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特開2017-188898出力DC電圧相殺を伴う線形絶縁増幅器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-188898(P2017-188898A)
(43)【公開日】2017年10月12日
(54)【発明の名称】出力DC電圧相殺を伴う線形絶縁増幅器
(51)【国際特許分類】
   H03F 3/38 20060101AFI20170919BHJP
   H03F 3/08 20060101ALI20170919BHJP
【FI】
   H03F3/38 A
   H03F3/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-73504(P2017-73504)
(22)【出願日】2017年4月3日
(31)【優先権主張番号】15/089,703
(32)【優先日】2016年4月4日
(33)【優先権主張国】US
(71)【出願人】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・レビン
【テーマコード(参考)】
5J500
【Fターム(参考)】
5J500AA01
5J500AA49
5J500AA56
5J500AC13
5J500AF17
5J500AH25
5J500AH29
5J500AH45
5J500AK01
5J500AK11
5J500AM13
5J500AS15
5J500AT06
5J500LU02
5J500LU07
5J500MU01
5J500MV01
5J500MV18
5J500MV19
(57)【要約】      (修正有)
【課題】AC成分を歪みなく送信しながら出力信号のDC電圧成分を除去する、線形オプトカプラを用いた線形絶縁増幅器を提供する。
【解決手段】絶縁回路8は、入力AC信号14を受信する第1の入力端子を有し、線形オプトアイソレータ22を含む絶縁増幅器10を含む。オプトアイソレータは、入力信号に比例したAC成分を有するユニポーラ出力信号24を供給する第1の出力端子を有する。絶縁回路は、演算増幅器26、積分器30を有するトランスインピーダンス受信機12をさらに含む。演算増幅器は、第2の出力28を形成し、ユニポーラ出力信号を受信して増幅する。積分器は、演算増幅器に接続された出力信号34を有し、差動入力端子は、出力信号と、接続部32を介した接地信号を受信する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子回路であって、
絶縁増幅器であって、入力AC信号を受信するように結合された第1の入力端子を有し、かつ線形オプトアイソレータを含み、第1の出力端子を有して、前記入力信号に比例するAC成分を有するユニポーラ信号を前記第1の出力端子にて供給するように結合されている、絶縁増幅器と、
トランスインピーダンス受信機であって、
第1の演算増幅器であって、第2の出力端子と第1の差動入力端子及び第2の差動入力端子とを有し、前記第1の差動入力端子は、前記回路からの出力信号を前記第2の出力端子にて供給するように、前記ユニポーラ出力信号を前記第1の出力端子から受信し増幅するように結合されている、第1の演算増幅器と、
第2の演算増幅器であって、積分器として構成されており、前記第2の差動入力端子に結合された第3の出力端子を有し、また第3の差動入力端子及び第4の差動入力端子を有し、前記第3の差動入力端子は、前記出力信号を、前記第2の出力端子及び接地に接続された前記第4の差動入力端子から受信するように結合されている、第2の演算増幅器と、を含む、トランスインピーダンス受信機と、
を備える、電子回路。
【請求項2】
前記トランスインピーダンス受信機は、前記第2の演算増幅器に結合された入力抵抗器及び帰還コンデンサを含み、値は、高域フィルタとして構成されたAC結合増幅器として前記トランスインピーダンス受信機が機能するように選択されている、請求項1に記載の電子回路。
【請求項3】
前記高域フィルタは、単極高域フィルタを含む、請求項2に記載の電子回路。
【請求項4】
前記第2の出力端子での前記出力信号は、ゼロのDC成分を有する、請求項1に記載の電子回路。
【請求項5】
前記絶縁増幅器は、基準DC電圧を受信するように結合された第2の入力端子を有し、一方、前記トランスインピーダンス受信機は、任意の基準DC電圧を使用せずに前記出力信号を生成する、請求項1に記載の電子回路。
