【解決手段】本発明による有機発光装置は、有機発光表示パネルと、前記有機発光表示パネルの一面に位置し偏光子および補償フィルムを含む円偏光板とを含み、前記補償フィルムの第1方向に対する位相遅延が前記有機発光表示パネルの第1方向に対する位相遅延を考慮して光学設計される。
前記補償フィルムの第1方向に対する位相遅延が、前記円偏光板の一面に反射板を配置し測定された前記円偏光板の側面方向での反射率および反射色のうちの少なくとも一つが最小であるときの前記補償フィルムの第1方向に対する位相遅延と異なるように光学設計されることを特徴とする、請求項1に記載の有機発光装置。
前記第1補償フィルムおよび前記第2補償フィルムが、それぞれ独立して、高分子、液晶またはこれらの組み合わせを含むことを特徴とする、請求項10に記載の有機発光装置。
前記補償フィルムの第1方向に対する位相遅延が、前記補償フィルムの厚さ方向に発生する厚さ方向位相遅延であることを特徴とする、請求項28に記載の有機発光装置用円偏光板。
前記補償フィルムの第1方向に対する位相遅延が、前記補償フィルムの厚さ方向に発生する厚さ方向位相遅延であることを特徴とする、請求項30に記載の円偏光板用補償フィルム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これを減らすために、有機発光表示パネルの一面に所定の光学特性が付与された円偏光板を付着することができる。円偏光板は前記反射された光が外側に出ることを減らして反射防止効果を実現することができる。
【0005】
一実施形態は、反射防止効果を効果的に実現して表示特性を改善することができる有機発光装置を提供する。
【0006】
他の実施形態は、前記有機発光装置に適用できる円偏光板を提供する。
【0007】
また他の実施形態は、前記円偏光板に含まれている補償フィルムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施形態によれば、有機発光表示パネルと、前記有機発光表示パネルの一面に位置し偏光子および補償フィルムを含む円偏光板とを含み、前記補償フィルムの第1方向に対する位相遅延が前記有機発光表示パネルの第1方向に対する位相遅延を考慮して光学設計される有機発光装置を提供する。
【0009】
前記補償フィルムの第1方向に対する位相遅延は、前記円偏光板の一面に反射板を配置し測定された前記円偏光板の側面方向での反射率および反射色のうちの少なくとも一つが最小であるときの前記補償フィルムの第1方向に対する位相遅延と異なるように光学設計することができる。
【0010】
前記補償フィルムの第1方向に対する位相遅延は下記関係式1を満足することができる。
[関係式1]
│R
c2│−│R
c1│>0
上記関係式1において、
R
c2は、前記補償フィルムの第1方向に対する位相遅延であり、
R
c1は、前記円偏光板の一面に反射板を配置し測定された前記円偏光板の側面方向での反射率および反射色のうちの少なくとも一つが最小であるときの前記補償フィルムの第1方向に対する位相遅延である。
【0011】
前記補償フィルムの第1方向に対する位相遅延は下記関係式2を満足することができる。
[関係式2]
│R
c1−R
p│×0.6≦R
c2≦│R
c1−R
p│×1.4
上記関係式2において、
R
c2は、前記補償フィルムの第1方向に対する位相遅延であり、
R
c1は、前記円偏光板の一面に反射板を配置し測定された前記円偏光板の側面方向での反射率および反射色のうちの少なくとも一つが最小であるときの前記補償フィルムの第1方向に対する位相遅延であり、
R
pは、前記有機発光表示パネルの第1方向に対する位相遅延である。
【0012】
前記補償フィルムの第1方向に対する位相遅延は下記関係式3を満足することができる。
[関係式3]
│R
c1−R
p│×0.8≦R
c2≦│R
c1−R
p│×1.2
上記関係式3において、
R
c2は、前記補償フィルムの第1方向に対する位相遅延であり、
R
c1は、前記円偏光板の一面に反射板を配置し測定された前記円偏光板の側面方向での反射率および反射色のうちの少なくとも一つが最小であるときの前記補償フィルムの第1方向に対する位相遅延であり、
R
pは、前記有機発光表示パネルの第1方向に対する位相遅延である。
【0013】
前記補償フィルムの第1方向に対する位相遅延は前記補償フィルムの厚さ方向に発生する厚さ方向位相遅延であってもよく、前記有機発光表示パネルの第1方向に対する位相遅延は前記有機発光表示パネルの厚さ方向に発生する厚さ方向位相遅延であってもよい。
【0014】
前記有機発光表示パネルは下記関係式5および6の屈折率を満足することができる。
[関係式5]
n
xp>n
zp
[関係式6]
n
yp>n
zp
上記関係式5および6において、
n
xpは、前記有機発光表示パネルの面内屈折率が最も大きい方向での屈折率であり、
n
ypは、前記有機発光表示パネルの面内屈折率が最も小さい方向での屈折率であり、
n
zpは、前記有機発光表示パネルの厚さ方向での屈折率である。
【0015】
前記有機発光表示パネルは下記関係式7の屈折率を満足することができる。
[関係式7]
n
xp=n
yp>n
zp
上記関係式7において、
n
xpは、前記有機発光表示パネルの面内屈折率が最も大きい方向での屈折率であり、
n
ypは、前記有機発光表示パネルの面内屈折率が最も小さい方向での屈折率であり、
n
zpは、前記有機発光表示パネルの厚さ方向での屈折率である。
【0016】
前記有機発光表示パネルの厚さ方向位相遅延は、約20nm〜200nmであってもよい。
【0017】
前記補償フィルムは、下記関係式8および9の屈折率を満足する第1補償フィルムと、下記関係式10の屈折率を満足する第2補償フィルムとを含むことができる。
[関係式8]
n
x1>n
y1
[関係式9]
n
x1>n
z1
上記関係式8および9において、
n
x1は、第1補償フィルムの面内屈折率が最も大きい方向での屈折率であり、
n
y1は、第1補償フィルムの面内屈折率が最も小さい方向での屈折率であり、
n
z1は、第1補償フィルムの厚さ方向での屈折率であり、
[関係式10]
n
z2>n
x2=n
y2
上記関係式10において、
n
x2は、第2補償フィルムの面内屈折率が最も大きい方向での屈折率であり、
n
y2は、第2補償フィルムの面内屈折率が最も小さい方向での屈折率であり、
n
z2は、第2補償フィルムの厚さ方向での屈折率である。
【0018】
前記第1補償フィルムは、約110nm〜160nmの面内位相遅延を有してもよい。
【0019】
前記第1補償フィルムは、約110nm〜160nmの面内位相遅延を有する第3補償フィルムと、約220nm〜320nmの面内位相遅延を有する第4補償フィルムとを含むことができる。
【0020】
前記有機発光表示パネルは下記関係式5および6の屈折率を満足することができる。
[関係式5]
n
xp>n
zp
[関係式6]
n
yp>n
zp
上記関係式5および6において、
n
xpは、前記有機発光表示パネルの面内屈折率が最も大きい方向での屈折率であり、
n
