【解決手段】透明基材を備える透明導電膜用基板であって、前記透明基材の一方の面側に、粘着剤層及びセパレータ層がこの順に設けられており、前記粘着剤層に対する前記セパレータ層の23℃50%RHにおける15度剥離力が、2.00N/25mm幅以上(剥離速度50mm/min)であることを特徴とする、透明導電膜用基板。
ハードコート層、指紋付着防止層、防汚層、アンチブロッキング層、アンチグレア層、反射防止層、紫外線吸収層、ニュートンリング抑制層、及びインデックスマッチング層よりなる群から選択される少なくとも1種の機能層をさらに備える、
請求項1に記載の透明導電膜用基板。
ハードコート層、指紋付着防止層、防汚層、アンチブロッキング層、アンチグレア層、反射防止層、紫外線吸収層、ニュートンリング抑制層、及びインデックスマッチング層よりなる群から選択される少なくとも1種の機能層をさらに備え、
前記透明基材の他方の面側に、前記機能層及び前記透明導電膜がこの順に設けられている、
請求項5に記載のタッチパネル用基板。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、液晶表示装置の薄膜化がさらに進展し、液晶表示装置に用いる各種部材においても薄膜化が強く要請されている。かかる背景の下、透明導電膜用基板の薄膜化においては、厚みの薄い透明基板の採用が検討されている。
【0007】
しかしながら、透明導電膜用基板の透明基材を単に薄膜化すると、透明基材の腰が弱くなるため、種々の製造トラブルを引き起こす。例えば、ハードコート層等の機能層の塗布形成時における機能層の熱収縮や、透明導電膜の形成時に印加される熱により、透明基材の熱変形が生じ易くなり、得られる積層体の平面性或いは表面平滑性が損なわれる。そのため、透明基材、透明導電膜、各種機能層(ハードコート層、指紋付着防止層、防汚層、アンチブロッキング層、アンチグレア層、反射防止層、紫外線吸収層、ニュートンリング抑制層、及びインデックスマッチング層等)の位置合わせが困難となり、例えば貼り合せの際に皺が生じ易くなる。また、上記の透明導電膜用基板やタッチパネル用基板を保存又は搬送するにあたり、表面保護等の観点からこれらの最表面に易剥離可能な保護フィルム(セパレータ層)を設ける場合、セパレータ層の外周縁部において意図せぬ部分剥離が生じるという問題もあった。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものである。すなわち本発明の目的は、透明基板を薄膜化しても、取扱性が良好で、各層の精密な積層形成が可能な、透明導電膜用基板及びこれを用いたタッチパネル用基板を提供することにある。また、本発明の別の目的は、上記の透明導電膜用基板及びタッチパネル用基板を作製するために殊に有用な、透明粘着基材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決するべく鋭意検討した。その結果、透明基材を備える透明導電膜用基板において、透明基材の少なくとも一方の面側に、所定の粘着剤層及びセパレータ層を設けることにより、上記課題が解決されることを見出し、本発明に到達した。
【0010】
すなわち、本発明は、以下(1)〜(7)に示す具体的態様を提供する。
(1)透明基材を備える透明導電膜用基板であって、前記透明基材の一方の面側に、粘着剤層及びセパレータ層がこの順に設けられており、前記粘着剤層に対する前記セパレータ層の23℃50%RHにおける15度剥離力が、2.00N/25mm幅以上(剥離速度50mm/min)であることを特徴とする、透明導電膜用基板。
(2)ハードコート層、指紋付着防止層、防汚層、アンチブロッキング層、アンチグレア層、反射防止層、ニュートンリング抑制層、及びインデックスマッチング層よりなる群から選択される少なくとも1種の機能層をさらに備える、上記(1)に記載の透明導電膜用基板。
(3)前記透明基材が、10〜150μmの厚みを有する、上記(1)又は(2)に記載の透明導電膜用基板。
(4)前記粘着剤層に対する前記セパレータ層の23℃50%RHにおける90度剥離力が、剥離速度150mm/minにおいて0.05N/25mm幅以上である、上記(1)〜(3)のいずれか一項に記載の透明導電膜用基板。
【0011】
(5)透明導電膜、透明基材を備えるタッチパネル用基板であって、前記透明基材の一方の面側に、粘着剤層及びセパレータ層がこの順に設けられており、前記透明基材の他方の面側に、前記透明導電膜が設けられており、前記粘着剤層に対する前記セパレータ層の23℃50%RHにおける15度剥離力が、2.00N/25mm幅以上(剥離速度50mm/min)であることを特徴とする、タッチパネル用基板。
(6)ハードコート層、指紋付着防止層、防汚層、アンチブロッキング層、アンチグレア層、反射防止層、紫外線吸収層、ニュートンリング抑制層、及びインデックスマッチング層よりなる群から選択される少なくとも1種の機能層をさらに備え、前記透明基材の他方の面側に、前記機能層及び前記透明導電膜がこの順に設けられており、上記(5)に記載のタッチパネル用基板。
(7)粘着剤層と、該粘着剤層の一方の面側及び他方の面側に設けられたセパレータ層とを備える透明導電膜用の透明粘着基材であって、前記粘着剤層に対する前記一方の面側に設けられた前記セパレータ層の23℃50%RHにおける15度剥離力が、2.00N/25mm幅以上(剥離速度50mm/min)であることを特徴とする、透明導電膜用の透明粘着基材。
【0012】
