【解決手段】本発明の人事異動案作成支援装置は、複数の人材の、複数の階層にわたるポストに対する異動に関する人事異動案を作成支援するための装置である。この人事異動案作成支援装置の制御部は、人材を識別するための人材識別情報と、各人材を配属可能なポストを判定するための判定情報としての当該人材が有する属性に関する情報とを関連付けた人材リストから、前記複数の階層にわたるポストの各々に求められる属性を有する人材を、当該ポストに異動すべき人材の候補として抽出する。
制御部を備えた情報処理装置において実行される、複数の人材の、複数の階層にわたるポストに対する異動に関する人事異動案を作成支援するための人事異動案作成支援方法であって、
前記制御部において実行される、
人材を識別するための人材識別情報と、各人材を配属可能なポストを判定するための判定情報としての当該人材が有する属性に関する情報とを関連付けた人材リストから、前記複数の階層にわたるポストの各々に求められる属性を有する人材を、当該ポストに異動すべき人材の候補として抽出する抽出ステップ
を含む
ことを特徴とする人事異動案作成支援方法。
制御部を備えた情報処理装置において実行させるための、複数の人材の、複数の階層にわたるポストに対する異動に関する人事異動案を作成支援するための人事異動案作成支援プログラムであって、
前記制御部において実行させるための、
人材を識別するための人材識別情報と、各人材を配属可能なポストを判定するための判定情報としての当該人材が有する属性に関する情報とを関連付けた人材リストから、前記複数の階層にわたるポストの各々に求められる属性を有する人材を、当該ポストに異動すべき人材の候補として抽出する抽出ステップ
を含む
ことを特徴とする人事異動案作成支援プログラム。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る人事異動案作成支援装置を含む人事異動案作成支援システムの構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、
図1における人事異動案作成支援装置100が実行する人事異動案作成支援方法の処理手順を示すフローチャートである。
【
図3】
図3は、
図2のステップS201の判別に際し起動される表示画面の構成例を示す図である。
【
図4】
図4は、
図3に示す表示画面に遷移する前の前処理画面の構成例を示す図である。
【
図5】
図5は、
図2のステップS204で実行される抽出処理のサブルーチンに係る処理手順を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、
図5のステップS401で読み出される人材リストの構成例を模式的に示す図である。
【
図7】
図7は、
図5のステップS402における人材の候補を抽出する処理で用いられる情報を模式的に示す図であり、
図7(a)は、異動先のポストと当該異動先のポストのポスト条件情報とを関連付けたテーブルの構造例を示し、
図7(b)は、
図7(a)におけるポスト条件情報の参照のために用いられるテーブルの構造例を示す。
【
図8】
図8は、
図5のステップS403で作成される候補者ワークのテーブル構造の一例を模式的に示す図である。
【
図9】
図9は、
図5のステップS406における異動不可判別処理に用いられる情報を模式的に示す図であり、
図9(a)は、異動先のポストと当該異動先のポストにおける異動不可判別に必要な条件に関する情報を関連付けたテーブルの構造例を示し、
図9(b)は、
図9(a)における異動不可判別に必要な条件の参照のために用いられるテーブルの構造例を示す。
【
図10】
図10は、
図2のステップS205における評価値の算出に際して参照される設定情報の一例を模式的に示す図である。
【
図11】
図11は、
図2のステップS206の処理に際し参照される設定情報の一例を模式的に示す図である。
【
図12】
図12は、
図2のステップS208で作成されたシミュレーション結果に関するデータの表示例を示す図である。
【
図13】
図13は、
図12に示す表示を含む表示画面において、ユーザが一の人事異動案を選択した状態を示す図である。
【
図14】
図14は、
図13に示すポップアップ画面において「現職情報表示」が選択された場合を示す図である。
【
図15】
図15は、
図4に示す表示画面から遷移可能な表示画面であって、既存のシミュレーション結果に関するデータを読み出すための表示画面の構成例を示す図である。
【
図16】
図16は、
図2のステップS212で作成される発令データに対応する画像の例を示す図である。
【
図17】
図17は、
図2のステップS213において人事システムへ連携を行うために行われるフォーマット変換を設定するための表示画面の構成例を示す図である。
【
図18】
図18は、
図2のステップS213における人事システムへ連携に際し行うために行われるエラーチェックの結果の一例を示すための表示画面の構成例を示す図である。
【
図19】
図19は、本発明の実施形態の具体例における処理手順の概略を示すフローチャートである。
【
図21】
図21は、
図19のステップS10において読み出される人材リストの例を模式的に示す図である。
【
図23】
図23は、
図19のステップS20において行われる候補者の抽出の説明に用いられる図であり、
図23(a)は、ポストコードとポスト名の関連付けを、
図23(b)は、ポスト条件情報を、
図23(c)は、
図23(b)のポスト条件情報のために参照される条件値を示す。
【
図24】
図24は、
図19のステップS20の処理の結果作成された候補者ワークの具体例を模式的に示す図である。
【
図26】
図26は、
図19のステップS30において行われる異動不可候補者の除外の説明に用いられる図であり、
図26(a)は、異動不可の種別を、
図26(b)は、異動不可の条件を、
図26(c)は、
図26(b)の異動不可の条件のために参照される条件値を示す。
【
図27】
図27は、
図19のステップS30の処理の結果、
図24に示す候補者ワークから、異動不可候補者が除外された状態を模式的に示す図である。
【
図29】
図29は、
図19のステップS40の処理の結果得られる、評価値を含む候補者ワークの具体例を模式的に示す図である。
