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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-187419(P2017-187419A)
(43)【公開日】2017年10月12日
(54)【発明の名称】気圧調整試験室の圧力制御装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 17/00 20060101AFI20170919BHJP
【FI】
   G01N17/00
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-77274(P2016-77274)
(22)【出願日】2016年4月7日
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000108890
【氏名又は名称】株式会社ダイキンアプライドシステムズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】坪野 哲明
【テーマコード(参考)】
2G050
【Fターム(参考)】
2G050BA05
2G050EA04
2G050EA05
2G050EC03
(57)【要約】
【課題】気圧調整試験室の圧力制御装置に関し、広い圧力調整範囲を確保しつつ制御の精度向上を図る。
【解決手段】給気通路(21)と排気通路(31)と給気制御弁(23)と排気制御弁(33)とを備え、試験室(1)に対する給気量と排気量とを調節して該試験室(1)内の気圧Pを目標圧力に制御する気圧調整試験室の圧力制御装置において、給気通路(21)及び排気通路(31)は、それぞれ試験室(1)に繋がる一部分が二つに分岐した分岐部に構成され、該分岐部の一方側(21c,31c)に給気制御弁(23)又は排気制御弁(33)が設けられ、他方側(21d,31d)に給気制御弁(23)及び排気制御弁(33)よりも口径が小さい補助制御弁(24,34)が設けられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部の空気を試験室(1)に供給する給気通路(21)と、該試験室(1)の空気を外部へ排出する排気通路(31)と、上記給気通路(21)に設けられた給気制御弁(23)と、上記排気通路(31)に設けられた排気制御弁(33)とを備え、上記試験室(1)に対する給気量と排気量とを調節して上記試験室(1)内の気圧Pを目標圧力に制御する気圧調整試験室の圧力制御装置であって、
上記給気通路(21)及び上記排気通路(31)の少なくとも一方は、上記試験室(1)に繋がる一部分が二つに分岐した分岐部に構成され、該分岐部の一方側(21c,31c)に上記給気制御弁(23)又は上記排気制御弁(33)が設けられ、他方側(21d,31d)に上記給気制御弁(23)及び上記排気制御弁(33)よりも口径が小さい補助制御弁(24,34)が設けられている
ことを特徴とする気圧調整試験室の圧力制御装置。
【請求項2】
請求項1において、
上記給気通路(21)及び上記排気通路(31)の両方において、上記試験室(1)に繋がる一部分が上記分岐部に構成され、
上記給気通路(21)では、上記分岐部の一方側(21c)に上記給気制御弁(23)が設けられ、他方側(21d)に上記補助制御弁(24,34)である補助給気制御弁(24)が設けられ、
上記排気通路(31)では、上記分岐部の一方側(31c)に上記排気制御弁(33)が設けられ、他方側(31d)に上記補助制御弁(24,34)である補助排気制御弁(34)が設けられている
ことを特徴とする気圧調整試験室の圧力制御装置。
【請求項3】
請求項2において、
上記試験室(1)内への給気量が所定流量となるように、上記給気制御弁(23)の開度を調節する風量制御部(43)と、
上記試験室(1)内の気圧Pが上記目標圧力となるように、上記排気制御弁(33)と上記補助給気制御弁(24)と上記補助排気制御弁(34)との開度を調節する圧力制御部(44)とを備えている
ことを特徴とする気圧調整試験室の圧力制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気圧調整試験室の圧力制御装置に関し、特に、制御精度の向上対策に係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、自動車等の製造工場では、様々な圧力環境下で製品の耐力や性能等の試験を行うために、気圧調整試験室が設けられている。下記の特許文献1には、例えば、高地等の低圧環境を作り出す低圧試験室の圧力制御装置が提案されている。
【0003】
特許文献1の圧力制御装置は、給気ブロアが設けられて低圧試験室に接続された給気通路と、排気ブロアが設けられて低圧試験室に接続された排気通路と、給気通路に設けられた給気制御弁と、排気通路に設けられた排気制御弁とを備えている。そして、該圧力制御装置では、給気制御弁及び排気制御弁の一方の動作を風量が一定になるように制御し、他方の動作を低圧試験室の気圧が目標圧力になるように制御することで、低圧試験室を換気しつつ、該低圧試験室内の気圧を所望の低圧圧力に調整している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−132535号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、高地(例えば、標高2000m程度)のような低圧環境を作り出す上述の低圧試験室では、気圧を大気圧から数十kPa低下させる必要があり、圧力調整幅が大きい。そのため、給気制御弁及び排気制御弁として、数十kPaの減圧が可能な口径の大きい大容量の制御弁を選定する必要があった。
