【解決手段】信号伝達装置は、入力信号INのパルスエッジに応じてトランス駆動信号S1a、S2aに(N+a)発(ただしN≧2、a≧0)のパルスを発生させるトランス駆動信号生成部15と;一次側巻線に入力されるトランス駆動信号S1a、S2aに応じて二次側巻線に誘起信号S1b、S2bを発生させるトランス31、32と;誘起信号S1b、S2bと所定の閾値電圧とを比較して比較信号S1c、S2cを生成するコンパレータ21−1、22−1と;比較信号S1c、S2cにN発のパルスが発生したことを検出して検出信号S1d、S2dにパルスを発生させるパルス検出部21−2、22−2と;を有する。
入力信号が第1論理レベルから第2論理レベルに変遷するパルスエッジに応じて第1トランス駆動信号に(N+a)発(ただし、N≧2、a≧0)のパルスを発生させ、前記入力信号が前記第2論理レベルから前記第1論理レベルに変遷するパルスエッジに応じて第2トランス駆動信号に(N+a)発のパルスを発生させるトランス駆動信号生成部と;
一次側巻線に入力される前記第1トランス駆動信号に応じて二次側巻線に第1誘起信号を発生させる第1トランスと;
一次側巻線に入力される前記第2トランス駆動信号に応じて二次側巻線に第2誘起信号を発生させる第2トランスと;
前記第1誘起信号と所定の閾値電圧とを比較して第1比較信号を生成する第1コンパレータと;
前記第2誘起信号と所定の閾値電圧とを比較して第2比較信号を生成する第2コンパレータと;
前記第1比較信号にN発のパルスが発生したことを検出して第1検出信号にパルスを発生させる第1パルス検出部と;
前記第2比較信号にN発のパルスが発生したことを検出して第2検出信号にパルスを発生させる第2パルス検出部と;
前記第1検出信号に発生されたパルスに応じて出力信号を前記第1論理レベルから前記第2論理レベルに変遷させ、前記第2検出信号に発生されたパルスに応じて前記出力信号を前記第2論理レベルから前記第1論理レベルに変遷させるSRフリップフロップと;
を有することを特徴とする信号伝達装置。
前記第1パルス検出部は、前記第1比較信号に発生されたパルス数をカウントし、そのカウント値がNに達したときに前記第1検出信号にパルスを発生させるカウンタであり、
前記第2パルス検出部は、前記第2比較信号に発生されたパルス数をカウントし、そのカウント値がNに達したときに前記第2検出信号にパルスを発生させるカウンタであることを特徴とする請求項1に記載の信号伝達装置。
前記パルス生成部は、前記エッジ検出部で前記入力信号のパルスエッジをが検出されてから、所定時間が経過するまでの間、前記パルス信号を生成しないことを特徴とする請求項4に記載の信号伝達装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0026】
<第1の技術的特徴が解決しようとする第1の課題>
しかしながら、
図19、
図20に示す信号伝達回路装置はともに、入力側回路において入力された信号を出力側回路へ一方的に送信するものであり、たとえば入力信号伝達部におけるノイズの発生等に起因する入出力信号の不一致といった異常状態を回避する手段を兼ね備えてはいない。
【0027】
特許文献2には、リフレッシュパルスの発生により所定間隔ごとに制御出力信号を更新する技術思想が開示されているものの、制御出力信号と制御入力信号を直接比較して入出力信号の不一致を回避する技術思想に関しては何ら示唆されていない。特許文献2記載の信号伝達回路装置においては、耐ノイズ特性を向上させるためにはリフレッシュパルスの周波数を高くする必要があり、安定性、消費電力の面において不具合が生じ得る。
【0028】
本発明はこうした不具合を克服したものであって、何らかの問題により制御入力信号が制御出力信号へ正確に伝達されない異常状態が発生した場合に、該異常状態の検出に基づいて制御出力信号の補正が行われる信号伝達回路装置を提供することを目的とする。
【0029】
<第2の技術的特徴が解決しようとする第2の課題>
ところで、
図33、
図34に示した半導体装置Y10の不良品検査に際して、電圧計Y24で得られる検出電圧Vdetの電圧値は、下記(1)式で表される。
【0030】
Vdet=I×(RL+Rx+Ry) … (1)
【0031】
なお、上記(1)式中において、変数RxはプローブY21をパッドY11に接触させたときの接触抵抗成分であり、変数RyはプローブY22をパッドY12に接触させたときの接触抵抗成分である。
【0032】