【
図30】
図30は、
図29に示した評価値を得るために用いられる優先順位に関する設定情報の具体例を模式的に示す図である。
【
図31】
図31は、異動元の組織に在籍している人材の評価値を算出した結果の一例を示す図である。
【
図33】
図33は、
図19のステップS50における書き換え処理前の候補者ワークの例を模式的に示す図である。
【
図34】
図34は、
図33に示す候補者ワークの並び替えと候補IDの再付与を説明するために用いられる図である。
【
図35】
図35は、
図19のステップS50における書き換え処理後の候補者ワークの例を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は本実施形態により限定されるものではない。
【0021】
[1.構成]
本実施形態に係る人事異動案作成支援装置の構成の一例について、
図1を参照して説明する。
図1は、人事異動案作成支援装置を含む人事異動案作成支援システムの構成の一例を示すブロック図である。
【0022】
図1に示す人事異動案作成支援システム1000は、情報処理装置としての人事異動案作成支援装置100と、サーバ200と、人事異動案作成支援装置100及びサーバ200を通信可能に接続するネットワーク300とを含んでいる。
【0023】
人事異動案作成支援装置100は、市販のデスクトップ型パーソナルコンピュータであり、複数の人材の、複数の階層にわたるポストに対する異動に関する人事異動案を作成支援するための情報処理装置である。この人事異動案作成支援装置100は、例えば、人事部門といった、事業者において人事異動の立案を行う部署に1台設置されている。なお、人事異動案作成支援装置100は、デスクトップ型パーソナルコンピュータのような据置型情報処理装置に限らず、市販されているノート型パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistants)、スマートフォン、タブレット型パーソナルコンピュータなどの携帯型情報処理装置であってもよい。また、人事異動案作成支援装置100は、人事異動案作成支援システム1000内において複数台設置されていてもよく、複数台の人事異動案作成支援装置100の間で同期をとることで1台の人事異動案作成支援装置100として機能してもよい。
【0024】
人事異動案作成支援装置100は、制御部120と通信インターフェース部104と記憶部106と入出力インターフェース部108と、を備えている。人事異動案作成支援装置100が備えている各部は、任意の通信路を介して通信可能に接続されている。
【0025】
通信インターフェース部104は、ルータ等の通信装置及び専用線等の有線又は無線の通信回線を介して、人事異動案作成支援装置100をネットワーク300に通信可能に接続する。通信インターフェース部104は、他の装置と通信回線を介してデータを通信する機能を有する。ここで、ネットワーク300は、人事異動案作成支援装置100とサーバ200とを相互に通信可能に接続する機能を有し、例えばインターネットやLAN(Local Area Network)等である。したがって、通信インターフェース部104は、他の部署に備え付けの情報処理装置からの入力情報等を、ネットワーク300又はネットワーク300及びサーバ200を介して受け付けることが可能に構成されているとともに、所定の情報処理装置に対して所定の情報を出力することが可能に構成されている。
【0026】
記憶部106には、各種のデータベース、テーブル、及びファイルなどが格納される。記憶部106には、OS(Operating System)と協働してCPU(Central Processing Unit)に命令を与えて各種処理を行うためのコンピュータプログラム(本発明のプログラムを含む)が記録される。記憶部106として、例えば、RAM(Random Access Memory)・ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスクのような固定ディスク装置、フレキシブルディスク、及び光ディスク等を用いることができる。
【0027】
入出力インターフェース部108には、入力装置112及び出力装置114が接続されている。出力装置114には、モニタ(家庭用テレビを含む)の他、スピーカやプリンタを用いることができる。入力装置112には、キーボード、マウス、及びマイクの他、マウスと協働してポインティングデバイス機能を実現するモニタを用いることができる。
【0028】
制御部120は、人事異動案作成支援装置100を統括的に制御するCPU等である。制御部120は、OS等の制御プログラム・各種の処理手順等を規定したプログラム・所要データなどを格納するための内部メモリを有し、格納されているこれらのプログラムに基づいて種々の情報処理を実行する。
【0029】
さらに
図1を参照しながら、記憶部106及び制御部120の構成について詳述する。
【0030】
記憶部106は、
図1に示されるように、人材リスト記憶領域106aと、ポスト条件情報記憶領域106bと、候補者ワーク記憶領域106cと、異動不可情報記憶領域106dと、評価情報記憶領域106eと、シミュレーション結果データ記憶領域106fを含む。
【0031】
人材リスト記憶領域106aは、人材リストのデータを記憶するための領域である。ポスト条件情報記憶領域106bは、後述するポスト条件情報を記憶するための領域である。候補者ワーク記憶領域106cは、後述する候補者ワークを記憶するための領域である。異動不可情報記憶領域106dは、後述する異動不可情報を記憶するための領域である。評価情報記憶領域106eは、後述する評価情報を記憶するための領域である。シミュレーション結果データ記憶領域106fは、シミュレーション結果に関するデータを記憶するための領域である。これらの記憶領域は、互いに統合されていてもよい。
【0032】
制御部120は、
図1に示されるように、複数のモジュールを備えている。
図1に示す例では、制御部120は、抽出部121と、異動不可判別部122と、評価部123と、人事異動案作成部124とを備えている。また、抽出部121は、本実施形態では、候補者ワーク作成部121aを含んで構成されている。
