新たなコンテンツ画像に表示を切り替えた後に、利用者の所望の姿勢における視野領域の中心位置と、新たなコンテンツ画像の初期方向の位置と関係の初期化を簡易に行うことができる画像表示装置を提供する。
アジャストボタン(表示方向調整ボタン)が選択されると、表示制御部121が、視野領域内の画像に関する方向調整を行う。かかる方向調整に際して、表示制御部121は、所定時間の経過時点における視野領域の中心位置と、表示中の画像について予め定義されている初期方向の位置との関係を初期化し、初期化された関係を有する位置の画像を、視野領域内画像として表示部125に表示させる。この結果、利用者が表示中の画像について予め定義されている初期方向の位置との関係が初期化された画像が、視野領域内画像として利用者に提供される。
前記表示制御部は、前記表示方向調整ボタンの領域を、前記視野領域の中心位置の上方及び下方のいずれか一方側に設定する、ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の画像表示装置。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態を、
図1〜
図13を参照して説明する。なお、以下の説明及び図面においては、同一又は同等な要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0021】
[構成]
図1(A)に示されるように、一実施形態に係る画像表示装置100は、ゴーグル型の装置となっている。この画像表示装置100は、筐体部材110と、表示処理装置120とを備えている。利用者は、画像表示装置100を手に保持して、画像表示装置100の後方側を顔の両眼部に押し当てつつ、頭部の姿勢を変化させることにより、仮想現実画像による仮想現実感を味わえるようになっている。
【0022】
上記の筐体部材110は、例えば、プラスチック製の部材となっている。筐体部材110は、この
図1(B)に示されるように、枠部材111と、遮眼部材112と、蓋部材113とを備えている。
【0023】
上記の枠部材111は、筒状部材となっている。この枠部材111には、遮眼部材112が固定されるとともに、蓋部材113が連結されている。
【0024】
上記の遮眼部材112は、前後方向及び上下方向に延びる平板状部材であり、枠部材111の中央部に固定されている。遮眼部材112により、利用者の左眼にとっては表示処理装置120における表示面DSPの左眼用領域が可視となるとともに、利用者の右眼にとっては表示処理装置120における表示面DSPの右眼用領域が可視となる。
【0025】
上記の蓋部材113は、枠部材111の前方の下縁部に、開閉可能に連結されている。この蓋部材113には、表示処理装置120が着脱可能に取り付けられる。そして、表示処理装置120が取り付けられた状態で、蓋部材113を枠部材111に対して閉じることにより、上述した
図1(A)に示される状態となる。
【0026】
なお、
図2(A)に示されるように、表示処理装置120における表示面DSPの左眼用領域LVPには、左眼用画像が表示される。また、表示処理装置120における表示面DSPの右眼用領域RVPには、右眼用画像が表示される。かかる左眼用画像を左眼で視るとともに、右眼用画像を右眼で視ることにより、
図2(B)に示されるように、視野領域VSP内画像として立体感のある両眼視画像を視ることができるようになっている。
【0027】
<表示処理装置120の構成>
次に、上記の表示処理装置120の構成について説明する。
【0028】
この表示処理装置120は、
図3に示されるように、表示制御部121と、記憶部122とを備えている。また、表示処理装置120は、姿勢変化量検出部123と、無線通信部124と、表示部125とを備えている。
【0029】
上記の表示制御部121は、表示処理装置120の全体を統括制御する。なお、表示制御部121については、後述する。
【0030】
上記の記憶部122は、不揮発性の記憶素子を備えて構成されている。この記憶部122には、表示制御部121が利用する様々な情報データが記憶される。かかる情報データには、表示制御部121が実行するプログラム、表示用データIMD等が含まれている。この記憶部122には、表示制御部121がアクセス可能となっている。
【0031】
なお、表示用データIMDの内容については、後述する。
【0032】
上記の姿勢変化量検出部123は、3次元ジャイロセンサ等を備えて構成されている。この姿勢変化量検出部123は、各時点の3次元角速度を検出する。姿勢変化量検出部123による検出結果は、表示制御部121へ送られる。