上記(1)式から分かるように、検出電圧Vdetは、コイルL1の直列抵抗成分RLだけでなく、プローブY21及びY22の接触抵抗成分Rx及びRyの影響を受ける。特に、コイルL1の直列抵抗成分RLは、プローブY21及びY22の接触抵抗成分Rx及びRyと大差のない極めて微小な抵抗成分(数Ω〜数十Ω)であるため、半導体装置Y10の不良品検査に際して、直列抵抗成分RLを正確に測定し、コイルL1の抵抗値異常を検出することは非常に困難であった。
【0033】
そのため、上記従来の半導体装置Y10では、コイルL1の抵抗値異常(例えば、巻線同士の中途短絡)が生じていても、コイルL1の断線が生じていなければ、これを不良品としてリジェクトすることができず、市場に流出させてしまうおそれがあった。
【0034】
本発明は、上記の問題点に鑑み、コイルの抵抗値異常を検査することが可能な半導体装置及びその検査方法を提供することを目的とする。
【0035】
<第3の技術的特徴が解決しようとする第3の課題>
しかしながら、
図43に示した上記従来例の信号伝達装置100では、二次側回路の接地電圧GND2に変動が生じた場合など、トランス102a及び102bの二次側巻線に現れる誘起信号S10b及びS20bの一方または両方にノイズが発生した場合に、比較信号S10c及びS20cに誤パルスが生じて、出力信号OUTが意図しない論理レベルに変遷してしまうという課題があった。
【0036】
例えば、
図45Aでは、入力信号INがローレベルであるときに、誘起信号S10bにノイズが発生したことにより、比較信号S10cに誤パルスが生じて、出力信号OUTが意図せずハイレベルに変遷してしまう様子が描写されている。また、
図45Bでは、入力信号INがハイレベルであるときに、誘起信号S20bにノイズが発生したことにより、比較信号S20cに誤パルスが生じて、出力信号OUTが意図せずローレベルに変遷してしまう様子が描写されている。
【0037】
また、トランス102a及び102bが近接して配置されている場合には、誘起信号S10b及びS20bの両方に同一のノイズが発生すると考えられるが、このような場合でも、出力信号OUTが意図しない論理レベルに変遷してしまう可能性はあり得る。
【0038】
例えば、SRフリップフロップ104は、比較信号S10c及びS20cがいずれもハイレベルとなっている間、出力信号OUTをそれ以前の論理レベルに保持する構成であると仮定する。このような構成が採用されている場合、誘起信号S10b及びS20bの両方に同一のノイズが発生したときに、比較信号S10c及びS20cが同時にハイレベルに立ち上がり、かつ、同時にローレベルに立ち下がるのであれば、出力信号OUTが意図しない論理レベルに変遷することはない。
【0039】
しかしながら、実際には、コンパレータ103a及び103bの応答速度のばらつき等により、比較信号S10c及びS20cの論理変遷タイミングにはズレが生じるため、一方が先にハイレベルに立ち上がったり、一方が先にローレベルに立ち下がったりすると、出力信号OUTが意図しない論理レベルに変遷してしまう。
【0040】
例えば、
図46Aでは、入力信号INがローレベルであるときに、誘起信号S10b及びS20bの両方にノイズが発生した際、比較信号S10c及びS20cが同時にハイレベルに立ち上がったものの、比較信号S20cが先にローレベルに立ち下がった結果、出力信号OUTが意図せずハイレベルに変遷してしまう様子が描写されている。また、
図46Bでは、入力信号INがハイレベルであるときに、誘起信号S10b及びS20bの両方にノイズが発生した際、比較信号S10c及びS20cが同時にハイレベルに立ち上がったものの、比較信号S10cが先にローレベルに立ち下がった結果、出力信号OUTが意図せずローレベルに変遷してしまう様子が描写されている。
【0041】
本発明は、本願の発明者らによって見い出された上記の問題点に鑑み、ノイズの影響を受けにくい信号伝達装置、及び、これを用いたモータ駆動装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0042】
<第1の課題を解決するための手段>
本明細書において、「復元」とは元の信号の形態、位置(位相)に戻すことである。たとえば制御出力信号を例にすると、入力端子に入力された制御入力信号は出力端子に至るまでに各種各様の信号に変換または整形されるが、出力端子に出力される時点では制御出力信号は元の制御入力信号の形態、位置(位相)に戻される。この動作を「復元」と称する。
【0043】
また、本明細書において「等価」とは、回路機能に支障が生じない程度に信号形態、信号の位置(位相)が所定の範囲に収まっていることを指す。
【0044】