【0033】
抽出部121は、人材リストから、複数の階層にわたるポストの各々に求められる属性を有する人材を、当該ポストに異動すべき人材の候補として抽出する抽出手段として機能するモジュールである。候補者ワーク作成部121aは、候補者ワークを作成する候補者ワーク作成手段として機能するモジュールである。
【0034】
異動不可判別部122は、異動不可情報に基づき、複数の階層の各々に異動すべき人材の候補の中から、当該階層に対応する異動先に異動できない人材を判別する異動不可判別手段として機能するモジュールである。
【0035】
評価部123は、評価情報に基づき、ポストに人材を異動させる場合における当該人材の評価値及び異動先の組織に関する評価値の一方又は双方を算出する評価手段として機能するモジュールである。
【0036】
人事異動案作成部124は、複数の階層の各々に、抽出部121で抽出された人材の候補を配置したシミュレーション結果に関するデータを人事異動案として作成する人事異動案作成手段として機能するモジュールである。
【0037】
[2.処理]
次に、
図1に示す人事異動案作成支援システム1000において実行される人事異動案作成支援方法を例示的に説明する。
【0038】
図2は、
図1の人事異動案作成支援システム1000において、人事異動案作成支援装置100が実行する人事異動案作成支援方法の処理手順を示すフローチャートである。この
図2に示す処理は、概略的には、複数の人材の、複数の階層にわたるポストに対する異動に関する人事異動案を作成するに際し、その支援として、人材リストから人材の候補を抽出し、さらに必要に応じて人事発令データの作成及び人事システムへの連携を行うというものであり、本処理の大部分は、人事異動案作成支援装置100の制御部120において実行される。以下では、空きポスト又は新規ポストに対して人材の候補を抽出し、かつ、当該抽出される人材の候補の各々が配属されているポストに求められる属性を有する人材の候補を抽出する場合(いわゆる玉突き人事異動)について例を挙げて説明する。
【0039】
図2において、まず、ステップS201では、人事異動案を新規に作成するかどうかを判別する。ステップS201の判別は、具体的には、
図4に示されるような表示画面(前処理画面)の左上にあるコンボボックスを用いた選択で「新規」が選択されることにより行う。そして
図3の画面は
図4に示されるような例えばF9ボタン(候補案作成ボタン)が押下されることで遷移する画面である。
図4の画面ではこのあとの一連の人事異動案作成結果を安全に格納するためにパスワードを設定した上で
図3へ遷移する機能例を示している。
図3では新規作成の初期情報として起点ポストの指定を受け付ける入力欄が画面上部に配置されている。ポストとは、人材を配属可能な組織上の職位又は地位をいう。起点ポストには、空きポストと、新規ポストとがある。空きポストとは、在籍者相当のポストであり、在籍者の退職、異動、長期不在等により当該ポストに空きが生じるか又は空きが生じる見込みがあるポストをいう。新規ポストとは、在籍者の有無に関わらず新たに設けられるポストをいう。
図3に示されるような表示画面は、
図4に示されるような表示画面(前処理画面)を介することなく新規作成として直接起動可能に構成されていてもよい。
【0040】
人事異動案を新規に作成する場合(ステップS201でYes)、ステップS202では、起点ポストのポスト条件情報を取得する。ポスト条件情報とは、あるポストに求められる属性情報を規定する情報をいう。ここで、属性とは、各人材が有するポスト、役職、滞留年数、資格、職級、勤務地、勤続年数、年齢等に関する情報のうちの少なくとも1種以上の情報をいい、本実施形態では、各人材を配属可能なポストを判定するための判定情報として用いられる。ポスト条件情報は、ポストのポスト名又はポストコード等のポスト識別情報とポスト条件情報とを関連付けたマスタを用意しておくことで容易に取得できる。
【0041】
起点ポストが空きポストである場合、当該空きポストに求められる属性を有する人材としては、通常、空きポストの在籍者と同等の属性を有する人材であることが求められる。そのため、空きポストが属する階層と同じ階層に属する人材が空きポストに配属すべき人材の候補となる(同格人事)。ここで、階層とは、組織上の役職、職級等に相当し、職務内容等に応じて複数の人材を段階的に区分するための区分をいう。ただし、空きポストに配属すべき人材の候補は、これに限られず、同等の属性を有するか又は有することが見込まれる下位の階層に属する人材であってもよいし(昇格人事)、上位の階層に属する人材であってもよい(降格人事)。
【0042】
また、起点ポストが新規ポストである場合、当該空きポストのポスト条件情報そのものを直ちに取得することはできないので、例えば、空きポストのポスト条件情報を設定するのに必要な情報(例えば、組織名に関する情報と類似のポスト名に関する情報や役職名に関する情報)を受け付け、これにより、新規ポストのポスト条件情報が設定(取得)される。
【0043】
また、ステップS203では、階層数(レベル)の指定を受け付ける。階層数(レベル)の指定は、
図3に示した表示画面を介して受け付けることが可能である。階層数の指定のためにデフォルトの階層数を用いてもよい。ただし、表示画面を介して指定される階層数は、かならずしも上述の階層(組織上の役職、職級等に相当する階層)の数を意味するものではなく、玉突き人事異動における玉突きの回数を意味し、また、後述する人材の候補を抽出する処理を繰り返すときの繰返回数に該当する。玉突き人事異動では、空きポスト又は新規ポストに在籍者を異動させる場合、異動させる在籍者のポストに対して他の在籍者を異動させ、当該他の在籍者のポストにさらに別の在籍者を異動させるといった異動が繰り返されるため、本実施形態では、階層数の指定が必要とされる。なお、玉突き人事異動ではなく、単一の空きポスト又は新規ポストに配属すべき人材の候補を抽出する場合には、指定される階層を「1」とすればよい。
【0044】
次に、ステップS204では、
図5を用いて詳述する抽出処理を行う。抽出処理では、人材リストから、単一の階層又は複数の階層にわたるポストの各々に求められる属性を有する人材が、当該ポストに異動すべき人材の候補として抽出される。