【0033】
上記の無線通信部124は、ネットワークを介して、外部のサーバ装置との間で通信を行う。本実施形態では、無線通信部124を利用することにより、表示制御部121が、外部のコンテンツサーバと通信し、表示用データをダウンロードするようになっている。
【0034】
上記の表示部125は、液晶ディスプレイ等の表示デバイスを備えて構成されている。この表示デバイスの表示面が、上述した表示面DSPとなっている。
【0035】
この表示部125は、表示制御部121から送られた画像データを受ける。そして、表示部125は、当該画像データに従って、画像を表示する。
【0036】
ここで、記憶部122に記憶される表示用データIMDについて説明する。この表示用データIMDは、
図4に示されるように、メニュー画像データMNDと、コンテンツ画像データCTDとを含んでいる。
【0037】
上記のメニュー画像データMNDは、第1領域データFMDと第2領域データSMDとを含んでいる。ここで、第1領域データFMDは、本実施形態では、後述する個別コンテンツ画像データCTD
j(j=1,…,N)に対応する個別コンテンツ画像を選択するためソフトボタン画像、及び、後述する個別コンテンツ画像が表示されているときに、個別コンテンツ画像の表示について予め定義された初期方向の位置と、視野内画像の中心位置との関係の初期化するモードを選択するためソフトボタン画像を含むメニュー選択画像を表示するためデータである。
【0038】
また、第2領域データSMDは、メニュー選択画像の表示中における視野内画像の表示制御ボタンの画像を、メニュー選択画像に重ねて表示するための画像である。ここで、表示制御ボタンとしては、本実施形態では、アジャストボタン及びバックボタンの2種類としている。メニュー選択画像におけるアジャストボタンは、視野内画像の中心位置を、メニュー選択画像について予め定義された初期方向の位置に設定するためのボタンである。また、メニュー選択画像におけるバックボタンは、表示中のメニュー画像よりも1段階前に表示対象となっていた画像の表示に戻るためのボタンである。
【0039】
上記のコンテンツ画像データCTDは、個別コンテンツ画像データCTD
j(j=1,…)を含んでいる。
【0040】
個別コンテンツ画像データCTD
jは、第1領域データFCD
jと第2領域データSCD
jとを備えている。ここで、第1領域データFCD
jは、横方向が現実の水平方向に対応している360°画像のデータとなっている。
【0041】
また、第2領域データSCD
jは、個別コンテンツ画像データCTD
jに基づく360°画像の表示中における視野内画像の表示制御ボタンの画像を、当該360°画像に重ねて表示するための画像である。ここで、表示制御ボタンとしては、本実施形態では、上述した第2領域データSMDの場合と同様に、アジャストボタン及びバックボタンの2種類としている。なお、以下においては、当該360°画像と、表示制御ボタンの画像とを併せた画像を、「個別コンテンツ画像」と呼ぶ。
【0042】
個別コンテンツ画像におけるアジャストボタンは、視野内画像の中心位置と、表示中の個別コンテンツ画像について予め定義された初期方向の位置との関係を初期化するためのボタンである。また、個別コンテンツ画像におけるバックボタンは、表示中の個別コンテンツ画像よりも1段階前に表示対象となっていた画像の表示に戻るためのボタンである。
【0043】
ここで、表示中の個別コンテンツ画像について予め定義された初期方向の位置と、視野内画像の中心位置との関係を初期化するモードとして、次の(a)及び(b)のいずれかを選択できるようになっている。
(a)利用者が直立時の正面方向と直交する水平方向をピッチ軸方向とし、鉛直方向をヨー軸方向とした場合に、初期化後の姿勢での視線方向のヨー角成分値にかかわらず、視野領域における横方向に関する中心位置が、個別コンテンツ画像の初期方向位置の横方向座標位置となるとともに、視野領域における上下方向に関する中心位置が、視線方向のピッチ角成分値に対応する個別コンテンツ画像における上下方向座標位置となる第1関係とする初期化を行う「通常モード」
(b)初期化後の視野領域の中心位置が個別コンテンツ画像について予め定義されている初期方向の位置となる第2関係とする初期化を行う「寝転びモード」
【0044】