【請求項6】
電子回路を製造する方法であって、
絶縁増幅器を設けることであって、前記絶縁増幅器は、入力AC信号を受信するように結合された第1の入力端子を有し、かつ線形オプトアイソレータを含み、第1の出力端子を有して、前記入力信号に比例するAC成分を有するユニポーラ信号を前記第1の出力端子にて供給するように結合されている、設けることと、
トランスインピーダンス受信機を設けることであって、前記トランスインピーダンス受信機は、
第1の演算増幅器であって、第2の出力端子と第1の差動入力端子及び第2の差動入力端子とを有し、前記第1の差動入力端子は、前記回路からの出力信号を前記第2の出力端子にて供給するように、前記ユニポーラ出力信号を前記第1の出力端子から受信し増幅するように結合されている、第1の演算増幅器と、
第2の演算増幅器であって、積分器として構成されており、前記第2の差動入力端子に結合された第3の出力端子を有し、また第3の差動入力端子及び第4の差動入力端子を有し、前記第3の差動入力端子は、前記出力信号を、前記第2の出力端子及び接地に接続された前記第4の差動入力端子から受信するように結合されている、第2の演算増幅器と、を含む、設けることと、を含む、方法。
【請求項7】
前記トランスインピーダンス受信機は、前記第2の演算増幅器に結合された入力抵抗器及び帰還コンデンサを含み、値は、高域フィルタとして構成されたAC結合増幅器として前記トランスインピーダンス受信機が機能するように選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記高域フィルタは、単極高域フィルタを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第2の出力端子での前記出力信号は、ゼロのDC成分を有する、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記絶縁増幅器は、基準DC電圧を受信するように結合された第2の入力端子を有し、一方、前記トランスインピーダンス受信機は、任意の基準DC電圧を使用せずに前記出力信号を生成する、請求項6に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、電子回路、特に、線形絶縁増幅器に関する。
【背景技術】
【0002】
電子信号、つまり、電圧又は電流信号が、2つの部分間のいかなるオーム接点なしに電子回路の1つの部分からその回路の別の部分に送信されることが一般に必要とされる。このような場合の例は、患者が回路の一方の部分によりモニタされるときなど、一方の部分が人間と接触しており、他方の部分が外部電子装置に接続される回路によりもたらされる。完全なオーム絶縁を回路の2つの部分間でもたらすことにより、外部電子装置内で電子的誤動作が発生しても有害な電流が患者を通って流れたりしないことを確実にする。信号を伝えるために広く使用されている電子回路は、回路の2つの部分を絶縁している間は、線形オプトカプラに基づいて線形絶縁増幅器である。「信号」という用語は、特記がない限り、電子電圧又は電流信号を示すために本発明の説明及び特許請求の範囲において使用される。
【0003】
線形オプトカプラは、光学エミッタ及び受信機の1つ又は2つ以上の対を介して信号を送信し、電子信号が、まず光信号に、その後、再び、電子信号に変換されるようになっている。エミッタ受信機対の非対称の構成、及び、出射された光子を透過する非電導性(誘電)間隙のため、信号は、1つの方向にのみ進むことになり、逆電流が患者の方に流れる可能性はない。しかしながら、光回路の使用により、ユニポーラという条件が送信信号に課される。(明瞭さのために、以下の説明では、正のユニポーラ信号、並びに、正の基準電圧及び閾値電圧に言及するが、負のユニポーラ信号が、負のオフセット電圧及び閾値電圧とともに、同様に使用され得る。)正のユニポーラの要件に加えて、フォトニックエミッタは、ゼロを上回る閾値励起を超えると初めて線形挙動を示すという事実のために、送信信号の最小値は、一般的に、この閾値を上回るように設定される。
【0004】
伝達される信号が純粋なAC信号であるとき、この信号は、線形オプトカプラに入力される前に正のユニポーラ信号に変換される。この変換は、線形絶縁増幅器内の前置増幅器により達成することができ、この前置増幅器は、一定の正のDC基準電圧をAC信号に追加し、その結果、十分に高い正の最小値を有する正のユニポーラ信号が作成される。正のユニポーラ信号が線形オプトカプラを通過すると、そのAC成分を復元することができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書で後述する本発明の実施形態は、改良された絶縁回路及びその使用方法を提供する。
