特開2017-187437(P2017-187437A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東芝電子管デバイス株式会社の特許一覧

特開2017-187437放射線検出器、および放射線画像検出装置
<>
  • 特開2017187437-放射線検出器、および放射線画像検出装置 図000003
  • 特開2017187437-放射線検出器、および放射線画像検出装置 図000004
  • 特開2017187437-放射線検出器、および放射線画像検出装置 図000005
  • 特開2017187437-放射線検出器、および放射線画像検出装置 図000006
  • 特開2017187437-放射線検出器、および放射線画像検出装置 図000007
  • 特開2017187437-放射線検出器、および放射線画像検出装置 図000008
  • 特開2017187437-放射線検出器、および放射線画像検出装置 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-187437(P2017-187437A)
(43)【公開日】2017年10月12日
(54)【発明の名称】放射線検出器、および放射線画像検出装置
(51)【国際特許分類】
   G01T 7/00 20060101AFI20170919BHJP
   G01T 1/17 20060101ALI20170919BHJP
   A61B 6/00 20060101ALI20170919BHJP
【FI】
   G01T7/00 A
   G01T1/17 G
   A61B6/00 300S
   A61B6/00 300W
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-77838(P2016-77838)
(22)【出願日】2016年4月8日
(71)【出願人】
【識別番号】503382542
【氏名又は名称】東芝電子管デバイス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【弁理士】
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(72)【発明者】
【氏名】滝川 達也
【テーマコード(参考)】
2G188
4C093
【Fターム(参考)】
2G188AA03
2G188BB02
2G188BB04
2G188CC15
2G188CC17
2G188CC22
2G188CC30
2G188DD05
2G188DD11
2G188DD38
2G188DD39
2G188DD43
2G188DD44
2G188DD45
2G188FF14
4C093AA03
4C093CA36
4C093EB12
4C093EB13
4C093EB17
4C093EC04
(57)【要約】
【課題】給電に対する信頼性を向上させることができる放射線検出器、および放射線画像検出装置を提供することである。
【解決手段】実施形態に係る放射線検出器は、第1の筐体と、前記第1の筐体の内部に設けられた第1の蓄電部と、前記第1の筐体の内部に設けられ、前記第1の蓄電部からの直流電力を所定の周波数を有する交流電力に変換し、前記変換された交流電力を第1の磁束に変換する送電部と、第2の筐体と、前記第2の筐体の内部に設けられ、放射線を信号電荷に変換する光電変換膜を有し前記放射線を直接的に検出する、または、前記放射線をシンチレータと協働して検出する検出部と、前記第2の筐体の内部に設けられ、前記第1の磁束を交流電力に変換し、前記変換された交流電力を直流電圧に変換して前記検出部に印加する第1の受電部と、を備えている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の筐体と、
前記第1の筐体の内部に設けられた第1の蓄電部と、
前記第1の筐体の内部に設けられ、前記第1の蓄電部からの直流電力を所定の周波数を有する交流電力に変換し、前記変換された交流電力を第1の磁束に変換する送電部と、
第2の筐体と、
前記第2の筐体の内部に設けられ、放射線を信号電荷に変換する光電変換膜を有し前記放射線を直接的に検出する、または、前記放射線をシンチレータと協働して検出する検出部と、
前記第2の筐体の内部に設けられ、前記第1の磁束を交流電力に変換し、前記変換された交流電力を直流電圧に変換して前記検出部に印加する第1の受電部と、
を備えた放射線検出器。
【請求項2】
前記第1の筐体の内部に設けられ、外部から印加された第2の磁束を交流電力に変換し、前記変換された交流電力を直流電圧に変換して前記第1の蓄電部を充電する第2の受電部をさらに備えた請求項1記載の放射線検出器。
【請求項3】
前記第2の筐体は、密閉構造を有する請求項1または2に記載の放射線検出器。
【請求項4】