本実施形態では、第1領域データFMDに基づいて表示されるメニュー選択画像を利用して、利用者が表示を希望する個別コンテンツ画像データに対応する個別コンテンツ画像を選択する。ここで、メニュー選択画像は、個別コンテンツ画像とは異なる階層の画像となっている。このため、頭部や体の姿勢に応じた画像表示装置100の姿勢がどのような姿勢であっても、視野領域VSP内にメニュー選択画像を表示できるようになっている。
【0045】
ここで、メニュー画像データMNDに基づくメニュー選択画像の領域構成、及び、個別コンテンツ画像データCTD
jに基づく360°画像の領域構成について説明する。なお、以下の説明においては、予め定義されている初期方向を、横方向0°及び上下方向0°として説明する。
【0046】
図5には、メニュー画像データMNDに基づくメニュー選択画像の領域構成が示されている。この
図5に示されるように、本実施形態では、メニュー選択画像の全体領域である第1領域FMAには、メイン領域MMA及び2個の第2領域SMA
1,SMA
2が含まれている。
【0047】
ここで、第1領域FMAは、横方向範囲が(−θ)〜θ(θ<180°)の範囲であるとともに、上下方向範囲が(−φ)〜φ(φ<180°)の範囲となっている。また、メイン領域MMAは、横方向範囲が(−θ)〜θの範囲であるとともに、上下方向範囲が(−ψ
M)〜ψ
M(ψ
M<φ)の範囲となっている。
【0048】
さらに、第2領域SMA
1は、メイン領域MMAの上方向に配置された領域であり、横方向範囲が(−θ)〜θの範囲であるとともに、上下方向範囲がψ
M〜φの範囲となっている。また、第2領域SMA
2は、メイン領域MMAの下方向に配置された領域であり、横方向範囲が(−θ)〜θの範囲であるとともに、上下方向範囲が(−ψ
M)〜(−φ)の範囲となっている。
【0049】
なお、メイン領域MMAの上下方向幅は、視野領域VSPの上下方向幅よりも広くなっている。また、メイン領域MMA及び第2領域SMA
1,SMA
2の横方向幅は、視野領域VSPの横方向幅よりも広くなっている。
【0050】
また、
図6には、個別コンテンツ画像データに基づく個別コンテンツ画像の領域構成が示されている。この
図6に示されるように、本実施形態では、個別コンテンツ画像の全体領域である第1領域FCAには、メイン領域MCA及び2個の第2領域SCA
1,SCA
2が含まれている。
【0051】
ここで、第1領域FCAは、横方向範囲が(−180°)〜180°の範囲であるとともに、上下方向範囲も(−180°)〜180°の範囲となっている。また、メイン領域MCAは、横方向範囲が(−180°)〜180°の範囲であるとともに、上下方向範囲が(−ψ
C)〜ψ
C(ψ
C<180°)の範囲となっている。
【0052】
さらに、第2領域SCA
1は、メイン領域MCAの上方向に配置された領域であり、横方向範囲が(−180°)〜180°の範囲であるとともに、上下方向範囲がψ
C〜180°の範囲となっている。また、第2領域SCA
2は、メイン領域MCAの下方向に配置された領域であり、横方向範囲が(−180°)〜180°の範囲であるとともに、上下方向範囲が(−ψ
C)〜(−180°)の範囲となっている。
【0053】
なお、メイン領域MCAの上下方向幅は、視野領域VSPの上下方向幅よりも広くなっている。また、メイン領域MCA及び第2領域SCA
1,SCA
2の横方向幅は、視野領域VSPの横方向幅よりも広くなっている。
【0054】
図3に戻り、表示制御部121について説明する。この表示制御部121は、中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)を備えて構成されている。表示制御部121は、様々なプログラムを実行することにより、以下の処理を実行するようになっている。
【0055】
[表示制御部121による表示制御処理]
表示制御部121は、無線通信部124を利用して、外部のサーバ装置との間で通信を行って、表示用データをダウンロードする。そして、表示制御部121は、ダウンロードした表示用データを、表示用データIMDとして、記憶部122に格納する。
【0056】
また、表示制御部121は、メニュー選択画像の表示が指定されると、メニュー画像データMNDに基づいて、メニュー選択画像の表示用の画像データを生成する。そして、表示制御部121は、生成された当該画像データを表示部125へ送る。この結果、表示部125の表示画面DSPには、メニュー選択画像が表示される。
【0057】
なお、個別コンテンツ画像の表示中にもメニュー選択画像の表示が可能となっている。個別コンテンツ画像の表示中にメニュー選択画像の表示が指定されると、視野領域VSP内に表示中の個別コンテンツ画像に重ねて、メニュー選択画像が視野領域VSP内に表示されるようになっている。