【0006】
したがって、本発明の実施形態によれば、電子回路が提供され、その電子回路は、絶縁増幅器であって、入力AC信号を受信するように結合された第1の入力端子を有し、かつ線形オプトアイソレータを含み、第1の出力端子を有して、入力信号に比例するAC成分を有するユニポーラ信号を第1の出力端子にて供給するように結合されている、絶縁増幅器と、トランスインピーダンス受信機であって、第1の演算増幅器であって、第2の出力端子と第1の差動入力端子及び第2の差動入力端子とを有し、第1の差動入力端子は、回路からの出力信号を第2の出力端子にて供給するように、ユニポーラ出力信号を第1の出力端子から受信し増幅するように結合されている、第1の演算増幅器と、第2の演算増幅器であって、積分器として構成されており、第2の差動入力端子に結合された第3の出力端子を有し、また第3の差動入力端子及び第4の差動入力端子を有し、第3の差動入力端子は、出力信号を、第2の出力端子及び接地に接続された第4の差動入力端子から受信するように結合されている、第2の演算増幅器と、を含む、トランスインピーダンス受信機と、を備える。
【0007】
いくつかの実施形態において、トランスインピーダンス受信機は、第2の演算増幅器に結合された入力抵抗器及び帰還コンデンサを含み、値は、高域フィルタとして構成されたAC結合増幅器としてトランスインピーダンス受信機が機能するように選択される。開示される実施形態において、高域フィルタは、単極高域フィルタである。
【0008】
更なる開示される実施形態において、第2の出力端子での出力信号は、ゼロのDC成分を有する。
【0009】
尚も他の実施形態において、絶縁増幅器は、基準DC電圧を受信するように結合された第2の入力端子を有し、一方、トランスインピーダンス受信機は、基準DC電圧を使用せずに出力信号を生成する。
【0010】
また、本発明の実施形態によれば、電子回路を製造する方法が更に提供されており、その方法は、絶縁増幅器を設けることであって、その絶縁増幅器は、入力AC信号を受信するように結合された第1の入力端子を有し、かつ線形オプトアイソレータを含み、第1の出力端子を有して、入力信号に比例するAC成分を有するユニポーラ信号を第1の出力端子にて供給するように結合されている、設けることと、トランスインピーダンス受信機を設けることであって、トランスインピーダンス受信機は、第1の演算増幅器であって、第2の出力端子と第1の差動入力端子及び第2の差動入力端子とを有し、第1の差動入力端子は、回路からの出力信号を第2の出力端子にて供給するように、ユニポーラ出力信号を第1の出力端子から受信し増幅するように結合されている、第1の演算増幅器と、第2の演算増幅器であって、積分器として構成されており、第2の差動入力端子に結合された第3の出力端子を有し、また第3の差動入力端子及び第4の差動入力端子を有し、第3の差動入力端子は、出力信号を、第2の出力端子及び接地に接続された第4の差動入力端子から受信するように結合されている、第2の演算増幅器と、を含む、設けることと、を含む。
【0011】
本発明の実施形態によれば、トランスインピーダンス受信機は、第2の演算増幅器に結合された入力抵抗器及び帰還コンデンサを含み、値は、高域フィルタとして構成されたAC結合増幅器としてトランスインピーダンス受信機が機能するように選択される方法が更に提供される。
【0012】
本発明の実施形態によれば、高域フィルタが単極高域フィルタを含む方法が更に提供される。
【0013】
本発明の実施形態によれば、第2の出力端子での出力信号がゼロのDC成分を有する方法が更に提供される。
【0014】
本発明の実施形態によれば、絶縁増幅器が、基準DC電圧を受信するように結合された第2の入力端子を有し、一方、トランスインピーダンス受信機が、任意の基準DC電圧を使用せずに出力信号を生成する方法が更に提供される。
【0015】
本発明は、以下の「発明を実施するための形態」を図面と併せ読むことによって、より完全な理解が得られるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態による、電子回路の概略ブロック図である。
図2】本発明の実施形態による、線形絶縁増幅器への入力AC信号の概略図である。