ypは、前記有機発光表示パネルの面内屈折率が最も小さい方向での屈折率であり、
n
zpは、前記有機発光表示パネルの厚さ方向での屈折率である。
【0021】
前記有機発光表示パネルは下記関係式7の屈折率を満足することができる。
[関係式7]
n
xp=n
yp>n
zp
上記関係式7において、
n
xpは、前記有機発光表示パネルの面内屈折率が最も大きい方向での屈折率であり、
n
ypは、前記有機発光表示パネルの面内屈折率が最も小さい方向での屈折率であり、
n
zpは、前記有機発光表示パネルの厚さ方向での屈折率である。
【0022】
前記第1補償フィルムおよび前記第2補償フィルムは、それぞれ独立して、高分子、液晶またはこれらの組み合わせを含むことができる。
【0023】
前記補償フィルムは下記関係式11または12の屈折率を満足する高分子フィルムを含むことができる。
[関係式11]
n
x3>n
z3>n
y3
[関係式12]
n
z3≧n
x3>n
y3
上記関係式11および12において、
n
x3は、高分子フィルムの面内屈折率が最も大きい方向での屈折率であり、
n
y3は、高分子フィルムの面内屈折率が最も小さい方向での屈折率であり、
n
z3は、高分子フィルムの厚さ方向での屈折率である。
【0024】
前記有機発光表示パネルは下記関係式5および6の屈折率を満足することができる。
[関係式5]
n
xp>n
zp
[関係式6]
n
yp>n
zp
上記関係式5および6において、
n
xpは、前記有機発光表示パネルの面内屈折率が最も大きい方向での屈折率であり、
n
ypは、前記有機発光表示パネルの面内屈折率が最も小さい方向での屈折率であり、
n
zpは、前記有機発光表示パネルの厚さ方向での屈折率である。
【0025】
前記有機発光表示パネルは下記関係式7の屈折率を満足することができる。
[関係式7]
n
xp=n
yp>n
zp
上記関係式7において、
n
xpは、前記有機発光表示パネルの面内屈折率が最も大きい方向での屈折率であり、
n
ypは、前記有機発光表示パネルの面内屈折率が最も小さい方向での屈折率であり、
n
zpは、前記有機発光表示パネルの厚さ方向での屈折率である。
【0026】
前記補償フィルムは、前記補償フィルムの表面に対して斜めに傾斜した液晶を含む液晶層を含むことができ、前記補償フィルムの表面に対する前記液晶の傾斜角は前記補償フィルムの厚さ方向に沿って漸進的に大きくなってもよい。
【0027】
前記液晶層は前記有機発光表示パネル側に位置する第1面と、前記偏光子側に位置する第2面とを有し、前記補償フィルムの表面に対する前記液晶の傾斜角は前記第1面から前記第2面まで前記補償フィルムの厚さ方向に沿って漸進的に大きくなってもよい。
【0028】
前記液晶層は前記偏光子側に位置する第1面と、前記有機発光表示パネル側に位置する第2面とを有し、前記補償フィルムの表面に対する前記液晶の傾斜角は前記第1面から前記第2面まで前記補償フィルムの厚さ方向に沿って漸進的に大きくなってもよい。
【0029】
前記有機発光表示パネルは下記関係式5および6の屈折率を満足することができる。
[関係式5]
n
xp>n
zp
[関係式6]
n
yp>n
zp
上記関係式5および6において、
n
xpは、前記有機発光表示パネルの面内屈折率が最も大きい方向での屈折率であり、
n
ypは、前記有機発光表示パネルの面内屈折率が最も小さい方向での屈折率であり、
n
zpは、前記有機発光表示パネルの厚さ方向での屈折率である。
【0030】
前記有機発光表示パネルは下記関係式7の屈折率を満足することができる。
[関係式7]
n
xp=n
yp>n
zp
上記関係式7において、
n
xpは、前記有機発光表示パネルの面内屈折率が最も大きい方向での屈折率であり、
n
ypは、前記有機発光表示パネルの面内屈折率が最も小さい方向での屈折率であり、
n
zpは、前記有機発光表示パネルの厚さ方向での屈折率である。
【0031】
前記補償フィルムは前記液晶層に接する配向膜をさらに含むことができる。
【0032】
前記有機発光表示パネルは、配向された有機分子を含む有機層を含むことができる。
【0033】
前記有機発光表示パネルは、蒸着された有機分子を含む有機層を含むことができる。
【0034】
前記有機発光表示パネルは、微小共振器(microcavity)構造を有してもよい。
【0035】
他の実施形態によれば、偏光子および補償フィルムを含み、前記補償フィルムの第1方向に対する位相遅延は下記関係式1を満足する有機発光装置用円偏光板を提供する。
[関係式1]
│R
c2│−│R
c1│>0
上記関係式1において、
R
c2は、前記補償フィルムの第1方向に対する位相遅延であり、
R
c1は、前記円偏光板の一面に反射板を配置し測定された前記円偏光板の側面方向での反射率および反射色のうちの少なくとも一つが最小であるときの前記補償フィルムの第1方向に対する位相遅延である。
【0036】
前記補償フィルムの第1方向に対する位相遅延は、前記補償フィルムの厚さ方向に発生する厚さ方向位相遅延であってもよい。
【0037】
また他の実施形態によれば、下記関係式1を満足する第1方向に対する位相遅延を有する円偏光板用補償フィルムを提供する。
[関係式1]
│R
c2│−│R
c1│>0
上記関係式1において、
R
c2は、前記補償フィルムの第1方向に対する位相遅延であり、
R
c1は、前記円偏光板の一面に反射板を配置し測定された前記円偏光板の側面方向での反射率および反射色のうちの少なくとも一つが最小であるときの前記補償フィルムの第1方向に対する位相遅延である。
【0038】
前記補償フィルムの第1方向に対する位相遅延は、前記補償フィルムの厚さ方向に発生する厚さ方向位相遅延であってもよい。
【発明の効果】
【0039】
外光の反射防止効果をさらに改善して外光によって視認性およびコントラスト比が低下することを防止し表示特性を改善することができる。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、実施形態について技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳しく説明する。しかし、実施形態は様々な形態に実現でき、ここで説明する実施形態に限定されない。
【0042】
図面において様々な層および領域を明確に表現するために厚さを拡大して示した。明細書全体にわたって類似の部分については同一図面符号を付けた。層、膜、領域、板などの部分が他の部分の“上”にあるというとき、これは他の部分の“直上”にある場合だけでなくその中間にまた他の部分がある場合も含む。逆に、ある部分が他の部分の“直上”にあるというときには中間に他の部分がないことを意味する。
【0043】
以下、図面を参照して一実施形態による有機発光装置を説明する。
【0044】
図1は、一実施形態による有機発光装置を概略的に示す断面図である。
【0045】
図1に示すように、一実施形態による有機発光装置500は有機発光表示パネル100と円偏光板200を含む。
【0046】
