【実施例1】
【0023】
以下、本発明の実施例1を図面に基づき説明する。
図1において、21は、側壁22と底部23と蓋体24からなる円筒形の撹拌容器で、例えば、1000リットルのセメントスラリーを練り合わせることの出来る容量を有するものとする。この撹拌容器21の内部中心部には、中軸28と外軸29が設けられ、それぞれ内羽根31と外羽根32が連結され、かつ中軸28と外軸29との間は歯車30で結合され、前記内羽根31と外羽根32は、互いに逆方向に回転して撹拌するものとする。前記蓋体24には、セメント供給口25とベントナイト供給口26と水供給口27が設けられ、それぞれ計量されたセメントとベントナイトと水が供給される。実施例1では、セメントスラリーを練り合わせることの出来る撹拌容器21を例示したが、収容物は、セメントスラリーに限られず、また、撹拌容器も撹拌以外の容器であってもよく、この例に限られるものではない。
【0024】
前記底部23には、前記中軸28と外軸29をずらした位置に、長方形の排出口33が設けられる。この排出口33の下面には、この排出口33を開閉する第1シャッター34aと第2シャッター34bからなるシャッター34が水平方向に移動自在に設けられている。またこのシャッター34の両側に駆動軸46が1本ずつ平行に、かつ、回転自在に配置される。これらの駆動軸46には、前記第1シャッター34aの両側に一体に設けられた第1スライダー35aと、第2シャッター34bの両側に一体に設けられた第2スライダー35bが摺動自在に嵌合している。
前記駆動軸46は、円形軸で、この駆動軸46の外周に、
図7及び
図8に示すように、約15〜30度の角度で交差する螺旋状のクロス溝47が2箇所に所定長で形成されている。これらのクロス溝47は、前記第1シャッター34aの往復用と、前記第2シャッター34bの往復用であり、この例では、クロス溝47は、駆動軸46の1回転で2回交差し、これらのクロス溝47の両端位置には、後述する揺動駒38の嵌合爪体40が向きを変えるための反転溝部48が形成されている。
【0025】
前記第1スライダー35aと第2スライダー35bは、同一構造であるから、同一の符号35をもって
図5、
図6及び
図9に基づき説明する。なお、
図9における駆動軸46の外周のクロス溝47は、図示省略してある。
これらの図において、スライダー35は、シャッター34に固着され、このスライダー35の駆動軸孔36に前記駆動軸46が貫通し、かつ、この駆動軸孔36の下側のガイド軸孔37にガイド軸54が貫通している。前記スライダー35には、前記駆動軸孔36と直交方向に貫通して段付き孔57が穿設され、この段付き孔57に前記揺動駒38が揺動自在に遊嵌している。この揺動駒38は、円盤形をなし、下面に前記クロス溝47に嵌合する嵌合爪体40が設けられ、上面中心部に突起部42が突出し、この突起部42のやや外側に弧状の揺動凹溝41が形成されている。この揺動駒38には、駒保持体39が被せられ、この駒保持体39の下面中心部の係合穴44に前記突起部42が遊嵌し、駒保持体39の上から貫通して下面から突出した揺動軸体43が前記揺動凹溝41に遊嵌し、この駒保持体39は、固定ねじ45でスライダー35に固着されている。
【0026】
前記駆動軸46のクロス溝47は、
図7及び
図8に示すように、前記嵌合爪体40が遊嵌するような溝幅を有する。この嵌合爪体40は、前記クロス溝47の交差箇所では、直進し、後述する反転溝部48では、方向を反転することのできる細長形状とする。この嵌合爪体40の下面は、クロス溝47の底部の曲面と略一致する弧状となっている。また、クロス溝47の両端部は、嵌合爪体40がクロス溝47の側壁に接しながら往動から復動に向きを変えることができるように湾曲した反転溝部48が形成されている。この揺動駒38の嵌合爪体40が向きを変えるときに突起部42が係合穴44に嵌合し、揺動凹溝41に揺動軸体43が遊嵌して揺動する。
【0027】
前記2本の駆動軸46は、
図1及び
図4に示すように、中間位置に設けたモーター49の回転を左右のタイミングベルト58とプーリー50を介在して、シャッター34の開閉に拘らず同一方向に回動する。
図9において、シャッター34の両外側面には、移動ローラー52が取り付けられ、撹拌容器21に一体に設けられたレール51に載りながら移動する。
【0028】
以上のような構成による作用を説明する。
(1)撹拌容器21の排出口33をシャッター34(第1シャッター34aと第2シャッター34b)で閉じた状態で、水を計量し水供給口27から投入し、ベントナイトを計量しベントナイト供給口26から投入し、セメントを計量してセメント供給口25から投入する。
