【解決手段】車両に利用されるインフラ構造物の検査を行うインフラ検査装置200であって、インフラ構造物を利用している車両100の運転支援に用いられる運転支援情報を計測する計測部201と、運転支援情報を車両100に送信する送信部205と、車両100によって計測されたインフラ構造物の情報を車両100から受信する受信部206と、インフラ構造物の情報を用いてインフラ構造物を検査する検査部207と、を備える。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0012】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、請求の範囲を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0013】
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。
【0014】
(実施の形態)
[インフラ検査システムの構成]
まず、インフラ検査システムの構成について、
図1を参照しながら説明する。
図1は、実施の形態におけるインフラ検査システムの概略図である。
図1では、対象車両10Aは、トンネル30を走行中にセンサ11を用いてトンネル30の壁面31を計測し、計測結果をサーバ20に送信する。一方、トンネル30に設けられたセンサ21は、トンネル30を走行中の複数の車両10(対象車両10A、前方車両10B、後方車両10C)の情報を計測する。センサ21による計測結果は、対象車両10Aに送信される。
【0015】
対象車両10Aは、運転支援機能を有する。対象車両10Aは、例えば、衝突防止(自動ブレーキ)、等速走行(オートクルーズ)、レーンキーピングアシスト、完全自動運転などの機能を有する。
【0016】
センサ11は、対象車両10Aに搭載されており、外部の状態を計測するためのセンサである。具体的には、センサ11は、例えば、ステレオカメラ、レーザ距離計、ソナーなどである。例えば、センサ11は、対象車両10Aの近傍に位置する前方車両10B又は後方車両10Cと対象車両10Aとの距離を検知する。また例えば、センサ11は、トンネル30内の壁面、路面、又は、機器(例えばランプ、送風機など)の画像を撮影する。
【0017】
サーバ20は、トンネル30の検査を行う情報処理装置である。具体的には、サーバ20は、例えばクラウドサーバである。サーバ20は、対象車両10A及びセンサ21と通信ネットワークを介して接続されている。
【0018】
センサ21は、トンネル30に設置されており、トンネル30を走行中の複数の車両10の情報を計測する。具体的には、センサ21は、例えば車両の速度を検知する速度センサ及び車両のナンバープレートを撮影するカメラである。
【0019】
トンネル30は、インフラ構造物の一例であり、車両が利用するインフラストラクチャである。具体的には、トンネル30は、土中を通る構造物であり、車両がその内部を走行する。
【0020】
[インフラ検査システムの機能構成]
次に、インフラ検査システムの機能構成について、
図2を参照しながら説明する。
図2に示すインフラ検査システム1000は、車両100とインフラ検査装置200とを備える。以下に、インフラ検査システム1000に含まれる各装置の詳細な構成について説明する。
【0021】
[車両の構成]
まず、車両100の構成について説明する。車両100は、運転支援機能を有する車両であり、
図1における対象車両10Aに相当する。車両100は、受信部101と、判定部102と、計測部103と、送信部104と、運転支援部105と、を備える。
【0022】
受信部101は、例えば無線通信アダプタにより構成され、無線通信(例えば無線LAN(Local Area Network))によりインフラ検査装置200から各種情報を受信する。受信部101は、後述する計測部103がインフラ構造物の情報を計測した場合に、車両100の運転支援に用いられる運転支援情報(第2運転支援情報)をインフラ検査装置200から受信する。また、受信部101は、インフラ構造物の情報を計測する計測位置の指示をインフラ検査装置200から受信してもよい。
【0023】
運転支援情報は、例えば、インフラ構造物を利用している1以上の車両の各々の位置情報及び速度情報のうちの少なくとも一方を含む。運転支援情報は、さらに、1以上の車両の各々の識別情報を含んでもよい。また、運転支援情報は、車線の境界線の位置情報、地図情報、及び、交通規制情報を含んでもよい。
【0024】