図3】本発明の実施形態による、線形オプトカプラへの正のユニポーラ入力信号の概略図である。
図4】本発明の実施形態による、線形オプトカプラからの正のユニポーラ出力信号の概略図である。
図5】本発明の実施形態による、トランスインピーダンス受信機からの出力信号の概略図である。
図6A】本発明の実施形態による、電子回路の図である。
図6B】本発明の実施形態による、電子回路の図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
先に述べたように、AC信号が、線形絶縁増幅器の一部である線形オプトカプラにより正しく送信されるために、センサから生じるAC信号は、その信号を線形オプトカプラへの入力として提示する前に正のユニポーラ信号に変換される。この変換は、正のDCオフセット電圧をAC信号に追加することにより達成される。正のDCオフセット電圧は、線形オプトカプラの入力側の基準DC電圧に基づく。線形オプトカプラの入力側と出力側との間のオーム絶縁という要件のため、この基準DC電圧は、線形オプトカプラの出力側ではアクセス不可能である。正のユニポーラ信号が線形絶縁増幅器の出力端子に送信されると、DCオフセット電圧は、初期AC信号を復元するために除去される。第2の基準DC電圧がこの目的に使用されるとき、電圧差又は時間依存ドリフトなど、絶縁増幅器の入力側及び出力側の基準電圧間のいかなる不一致は、残留DC電圧オフセットにより、復元されたAC信号を歪めることになる。
【0018】
本明細書で説明する本発明の実施形態は、任意の第2の基準DC電圧を使用することなく、高域フィルタリングという方法を線形絶縁増幅器からの出力信号に適用することにより、2つの基準電圧の使用において固有の問題を回避する。高域フィルタの周波数応答を適切に選択することにより、該フィルタは、出力信号のAC成分を歪みなく送信しながら出力信号のDC電圧成分を除去することになる。
【0019】
いくつかの実施形態において、高域フィルタリングはトランスインピーダンス受信機により達成され、トランスインピーダンス受信機は、AC結合増幅器として構成されている。詳細に後述するように、トランスインピーダンス受信機は、演算増幅器を含み、演算増幅器の差動入力端子のうちの1つは、出力信号を線形絶縁増幅器から受信する。演算増幅器の出力端子は、第2の演算増幅器の差動入力端子のうちの1つに接続され、第2の演算増幅器は、積分器として構成されている。積分器(第2の演算増幅器)の第2の差動入力端子は、接地電位に接続されている。積分器の出力端子は、第1の演算増幅器の第2の差動入力端子に接続されており、負帰還をこの演算増幅器に供給し、第1の演算増幅器の出力信号のDC成分が常にゼロであることを確実にする。
【0020】
したがって、第1の演算増幅器の出力信号は、ゼロのDC成分で、初期入力AC信号を忠実に複製する。詳細に後述するように、高域フィルタの設計、特に積分器の設計は、DC成分を除去する行為がAC信号に有害な影響を与えないように選択することができる。具体的には、高域フィルタを単極フィルタとして設計するとき、カットオフ周波数の位置は、AC信号の波長スペクトルを十分に下回り、一方、それでも周波数(DC)ゼロを十分に上回るように選択することができる。
【0021】
線形絶縁増幅器及びトランスインピーダンス受信機のこの新規な組み合わせは、トランスインピーダンス受信機が高域フィルタとして構成され、第2の基準DC電圧が必要とされないことから、オーム絶縁にてAC信号を送信するのに有利である。更に、復元されたAC信号は、DC基準不整合、又は時間的ドリフトのために歪みがない。更に、本発明の実施形態は、このような装置のメーカから販売される任意の線形絶縁増幅器に適用することができる。
【0022】
図1は、本発明の実施形態による、絶縁回路8の概略ブロック図である。回路8の2つの主要部分は、この図において破線によりまとめた、線形絶縁増幅器10及びトランスインピーダンス受信機12である。入力AC信号14は、線形絶縁増幅器10内の前置増幅器16の入力端子に接続されている。前置増幅器16において、正の基準DC電圧18が、入力AC信号14に追加されており、正のユニポーラ信号20を、前置増幅器16の出力端子にて生成する。信号20は、線形絶縁増幅器10内の線形オプトアイソレータ22への入力として使用されており、オプトアイソレータ22は、信号20を、信号20からオーム絶縁された正のユニポーラ出力信号24に変換する。
【0023】
