(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-186959(P2017-186959A)
(43)【公開日】2017年10月12日
(54)【発明の名称】ブロワ
(51)【国際特許分類】
F02B 63/02 20060101AFI20170919BHJP
F04D 29/62 20060101ALI20170919BHJP
F02B 63/00 20060101ALI20170919BHJP
E01H 1/08 20060101ALI20170919BHJP
【FI】
F02B63/02
F04D29/62 E
F02B63/00 Z
E01H1/08 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2016-76378(P2016-76378)
(22)【出願日】2016年4月6日
(71)【出願人】
【識別番号】000112934
【氏名又は名称】ブイアイブイエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080746
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 武嗣
(72)【発明者】
【氏名】菱田 匡
【テーマコード(参考)】
2D026
3H130
【Fターム(参考)】
2D026AC01
3H130AA13
3H130AB06
3H130AB12
3H130AB26
3H130AB42
3H130AC08
3H130AC09
3H130AC22
3H130BA13Z
3H130BA95Z
3H130BA97Z
3H130CA23
3H130DA02Z
3H130DD08X
3H130DG03X
3H130DJ06X
3H130EA03Z
3H130ED05Z
(57)【要約】
【課題】作業者の負担を軽減し、かつ、エンジンの騒音や振動が作業者に与える影響を低減し得るブロワを提供する。
【解決手段】ハンドル1と左右一対の車輪2,2を有する手押し車5を備え、手押し車5に、送風用のファン4と、ファン4を回転駆動するためのエンジン3が搭載され、ファン4の吐出口4Aに連通連結されると共に先端部6Aにエアー吹出口8を有する送風管6が、手押し車5の前方に突出状に設けられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンドル(1)と左右一対の車輪(2)(2)を有する手押し車(5)を備え、該手押し車(5)に、送風用のファン(4)と、該ファン(4)を回転駆動するためのエンジン(3)が搭載され、
上記ファン(4)の吐出口(4A)に連通連結されると共に先端部(6A)にエアー吹出口(8)を有する送風管(6)が、上記手押し車(5)の前方に突出状に設けられていることを特徴とするブロワ。
【請求項2】
上記送風管(6)は、硬質のパイプから成り、先端下傾状姿勢を保持するよう上記手押し車(5)のフレーム(12)に固着され、上記エアー吹出口(8)が地面近傍に配設されている請求項1記載のブロワ。
【請求項3】
使用状態で、全体の重心(G)が、上記車輪(2)(2)の接地点(P)より前方寄りに配設され、上記ハンドル(1)に上方から押圧力(F)を付与して、上記手押し車(5)を走行操作可能として構成されている請求項1又は2記載のブロワ。
【請求項4】
上記ハンドル(1)は、上記手押し車(5)に角度調整自在に取着されている請求項1,2又は3記載のブロワ。
【請求項5】
上記手押し車(5)は、上記ファン(4)を背面側から支持する支持板(15)を有している請求項1,2,3又は4記載のブロワ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路、公園、庭、工場等のゴミや落ち葉を吹き飛ばして集め、清掃するのに用いられるブロワに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、
図4に示すように、ファン48とこれを回転駆動するためのエンジン47とを有するブロワユニット46を、作業者49が背負う背負フレーム45に搭載し、使用者49が背負って運びながらゴミや落ち葉等を吹き飛ばして清掃する背負式ブロワが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−83816号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の背負式ブロワは、ブロワユニット46及び背負フレーム45の荷重を作業者49が直接支えなければならなかった。また、作業者49は、送風管50を、その蛇腹管部50Aの可撓性を利用して左右に大きく振りながら周囲のゴミや落ち葉等を吹き飛ばして清掃を行う必要があり、腕がすぐに疲れてしまっていた。即ち、作業者49の負担が大きく、すぐに疲れてしまう為、作業性が悪いという欠点があった。しかも、エンジン47の騒音や振動が作業者49に伝わり易く、作業者49が大きな音を連続的に聞くことで耳鳴りを起こしたり、振動が頭部に響いたりして、作業者49の耳や脳などに悪影響を与え、健康被害が生じる虞があった。