【0058】
また、表示されたメニュー選択画像を利用して、後述するようにして個別コンテンツ画像の1つが選択されると、表示制御部121は、選択された個別コンテンツ画像について定義された初期方向の位置が、視野領域VSPの中心位置となる態様の画像データを生成する。そして、表示制御部121は、生成された当該画像データを表示部125へ送る。この結果、選択された個別コンテンツ画像について定義された初期方向の位置が視野領域VSPの中心位置となっている態様の画像が、表示部125の表示画面DSPに表示される。
【0059】
選択された個別コンテンツ画像の表示開始後、頭部や体の姿勢が変化して画像表示装置100の姿勢が変化すると、当該変化に対応する3次元角速度が、姿勢変化量検出部123により検出され、検出結果が表示制御部121へ逐次送られる。かかる姿勢変化量検出部123による検出結果を受けると、表示制御部121は、画像表示装置100の姿勢の変化を算出する。そして、表示制御部121は、算出された姿勢に対応する視野領域VSPを特定し、特定された視野領域VSP内画像の画像データを生成する。そして、表示制御部121は、生成された当該画像データを表示部125へ送る。この結果、画像表示装置100の姿勢に対応する視野領域VSP内の画像が、表示部125の表示画面DSPに表示される。
【0060】
<視野領域VSPと表示制御ボタン領域との位置関係>
次に、個別コンテンツ画像の表示中において、画像表示装置100の姿勢が変化した場合の視野領域と、第2領域SCA
1におけるアジャスト(ADJ)ボタン領域及び第2領域SCA
2におけるバック(BACK)ボタン領域との関係について説明する。
【0061】
個別コンテンツ画像の表示の当初には、
図7(A)に示されるように、表示制御部121は、視野領域VSPを、視野領域VSPの中心が個別コンテンツ画像の初期方向の位置となるメイン領域MCA内の位置に設定する。また、表示制御部121は、視野領域VSPの中心位置の上方の第2領域SCA
1内の位置にアジャストボタン領域ABAを設定する。さらに、表示制御部121は、視野領域VSPの中心位置の下方の第2領域SCA
2内の位置にバックボタン領域BBAを設定する。
【0062】
図7(A)に示される状態から、例えば、画像表示装置100の姿勢が右方向に変化すると、表示制御部121は、
図7(B)に示されるように、視野領域VSPを、メイン領域MCA内で右側へ移動させる。また、表示制御部121は、視野領域VSPの中心位置の上方の第2領域SCA
1内の位置であることが維持されるように、アジャストボタン領域ABAを、第2領域SCA
1内で右側へ移動させる。さらに、表示制御部121は、視野領域VSPの中心位置の下方の第2領域SCA
2内の位置であることが維持されるように、バックボタン領域BBAを、第2領域SCA
2内で右側へ移動させる。
【0063】
なお、図示を省略しているが、
図7(A)に示される状態から画像表示装置100の姿勢が左方向に変化すると、表示制御部121は、視野領域VSPを、第1領域FCA内で左側へ移動させる。また、表示制御部121は、視野領域VSPの中心位置の上方の第2領域SCA
1内の位置であることが維持されるように、アジャストボタン領域ABAを、第2領域SCA
1内で左側へ移動させる。さらに、表示制御部121は、視野領域VSPの中心位置の下方の第2領域SCA
2内の位置であることが維持されるように、バックボタン領域BBAを、第2領域SCA
2内で左側へ移動させる。
【0064】
すなわち、画像表示装置100の姿勢が横方向に変化すると、表示制御部121は、視野領域VSP、アジャストボタン領域ABA及びバックボタン領域BBAを連動させて、姿勢変化量に対応した移動量だけ横方向へ移動させる。
【0065】
一方、
図7(A)を再掲する
図8(A)に示される状態から、例えば、画像表示装置100の姿勢が上方向に変化すると、表示制御部121は、
図8(B)に示されるように、視野領域VSPを上方へ移動させる。この場合、表示制御部121は、アジャストボタン領域ABAの設定位置及びバックボタン領域BBAの設定位置を変化させずに、維持する。
【0066】
なお、図示を省略しているが、
図8(A)に示される状態から画像表示装置100の姿勢が下方向に変化すると、表示制御部121は、視野領域VSPを下方へ移動させる。この場合にも、表示制御部121は、アジャストボタン領域ABAの設定位置及びバックボタン領域BBAの設定位置を変化させない。
【0067】