本発明の透明導電膜用基板及びタッチパネル用基板においては、透明基材の一方の面側に粘着剤層及びセパレータ層が設けられているため、これら粘着剤層及びセパレータ層が透明基材の補強層として作用する。そのため、透明基材の薄膜化にともなう腰の弱化が緩和され、各種機能層の塗布形成時や透明導電膜の形成時における熱の影響が緩和される。しかも、タッチパネルの実装時にはセパレータ層を剥離除去しそのまま貼着可能であるため、工程数を減少させることができるとともに、セパレータ層の厚み相当分、透明基板の薄膜化を推進することが可能である。その上さらに、粘着剤層に対するセパレータ層の15度剥離力を2.00N/25mm幅以上(剥離速度50mm/min)とすることで、セパレータ層の外周縁部における意図せぬ部分剥離が低減される。これらが相まった結果、透明基板を薄膜化しても、取扱性が過度に損なわれることなく、各層の精密な積層形成が容易となったものと推察される。但し、作用はこれらに限定されない。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、透明基板を薄膜化しても、取扱性が良好で、各層の精密な積層形成が可能な、透明導電膜用基板及びこれを用いたタッチパネル用基板を提供することができる。また、上記の透明導電膜用基板及びタッチパネル用基板を作製するために殊に有用な、透明粘着基材を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。また、図面の寸法比率は、図示の比率に限定されるものではない。但し、以下の実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明はこれらに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で任意に変更して実施することができる。なお、本明細書において、例えば「1〜100」との数値範囲の表記は、その下限値「1」及び上限値「100」の双方を包含するものとする。また、他の数値範囲の表記も同様である。
【0016】
(第1実施形態)
図1は、本実施形態の透明導電膜用基板101の要部を示す模式断面図である。透明導電膜用基板101は、透明基材11と、この透明基材11の一方の面11a側に設けられた機能層21と、透明基材11の他方の面11b側に設けられた粘着剤層31及びセパレータ層41とを備えている。以下、透明導電膜用基板101の各構成要素について詳述する。
【0017】
[透明基材]
透明基材11は、機能層21を支持可能なものである限り、その種類は特に限定されない。その具体例としては、ガラス基板や合成樹脂フィルム等が挙げられる。寸法安定性、機械的強度及び軽量化等の観点から、合成樹脂フィルムが好ましく用いられる。合成樹脂フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、環状オレフィンポリマー、ポリスチレン、トリアセチルセルロース、(メタ)アクリル酸エステル、ポリ塩化ビニル、フッ素系樹脂等から形成されたフィルムが挙げられる。これらの中でも、透明基材11としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系フィルムが好適である。とりわけ、延伸フィルム、特に二軸延伸ポリエステル系フィルムは、機械的強度及び寸法安定性に優れるため、特に好ましい。
【0018】
透明基材11の透明度は、光学透明であれば特に限定されないが、全光線透過率が85%以上であることが好ましく、より好ましくは88%以上、さらに好ましくは90%以上である。なお、必要に応じて、透明基材11に、プラズマ処理、コロナ放電処理、遠紫外線照射処理、アンカー処理等を施してもよい。また、透明基材11に紫外線吸収剤や光安定剤を含有させてもよい。
【0019】
透明基材11の厚みは、要求性能及び用途に応じて適宜設定でき、特に限定されない。一般には10〜150μmであり、好ましくは20〜125μm、さらに好ましくは23〜80μmである。80μm以下の透明基材11を採用することで、従来に比して薄膜化効果が殊に顕著となる。
【0020】
[機能層]
次に、機能層21について説明する。機能層21は、透明導電膜用基板101の高機能化を図るために、例えば表面平滑性、表面硬度、耐擦傷性、防汚性、光学特性等を向上させるために設けられた層である。この機能層21は、透明導電膜やタッチパネル業界で知られている任意のものを用いることができる。具体的には、ハードコート層、指紋付着防止層、防汚層、アンチブロッキング層、アンチグレア層、反射防止層、紫外線吸収層、ニュートンリング抑制層、インデックスマッチング層等が挙げられるが、これらに特に限定されない。また、機能層21は、これらいずれか1種の機能を有する単一の層であっても、これらの複数の機能が複合化された単一の層であっても、複数の層が積層された複合体であってもよい。
【0021】
本実施形態においては、機能層21としてハードコート層が設けられている。このハードコート層は、透明基材11の表面硬度を高め、表面に傷が発生することを防止するために設けられる塗膜である。また、透明基材11の表面平滑性を高める目的で設けられることもある。
【0022】
ハードコート層としては、公知のものを用いることができ、一般的には、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電離放射線硬化性樹脂等の薄膜から構成される。なお、本実施形態においては、透明基材11の一方の面11a上のみにハードコート層を設けたものを例示したが、透明基材11の一方の面11a側及び他方の面11b側の双方にハードコート層を設けることもできる。