【0005】
そこで、本発明は、作業者の負担を軽減し、かつ、エンジンの騒音や振動が作業者に与える影響を低減し得るブロワを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るブロワは、ハンドルと左右一対の車輪を有する手押し車を備え、該手押し車に、送風用のファンと、該ファンを回転駆動するためのエンジンが搭載され、上記ファンの吐出口に連通連結されると共に先端部にエアー吹出口を有する送風管が、上記手押し車の前方に突出状に設けられているものである。
【0007】
また、上記送風管は、硬質のパイプから成り、先端下傾状姿勢を保持するよう上記手押し車のフレームに固着され、上記エアー吹出口が地面近傍に配設されているものである。
また、使用状態で、全体の重心が、上記車輪の接地点より前方寄りに配設され、上記ハンドルに上方から押圧力を付与して、上記手押し車を走行操作可能として構成されているものである。
また、上記ハンドルは、上記手押し車に角度調整自在に取着されている。
また、上記手押し車は、上記ファンを背面側から支持する支持板を有しているものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明のブロワによれば、ファンとエンジンの大きな荷重を手押し車によって支持して、作業者の負担を軽減できる。手押し車を小さな力で走行させることができ、かつ、手押し車をハンドルにて軽く左右に振ることで、簡単に送風管を左右に振ることが可能となって、広い範囲でゴミや落ち葉等を吹き飛ばして容易に清掃することができる。エンジンの騒音や振動が作業者に与える影響を低減して、健康被害を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施の一形態を示した斜視図である。
【
図3】本発明のブロワの使用状態を示す側面図である。
【
図4】従来の背負式ブロワの使用状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施の形態を示す図面に基づき本発明を詳説する。
図1〜
図3に示すように、本発明のブロワは、ハンドル1と左右一対の車輪2,2を有する手押し車5を備え、手押し車5に、送風用のファン4と、ファン4を回転駆動するためのエンジン3が搭載されている。
手押し車5は、側面視L字状に形成されたフレーム12を有し、このフレーム12上に、ファン4とエンジン3が載置されている。フレーム12の上端部12Aには、角度調整機構10を介して、ハンドル1が角度調整自在に取着されている。ハンドル1は、連結杆13と、連結杆13の先端に設けられた把手11とを、有している。フレーム12の下部には車輪支持部材を設け、車輪支持部材に左右一対の車輪2,2を回転自在に枢着している。フレーム12の中間部には、ファン4を背面側から支持する支持板15が立設(垂設)され、支持板15とファン4は、複数のボルト・ナット結合によって固定されている。フレーム12の前端部12Bには、(不使用状態で
図3に示す姿勢を保つための)スタンド7が付設されている。
【0011】
ファン4は、前後一対のケース半体14A,14Bから成るケーシング14と、ケーシング14に回転自在に内設される送風扇(図示省略)を有し、ケーシング14の背面側に開口して外気を吸込むための吸引口9が設けられ、かつ、左側部に空気を噴出するための吐出口4Aが形成されている。ケーシング14は、ラジアル外方向に突出する複数の組立用突片16を有し、組立用突片16の各々にボルトを挿通してナットにより締結されている。
エンジン3は、ファン4の内部に設けられた送風扇に駆動軸を連結して回転駆動する。なお、エンジン3は、液体燃料の供給を受けて作動する周知の内燃エンジンであって、手押し車5のフレーム12に、エンジン3の燃料タンク17が搭載されている。エンジン3は、電磁モータに置き換えても良く、この場合、手押し車5にはバッテリーを搭載するのが好ましい。
【0012】
ファン4の吐出口4Aには、前方下方向に空気を吹出すように形成された送風管6が連通接続されている。
送風管6は、先端部6Aに前方開口状のエアー吹出口8を有し、かつ、基端部6Bが吐出口4Aに連通連結されて、手押し車5の前方下方向に(傾斜状に)突出状に設けられている。
送風管6は、硬質のパイプから成り、先端下傾状姿勢を保持するよう手押し車5のフレーム12に固着され、エアー吹出口8が地面近傍に配設されている。
送風管6の先端部6Aは、先端に向けて次第に幅が拡大しつつ厚みが縮小するように形成されて、先端縁が扁平状である。従って、エアー吹出口8が左右方向(水平方向)に細長い長円形状に形成されている。送風管6の長手方向中間部6Cとフレーム12の前端部12Bが、連結支持部材18によって連結され、送風管6が先端下傾状姿勢を保持している。連結支持部材18は、スタンド7と一体状にフレーム12の前端部12Bに固着されている。