前記第1の筐体は、密閉構造を有し、前記第2の筐体に着脱自在に設けられている請求項1〜3のいずれか1つに記載の放射線検出器。
【請求項5】
前記第2の筐体の内部に設けられ、前記第1の受電部と、前記検出部と、の間に電気的に接続された第2の蓄電部をさらに備えた請求項1〜4のいずれか1つに記載の放射線検出器。
【請求項6】
前記第2の筐体の内部に設けられ、前記検出部からの画像データ信号が乗った電波を放射する送信部をさらに備えた請求項1〜5のいずれか1つに記載の放射線検出器。
【請求項7】
請求項6記載の放射線検出器と、
前記放射線検出器の送信部から放射された画像データ信号が乗った電波を復調して前記画像データ信号を復元する受信部と、
前記復元された画像データ信号に基づいて、放射線画像信号を作成する画像構成部と、
を備えた放射線画像検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、放射線検出器、および放射線画像検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
放射線検出器の一種にX線検出器がある。
近年においては、X線検出器の形態の多様化が進み、その一つの例として、携帯性を向上させたポータブルタイプのX線検出器が開発されている。また、ポータブルタイプのX線検出器の携帯性をさらに向上させるために、配線を介さずに給電やデータ通信を行う無線タイプのX線検出器も提案されている。無線タイプのX線検出器は、無線通信機能を有し、画像データ信号を送信することができるようになっている。
【0003】
また、無線タイプのX線検出器には、二次電池を有するものもある。この場合、二次電池は、X線検出器の筐体の内部に設けられるか、筐体の外面に着脱可能に設けられる。
二次電池を筐体の内部に設ける場合には、二次電池と筐体の外部に設けられた充電用の電源とを電気的に接続するための金属製の接続端子を筐体の外面に露出させている。
また、二次電池を筐体の外面に着脱可能に設ける場合には、二次電池と筐体の内部に設けられた回路基板とを電気的に接続するための金属製の接続端子を筐体の外面に露出させている。
【0004】
筐体の外面に金属製の接続端子が露出していると、二次電池の繰り返しの着脱や使用者の接触などの物理的な接触により金属製の接続端子が変形したり、金属製の接続端子に異物が付着したりするおそれがある。また、消毒液などの薬品や水が金属製の接続端子に付着して金属製の接続端子が腐食するおそれもある。そして、金属製の接続端子が変形したり、異物が付着したり、腐食したりすれば給電ができなくなるおそれがある。この場合、金属製の接続端子を覆うカバーを設ければ、これらの不具合が発生するのを抑制することができる。しかしながら、カバーを設けると、二次電池の着脱や充電の際にカバーの取り外しと取り付けが必要となる。そのため、X線検出器の稼働率が低下するおそれがある。またさらに、X線検出器の用途には、例えば、救急医療などの緊急を要するものもあり、カバーの取り外しと取り付けに要する時間や手間が問題となる場合もある。
そのため、給電に対する信頼性を向上させることができる技術の開発が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−224579号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、給電に対する信頼性を向上させることができる放射線検出器、および放射線画像検出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態に係る放射線検出器は、第1の筐体と、前記第1の筐体の内部に設けられた第1の蓄電部と、前記第1の筐体の内部に設けられ、前記第1の蓄電部からの直流電力を所定の周波数を有する交流電力に変換し、前記変換された交流電力を第1の磁束に変換する送電部と、第2の筐体と、前記第2の筐体の内部に設けられ、放射線を信号電荷に変換する光電変換膜を有し前記放射線を直接的に検出する、または、前記放射線をシンチレータと協働して検出する検出部と、前記第2の筐体の内部に設けられ、前記第1の磁束を交流電力に変換し、前記変換された交流電力を直流電圧に変換して前記検出部に印加する第1の受電部と、を備えている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施の形態に係るX線検出器1を例示するための模式断面図である。
図2】X線検出器1のブロック図である。
図3】検出部10を例示するための模式斜視図である。
図4】アレイ基板2の回路図である。
図5】検出部10のブロック図である。
図6】他の実施形態に係るX線検出器1aのブロック図である。
図7】本実施の形態に係る放射線画像検出装置100を例示するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しつつ、実施の形態について例示をする。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