有機発光表示パネル100はフルカラー(full color)を表現するための複数の単位画素群を含み、複数の単位画素群は行および/または列に沿って交互に配置することができる。各単位画素群は複数の画素を含み、例えば2×2マトリックス、3×1マトリックスなど多様な配列を有し得る。各単位画素群は例えば赤色画素、緑色画素および青色画素を含むことができ、例えば白色画素をさらに含むことができる。単位画素群の構成および配置は多様に変形することができる。
【0047】
図1に示すように、有機発光表示パネル100は、ベース基板110、ベース基板110の上に配列されている薄膜トランジスタアレイ(thin film transistor array)Q
1、Q
2、Q
3、有機発光ダイオード150および対向基板170を含む。
【0048】
ベース基板110は、ガラス基板、高分子基板または半導体基板であってもよい。この高分子基板は、例えばポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミド、ポリエーテルスルホン、これらの共重合体、これらの誘導体またはこれらの組み合わせであってもよいが、これに限定されず、高分子基板を使用した場合、フレキシブル素子を効果的に実現することができる。
【0049】
薄膜トランジスタアレイQ
1、Q
2、Q
3は各画素ごとに配置されているスイッチング薄膜トランジスタQ
S1、Q
S2、Q
S3および駆動薄膜トランジスタQ
D1、Q
D2、Q
D3を含み、スイッチング薄膜トランジスタQ
S1、Q
S2、Q
S3および駆動薄膜トランジスタQ
D1、Q
D2、Q
D3は電気的に連結されている。
【0050】
スイッチング薄膜トランジスタQ
S1、Q
S2、Q
S3は制御端子、入力端子および出力端子を有し、制御端子はゲート線に連結されており、入力端子はデータ線に連結されており、出力端子は駆動薄膜トランジスタQ
D1、Q
D2、Q
D3に連結されている。スイッチング薄膜トランジスタQ
S1、Q
S2、Q
S3はゲート線に印加される走査信号に応答してデータ線に印加されるデータ信号を駆動薄膜トランジスタQ
D1、Q
D2、Q
D3に伝達することができる。
【0051】
駆動薄膜トランジスタQ
D1、Q
D2、Q
D3も制御端子、入力端子および出力端子を有し、制御端子はスイッチング薄膜トランジスタQ
S1、Q
S2、Q
S3に連結されており、入力端子は駆動電圧線に連結されており、出力端子は有機発光ダイオード150に連結されている。駆動薄膜トランジスタQ
D1、Q
D2、Q
D3は制御端子と出力端子の間にかかる電圧によってその大きさが変わる出力電流を流すことができる。
【0052】
薄膜トランジスタアレイQ
1、Q
2、Q
3の上には絶縁層111が形成されている。絶縁層111はスイッチング薄膜トランジスタQ
S1、Q
S2、Q
S3および駆動薄膜トランジスタQ
D1、Q
D2、Q
D3の一部を露出させる複数の接触孔を有する。
【0053】
絶縁層111の上には有機発光ダイオード150が形成されている。有機発光ダイオード150は第1色を表示する第1有機発光ダイオード、第2色を表示する第2有機発光ダイオードおよび第3色を表示する第3有機発光ダイオードを含み、ここで第1色、第2色および第3色はそれぞれ三原色のうちの一つである。
【0054】
有機発光ダイオード150は下部電極120、有機層130および上部電極140を含む。下部電極120は第1〜第3有機発光ダイオードにそれぞれ位置する第1下部電極120a、第2下部電極120bおよび第3下部電極120cを含み、有機層130は第1〜第3有機発光ダイオードにそれぞれ位置する第1有機層130a、第2有機層130bおよび第3有機層130cを含む。上部電極140は第1〜第3有機発光ダイオードに共通する共通電極であってもよい。第1有機発光ダイオード、第2有機発光ダイオードおよび第3有機発光ダイオードの間には例えばポリイミドのような絶縁物質からなる隔壁160が形成されている。
【0055】
下部電極120は駆動薄膜トランジスタQ
D1、Q
D2、Q
D3の出力端子に連結されており、上部電極140は共通電圧に連結されている。
【0056】
下部電極120と上部電極140のうちのいずれか一つはアノード(anode)であり、他の一つはカソード(cathode)である。例えば、下部電極120がアノードであり、上部電極140がカソードであってもよい。アノードは正孔(hole)が注入される電極であって高い仕事関数(work function)を有する導電物質からなり、カソードは電子(electron)が注入される電極であって低い仕事関数を有する導電物質からなってもよい。
【0057】
下部電極120と上部電極140のうちの少なくとも一つは発光した光が外部に出られる透明または半透明導電物質からなってもよく、例えばITOまたはIZOのような導電性酸化物薄膜および/またはAg、Al薄膜のような金属薄膜であってもよい。
【0058】
有機層130は発光層を含み、追加的に付帯層をさらに含むことができる。発光層は下部電極120と上部電極140に電圧が印加されたときに赤色、緑色または青色などの光を固有に出すことができる有機物質を含むことができる。付帯層は電子と正孔の均衡を取るための正孔伝達層(hole transporting layer)、正孔注入層(hole injecting layer)、電子注入層(electron injecting layer)および/または電子伝達層(electron transporting layer)を含むことができるが、これに限定されるのではない。有機層130は実質的に一方向に配向された有機分子を含むことができ、有機層130の有機分子は例えば真空蒸着のような蒸着によって形成することができる。
【0059】
図1では有機層130が各画素ごとに分離されている例を示したが、これに限定されず、有機層130が有機発光ダイオード150に共通層として形成された構造であってもよく、例えば第1色の光を出す発光層、第2色の光を出す発光層および第3色の光を出す発光層が積層された構造であってもよい。この場合、有機層130の下部または上部にカラーフィルタ(図示せず)をさらに含むこともできる。
【0060】
下部電極120、有機層130および上部電極140は微小共振器効果(microcavity effect)を有し得る。微小共振器効果は発光層から出た光が光路長(optical length)だけ離れている反射層と(半)透明層の間で反復的に反射されることによって補強干渉によって特定波長の光を増幅することであって、微小共振器の共鳴波長に相応する波長の光は強化され、他の波長の光は抑制される。
【0061】
微小共振器効果のために、下部電極120と上部電極140のうちの一つは反射層を含むことができ、他の一つは(半)透明層を含むことができる。微小共振器効果で強化される光の波長範囲は光路長によって決定され、光路長は例えば下部電極120と上部電極140の間の距離で決定される。即ち、赤色画素は赤色波長領域の光が選択的に増幅され得る光路長を有し、緑色画素は緑色波長領域の光が選択的に増幅され得る光路長を有し、青色画素は青色波長領域の光が選択的に増幅され得る光路長を有し得る。このように微小共振器効果によって各画素別に特定波長領域の光を選択的に強化することによって色の純度を高めることができる。