信号24は、トランスインピーダンス受信機12への入力信号を形成し、信号24は、トランスインピーダンス受信機12内の演算増幅器回路26の差動入力端子に接続されている。演算増幅器回路26は、出力信号28を形成し、出力信号28は、トランスインピーダンス受信機12内の積分器30の差動入力端子に接続されている。積分器30の第2の差動入力端子は、接続部32を介して接地電位に接続されている。積分器30の出力信号34は、演算増幅器回路26の第2の差動入力端子に接続されており、負帰還を演算増幅器回路26に供給して、出力信号28がゼロのDC成分を有し、出力信号28が当初の入力AC信号14を復元することを確実にする。
【0024】
図2図5は、図1を追加的に参照すると、図1の回路8内の様々な場所での信号電圧の概略図である。横軸は、時間を表し、縦軸は、信号の電圧を表す。
【0025】
図2は、入力AC信号14の概略図である。入力AC信号14は、ゼロのDC成分でAC成分のみを有する。
【0026】
図3は、正の基準DC電圧18を入力AC信号14に追加した後の、前置増幅器16からの出力信号である正のユニポーラ信号20の概略図である。正の基準DC電圧18の大きさは、図3においてVREFとして示されている。正のユニポーラ信号20の最小値は、線形オプトカプラ22の適切な機能に必要とされるように、図3においてVTHにより示されている。
【0027】
図4は、線形オプトアイソレータ22からの出力信号24の概略図である。簡潔さのために線形オプトアイソレータ22についてユニティゲインを想定して、出力信号24は、正のユニポーラ信号20の正確な復元である。
【0028】
図5は、出力信号28の概略図であり、出力信号24内に存在するDC成分は、トランスインピーダンス受信機12がACカップリング増幅器として機能するために除去済みであり、残りのAC成分は、入力AC信号14の忠実な復元である。
【0029】
図6Aは、本発明の実施形態による電子回路36の概略図である。明瞭さのために、図6Aは、一般的な電子回路表記を使用して電子回路36を示す。電子回路36内の電子部品の典型的な値又は形式を表1において下記に示すが、当業者は、これらの値及び形式の変形例を認識するであろう。
【0030】
【表1】
【0031】
電子回路36の典型的な供給電圧を表2において下記に示す。
【0032】
【表2】
【0033】
電子回路36の更なる説明及び明確化を以下の図、図6Bに示す。
【0034】
図6Bは、図1の回路8の機能要素を付加的に参照した電子回路36の概略図である。主要な機能的な回路部品、つまり、線形絶縁増幅器10及びトランスインピーダンス受信機12は、電子回路36において破線で概説されている。絶縁増幅器10及びトランスインピーダンス受信機12の内部の回路部品−前置増幅器16、線形オプトアイソレータ22、演算増幅器回路26、及び積分器30−は、主要な機能的な回路部品内に破線で更に概説されている。信号及び基準電圧は、図1にしたがってラベル付けされている。
【0035】
前置増幅器16は、演算増幅器U1を含み、差動入力端子間の電圧は、入力AC信号14(回路図36においてVINとラベル付け)及び基準DC電圧18(回路図36においてVREFとラベル付け)の和である。抵抗器R1が、ダイオードD1を通る順電流を決定する。抵抗器R2が、ダイオードD1を通る最大電流値を制限し、出力コンデンサC1が、潜在的な寄生振動を防止する。
【0036】
演算増幅器回路26は、演算増幅器U7を含み、抵抗器R3が、出力段ゲインを決定し、コンデンサC2が、その周波数挙動を制御する。積分器30は、演算増幅器U2、並びに、入力抵抗器38(R4)、及び、帰還コンデンサ40(C3)を含み、機能を後述する。積分器30及び演算増幅器回路26の組み合わせは、単極高域フィルタ応答を有するAC結合増幅器として機能する。
【0037】
積分器30の機能的特性は、抵抗器38及びコンデンサ40により制御される。これらの部品の値を示すと、抵抗器38のR4により、及び、コンデンサ40のC3による電子回路36の図にしたがって、高域フィルタのカットオフ周波数fCUTOFFは、
【数1】
であるように計算することができる。
【0038】
カットオフ周波数fCUTOFFが、入力AC信号14の波長スペクトルを十分に下回り、一方、それでも周波数(DC)ゼロを十分に上回るように選択されるとき、入力AC信号14は、任意の残留DC信号なく、出力信号28にて忠実に復元されることになる。
【0039】