また、本発明の実施形態に係る放射線検出器は、X線のほかにもγ線などの各種放射線に適用させることができる。ここでは、一例として、放射線の中の代表的なものとしてX線に係る場合を例にとり説明をする。したがって、以下の実施形態の「X線」を「他の放射線」に置き換えることにより、他の放射線にも適用させることができる。
【0010】
また、以下に例示をするX線検出器1は、X線平面センサである。X線平面センサには、大きく分けて直接変換方式と間接変換方式がある。
間接変換方式のX線検出器には、例えば、複数の光電変換部(画素などとも称される)を有するアレイ基板と、複数の光電変換部の上に設けられX線を蛍光に変換するシンチレータとが設けられている。間接変換方式のX線検出器においては、外部から入射したX線はシンチレータにより蛍光(可視光)に変換される。発生した蛍光は、光電変換部により信号電荷に変換される。
直接変換方式のX線検出器には、例えば、アモルファスセレンなどからなる光電変換膜が設けられている。直接変換方式のX線検出器においては、外部から入射したX線は、光電変換膜に吸収され、信号電荷に直接変換される。
【0011】
以下においては、一例として、間接変換方式のX線検出器1を例示するが、本発明は直接変換方式のX線検出器にも適用することができる。
すなわち、X線検出器は、X線を信号電荷に変換する光電変換膜を有しX線を直接的に検出する直接変換方式の検出部、または、X線をシンチレータと協働して検出する間接変換方式の検出部を有するものであれば良い。
なお、直接変換方式の検出部には既知の技術を適用することができるので詳細な説明は省略する。
【0012】
X線検出器1は、例えば、一般医療などに用いることができる。ただし、X線検出器1の用途は、一般医療に限定されるわけではない。
【0013】
図1は、本実施の形態に係るX線検出器1を例示するための模式断面図である。
図2は、X線検出器1のブロック図である。
図3は、検出部10を例示するための模式斜視図である。
図4は、アレイ基板2の回路図である。
図5は、検出部10のブロック図である。
【0014】
図1図5に示すように、X線検出器1には、検出部10、筐体20(第2の筐体の一例に相当する)、支持部30、受電部40(第1の受電部の一例に相当する)、送信部50、および電源部60が設けられている。
検出部10には、アレイ基板2、回路基板3、およびシンチレータ4が設けられている。
検出部10は、筐体20の内部に設けられている。
【0015】
アレイ基板2は、シンチレータ4によりX線から変換された蛍光(可視光)を信号電荷に変換する。
アレイ基板2は、基板2a、光電変換部2b、制御ライン(又はゲートライン)2c1、データライン(又はシグナルライン)2c2、および保護層2fなどを有する。
なお、光電変換部2b、制御ライン2c1、およびデータライン2c2などの数は例示をしたものに限定されるわけではない。
【0016】
基板2aは、板状を呈し、無アルカリガラスなどの透光性材料から形成されている。
光電変換部2bは、基板2aの一方の表面に複数設けられている。
光電変換部2bは、矩形状を呈し、制御ライン2c1とデータライン2c2とにより画された領域に設けられている。複数の光電変換部2bは、マトリクス状に並べられている。なお、1つの光電変換部2bは、1つの画素(pixel)に対応する。
【0017】
複数の光電変換部2bのそれぞれには、光電変換素子2b1と、スイッチング素子である薄膜トランジスタ(TFT;Thin Film Transistor)2b2が設けられている。
また、図4に示すように、光電変換素子2b1において変換した信号電荷を蓄積する蓄積キャパシタ2b3を設けることができる。蓄積キャパシタ2b3は、例えば、矩形平板状を呈し、各薄膜トランジスタ2b2の下に設けることができる。ただし、光電変換素子2b1の容量によっては、光電変換素子2b1が蓄積キャパシタ2b3を兼ねることができる。
【0018】
光電変換素子2b1は、例えば、フォトダイオードなどとすることができる。
薄膜トランジスタ2b2は、蛍光が光電変換素子2b1に入射することで生じた電荷の蓄積および放出のスイッチングを行う。薄膜トランジスタ2b2は、アモルファスシリコン(a−Si)やポリシリコン(P−Si)などの半導体材料を含むものとすることができる。薄膜トランジスタ2b2は、ゲート電極2b2a、ソース電極2b2b及びドレイン電極2b2cを有している。薄膜トランジスタ2b2のゲート電極2b2aは、対応する制御ライン2c1と電気的に接続される。薄膜トランジスタ2b2のソース電極2b2bは、対応するデータライン2c2と電気的に接続される。薄膜トランジスタ2b2のドレイン電極2b2cは、対応する光電変換素子2b1と蓄積キャパシタ2b3とに電気的に接続される。また、光電変換素子2b1のアノード側と蓄積キャパシタ2b3は、グランドに接続される。