【0006】
しかしながら、上述のような大容量の制御弁を用いると、僅かに開度を増減させただけでも低圧試験室内の気圧が大きく変動する。上述のような高地の低圧環境を作り出す低圧試験室では、気圧が0.2kPa程度目標圧力からずれただけで、高度にして数十mの違いとなり、想定した高度から大きくずれてしまう。そのため、大容量の制御弁を用いた上記圧力制御装置では、設定した高度条件に精度良く制御することができなかった。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、気圧調整試験室の圧力制御装置に関し、広い圧力調整範囲を確保しつつ制御の精度向上を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明は、外部の空気を試験室(1)に供給する給気通路(21)と、該試験室(1)の空気を外部へ排出する排気通路(31)と、上記給気通路(21)に設けられた給気制御弁(23)と、上記排気通路(31)に設けられた排気制御弁(33)とを備え、上記試験室(1)に対する給気量と排気量とを調節して上記試験室(1)内の気圧を目標圧力に制御する気圧調整試験室の圧力制御装置であって、上記給気通路(21)及び上記排気通路(31)の少なくとも一方は、上記試験室(1)に繋がる一部分が二つに分岐した分岐部に構成され、該分岐部の一方側(21c,31c)に上記給気制御弁(23)又は上記排気制御弁(33)が設けられ、他方側(21d,31d)に上記給気制御弁(23)及び上記排気制御弁(33)よりも口径が小さい補助制御弁(24,34)が設けられている。
【0009】
第1の発明では、給気通路(21)及び排気通路(31)の少なくとも一方の試験室(1)に繋がる一部分が二つに分岐した分岐部に構成されている。そして、分岐部の一方側(21c,31c)に大容量の給気制御弁(23)又は排気制御弁(33)が設けられ、他方側(21d,31d)に給気制御弁(23)及び排気制御弁(33)よりも口径の小さい小容量の補助制御弁(24,34)が設けられている。つまり、給気通路(21)及び排気通路(31)の少なくとも一方は、互いに並列に接続された大容量の制御弁(23,33)と小容量の補助制御弁(24,34)とを有している。そのため、上記圧力制御装置(10)では、試験室(1)内の気圧を調整する際に、試験室(1)への給気量と排気量の少なくとも一方が、大容量の制御弁(23,33)と小容量の補助制御弁(24,34)の2種類の制御弁で調節される。
【0010】
第2の発明は、第1の発明において、上記給気通路(21)及び上記排気通路(31)の両方において、上記試験室(1)に繋がる一部分が上記分岐部に構成され、上記給気通路(21)では、上記分岐部の一方側(21c)に上記給気制御弁(23)が設けられ、他方側(21d)に上記補助制御弁(24,34)である補助給気制御弁(24)が設けられ、上記排気通路(31)では、上記分岐部の一方側(31c)に上記排気制御弁(33)が設けられ、他方側(31d)に上記補助制御弁(24,34)である補助排気制御弁(34)が設けられている。
【0011】
また、第2の発明では、給気通路(21)及び排気通路(31)の両方において、試験室(1)に繋がる一部分が二つに分岐した分岐部に構成されている。そして、給気通路(21)では、分岐部の一方側(21c,31c)に大容量の給気制御弁(23)が設けられ、他方側(21d,31d)に小容量の補助給気制御弁(24)が設けられている。また、排気通路(31)では、分岐部の一方側(21c,31c)に大容量の排気制御弁(33)が設けられ、他方側(21d,31d)に小容量の補助排気制御弁(34)が設けられている。つまり、給気通路(21)及び排気通路(31)の両方が、互いに並列に接続された大容量の制御弁(23,33)と小容量の補助制御弁(24,34)とを有している。そのため、上記圧力制御装置(10)では、試験室(1)内の気圧を調整する際に、試験室(1)への給気量と排気量の両方が、大容量の制御弁(23,33)と小容量の補助制御弁(24,34)の2種類の制御弁で調節される。
【0012】
第3の発明は、第2の発明において、上記試験室(1)内への給気量が所定流量となるように、上記給気制御弁(23)の開度を調節する風量制御部(43)と、上記試験室(1)内の気圧が上記目標圧力となるように、上記排気制御弁(33)と上記補助給気制御弁(24)と上記補助排気制御弁(34)との開度を調節する圧力制御部(44)とを備えている。
【0013】