判定部102は、インフラ構造物の情報の計測を許可するか否かを判定する。具体的には、判定部102は、例えば車両100の運転者からの入力に基づいてインフラ構造物の情報の計測を許可するか否かを判定する。例えば、車両に搭載されたタッチスクリーン(図示せず)に表示された許可ボタンを運転者がタッチした場合に、判定部102は、インフラ構造物の情報の計測を許可すると判定する。また、判定部102は、計測部103の能力に基づいて、インフラ構造物の情報の計測を許可するか否かを判定してもよい。具体的には、判定部102は、計測部103がインフラ構造物を計測する能力を有する場合には、インフラ構造物の情報の計測を許可し、計測部103がインフラ構造物を計測する能力を有しない場合には、インフラ構造物の情報の計測を禁止してもよい。
【0025】
また、判定部102は、インフラ検査装置200から受信した運転支援情報に基づいて、インフラ構造物の情報の計測を許可するか否かを判定してもよい。具体的には、判定部102は、インフラ検査装置200から受信した第2運転支援情報が、計測部103によって計測される第1運転支援情報を代替できる場合に、インフラ構造物の情報の計測を許可し、第2運転支援情報が第1運転支援情報を代替できない場合に、インフラ構造物の情報の計測を禁止してもよい。つまり、車両100の運転支援能力が低下しない場合に、インフラ構造物の情報の計測を許可されてもよい。
【0026】
また、判定部102は、車両100がインフラ構造物の計測のためのサービスに加入している場合に、インフラ構造物の情報の計測を許可してもよい。このサービスでは、例えば、インフラ構造物の計測に対するインセンティブとして、高速道路の利用料金の割引が与えられる。
【0027】
計測部103は、
図1におけるセンサ11に相当し、車両100が利用しているインフラ構造物の情報と車両100の運転支援に用いられる運転支援情報とを計測する。つまり、計測部103は、運転支援情報を計測するための第1計測モードと、インフラ構造物の情報を計測するための第2計測モードとを含む複数の計測モードを選択的に実行する。第1計測モードは、運転支援のための通常の計測モードであり、第2計測モードは、インフラ構造物の検査のための特別な計測モードである。なお、第2計測モードでは、インフラ構造物の情報に加えて運転支援情報も計測されてもよい。また、複数の計測モードは、第1計測モード及び第2計測モード以外の計測モードを含んでもよい。例えば、複数の計測モードは、完全自動運転のための計測モード及び衝突防止のための計測モードなど運転支援に応じた計測モードが含まれてもよい。
【0028】
例えば、計測部103が衝突防止のために車両100から所定の方向範囲において距離を計測する距離計(例えばレーザ距離計)である場合、第1計測モードでは、計測部103の計測方向範囲(所定の方向範囲)の中心方向を車両100の正面と略一致させ、第2計測モードでは、計測部103の計測方向範囲の中心方向を車両100の正面からインフラ構造物の方向に向ける。その結果、第1計測モードでは、車両100の正面に位置する物体と車両100との距離が計測され、第2計測モードでは、主として、車両100とインフラ構造物との距離が計測される。車両の正面とは、車両が前進かつ直進しているときの進行方向である。
【0029】
また例えば、計測部103が全自動運転のために車両100の全周囲において距離を計測する距離計(例えばレーザ距離計)である場合、第1計測モードでは、全周囲において計測精度を略均一にし、第2計測モードでは、インフラ構造物の方向における計測精度を他の方向における計測精度よりも高くする。つまり、第2計測モードでは、インフラ構造物の方向の計測粒度を細かくし、他の方向の計測粒度を粗くする。
【0030】
計測部103は、判定部102によってインフラ構造物の情報の計測が許可された場合に、インフラ構造物の情報を計測する。一方、判定部102によってインフラ構造物の情報の計測が許可されなかった場合に、計測部103は、車両100の運転支援に用いられる運転支援情報(第1運転支援情報)を計測する。つまり、計測部103は判定部102によってインフラ構造物の情報の計測が許可された場合に第2計測モードを実行し、判定部102によってインフラ構造物の情報の計測が許可されなかった場合に第1計測モードを実行する。
【0031】
また、計測部103は、受信部101がインフラ検査装置200から計測位置の指示を受けた場合に、当該計測位置におけるインフラ構造物の情報を計測する。例えば、インフラ構造物内のある機器の位置が計測位置として指示された場合、計測部103は、当該計測位置における当該機器の情報を計測する。
【0032】
