【解決手段】固定鉄心8、可動鉄心9、及び励磁コイル7を有するアクチュエータ部4と、弁シート13が当接離間する弁座21が形成された弁部5とを備える電磁弁2と、励磁コイル7によって発生する磁束を検出する磁気センサ3とを備えるセンサ付き電磁弁1において、磁気センサ3は、電磁弁2の側面であって、固定鉄心8の下端面8aに対応する位置に設置されていること。
固定鉄心、可動鉄心、及び励磁コイルを有するアクチュエータ部と、弁体が当接離間する弁座が形成された弁部とを備える電磁弁と、前記励磁コイルによって発生する磁束を検出する磁気センサとを備えるセンサ付き電磁弁において、
前記磁気センサは、前記電磁弁の側面であって、前記固定鉄心の下端面に対応する位置に設置されていること、
を特徴とするセンサ付き電磁弁。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のセンサ付き電磁弁100では、流体の開け閉めの確認のためには、並列に表示ランプを取り付け、コイルに通電されたかどうか確認する程度であった。そのため、電磁弁自体が故障しても通電のための表示ランプは点滅するため、故障を確認できない恐れがあった。
また、実際に流体の開け閉めで問題となるのは可動鉄心103の作動である。しかし、従来のセンサ付き電磁弁100では、弁開状態、弁閉状態、半開状態を検知するのみであって、可動鉄心103自体の作動を検出していない。そのため、流体の開け閉めを確実に検出することは困難だった。
【0005】
本発明は、上記問題点を解決するためのものであり、電磁弁の故障の確認を行うと同時に、流体の開け閉めを確実に検出することができるセンサ付き電磁弁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のセンサ付き電磁弁は、次のような構成を有している。
(1)固定鉄心、可動鉄心、及び励磁コイルを有するアクチュエータ部と、弁体が当接離間する弁座が形成された弁部とを備える電磁弁と、励磁コイルによって発生する磁束を検出する磁気センサとを備えるセンサ付き電磁弁において、磁気センサは、電磁弁の側面であって、固定鉄心側端面に対応する位置に設置されていることを特徴とする。
(2)(1)に記載のセンサ付き電磁弁において、磁気センサは、漏れ磁束を検出することにより、可動鉄心の動きを検出することを特徴とする。
(3)(1)または(2)に記載のセンサ付き電磁弁において、磁気センサは、漏れ磁束の変化が最大となる位置に設置されていることを特徴とする。
【0007】
(4)(1)乃至(3)のいずれか1つに記載のセンサ付き電磁弁において、磁気センサは、第1磁気センサであって、第1磁気センサとは別の第2磁気センサを有し、第2磁気センサは、電磁弁の側面であって、固定鉄心に対応する位置に設置されていること、を特徴とする。
(5)(4)に記載のセンサ付き電磁弁において、第1磁気センサと第2磁気センサの漏れ磁束の差分を増幅することによって、可動鉄心の動きを検出すること、を特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
上記特徴を有する本発明のセンサ付き電磁弁は、以下のような作用効果を奏する。
(1)固定鉄心、可動鉄心、及び励磁コイルを有するアクチュエータ部と、弁体が当接離間する弁座が形成された弁部とを備える電磁弁と、励磁コイルによって発生する磁束を検出する磁気センサとを備えるセンサ付き電磁弁において、磁気センサは、電磁弁の側面であって、固定鉄心側端面に対応する位置に設置されていることを特徴とするので、磁気センサが固定鉄心側端面の可動鉄心の作動に伴う漏れ磁束の方向が変化する位置に配置されているため、電気的信号で可動鉄心の動きを検出することができる。電磁弁が故障した場合、すぐに故障の確認をすることができる。また、流体の開け閉めを確実に検出することができる。
