔が、それぞれ列を形成することを特徴とする請求項1〜2に記載の小水飛散防止シート。
【請求項4】
請求項1に記載の軟質樹脂が、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、熱可塑性エラストマー,ポリウレタン、ABS樹脂の少なくとも1種類であることを特徴とする、請求項1〜3に記載の小水飛散防止シート。
【請求項5】
モノフィラメントと基板のシート平面との角度が、30〜150°の範囲内であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の小水飛散防止シート。
【請求項6】
請求項1における軟質樹脂を、射出成形、押し出し成形、ブロー成形、熱プレス成形、シート成形、または三次元プリンター成形により請求項1〜5のいずれかに記載の小水飛散防止シートを製造する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は男子小用便器および洋式便器使用時に、小水が飛散するのを防止するために用いられる便器用の小水飛沫防止シートおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
男子小用便器、あるいは、洋式便器の小用時には、便器の壁面から小水が飛散し、衣服や壁面、床面に付着、汚染する場合が多々あった。そのために、衣服の洗濯が必要であり、また衛生的に非常に問題があった。さらに、室内の後始末、清掃にも多大の労力と費用が必要とされており、このような便器による小水飛散による汚染に対しては、その対策が強く求められていた。
【0003】
これまで小水飛散防止シートには、以下の例に示すような検討が行われてきた。
特許文献1には、洋式便器内にセット可能な紙剤からなる飛沫防止具に関して記載されている。
特許文献2には、洋式便器上端に沿って、帯板状のプロテクターを設置することにより、小水の飛散防止を図る方法が記載されている。
特許文献3には、洋式便器に尿はね防止カバーと尿はね受け座を設置して、小水のはね防止を図る方法が記載されている。
特許文献4には、洋式便器左右前面に小水飛散防止シートを取り付けることにより、小水飛散を低減させる方法が記載されている。
【0004】
上述の特許文献1〜4に記載の、洋式便器の小水飛散防止方法においては、小水飛散防止の構造が複雑であり、その製造に多大の時間と費用が必要とされる、あるいは、便器使用時ごとに,小水飛散防止装置を設置する必要がある、小水飛散防止装置を設置した状態で小用を行うのが物理的に困難であるなどの問題点が指摘されていた。
【0005】
【特許文献1】特開10−8527号公報
【特許文献2】特開平11−181858号公報
【特許文献3】特開2011−185023号公報
【特許文献4】特開2014−200663号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
男子の小用便器あるいは洋式便器の小用時に、小水が便器壁面から飛散して、衣服や周囲環境を汚染するのを防止する有効な方法が求められていたが、上述したように、いままで有効な小水の飛散防止手段が得られていなかった
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、かかる課題を解決するために,長年にわたって鋭意検討を重ねた結果、便器内に着脱可能で取りつけ可能な、軟質樹脂または加硫ゴムを材質とする小水飛散防止シートであり、基板であるシートから突起したモノフィラメントと、シートを貫通する貫通孔から構成されることを特徴とする、小水飛散防止シートを、男子小用便器あるいは洋式便器の壁面に設置することにより、上記課題を解決することを見出し、本発明を完成させた。
【0008】
すなわち、前期課題は以下の本発明により解決される。
[1]便器内に取り付け可能な、軟質樹脂または加硫ゴムを材質とする小水飛散防止シートであり、このシートが、基板のシート表面から突起したモノフィラメントと、基板のシートを貫通する貫通孔から構成されることを特徴とする、小水飛散防止シート。