【0019】
制御ライン2c1は、所定の間隔をあけて互いに平行に複数設けられている。制御ライン2c1は、例えば、行方向に延びている。
1つの制御ライン2c1は、基板2aの周縁近傍に設けられた複数の配線パッド2d1のうちの1つと電気的に接続されている。1つの配線パッド2d1には、フレキシブルプリント基板2e1に設けられた複数の配線のうちの1つが電気的に接続されている。フレキシブルプリント基板2e1に設けられた複数の配線の他端は、回路基板3に設けられた読み出し回路3aとそれぞれ電気的に接続されている。
【0020】
データライン2c2は、所定の間隔をあけて互いに平行に複数設けられている。データライン2c2は、例えば、行方向に直交する列方向に延びている。
1つのデータライン2c2は、基板2aの周縁近傍に設けられた複数の配線パッド2d2のうちの1つと電気的に接続されている。1つの配線パッド2d2には、フレキシブルプリント基板2e2に設けられた複数の配線のうちの1つが電気的に接続されている。フレキシブルプリント基板2e2に設けられた複数の配線の他端は、回路基板3に設けられた増幅・変換回路3bとそれぞれ電気的に接続されている。
制御ライン2c1、およびデータライン2c2は、例えば、アルミニウムやクロムなどの低抵抗金属を用いて形成することができる。
【0021】
保護層2fは、光電変換部2b、制御ライン2c1、およびデータライン2c2を覆っている。
保護層2fは、例えば、酸化物絶縁材料、窒化物絶縁材料、酸窒化物絶縁材料、および樹脂材料の少なくとも1種を含む。
【0022】
回路基板3は、アレイ基板2の、シンチレータ4が設けられる側とは反対側に設けられている。
回路基板3には、読み出し回路3a、および増幅・変換回路3bが設けられている。
読み出し回路3aは、薄膜トランジスタ2b2のオン状態とオフ状態を切り替える。
図5に示すように、読み出し回路3aは、複数のゲートドライバ3aaと行選択回路3abとを有する。
【0023】
行選択回路3abには、制御信号S1が入力される。行選択回路3abは、X線画像の走査方向に従って、対応するゲートドライバ3aaに制御信号S1を入力する。
ゲートドライバ3aaは、対応する制御ライン2c1に制御信号S1を入力する。
例えば、読み出し回路3aは、フレキシブルプリント基板2e1と制御ライン2c1とを介して、制御信号S1を各制御ライン2c1毎に順次入力する。制御ライン2c1に入力された制御信号S1により薄膜トランジスタ2b2がオン状態となり、光電変換素子2b1からの信号電荷(画像データ信号S2)が受信できるようになる。
【0024】
増幅・変換回路3bは、複数の積分アンプ3ba、複数の並列−直列変換回路3bb、および複数のアナログ−デジタル変換回路3bcを有している。
積分アンプ3baは、データライン2c2と電気的に接続されている。
並列−直列変換回路3bbは、切り換えスイッチを介して積分アンプ3baと電気的に接続されている。
アナログ−デジタル変換回路3bcは、並列−直列変換回路3bbと電気的に接続されている。
【0025】
積分アンプ3baは、光電変換部2bからの画像データ信号S2を順次受信する。
そして、積分アンプ3baは、一定時間内に流れる電流を積分し、その積分値に対応した電圧を並列−直列変換回路3bbへ出力する。この様にすれば、所定の時間内にデータライン2c2を流れる電流の値(電荷量)を電圧値に変換することが可能となる。
すなわち、積分アンプ3baは、シンチレータ4において発生した蛍光の強弱分布に対応した画像データ情報を、電位情報へと変換する。
【0026】
並列−直列変換回路3bbは、電位情報へと変換された画像データ信号S2を順次直列信号に変換する。
アナログ−デジタル変換回路3bcは、直列信号に変換された画像データ信号S2をデジタル信号に順次変換する。
【0027】
シンチレータ4は、複数の光電変換素子2b1の上に設けられ、入射するX線を可視光すなわち蛍光に変換する。シンチレータ4は、基板2a上の複数の光電変換部2bが設けられた領域(有効画素領域)を覆うように設けられている。
シンチレータ4は、例えば、ヨウ化セシウム(CsI):タリウム(Tl)、あるいはヨウ化ナトリウム(NaI):タリウム(Tl)などを用いて形成することができる。この場合、真空蒸着法などを用いて、シンチレータ4を形成すれば、複数の柱状結晶の集合体からなるシンチレータ4が形成される。
【0028】
また、シンチレータ4は、例えば、酸硫化ガドリニウム(GdS)などを用いて形成することもできる。この場合、複数の光電変換部2bごとに四角柱状のシンチレータ4が設けられるように、マトリクス状の溝部を形成することができる。
【0029】
その他、検出部10には、蛍光の利用効率を高めて感度特性を改善するために、シンチレータ4の表面側(X線の入射面側)を覆うように図示しない反射層を設けることができる。