送信部104は、例えば無線通信アダプタにより構成され、無線通信によりインフラ検査装置200に各種情報を送信する。具体的には、送信部104は、計測部103がインフラ構造物の情報を計測した場合に、当該インフラ構造物の情報をインフラ検査装置200に送信する。なお、送信部104は、インフラ構造物を利用中にインフラ構造物の情報をインフラ検査装置200に送信してもよいし、インフラ構造物を利用後にインフラ構造物の情報をインフラ検査装置200に送信してもよい。例えば、送信部104は、車両100がトンネル内を走行中に情報を送信してもよいし、車両100がトンネルから出た後に情報を送信してもよい。
【0033】
運転支援部105は、計測部103が運転支援情報を計測した場合に、計測部103が計測した運転支援情報(第1運転支援情報)に基づいて車両100の運転支援を行う。また、運転支援部105は、計測部103がインフラ構造物の情報を計測した場合に、受信部101が受信した運転支援情報(第2運転支援情報)に基づいて車両100の運転支援を行う。なお、計測部103がインフラ構造物の情報とともに運転支援情報(第1運転支援情報)も計測したときには、運転支援部105は、計測部103が計測した第1運転支援情報と受信部101が受信した第2運転支援情報との両方に基づいて車両100の運転支援を行ってもよい。
【0034】
運転支援とは、車両100の加速、操舵及び制動の少なくとも1つを自動制御することにより、運転者による車両100の運転を支援することをいう。
【0035】
なお、運転支援部105は、受信部101がインフラ検査装置200から計測位置の指示を受けた場合に、当該計測位置に基づいて車両100の運転支援を行ってもよい。つまり、運転支援部105は、車両100の運転支援を行って車両100を計測位置の情報の計測に適した位置に到達させてもよい。具体的には、例えば指示された計測位置が、車両100が現在走行している第1レーンの隣の第2レーン側の壁面である場合、運転支援部105は、車両100を第1レーンから第2レーンに移動させてもよい。
【0036】
[インフラ検査装置の構成]
次に、インフラ検査装置200の構成について説明する。インフラ検査装置200は、車両100に利用されるインフラ構造物の検査を行う。インフラ検査装置200は、
図1におけるサーバ20とセンサ21とに相当する。インフラ検査装置200は、計測部201と、計測能力判定部202と、機能判定部203と、選別部204と、送信部205と、受信部206と、検査部207と、指示部208と、を備える。
【0037】
計測部201は、
図1におけるセンサ21に相当し、インフラ構造物を利用している車両100(例えば、
図1の対象車両10A)の運転支援に用いられる運転支援情報(第2運転支援情報)を計測する。例えば、計測部201は、インフラ構造物を利用している1以上の車両(例えば、
図1の複数の車両10)の情報を計測する。具体的には、計測部201は、例えば、インフラ構造物を利用している1以上の車両の画像を撮影し、当該画像から1以上の車両の各々の識別情報(例えばナンバープレート)を認識する。また例えば、計測部201は、インフラ構造物を利用している1以上の車両の位置及び速度を計測する。
【0038】
計測能力判定部202は、車両100がインフラ構造物の情報を計測可能であるか否かを判定する。具体的には、計測能力判定部202は、例えば計測部201から車両100の識別情報を取得し、当該識別情報を用いて計測能力情報を参照することにより、車両100がインフラ構造物の情報を計測可能であるか否かを判定する。計測能力情報は、識別情報と計測能力との対応関係を定義しており、例えば図示しない記憶装置に格納されている。また、計測能力判定部202は、車両100から受信した情報に基づいて判定を行ってもよい。また、計測能力判定部202は、車両100の画像から車両100に搭載されたセンサの種類を認識することにより判定を行ってもよい。
【0039】
機能判定部203は、車両100の運転支援の機能を判定する。運転支援の機能とは、運転者の運転を支援する機能を表す。例えば、運転支援の機能は、完全自動運転、衝突防止(自動ブレーキ)、等速走行(オートクルーズ)、レーンキーピングアシスト、完全自動運転などの機能である。完全自動運転では、加速、操舵及び制動の全てが自動で制御される。自動ブレーキでは、制動が自動で制御される。オートクルーズでは、加速及び制動が自動で制御される。レーンキーピングアシストでは、操舵が自動で制御される。
【0040】