【0045】
図5は、
図2のステップS204で実行される抽出処理のサブルーチンに係る処理手順を示すフローチャートである。
【0046】
図5において、まず、ステップS401では、人材リストの読み出しを行う。人材リストとは、人材を識別するための人材識別情報と、当該人材が有する属性に関する属性情報とを関連付けたリストのデータをいう。人材リストは、記憶部106に予め記憶されているものであってもよいし、新たに読み出しが指定されたものであってもよいし、記憶部106に予め記憶されている人材リストから選択された一部の人材リストであってもよい。
【0047】
図6は、
図5のステップS401で読み出される人材リストの構成例を模式的に示す図である。
図6から分かるように、人材リストの一例は、社員台帳である。人材リストには、
図6に示されるように、属性情報の他に、考課、給与支給額等の評価に関する評価情報、さらに、親族等に関する情報が含まれていることが好ましい。勤務地に関する情報や親族等に関する情報は、後述する異動不可情報として用いられる。
【0048】
続いて、ステップS402では、起点ポスト等の各ポストに求められる属性を有する人材の候補、すなわちポスト条件情報が示すポスト条件を満たす人材を抽出する。具体的には、まず、ステップS202で取得した起点ポストのポスト条件情報が示すポスト条件を満たす属性を有する人材を、起点ポストに異動すべき人材の候補として抽出する。続いて、起点ポストに異動すべき人材の候補が在籍しているポストについても同様に、当該ポストのポスト条件を満たす属性を有する人材を当該ポストに異動すべき人材の候補として抽出する。このような人材の候補を抽出する処理をステップS203で受け付けた階層数に等しい回数分だけ繰り返す。人材の候補を抽出するために、以下の
図7に示されるような情報を記憶部106に予め格納しておくことが好ましい。
【0049】
図7は、
図5のステップS402における人材の候補を抽出する処理で用いられる情報を模式的に示す図であり、
図7(a)は、異動先のポストと当該異動先のポストのポスト条件情報とを関連付けたテーブルの構造例を示し、
図7(b)は、
図7(a)におけるポスト条件情報の参照のために用いられるテーブルの構造例を示す。
図7(a)及び
図7(b)に示されるように、ポストごとにポスト条件情報を予め設定しておくことで、ポストごとにステップS402で抽出すべき人材の候補が有するべき属性を条件付けることが可能となる。例を挙げると、同格人事の場合、異動先のポストが「主任」であるときは、読み出し対象となり得るポストには「主任」が条件付けられる。また、昇格人事の場合、例えば、起点ポストが「主任」であるときは、読み出し対象となり得るポストには、「職能中級」かつ「特定の資格」が条件付けられる。同格人事でも昇格人事でもどちらでもよい場合、異動先のポストが「主任」であるときは、読み出し対象となり得るポストには「主任」、又は、「職能中級」かつ「特定の資格」が条件付けられる。このようにポストごとにポスト条件情報を設定することにより、同格人事、昇格人事、降格人事をコントロールすることができるようになる。そして、ポストごとにポスト条件情報が設定されているので、ステップS402において、ポストごとに求められる属性を有する人材を、当該ポストに異動すべき人材の候補として抽出することが可能となる。
【0050】
そして、ステップS403では、候補者ワークを作成する。候補者ワークとは、人材識別情報と、各人材が配置されているポストを識別するための識別情報と、複数の階層の各々を特定するための特定情報と、各人材が異動する異動先のポストを識別するための識別情報とを関連付けたものであるが、具体的には、人事異動案を作成するための作業領域である。実際には、候補者ワークは、ステップS402において人材の候補が抽出するたびに当該候補者のレコードが追加されていくことで作成される。このため、候補者ワーク上では、階層ごとに候補者が並ぶことになり、また、1の人材が複数の階層にわたるポストのポスト条件を満たす属性を有する場合には、各階層に当該人材が並ぶこととなる。ただし、重複する人材は後述する処理により除外される。
【0051】
図8は、
図5のステップS403で作成される候補者ワークのテーブル構造の一例を模式的に示す図である。
図8に示されるように、候補者ワークは、人材リストから取得可能な情報、及び、候補者を異動先のポストに配属した場合の情報等を含み、さらに、評価値等に関する情報も含んでいる。評価値とは、人材を評価したときの評価結果を数値で表したものである。なお、評価値は、候補者ワークが作成された直後では、Null又はゼロであってもよい。
【0052】
その後、ステップS404では、ステップS403で作成した候補者ワーク中で、重複する人材が存在する場合には、当該重複する人材のうちの少なくとも1の人材を候補から除外する。具体的には、候補者ワーク中で、最上位の階層に存在する人材を候補として残し、かつ、最上位の階層よりも下位の階層に存在する人材についてはすべて候補から除外する。これにより、上位の階層と下位の階層に同一の人材が配属されるという誤った人事異動が発令されるのを防止することができる。また、下位の階層に存在する人材を除外することで、一般に行われることの少ない降格人事に関する人事異動案が作成される可能性を排除することができる。なお、上述のように重複人材を除外することに代えて、まず、下位の階層において候補者のレコードを追加するに先立って同一の人材が上位の階層に存在するかどうかを判別し、そして、同一の人材が存在する場合には、候補者ワークにおいて当該候補者のレコードを追加しないように制御してもよい。
【0053】
そして、ステップS405では、重複人材が除外された候補者ワーク中の複数の階層の各々に配属すべき人材の候補の各々に固有の識別情報として候補IDを付与する。好ましくは、固有の識別情報は、階層も特定可能な識別情報であることが好ましく、より好ましくは、階層間の関係も規定可能な識別情報であり、さらに好ましくは、候補者数の上限を規定可能な識別情報である。例えば、候補IDを、階層が下位に向かうにしたがって桁数が増える数字コードとする。この場合、候補者数の上限は、階層ごとに増える桁数で制御でき、例えば増える桁数を2とすることで、当該階層における候補者数の上限を99に規定することができる。さらに、候補IDにおいて、例えば、階層間の関係と規定する情報として、異なる階層間で同じ数字コードを用いることで、玉突き異動人事における階層間の関係を規定することができる。