【0023】
熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂としては、飽和又は不飽和のポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、アクリルウレタン系樹脂、ポリエステルアクリレート系樹脂、ポリウレタンアクリレート系樹脂、エポキシアクリレート系樹脂、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、ビニル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、セルロース系樹脂、アセタール系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、メラミン系樹脂、フェノール系樹脂、シリコーン系樹脂等が挙げられるが、これらに特に限定されない。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0024】
電離放射線硬化性樹脂としては、電離放射線(紫外線又は電子線)の照射によって硬化する光重合性プレポリマーを用いることができる。また、光重合性プレポリマーは単独でも使用可能であるが、架橋硬化性の向上や、硬化収縮の調整等、種々の性能を付与或いは向上させる観点から、光重合性モノマーを併用することが好ましい、さらに必要に応じて、光重合開始剤、光重合促進剤、増感剤(例えば、紫外線増感剤)等の助剤を用いてもよい。
【0025】
光重合性プレポリマーは、一般的に、カチオン重合型とラジカル重合型に大別される。カチオン重合型光重合性プレポリマーとしては、エポキシ系樹脂やビニルエーテル系樹脂などが挙げられる。エポキシ系樹脂としては、例えばビスフェノール系エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等が挙げられる。ラジカル重合型光重合性プレポリマーとしては、アクリル系プレポリマー(硬質プレポリマー)が挙げられる。光重合性プレポリマーは、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、1分子中に2個以上のアクリロイル基を有し、架橋硬化することにより3次元網目構造となるアクリル系プレポリマー(硬質プレポリマー)が、ハードコート性の観点から好ましい。
【0026】
アクリル系プレポリマーとしては、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート、メラミンアクリレート、ポリフルオロアルキルアクリレート、シリコーンアクリレート等が挙げられるが、これらに特に限定されない。アクリル系プレポリマーは、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0027】
ウレタンアクリレート系プレポリマーとしては、ポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールとポリイソシアネートの反応によって得られるポリウレタンオリゴマーを、(メタ)アクリル酸との反応でエステル化したものが挙げられるが、これに特に限定されない。ウレタンアクリレート系プレポリマーは、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0028】
ポリエステルアクリレート系プレポリマーとしては、多価カルボン酸と多価アルコールの縮合によって得られる両末端に水酸基を有するポリエステルオリゴマーの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化したもの、多価カルボン酸にアルキレンオキシドを付加して得られるオリゴマーの末端の水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化したものが挙げられるが、これらに特に限定されない。ポリエステルアクリレート系プレポリマーは、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0029】
エポキシアクリレート系プレポリマーとしては、比較的低分子量のビスフェノール型エポキシ樹脂やノボラックエポキシ樹脂のオキシラン環と、(メタ)アクリル酸との反応でエステル化したものが挙げられるが、これに特に限定されない。エポキシアクリレート系プレポリマーは、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0030】
光重合性モノマーとしては、単官能アクリルモノマー(例えば2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート等)、2官能アクリルモノマー(例えば1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコールジアクリレート等)、3官能以上のアクリルモノマー(例えばジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、トリメチルプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート等)等が挙げられるが、これらに特に限定されない。これらの光重合性モノマーは、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。なお、本明細書において、「アクリレート」は、文字通りのアクリレートの他、メタクリレートも含む概念である。
