(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-187235(P2017-187235A)
(43)【公開日】2017年10月12日
(54)【発明の名称】ガス燃焼式加熱器
(51)【国際特許分類】
F24H 1/20 20060101AFI20170919BHJP
【FI】
F24H1/20 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2016-76974(P2016-76974)
(22)【出願日】2016年4月7日
(71)【出願人】
【識別番号】000126632
【氏名又は名称】株式会社アタゴ製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100107906
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 克彦
(72)【発明者】
【氏名】大友 昇
(72)【発明者】
【氏名】柏瀬 毅
【テーマコード(参考)】
3L122
【Fターム(参考)】
3L122AA02
3L122AA34
3L122AB30
(57)【要約】
【課題】
被加熱液体をより効率良く加熱することが可能なガス燃焼式加熱器を提供する。
【解決手段】
ガス燃焼式加熱器50は、燃料ガスを燃焼させ、燃焼ガスを生成する燃焼部10、熱交換部20、及び燃焼部10と熱交換部20を連結する連結部30を備えて構成される。燃焼部10から連結部30を経由して熱交換部20へ至る燃焼ガスの通過経路は、連結部30を介してコの字状に折り返されており、燃焼部10、熱交換部20及び連結部30のそれぞれが周囲の被加熱液体に直接接するように構成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料ガスを燃焼させ、燃焼ガスを生成する燃焼部(10)と、
熱交換部(20)と、
前燃焼部(10)と前記熱交換部(20)を連結する連結部(30)と、を備え、
前記燃焼部(10)から前記連結部(30)を経由して前記熱交換部(20)へ至る燃焼ガスの通過経路が、前記連結部(30)を介して折り返されており、前記燃焼部(10)、前記熱交換部(20)及び前記連結部(30)のそれぞれが被加熱液体に直接接するように構成されたことを特徴とするガス燃焼式加熱器。
【請求項2】
前記熱交換部(10)は、一端が前記連結部(30)に接続された燃焼ガス通過管(21)と、燃焼ガス通過管(21)内に配置されたコルゲートフィン(22)と、を備えることを特徴とする請求項1に記載のガス燃焼式加熱器。
【請求項3】
前記燃焼ガス通過管(21)の他端に接続された排気ヘッダー(41)を備えることを特徴とする請求項2に記載のガス燃焼式加熱器。
【請求項4】
前記燃焼部(10)及び前記熱交換器(20)の外周部に接続された取り付けフランジ(42)を備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のガス燃焼式加熱器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス燃焼式加熱器に関し、特にタンク内に貯留された水等の液体を加熱するためのガス燃焼式加熱器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来例のガス燃焼式加熱器100の断面構造図を
図5に示す。このガス燃焼式加熱器100は、基本的には、外筒101と、外筒101内に挿入され、燃焼室となる内筒102とで二重管式の熱交換部を形成し、液体貯留タンク200内に貯留された液体と燃焼ガスとの熱交換により液体を加熱するようにしたものである。
【0003】
詳しくは、燃料ガス導入管103が、内筒102の後端部から挿入されており、燃料ガス導入管103の先端部がガスバーナー104になっている。内筒102の先端部には、ガスバーナー104で生成される燃焼ガスを内筒102から外筒101に通過させるための複数の通気孔105が開口されている。また、外筒101の外周部には、ガス燃焼式加熱器100の本体を液体貯留タンク200に取り付けるための取り付けフランジ106が接合されている。さらに、取り付けフランジ106の外側に位置する外筒101の後端部には排気管107が接続されている。
【0004】
このガス燃焼式加熱器100によれば、外筒101と内筒102で熱交換部が構成され、内筒102内で生成される燃焼ガスが、内筒102の先端部で放射状にUターンし、外筒101を通過して戻り、低温化した排気ガスとして外部に排気される。したがって、燃焼ガスの通過経路は、同軸で放射状となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013−174397号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来例のガス燃焼式加熱器100は、コンパクトに構成できる反面、燃焼室である内筒102が被加熱液体に直接接していないため、被加熱液体への伝熱が不十分であるという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の課題に鑑み、本発明によるガス燃焼式加熱器は、燃料ガスを燃焼させ、燃焼ガスを生成する燃焼部(10)と、熱交換部(20)と、前燃焼部(10)と前記熱交換部(20)を連結する連結部(30)と、を備え、前記燃焼部(10)から前記連結部(30)を経由して前記熱交換部(20)へ至る燃焼ガスの通過経路が、前記連結部(30)を介して折り返されており、前記燃焼部(10)、前記熱交換部(20)及び前記連結部(30)のそれぞれが被加熱液体に直接接するように構成されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明のガス燃焼式加熱器によれば、燃焼部、熱交換部及び連結部のそれぞれが被加熱液体に直接接するように構成されているので、被加熱液体をより効率良く加熱することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態におけるガス燃焼式加熱器の側面の透視図である。