具体的には、機能判定部203は、例えば計測部201から車両100の識別情報を取得し、当該識別情報を用いて機能情報を参照することにより、車両100の運転支援の機能を判定する。機能情報は、識別情報と運転支援機能との対応関係を定義しており、例えば図示しない記憶装置に格納されている。また、機能判定部203は、車両100から受信した情報に基づいて運転支援機能の判定を行ってもよい。また、機能判定部203は、車両100の画像から車両100に搭載されたセンサの種類を認識することにより運転支援機能の判定を行ってもよい。
【0041】
選別部204は、車両100に基づいて運転支援情報を選別する。例えば、選別部204は、インフラ構造物を利用している複数の車両(例えば、
図1の複数の車両10)と車両100(例えば、
図1の対象車両10A)との位置関係に基づいて、計測部201によって計測された複数の車両の情報を選別する。また例えば、選別部204は、機能判定部203によって判定された車両100の運転支援機能に基づいて、運転支援情報を選別してもよい。
【0042】
具体的には、選別部204は、インフラ構造物を利用している複数の車両の情報の中から、車両100の運転支援機能に対応する車両100との位置関係を有する車両の情報を選択してもよい。より具体的には、選別部204は、例えば機能判定部203によって衝突防止機能が判定された場合に、インフラ構造物を利用している複数の車両の情報の中から、車両100及び車両100から第1閾値距離以内の前方に位置する車両の情報を選択する。また、選別部204は、例えば機能判定部203によって完全自動運転機能が判定された場合に、複数の車両の情報の中から、車両100及び車両100から第2閾値距離以内の全ての方向に位置する車両の情報を選択する。第1閾値距離及び第2閾値距離は、経験的又は実験的に予め定められればよい。
【0043】
例えば
図1において、対象車両10Aの運転支援機能が自動ブレーキ機能又はオートクルーズ機能である場合、選別部204は、複数の車両10の情報の中から、対象車両10A及び対象車両10Aから第1閾値距離以内の前方に位置する車両(前方車両10B)の位置情報及び速度情報を選択する。また例えば、対象車両10Aの運転支援機能がレーンキーピングアシスト機能である場合、選別部204は、運転支援情報の中から、対象車両10Aの位置情報及び対象車両10Aが走行している車線の境界線の位置情報を選択する。また例えば、対象車両10Aの運転支援機能が完全自動運転機能である場合、選別部204は、運転支援情報の中から、対象車両10A及び対象車両10Aから第2閾値距離以内の全ての方向に位置する車両(前方車両10B及び後方車両10C)の位置情報及び速度情報と、車線の境界線の位置情報と、地図情報と、交通規制情報と、を選択する。
【0044】
送信部205は、例えば無線通信アダプタにより構成され、無線通信により車両100に各種情報を送信する。具体的には、送信部205は、選別部204によって選別された運転支援情報を車両100に送信する。
【0045】
受信部206は、例えば無線通信アダプタにより構成され、無線通信により車両100から各種情報を受信する。具体的には、受信部206は、車両100によって計測されたインフラ構造物の情報を車両100から受信する。
【0046】
検査部207は、車両100から受信したインフラ構造物の情報を用いてインフラ構造物を検査する。つまり、検査部207は、車両100によって計測された情報を用いて、インフラ構造物を検査する。なお、検査部207は、車両100から受信したインフラ構造物の情報と、他の車両から受信したインフラ構造物の情報とを統合し、統合された情報に基づいてインフラ構造物を検査してもよい。このとき、検査部207は、情報の精度を考慮して統合を行ってもよい。
【0047】
指示部208は、インフラ構造物の情報を計測する計測位置を車両100に指示する。具体的には、指示部208は、送信部205を介して、計測位置を示すメッセージを車両100に送信する。計測位置は、検査部207によるインフラ構造物の検査の必要性に応じて決定されればよい。例えば、計測位置は、最も古い検査が行われた位置に決定されてもよい。また例えば、計測位置は、異常が発生している可能性が高い位置であってもよい。
【0048】
[インフラ検査システムの動作]
次に、以上のように構成されたインフラ検査システム1000の動作について
図3を参照しながら説明する。
図3は、実施の形態におけるインフラ検査システム1000のシーケンス図である。
【0049】
まず、インフラ検査装置200は、インフラ構造物を利用している車両100の運転支援に用いられる運転支援情報を計測する(S101)。例えば、
図1において、センサ21は、トンネル30を走行している複数の車両10の識別情報、位置及び速度を計測する。
【0050】