[2][1]に記載のモノフィラメントの形状が、円柱、四角垂、三角錐、円錐、S字のいずれかであることを特徴とする、[1]に記載の小水飛散防止シート。
[3][1]に記載のモノフィラメントと貫通孔が、それぞれ列を形成することを特徴とする[1]〜[2]に記載の小水飛散防止シート。
[4][1]に記載の軟質樹脂が、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、熱可塑性樹エラストマー,ポリウレタン、ABS樹脂の少なくとも1種類であることを特徴とする、[1]〜[3]に記載の小水飛散防止シート。
[5]モノフィラメントと基板のシート平面との角度が、30〜150°の範囲内であることを特徴とする、[1]〜[4]のいずれかに記載の小水飛散防止シート。
[6][1]における軟質樹脂を、射出成形、押し出し成形、ブロー成形、熱プレス成形、シート成形、または三次元プリンター成形により、[1]〜[5]のいずれかに記載の小水飛散防止シートを製造する方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、男子の小用便器あるいは洋式便器の小用時に、小水が便器壁面から飛散して、衣服や周囲環境を汚染するのを防止する小水飛散防止シートを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明における小水飛散防止シートの内容を次に述べる。本発明における小水飛散防止シートは、軟質樹脂または加硫ゴムを材質とする。
本発明における飛沫防止シートの材質の好ましい軟質樹脂の例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、熱可塑性樹エラストマー,ポリウレタン、ABS樹脂などを挙げることができる。これら樹脂を含むブレンド物やアロイも本発明における軟質樹脂に含まれる。本発明における軟質樹脂のなかでも、ポリエチレン、ポリプロピレン、熱可塑性エラストマーがより好ましく用いられる。
【0011】
本発明における加硫ゴムは特に限定するものではないが、天然ゴム、イソプレンゴム、エチレンープロピレンゴム、スチレン―ブタジエンゴム、ブチルゴム、ブタジエンゴム、フッ素ゴム、アクリルゴム、シリコーンゴム、ニトリルゴムなどの加硫ゴムを挙げることができる。
本発明の小水飛散防止シートには、上述の軟質樹脂や加硫ゴムに、必要に応じて、有機充填剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、無機または有機系着色剤、防錆剤、架橋剤、発泡剤、蛍光剤、表面平滑剤、表面光沢改良剤、フッ素樹脂などの離型改良剤などの添加剤を含んでいてもよい。
【0012】
本発明における小水飛散防止シートは、基板のシート表面から突起したモノフィラメントと、基板のシート表面から裏面までを貫通する貫通孔から構成される。
本発明におけるモノフィラメントは、その形状が、三角柱、四角柱、円柱、円錐、三角錐,四角垂、S字、下部が円柱で上部がテーパ―された形状、五角柱以上の多角柱、五角垂以上の多角垂のモノフィラメントが用いられる。
これらのモノフィラメントが基板のシートに対して螺旋を形成するものも本発明に含まれる。モノフィラメントには、同一形状で、その長さの異なるモノフィラメントを用いることもできる。また、複数の形状を有するモノフィラメントも用いることができる。
これらモノフィラメントの上部が切断された形状のモノフィラメントも本発明に含まれる。
本発明の小水飛散防止シートにおいては、円柱、四角垂、三角錐、円錐、S字のモノフィラメントが好ましく用いられる。
【0013】
本発明における貫通孔は、小水飛散防止シートの基板のシートを上面から下面まで貫通する孔を意味する。この孔の形状は特に規定しないが、円形であるのが好ましい。
【0014】
本発明においては、モノフィラメントと貫通孔を適切に配置することにより、高い小水汚染防止効果が得られる。
本発明における小水飛散防止シートにおいては、基板のシートにモノフィラメントと貫通孔を互いにランダムに配置しても良いが、モノフィラメントと貫通孔がそれぞれ列を形成する小水飛散防止シートが好ましい。