(2)投入された水とベントナイトとセメントを内羽根31と外羽根32で一定時間撹拌して練り合わせてスラリーバッチを形成する。
(3)スラリーバッチが形成されたらシャッター34を開放する。
【0029】
シャッター34の開放動作を詳しく説明する。
図3(b)のように、第1シャッター34aが閉じた状態では、揺動駒38の嵌合爪体40が
図7に示すクロス溝47の右端の反転溝部48の位置にある。また、第2シャッター34bが閉じた状態では、揺動駒38の嵌合爪体40がクロス溝47の左端の反転溝部48の位置にある。
シャッター34(第1シャッター34aと第2シャッター34b)の開放のため、駆動軸46を回転する。
第1シャッター34aにおける揺動駒38の嵌合爪体40は、
図7の点線方向のクロス溝47に沿って移動する。
図7は、駆動軸46の展開図であるため、嵌合爪体40が移動するように記載しているが、実際は、嵌合爪体40は、点線方向のクロス溝47に嵌合した状態を維持したまま駆動軸46の回転で左方向に移動する。
【0030】
同様に、第2シャッター34bにおける揺動駒38の嵌合爪体40は、
図7の実線方向のクロス溝47に沿って移動する。
図7は、駆動軸46の展開図であるため、嵌合爪体40が移動するように記載しているが、実際は、嵌合爪体40は、実線方向のクロス溝47に嵌合した状態を維持したまま駆動軸46の回転で右方向に移動する。
このようにして、嵌合爪体40の移動に伴い第1シャッター34aが第1スライダー35aと一体に左方向に移動し、第2シャッター34bが第2スライダー35bと一体に右方向に移動して両開きで開放する。
【0031】
前記第1スライダー35aの嵌合爪体40がクロス溝47の左端の反転溝部48まで移動すると、シャッター第1シャッター34aは、
図3(a)のように、完全に開放状態となる。このとき、シャッター第2シャッター34bも同様にして右方向に移動して完全に開放状態となる。
シャッター34の開放に伴い撹拌容器21内のスラリーバッチは、徐々に排出口33から自重と内羽根31と外羽根32の撹拌により2次容器53に落下する。
シャッター34が完全に開放して、スラリーバッチが完全に落下したら駆動軸46をシャッター34の開放時と同じ方向に回転する。すると、揺動駒38の嵌合爪体40は、反転溝部48で向きを変え、第1スライダー35aは、
図7における実線方向に、第2スライダー35bは、
図7における点線方向に移動する。それぞれの嵌合爪体40がクロス溝47の反転溝部48に達すると、第1シャッター34aと第2シャッター34bは互いに密着してシャッター34は閉じる。
以上のように、駆動軸46が同一方向に回転することでシャッター34は、開閉する。
【0032】
前記
図1及び
図3に示す実施例では、シャッター34は、両開きとしたが、片開きであってもよい。
【実施例2】
【0033】
前記実施例1では、シャッター34とスライダー35を一体に連結して、水平方向にスライドしながら開閉するようにしたが、
図10に示すように、スイングする方向に開閉する、いわゆる観音開きとすることもできる。
この
図10に示す例では、スライダー35(第1スライダー35aと第2スライダー35b)にラック55(第1ラック55aと第2ラック55b)を連結し、シャッター34(第1シャッター34aと第2シャッター34b)にピニオン56(第1ピニオン56aと第2ピニオン56b)を連結して、ラック55(第1ラック55aと第2ラック55b)とピニオン56(第1ピニオン56aと第2ピニオン56b)を噛み合わせれば、スライダー35(第1スライダー35aと第2スライダー35b)の水平移動がラック55(第1ラック55aと第2ラック55b)とピニオン56(第1ピニオン56aと第2ピニオン56b)を介してシャッター34(第1シャッター34aと第2シャッター34b)を回転移動とすることが出来る。このような観音開きとすることで、シャッター34(第1シャッター34aと第2シャッター34b)に加えられるスラリーバッチの荷重によりシャッター34(第1シャッター34aと第2シャッター34b)は、よりスムーズに、かつ、短時間で開放し、スラリーバッチを排出できる。
閉じるときは、スライダー35(第1スライダー35aと第2スライダー35b)は、無負荷になるので、容易に閉じることができる。
【0034】
前記実施例1及び2では、撹拌容器21の収容物は、スラリーバッチとしたが、これに限られるものではなく、液体その他の流動体であってもよい。撹拌容器21内の収容物が、流動体であれば、本発明は、撹拌容器21の側壁22に排出口33を設けた場合とすることも出来る。