また、空気中に含まれる水蒸気により、シンチレータ4の特性と図示しない反射層の特性が劣化するのを抑制するために、シンチレータ4と図示しない反射層を覆う図示しない防湿体を設けることができる。
【0030】
筐体20は、カバー部21、入射窓22、および基部23を有する。
筐体20は、密閉構造を有する。筐体20は、例えば、カバー部21、入射窓22、および基部23を接着剤やシール剤で接合したり、加熱接合や超音波接合で接合したり、Oリング(O-ring)などの密閉部材を用いて密閉したりしたものとすることができる。
なお、密閉構造は、防水および防塵の効果を有するものとすることができる。
【0031】
カバー部21は、箱状を呈し、X線の入射側、およびX線の入射側とは反対側に開口部を有している。
カバー部21の材料は、ある程度の剛性を有し、アンテナ52から放射(送信)された電波(電磁波)、および、送電部64からの磁束(第1の磁束の一例に相当する)が透過しやすいものとすることが好ましい。
カバー部21は、例えば、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリカーボネイト樹脂、炭素繊維強化プラスチック(CFRP;Carbon-Fiber-Reinforced Plastic)などを用いて形成することができる。
【0032】
入射窓22は、板状を呈し、カバー部21の、X線の入射側の開口部を塞ぐように設けられている。入射窓22は、X線を透過させる。入射窓22は、X線吸収率の低い材料を用いて形成されている。入射窓22は、例えば、炭素繊維強化プラスチックなどを用いて形成することができる。
【0033】
基部23は、板状を呈し、カバー部21の、X線の入射側とは反対側の開口部を塞ぐように設けられている。なお、基部23は、カバー部21と一体化してもよい。
基部23の材料は、ある程度の剛性を有し、送電部64からの磁束が透過しやすいものとすることが好ましい。
基部23の材料は、例えば、カバー部21の材料と同様とすることができる。
【0034】
また、カバー部21および基部23の少なくともいずれかには、筐体61(第1の筐体の一例に相当する)を取り付けるための凹部を設けることができる。凹部に筐体61を取り付ける様にすれば、取り付けの際の位置決めが容易となる。また、外力により筐体61が脱落するのを抑制することができる。
【0035】
支持部30は、支持板31と支持体32とを有する。
支持板31は、板状を呈し、筐体20の内部に設けられている。支持板31の入射窓22側の面には、アレイ基板2とシンチレータ4が設けられている。支持板31の基部23側の面には、回路基板3が設けられている。
支持板31の材料は、ある程度の剛性を有し、X線吸収率がある程度高いものとすることが好ましい。支持板31の材料は、例えば、ステンレスやアルミニウム合金などの金属などとすることができる。
【0036】
支持体32は、柱状を呈し、筐体20の内部に設けられている。支持体32は、支持板31と基部23との間に設けることができる。支持体32と支持板31の固定、および、支持体32と基部23の固定は、例えば、接着剤などを用いて行うことができる。支持体32の材料は、ある程度の剛性を有するものであれば特に限定はない。支持体32の材料は、例えば、ステンレスやアルミニウム合金などの金属、炭素繊維強化プラスチックなどとすることができる。
なお、支持体32の形態、配設位置、数などは例示をしたものに限定されるわけではない。例えば、支持体32は、板状を呈し、カバー部21の内側面から突出するように設けることもできる。すなわち、支持体32は、筐体20の内部において、支持板31を支持することができるものであればよい。
【0037】
受電部40は、筐体20の内部に設けられている。
受電部40は、送電部64からの磁束を交流電力に変換し、変換された交流電力を直流電圧に変換して検出部10に印加する。
受電部40は、導体41、および電力変換回路42を有する。
導体41は、送電部64により生成され時間と共に変化する磁束を交流電力に変換する。導体41は、例えば、時間と共に変化する磁束により誘導起電力を発生させるコイルなどとすることができる。
【0038】
電力変換回路42の入力側は、導体41と電気的に接続されている。電力変換回路42は、交流電力を直流電力に変換する。電力変換回路42は、コンバータ回路とすることができる。電力変換回路42は、例えば、整流素子、平滑用コンデンサ、コイルなどを有し、脈流を平坦にならして電圧がほぼ一定の直流電圧を生成する。
電力変換回路42の出力側は、回路基板3と電気的に接続されている。電力変換回路42は、回路基板3に直流電圧を印加する。回路基板3に印加された直流電圧により、読み出し回路3aおよび増幅・変換回路3bが所定の動作を行う。
【0039】
送信部50は、筐体20の内部に設けられている。
送信部50は、検出部10からの画像データ信号S2が乗った電波(電磁波)を放射する。