【0054】
さらに、ステップS406では、候補者ワーク中の各候補者が異動先のポストへの異動が不可であるかどうかの判別を行う。この判別のために、異動不可情報が参照される。そして、異動不可である場合には、当該候補者を候補者ワークから除外、具体的には削除することが好ましいが、残しておいてもよい。ただし、残しておく場合には、ステップS405で付与した候補IDを削除することが好ましい。
【0055】
図9は、
図5のステップS406における異動不可判別処理に用いられる情報を模式的に示す図であり、
図9(a)は、異動先のポストと当該異動先のポストにおける異動不可判別に必要な条件に関する情報を関連付けたテーブルの構造例を示し、
図9(b)は、
図9(a)における異動不可判別に必要な条件の参照のために用いられるテーブルの構造例を示す。
図9(a)及び
図9(b)に示されるように、ポストごとに異動不可判別に必要な条件を予め設定しておくことで、ポストごとに異動不可判別を行うことができるようになる。
【0056】
そして、上述したようにして候補者ワークが作成されることにより、階層ごとに、不要な候補者が除外された上で、各ポストに必要な候補者がすべて抽出されることとなり、
図5に示す処理を完了して、
図2に戻って、ステップS205の処理に進む。
【0057】
図2に戻り、ステップS205では、評価値の算出を行う。評価値の算出に際しては、人材の評価に関する1種以上の評価情報が用いられる。評価値は、ポストに人材を異動させる場合における当該人材の評価値及び異動先の組織に関する評価値の一方又は双方である。複数種類の評価情報を用いて複数種類の評価値を算出してもよい。また、設定により、評価値として、異動元の組織に関する評価値も算出可能であり、この評価値は、例えば異動元の組織に属する人材の評価値の平均値又は合計値として用いられる。異動後若しくは異動前の組織の評価値は、設定により、合計値としても、平均値としても算出可能である。
図10は、
図2のステップS205における評価値の算出に際して参照される設定情報の一例を模式的に示す図である。
図10に示されるような設定情報を参照することにより、評価値を算出する対象が個々の人材であるのか又は組織であるのかを特定し、かつ、評価値の算出対象項目ごとに演算区分を取得することができ、演算区分に応じて評価値の算出が行われる。なお、異動先の組織及び異動元の組織としては、部署単位の組織であってもよいし、グループ単位の組織であってもよいし、支店単位の組織であってもよく、好ましくは、これらの組織も指定可能に
図10に示すような設定情報の1つとして設定される。
【0058】
続くステップS206では、予め設定されている優先順位に関する情報を読み出して、読み出した優先順位にしたがって、ステップS205で評価値が算出されている各階層のポストに配属すべき人材の候補の並び順を、候補者ワーク上でソートする。ここで、優先順位とは、各階層における候補者を並び替えるための情報であり、評価の重み順として機能する。
図11は、
図2のステップS206の処理に際し参照される設定情報の一例を模式的に示す図である。優先順位に関する情報は、例えば、
図11に示すようなテーブル構造にしたがって設定される。優先順位としては、例えば、人材の評価値及び異動先の組織に関する評価値の一方又は双方につき昇順又は降順等を設定することが可能である。ここで、人材の評価値の一例は、候補者の考課である。また、異動先の組織に関する評価値の一例は、異動先の組織の平均年齢である。
【0059】
さらに、ステップS207では、並び替え後に得られた候補者ワーク上で、各階層の各候補者に対して候補IDを振りなおす(再付与)。そして、ステップS208に進む。
【0060】
ステップS208では、シミュレーション結果に関するデータを作成する。シミュレーション結果に関するデータは、複数の階層の各々に抽出した人材の候補を配置したデータであり、ユーザにとっては人事異動案である。このデータは、出力用に加工されたものであることが好ましく、より好ましくは、複数の人事異動案を対比可能に加工されたものであることが好ましい。1又は複数の人事異動案を対比可能に加工された出力用のデータとしては、ツリー表示用のデータ及びトレイン図表示用のデータを挙げることができる。ツリー表示とは、階層が進むにしたがって候補者が枝分かれすることにより複数の人事異動案を表現した表示である。トレイン図表示とは、各階層を電車の車両に見立てて候補者を連結することにより又は候補者のつながりを玉突きに見立てることにより、各人事異動案を表現した表示である。
【0061】
図12は、
図2のステップS208で作成されたシミュレーション結果に関するデータの表示例を示す図である。
図12に示す表示例は、ツリー表示である。
図12に示されるように、複数階層にわたる複数の人事異動案が一覧的に表示される。また、
図13は、
図12に示す表示を含む表示画面において、ユーザが一の人事異動案を選択した状態を示す図である。
図13に示されるように、一の人事異動案が選択されると、ポップアップ画面が起動して、追加的に表示可能な内容又は追加的に実行可能なシステムメニューが提示されることが好ましい。
図14は、
図13に示すポップアップ画面において「現職情報表示」が選択された場合を示す図である。
図14に示すように、ポップアップ画面は退避し、人事異動案を構成する各候補者に現職情報が追加して表示される。表示される現職情報は、例えば、
図3に示した表示画面において選択された情報であるが、これに代えて、デフォルトで設定された情報であってもよい。表示される現職情報は、各人材を配属可能なポストを判定するための判定情報となる情報として、人材が有する属性に関する情報であることが好ましい。これにより、ユーザは、
図14に示す表示画面から、人事異動案の適否を判断しやすくなる。
【0062】
続いて、ステップS209では、修正がなされるかどうかを判別する。ステップS209の判別は、具体的には、シミュレーション結果に関するデータに対応する画像が表示された表示画面を介して、ユーザが候補者の修正を行うかどうかを判別することによって行われる。候補者の修正のために、