電磁弁においては、励磁コイル、固定鉄心、可動鉄心により磁気回路が構成され、励磁コイルのへの通電により、磁気回路の磁束が増大する。漏れ磁束とは、磁気回路から外部(電磁弁の側面に対して垂直方向)に漏れる磁束をいう。本発明者は、可動鉄心が移動しているときの磁束ベクトルと、可動鉄心が停止しているときの磁束ベクトルとが大きく相違していること、特に、漏れ磁束の方向が大きく変化することを確認した。
【0009】
(2)(1)に記載のセンサ付き電磁弁において、磁気センサは、漏れ磁束を検出することにより、可動鉄心の動きを検出することを特徴とするので、電磁弁が故障した場合、すぐに故障の確認をすることができる。また、流体の開け閉めを確実に検出することができる。
【0010】
(3)(1)または(2)に記載のセンサ付き電磁弁において、磁気センサは、漏れ磁束の変化が最大となる位置に設置されていることを特徴とするので、電磁弁が故障した場合、すぐに故障の確認をすることができる。また、流体の開け閉めを確実に検出することができる。
【0011】
(4)(1)乃至(3)のいずれか1つに記載のセンサ付き電磁弁において、磁気センサは、第1磁気センサと第2磁気センサから成り、第1磁気センサは、電磁弁の側面であって、固定鉄心側端面に対応する位置に設置されていること、第2磁気センサは、電磁弁の側面であって、固定鉄心に対応する位置に設置されていること、を特徴とするので、第1磁気センサは固定鉄心側端面の漏れ磁束の変化が最大となる位置に配置され、第2磁気センサは、動作時に漏れ磁束が変化する位置に配置されるため、電気的信号で可動鉄心の動きを検出することができる。電磁弁が故障した場合、すぐに故障の確認をすることができる。また、流体の開け閉めを確実に検出することができる。
【0012】
(5)(4)に記載のセンサ付き電磁弁において、第1磁気センサと第2磁気センサの漏れ磁束の差分を増幅することによって、可動鉄心の動きを検出すること、を特徴とするので、第1磁気センサと第2磁気センサにより、それぞれの漏れ磁束の変化を計測し、その2つの磁気センサにおける漏れ磁束の変化の差分を増幅することにより、可動鉄心が動いた時と動いていない時とで明確になり、電磁弁が故障した場合、すぐに故障の確認をすることができる。また、流体の開け閉めを確実に検出することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明のセンサ付き電磁弁1について、図面を参照しながら以下に詳細に説明する。
<第1実施形態>
(センサ付き電磁弁の構成)
第1実施形態に係るセンサ付き電磁弁1の構造について
図1から
図4を用いて説明する。
図1は、センサ付き電磁弁1の斜視図を示す。
図2は、センサ付き電磁弁1の正面図を示す。
図3は、
図2のAA断面図で、閉弁状態を示し、
図4は、開弁状態を示す。
センサ付き電磁弁1は、
図1に示すように、電磁弁2と、磁気の大きさや向きを検知する磁気センサ3から構成される。電磁弁2は、
図3に示すように、アクチュエータ部4と弁部5を備える。アクチュエータ部4には、固定鉄心8と可動鉄心9が中空状のコイルボビン10に同軸上に設けられている。励磁コイル7がコイルボビン10の周りに巻回されている。固定鉄心8の一端面8a(固定鉄心8の可動鉄心側端面8aともいう。以下、単に固定鉄心8の下端面8aという。)は、可動鉄心9の吸着面となっており、この吸着面が可動鉄心9の他端面と対向するように同軸上に配設されている。固定鉄心8の外径は、コイルボビン10の内径とほぼ同じ径になっている。可動鉄心9の下端にはゴム製の弁シート13が嵌め込まれている。励磁コイル7の周囲は、ヨーク18、19が配設され、ヨーク18、19はモールド6に覆われている。