図6A及び図6Bは、一例として回路部品の特定の電子構成及び選択を示すが、回路8の原理は、当業者に明らかになるように、他の回路部品及び成分値を使用して代替的に実行することができる。したがって、上記に述べた実施形態は、例として引用したものであり、また本発明は、上記に詳細に示し説明したものに限定されないことが認識されよう。むしろ、本発明の範囲は、上記されている種々の特徴の組み合わせ及び部分的組み合わせと、前述の説明を読むことに基づいて当業者が想起するであろう、先行技術に開示されていない変形例及び修飾との両方を含む。
【0040】
〔実施の態様〕
(1) 電子回路であって、
絶縁増幅器であって、入力AC信号を受信するように結合された第1の入力端子を有し、かつ線形オプトアイソレータを含み、第1の出力端子を有して、前記入力信号に比例するAC成分を有するユニポーラ信号を前記第1の出力端子にて供給するように結合されている、絶縁増幅器と、
トランスインピーダンス受信機であって、
第1の演算増幅器であって、第2の出力端子と第1の差動入力端子及び第2の差動入力端子とを有し、前記第1の差動入力端子は、前記回路からの出力信号を前記第2の出力端子にて供給するように、前記ユニポーラ出力信号を前記第1の出力端子から受信し増幅するように結合されている、第1の演算増幅器と、
第2の演算増幅器であって、積分器として構成されており、前記第2の差動入力端子に結合された第3の出力端子を有し、また第3の差動入力端子及び第4の差動入力端子を有し、前記第3の差動入力端子は、前記出力信号を、前記第2の出力端子及び接地に接続された前記第4の差動入力端子から受信するように結合されている、第2の演算増幅器と、を含む、トランスインピーダンス受信機と、
を備える、電子回路。
(2) 前記トランスインピーダンス受信機は、前記第2の演算増幅器に結合された入力抵抗器及び帰還コンデンサを含み、値は、高域フィルタとして構成されたAC結合増幅器として前記トランスインピーダンス受信機が機能するように選択されている、実施態様1に記載の電子回路。
(3) 前記高域フィルタは、単極高域フィルタを含む、実施態様2に記載の電子回路。
(4) 前記第2の出力端子での前記出力信号は、ゼロのDC成分を有する、実施態様1に記載の電子回路。
(5) 前記絶縁増幅器は、基準DC電圧を受信するように結合された第2の入力端子を有し、一方、前記トランスインピーダンス受信機は、任意の基準DC電圧を使用せずに前記出力信号を生成する、実施態様1に記載の電子回路。
【0041】
(6) 電子回路を製造する方法であって、
絶縁増幅器を設けることであって、前記絶縁増幅器は、入力AC信号を受信するように結合された第1の入力端子を有し、かつ線形オプトアイソレータを含み、第1の出力端子を有して、前記入力信号に比例するAC成分を有するユニポーラ信号を前記第1の出力端子にて供給するように結合されている、設けることと、
トランスインピーダンス受信機を設けることであって、前記トランスインピーダンス受信機は、
第1の演算増幅器であって、第2の出力端子と第1の差動入力端子及び第2の差動入力端子とを有し、前記第1の差動入力端子は、前記回路からの出力信号を前記第2の出力端子にて供給するように、前記ユニポーラ出力信号を前記第1の出力端子から受信し増幅するように結合されている、第1の演算増幅器と、
第2の演算増幅器であって、積分器として構成されており、前記第2の差動入力端子に結合された第3の出力端子を有し、また第3の差動入力端子及び第4の差動入力端子を有し、前記第3の差動入力端子は、前記出力信号を、前記第2の出力端子及び接地に接続された前記第4の差動入力端子から受信するように結合されている、第2の演算増幅器と、を含む、設けることと、を含む、方法。
(7) 前記トランスインピーダンス受信機は、前記第2の演算増幅器に結合された入力抵抗器及び帰還コンデンサを含み、値は、高域フィルタとして構成されたAC結合増幅器として前記トランスインピーダンス受信機が機能するように選択される、実施態様6に記載の方法。
(8) 前記高域フィルタは、単極高域フィルタを含む、実施態様7に記載の方法。
(9) 前記第2の出力端子での前記出力信号は、ゼロのDC成分を有する、実施態様6に記載の方法。
(10) 前記絶縁増幅器は、基準DC電圧を受信するように結合された第2の入力端子を有し、一方、前記トランスインピーダンス受信機は、任意の基準DC電圧を使用せずに前記出力信号を生成する、実施態様6に記載の方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
【外国語明細書】
2017188898000001.pdf