【0031】
光重合開始剤としては、ラジカル重合型光重合性プレポリマーや光重合性モノマーに対しては、例えばアセトフェノン、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾイン、ベンジルメチルケタール、ベンゾイルベンゾエート、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−(4−モルフォリニル)−1−プロパン、α−アシルオキシムエステル、チオキサンソン類等が挙げられるが、これらに特に限定されない。カチオン重合型光重合性プレポリマーに対する光重合開始剤としては、例えば芳香族スルホニウムイオン、芳香族オキソスルホニウムイオン、芳香族ヨードニウムイオンなどのオニウムと、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェート、ヘキサフルオロアンチモネート、ヘキサフルオロアルセネートなどの陰イオンとからなる化合物が挙げられるが、これらに特に限定されない。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0032】
光重合促進剤としては、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステルなどが挙げられる。紫外線増感剤としては、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン等が挙げられるが、これらに特に限定されない。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0033】
これら助剤の配合量は、特に限定されないが、通常、上述した光重合性プレポリマー及び光重合性モノマーの合計100重量部に対して、0.2〜10重量部の範囲内で適宜設定すればよい。
【0034】
なお、ハードコート層は、本発明の効果を過度に阻害しない程度であれば、各種添加剤を含有していてもよい。各種添加剤としては、表面調整剤、滑剤、着色剤、顔料、染料、蛍光増白剤、難燃剤、抗菌剤、防カビ剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、酸化防止剤、可塑剤、レベリング剤、流動調整剤、消泡剤、分散剤、貯蔵安定剤、架橋剤、シランカップリング剤等が挙げられるが、これらに特に限定されない。
【0035】
或いは、ハードコート層として、電離放射線硬化性有機無機ハイブリットハードコート剤(以下、単に「ハイブリットハードコート剤」とも称する。)の硬化膜を用いることもできる。ハイブリットハードコート剤としては、特に限定されないが、少なくとも表面に光重合反応性を有する感光性基が導入された反応性シリカ粒子(以下、単に「反応性シリカ粒子」とも称する。)を含むものが挙げられる。ここで、光重合反応性を有する感光性基としては、(メタ)アクリロイルオキシ基に代表される重合性不飽和基等を挙げることができる。また、ハイブリットハードコート剤として、この反応性シリカ粒子の表面に導入された光重合反応性を有する感光性基と光重合反応可能な化合物、例えば、重合性不飽和基を有する不飽和有機化合物を含むものであってもよい。これらのハイブリットハードコート剤は、上述した反応性シリカ粒子や重合性不飽和基を有する不飽和有機化合物を公知の溶剤と混合或いは溶解させた液状混合物として用いることができる。
【0036】
反応性シリカ粒子の平均粒子径は、特に限定されないが、0.001〜0.1μmであることが好ましく、より好ましくは0.001〜0.01μmである。このような反応性シリカ粒子としては、例えば、母体となる粉体状シリカ或いはコロイダルシリカに対し、分子中に加水分解性シリル基、重合性不飽和基、下記一般式(1)で表わされる基及び(2)で表わされる基を有する化合物(以下、「重合性不飽和基修飾加水分解性シラン」とも称する。)が、シリルオキシ基を介して化学的に結合しているものを用いることができる。すなわち、重合性不飽和基修飾加水分解性シランが、加水分解性シリル基の加水分解反応によって、シリカ粒子との間に、シリルオキシ基を生成して化学的に結合しているようなものを、反応性シリカ粒子として用いることができる。なお、加水分解性シリル基としては、アルコキシリル基、アセトキシリル基等のカルボキシリレートシリル基、クロシリル基等のハロゲン化シリル基、アミノシリル基、オキシムシリル基、ヒドリドシリル基等が挙げられるが、これらに特に限定されない。また、重合性不飽和基としては、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、ビニル基、プロペニル基、ブタジエニル基、スチリル基、エチニイル基、シンナモイル基、マレート基、アクリルアミド基等が挙げられるが、これらに特に限定されない。
【0037】
【化1】
(式中、Xは、−NH−、酸素原子又は硫黄原子を表し、Yは、酸素原子又は硫黄原子を表し、但し、Xが酸素原子のときYは硫黄原子である。)
【0039】
重合性不飽和基を有する不飽和有機化合物としては、分子中に2個以上の重合性不飽和基を有する多価不飽和有機化合物、或いは分子中に1個の重合性不飽和基を有する単価不飽和有機化合物等を挙げることができる。