【0013】
上述した本発明のブロワの使用方法(作用)について説明する。
図3に示すように、エンジン3を起動させてから、ハンドル1に上方から押圧力Fを付与して、送風管6の先端部6A、及び、スタンド7を地面から少し浮かせて、手押し車5を走行操作可能な状態とする。送風管6には、エンジン3とファン4によって空気が勢いよく送り込まれ、先端部6Aのエアー吹出口8から空気を吹出す。エアー吹出口8は、左右方向の幅広い角度に地面近傍から空気を吹出し、能率よくゴミや落ち葉等を吹き飛ばして清掃を行う。
この使用状態で、全体の重心Gが、車輪2,2の接地点Pより前方寄りに配設されている為、ハンドル1に上方から少し体重を掛けつつ小さな押圧力Fを付与することで、テコの原理を利用して、前方に突出状の送風管6を持ち上げることが可能である。即ち、作業者は、手押し車5やエンジン3などの荷重を支持する必要がなく、ほとんど力を必要としない。作業者はハンドル1に手を置いて自重を掛けるだけで、手押し車5を走行操作することができ、長時間の使用でも疲れることなく、落ち葉やゴミ等を吹き飛ばして、清掃作業を行える。
【0014】
ハンドル1を左右に操作することで、送風管6を左右に揺動させて、より広い範囲の清掃を行うことが可能である。図を見れば明らかなように、ハンドル1の把手11と車輪2の距離が、車輪2から送風管6の先端部6Aまでの距離の1/3倍〜1/5倍となっているため、ハンドル1を左右に少し移動させるだけで、送風管6の先端部6Aが大きく振られることとなる。
また、ハンドル1を操作する作業者から、手押し車5に搭載されたエンジン3及びファン4の距離が十分に離れている為、騒音や振動の影響を受けにくく、耳鳴りや振動が頭に響くことなどを防止できる。支持板15も防音作用を成している。
ハンドル1は角度調整が可能であるので、作業者の身長が低い場合は、2点鎖線で示すようにハンドル1を低く下げ、作業者の身長が高い場合は、ハンドル1を高く上げて、適宜調節することで、作業者の身長に対応する。
【0015】
なお、本発明のブロワは、
図1に示すように、ハンドル1に、エンジン3のスターター19や緊急停止ボタン20を設けても良い。さらに、平面的に見て、エンジン3とファン4を90°回転して搭載するも好ましい。そのように搭載すれば、送風管6の基端部6Bを(
図1のように)複雑に弯曲させずに、シンプルな形状として、送風管6の全体が簡素で製作し易くなる。
【0016】
以上のように、本発明に係るブロワは、ハンドル1と左右一対の車輪2,2を有する手押し車5を備え、該手押し車5に、送風用のファン4と、該ファン4を回転駆動するためのエンジン3が搭載され、上記ファン4の吐出口4Aに連通連結されると共に先端部6Aにエアー吹出口8を有する送風管6が、上記手押し車5の前方に突出状に設けられているので、ファン4とエンジン3の大きな荷重を手押し車5によって支持して、作業者の負担を軽減できる。手押し車5を小さな力で走行させることができ、かつ、手押し車5をハンドル1にて軽く左右に振ることで、簡単に送風管6を左右に振ることが可能となって、広い範囲でゴミや落ち葉等を吹き飛ばして容易に清掃することができる。エンジン3の騒音や振動が作業者に与える影響を低減して、健康被害を防止できる。
【0017】
また、上記送風管6は、硬質のパイプから成り、先端下傾状姿勢を保持するよう上記手押し車5のフレーム12に固着され、上記エアー吹出口8が地面近傍に配設されているので、エアー吹出口8から地面近傍へ空気を吹出し、能率よくゴミや落ち葉等を吹き飛ばして清掃を行うことができる。
【0018】
また、使用状態で、全体の重心Gが、上記車輪2,2の接地点Pより前方寄りに配設され、上記ハンドル1に上方から押圧力Fを付与して、上記手押し車5を走行操作可能として構成されているので、作業者は、手押し車5やエンジン3などの荷重を支持する必要がなく、テコの原理を利用して、前方に突出状の送風管6を持ち上げることができ、ほとんど力を必要としない。作業者は、ハンドル1に手を置いて上方から少し体重を掛けつつ小さな押圧力Fを付与することで、手押し車5を走行操作することができ、長時間の使用でも疲れることなく清掃作業を行うことができる。
【0019】
また、上記ハンドル1は、上記手押し車5に角度調整自在に取着されているので、ハンドル1を低く下げたり高く上げたり適宜調節して作業者の身長に対応できる。
【0020】
また、上記手押し車5は、上記ファン4を背面側から支持する支持板15を有しているので、ファン4を縦置きにして確実に支持でき、送風管6を左右に振る操作を容易にすることができる。
【符号の説明】
【0021】
1 ハンドル
2 車輪
3 エンジン
4 ファン
4A 吐出口
5 手押し車
6 送風管
6A 先端部
8 エアー吹出口
12 フレーム
15 支持板
G 重心
P 接地点
F 押圧力