図13に示すポップアップ画面において「異動入力」の旨が選択されてもよいし、シミュレーション結果に関するデータに対応する画像を表示するために、
図15に示すような表示画面を介してパスワード認証処理を経た上で、既存のシミュレーション結果に関するデータが読み出されてもよい。ここで、
図15に示す表示画面は、
図4に示す表示画面上の左上部にあるコンボボックスを用いた選択に応じて遷移可能な複数の画面のうちの1つであり、この表示画面が起動されると、ステップS201の判別の結果、新規に人事異動案を作成するのではなく既存の人事異動案を修正すると判断される(ステップS201でNo)。また、候補者の修正に際しては、所定の検索画面が起動されてもよい。所定の検索画面の例としては、所属名検索画面、職員名検索画面、発令コード検索画面、ポスト名検索画面、コース名検索画面、及び、職位名検索画面を挙げることができる。
【0063】
ステップS209の判別の結果、修正がなされた場合には(ステップS209でYes)、当該修正を受け付け(ステップS210)、受け付けた修正内容に基づきシミュレーション結果に関するデータを更新し、ステップS211に進む。一方、修正がなされない場合には(ステップS209でNo)、ステップS210の処理をスキップして、ステップS211に進む。
【0064】
そして、ステップS211では、人事発令がなされるかどうかを判別する。具体的には、シミュレーション結果に関するデータに含まれる複数の人事異動案の中から選択された人事異動案を採用(確定)する旨のユーザ選択を待機する。ステップS211の判別の結果、人事発令がなされない場合には(ステップS211でNo)、ステップS201に戻って、人事異動案の作成、優先順位の設定、人事異動案の修正、及び、人事発令を待機する。一方、人事発令がなされる場合には(ステップS211でYes)、ステップS212に進む。
【0065】
ステップS212では、ステップS211の判別の結果、人事発令がなされる対象となる人事異動案のデータを用いて、人事発令に関する発令データを作成する。発令データは、予め設定されたデフォルトデータに、人事異動案のデータを組み入れることによって作成される。
図16は、
図2のステップS212で作成される発令データに対応する画像の一例を示す図である。
図16に示す例では、発令データに対応する画像を、トレイン図で表現したものであり、玉突き人事異動であることが分かりやすく表現されている。なお、複数の発令データに対応する画像が並ぶようなレイアウトを可能にしてもよい。
【0066】
続いて、ステップS213では、人事システムへ連携を行う。人事システムは、例えば人事関連の情報を管理するためのソフトウェアである。具体的には、ステップS212で作成された発令データに含まれる人事異動の内容を人事システムに含まれる情報に反映させる。発令データに含まれる人事異動の内容を人事システムに含まれる情報に反映させるためには、発令データを人事システムで読み込み可能なフォーマットのデータ、例えばCSVデータに変換することが好ましい。
図17には、
図2のステップS213において人事システムへ連携を行うために行われるフォーマット変換を設定するための表示画面の構成例が示されている。また、このCSVデータを人事システムに読み込ませる際に、エラーチェックを行うことが好ましい。
図18には、
図2のステップS213における人事システムへ連携に際し行うために行われるエラーチェックの結果の一例を示すための表示画面の構成例が示されている。
図18に示されるように、過去の人事異動の発令内容と比較することでエラーチェックが行われる。また、好ましくは、反映前の情報と反映後の情報の双方を用意しておき、人事異動発令日に合わせて人事システム内の情報が反映後の情報に更新されるようにする。
【0067】
上述したように、人事システムへの連携が完了したら、本処理を完了する。
【0068】
以上詳細に説明したように、
図2及び
図5に示す人事異動案作成支援方法の処理によれば、人材リストから、複数の階層にわたるポストの各々に求められる属性を有する人材が、当該ポストに異動すべき人材の候補として抽出される(ステップS204)。具体的には、本実施形態では、複数の階層にわたるポストのうち、空きポスト又は新規ポストに求められる属性を有する人材の候補が抽出され、かつ、当該抽出される人材の候補の各々が配属されているポストに求められる属性を有する人材の候補を抽出される(ステップS402)。このように、本実施形態によれば、自動的に、各階層に配属すべき人材の候補が抽出されるので、ユーザが事前に異動対象者を絞り込む必要がなく、使い勝手を向上させることができる。また、
図2及び
図5に示す処理によれば、人材の候補の抽出が、指定された階層数に等しい回数分だけ繰り返される(ステップS203及びステップS402)。このため、ユーザは、玉突き人事異動における玉突きの回数を制限することができる。
【0069】
また、
図2及び
図5に示す処理によれば、抽出された人材の候補が複数の階層において重複する場合には、当該重複する人材のうちの少なくとも1の人材が候補から除外される(ステップS404)。これにより、重複人事が発令される可能性をなくすことができる。
【0070】
さらに、
図2及び
図5に示す処理によれば、抽出処理に際し(ステップS204)、候補者ワークが作成されて、候補者ワーク上で、人材識別情報と、各人材が配置されているポストを識別するための識別情報と、複数の階層の各々を特定するための特定情報と、各人材が異動する異動先のポストを識別するための識別情報とが互いに関連付けられる。これにより、人事異動案作成支援装置100は、候補者の異動前後における情報を必要に応じて速やかに取得することが可能となり、人事異動案作成に係る処理を速やかに実行することができるようになる。また、
図2及び
図5に示す処理によれば、複数の階層の各々で抽出された人材の候補に、固有の識別情報としての候補IDが付与されるので(ステップS405,S207)、識別情報を用いた処理(例えば、人材のソート、階層のソート、候補ID順による出力用データの作成)を実現することが可能となる。