続いて、インフラ検査装置200は、インフラ構造物を利用している複数の車両に含まれる車両100に計測位置を指示する(S102)。このとき、計測位置を示す計測位置情報が、インフラ検査装置200から車両100に送信される。例えば、
図1において、サーバ20は、トンネル30の壁面31の位置を指示する計測位置情報を対象車両10Aに送信する。
【0051】
さらに、インフラ検査装置200は、運転支援情報を選別する(S103)。例えば、
図1において、サーバ20は、複数の車両10の情報の中から、対象車両10Aの前方を走行している前方車両10Bの情報を選択する。
【0052】
次に、インフラ検査装置200は、選別された運転支援情報を車両100に送信し(S104)、車両100は、インフラ検査装置200から、選別された運転支援情報を受信する(S105)。例えば、
図1において、前方車両10Bの情報が選択された場合に、サーバ20は、前方車両10Bの位置情報及び速度情報を対象車両10Aに送信する。
【0053】
車両100は、インフラ検査装置200から指示された計測位置におけるインフラ構造物の情報を計測する(S106)。例えば、
図1において、対象車両10Aは、トンネル30の壁面31の指示された計測位置の画像を撮影する。
【0054】
車両100は、計測されたインフラ構造物の情報をインフラ検査装置200に送信する(S107)。さらに、車両100は、インフラ検査装置200から受信した運転支援情報に基づいて運転支援を行う(S108)。例えば、
図1において、対象車両10Aは、サーバ20から受信した情報に基づいて、対象車両10Aの加速、操舵及び制動を制御する。
【0055】
一方、インフラ検査装置200は、車両100から受信したインフラ構造物の情報を用いて、インフラ構造物の検査を行う(S109)。例えば、
図1において、サーバ20は、対象車両10Aから受信したトンネル30の壁面31の画像から、壁面31のひび割れ及び水漏れ等を検出する。また例えば、サーバ20は、トンネル30の壁面31のステレオ画像から、壁面の歪み及び断層などを検出してもよい。
【0056】
次に、各装置の動作について順に説明する。
【0057】
[車両の動作]
まず、車両100の動作について
図4を参照しながら説明する。
図4は、実施の形態における車両100の動作を示すフローチャートである。
【0058】
受信部101は、インフラ検査装置200から車両情報を受信したか否かを判定する(S111)。ここで、受信部101が運転支援情報をインフラ検査装置200から受信した場合(S111のYes)、判定部102は、インフラ構造物の計測を許可するか否かを判定する(S112)。
【0059】
ここで、インフラ構造物の計測が許可される場合(S112のYes)、計測部103は、インフラ構造物の情報を計測する(S113)。そして、送信部104は、計測したインフラ構造物の情報をインフラ検査装置200に送信する(S114)。
【0060】
一方、受信部101が運転支援情報をインフラ検査装置200から受信していない場合(S111のNo)又はインフラ構造物の計測が許可されない場合(S112のNo)、計測部103は、運転支援情報を計測する(S115)。
【0061】
最後に、運転支援部105は、インフラ検査装置200から受信した運転支援情報(第2運転支援情報)又は計測部103が計測した運転支援情報(第1運転支援情報)に基づいて、車両100の運転支援を行う(S116)。
【0062】
[インフラ検査装置の動作]
次に、インフラ検査装置200の動作について
図5を参照しながら説明する。
図5は、実施の形態におけるインフラ検査装置200の動作を示すフローチャートである。
【0063】
計測部201は、インフラ構造物を利用している車両100の運転支援に用いられる運転支援情報を計測する(S121)。
【0064】
計測能力判定部202は、車両100がインフラ構造物の情報を計測可能であるか否かを判定する(S122)。ここで、車両100がインフラ構造物の情報を計測可能でない場合(S122のNo)、処理を終了する。
【0065】
一方、車両100がインフラ構造物の情報を計測可能である場合(S122のYes)、指示部208は、車両100に計測位置を指示する(S123)。そして、レベル判定部203は、車両100の運転支援機能を判定する(S124)。
【0066】
選別部204は、判定された運転支援機能に基づいて、運転支援情報を選別する(S125)。
【0067】
送信部205は、選別された運転支援情報を車両100に送信する(S126)。受信部206は、指示した計測位置におけるインフラ構造物の情報を車両100から受信する(S127)。
【0068】