第3の発明では、風量制御部(43)が大容量の給気制御弁(23)の開度を調節することによって試験室(1)への給気量を所定流量に制御し、圧力制御部(44)が、大容量の排気制御弁(33)の開度と小容量の補助排気制御弁(34)及び補助給気制御弁(24)の開度とを調節することによって試験室(1)内の気圧が目標圧力となるように試験室(1)からの排気量が制御される。これにより、試験室(1)では、換気が行われつつ気圧が目標圧力に近づく。具体的には、試験室(1)内の気圧を下げる場合、圧力制御部(44)は、風量制御部(43)が制御する給気量よりも排気量の方が多くなるように各制御弁(24,33,34)の開度を調節し、試験室(1)内を減圧する。一方、試験室(1)内の気圧を上げる場合、圧力制御部(44)は、風量制御部(43)が制御する給気量よりも排気量の方が少なくなるように各制御弁(24,33,34)の開度を調節し、試験室(1)内を加圧する。
【発明の効果】
【0014】
第1の発明によれば、給気通路(21)及び排気通路(31)の少なくとも一方の試験室(1)に繋がる一部分を二つに分岐した分岐部で構成し、分岐部の一方側(21c,31c)に大容量の給気制御弁(23)又は排気制御弁(33)を設け、他方側(21d,31d)に給気制御弁(23)及び排気制御弁(33)よりも口径の小さい小容量の補助制御弁(24,34)を設けることとした。つまり、給気通路(21)及び排気通路(31)の少なくとも一方が、互いに並列に接続された大容量の制御弁(23,33)と小容量の補助制御弁(24,34)とを有するように構成した。このような構成により、上記圧力制御装置(10)では、試験室(1)内の気圧を調整する際に、試験室(1)への給気量と排気量の少なくとも一方を大容量の制御弁(23,33)と小容量の補助制御弁(24,34)の2種類の制御弁で調節することができる。そのため、上記圧力制御装置(10)によれば、大容量の制御弁(23,33)のみによって給気量及び排気量を調節して気圧を目標圧力に制御する従来の圧力制御装置に比べて、試験室(1)内の気圧を精度良く目標圧力に近づけることができる。つまり、大容量の制御弁(23,33)のみでは、試験室(1)内の気圧が目標圧力付近に到達したものの、それ以上開度を変更すると、オーバーシュートしてしまうところ、小容量の補助制御弁(24,34)の開度を変更することにより、試験室(1)内の気圧を目標圧力に精度良く近づけることができる。
【0015】
また、第2の発明によれば、給気通路(21)及び排気通路(31)の両方が、互いに並列に接続された大容量の制御弁(23,33)と小容量の補助制御弁(24,34)とを有するように構成した。そのため、試験室(1)への給気量と排気量の両方を、大容量の制御弁(23,33)と小容量の補助制御弁(24,34)の2種類の制御弁で調節することができる。これにより、大容量の制御弁(23,33)のみによって給気量及び排気量を調節して気圧を目標圧力に制御する従来の圧力制御装置に比べて、試験室(1)内の気圧を精度良く目標圧力に近づけることができる。また、補助制御弁(24,34)を給気通路(21)と排気通路(31)の両方に設けることとしたため、試験室(1)内の気圧を迅速に目標圧力に近づけることができる。
【0016】
また、第3の発明によれば、給気通路(21)と排気通路(31)のそれぞれに設けた2つの大容量の制御弁(23,33)のうち、一方の給気制御弁(23)を、試験室(1)内への給気量を一定流量に制御する風量制御に用い、他方の排気制御弁(33)と小容量の2つの補助制御弁(24,34)とを、試験室(1)内の気圧を目標圧力に制御する圧力制御に用いることとした。このように、給気通路(21)と排気通路(31)のそれぞれに設けた2つの大容量の制御弁(23,33)のうち、一方の給気制御弁(23)で試験室(1)内への給気量を一定流量に制御することにより、試験室(1)における換気風量として所定流量分(給気量分)を容易に確保することができる。また、上記2つの大容量の制御弁(23,33)のうちの他方の排気制御弁(33)と2つの小容量の補助制御弁(24,34)とで試験室(1)内の気圧を目標圧力に制御することにより、大容量の制御弁(23,33)のみによって給気量及び排気量を調節して気圧を目標圧力に制御する従来の圧力制御装置に比べて、試験室(1)内の気圧を精度良く目標圧力に近づけることができる。また、給気通路(21)と排気通路(31)のそれぞれに設けた2つの小容量の補助制御弁(24,34)を用いることにより、試験室(1)内の気圧を迅速に目標圧力に近づけることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、実施形態1に係る気圧調節試験室の圧力制御装置の概略構成図である。
図2図2は、補助給気制御弁及び補助排気制御弁の開度と気圧調節試験室内の気圧との相関を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0019】
《発明の実施形態1》
図1は、本発明の実施形態1に係る気圧調節試験室の圧力制御装置(10)を示している。本実施形態では、圧力制御装置(10)は、自動車のエンジンの耐力や性能等の試験を行う試験室(1)に設けられ、該試験室(1)内の気圧Pを、例えば、高地2000mの低圧環境(79.5kPa)や逆の高圧環境に調整するものである。
【0020】
−構成−
図1に示すように、圧力制御装置(10)は、試験室(1)内へ外部の空気を供給する給気部(20)と、試験室(1)内の空気を外部へ排出する排気部(30)と、給気部(20)と排気部(30)の動作を制御する制御部(40)とを備えている。
【0021】
〈給気部の構成〉