【0040】
ここで、多価不飽和有機化合物としては、例えばエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0041】
また、単価不飽和有機化合物としては、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−(2−エトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−メトキシプロピル(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0042】
ハイブリットハードコート剤の硬化膜は、反応性シリカ粒子や光重合反応可能な化合物の他に、光重合開始剤、光重合促進剤、増感剤(例えば、紫外線増感剤)等の助剤、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電離放射線硬化性樹脂等を含有していてもよい。また、防眩性を向上させる観点から、多孔質シリカ等のシリカ類、アルミナ、タルク、クレイ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、二酸化チタン、酸化ジルコニウム等のマット剤を含有していてもよい。
【0043】
機能層21の厚みは、適宜設定することができ、特に限定されないが、0.001〜20μmが好ましく、より好ましくは0.005〜15μm、さらに好ましくは0.01〜10μmである。例えば、機能層21がハードコート層である場合には、0.1〜20μmが好ましく、より好ましくは0.5〜15μm、さらに好ましくは2〜10μmである。一方、機能層21がインデックスマッチング層である場合には、0.001〜7μmが好ましく、より好ましくは0.005〜5μm、さらに好ましくは0.01〜3μmである。
【0044】
また、機能層21がハードコート層である場合、その表面硬度は、特に限定されないが、H以上が好ましく、より好ましくは2H以上、さらに好ましくは3H以上である。表面硬度の値は、JIS−K5400(1990)に準拠した方法で測定した鉛筆引っかき値(鉛筆硬度)で示される。
【0045】
[粘着剤層及びセパレータ層]
以下、粘着剤層31及びセパレータ層41について、詳述する。粘着剤層31は、セパレータ層41の貼着面となるものであり、タッチパネル用基板として用いる際にはタッチパネルのカバーガラスやプラスチック基板への貼着面となるものである。なお、透明基材11の面11b側にもハードコート層等の機能層21を設ける場合には、これら粘着剤層31及びセパレータ層41は、その機能層21上に設けることができる。
【0046】
粘着剤層31は、セパレータ層41及びタッチパネルのカバーガラス等を貼着可能なものである限り、公知のもの適宜用いることができ、特に限定されない。具体的には、天然ゴム系、再生ゴム系、クロロプレンゴム系、ニトリルゴム系、スチレン−ブタジエン系、シリコーン系等のエラストマー粘着剤、アクリル系、ポリエステル系、エポキシ系、ウレタン系、シアノアクリレート系、シリコーン系等の合成樹脂粘着剤、エマルジョン系粘着剤等が挙げられるが、これらに特に限定されない。粘着力調整の容易性、取扱性、生産性等の観点から、電離放射線照射又は加熱により硬化する硬化型接着剤を用いることが好ましい。
【0047】
電離放射線照射により硬化する硬化型接着剤としては、少なくとも電離放射線の照射によって架橋硬化することができる塗料から形成されるものを使用することが好ましい。このような電離放射線硬化塗料としては、光カチオン重合可能な光カチオン重合性樹脂、光ラジカル重合可能な光重合性プレポリマー若しくは光重合性モノマー等が挙げられる。また、電離放射線硬化塗料は、種々の添加剤を含有していてもよく、例えば紫外線硬化させる場合には、光重合開始剤、紫外線増感剤等を含有していることが好ましい。
【0048】
加熱により硬化する硬化型接着剤としては、湿式塗布及び加熱処理による熱影響の観点から、透明基材11の耐熱温度以下の熱により架橋硬化することができる熱硬化型樹脂が好ましい。例えば、メラミン系、エポキシ系、アミノアルキッド系、ウレタン系、アクリル系、ポリエステル系、フェノール系等の架橋性樹脂が挙げられるが、これらに特に限定されない。このような熱硬化型接着剤は、架橋性や塗膜硬度を高める観点から、硬化剤を含有していることが好ましい。ここで硬化剤としては、多官能イソシアネート系硬化剤、多官能アミン系硬化剤、多価カルボン酸系硬化剤、エポキシ系硬化剤等、公知のものを用いることができる。これらの中でも、高い表面硬度、適度な易剥離性、高い密着性のバランスの観点から、アクリル系熱硬化型樹脂と多官能イソシアネート系硬化剤との組み合わせが好ましい。硬化剤の配合量は、特に限定されない。例えば市販品の硬化型接着剤を使用する場合には、市販品メーカーの推奨量を目安に適宜調整すればよい。なお、さらに必要に応じて、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、シリコーンオイル、エポキシシランやアミノシランシラン等のシランカップリング剤、ポリビニルアルコール系樹脂等を含有していてもよい。
【0049】
粘着剤層31の厚みは、特に限定されないが、積層体の薄膜化、適度な易剥離性と高い密着性のバランスの観点から、1〜125μmであることが好ましく、より好ましくは10〜100μm、さらに好ましくは10〜50μm、特に好ましくは15〜45μmである。