【0062】
対向基板170は例えば封止基板であってもよい。封止基板はガラス、金属および/または高分子から形成することができ、高分子は例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリカーボネート(PC)、トリアセチルセルロース(TAC)、これらの共重合体、これらの誘導体および/またはこれらの組み合わせであってもよい。封止基板は有機発光ダイオード150を封止して外部から水分および/または酸素が流入することを防止することができる。ベース基板110と対向基板170はシーリング材50によって結合されていてもよい。
【0063】
図1では有機発光表示パネル100の一例の構造を例示したが、有機発光表示パネル100の構造は多様であり、公知のいかなる有機発光表示パネルも適用することができる。
【0064】
円偏光板200は有機発光表示パネル100の一面に配置され、有機発光表示パネル100から光が出る側に配置することができる。
図1では対向基板170側に光が出る前面発光(top emission)構造を例示し円偏光板200が対向基板170の一面に配置された例を示したが、これに限定されず、ベース基板110側に光が出る背面発光(bottom emission)構造の場合、円偏光板200はベース基板110の外側に配置されてもよい。
【0065】
円偏光板200は偏光子300および補償フィルム400を含む。
【0066】
偏光子300は、外部から入射される光(以下、“入射光”という)を線偏光に変換させる直線偏光子(linear polarizer)であってもよい。
【0067】
偏光子300は例えば延伸されたポリビニルアルコール(polyvinyl alcohol、PVA)から形成された偏光板であってもよく、この偏光板は例えばポリビニルアルコールフィルムを延伸しここにヨードまたは二色性染料を吸着させた後、ホウ酸処理および洗浄などの方法で形成することができる。
【0068】
偏光子300は例えば高分子と二色性染料を溶融混合(melt blend)して準備された偏光フィルムであってもよく、この偏光フィルムは例えば高分子と二色性染料を混合し前述の高分子の溶融点以上の温度で溶融してシートに製作する方法で形成することができる。この高分子は疎水性高分子であってもよく、例えばポリオレフィンであってもよい。
【0069】
補償フィルム400は偏光子300を通過した線偏光された光を円偏光させ位相遅延を発生させることができる。位相遅延は面内位相遅延R
eと厚さ方向位相遅延R
thで示すことができる。補償フィルム400の面内位相遅延R
eは補償フィルム400の面内で発生する位相遅延であって、R
e=(n
x−n
y)dで示すことができる。補償フィルム400の厚さ方向位相遅延R
thは補償フィルム400の厚さ方向に発生する位相遅延であって、R
th={[(n
x+n
y)/2]−n
z}dで示すことができる。ここで、n
xは補償フィルム400の面内屈折率が最も大きい方向(以下、‘遅相軸(slow axis)'という)での屈折率であり、n
yは補償フィルム400の面内屈折率が最も小さい方向(以下、‘進相軸(fastaxis)'という)での屈折率であり、n
zは補償フィルム400の遅相軸および進相軸に対する垂直方向の屈折率であり、dは補償フィルム400の厚さである。
【0070】
厚さ方向位相遅延R
thは正または負の値を有する。例えば面内位相遅延R
eが厚さ方向位相遅延R
thより非常に大きい場合、厚さ方向位相遅延R
thは正の値を有し、例えば厚さ方向位相遅延R
thが面内位相遅延R
eより非常に大きい場合、厚さ方向位相遅延R
thは負の値を有する。
【0071】
補償フィルム400はn
x、n
y、n
zおよび/または厚さdを変化して所定の面内位相遅延および厚さ方向位相遅延を有するように調節することができる。
【0072】
補償フィルム400の位相遅延は、円偏光板200の反射防止効果が最大であるときの位相遅延および有機発光表示パネル100の光学異方性による位相遅延を考慮して決定することができる。
【0073】
円偏光板200の反射防止効果が最大であるときの位相遅延は、円偏光板200の一面に反射板を配置し測定された円偏光板200の側面方向での反射率および反射色のうちの少なくとも一つが最小であるときの位相遅延であってもよい。ここで、側面方向は例えば正面を基準に約30度であってもよく、約45度であってもよく、約60度であってもよい。
【0074】
有機発光表示パネル100の光学異方性は多様な要因によって示すことができる。一例に、有機層130の有機分子の配向によって有機発光表示パネル100は光学異方性を示すことができる。例えば、光抽出効果を高めるために有機層130内発光層の有機分子が一方向に配向されてもよい。例えば、有機層130は真空蒸着のような方法で蒸着されて一方向に配向されてもよい。例えば、有機発光ダイオード150の電荷輸送性を高めるために有機層130内発光層および/または補助層の有機分子が一方向に配向されてもよい。一例として、有機発光表示パネル100の微小共振器効果によって光学異方性を示すことができる。一例として、有機発光表示パネル100に使用されたポリイミドのような有機物によって光学異方性を示すことができる。
【0075】
このように補償フィルム400の位相遅延の光学設計時、円偏光板200の反射防止効果が最大であるときの位相遅延だけでなく有機発光表示パネル100の光学異方性による位相遅延を共に考慮することによって、有機発光表示装置の反射防止効果をさらに改善することができる。
【0076】
万一、補償フィルム400の位相遅延値が円偏光板200の反射防止効果が最大であるときの位相遅延のみで決定される場合、有機発光表示パネル100の光学異方性によって有機発光表示パネル100と円偏光板200が結合された有機発光装置で反射率および反射色のうちの少なくとも一つが最小であるときの位相遅延との差が発生し実際反射防止効果が低下することがある。
【0077】
有機発光表示パネル100は前述の光学異方性によって所定方向(以下、‘第1方向’という)に対して主に位相遅延が発生し、例えば有機発光表示パネル100の厚さ方向に発生する厚さ方向位相遅延が主に発生する。
【0078】
したがって、補償フィルム400の第1方向に対する位相遅延は有機発光表示パネル100の第1方向に対する位相遅延を考慮して光学設計することができ、例えば補償フィルム400の第1方向に対する位相遅延は有機発光表示パネル100の第1方向に対する位相遅延を相殺または補強して光学設計することができる。
【0079】
一例として、補償フィルム400の厚さ方向位相遅延は有機発光表示パネル100の厚さ方向位相遅延を考慮して光学設計することができ、例えば補償フィルム400の厚さ方向位相遅延は有機発光表示パネル100の厚さ方向位相遅延を相殺または補強して光学設計することができる。
【0080】