【0015】
弁部5は、アクチュエータ部4と連結する連結部材14と、流路22を備える流路ブロック体17を有する。流路ブロック体17の中央には、弁シート13と当接または離間する弁座21が形成されている。弁座21の内周部には弁孔16が形成されている。また、流路ブロック体17には、弁孔16と連通する流路22が形成されている。
可動鉄心9の下端は外周に鍔部9aが形成されている。鍔部9aには、弁シート13を弁座21方向に付勢するバネ15の一端が当接されている。バネ15の他端は、連結部材14の内側に当接されている。
図3では、励磁コイル7に通電されていないので、可動鉄心9は、固定鉄心8と離間し、弁シート13は、バネ15の付勢力により弁座21に当接し、流路22と弁孔16は遮断されている。一方、励磁コイル7に通電すると、可動鉄心9が固定鉄心8に吸引されるため、
図4に示すように、弁シート13は弁座21から離間し、流路22と弁孔16は連通される。
【0016】
次に、本発明の主要な部分である磁気センサ3について説明する。磁気センサ3には、磁気抵抗素子を用いている。
図1に示すように、電磁弁2の側面と端子箱23と接する面には、L字型の取付板12が設置されている。取付板12の上には、センサ基板11が設置されている。センサ基板11の上には、磁気センサ3が取り付けられている。磁気センサ3は、
図3に示すように、電磁弁2の側面であって、固定鉄心8の下端面8aに対応する位置に設置されている。固定鉄心8の下端面8aに対応する位置とは、
図3の点線矢印で示す漏れ磁束Mの変化が最大となる位置である。
すなわち、磁気センサ3は、固定鉄心8と可動鉄心9が
図3の位置にあるとき、固定鉄心8と可動鉄心9の間の空間を含む位置に対応して設置されている。可動鉄心9が吸引され固定鉄心8に近づき
図4の位置にあるとき、固定鉄心8と可動鉄心9が当接しているため、固定鉄心8と可動鉄心9の間にあった空間において、漏れ磁束Mの方向が最も変化する。
【0017】
ここで、電磁弁2においては、励磁コイル7、固定鉄心8、可動鉄心9により磁気回路Iが構成され、励磁コイル7のへの通電により、磁気回路Iの磁束が増大する。漏れ磁束Mとは、磁気回路Iから外部(電磁弁2の側面に対して垂直方向)に漏れる磁束をいう。
磁気センサ3は、磁気回路Iからの漏れ磁束Mを検出することにより、可動鉄心9の動きを検出する。磁気センサ3は、
図2に示すように、磁気センサ3は、水平線Hから角度θ1時計回りの方向に回転して設置されている。本実施形態では、θ1は約22.5°に設定している。磁束の方向に対して傾けることにより、磁束の変化が捉えやすくなる。
【0018】
(センサ付き電磁弁の作用効果)
次に、センサ付き電磁弁1の作用効果について
図5から
図8を用いて説明をする。
図5は、電磁弁が正常であるときの漏れ磁束Mの変化と出力電圧Eを示したグラフであり、
図6は、
図5のX部の横軸拡大図である。
図7は、電磁弁が故障状態にあるとき(可動鉄心9が上がった状態のままのとき)の漏れ磁束Mの変化と出力電圧Eを示したグラフである。
図8は、電磁弁が故障状態にあるとき(可動鉄心9が上がっていない状態のとき)の漏れ磁束Mの変化と出力電圧Eを示したグラフである。
図5から
図8のグラフのうち、下段は、漏れ磁束Mの変化を示し、上段は、磁気センサ3による漏れ磁束Mの出力電圧Eを示す。横軸は時間Tを示す。
【0019】
まず、正常に可動鉄心9が作動しているときを説明する。励磁コイル7に通電すると、正常に作動しているとき、漏れ磁束Mは、