送信部50は、送信回路51、およびアンテナ52を有する。
送信回路51の入力側は、アナログ−デジタル変換回路3bcと電気的に接続されている。
送信回路51は、例えば、高周波信号を発生させる回路、高周波信号を所定の電力まで増大させる増幅回路、アナログ−デジタル変換回路3bcから出力された画像データ信号S2を高周波信号に乗せる変調回路などを有したものとすることができる。
【0040】
送信回路51の出力側は、アンテナ52と電気的に接続されている。
アンテナ52は、画像データ信号S2が乗った高周波信号を電波(電磁波)として筐体20の外部に放射(送信)する。
【0041】
電源部60は、筐体20の外部に設けられている。
電源部60は、筐体61、受電部62(第2の受電部の一例に相当する)、蓄電部63(第1の蓄電部の一例に相当する)、送電部64、および制御部65を有する。
【0042】
筐体61は、箱状を呈している。筐体61の内部には、受電部62、蓄電部63、送電部64、および制御部65を収納する空間が設けられている。
筐体61は、密閉構造を有する。筐体61は、開口部分を介して、受電部62、蓄電部63、送電部64、および制御部65を収納した後に、開口部分を封止したものとすることができる。筐体61は、例えば、開口部分を接着剤やシール剤で接合したり、加熱接合や超音波接合で接合したり、Oリング(O-ring)などの密閉部材を用いて密閉したりしたものとすることができる。
なお、密閉構造は、防水および防塵の効果を有するものとすることができる。
【0043】
筐体61の材料は、ある程度の剛性を有し、送電部64からの磁束、電源部60の外部に設けられた充電用の電源から印加された磁束(第2の磁束の一例に相当する)が透過しやすいものとすることが好ましい。筐体61の材料は、例えば、カバー部21の材料と同様とすることができる。
【0044】
筐体61は、筐体20の外面に着脱自在に設けられている。筐体61は、例えば、ラッチ機構などの機械的な保持手段、磁石などの保持手段などにより、筐体20の外面に着脱自在に設けることができる。
【0045】
受電部62は、筐体61の内部に設けられている。
受電部62は、電源部60の外部に設けられた充電用の電源から印加された磁束を交流電力に変換し、変換された交流電力を直流電圧に変換して蓄電部63を充電する。
受電部62は、導体62a、および電力変換回路62bを有する。
導体62aは、電源部60の外部に設けられた充電用の電源の送電部により生成され時間と共に変化する磁束を交流電力に変換する。導体62aは、例えば、時間と共に変化する磁束により誘導起電力を発生させるコイルなどとすることができる。
【0046】
電力変換回路62bは、交流電力を直流電力に変換する。電力変換回路62bは、コンバータ回路とすることができる。電力変換回路62bは、例えば、整流素子、平滑用コンデンサ、コイルなどを有し、脈流を平坦にならして電圧がほぼ一定の直流電圧を生成する。
【0047】
電力変換回路62bの入力側は、導体62aと電気的に接続されている。
電力変換回路62bの出力側は、蓄電部63と電気的に接続されている。電力変換回路62bは、蓄電部63に直流電圧を印加する。電力変換回路62bにより印加された直流電圧により、蓄電部63が充電される。
【0048】
蓄電部63は、筐体61の内部に設けられている。
蓄電部63は、例えば、リチウムイオン電池などの充電が可能な二次電池などとすることができる。
【0049】
送電部64は、筐体61の内部に設けられている。
送電部64は、蓄電部63からの直流電力を所定の周波数を有する交流電力に変換し、変換された交流電力を磁束に変換する。
送電部64は、導体64a、および電力変換回路64bを有する。
導体64aは、電力変換回路64bにより生成された所定の周波数を有する交流電力を時間と共に変化する磁束に変換する。導体64aは、例えば、印加された所定の周波数を有する交流電力により時間と共に変化する磁束を発生させるコイルなどとすることができる。
【0050】
電力変換回路64bは、直流電力を所定の周波数を有する交流電力に変換する。電力変換回路64bは、インバータ回路とすることができる。電力変換回路64bは、例えば、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)やMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)などを有し、所定の周波数を有する交流電力を生成する。
【0051】
電力変換回路64bの入力側は、蓄電部63と電気的に接続されている。
電力変換回路64bの出力側は、導体64aと電気的に接続されている。電力変換回路64bは、所定の周波数を有する交流電力を導体64aに印加する。
【0052】
制御部65は、筐体61の内部に設けられている。
制御部65は、受電部62および送電部64の動作を制御する。