したがって、補償フィルム400の第1方向に対する位相遅延は有機発光表示パネル100の第1方向に対する位相遅延を考慮せず光学設計された位相遅延と異なり、例えば下記関係式1の通りである。
[関係式1]
│R
c2│−│R
c1│>0
上記関係式1において、
R
c2は、補償フィルム400の第1方向に対する位相遅延であり、
R
c1は、円偏光板200の一面に反射板を配置し測定された円偏光板200の側面方向での反射率および反射色のうちの少なくとも一つが最小であるときの補償フィルム400の第1方向に対する位相遅延である。
【0081】
前述の関係式1は、例えば下記関係式1aを満足することができる。
[関係式1a]
R
c2−R
c1<0
上記関係式1aにおいて、R
c2およびR
c1は前述の通りである。
【0082】
補償フィルム400の第1方向に対する位相遅延は、有機発光表示パネル100の第1方向に対する位相遅延を考慮して例えば下記関係式2を満足することができる。
[関係式2]
│R
c1−R
p│×0.6≦R
c2≦│R
c1−R
p│×1.4
上記関係式2において、
R
c2は、補償フィルム400の第1方向に対する位相遅延であり、
R
c1は、円偏光板200の一面に反射板を配置し測定された円偏光板200の側面での反射率および反射色のうちの少なくとも一つが最小であるときの補償フィルム400の第1方向に対する位相遅延であり、
R
pは、有機発光表示パネル100の第1方向に対する位相遅延である。
【0083】
補償フィルム400の第1方向に対する位相遅延は、有機発光表示パネル100の第1方向に対する位相遅延を考慮して例えば下記関係式3を満足することができる。
[関係式3]
│R
c1−R
p│×0.8≦R
c2≦│R
c1−R
p│×1.2
上記関係式3において、
R
c2は、補償フィルム400の第1方向に対する位相遅延であり、
R
c1は、円偏光板200の一面に反射板を配置し測定された円偏光板200の側面での反射率および反射色のうちの少なくとも一つが最小であるときの補償フィルム400の第1方向に対する位相遅延であり、
R
pは、有機発光表示パネル100の第1方向に対する位相遅延である。
【0084】
補償フィルム400は、例えば下記関係式4を満足することができる。
[関係式4]
R
c2=((n
x+n
y)/2−n
z)×d
c<0
上記関係式4において、
R
c2は、補償フィルム400の厚さ方向位相遅延であり、
n
xは、補償フィルム400の面内屈折率が最も大きい方向での屈折率であり、
n
yは、補償フィルム400の面内屈折率が最も小さい方向での屈折率であり、
n
zは、補償フィルム400の厚さ方向での屈折率であり、
d
cは、補償フィルム400の厚さである。
【0085】
図3乃至
図7は、
図1による有機発光装置の多様な例を示した概略図である。
【0086】
図3に示すように、一実施形態による有機発光装置は、所定の光学異方性を有する有機発光表示パネル100、そして偏光子300と補償フィルム400を含む円偏光板200を含む。
【0087】
有機発光表示パネル100は、例えば下記関係式5および6の屈折率を満足する光学異方性を有する。
[関係式5]
n
xp>n
zp
[関係式6]
n
yp>n
zp
上記関係式5および6において、
n
xpは、有機発光表示パネル100の面内屈折率が最も大きい方向での屈折率であり、
n
ypは、有機発光表示パネル100の面内屈折率が最も小さい方向での屈折率であり、
n
zpは、有機発光表示パネル100の厚さ方向での屈折率である。
【0088】
例えば、有機発光表示パネル100は、例えば下記関係式7の屈折率を満足する光学異方性を有する。
[関係式7]
n
xp=n
yp>n
zp
上記関係式7において、
n
xpは、有機発光表示パネル100の面内屈折率が最も大きい方向での屈折率であり、
n
ypは、有機発光表示パネル100の面内屈折率が最も小さい方向での屈折率であり、
n
zpは、有機発光表示パネル100の厚さ方向での屈折率である。
【0089】
前述の関係式7においてn
xpとn
ypは完全に同一な場合以外に実質的に同一な場合も含まれ、例えばn
xpとn
ypの屈折率差が約0.001以下、例えば約0.01以下である場合、実質的に同一な場合と見ることができる。
【0090】
例えば、有機発光表示パネル100の厚さ方向位相遅延は約20nm〜200nmであってもよい。この範囲内で例えば約20nm〜100nmであってもよい。
【0091】
補償フィルム400は例えばλ/4位相遅延フィルムであってもよく、例えば約550nm波長の入射光に対して約110nm〜160nmの面内位相遅延R
eを有する。
【0092】
補償フィルム400は例えばλ/2位相遅延フィルムであってもよく、例えば約550nm波長の入射光に対して約220nm〜320nmの面内位相遅延R
eを有する。
【0093】
補償フィルム400の厚さ方向位相遅延R
thは前述のように有機発光表示パネル100の位相遅延を考慮して設計することができる。
【0094】
補償フィルム400は高分子、液晶またはこれらの組み合わせを含むことができる。
【0095】
図4に示すように、本実施形態による有機発光装置は前述の実施形態と同様に所定の光学異方性を有する有機発光表示パネル100、そして偏光子300と補償フィルム400を含む円偏光板200を含む。しかし、前述の実施形態とは異なり、補償フィルム400は光学異方性が相異なる第1補償フィルム410と第2補償フィルム420を含む。
【0096】
第1補償フィルム410は例えばλ/4位相遅延フィルムであってもよく、例えば約550nm波長の入射光に対して約110nm〜160nmの面内位相遅延R
eを有する。
【0097】
第1補償フィルム410は例えばλ/2位相遅延フィルムであってもよく、例えば約550nm波長の入射光に対して約220nm〜320nmの面内位相遅延R
eを有する。
【0098】
第1補償フィルム410は例えば下記関係式8および9の屈折率を満足することができる。
[関係式8]
n
x1>n
y1
[関係式9]
n
x1>n
z1
上記関係式8および9において、
n
x1は、第1補償フィルム410の面内屈折率が最も大きい方向での屈折率であり、
n
y1は、第1補償フィルム410の面内屈折率が最も小さい方向での屈折率であり、
n
z1は、第1補償フィルム410の厚さ方向での屈折率である。
【0099】
第2補償フィルム420は例えば下記する関係式10の屈折率を満足することができる。
[関係式10]
n
z2>n
x2=n
y2
上記関係式10において、
n
x2は、第2補償フィルム420の面内屈折率が最も大きい方向での屈折率であり、
n
y2は、第2補償フィルム420の面内屈折率が最も小さい方向での屈折率であり、
n
z2は、第2補償フィルム420の厚さ方向での屈折率である。
【0100】
前述の関係式10においてn
x2とn
y2は完全に同一な場合以外に実質的に同一な場合も含まれ、例えばn
x2とn
y2の屈折率差が約0.001以下、例えば約0.01以下である場合、実質的に同一な場合と見ることができる。