図6に示すように、上昇した(M1)後、いったん低下して(M2)、再び上昇する(M3)。そのとき、漏れ磁束Mの出力電圧Eは、すぐに下る(E1−E2)が、再び上昇し(E3)、T1時点で、出力電圧Eは下側(E4)で安定する。比較回路に閾値磁束を設定することで、漏れ磁束Mの方向の変化を出力電圧Eで読み取る。1度閾値磁束を超えた漏れ磁束Mが、再び閾値磁束より低下することにより(M2)、漏れ磁束Mの方向が大きく変化したことを確認することができる。
【0020】
次に、可動鉄心9が正常に作動しないとき、すなわち、可動鉄心9が吸着位置付近で移動しないときを説明する。励磁コイル7に通電した後、可動鉄心9が正常に作動せず、可動鉄心9が吸着位置付近で移動しないとき(可動鉄心9が上がった状態のままのとき)、
図7に示すように、漏れ磁束Mが2段階で高くなる。すなわち、いったん立ち上り(M5)、緩やかに上昇し、再度閾値磁束を超えるように立ち上がり(M6)、その後安定する(M7)。出力電圧Eも、1度しか変化しない(E5−E6)。
さらに、可動鉄心9が正常に作動しないとき、すなわち、可動鉄心9が着座位置付近で移動しないときを説明する。励磁コイル7に通電しても、可動鉄心9が着座位置付近で移動しないとき(可動鉄心9が上がっていない状態のとき)、
図8に示すように、漏れ磁束Mの方向は1度しか変化せず(M8−M9)、閾値磁束も1度しか超えない。可動鉄心9が吸着位置付近で移動しないときと比較すると、最初の立ち上り後、緩やかに上昇することなく最終的な漏れ磁束になり、最終的な漏れ磁束M9は、M7より低い。出力電圧Eも、1度しか変化しない(E7−E8)。
【0021】
正常時と異常時は、閾値磁束を1度超えるか、2度超えるかにより判断することができる。磁気センサ3により、励磁コイル7に通電後、一定時間経過すると、漏れ磁束Mが閾値を2度超えた場合、漏れ磁束Mの変化を確認することができ、正常に作動していると判断することができる。
一方、漏れ磁束Mが閾値を1度しか超えない場合、出力電圧Eの変化を確認することができず、故障であると判断することができる。
【0022】
以上、説明したように、本発明のセンサ付き電磁弁1によれば、
(1)固定鉄心8、可動鉄心9、及び励磁コイル7を有するアクチュエータ部4と、弁シート13が当接離間する弁座21が形成された弁部5とを備える電磁弁2と、励磁コイル7によって発生する磁束を検出する磁気センサ3とを備えるセンサ付き電磁弁1において、磁気センサ3は、電磁弁2の側面であって、固定鉄心8の下端面8aに対応する位置に設置されていることを特徴とするので、磁気センサ3が固定鉄心8の下端面8aの可動鉄心9の作動に伴う漏れ磁束Mの方向が変化する位置に配置しているため、電気的信号で可動鉄心9の動きを検出することができる。電磁弁2が故障した場合、すぐに故障の確認をすることができる。また、流体の開け閉めを確実に検出することができる。
【0023】
(2)(1)に記載のセンサ付き電磁弁1において、磁気センサ3は、漏れ磁束Mを検出することにより、可動鉄心9の動きを検出することを特徴とするので、電磁弁2が故障した場合、すぐに故障の確認をすることができる。また、流体の開け閉めを確実に検出することができる。
【0024】
(3)(1)または(2)に記載のセンサ付き電磁弁1において、磁気センサ3は、漏れ磁束Mの変化が最大となる位置に設置されていることを特徴とするので、電磁弁2が故障した場合、すぐに故障の確認をすることができる。また、流体の開け閉めを確実に検出することができる。
【0025】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態のセンサ付き電磁弁1の構成について、
図9及び
図10を用いて説明する。
図9は、第2実施形態に係るセンサ付き電磁弁の正面図を示す。
図10は、
図9のBB断面図で、閉弁状態を示す。