すなわち、画像表示装置100の姿勢が上下方向に変化すると、表示制御部121は、視野領域VSPを、姿勢変化量に対応した移動量だけ上下方向へ移動させる。一方、画像表示装置100の姿勢が上下方向に変化しても、アジャストボタン領域ABAの設定位置及びバックボタン領域BBAの設定位置を変化させない。
【0068】
なお、メニュー選択画像の表示中において、画像表示装置100の姿勢が変化した場合の視野領域と、第2領域SCA
1におけるアジャスト(ADJ)ボタン領域及び第2領域SCA
2におけるバック(BACK)ボタン領域との関係は、上述した個別コンテンツ画像の表示中の場合と同様である。
【0069】
<アジャストボタン選択処理>
次いで、表示制御部121によるアジャストボタン選択処理について説明する。
【0070】
例えば、
図9(A)に示されるように視野領域VSP内の全領域にメイン領域内画像が表示されている状態で、アジャストボタンを選択するために、画像表示装置100の姿勢を上方に変化させていくと、表示制御部121は、視野領域VSPが上方に変化する画像データを生成し、生成された画像データを表示部125へ送る。この結果、表示部125には、視野領域VSPが上方に変化する態様の画像が表示される。そして、
図9(B)に示されるように、視野領域VSP内の上方部分にアジャストボタン画像が薄く画像として登場する。
【0071】
図9(B)の状態から、画像表示装置100の姿勢を更に上方に変化し、視野領域VSPの中心位置がメイン領域画像よりも上方となると、表示制御部121は、アジャストボタン画像を通常表示するとともに、視野領域VSPの中心位置にカーソル像(図における黒塗り十字像)を表示する画像データを生成し、生成された画像データを表示部125へ送る。この結果、視野領域VSP内に、
図10(A)に示される画像が表示される。
【0072】
図10(A)の状態から、画像表示装置100の姿勢を更に上方に変化し、視野領域VSPの中心位置(すなわち、カーソル位置)が、アジャストボタン領域内に達すると、表示制御部121は、アジャストボタン画像を強調表示する画像データを生成し、生成された画像データを表示部125へ送る。この結果、視野領域VSP内に、アジャストボタン画像が強調表示された画像が、視野領域VSP内に表示される。
【0073】
この後、カーソル位置がアジャストボタン領域内にある状態が、第1所定時間(例えば、3秒)にわたって継続すると、表示制御部121は、アジャストボタンが選択されたと判断して、所望の姿勢への変更を促すメッセージを表示する画像データを生成し、生成された画像データを表示部125へ送る。この結果、視野領域VSP内に、
図10(B)に示される画像が表示される。
【0074】
なお、第1所定時間は、アジャストボタンの誤選択の防止観点から、実験、シミュレーション、経験等に基づいて、予め定められる。
【0075】
この後、第2所定時間(例えば、3秒)が経過すると、表示中の個別コンテンツ画像の視野領域VSPへの表示開始前に選択された初期化モードに応じて、表示制御部121は、表示中の第1領域画像の初期方向の位置と、視野領域VSPの中心位置との関係が初期化される。そして、表示制御部121は、当該初期化された関係に従って画像データを生成し、生成された画像データを表示部125へ送る。この結果、視野領域VSP内に、
図10(C)に示される画像が表示される。
【0076】
なお、第2所定時間は、所望の姿勢への変更時間を確保するとの観点から、実験、シミュレーション、経験等に基づいて、予め定められる。
【0077】
図11(A)には、第1領域画像が個別コンテンツ画像であり、初期化モードが「通常モード」であるときに初期化が行われた場合における、表示中の第1領域画像の初期方向の位置と、視野領域VSPの中心位置との関係が示されている。また、
図11(B)には、第1領域画像が個別コンテンツ画像であり、初期化モードが「寝転びモード」であるときに初期化が行われた場合における、表示中の第1領域画像の初期方向の位置と、視野領域VSPの中心位置との関係が示されている。
【0078】
図11(A)に示されるように、「通常モード」の初期化が行われると、利用者にとっての直立時の正面方向をロール軸方向とし、水平方向をピッチ軸方向とし、鉛直方向をヨー軸方向とした場合に、初期化後の姿勢での視線方向のヨー角成分値にかかわらず、視野領域VSPにおける横方向に関する中心位置(中心点VSCの横方向位置)が、表示中の第1領域画像における横方向座標に関する中心位置(θ=0°に対応する横方向座標位置)となる。また、初期化後の姿勢での視野領域における上下方向座標に関する中心位置(中心点VSCの上下方向位置)が、視線方向のピッチ角成分値(ψ=ψ