ここで、小水飛散防止シートの上部から下部に向けて並ぶモノフィラメントや貫通孔の列を縦列とし、それと垂直方向に並ぶ列を横列とする。モノフィラメントや貫通孔は互いに平行な横列を形成するのがより好ましい。
【0015】
本発明では、モノフィラメントの横1列と貫通孔の横1列を、交互に配置しても良いし、モノフィラメントの横1列または複数列と、貫通孔の横1列または複数の横列を交互に配置しても良い。
【0016】
本発明における小水飛散防止シートの、好ましいモノフィラメントおよび貫通孔の配置の1例を
図2に示すが、本発明は
図2により規定されものではない。また、小水飛散防止シートを規定するパラメーターを
図3の模式図に示す。まず、
図3に基づいて、パラメーターをまず説明する。
モノフィラメントの長さをh、モノフィラメントの最大径をdとする。また、横列のモノフィラメント間の距離をL1,縦列のモノフィラメント間の距離をL2とし、モノフィラメントと基板のシートとの角度をαとする。基板のシートの厚みをtとする。また、貫通孔の最大径をcとする。
図2(a)は該小水飛散防止シートの斜視図を示し、
図2(b)は、該小水飛散防止シートの俯瞰図を示す。長さがh1とh2の正四角垂のモノフィラメントと径がcである円形の貫通孔から成る小水飛散防止シートの例から構成されている。L1=L2である。この小水飛散防止シートにおいては、モノフィラメントの横列と貫通孔の横列が等間隔で、交互に配置されている。貫通孔の中心の位置は、モノフィラメント中心の位置から横方向にシフトさせた位置にある。
【0017】
本発明においては、
dは0.1〜6mmの範囲が好ましく,0.5〜4.0mmの範囲がより好ましい。
hは5.0〜30mmの範囲が好ましく、10〜25mmの範囲がより好ましい。
基板のシート面とモノフィラメントの間の角度αは、30〜150°の範囲が好ましく、60〜120°の範囲がより好ましい。
【0018】
小水飛散防止シートにおける貫通孔の中心位置は、隣接するモノフィラメントの2つの縦列と横列に囲まれた平面内の(L1/2、L2/2)の位置にあるのが好ましい。貫通孔の中心の位置をこのようにモノフィラメント中心の位置から横方向にシフトさせることにより、小水飛散防止の効果を一層向上させることができる。
本発明における貫通孔の最大径cは0.5〜6mmの範囲が好ましく、0.8〜4mmの範囲がより好ましい。
本発明における基板のシートの厚みtは、1mm〜10mmの範囲であることが好ましく、2mm〜7mmの範囲であることがより好ましい。
【0019】
便器に小水飛散防止シートを取り付ける際には、トイレ床面に対して、モノフィラメント横列と貫通孔横列がほぼ平行になるように、小水飛散防止シートを便器に取り付ける。
【0020】
本発明における小水飛散防止シートが優れた効果を発現する機構は次のように考えられる。本発明における小水飛散防止シートを使用した場合、小用時には、小水液滴は、軟質樹脂あるいは加硫ゴムから成る柔軟なモノフィラメントによってその圧力を弱められるとともに、モノフィラメント間に大部の液滴が捕捉され、捕捉された液滴はモノフィラメントに沿って、モノフィラメントの上部から下部に流動する。これら液滴は基板シートに達し、貫通孔中に流入して、便器壁面を落下して排出口から排出される。また、一部は基板シートの表面を、モノフィラメントによって圧力を弱められながら流動、落下して、排水口に到達すると考えられる。
【0021】
一方、モノフィラメントが存在しないシートの場合には、小水の大部は、貫通孔に侵入することなく、シート表面からの反撥により、飛散して、便器周辺を汚染する。また、小水飛散防止シートが設置されていない場合には、小用時に、無機材料の便器表面上から小水液滴が大きく反撥され、大きく飛散して便器周辺を著しく汚染する。
即ち、モノフィラメント上での小水液滴の圧力低下効果、モノフィラメント間での小水液滴の捕捉効果が、小水の飛沫防止に寄与するものと考えられる。しかし、小水飛散防止シートの効果発現は必ずしもこの機構のみに限定されるものではない。
【0022】