給気部(20)は、給気通路(21)と、給気ファン(22)と、給気制御弁(23)と、補助給気制御弁(24)とを備えている。
【0022】
給気通路(21)は、本体部(21a)とヘッダ(21b)と第1分岐管(21c)と第2分岐管(21d)とを有し、試験室(1)の内部と外部とを繋いでいる。
【0023】
本体部(21a)は、内部に空気が流通する管状部材によって構成され、一端が試験室(1)の外部に開口し、他端はヘッダ(21b)の流入口(P1)に接続されている。
【0024】
ヘッダ(21b)は、内部で二叉に分かれる分流通路が形成され、一つの流入口(P1)から内部に流入した空気を二つの流出口(P2,P3)に向かって分流するように構成されている。ヘッダ(21b)の一方の流出口(P2)には、第1分岐管(21c)の一端が接続され、他方の流出口(P3)には、第2分岐管(21d)の一端が接続されている。
【0025】
第1分岐管(21c)及び第2分岐管(21d)は、いずれも内部に空気が流通する管状部材によって構成され、上記ヘッダ(21b)に接続された一端と逆側の他端が、それぞれ試験室(1)の内部において開口している。なお、第1分岐管(21c)は、第2分岐管(21d)よりも大口径の管状部材によって構成されている。
【0026】
このような構成により、給気通路(21)は、試験室(1)に繋がる一部分が二つに分岐した分岐部に構成されている。第1分岐管(21c)及び第2分岐管(21d)によって給気通路(21)の分岐部が構成されている。
【0027】
給気ファン(22)は、給気通路(21)の本体部(21a)の中途部に設けられている。給気ファン(22)は、図示しないファンモータに電力を供給するインバータ(22a)を有し、回転周波数が変更可能に構成されている。
【0028】
給気制御弁(23)は、第1分岐管(21c)の中途部に設けられ、補助給気制御弁(24)は、第2分岐管(21d)の中途部に設けられている。給気制御弁(23)は、開度可変バルブであって、数十kPaの圧力調整に必要な流量範囲を有するバルブによって構成されている。補助給気制御弁(24)も開度可変バルブによって構成されている。具体的には、補助給気制御弁(24)は、給気制御弁(23)の5分の1以下の口径の開度可変バルブによって構成されている。
【0029】
〈排気部の構成〉
排気部(30)は、排気通路(31)と、排気ファン(32)と、排気制御弁(33)と、補助排気制御弁(34)とを備えている。
【0030】
排気通路(31)は、本体部(31a)とヘッダ(31b)と第1分岐管(31c)と第2分岐管(31d)とを有し、試験室(1)の内部と外部とを繋いでいる。
【0031】
本体部(31a)は、内部に空気が流通する管状部材によって構成され、一端が上記ヘッダ(31b)の流出口(P13)に接続される一方、他端は試験室(1)の外部に開口している。
【0032】
ヘッダ(31b)は、内部で二叉通路が一つに合流する合流通路が形成され、二つの流入口(P11,P12)から内部に流入した空気を一つの流出口(P13)に向かって合流させるように構成されている。ヘッダ(31b)の流出口(P13)には、本体部(31a)の一端が接続されている。
【0033】
第1分岐管(31c)及び第2分岐管(31d)は、いずれも内部に空気が流通する管状部材によって構成され、それぞれ一端が試験室(1)の内部において開口し、他端がヘッダ(31b)に接続されている。具体的には、第1分岐管(31c)の一端がヘッダ(31b)の一方の流入口(P11)に接続され、第2分岐管(31d)の一端が他方の流入口(P12)に接続されている。なお、第1分岐管(31c)は、第2分岐管(31d)よりも大口径の管状部材によって構成されている。
【0034】
このような構成により、排気通路(31)は、試験室(1)に繋がる一部分が二つに分岐した分岐部に構成されている。第1分岐管(31c)及び第2分岐管(31d)によって排気通路(31)の分岐部が構成されている。
【0035】
排気ファン(32)は、排気通路(31)の本体部(31a)の中途部に設けられている。排気ファン(32)は、図示しないファンモータに電力を供給するインバータ(32a)を有し、回転周波数が変更可能に構成されている。
【0036】
排気制御弁(33)は、第1分岐管(31c)の中途部に設けられ、補助排気制御弁(34)は、第2分岐管(31d)の中途部に設けられている。排気制御弁(33)は、開度可変バルブであって、数十kPaの圧力調整に必要な流量範囲を有するバルブによって構成されている。補助排気制御弁(34)も開度可変バルブによって構成されている。具体的には、補助排気制御弁(34)は、排気制御弁(33)の5分の1以下の口径の開度可変バルブによって構成されている。
【0037】
〈制御部の構成〉
制御部(40)は、給気ファン制御部(41)と、排気ファン制御部(42)と、風量制御部(43)と、圧力制御部(44)とを有している。制御部(40)は、給気ファン(22)、排気ファン(32)、給気制御弁(23)、補助給気制御弁(24)、排気制御弁(33)及び補助排気制御弁(34)の動作を制御することにより、試験室(1)の換気を行うと共に内部の気圧を所望の圧力に制御する。本実施形態では、制御部(40)は、圧力制御装置(10)の各要素を本願で開示するように制御するマイクロコンピュータと、実施可能な制御プログラムが記憶されたメモリやハードディスク等とを含んでいる。なお、ここで説明する制御部(40)は、圧力制御装置(10)の制御部の一例であり、制御部(40)の詳細な構造やアルゴリズムは、本発明に係る機能を実行するどのようなハードウェアとソフトウェアとの組み合わせであってもよい。