【0050】
セパレータ層41としては、従来公知のものを用いることができ、その種類は特に限定されない。ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリエステルフィルム、ポリブタジエンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルム、塩化ビニル共重合体フィルム等、各種グレードのプラスチックフィルムが市販されている。また、これらのプラスチックフィルムは、シリコーン系、フッ素系、長鎖アルキル系もしくは脂肪酸アミド系の離型剤、シリカ粉などによる離型処理或いは防汚処理や、塗布型、練り込み型、蒸着型などの帯電防止処理が施されていてもよい。
【0051】
セパレータ層41の厚みは、特に限定されないが、このセパレータ層41を取り除いた後の積層体(例えば、粘着剤層付き透明ハードコートフィルム、粘着剤層付き透明導電膜用基板)の薄膜化の観点から、20〜150μmが好ましく、より好ましくは25〜125μm、さらに好ましくは50〜125μmである。
【0052】
上述したとおり透明基板11の薄膜化にともなう種々の製造トラブル、とりわけセパレータ層41の端部剥離を抑制して製造工程における取扱性を高める観点から、粘着剤層31に対するセパレータ層41の23℃50%RHにおける15度剥離力は、2.00N/25mm幅以上(剥離速度50mm/min)であることが必要とされる。好ましくは2.30N/25mm幅以上、さらに好ましくは2.50N/25mm幅以上である。本発明者らの知見によれば、主として密着性の評価に用いられている90度剥離力や180度剥離力が良好であっても、意図せぬことに、セパレータ層41の端部剥離が生じることが判明している。すなわち、セパレータ層41の剥離力には角度依存性があり、セパレータ層41の端部剥離を有効に抑制するためには、セパレータ層41の90度剥離力や180度剥離力ではなく、15度剥離力を調整することが有効であることが、本発明者らによって新たに見出された。なお、粘着剤層31に対するセパレータ層41の剥離力の上限は、特に限定されないが、剥離力が大きすぎるとセパレータ層41を剥離する際にジッピング現象が生じるため、このジッピング現象の発生有無に基づいて設定することが望ましい。
【0053】
ここで本明細書において、粘着剤層31に対するセパレータ層41の剥離力は、平板クロスステージ法に基づき、軽荷重タイプ粘着・皮膜剥離解析装置VPA−3(協和界面科学社製)を用いて測定される値を意味する。その試験手順は、後述する実施例に記載のとおりである。
【0054】
また、作業時の剥離不良を防止する観点から、粘着剤層31に対するセパレータ層41の23℃50%RHにおける90度剥離力は、0.05N/25mm幅以上(剥離速度150mm/min)であることが好ましい。なお、上限値は特に限定されないが、セパレータ層41の易剥離性を担保する観点から、好ましくは10N/25mm幅以下であり、より好ましくは5N/25mm幅以下であり、さらに好ましくは3N/25mm幅以下である。
【0055】
さらに、タッチパネルのカバーガラス等の被貼着体への密着性を高めて信頼性を向上させる観点から、ガラス等の被貼着体に対する粘着剤層31の23℃50%RHにおける180度剥離力は、10N/25mm幅以上(剥離速度300mm/min)であり、より好ましくは15N/25mm幅以上(剥離速度300mm/min)である。
【0056】
上述した粘着剤層31に対するセパレータ層41の剥離力の調整は、例えば、粘着剤層31の処方を調整し、或いは、セパレータ層41に用いるプラスチックフィルムの種類を変更することで行うことができる。より具体的には、粘着剤層31に使用するモノマーやオリゴマーの種類や配合割合を変更したり、粘着剤層31に熱可塑性樹脂を含めたり、アクリル酸やアクリルアミド等のガラス転移温度を高いモノマーやオリゴマーを用いたり、架橋密度が大きい多官能モノマーを用いて硬化後の架橋密度を高めたりすることにより、剥離力を調整することができる。また、離型処理或いは防汚処理されたプラスチックフィルムをセパレータ層41として用いることで、剥離力を調整することができる。さらに、硬化型接着剤を用いる場合には、光重合性モノマーや重合性不飽和基を有する不飽和有機化合物の併用やその配合割合によって剥離力を調整することができる。また、硬化時又は後硬化時における、電離放射線照射の照射エネルギー、加熱温度、加熱時間を調整することで、剥離力を調整することもできる。その他、粘着剤層31の加圧によっても剥離力を調整することもでき、例えばロールトゥーロールの態様で製造或いは保管する場合には、その巻き取り圧を調整することで、剥離力を調整することもできる。粘着剤層31に対するセパレータ層41の剥離力の調整は、これらに特に限定されず、任意の手法でそれぞれ単独で又は適宜組み合わせて行うことができる。
【0057】
透明導電膜用基板101は、必要に応じて、アンチグレア層、反射防止層、紫外線吸収層、ニュートンリング抑制層、インデックスマッチング層等の各種機能層をさらに備えていてもよい。これらの機能層は、透明導電膜用基板101の最表層上に、又は透明導電膜用基板101内の任意の層間に設けることができる。これらは、それぞれ別個に設けることができるが、複数の機能を果たす単一の機能層として設けることもできる。
【0058】