本発明における飛沫防止シートにおいては、モノフィラメント面を有するシート面の裏側に、このシートを便器壁面に固着させるための少数の突起部を有することができる。
この突起部により、シートを便器壁面へ着脱可能に固定することができる。またこの突起部により便器壁面とシートの間に空間を確保でき、貫通孔を通過した小水を、便器壁面に沿って、下方の排水口にスムーズに落下させることができる。
この突起部の材質には、小水飛散防止シートの材質と同様の軟質樹脂あるいは加硫ゴムが好ましく用いられる。突起部はこれら軟質樹脂あるいは加硫ゴムの両面粘着テープ、片面をシート上に融着した片面粘着テープ、吸盤などを用いることができる。
【0023】
これら突起部の数は、便器の形状に合わせて変えることができるが、上記の突起部の目的に適合するように突起部をシート裏面に設置しなければならない。
本発明における小水飛沫防止シートは、便器壁面から容易に着脱可能である。また、該シートを洗浄して再使用することも可能であり、さらに、用済後には、燃焼などにより、容易に破棄処分することができる。
【0024】
図4(a)は男子小用便器に、本発明における長方形の小水飛散防止シートを取り付けた模式図の例を示す。また、
図4(b)には、洋式便器に、本発明における飛沫防止シートを取り付けた模式図の例を示す。模式図中の白色部が小水飛散防止シートに該当する。本発明における小水飛散防止シートは、便器の形状に合わせて、そのサイズや形状を変えることができる。
【0025】
本発明における小水飛沫防止シートは、効果を損なわない範囲で任意に製造してよいが、
原料が軟質樹脂の場合には、射出成形、押し出し成形、ブロー成形、熱プレス成形、シート成形、または三次元プリンター成形により製造することができる。原料が加硫ゴムの場合には、未加硫ゴムを金型成形して、あるいは加硫ゴムを切削加工して製造することができる。また、静電気的植毛法により、シート表面上にモノフィラメントを固定することもできる。なかでも、迅速かつ安価で製造可能なことから、射出成形で軟質樹脂を成形することが好ましい。
【0026】
本発明における小水飛散防止シートは、安価な軟質樹脂や加硫ゴムを原料とすることから、安価なものである。該小水飛沫防止シートは、便器から外して洗浄して再使用することができる。また、この小水飛散防止シートは樹脂やゴムが材質であることから、廃棄時にも容易に焼却処理することができる。
【0027】
本発明における小水飛沫防止シートは、小水飛散防止効果が極めて優れており、トイレ室内を衛生的に保つことができ、衣服の汚染も防止できることから、男子小用便器、洋式便器などへ向けて幅広く適用することが可能である。また、本発明における小水飛散防止シートは安価であり、着脱可能であり、また、廃棄処分も容易である。
【実施例】
【0028】
以下、翻案の実施例について説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
実施例おいては、小水飛散防止シート模式図を作図するとともに、図に基づいてパラメーターを入力して三次元プリンターで小水飛散防止シートを作製した。
(1)小水飛散防止シートの評価
【0029】
(i)小水飛散試験
小水飛散実験の内容を
図5に基づいて説明する。先端に穴をあけてストローを差し込んだ500cc容量のペットボトル(図中A)中に、青色水性絵具で着色した水200ccを充填する。ペットボトルには空気穴があいている。
図5において、床面から高さ(図中H)が55cmの位置に該ペットを置く。
床面上でのペットボトルの先端の位置と25cmの間隔をあけた位置(図中L)にシートの中心部があるように、試験する小水飛散防止シートを設置する。床面上には白色ペーパーを置く。ここでは、飛散防止シートと床面との角度αを30°に設定した。着色水を充填したペットボトルAを手で傾け、ストローから着色水飛沫Bを小水飛散防止シートの中心部に落下させる。
【0030】
床に置いた白色ペーパー上に着色水が飛散する。
図6に、四角形で示した小水飛散防止シートからの着色水の分布状態の模式図を示す。図中の矢印はシートの傾斜方向(縦方向とする)を示す。床に置いた白色ペーパー上に飛散する着色水の縦方向の最大飛散距離R1と横方向の最大飛散距離R2を測定して、それらを小水飛散の評価の尺度とした。