検査部207は、受信したインフラ構造物の情報を用いて、インフラ構造物を検査する(S127)。
【0069】
[効果]
以上のように、本実施の形態に係る車両100は、運転支援機能を有する車両100であって、車両100が利用しているインフラ構造物の情報と車両100の運転支援に用いられる第1運転支援情報とを計測する計測部103と、計測部103がインフラ構造物の情報を計測したときにインフラ構造物の情報をインフラ検査装置200に送信する送信部104と、第2運転支援情報をインフラ検査装置200から受信する受信部101と、(i)計測部103が第1運転支援情報を計測したときに、計測部103が計測した第1運転支援情報に基づいて車両100の運転支援を行い、(ii)計測部103がインフラ構造物の情報を計測したときに、少なくとも受信部101が受信した第2運転支援情報に基づいて車両100の運転支援を行う運転支援部105と、を備える。
【0070】
これによれば、車両100は、インフラ構造物の情報を計測した場合に、インフラ検査装置200から第2運転支援情報を受信することができる。したがって、車両100は、インフラ構造物の情報を計測することで不足する運転支援情報をインフラ検査装置200から取得することができる。その結果、車両100は、インフラ構造物を計測することによる運転支援能力の低下を抑制することができる。さらに、車両100は、インフラ構造物の情報をインフラ検査装置に送信することができるので、車両100により計測されたインフラ構造物の情報を用いてインフラ構造物の検査を行うことも可能となる。
【0071】
また、本実施の形態に係る車両100によれば、受信部101は、さらに、インフラ構造物の情報を計測する計測位置の指示をインフラ検査装置200から受信し、計測部103は、当該計測位置におけるインフラ構造物の情報を計測してもよい。
【0072】
これにより、インフラ構造物の検査に適した位置の情報を計測することができ、より効果的な検査が可能となる。
【0073】
また、本実施の形態に係る車両100によれば、運転支援部105は、計測位置に基づいて車両100の運転支援を行ってもよい。
【0074】
これにより、計測に適した位置に車両100を誘導することができ、インフラ構造物の情報の計測を効果的に行うことができる。
【0075】
また、本実施の形態に係る車両100によれば、計測部103は、運転支援情報を計測するための第1計測モードと、インフラ構造物の情報を計測するための第2計測モードとを含む複数の計測モードを選択的に実行してもよい。
【0076】
これにより、運転支援が優先される第1計測モードとインフラ構造物の情報の計測が優先される第2計測モードとを切り替えることができる。
【0077】
また、本実施の形態に係る車両100によれば、計測部103は、車両100から所定の方向範囲において距離を計測する距離計であり、第1計測モードでは、所定の方向範囲の中心方向が車両100の正面と略一致しており、第2計測モードでは、所定の方向範囲の中心方向が車両100の正面からインフラ構造物の方向にずれていてもよい。
【0078】
これにより、距離計による距離の計測方向を変更することにより、第1計測モードと第2計測モードとを切り替えることができる。
【0079】
また、本実施の形態に係る車両100によれば、計測部103は、車両100の全周囲において距離を計測する距離計であり、第2計測モードでは、インフラ構造物の方向における計測精度が他の方向における計測精度よりも高くてもよい。
【0080】
これにより、第2計測モードにおいて、インフラ構造物の検査に有効な情報を計測することができる。
【0081】
また、本実施の形態に係る車両100によれば、さらに、インフラ構造物の情報の計測を許可するか否かを判定する判定部102を備え、計測部103は、インフラ構造物の情報の計測が許可された場合に、インフラ構造物の情報を計測し、インフラ構造物の情報の計測が許可されなかった場合に、第1運転支援情報を計測してもよい。
【0082】
これにより、インフラ構造物の情報の計測が許可されていない場合に、インフラ構造物の情報を計測することで運転支援能力が低下することを防ぐことができる。
【0083】
また、本実施の形態に係るインフラ検査装置200は、車両に利用されるインフラ構造物の検査を行うインフラ検査装置200であって、インフラ構造物を利用している車両100の運転支援に用いられる運転支援情報を計測する計測部201と、運転支援情報を車両100に送信する送信部205と、車両100によって計測されたインフラ構造物の情報を車両100から受信する受信部206と、インフラ構造物の情報を用いてインフラ構造物を検査する検査部207と、を備える。