以上詳述した透明導電膜用基板101は、例えば、透明基材11の一方の面11a側に機能層21を形成した後、透明基材11の他方の面11b側に粘着剤層31及びセパレータ層41を積層形成することにより得ることができる。これら各層の形成方法は、常法にしたがって行えばよく、特に限定されない。機能層21及び粘着剤層31の好適な作製方法としては、ドクターコート、ディップコート、ロールコート、バーコート、ダイコート、ブレードコート、エアナイフコート、キスコート、スプレーコート、スピンコート等の従来公知の塗布方法が挙げられる。ここで使用する塗布液の溶媒としては、水;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等のエーテル系溶剤;メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコール系溶剤、並びにこれらの混合溶媒等、当業界で公知のものを用いることができる。このように塗布された塗膜に、必要に応じて電離放射線処理、熱処理、及び/または加圧処理等を行うことにより、機能層21及び粘着剤層31を製膜することができる。また、セパレータ層41の好適な作製方法としては、ドライラミネートが挙げられる。なお、各層の積層前の前処理として、必要に応じてアンカー処理やコロナ処理等を行うこともできる。
【0059】
電離放射線照射において使用する光源は、特に限定されない。例えば、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、中圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、電子線加速器等を用いることができる。また、このときの照射量も、使用する光源の種類や出力性能等に応じて適宜設定でき、特に限定されない、紫外線の照射量は、一般的には積算光量100〜6,000mJ/cm
2程度が目安とされる。
【0060】
また、熱処理において使用する熱源も、特に限定されない。接触式及び非接触式のいずれであっても好適に使用することができる。例えば、遠赤外線ヒーター、短波長赤外線ヒーター、中波長赤外線ヒーター、カーボンヒーター、オーブン、ヒートローラ等を用いることができる。熱処理における処理温度は、特に限定されないが、一般的には80〜200℃であり、好ましくは100〜150℃である。
【0061】
本実施形態の透明導電膜用基板101においては、透明基材11の一方の面11b側に粘着剤層31及びセパレータ層41が設けられているため、透明基材11が補強されるのみならず、タッチパネルの実装時にはセパレータ層41を剥離除去しそのまま貼着可能であるため、工程数を減少させることができ、しかも、セパレータ層41の厚み相当分、透明基板11の薄膜化を推進することが可能である。また、粘着剤層31に対するセパレータ層41の15度剥離力を2.00N/25mm幅以上(剥離速度50mm/min)としているため、セパレータ層41の外周縁部における意図せぬ部分剥離の発生も抑制される。そのため、この透明導電膜用基板101は、透明基板11を薄膜化しても、取扱性に優れ、各層の精密な積層形成が容易なものと言える。
【0062】
(第2実施形態)
図2は、本実施形態のタッチパネル用基板201の要部を示す模式断面図である。タッチパネル用基板201は、透明基材11、機能層21としてのインデックスマッチング層、粘着剤層31、セパレータ層41及び透明導電膜61を備えている。機能層21及び透明導電膜61は、透明基材11の一方の面11a側に設けられており、粘着剤層31及びセパレータ層41は、それとは反対側、すなわち透明基材11の一方の面11b側に設けられている。そして、粘着剤層31に対するセパレータ層41の15度剥離力は2.00N/25mm幅以上(剥離速度50mm/min)に設定されている。換言すれば、このタッチパネル用基板201は、上述した第1実施形態の透明導電膜用基板101の機能層21上に透明導電膜61が設けられた構成を有する。すなわち、透明導電膜用基板101の構成は上述した第1実施形態と同様であるため、ここでの重複した説明は省略する。
【0063】
透明導電膜61は、各種公知の透明導電膜を用いることができ、その種類は特に限定されない。例えば、酸化インジウム、酸化錫、酸化インジウム錫、銀ナノワイヤー等の導電性材料の薄膜、ポリパラフェニレン、ポリアセチレン、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリパラフェニレンビニレン、ポリピロール、ポリフラン、ポリセレノフェン、ポリピリジン等の導電性高分子の薄膜や、金、銀、銅、パラジウム等の金属メッシュ薄膜を用いることができる。
【0064】
透明導電層61は、上述した導電性材料を用い、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等のドライプロセス、溶液塗布法、リソグラフィー法等のウェットプロセス等により形成することができる。
【0065】
透明導電層61の厚みは、使用材料や用途に応じて適宜設定することができ、特に限定されない。一般的には、表面抵抗率が1000Ω以下、好ましくは500Ω以下、さらに好ましくは300Ω以下になるような厚みが目安となる。具体的には、透明導電層61の厚みは10nm以上が好ましく、より好ましくは20nm以上である。経済性を考慮すると、80nm以下が好ましく、より好ましくは70nm以下である。また、全光線透過率は、通常80%以上が好ましく、より好ましくは85%以上、がさらに好ましくは88%以上である。
【0066】