第2実施形態に係るセンサ付き電磁弁1は、磁気センサが2つある点で第1実施形態と異なる。なお、以下の説明において、第1実施形態に係るセンサ付き電磁弁1と同じ構造には、同じ引用番号を付すことにより、その説明を省略する。
【0026】
第2実施形態に係るセンサ付き電磁弁1について、主要な部分である2つの磁気センサについて説明する。磁気センサには、磁気抵抗素子を用いている。
図9及び
図10に示すように、第2実施形態に係るセンサ付き電磁弁1では、磁気センサ3(以下、第1磁気センサ3という)と第2磁気センサ24を有する。第1磁気センサ3は、電磁弁2の側面であって、固定鉄心8の下端面8aに対応する位置に設置されている。固定鉄心8の下端面8aに対応する位置とは、
図10の点線矢印で示す漏れ磁束Nの変化が最大となる位置である。第1磁気センサ3の
図9及び
図10の上方には、第2磁気センサ24が設置されている。第2磁気センサ24は、固定鉄心8に対応する位置に設置されている。固定鉄心8に対応する位置とは、漏れ磁束Nの変化が及ばない位置であり、故障時も通常時も同様の漏れ磁束Nの変化を捉える。第1磁気センサ3と第2磁気センサ24は、内部の磁気抵抗パターンの配置方向が異なっており、これにより磁界の方向変化の差をより顕著化させている。
【0027】
次に、センサ付き電磁弁1の作用効果について
図11から
図13を用いて説明をする。
図11は、電磁弁2が正常であるときの漏れ磁束N方向の変化と出力電圧Eを示したグラフを示す。
図12は、
図11のY部の横軸拡大図を示す。
図13は、可動鉄心9が上がった状態のままのときの漏れ磁束N方向の変化と出力電圧Eを示したグラフを示す。
図11から
図13のグラフのうち、下段は、漏れ磁束Nの変化を示し、上段は、磁気センサ3による漏れ磁束Nの出力電圧Eを示す。横軸は時間Tを示す。
【0028】
ここで、漏れ磁束Nの変化の値のとり方は以下の通りである。すなわち、第1磁気センサ3と第2磁気センサ24により、それぞれの漏れ磁束Nの変化を計測する。次に、差動増幅回路(CMRR:Common-Mode Rejection Ratio)により、第1磁気センサ3と第2磁気センサ24における漏れ磁束Nの差分を例えば50倍に増幅し、波形を得る。波形変化の上下変化を確認することで、可動鉄心9が動いた時と動いていない時とで明確になる。2つの磁気センサにより漏れ磁束Nの差分を計ることでより明確な波形を得ることができる。
【0029】
まず、正常に可動鉄心9が作動しているときの検出方法の一例を説明する。励磁コイル7に通電すると、正常に作動しているとき、漏れ磁束Nは、
図12に示すように、上昇した(N1)後、いったん低下して(N2)、再び上昇する(N3)。そのとき、漏れ磁束Nの出力電圧Eは、すぐに下る(E1−E2)が、再び上昇し(E3)、T1時点で、出力電圧Eは下側(E4)で安定する。比較回路に閾値磁束を設定することで、漏れ磁束Nの方向の変化を出力電圧Eで読み取る。1度閾値磁束を超えた漏れ磁束Nが、再び閾値磁束より低下することにより(N2)、漏れ磁束Nの方向が大きく変化したことを確認することができる。
【0030】
さらに、第1磁気センサ3の内部の磁気抵抗パターンと、第2磁気センサ24の内部の磁気抵抗パターンの配置方向をそれぞれ異なる位置で設置することにより、例えば、外部磁界からノイズとして受けた場合に、2つの磁気センサの双方にノイズが上乗せされるが、それらを差分によりノイズ除去できるため、1つの磁気センサで計測するよりも磁界の方向変化がより顕著となる。その後、通電によるコイル発生磁界と可動鉄心作動時の変化磁界の差を増幅し、波形を得る。第1磁気センサ3と第2磁気センサ24を用いてノイズを除去しているので、得られた信号が小さい場合でも、例えば、50倍に増幅できるため、必要な信号として大きな値の信号を得ることができる。