(2)実施例1〜2および比較例1〜2
【0031】
実施例1
モノフィラメント列と貫通孔から構成される、用いた小水飛散防止シートの斜視図を
図7(a)に示す。この斜視図では、正四角垂のモノフィラメントの横列と円形の貫通孔の横列が交互に配置されている。ここで、
図3のパラメーターを適用すると、L1=L2=Lである。隣接するモノフィラメントの2つの縦列と2つの横列が形成する基板のシート上の(L/2,L/2)の位置に、径がcである円形の貫通孔が位置する。モノフィラメントの長さは、h1とh2であり、それらが交互に配置されている。
次に、
図7(a)におけるパラメーターに、以下の数値を入力して、三次元プリンター成形に適用した。
h1=50mm、h2=30mm、正四角垂底辺:3mm×3mm、L=5mm、c=3mm、シート厚みt:5mm、成形体の高さ上限:25mm
これらのパラメーターを入力して、MakerBot社製三次元プリンターReplicator 2Xを使用し、設定温度240℃でABS樹脂を用いて小水飛散防止シートを作製した。得られた成形体の全体像の写真を
図7(b)に示す。
また、得られた成形体を用いた、小水飛散試験の結果を表1に示す。
【0032】
実施例2
実施例2の小水飛散防止シートの斜視図を
図8(a)に示す。この斜視図では、正四角垂のモノフィラメントの横列と円形の貫通孔の横列が交互に配置されている。ここで、L1=L2=Lである。隣接するモノフィラメントの2つの縦列と2つの横列が形成する基板のシート上の(L/2,L/2)の位置に、径がcである円形の貫通孔が位置する。モノフィラメントの長さは同一でhである。
図7(a)のパラメーターに以下の数値を入力して、三次元プリンター成形に適用した。
h=25mm、正四角垂底辺:10mm×10mm、L=5mm、c=3mm、シート厚み:5mm、成形体の高さ上限:25mm
これらのパラメーターを入力して、実施例1と同様にして小水飛散防止シートを作製した。得られた成形体の全体像の写真を
図8(b)に示す。
得られた成形体を用いた、小水飛散試験の結果を表1に示す。
【0033】
比較例1
小水飛沫防止シートの代わりに、径が10cmの白磁の円形平皿を用いた以外は、実施例1と同様にして小水飛散試験を行った。小水飛散試験の結果を表1に示す。
【0034】
比較例2
小水飛沫防止シートの代わりに、熱プレス成形した、ABS樹脂製の、サイズが10cm×10cm,厚さが5mmのシートを用いて、実施例1と同様にして小水飛散試験を行った。
小水飛散試験の結果を表1に示す。
【0035】
実施例1〜2および比較例1〜2の小水飛散試験の結果から、本発明における小水飛散防止シートが、極めて優れた小水飛散防止効果を発現することは明らかである。
【0036】
【表1】
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明における小水飛沫防止シートは、小水飛散防止効果が極めて優れており、トイレ室内を衛生的に保つことができ、衣服の汚染も防止できる。また、本発明における小水飛散防止シートは安価であり、便器に着脱可能であり、廃棄処分も容易であることから、男子小用便器や洋式便器に幅広く適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】本発明における小水飛散防止シートのモノフィラメントの例である。
【
図2】本発明における小水飛散防止シートの実施例を示す(a)斜視図および(b)俯瞰図である。
【
図3】本発明における小水飛散防止シートの説明図である。
【
図4】本発明における小水飛散防止シートの使用状態を示す説明図である。
【
図7】(a)本発明における実施例1の小水飛散防止シートの斜視図である。(b)本発明における実施例1の小水飛散防止シートの三次元プリンター成形品である。
【
図8】(a)本発明における実施例2の小水飛散防止シートの斜視図である。(b)本発明における実施例2の小水飛散防止シートの三次元プリンター成形品である。