I)に対応する第1領域画像における上下方向座標位置となる。
【0079】
また、
図11(B)に示されるように、「寝転びモード」の初期化が行われると、初期化後の視野領域VSPの中心位置VSCが、表示中の第1領域画像の中心位置((θ=0°,ψ=0°)に対応する位置)である初期方向の位置となる。なお、第1領域画像がメニュー用画像である場合に、アジャストボタンの選択による初期化が行われた場合には、
図11(B)の場合と同様に、初期化後の視野領域VSPの中心位置VSCが、表示中の第1領域画像の中心位置((θ=0°,ψ=0°)に対応する位置)である初期方向の位置となる。
【0080】
<バックボタン選択処理>
次いで、表示制御部121によるバックボタン選択処理について説明する。
【0081】
例えば、
図12(A)に示されるように視野領域VSP内の全領域にメイン領域内画像が表示されている状態で、バックボタンを選択するために、画像表示装置100の姿勢を下方に変化させていくと、表示制御部121は、視野領域VSPが下方に変化する画像データを生成し、生成された画像データを表示部125へ送る。この結果、表示部125には、視野領域VSPが下方に変化する態様の画像が表示される。そして、
図12(B)に示されるように、視野領域VSP内の下方部分にバックボタン画像が薄く画像として登場する。
【0082】
図12(B)の状態から、画像表示装置100の姿勢を更に下方に変化し、視野領域VSPの中心位置がメイン領域内画像よりも下方となると、表示制御部121は、バックボタン画像を通常表示するとともに、視野領域VSPの中心位置にカーソル像を表示する画像データを生成し、生成された画像データを表示部125へ送る。この結果、視野領域VSP内に、
図13(A)に示される画像が表示される。
【0083】
図13(A)の状態から、画像表示装置100の姿勢を更に下方に変化し、視野領域VSPの中心位置(すなわち、カーソル位置)が、バックボタン領域内に達すると、表示制御部121は、バックボタン画像を強調表示するとともに、バックボタンの選択と判断し、前段階画像へ戻る旨のメッセージを表示する画像データを生成し、生成された画像データを表示部125へ送る。この結果、視野領域VSP内に、
図13(B)に示される画像が表示される。
【0084】
この後、第3所定時間(例えば、3秒)が経過すると、表示制御部121は、前段階画像の初期方向の位置が視野領域VSPの中心位置となる画像データを生成し、生成された画像データを表示部125へ送る。この結果、視野領域VSP内に、
図13(C)に示される画像が表示される。
【0085】
なお、第3所定時間は、バックボタンの誤選択の防止観点から、実験、シミュレーション、経験等に基づいて、予め定められる。
【0086】
表示中の画像がメニュー選択画像である場合も、上述した表示中の画像が個別コンテンツ画像の場合と同様に、アジャストボタン選択処理及びバックボタン選択処理が実行される。
【0087】
以上説明したように、本実施形態では、アジャストボタン(表示方向調整ボタン)が選択されると、表示制御部121が、視野領域内の画像に関する方向調整を行う。かかる方向調整に際して、表示制御部121は、所定時間の経過時点における視野領域の中心位置と、表示中の画像について予め定義されている初期方向の位置との関係を初期化し、当該初期化の関係に対応して定まる画像を、視野領域内画像として表示部125に表示させる。
【0088】
ここで、本実施形態では、第1画像が、横方向が現実の水平方向に対応している個別コンテンツ画像である場合には、利用者の所望の姿勢における視野領域の中心位置と、個別コンテンツの初期方向の位置との初期化関係として、下記の(A)及び(B)のいずれかを選択できるようになっている。
【0089】
(A)利用者が直立時の正面方向と直交する水平方向をピッチ軸方向とし、鉛直方向をヨー軸方向とした場合に、所定時間の経過時点における姿勢での視線方向のヨー角成分値にかかわらず、視野領域における横方向に関する中心位置が、個別コンテンツ画像について予め定義されている初期方向の位置の横方向座標位置となるとともに、視野領域における上下方向に関する中心位置が、視線方向のピッチ角成分値に対応する個別コンテンツ画像における上下方向座標位置となる第1関係、
(B)所定時間の経過時点における視野領域の中心位置が、個別コンテンツ画像について予め定義されている初期方向の位置となる第2関係
【0090】