【0084】
これによれば、インフラ検査装置200は、車両100の運転支援に用いられる運転支援情報を車両100に送信することができる。したがって、インフラ構造物の情報を計測することで不足する運転支援情報を車両100に提供することができ、インフラ構造物を計測することによる車両100の運転支援能力の低下を抑制することができる。さらに、インフラ検査装置200は、車両100により計測されたインフラ構造物の情報を用いてインフラ構造物の検査を行うことができ、高頻度かつ低コストな検査を実現できる。
【0085】
また、本実施の形態に係るインフラ検査装置200によれば、さらに、車両100に基づいて、運転支援情報を選別する選別部204を備え、送信部205は、選別された運転支援情報を車両100に送信してもよい。
【0086】
これにより、インフラ検査装置200は、運転支援情報を選別することができ、不要な情報を排除して運転支援情報を車両100に送信することができる。したがって、インフラ検査装置200と車両100との間の通信量を低減することができ、車両100の処理負荷を軽減することもできる。
【0087】
また、本実施の形態に係るインフラ検査装置200によれば、さらに、車両100の運転支援機能を判定する機能判定部203を備え、選別部204は、判定された運転支援機能に基づいて、運転支援情報を選別してもよい。
【0088】
これにより、インフラ検査装置200は、車両100の運転支援機能に適した情報を車両100に送信することができる。したがって、車両100に利用されない不要な情報を車両100に送信することを抑制し、通信量を低減することができる。
【0089】
また、本実施の形態に係るインフラ検査装置200によれば、運転支援情報は、インフラ構造物を利用している複数の車両の情報を含み、選別部204は、複数の車両の情報の中から、車両100の運転支援機能に対応する車両100との位置関係を有する車両の情報を選択してもよい。
【0090】
これにより、インフラ検査装置200は、車両100の運転支援機能により適した情報を車両100に送信することができる。
【0091】
また、本実施の形態に係るインフラ検査装置200によれば、さらに、車両100がインフラ構造物の情報を計測可能であるか否かを判定する計測能力判定部202を備え、送信部205は、車両100がインフラ構造物の情報を計測可能な場合に、運転支援情報を車両100に送信してもよい。
【0092】
これにより、インフラ検査装置200は、車両100からインフラ構造物の情報の提供が期待できるときにのみ車両100に情報を送信することができ、処理負荷を低減することができる。
【0093】
また、本実施の形態に係るインフラ検査装置200によれば、さらに、インフラ構造物の情報を計測する計測位置を車両100に指示する指示部208を備えてもよい。
【0094】
これにより、計測位置を指示することができるので、インフラ構造物の情報を効率的に収集することができる。
【0095】
また、本実施の形態に係るインフラ検査装置200によれば、運転支援情報は、インフラ構造物を利用している1以上の車両の各々の、位置情報及び速度情報のうちの少なくとも一方を含んでもよい。
【0096】
これにより、インフラ検査装置200は、車両100の運転支援に適した情報を送信することができる。
【0097】
(変形例)
以上、本開示の1つまたは複数の態様に係る車両、インフラ検査装置及びインフラ検査システムについて、実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、この実施の形態に限定されるものではない。本開示の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものも、本開示の1つまたは複数の態様の範囲内に含まれてもよい。
【0098】
例えば、上記実施の形態において、インフラ構造物は、トンネルであったが、トンネルに限定されない。インフラ構造物は、車両が利用するインフラストラクチャであればよく、例えば道路又は橋梁であってもよい。
【0099】
なお、車両100及びインフラ検査装置200は、上述した構成要素の必ずしも全てを備える必要はない。例えば、車両100は、判定部102を備えなくてもよい。この場合、インフラ構造物の情報の計測が常に許可されていると考えればよい。また、インフラ検査装置200は、少なくとも、計測部201と、送信部205と、受信部206と、検査部207とを備えればよい。選別部204等が含まれない場合は、計測部201によって計測された全ての運転支援情報が車両100に送信さればよい。このとき、運転支援情報に、車両の識別情報が含まれれば、車両100は、自車両の情報と他車両の情報とを識別することができる。