【0101】
第2補償フィルム420は第1補償フィルム410の一面に位置し、第1補償フィルム410の厚さ方向位相遅延を減少または相殺させ視野角依存性および波長依存性を減らすことができる。
【0102】
第1補償フィルム410と第2補償フィルム420は、それぞれ独立して、高分子、液晶またはこれらの組み合わせを含むことができる。例えば第1補償フィルム410は高分子フィルムを含み、第2補償フィルム420は液晶層を含むことができる。例えば第1補償フィルム410と第2補償フィルム420はそれぞれ液晶層を含むことができる。例えば第1補償フィルム410と第2補償フィルム420はそれぞれ高分子フィルムを含むことができる。
【0103】
有機発光表示パネル100は例えば下記関係式5および6の屈折率を満足する光学異方性を有する。
[関係式5]
n
xp>n
zp
[関係式6]
n
yp>n
zp
上記関係式5および6において、
n
xpは、有機発光表示パネル100の面内屈折率が最も大きい方向での屈折率であり、
n
ypは、有機発光表示パネル100の面内屈折率が最も小さい方向での屈折率であり、
n
zpは、有機発光表示パネル100の厚さ方向での屈折率である。
【0104】
例えば、有機発光表示パネル100は例えば下記関係式7の屈折率を満足する光学異方性を有する。
[関係式7]
n
xp=n
yp>n
zp
上記関係式7において、
n
xpは、有機発光表示パネル100の面内屈折率が最も大きい方向での屈折率であり、
n
ypは、有機発光表示パネル100の面内屈折率が最も小さい方向での屈折率であり、
n
zpは、有機発光表示パネル100の厚さ方向での屈折率である。
【0105】
前述の関係式7においてn
xpとn
ypは完全に同一な場合以外に実質的に同一な場合も含まれ、例えばn
xpとn
ypの屈折率差が約0.001以下、例えば約0.01以下である場合、実質的に同一な場合と見ることができる。
【0106】
例えば、有機発光表示パネル100の厚さ方向位相遅延は約20nm〜200nmであってもよい。この範囲内で例えば約20nm〜100nmであってもよい。
【0107】
図5に示すように、本実施形態による有機発光装置は前述の実施形態と同様に、所定の光学異方性を有する有機発光表示パネル100、そして偏光子300と補償フィルム400を含む円偏光板200を含み、補償フィルム400は第1補償フィルム410と第2補償フィルム420を含む。しかし、前述の実施形態とは異なり、第1補償フィルム410は面内位相遅延が相異なる第3補償フィルム410aと第4補償フィルム410bを含む。
【0108】
第3補償フィルム410aは例えばλ/2位相遅延フィルムであってもよく、例えば約550nm波長の入射光に対して約220nm〜320nmの面内位相遅延R
eを有する。
【0109】
第4補償フィルム410bは例えばλ/4位相遅延フィルムであってもよく、例えば約550nm波長の入射光に対して約110nm〜160nmの面内位相遅延R
eを有する。
【0110】
第3補償フィルム410aと第4補償フィルム410bはそれぞれ前述の関係式8および9の屈折率を満足することができる。
【0111】
面内位相遅延が異なる第3補償フィルム410aと第4補償フィルム410bを共に使用して所定の位相遅延を容易に実現することによって視野角依存性および波長依存性を減らすことができる。
【0112】
第2補償フィルム420は例えば下記関係式10の屈折率を満足することができる。
[関係式10]
n
z2>n
x2=n
y2
上記関係式10において、
n
x2は、第2補償フィルム420の面内屈折率が最も大きい方向での屈折率であり、
n
y2は、第2補償フィルム420の面内屈折率が最も小さい方向での屈折率であり、
n
z2は、第2補償フィルム420の厚さ方向での屈折率である。
【0113】
前述の関係式10においてn
x2とn
y2は完全に同一な場合以外に実質的に同一な場合も含まれ、例えばn
x2とn
y2の屈折率差が約0.001以下、例えば約0.01以下である場合、実質的に同一な場合と見ることができる。
【0114】
第3および第4補償フィルム410a、410bと第2補償フィルム420は、それぞれ独立して、高分子、液晶またはこれらの組み合わせを含むことができる。例えば第3および第4補償フィルム410a、410bのうちの少なくとも一つは高分子フィルムを含み、第2補償フィルム420は液晶層を含むことができる。例えば第3および第4補償フィルム410a、410bと第2補償フィルム420はそれぞれ液晶層を含むことができる。例えば第3および第4補償フィルム410a、410bと第2補償フィルム420はそれぞれ高分子フィルムを含むことができる。
【0115】
有機発光表示パネル100は例えば下記関係式5および6の屈折率を満足する光学異方性を有する。
[関係式5]
n
xp>n
zp
[関係式6]
n
yp>n
zp
上記関係式5および6において、
n
xpは、有機発光表示パネル100の面内屈折率が最も大きい方向での屈折率であり、
n
ypは、有機発光表示パネル100の面内屈折率が最も小さい方向での屈折率であり、
n
zpは、有機発光表示パネル100の厚さ方向での屈折率である。
【0116】
例えば、有機発光表示パネル100は例えば下記関係式7の屈折率を満足する光学異方性を有する。
[関係式7]
n
xp=n
yp>n
zp
上記関係式7において、
n
xpは、有機発光表示パネル100の面内屈折率が最も大きい方向での屈折率であり、
n
ypは、有機発光表示パネル100の面内屈折率が最も小さい方向での屈折率であり、
n
zpは、有機発光表示パネル100の厚さ方向での屈折率である。
【0117】
前述の関係式7においてn
xpとn
ypは完全に同一な場合以外に実質的に同一な場合も含まれ、例えばn
xpとn
ypの屈折率差が約0.001以下、例えば約0.01以下である場合、実質的に同一な場合と見ることができる。
【0118】
例えば、有機発光表示パネル100の厚さ方向位相遅延は約20nm〜200nmであってもよい。この範囲内で例えば約20nm〜100nmであってもよい。
【0119】
図6に示すように、本実施形態による有機発光装置は、前述の実施形態と同様に、所定の光学異方性を有する有機発光表示パネル100、そして偏光子300と補償フィルム400を含む円偏光板200を含む。しかし、前述の実施形態とは異なり、補償フィルム400は下記関係式11または12の屈折率を満足する高分子フィルムであってもよい。
[関係式11]
n
x3>n
z3>n
y3
[関係式12]
n
z3≧n
x3>n
y3
上記関係式11および12において、
n
x3は、高分子フィルムの面内屈折率が最も大きい方向での屈折率であり、
n
y3は、高分子フィルムの面内屈折率が最も小さい方向での屈折率であり、
n
z3は、高分子フィルムの厚さ方向での屈折率である。
【0120】
この高分子フィルムは補償フィルム400の厚さ方向の位相遅延を大きくすることによって視野角依存性を減らすことができる。高分子フィルムは例えば所定の延伸率で二軸延伸して前述の関係式11および12を満足する屈折率を有するように準備される。例えば高分子フィルムは約1.1倍〜5.0倍の延伸率で二軸方向に延伸されるが、これに限定されるのではない。