また、絶対値で判断するのではなく、変化のアルゴリズムで判断することも可能で、電磁弁側の部品のバラつき、設置位置の誤差、並列電磁弁の作動磁界、外部からの強電界、異常磁界などの波形への影響による誤った判断が少なくなる。また作動増幅であるため、同様に外部磁界の影響を受けても相殺されるため、波形変化の影響が少ない。なお、電磁弁とは電気的な導通はないため、電源ラインのノイズの影響は受けない。また、磁界を利用するため、腐食劣化部分がなく、電磁弁2の保護構造が強固である。さらに、電磁弁の電源とは全く別の電源でセンサの作動が可能である。
【0031】
次に、可動鉄心9が正常に作動しないとき、すなわち、可動鉄心9が吸着位置付近で移動しないときを説明する。励磁コイル7に通電した後、可動鉄心9が正常に作動せず、可動鉄心9が吸着位置付近で移動しないとき(可動鉄心9が上がった状態のままのとき)、
図13に示すように、漏れ磁束Nが2段階で高くなる。すなわち、いったん立ち上り(N5)、緩やかに上昇し、再度閾値磁束を超えるように立ち上がり(N6)、その後安定する(N7)。出力電圧Eも、1度しか変化しない(E5−E6)。なお、図示しないが、可動鉄心9が正常に作動せず、上がっていない状態の時も漏れ磁束Nの方向は1度しか変化せず、閾値磁束も1度しか超えない。
【0032】
正常時と異常時の判断の一例として、閾値磁束を1度超えるか、2度超えるかにより判断することができる。第1磁気センサ3と第2磁気センサ24により、励磁コイル7に通電後、一定時間経過すると、漏れ磁束Nが閾値を2度超えた場合、漏れ磁束Nの変化を確認することができ、正常に作動していると判断することができる。
一方、漏れ磁束Nが閾値を1度しか超えない場合、出力電圧Eの変化を確認することができず、故障であると判断することができる。
【0033】
以上、説明したように、本発明のセンサ付き電磁弁1によれば、
(4)(1)乃至(3)のいずれか1つに記載のセンサ付き電磁弁1において、磁気センサは、第1磁気センサ3と第2磁気センサ24から成り、第1磁気センサ3は、電磁弁2の側面であって、固定鉄心8の下端面8aに対応する位置に設置されていること、第2磁気センサ24は、電磁弁2の側面であって、固定鉄心8に対応する位置に設置されていること、を特徴とするので、第1磁気センサ3は固定鉄心8の下端面8aの漏れ磁束Nの変化が最大となる位置に配置され、第2磁気センサ24は、漏れ磁束Nの変化が及ばない位置に配置されるため、電気的信号で可動鉄心9の動きを検出することができる。電磁弁2が故障した場合、すぐに故障の確認をすることができる。また、流体の開け閉めを確実に検出することができる。
【0034】
(5)(4)に記載のセンサ付き電磁弁1において、第1磁気センサ3と第2磁気センサ24の漏れ磁束の差分を増幅することによって、可動鉄心9の動きを検出すること、を特徴とするので、第1磁気センサ3と第2磁気センサ24により、それぞれの漏れ磁束の変化を計測し、その2つの磁気センサにおける磁束の変化の差分を増幅することにより、可動鉄心9が動いた時と動いていない時とで明確になり、電磁弁2が故障した場合、すぐに故障の確認をすることができる。また、流体の開け閉めを確実に検出することができる。
【0035】
なお、本実施形態は単なる例示にすぎず、本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に、その要旨を逸脱しない範囲内で様々な改良、変形が可能である。
例えば、本実施形態では、磁気センサ3は固定鉄心8の下端面8aに対応する位置に設置されているが、端面8aに対応する位置でなくても、磁気センサ3を設置する方向等により漏れ磁束Mを検出することもできる。