【0071】
また、
図2及び
図5に示す処理によれば、異動不可情報に基づき、複数の階層の各々に配属すべき人材の候補の中から、当該階層に対応する異動先に異動できない人材が判別される(ステップS406)。これにより、ユーザは、異動できない人材を含む人事異動案を検討せずに済むこととなる。
【0072】
また、
図2及び
図5に示す処理によれば、1種以上の評価情報に基づき、ポストに人材を異動させる場合における当該人材の評価値及び異動先の組織に関する評価値の一方又は双方が算出される。これにより、ユーザは、候補者の比較や複数の人事異動案の比較を容易に行うことができるようになる。さらに、
図2及び
図5に示す処理によれば、評価情報が複数種類であり、かつ、複数種類の評価情報は、評価の重み順としての優先順位を設定可能である場合に、複数種類の評価情報のうちの指定された種類の評価情報ごとに、ポストに人材を異動させる場合における当該人材の評価値及び異動先の組織に関する評価値の一方又は双方が算出され、かつ、当該算出の結果得られた評価値に基づき、優先順位にしたがって各階層のポストに配属すべき人材の候補の並び順がソートされる(ステップS206)。これにより、ユーザは、優先順位の高い候補者を容易に把握することができるようになる。
【0073】
また、
図2及び
図5に示す処理によれば、複数の階層の各々に、抽出された人材の候補を配置したシミュレーション結果に関するデータが自動的に人事異動案として作成される(ステップS208)。これにより、ユーザは、人事異動案を視覚的に把握しやすくなる。
【0074】
なお、上述した実施形態では、参照される設定情報は、
図7、
図9、
図10、
図11に示されるように条件式等で表現したが、各条件式の内容又は複数の条件式の組み合わせの内容をユーザが把握しやすいような表現(例えば、「長期滞留回避型定期人事異動案」,「次期主任育成型人事異動案」等)に置き換えて、ユーザが選択するようにしてもよい。
【0075】
また、上述した
図2及び
図5に示す一連の処理における一部の処理順序は任意に変更可能であり、また、一部の処理を、割り込み処理可能に独立した処理としてもよいし、また、省略又は削除してもよく、さらには、他の処理を追加してもよい。例えば、評価値算出後に得られたシミュレーション結果に関するデータを一旦保持しておき、優先順位設定の有無又は優先順位設定の変更の有無を確認してから、ソート処理を行うようにしてもよい。
【0076】
[3.具体例]
本実施形態の具体例について、
図19〜
図35を参照して説明する。
【0077】
図19は、本発明の実施形態の具体例における処理手順の概略を示すフローチャートである。本処理も人事異動案作成支援装置100により実行される。
図20は、
図19に示す処理とシステムメニューとの関係を模式的に示す図である。
図21は、
図19のステップS10(
図5のステップS401)において読み出される人材リストの例を模式的に示す図である。
【0078】
図22は、
図19のステップS20の処理の詳細を示すフローチャートである。
図22に示される手順にしたがうことで、候補者ワークが作成され、重複人材が除外される(
図5のステップS402〜S404)。
図23は、
図19のステップS20において行われる候補者の抽出の説明に用いられる図であり、
図23(a)は、ポストコードとポスト名の関連付けを、
図23(b)は、ポスト条件情報を、
図23(c)は、
図23(b)のポスト条件情報のために参照される条件値を示す。
図24は、
図19のステップS20の処理の結果作成された候補者ワークの具体例を模式的に示す図である。
図24に示されるように、候補者ワーク上では、階層(レベル)ごとに、候補者のレコードが並ぶこととなる。また、
図24に示す候補者ワークでは、各候補者に候補IDが付与されている(
図5のステップS405)。
図24において、候補IDの欄に「追加無」と示されている候補者は重複人材を意味し、当該候補者のレコードは候補者ワークから除外される対象である。
【0079】
図25は、
図19のステップS30の処理の詳細を示すフローチャートである。
図26は、
図19のステップS30において行われる異動不可候補者の除外の説明に用いられる図であり、
図26(a)は、異動不可の種別を、
図26(b)は、異動不可の条件を、
図26(c)は、
図26(b)の異動不可の条件のために参照される条件値を示す。ステップS30の処理の結果、異動不可の候補者が除外されることとなる(
図5のステップS406)。
図27は、
図19のステップS30の処理の結果、
図24に示す候補者ワークから、異動不可候補者が除外された状態を模式的に示す図である。
図27において、候補IDの欄に「削除」と示されている候補者は異動不可候補者を意味し、当該候補者のレコードは候補者ワークから除外される対象である。
【0080】
図28は、
図19のステップS40の処理の詳細を示すフローチャートである。ステップS40の処理の結果、候補者の評価値及び異動先の組織の評価値の一方又は双方が算出される(
図2のステップS205)。評価値の算出は、複数のパターンで行うことが好ましい。
図29は、
図19のステップS40の処理の結果得られる、評価値を含む候補者ワークの具体例を模式的に示す図である。
図29における評価値は、例えば、所定のポストにおける異動前後の人材の滞留年数、支給額等の評価情報の差分を社員数で割ることで得られる。
図30は、
図29に示した評価値を得るために用いられる優先順位に関する設定情報の具体例を模式的に示す図である。
図30に示されるように、階層ごとに優先順位を設定することも可能である。
図30に示す例では、ポストコード「201」につき、評価値1として、シーケンス番号1にしたがって評価対象区分2の本人の考課に関する情報を取得して降順でソートし、かつ、評価値2を、シーケンス番号2にしたがって評価対象区分1の組織につき在籍者の年齢の平均値(演算区分2)を取得し、昇順でソートすることを意味している。
図31には、異動元の組織に在籍している人材の評価値を算出した結果の一例が示されている。このような情報を用いて異動先の組織における評価値は算出される。
【0081】
図32は、