【0121】
有機発光表示パネル100は例えば下記関係式5および6の屈折率を満足する光学異方性を有する。
[関係式5]
n
xp>n
zp
[関係式6]
n
yp>n
zp
上記関係式5および6において、
n
xpは、有機発光表示パネル100の面内屈折率が最も大きい方向での屈折率であり、
n
ypは、有機発光表示パネル100の面内屈折率が最も小さい方向での屈折率であり、
n
zpは、有機発光表示パネル100の厚さ方向での屈折率である。
【0122】
例えば、有機発光表示パネル100は例えば下記関係式7の屈折率を満足する光学異方性を有する。
[関係式7]
n
xp=n
yp>n
zp
上記関係式7において、
n
xpは、有機発光表示パネル100の面内屈折率が最も大きい方向での屈折率であり、
n
ypは、有機発光表示パネル100の面内屈折率が最も小さい方向での屈折率であり、
n
zpは、有機発光表示パネル100の厚さ方向での屈折率である。
【0123】
前述の関係式7においてn
xpとn
ypは完全に同一な場合以外に実質的に同一な場合も含まれ、例えばn
xpとn
ypの屈折率差が約0.001以下、例えば約0.01以下である場合、実質的に同一な場合と見ることができる。
【0124】
例えば、有機発光表示パネル100の厚さ方向位相遅延は約20nm〜200nmであってもよい。この範囲内で例えば約20nm〜100nmであってもよい。
【0125】
図7に示すように、本実施形態による有機発光装置は、前述の実施形態と同様に、所定の光学異方性を有する有機発光表示パネル100、そして偏光子300と補償フィルム400を含む円偏光板200を含む。しかし、前述の実施形態とは異なり、補償フィルム400は補償フィルム400の表面に対して斜めに傾斜した液晶430を含む液晶層を含む。ここで、補償フィルム400の表面に対して斜めに傾斜するとは補償フィルム400の表面に対して垂直にまたは水平に配向されないことを言い、前述の各液晶430は補償フィルム400の表面に対して0度超過〜90度未満の角度に傾いていてもよい。
【0126】
補償フィルム400の表面に対して液晶150aが傾いた角度(以下、‘傾斜角(tilt angle)'という)は補償フィルム400の厚さ方向に沿って変化してもよく、例えば液晶430の傾斜角は補償フィルム400の厚さ方向に沿って漸進的に変化してもよい。
【0127】
一例として、補償フィルム400が有機発光表示パネル100側に位置する第1面と偏光子300側に位置する第2面を有するとき、補償フィルム400の表面に対する液晶430の傾斜角は前述の第1面から第2面まで補償フィルム400の厚さ方向に沿って漸進的に大きくなってもよい。補償フィルム400は補償フィルム400の第1面側に位置する配向膜をさらに含むことができる。
【0128】
一例として、補償フィルム400が偏光子300側に位置する第1面と有機発光表示パネル100側に位置する第2面を有するとき、補償フィルム400の表面に対する液晶430の傾斜角は前述の第1面から第2面まで補償フィルム400の厚さ方向に沿って漸進的に大きくなってもよい。補償フィルム400は補償フィルム400の第1面側に位置する配向膜をさらに含むことができる。
【0129】
補償フィルム400の第1面に位置した液晶430の最小傾斜角は例えば約0度超過15度未満であってもよく、例えば約2度〜10度であってもよく、例えば約2度〜5度であってもよいが、これに限定されるのではない。
【0130】
補償フィルム400の第2面に位置した液晶430の最大傾斜角は例えば90度未満であってもよく、例えば約15度〜88度であってもよく、例えば約20度〜85度であってもよく、例えば約30度〜85度であってもよく、例えば約40度〜85度であってもよいが、これに限定されるのではない。
【0131】
このように斜めに傾斜した複数の液晶430を含み補償フィルム400の厚さ方向に沿って液晶430の傾斜角が変わることによって厚さ方向の位相遅延を大きくすることができる。したがって、全ての方向で円偏光効果を同一に実現することができ、これにより正面だけでなく側面でも外光反射を効果的に防止することができるので側面視認性を改善することができる。
【0132】
有機発光表示パネル100は例えば下記関係式5および6の屈折率を満足する光学異方性を有する。
[関係式5]
n
xp>n
zp
[関係式6]
n
yp>n
zp
上記関係式5および6において、
n
xpは、有機発光表示パネル100の面内屈折率が最も大きい方向での屈折率であり、
n
ypは、有機発光表示パネル100の面内屈折率が最も小さい方向での屈折率であり、
n
zpは、有機発光表示パネル100の厚さ方向での屈折率である。
【0133】
例えば、有機発光表示パネル100は例えば下記関係式7の屈折率を満足する光学異方性を有する。
[関係式7]
n
xp=n
yp>n
zp
上記関係式7において、
n
xpは、有機発光表示パネル100の面内屈折率が最も大きい方向での屈折率であり、
n
ypは、有機発光表示パネル100の面内屈折率が最も小さい方向での屈折率であり、
n
zpは、有機発光表示パネル100の厚さ方向での屈折率である。
【0134】
前述の関係式7において、n
xpとn
ypは完全に同一な場合以外に実質的に同一な場合も含まれ、例えばn
xpとn
ypの屈折率差が約0.001以下、例えば約0.01以下である場合、実質的に同一な場合と見ることができる。
【0135】
例えば、有機発光表示パネル100の厚さ方向位相遅延は約20nm〜200nmであってもよい。この範囲内で例えば約20nm〜100nmであってもよい。
【0136】
図2は、円偏光板の反射防止効果を示す概略図である。
【0137】
図2に示すように、外部から入射される非偏光の光(incident unpolarized light)は偏光子300を通過する際に二つの偏光直交成分のうちの一つの偏光直交成分、即ち、第1偏光直交成分のみが透過され、偏光された光は補償フィルム400を通過する際に円偏光に変化することができる。この円偏光された光は有機発光表示パネル100に含まれている金属電極などによって反射する際に円偏光方向が変わり、この円偏光された光が補償フィルム400を通過する際に二つの偏光直交成分のうちの他の一つの偏光直交成分、即ち、第2偏光直交成分のみが透過される。この第2偏光直交成分は偏光子300を通過せず外部に光が出ないので外光反射防止効果を有し得る。
【0138】
一方、前述のように補償フィルム400の位相遅延は有機発光表示パネル100の第1方向に対する位相遅延を考慮して光学設計されることによって有機発光表示パネル100の光学異方性によって有機発光表示パネル100と円偏光板200が結合された有機発光装置で反射率および反射色のうちの少なくとも一つが最小であるときの位相遅延との差が発生し反射防止効果が低下することを防止して、実際さらに効果的な反射防止効果を実現することができる。