上述の(A)の関係が選択されている場合には、現実の姿勢において利用者が感じる水平感覚が反映された対応する関係を維持しつつ、所望の姿勢における視野領域の横方向に関する中心位置が、個別コンテンツ画像における横方向に関する中心位置となる個別コンテンツ画像の部分が、視野領域内画像として、表示部に表示される。このため、例えば、仰向けに寝転がった状態で、天空方向を向いている感覚を維持しつつ、頭部の姿勢を変化させて所望の天空領域の星空の画像を鑑賞しようとする場合等にも好適に利用することができる。
【0091】
また、上述の(B)の関係が選択されている場合には、現実の姿勢において利用者が感じる水平感覚が反映された対応する関係は維持されない。しかしながら、利用者にとって楽な姿勢(例えば、仰向けに寝転がった状態)で、個別コンテンツ画像の初期方向位置を中心とする領域の画像を、頭部の姿勢を変化させて鑑賞しようとする場合等に好適に利用することができる。
【0092】
したがって、本実施形態によれば、新たな画像に表示を切り替えた後に、利用者の所望の姿勢における視野領域の中心位置と、新たな画像の初期方向の位置との関係の初期化を簡易に行うことができる。
【0093】
また、本実施形態では、メニュー用画像が表示されている場合には、初期化後の関係を上述した第2関係としている。このため、メニュー用画像の表示中にアジャストボタンが選択されると、視野領域における表示画像の中心位置がメニュー用画像の中心位置となる。この結果、メニュー選択がしやすい画像を、視野領域内画像として表示することができる。
【0094】
また、本実施形態では、表示制御部121は、アジャストボタンの領域を、視野領域VSPの中心位置の上方側に設定する。このため、アジャストボタンの選択の際には、上方を向くという簡単な姿勢変更により、アジャストボタンを選択することができる。
【0095】
[実施形態の変形]
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
【0096】
例えば、上記の実施形態では、アジャストボタン領域を視野領域の上方とし、バックボタン領域を視野領域の下方とした。これに対し、アジャストボタン領域を視野領域の下方とし、バックボタン領域を視野領域の上方としてもよい。
【0097】
また、上記の実施形態では、表示制御ボタンを、アジャストボタン及びバックボタンの2種類としたが、他の種類の表示制御ボタンを追加してもよい。
【0098】
また、上記の実施形態における個別コンテンツ画像を360°画像としたが、他の種類の画像としてもよい。さらに、個別コンテンツ画像は、動画であってもよいし、静止画であってもよい。
【0099】
また、上記の実施形態では、個別コンテンツ画像について予め定められている初期方向を、横方向0°及び上下方向0°としたが、他の任意の方向を初期方向とするようにしてもよい。
【0100】
また、上記の実施形態では、利用者の左眼にとっては表示処理装置120における表示面DSPの左眼用領域を可視とするとともに、利用者の右眼にとっては表示処理装置120における表示面DSPの右眼用領域を可視とするために、遮眼部材112のみを用いるようにした。これに対し、レンズ系を含む光学系を更に用いるようにしてもよい。
【0101】
また、上記の実施形態では、表示用データを外部のサーバ装置からダウンロードするようにしたが、USBメモリ等の可搬形の記憶装置を利用して、画像表示装置に提供するようにしてもよい。
【0102】
また、上記の実施形態では、表示用データを外部のサーバ装置からダウンロードするようにした。これに対し、USBメモリ等の可搬形の記憶装置を利用して、表示用データを画像表示装置に提供するようにしてもよい。また、連続した画像の形式であるストリーミング形式で、表示用データを画像表示装置に提供するようにしてもよい。
【0103】
また、上記の実施形態では、画像表示装置の内部に保持される表示用データの種類の数を1個としたが、複数個としてもよい。この場合には、表示用データを選択するためのメニュー選択画像が必要となるが、かかる場合も上記の実施形態と同様の表示及び選択の制御を行うようにすればよい。
【0104】
また、上記の実施形態の表示処理装置としては、スマートフォン等の汎用的な装置を採用することができる。なお、表示処理装置は、スマートフォンに限定されない。
【0105】
また、上記の実施形態では、表示処理装置を筐体部材に着脱自在に取り付けるようにしたが、表示処理装置を筐体部材に固定的に取り付けるようにしてもよい。
【0106】
なお、本発明をヘッドマウントディスプレイとして機能する任意の画像表示装置に適用することができるのは、勿論である。