【0038】
給気ファン制御部(41)は、インバータ(22a)によって給気ファン(22)のファンモータに供給される電力を制御することで、給気ファン(22)の回転周波数を制御するように構成されている。具体的には、給気ファン制御部(41)は、給気ファン(22)の回転周波数が、試験室(1)の必要換気量に応じて予め決定された一定の回転周波数になるように、インバータ(22a)によって給気ファン(22)のファンモータに供給される電力を制御するように構成されている。
【0039】
排気ファン制御部(42)は、インバータ(32a)によって排気ファン(32)のファンモータに供給される電力を制御することで、排気ファン(32)の回転周波数を制御するように構成されている。具体的には、排気ファン制御部(42)は、排気ファン(32)の回転周波数が、試験室(1)の必要換気量に応じて予め決定された一定の回転周波数になるように、インバータ(32a)によって排気ファン(32)のファンモータに供給される電力を制御するように構成されている。
【0040】
風量制御部(43)は、本実施形態では、給気通路(21)を通じて試験室(1)に供給される空気量(給気量)が、試験室(1)の必要換気量に応じて予め決定された一定の風量となるように、給気制御弁(23)の開度を制御するように構成されている。
【0041】
圧力制御部(44)は、本実施形態では、試験室(1)内の気圧Pが所定の目標圧力SPとなるように、排気制御弁(33)と補助給気制御弁(24)と補助排気制御弁(34)の開度を制御するように構成されている。
【0042】
ここで、試験室(1)内には、該試験室(1)内の気圧Pを測定する気圧測定センサ(50)が設けられている。気圧測定センサ(50)は、有線又は無線で電気通信可能に制御部(40)に接続され、測定値(試験室(1)内の気圧P)を制御部(40)に送信するように構成されている。
【0043】
上記圧力制御部(44)は、この気圧測定センサ(50)の測定値(試験室(1)内の気圧P)が所定の目標圧力SPとなるように、排気制御弁(33)と補助給気制御弁(24)と補助排気制御弁(34)の開度を制御するように構成されている。圧力制御部(44)は、排気制御弁(33)の開度制御と、補助給気制御弁(24)及び補助排気制御弁(34)の開度制御とを、それぞれの制御によって試験室(1)内の気圧Pが所定の目標圧力SPとなるように別々に行う。
【0044】
圧力制御部(44)は、試験室(1)内の気圧Pが目標圧力SPよりも高い場合、排気制御弁(33)の開度を増大させ、試験室(1)内の気圧Pが目標圧力SPよりも低い場合、排気制御弁(33)の開度を低減する。なお、詳細については後述するが、排気制御弁(33)は、補助給気制御弁(24)及び補助排気制御弁(34)の口径の5倍の口径を有する大容量の開度可変バルブであるため、僅かに開度を増減させただけで試験室(1)内の気圧Pが大きく変動する。そのため、図2に示すように、排気制御弁(33)の開度制御だけでは、試験室(1)内の気圧Pを目標圧力SPに精度良く近づけることができず、試験室(1)内の気圧Pが目標圧力SPを含むP1<P<P2(P1=SP−0.2kPa、P2=SP+0.2kPa)の範囲を飛び越えて増加したり、減少したりする。
【0045】
また、圧力制御部(44)は、図2に示すように、試験室(1)内の気圧Pが目標圧力SPとなるように、補助給気制御弁(24)及び補助排気制御弁(34)の開度を制御する。なお、図2は、試験室(1)内の気圧Pと補助給気制御弁(24)及び補助排気制御弁(34)の開度との相関を示すグラフである。図2のグラフにおいて、縦軸は、弁開度を示し、上側ほど開度が大きく、下側ほど開度が小さい状態を示している。一方、横軸は、試験室(1)内の気圧を示し、右側ほど気圧が高く、左側ほど気圧が低い状態を示し、P1<P11<P12<SP<P13<P14<P2となっている。
【0046】
圧力制御部(44)は、試験室(1)内の気圧PがP11よりも低い場合、補助給気制御弁(24)を全開に制御する。そして、圧力制御部(44)は、試験室(1)内の気圧PがP11とP13との間である場合に、補助給気制御弁(24)の開度を増減させる。具体的には、圧力制御部(44)は、試験室(1)内の気圧Pの低下時(減圧時)には、補助給気制御弁(24)の開度を増大し、試験室(1)内の気圧Pの上昇時(加圧時)には、補助給気制御弁(24)の開度を低減する。また、圧力制御部(44)は、試験室(1)内の気圧PがP13よりも高い場合、補助給気制御弁(24)を全閉に制御する。
【0047】
一方、圧力制御部(44)は、試験室(1)内の気圧PがP12よりも低い場合、補助排気制御弁(34)を全閉に制御する。そして、圧力制御部(44)は、試験室(1)内の気圧PがP12とPA14との間である場合に、補助排気制御弁(34)の開度を増減させる。具体的には、圧力制御部(44)は、試験室(1)内の気圧Pの低下時(減圧時)には、補助排気制御弁(34)の開度を低減し、試験室(1)内の気圧Pの上昇時(加圧時)には、補助排気制御弁(34)の開度を増大する。また、圧力制御部(44)は、試験室(1)内の気圧PがP14よりも高い場合、補助排気制御弁(34)を全開に制御する。