また、制御部65は、蓄電部63が所定の電圧に充電されたことを検出すると充電を停止し、過充電を防止する。
【0053】
本実施の形態に係るX線検出器1においては、筐体20の内部に設けられた受電部40と、筐体61の内部に設けられた送電部64との間の電力供給が磁束を介して行われる。また、筐体61の内部に設けられた受電部62と、電源部60の外部に設けられた電源の送電部との間の電力供給が磁束を介して行われる。
そのため、筐体20の外面に露出する金属製の接続端子、筐体61の外面に露出する金属製の接続端子を設ける必要がない。
【0054】
金属製の接続端子が設けられていなければ、電源部60を繰り返し着脱したり、使用者の接触したりしても不具合が発生するのを抑制することができる。また、筐体20の外面や筐体61の外面に、異物、消毒液などの薬品、水などが付着したとしても不具合が発生するのを抑制することができる。
【0055】
また、金属製の接続端子が設けられていなければ、筐体20の、電源部60が取り付けられる部分にカバーを設ける必要がないので、電源部60の着脱を迅速に行うことができる。そのため、X線検出器1の稼働率を向上させることができる。また、X線検出器1の用途には、例えば、救急医療などの緊急を要するものもあるが、本実施の形態に係るX線検出器1によれば、この様な場合にも迅速な対応が可能となる。
【0056】
また、電力供給が磁束を介して行われるため、筐体20および筐体61は、密閉構造を有するものとすることができる。そのため、X線検出器1や電源部60を消毒液などの薬品や水などで洗浄したり、消毒液などの薬品や水などに浸漬させたりすることもできるので、メンテナンス性の向上を図ることができる。
【0057】
図6は、他の実施形態に係るX線検出器1aのブロック図である。
図6に示すように、X線検出器1aは、蓄電部43(第2の蓄電部の一例に相当する)をさらに備えている。
蓄電部43は、筐体20の内部に設けられている。
蓄電部43は、受電部40と、検出部10との間に電気的に接続されている。
蓄電部43は、電力変換回路42の出力側と、回路基板3との間に電気的に接続されている。蓄電部43は、例えば、リチウムイオン電池などの充電が可能な二次電池などとすることができる。
蓄電部43は、電力変換回路42により印加された直流電圧により充電される。また、蓄電部43は、回路基板3に直流電圧を印加する。回路基板3に印加された直流電圧により、読み出し回路3aおよび増幅・変換回路3bが所定の動作を行う。
【0058】
バッテリー残量が少なくなった場合には、使用者が充電済みの電源部60とバッテリー残量が少なくなった電源部60とを交換する。電源部60を交換する間は、回路基板3に供給される電力が停止されることになる。
【0059】
本実施の形態によれば、蓄電部43を設けるようにしているので、電源部60を交換する間であっても回路基板3に電力を供給することができる。そのため、X線検出器1aの稼働率が低下するのを抑制することができる。なお、蓄電部43は、電力変換回路42の出力側と、回路基板3との間に電気的に接続されるので、筐体20の外面に金属製の接続端子が露出することはない。
【0060】
図7は、本実施の形態に係る放射線画像検出装置100を例示するための模式図である。
図7に示すように、放射線画像検出装置100には、X線検出器1(1a)、受信部110、画像構成部120、表示部130、および入力部140が設けられている。
【0061】
受信部110は、X線検出器1(1a)の送信部50から放射された画像データ信号S2が乗った電波(電磁波)を復調して画像データ信号S2を復元する。
受信部110は、受信回路111、およびアンテナ112を有する。
受信回路111の入力側は、アンテナ112と電気的に接続されている。
受信回路111は、例えば、アンテナ52から放射され、アンテナ112を介して入力された画像データ信号S2が乗った電波(電磁波)を復調して画像データ信号S2を復元する。
受信回路111の出力側は、画像構成部120と電気的に接続されている。受信回路111は、復元された画像データ信号S2を画像構成部120に送信する。
アンテナ112は、アンテナ52から放射された電波(電磁波)を受信する。
【0062】
画像構成部120は、X線画像を構成する。画像構成部120は、画像データ信号S2に基づいて、X線画像信号を作成する。作成されたX線画像信号は、画像構成部120から表示部130に送信される。なお、作成されたX線画像信号は、画像構成部120から外部の機器に向けて送信されるようにしてもよい。
【0063】
また、画像構成部120により作成されたX線画像信号には、各光電変換部2bによって異なるオフセット成分や、積分アンプ3baが有するオフセット成分などに起因する画像ノイズが含まれている。そのため、画像構成部120により作成されたX線画像信号に含まれるノイズ成分を除去する図示しないオフセット補正処理部を設けることもできる。
【0064】