【0100】
なお、上記実施の形態では、インフラ構造物の検査及び車両の運転支援への関係が低い構成要素については、特に記載していないが、車両100及びインフラ検査装置200が他の構成要素を備えても構わない。例えば、車両100は、エンジン及びタイヤなどの構成要素を備えることは言うまでもない。
【0101】
なお、上記実施の形態において、選別部204は、車両100における運転支援機能に基づいて運転支援情報を選別していたが、運転支援の機能に関わらず運転支援情報を選別してもよい。この場合、例えば、選別部204は、複数の車両の情報の中から、車両100から予め定められた距離以内に位置する車両の情報を選択してもよい。また、選別部204は、例えば計測部201から車両100の識別情報を取得し、当該識別情報に対応する選別のための情報を取得し、当該選別のための情報を用いて運転支援情報を選別してもよい。この場合、例えば図示しない記憶装置に車両の識別情報と選別のための情報が対応付けて格納されればよい。
【0102】
また、上記実施の形態における車両100及びインフラ検査装置200が備える構成要素の一部または全部は、1個のシステムLSI(Large Scale Integration:大規模集積回路)又は複数の専用電子回路から構成されているとしてもよい。例えば、車両100が備える判定部102及び運転支援部105は、システムLSI又は複数の専用電子回路によって実現されてもよい。また、車両100が備える判定部102及び運転支援部105は、非一時的なメモリに格納されたインストラクション又はソフトウェアプログラムがプロセッサによって実行されることにより実現されてもよい。同様に、インフラ検査装置200が備える計測能力判定部202、機能判定部203、選別部204及び検査部207は、1個のシステムLSI又は複数の専用電子回路から構成されているとしてもよい。また、インフラ検査装置200が備える計測能力判定部202、機能判定部203、選別部204及び検査部207は、非一時的なメモリに格納されたインストラクション又はソフトウェアプログラムがプロセッサによって実行されることにより実現されてもよい。
【0103】
システムLSIは、複数の構成部を1個のチップ上に集積して製造された超多機能LSIであり、具体的には、マイクロプロセッサ、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを含んで構成されるコンピュータシステムである。前記ROMには、コンピュータプログラムが記憶されている。前記マイクロプロセッサが、前記コンピュータプログラムに従って動作することにより、システムLSIは、その機能を達成する。
【0104】
なお、ここでは、システムLSIとしたが、集積度の違いにより、IC、LSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路または汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)、あるいはLSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。
【0105】
さらには、半導体技術の進歩または派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。バイオ技術の適用等が可能性としてありえる。
【0106】
また、本開示の一態様は、このような車両100及びインフラ検査装置200だけではなく、車両100及びインフラ検査装置200に含まれる特徴的な構成部をステップとする計測方法及びインフラ検査方法であってもよい。また、本開示の一態様は、計測方法又はインフラ検査方法に含まれる特徴的な各ステップをコンピュータに実行させるコンピュータプログラムであってもよい。また、本開示の一態様は、そのようなコンピュータプログラムが記録された、コンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体であってもよい。
【0107】
なお、上記各実施の形態において、各構成要素は、専用のハードウェアで構成されるか、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPUまたはプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスクまたは半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。