【0048】
−運転動作−
以下では、試験室(1)内の気圧Pを目標圧力SPに調節する運転動作の一例として、試験室(1)内の気圧Pが、目標圧力SPよりも高く、その偏差が0.2kPaより大きい場合、即ち、図2におけるP2(=SP+0.2kPa)よりも高い場合に、試験室(1)内の気圧Pを減圧して目標圧力SPに調節する動作について説明する。
【0049】
まず、給気ファン制御部(41)及び排気ファン制御部(42)により、給気ファン(22)及び排気ファン(32)のそれぞれの回転周波数が、試験室(1)の必要換気量に応じて予め決定された一定の回転周波数になるように、各インバータ(22a,32a)によってファンモータに供給される電力が制御される。
【0050】
また、風量制御部(43)によって、給気通路(21)を通じて試験室(1)に供給される空気量(給気量)が、試験室(1)の必要換気量に応じて予め決定された一定の風量となるように、給気制御弁(23)の開度が制御される。
【0051】
さらに、圧力制御部(44)によって、気圧測定センサ(50)の測定値(試験室(1)内の気圧P)が所定の目標圧力SPとなるように、排気制御弁(33)と補助給気制御弁(24)と補助排気制御弁(34)の開度が制御される。なお、圧力制御部(44)は、排気制御弁(33)の開度制御と、補助給気制御弁(24)及び補助排気制御弁(34)の開度制御とを別々に行う。以下、圧力制御部(44)による排気制御弁(33)の開度制御と補助給気制御弁(24)及び補助排気制御弁(34)の開度制御とについて説明する。
【0052】
まず、圧力制御部(44)は、排気制御弁(33)の開度制御に際し、試験室(1)内の気圧Pが所定の目標圧力SPとなるように、排気制御弁(33)の開度を増減する。この例では、運転開始時の試験室(1)内の気圧PがP2よりも高いため、圧力制御部(44)は、まず、排気制御弁(33)の開度を増大させる。これにより、試験室(1)内から排気通路(31)を介して外部へ排出される空気量(排気量)が増え、試験室(1)内の気圧Pが低下する。
【0053】
なお、このとき、圧力制御部(44)は、補助給気制御弁(24)及び補助排気制御弁(34)の開度制御に関わりなく、気圧測定センサ(50)の測定値に基づいてのみ制御値を決定する。これは、補助給気制御弁(24)及び補助排気制御弁(34)が、排気制御弁(33)の5分の1以下の口径の開度可変バルブによって構成されているために、補助給気制御弁(24)及び補助排気制御弁(34)の開度の変化による試験室(1)内の気圧P変動は、排気制御弁(33)の開度の変化による試験室(1)内の気圧P変動に比べて僅かなものであり、補助給気制御弁(24)及び補助排気制御弁(34)の開度が変化したところで、排気制御弁(33)の開度制御に影響を与えないためである。
【0054】
このとき、圧力制御部(44)は、図2に示すように、補助給気制御弁(24)を全閉状態に制御し、補助排気制御弁(34)を全開状態に制御する。
【0055】
ところで、上述したように、補助給気制御弁(24)及び補助排気制御弁(34)は、排気制御弁(33)の5分の1以下の口径の開度可変バルブによって構成され、その開度の変化による試験室(1)内の気圧P変動が、排気制御弁(33)の開度の変化による試験室(1)内の気圧P変動に比べて僅かなものである。そのため、試験室(1)内の気圧Pが目標圧力SPにある程度近づく(例えば、P2まで低下する)までは、排気制御弁(33)の開度を増大させることによって、試験室(1)内の気圧Pが速やかに低下する。
【0056】
一方、試験室(1)内の気圧PがP2より低下すると、大容量の排気制御弁(33)の開度制御のみでは僅かな開度変更でも試験室(1)内の気圧Pが大きく変動するため、目標圧力SPを大きく超えてしまう(オーバーシュートする)おそれがある。そこで、圧力制御部(44)は、補助給気制御弁(24)及び補助排気制御弁(34)の開度を変更することによって、試験室(1)内の気圧Pを目標圧力SPに近づける。
【0057】
具体的には、図2に示すように、圧力制御部(44)は、試験室(1)内の気圧PがP14に到達するまで、補助給気制御弁(24)を全閉状態に維持すると共に補助排気制御弁(34)を全開状態に維持する。このとき、試験室(1)からの排気量が給気量を上回っているため、試験室(1)内の気圧Pが低下する。
【0058】
試験室(1)内の気圧PがP14まで低下すると、圧力制御部(44)は、補助排気制御弁(34)の開度を全開状態から低減していく。これにより、試験室(1)からの排気量が僅かに減るため、試験室(1)内の気圧Pの低下速度が緩やかになる。
【0059】
試験室(1)内の気圧PがP13まで低下すると、圧力制御部(44)は、補助排気制御弁(34)の開度を低減しつつ、補助給気制御弁(24)の開度を増大していく。これにより、試験室(1)からの排気量が僅かに減りつつ、給気量が僅かに増えるため、試験室(1)内の気圧Pの低下速度がさらに緩やかになる。
【0060】
このように、圧力制御部(44)は、試験室(1)からの排気量が給気量を上回る状態で、試験室(1)内の気圧Pの低下に伴って、排気量を僅かに減らし、給気量を僅かに増やして給気量と排気量のバランスを変更しながら、試験室(1)内の気圧Pを目標圧力SPに近づけていく。