また、画像構成部120により作成されたX線画像信号には、各光電変換部2bによって異なる光検出効率、各積分アンプ3baによって異なる増幅率、シンチレータ5の変換効率のばらつきなどに起因する感度のばらつきが含まれている。そのため、画像構成部120により作成されたX線画像信号に含まれる感度のばらつきを除去する図示しないゲイン補正処理部を設けることもできる。
【0065】
図示しないオフセット補正処理部と、ゲイン補正処理部は、例えば、画像構成部120に設けることができる。なお、画像構成部120、図示しないオフセット補正処理部、およびゲイン補正処理部には既知の技術を適用することができるので詳細な説明は省略する。
【0066】
表示部130および入力部140は、画像構成部120と電気的に接続されている。
表示部130は、X線画像信号を光学画像(X線画像)に変換する。
表示部130は、例えば、フラットパネルディスプレイなどとすることができる。
入力部140は、文字情報などを入力する。入力された文字情報などは、光学画像(X線画像)とともに表示部130に表示される。
入力部140は、例えば、キーボードやマウスなどとすることができる。
【0067】
次に、放射線画像検出装置100およびX線検出器1(1a)の作用を例示する。
まず、充電済みの電源部60を筐体20に装着する。
すると、蓄電部63に蓄えられていた直流電力が、電力変換回路64bにより所定の周波数を有する交流電力に変換される。所定の周波数を有する交流電力は、導体64aにより時間と共に変化する磁束に変換される。時間と共に変化する磁束は、導体41により交流電力に変換される。変換された交流電力は、電力変換回路42により直流電力に変換される。
【0068】
変換された直流電力は、回路基板3に印加される。なお、X線検出器1aの場合には、蓄電部43を介して回路基板3に直流電力が印加される。
【0069】
回路基板3に直流電圧が印加されることで、読み出し回路3aおよび増幅・変換回路3bが所定の動作を行うことが可能となる。
【0070】
次に、読み出し回路3aにより、薄膜トランジスタ2b2が順次オン状態となる。薄膜トランジスタ2b2がオン状態となることで、一定の電荷が蓄積キャパシタ2b3に蓄積される。
次に、読み出し回路3aにより、薄膜トランジスタ2b2がオフ状態となる。
【0071】
次に、X線が照射されると、シンチレータ4によりX線が蛍光に変換される。蛍光が光電変換素子2b1に入射すると、光電効果によって電荷(電子およびホール)が発生し、発生した電荷と、蓄積キャパシタ2b3に蓄積されている電荷(異種電荷)とが結合して蓄積されていた電荷が減少する。
【0072】
次に、読み出し回路3aにより、薄膜トランジスタ2b2が順次オン状態となる。増幅・変換回路32は、サンプリング信号に従って各蓄積キャパシタ2b3に蓄積されている減少した電荷(画像データ信号S2)をデータライン2c2を介して読み出す。
【0073】
次に、積分アンプ32aは、画像データ信号S2を順次受信し、電位情報へと変換する。
次に、並列−直列変換回路32bは、電位情報へと変換された画像データ信号S2を順次直列信号に変換する。
次に、アナログ−デジタル変換回路32cは、直列信号に変換された画像データ信号S2をデジタル信号に順次変換する。
【0074】
次に、送信部50は、画像データ信号S2が乗った高周波信号を電波(電磁波)として筐体20の外部に放射(送信)する。
【0075】
次に、受信回路111は、アンテナ112を介して入力された画像データ信号S2が乗った電波(電磁波)を復調して画像データ信号S2を復元する。
次に、画像構成部120は、画像データ信号S2に基づいて、X線画像信号を作成する。作成されたX線画像信号は、例えば、光学画像として表示部130に表示される。
以降、前述した動作を繰り返すことで、X線画像信号を連続的に得ることができる。
【0076】
以上、本発明のいくつかの実施形態を例示したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。これら実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0077】
1 X線検出器、1a X線検出器、2 アレイ基板、2a 基板、2b 光電変換部、2b1 光電変換素子、2b2 薄膜トランジスタ、2b3 蓄積キャパシタ、3 回路基板、4 シンチレータ、10 検出部、20 筐体、40 受電部、41 導体、42 電力変換回路、43 蓄電部、50 送信部、51 送信回路、52 アンテナ、60 電源部、61 筐体、62 受電部、62a 導体、62b 電力変換回路、63 蓄電部、64 送電部、64a 導体、64b 電力変換回路、65 制御部、100 放射線画像検出装置、110 受信部、120 画像構成部、130 表示部、140 入力部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7