【0139】
以下、実施例を通じて前述の実施形態をより詳細に説明する。但し、下記の実施例は単に説明の目的のためのものであり本発明の範囲を制限するのではない。
【0140】
[実施例]
円偏光板の製造
製造例1
市販のポリカーボネートフィルムR−140(λ/4位相遅延フィルム、カネカ社製造)を第1補償フイルムとして準備する。
【0141】
また、無延伸ポリカーボネートフィルムの上に垂直配向性液晶をスピンコーティングで塗布し先硬化する。その次に、液晶にUV(500mJ)を照射して液晶を硬化することによってn
z2>n
x2=n
y2の屈折率を満足する液晶層を含む第2補償フィルムを準備する。その次に第1補償フィルムと第2補償フィルムをPSA粘着剤を用いて結合して補償フィルムを準備する。その次に第1補償フィルムの一面に偏光板(SEG1425DU、日東電工社)を付着して円偏光板を製造する。
【0142】
第2補償フィルムの位相遅延は表1の通りであり、位相遅延はAxoscan装置(Axometrics社)を用いて測定し、測定波長範囲は400nm〜800nmであり、−60度〜60度を10度間隔で入射角を調節して測定する。
【0143】
製造例2〜6
液晶のスピンコーティングの回転数を異にして下記表1の位相遅延を有する第2補償フィルムを準備したことを除いて、製造例1と同様な方法で円偏光板を製造する。
【0145】
有機発光装置の製造
実施例1〜6
有機発光表示パネル(ギャラクシーS4パネル、三星ディスプレイ製造)の一面に製造例1〜6による円偏光板をそれぞれ付着して有機発光装置を製造する。
【0146】
基準例1〜6
製造例1〜6による円偏光板の一面に有機発光表示パネルの代わりに反射板を配置して比較サンプルを準備する。
【0147】
評価1
実施例1〜6による有機発光装置と基準例1〜6による比較サンプルの側面45度での反射色をそれぞれ測定して、最も小さい反射色を示す有機発光装置および比較サンプルを確認する。
【0148】
反射色はCIE−Lab色座標系を用いて
【0150】
と表記することができ、正数a
*は赤色、負数a
*は緑色、正数b
*は黄色、負数b
*は青色を示し、a
*とb
*の絶対値が大きいほど色が濃い程度を示し、小さい反射色値を有することは反射による色感が黒にさらに近く色感の変化が少ないことを示し、外光反射による視認性が良好であることを意味する。反射色はShimadzu Solid−state3700(製造社)を用いて測定する。
【0151】
その結果、実施例1〜6による有機発光装置のうちの実施例4による有機発光装置の反射色のばらつきが最も小さく色度が整頓されている反面、基準例1〜6による比較サンプルのうちの基準例1による比較サンプルの反射色のばらつきが最も小さく色度が整頓されていることを確認した。
【0152】
これから円偏光板の一面に実際の有機発光表示パネルを配置した場合と円偏光板の一面に反射板を配置した場合は最大の反射防止効果を発揮する補償フィルムの位相遅延が異なることを確認することができ、有機発光表示パネルは反射防止効果が最大である補償フィルムの位相遅延に影響を与えることができるのを確認することができる。
【0153】
これにより、有機発光装置の反射防止特性を実質的に改善するためには有機発光表示パネルの位相遅延を考慮して補償フィルムの位相遅延を光学設計することが必要であるのを確認することができる。
【0154】
補償フィルムの光学設計
前述の実施例の結果に基づいて、有機発光表示パネルの厚さ方向位相遅延を約60nm〜70nmに設定し、有機発光装置の反射率および/または反射色が最小になる位相遅延を有する補償フィルムを光学設計する。
【0155】
実施例7
シミュレーション光学設計のために、偏光板、n
x1>n
y1およびn
x1>n
z1の屈折率を満足する第1補償フィルム(R
e1=138nm)、n
z2>n
x2=n
y2の屈折率を満足する第2補償フィルムおよび有機発光表示パネルが順次に配置された有機発光装置の構造を設定し、第2補償フィルムの厚さ方向位相遅延による反射率および反射色を評価する。
【0156】
実施例8
シミュレーション評価のために、偏光板およびn
x3>n
z3>n
y3の屈折率を満足する補償フィルム(R
e1=138nm)および有機発光表示パネルが順次に配置された有機発光装置の構造を設定し、補償フィルムの厚さ方向位相遅延による反射率および反射色を評価する。
【0157】
実施例9
シミュレーション評価のために、偏光板、液晶補償フィルムおよび有機発光表示パネルが順次に配置された有機発光装置の構造を設定し、ここで液晶補償フィルムは
図7のように液晶補償フィルムの厚さ方向に沿って液晶の傾斜角が漸進的に変わる複数の液晶を含む構造を設定する。液晶の最大傾斜角による反射率および反射色を評価する。
【0158】
基準例7〜9
有機発光表示パネルの代わりに反射板が配置された構造に設定したことを除いて、実施例7〜9と同一な条件のシミュレーション評価をする。
【0159】
評価2
実施例7〜9と基準例7〜9による構造の反射率および反射色を評価する。反射率および反射色はLCD master(Shintech社)を用いてシミュレーション評価する。
【0160】
図8および
図9は実施例7による構造における第2補償フィルムの厚さ方向位相遅延による反射率および反射色を示すグラフであり、
図10および
図11は基準例7による構造における第2補償フィルムの厚さ方向位相遅延による反射率および反射色を示すグラフであり、
図12および
図13は実施例8による構造における補償フィルムの厚さ方向位相遅延による反射率および反射色を示すグラフであり、
図14および
図15は基準例8による構造における補償フィルムの厚さ方向位相遅延による反射率および反射色を示すグラフであり、
図16および
図17は実施例9による構造における液晶の最大傾斜角による反射率および反射色を示すグラフであり、
図18および
図19は基準例9による構造における液晶の最大傾斜角による反射率および反射色を示すグラフである。
【0161】
図8乃至
図11に示すように、実施例7による構造と基準例7による構造は反射率および/または反射色が最小になる位相遅延が異なるのを確認することができる。
【0162】
同様に、
図12〜
図15に示すように、実施例8による構造と基準例8による構造は反射率および/または反射色が最小になる位相遅延が異なるのを確認することができる。
【0163】
同様に、
図16〜
図19に示すように、実施例9による構造と基準例9による構造は反射率および/または反射色が最小になる液晶の最大傾斜角が異なるのを確認することができる。
【0164】
これにより、有機発光表示パネルの位相遅延を考慮して補償フィルムの位相遅延を設計することによって有機発光装置の反射防止効果を現実的且つ効果的に改善することができるのを確認することができる。
【0165】
以上、好ましい実施例について説明したが、本発明はこれに限定されるのではなく特許請求の範囲と発明の詳細な説明および添付した図面の範囲内で多様に変形して実施することが可能であり、これも本発明の範囲に属するのは当然である。