本実施形態のタッチパネル用基板201においても、透明基材11の一方の面11b側に粘着剤層31及びセパレータ層41が設けられているため、透明基材11が補強されるのみならず、タッチパネルの実装時にはセパレータ層41を剥離除去しそのまま貼着可能であるため、工程数を減少させることができ、しかも、セパレータ層41の厚み相当分、透明基板11の薄膜化を推進することが可能である。また、粘着剤層31に対するセパレータ層41の15度剥離力を2.00N/25mm幅以上(剥離速度50mm/min)とされているため、セパレータ層41の外周縁部における意図せぬ部分剥離の発生も抑制される。そのため、このタッチパネル用基板201は、透明基板11を薄膜化しても、取扱性に優れ、各層の精密な積層形成が容易なものと言える。
【0067】
(第3実施形態)
図3は、本実施形態の透明導電膜用の透明粘着基材301の要部を示す模式断面図である。透明粘着基材301は、粘着剤層31と、この粘着剤層31の一方の面31a側及び他方の面31b側に設けられたセパレータ層41,42とを備えている。そして、粘着剤層31に対するセパレータ層41,42の15度剥離力は2.00N/25mm幅以上(剥離速度50mm/min)に設定されている。
【0068】
この透明粘着基材301は、上述した透明導電膜用基板101及びタッチパネル用基板201における粘着剤層31及びセパレータ層41を付与するために用いられる部材である。すなわち、この透明粘着基材301のセパレータ層42を剥離除去し、露出した粘着剤層31を上述した透明基材11に貼着することで、同透明基材11上に粘着剤層31及びセパレータ層41が転写される。そして、これら粘着剤層31及びセパレータ層41の構成は、上述した第1実施形態と同様であるため、ここでの重複した説明は省略する。
【0069】
本実施形態において、セパレータ層42は、上述した第1実施形態のセパレータ層41と同様の構成を採る。すなわち、セパレータ層42としては、従来公知のものを用いることができ、その種類は特に限定されない。ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリエステルフィルム、ポリブタジエンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルム、塩化ビニル共重合体フィルム等、各種グレードのプラスチックフィルムが市販されている。また、これらのプラスチックフィルムは、シリコーン系、フッ素系、長鎖アルキル系もしくは脂肪酸アミド系の離型剤、シリカ粉などによる離型処理或いは防汚処理や、塗布型、練り込み型、蒸着型などの帯電防止処理が施されていてもよい。
【0070】
セパレータ層42の厚みは、特に限定されないが、20〜150μmが好ましく、より好ましくは23〜125μm、さらに好ましくは50〜125μmである。なお、セパレータ層42の厚みは、セパレータ層41の厚みと同一であっても異なっていてもよい。
【0071】
この透明粘着基材301によれば、粘着剤層31に対するセパレータ層41の15度剥離力が2.00N/25mm幅以上(剥離速度50mm/min)である積層体を、透明基板11上に簡易に転写することができる。したがって、この透明粘着基材301を用いれば、透明基板11を薄膜化しても、取扱性に優れ、各層の精密な積層形成が容易な透明導電膜用基板101及びタッチパネル用基板201を再現性よく実現することができる。
【実施例】
【0072】
以下、実測データに基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらによりなんら限定されるものではない。本発明は、本発明の要旨を逸脱せず、本発明の目的を達成する限りにおいて、種々の条件を採用し得るものである。なお、以下において特に断りのない限り、「部」は「質量部」を表す。
【0073】
<15度剥離力及び90度剥離力の測定>
平板クロスステージ法に基づき、軽荷重タイプ粘着・皮膜剥離解析装置VPA−3(協和界面科学社製)を用いて、以下の手順で測定した。
(1)透明導電膜用基板から25mm幅のサンプルを切り出す。
(2)強粘着性の両面テープを用いて、装置のガラス支持体とサンプルのセパレータ層の最表面とを貼り合わせる。
(3)ガラス支持体を装置にセットし、セパレータ層の端部を粘着剤層31から剥離させ、粘着剤層側(透明基材及び粘着剤層)を測定装置の可動部に貼り付ける。
(4)所定の剥離角度及び剥離角度を維持しながら、剥離試験を行う。
試験条件
試験環境:23℃50%RH
15度剥離力:剥離角度15度、及び剥離速度: 50mm/min
90度剥離力:剥離角度90度、及び剥離速度:150mm/min
【0074】
<セパレータ層の端部剥離の評価>
透明導電膜用基板を曲率半径20cmでカールさせた後、セパレータ層の剥離状況を目視にて観察し、以下の基準で評価した。
○ セパレータ層の端部剥離は認めらない。
× セパレータ層の端部剥離が認められ、端部から3cm以上が浮く。
【0075】
(例1〜6)
厚み50μmのPET支持体上に、アクリル系接着剤を塗布して厚み25μmの粘着剤層を形成し、この粘着剤層上にセパレータをドライラミネートすることにより、例1〜6のサンプルをそれぞれ作製した。なお、硬化剤の添加量は、粘着剤の樹脂固形分100質量部に対する、硬化剤の固形分量を表す。得られた例1〜6のサンプルについて、15度剥離力及び90度剥離力の測定と、セパレータ層の端部剥離の評価とを行った。使用した各素材の種類及び評価結果を表1に示す。
【0076】
【表1】