図19のステップS50の処理の詳細を示すフローチャートである。ステップS50の処理の結果、優先順位に応じて候補者ワークの書き換えが行われる。
図33は、
図19のステップS50における書き換え処理前の候補者ワークの例を模式的に示す図である。
図34は、
図33に示す候補者ワークの並び替えと候補IDの再付与を説明するために用いられる図である。
図35は、
図19のステップS50における書き換え処理後の候補者ワークの例を模式的に示す図である。このようにして候補者ワークの書き換えが優先順位にしたがって行われる。候補IDの再付与が行われることにより、ツリー表示も速やかに行うことができる。
【0082】
以上詳細に説明したように、本具体例によれば、候補者ワークを用いて、複数の階層にわたって候補となる人材を抽出することができる。そのため、候補者ワークを用いずに候補者を抽出する場合に比較して処理時間を短くすることができる。
【0083】
[4.他の実施形態]
本発明は、上述した実施形態以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施形態にて実施されてよいものである。
【0084】
例えば、実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
【0085】
また、本明細書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや検索条件等のパラメータを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0086】
また、人事異動案作成支援装置100及び人事異動案作成支援システム1000に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。
【0087】
例えば、人事異動案作成支援装置100が備える処理機能、特に制御部120にて行われる各処理機能については、その全部または任意の一部を、CPUおよび当該CPUにて解釈実行されるプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。尚、プログラムは、本実施形態で説明した処理を情報処理装置に実行させるためのプログラム化された命令を含む一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されており、必要に応じて人事異動案作成支援装置100に機械的に読み取られる。すなわち、ROMまたはHDD(Hard Disk Drive)などの記憶部などには、OSと協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、RAMにロードされることによって実行され、CPUと協働して制御部を構成する。
【0088】
また、このコンピュータプログラムは、人事異動案作成支援装置100に対して任意のネットワークを介して接続されたアプリケーションプログラムサーバ(例えば、ネットワーク300を介して接続されたサーバ200)に記憶されていてもよく、必要に応じてその全部または一部をダウンロードすることも可能である。
【0089】
また、本実施形態で説明した処理を実行するためのプログラムを、一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよく、また、プログラム製品として構成することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、メモリーカード、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)カード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、CD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)、MO(Magneto−Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、および、Blu−ray(登録商標) Disc等の任意の「可搬用の物理媒体」を含むものとする。したがって、本明細書で説明したような処理又は処理方法を実行するためのプログラムを格納した記録媒体もまた本発明を構成することとなる。
【0090】
また、「プログラム」とは、任意の言語または記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコードまたはバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OSに代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、実施形態に示した各装置において記録媒体を読み取るための具体的な構成および読み取り手順ならびに読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
【0091】
記憶部106に格納される各種のデータベース等は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、及び、光ディスク等のストレージ手段であり、各種処理やウェブサイト提供に用いる各種のプログラム、テーブル、データベース、及び、ウェブページ用ファイル等を格納する。
【0092】
また、人事異動案作成支援装置100は、既知のパーソナルコンピュータまたはワークステーション等の情報処理装置として構成してもよく、また、任意の周辺装置が接続された当該情報処理装置として構成してもよい。また、人事異動案作成支援装置100は、当該装置に本明細書で説明した処理を実現させるソフトウェア(プログラムまたはデータ等を含む)を実装することにより実現してもよい。
【0093】
更に、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部または一部を、各種の付加等に応じてまたは機能負荷に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。すなわち、上述した実施形態を任意に組み合わせて実施してもよく、実施形態を選択的に実施してもよい。