【
図2】
図1のA−A線で切断した断面端面図である。
【
図3】本発明の実施形態におけるガス燃焼式加熱器を取り付けたタンクの側面図である。
【
図4】本発明の実施形態におけるガス燃焼式加熱器を取り付けたタンクの上面図である。
【
図5】従来例におけるガス燃焼式加熱器を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態におけるガス燃焼式加熱器50を
図1乃至
図4に基づいて説明する。
図1は、ガス燃焼式加熱器50の側面の透視図である。
図2は、
図1のA−A線で切断した断面端面図であり、ガスバーナー11(燃焼面)を臨む方向に見た図である。
【0011】
図示のように、ガス燃焼式加熱器50は、燃料ガスを燃焼させ、燃焼ガスを生成する燃焼部10、熱交換部20、及び燃焼部10と熱交換部20を連結する連結部30を備えて構成される。燃焼部10、熱交換部20及び連結部30は熱伝導率が高い金属、例えば銅、アルミニウム、ステンレス等を用いて形成される。
【0012】
そして、燃焼部10から連結部30を経由して熱交換部20へ至る燃焼ガスの通過経路は、連結部30を介してコの字状に折り返されており、燃焼部10、熱交換部20及び連結部30のそれぞれが周囲の被加熱液体に直接接するように構成されている。
【0013】
換言すれば、燃焼部10と熱交換部20は、連結部30にそれぞれ連結される形で一体化されており、燃焼ガスの流れは、互いに並行する燃焼部10と熱交換部20の各中心軸上に沿ってUターンする形で形成される。連結部30が直方体で形成される場合には、燃焼部10と熱交換部20は連結部30を構成する直方体の同じ面に連結される。なお、
図1中の矢印で燃焼ガスの流れを示してある。
【0014】
このガス燃焼式加熱器50によれば、燃焼部10、熱交換部20及び連結部30のそれぞれが被加熱液体に直接接するように構成されているので、被加熱液体をより効率良く加熱することが可能になる。
【0015】
次に、ガス燃焼式加熱器50の各部の構成を詳しく説明する。燃焼部10は、直方体等の箱体の中に、ガスバーナー11を収納して構成される。連結部30は、燃焼ガスの通過路となる直方体等の箱体からなる。燃焼部10の先端開放部は、連結部30に溶接等により接続される。燃焼部10の後端中央部からは燃料ガス導入管12が挿入されている。燃焼部10に挿入された燃料ガス導入管12の先端には、セラミックバーナー等のガスバーナー11が接続されている。このガスバーナー11の上面が燃焼面になっている。
【0016】
また、燃焼部10の後端下部から点火ロッド13が挿入されており、点火ロッド13の先端の点火プラグ14がガスバーナー11の端部上に延びている。さらに、燃焼部10の後端上部から点火検出ロッド15が挿入され、点火センサー16がガスバーナー11の端部上に延びている。ガスバーナー11が収納された燃焼部10は燃焼室となっており、この燃焼室は連結部30の箱内空間に連通している。
【0017】
熱交換部20は、熱媒である燃焼ガスが通過する、複数の燃焼ガス通過管21を互いに平行になるように固定し、各燃焼ガス通過管21の外壁面が被加熱液体と直接接するように構成される。燃焼ガス通過管21は、被加熱液体との接触面積を増大させ、かつコンパクト化を図るために扁平管で形成することが好ましい。この例では、燃焼ガス通過管21の本数は6本であるが、その数は適宜増減することができる。
【0018】
また、
図2に示すように、各燃焼ガス通過管21の内部には、熱交換性能を高めるためにコルゲートフィン22等のフィンを設けることが好ましい。コルゲートフィン22は、アルミニウム等の金属からなる薄板を波状に折り曲げて形成し、コルゲートフィン22の山と谷の先端部を燃焼ガス通過管21の内壁に当接させ、半田付けもしくはロウ付けして固定したものである。これらの燃焼ガス通過管21の一端は、溶接等により連結部30に共通接続される。
【0019】
一方、これらの燃焼ガス通過管21の他端は、溶接等により、排気口40を有した排気ヘッダー41に接続されている。この場合、連結部30は熱交換部20の入口ヘッダーを構成し、排気ヘッダー41は熱交換部20の出口ヘッダーを構成している。
【0020】
また、燃焼部10及び熱交換器20の後端外周部には、ガス燃焼式加熱器50の本体を液体貯留タンク300に取り付けるための取り付けフランジ42が溶接等により接合されている。
【0021】
図3は、ガス燃焼式加熱器50を取り付けた液体貯留タンク300の側面図、
図4はその上面図である。なお、図示の便宜上、
図3のガス燃焼式加熱器50は
図2のものを、
図4のガス燃焼式加熱器50は
図1のものをそれぞれ縮小して描いてある。
【0022】
図示のように、ガス燃焼式加熱器50は、取り付けフランジ42を介して、液体貯留タンク300の側面に取り付けられる。この場合、取り付けフランジ42を境にして、それよりタンク内側の燃焼部10、熱交換器20及び連結部30が被加熱液体に直接接することになる。
【0023】
この状態で、燃焼部10で外部から導入された燃料ガスを燃焼させると、燃焼ガスは燃焼部10から連結部30を経由して熱交換部20をUターンして通過し、低温化した排気ガスとして、排気ヘッダー41の排気口40から排出される。
【0024】
この時、高温燃焼ガスから低温の被加熱液体に伝熱され、燃焼の継続とともに、被加熱液体に生じる自然対流熱伝達作用により連続的に被加熱液体が加熱される。
【0025】
図3、
図4の矢印は被加熱液体の自然対流を表している。そして、前述のように、燃焼部10、熱交換部20及び連結部30のそれぞれが被加熱液体に直接接しているので、被加熱液体をより効率良く加熱することができる。
【符号の説明】
【0026】
10 燃焼部
11 ガスバーナー
12 燃料ガス導入管
13 点火ロッド
14 点火プラグ
15 点火検出ロッド
16 点火センサー
20 熱交換部
21 燃焼ガス通過管
22 コルゲートフィン
30 連結部
40 排気口
41 排気ヘッダー
42 取り付けフランジ
50 ガス燃焼式加熱器
300 液体貯留タンク