【0061】
そして、試験室(1)内の気圧Pが目標圧力SPに到達したときに、試験室(1)からの排気量と給気量とが一致している場合、圧力制御部(44)は、補助給気制御弁(24)及び補助排気制御弁(34)の開度を変更せずに維持する。
【0062】
一方、試験室(1)内の気圧Pが目標圧力SPに到達したときに、試験室(1)からの排気量がなお給気量を上回っている場合、試験室(1)内の気圧Pは低下し続け、目標圧力SPよりも低くなる。このように試験室(1)内の気圧Pが目標圧力SPに到達してもなお低下し続ける場合、圧力制御部(44)は、補助排気制御弁(34)の開度をさらに低減し、補助給気制御弁(24)の開度をさらに増大する。この制御により、試験室(1)からの排気量が僅かに減り、給気量が僅かに増える。圧力制御部(44)は、試験室(1)への給気量が排気量を上回って試験室(1)内の気圧Pが上昇するまで、補助排気制御弁(34)の開度を低減し、補助給気制御弁(24)の開度を増大する制御を行う。
【0063】
そして、試験室(1)への給気量が排気量を上回ると、試験室(1)内の気圧Pが上昇し始める。例えば、補助排気制御弁(34)の開度が全閉となる試験室(1)内の気圧PがP11からP12の間で試験室(1)内の気圧Pが上昇し始めた場合、圧力制御部(44)は、補助排気制御弁(34)の開度を全閉に維持し、補助給気制御弁(24)の開度を低減する。これにより、試験室(1)への給気量が僅かに減るため、試験室(1)内の気圧Pの上昇速度が緩やかになる。
【0064】
その後、試験室(1)内の気圧PがP12まで上昇すると、圧力制御部(44)は、補助給気制御弁(24)の開度を低減しつつ、補助排気制御弁(34)の開度を増大していく。これにより、試験室(1)への給気量が僅かに減りつつ、排気量が僅かに増えるため、試験室(1)内の気圧Pの上昇速度がさらに緩やかになる。
【0065】
このように、圧力制御部(44)は、試験室(1)への給気量が排気量を上回る状態で、試験室(1)内の気圧Pの上昇に伴って、給気量を僅かに減らし、排気量を僅かに増やして給気量と排気量のバランスを変更しながら、試験室(1)内の気圧Pを目標圧力SPに近づけていく。
【0066】
そして、試験室(1)内の気圧Pが目標圧力SPに到達したときに、試験室(1)からの排気量と給気量とが一致している場合、圧力制御部(44)は、補助給気制御弁(24)及び補助排気制御弁(34)の開度を変更せずに維持する。
【0067】
一方、試験室(1)内の気圧Pが目標圧力SPに到達したときに、試験室(1)への給気量が排気量を上回っている場合、試験室(1)内の気圧Pは上昇し続け、再び目標圧力SPよりも高くなる。このように試験室(1)内の気圧Pが目標圧力SPに到達してもなお上昇し続ける場合、圧力制御部(44)は、補助給気制御弁(24)の開度をさらに低減し、補助排気制御弁(34)の開度をさらに増大する。この制御により、試験室(1)への給気量が僅かに減り、排気量が僅かに増える。圧力制御部(44)は、試験室(1)からの排気量が給気量を上回って試験室(1)内の気圧Pが低下するまで、補助給気制御弁(24)の開度を低減し、補助排気制御弁(34)の開度を増大する制御を行う。
【0068】
そして、試験室(1)からの排気量が給気量を上回ると、試験室(1)内の気圧Pが低下し始める。例えば、補助給気制御弁(24)の開度が全閉となる試験室(1)内の気圧PがP13からP14の間で試験室(1)内の気圧Pが低下し始めた場合、圧力制御部(44)は、補助給気制御弁(24)の開度を全閉に維持し、補助排気制御弁(34)の開度を低減する。これにより、試験室(1)からの排気量が僅かに減るため、試験室(1)内の気圧Pの低下速度が緩やかになる。
【0069】
なお、この後の制御動作は、上述した試験室(1)内の気圧Pが初めてP13まで低下した後の動作を繰り返す。このような動作の繰り返しにより、試験室(1)内の気圧Pは目標圧力SPを挟んで上下動を繰り返すが、その上下動の振幅がだんだん小さくなる。やがて、試験室(1)内の気圧Pが目標圧力SPに到達したときに、試験室(1)への給気量と排気量とがバランスして試験室(1)内の気圧Pが目標圧力SPに維持されると、圧力制御部(44)は、補助給気制御弁(24)及び補助排気制御弁(34)の開度を変更せずに維持する。
【0070】
以上のような圧力制御部(44)による排気制御弁(33)と補助給気制御弁(24)と補助排気制御弁(34)の開度制御により、試験室(1)内の気圧Pが目標圧力SPに調節されることとなる。
【0071】
−実施形態1の効果−
本実施形態1によれば、給気通路(21)及び排気通路(31)の少なくとも一方の試験室(1)に繋がる一部分を二つに分岐した分岐部で構成し、分岐部の一方側の第1分岐管(21c,31c)に大容量の給気制御弁(23)又は排気制御弁(33)を設け、他方側の第2分岐管(21d,31d)に給気制御弁(23)及び排気制御弁(33)よりも口径の小さい小容量の補助制御弁(補助給気制御弁(24)、補助排気制御弁(34))を設けることとした。つまり、給気通路(21)及び排気通路(31)の少なくとも一方が、互いに並列に接続された大容量の制御弁(23,33)と小容量の補助制御弁(24,34)とを有するように構成した。このような構成により、上記圧力制御装置(10)では、試験室(1)内の気圧Pを調整する際に、試験室(1)への給気量と排気量の少なくとも一方を大容量の制御弁(23,33)と小容量の補助制御弁(24,34)の2種類の制御弁で調節することができる。そのため、本圧力制御装置(10)によれば、大容量の制御弁(23,33)のみによって給気量及び排気量を調節して気圧を目標圧力に制御する従来の圧力制御装置に比べて、試験室(1)内の気圧Pを精度良く目標圧力SPに近づけることができる。つまり、大容量の制御弁(23,33)のみでは、試験室(1)内の気圧Pが目標圧力付近に到達したものの、それ以上開度を変更すると、目標圧力SPを大きく超えてしまう(オーバーシュートする)ところ、小容量の補助制御弁(24,34)の開度を変更することにより、試験室(1)内の気圧Pを目標圧力に精度良く近づけることができる。
【0072】
また、本実施形態1によれば、給気通路(21)及び排気通路(31)の両方が、互いに並列に接続された大容量の制御弁(23,33)と小容量の補助制御弁(24,34)とを有するように構成した。そのため、試験室(1)への給気量と排気量の両方を、大容量の制御弁(23,33)と小容量の補助制御弁(24,34)の2種類の制御弁で調節することができる。これにより、大容量の制御弁(23,33)のみによって給気量及び排気量を調節して気圧を目標圧力に制御する従来の圧力制御装置に比べて、試験室(1)内の気圧Pを精度良く目標圧力に近づけることができる。また、補助制御弁(24,34)を給気通路(21)と排気通路(31)の両方に設けることとしたため、試験室(1)内の気圧Pを迅速に目標圧力SPに近づけることができる。
【0073】
さらに、本実施形態1によれば、給気通路(21)と排気通路(31)のそれぞれに設けた2つの大容量の制御弁(23,33)のうち、一方の給気制御弁(23)を、試験室(1)内への給気量を一定流量に制御する風量制御に用い、他方の排気制御弁(33)と小容量の2つの補助制御弁(24,34)とを、試験室(1)内の気圧Pを目標圧力に制御する圧力制御に用いることとした。このように、給気通路(21)と排気通路(31)のそれぞれに設けた2つの大容量の制御弁(23,33)のうち、一方の給気制御弁(23)で試験室(1)内への給気量を一定流量に制御することにより、試験室(1)における換気風量として所定流量分(給気量分)を容易に確保することができる。また、上記2つの大容量の制御弁(23,33)のうちの他方の排気制御弁(33)と2つの小容量の補助制御弁(24,34)とで試験室(1)内の気圧Pを目標圧力に制御することにより、大容量の制御弁(23,33)のみによって給気量及び排気量を調節して気圧を目標圧力に制御する従来の圧力制御装置に比べて、試験室(1)内の気圧Pを精度良く目標圧力に近づけることができる。また、給気通路(21)と排気通路(31)のそれぞれに設けた2つの小容量の補助制御弁(24,34)を用いることにより、試験室(1)内の気圧Pを迅速に目標圧力に近づけることができる。
【0074】
《その他の実施形態》
上記実施形態については、以下のような構成としてもよい。
【0075】
上記実施形態1では、給気通路(21)及び排気通路(31)の両方に分岐部を設け、給気通路(21)及び排気通路(31)の両方に大容量の制御弁(給気制御弁(23)、排気制御弁(33))と小容量の補助制御弁(補助給気制御弁(24)、補助排気制御弁(34))とを設けていたが、本発明に係る圧力制御装置は、給気通路(21)及び排気通路(31)の少なくとも一方に分岐部を設け、大容量の制御弁と小容量の補助制御弁とを設けるものであってもよい。このような圧力制御装置によっても、従来の大容量の制御弁のみで圧力制御を行うものに比べて制御精度を向上させることができる。
【0076】
また、上記実施形態1では、制御部(40)は、風量制御部(43)が、試験室(1)への給気量が試験室(1)の必要換気量に応じて予め決定された一定の風量となるように、給気制御弁(23)の開度を制御し、圧力制御部(44)が、試験室(1)内の気圧Pが所定の目標圧力SPとなるように、排気制御弁(33)と補助給気制御弁(24)と補助排気制御弁(34)の開度を制御するように構成されていた。しかしながら、制御部(40)の構成は上述のものに限られない。例えば、制御部(40)は、風量制御部(43)が、試験室(1)からの排気量が試験室(1)の必要換気量に応じて予め決定された一定の風量となるように、排気制御弁(33)の開度を制御し、圧力制御部(44)が、試験室(1)内の気圧Pが所定の目標圧力SPとなるように、給気制御弁(23)と補助給気制御弁(24)と補助排気制御弁(34)の開度を制御するように構成されていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0077】
以上説明したように、本発明は、気圧調整試験室の圧力制御装置について有用である。
【符号の説明】
【0078】
1 試験室
10 圧力制御装置
21 給気通路
21c 第1分岐管(分岐部、一方側)
21d 第2分岐管(分岐部、他方側)
23 給気制御弁
24 補助給気制御弁(補助制御弁、補助給気制御弁)
31 排気通路
31c 第1分岐管(分岐部、一方側)
31d 第2分岐管(分岐部、他方側)
33 排気制御弁
34 補助排気制御弁(補助制御弁、補助排気制御弁)
43 風量制御部
44 圧力制御部
図1
図2