また、本明細書において「入力側回路」、「出力側回路」とは、信号が入力される回路部を「入力側回路」、信号が出力される回路部を「出力側回路」としてそれぞれ称する。本明細書において、「入力側回路」と「出力側回路」の境界は後述の入力信号伝達部または帰還信号伝達部であるが、これらの信号伝達部は「入力側回路」および「出力側回路」に跨って設けられている。
【0045】
また、本明細書において「直流的に絶縁する」とは絶縁すべき対象物が導体では接続されていないということである。
【0046】
また、本明細書において「第1電位」、「第2電位」とは矩形波信号におけるハイレベルまたはローレベルを指し、各信号におけるハイレベルおよびローレベルの電圧値は回路構成により所定の値に設定される。もちろん、信号ごとに第1電位または第2電位の電圧値が異なる場合もある。本明細書においては、「第1電位」をハイレベル、「第2電位」をローレベルとして説明するが、もちろん「第1電位」をローレベル、「第2電位」をハイレベルとして信号伝達回路装置を構成してもよい。
【0047】
また、本明細書において「第1の組み合わせ」とは、制御入力信号と後述する帰還信号の比較結果が“不一致”であり、かつ制御入力信号が第1電位である組み合わせを指し、「第2の組み合わせ」とは、制御入力信号と帰還信号の比較結果が“不一致”であり、かつ制御入力信号が第2電位である組み合わせを指す。
【0048】
また、本明細書において「出力信号補正機能」とは、制御出力信号の電位(第1電位または第2電位)が制御入力信号の電位と“不一致”の状態となった場合に、制御出力信号の電位を制御入力信号の電位と“一致”させる機能を指す。
【0049】
本発明は、入力側回路と出力側回路との間で信号の伝達が行われる信号伝達回路装置であって、前記信号伝達回路装置は、
(a)前記入力側回路に入力された制御入力信号を受信し、第1補正信号を出力する第1パルス生成回路と、
(b)前記制御入力信号を受信し、第2補正信号を出力する第2パルス生成回路と、
(c)前記第1補正信号および前記第2補正信号を受信し、前記入力側回路から前記出力側回路へ信号の伝達を行う入力信号伝達部と、
(d)前記入力信号伝達部の出力を受信し、前記制御入力信号と等価な制御出力信号を出力する入力信号復元回路と、
(e)前記制御出力信号を受信し、前記出力側回路から前記入力側回路へ信号の伝達を行い、帰還信号を出力する帰還信号伝達部と、
(f)前記制御入力信号および前記帰還信号を受信し、前記制御入力信号と前記帰還信号の論理比較を行い、論理比較信号を出力する論理比較回路を備え、
(g)前記第1パルス生成回路は、前記制御入力信号とともに前記論理比較信号を受信し、前記制御入力信号と前記論理比較信号が第1の組み合わせとなった場合に前記第1補正信号を出力し、前記第2パルス生成回路は、前記制御入力信号とともに前記論理比較信号を受信し、前記制御入力信号と前記論理比較信号が前記第1の組み合わせとは異なる第2の組み合わせとなった場合に前記第2補正信号を出力する(第1−1の構成)。
【0050】
こうした構成の信号伝達回路装置は、制御出力信号を入力側回路に帰還する帰還信号伝達部と、帰還信号と制御入力信号の論理比較を行う論理比較回路を備えており、第1パルス生成回路および第2パルス生成回路は制御入力信号と論理比較回路の論理比較結果に基づいて、適宜、各補正信号を出力するので、制御入力信号と制御出力信号の“不一致”が発生した場合にも速やかに制御出力信号の補正を行い、制御入力信号と制御出力信号を“一致”させることができる。
【0051】
本発明において、前記入力信号伝達部および前記帰還信号伝達部はそれぞれ少なくとも一つのアイソレータを有する(第1−2の構成)。
【0052】
こうした構成の信号伝達回路装置は、入力側回路と出力側回路がアイソレータによって直流的に絶縁されるため、接地電位の異なる2つのブロック間の信号伝達を行うことができる。
【0053】
本発明において、前記アイソレータはトランスである(第1−3の構成)。
【0054】
こうした構成の信号伝達回路装置は、入力側回路と出力側回路を直流的に絶縁するとともに、信号伝達時の遅延が少なく、高い周波数の信号に対しても正確な信号伝達を行うことができる。
【0055】
本発明において、前記入力側回路、前記出力側回路、および前記トランスはそれぞれ異なる半導体基板上に形成するとともに1つのパッケージの中に一体的に構成する(第1−4の構成)。
【0056】
本発明において、前記入力側回路、前記出力側回路をそれぞれ異なる半導体基板上に形成し、前記トランスは、前記入力側回路または前記出力側回路と同じ基板上に形成してもよい(第1−5の構成)。
【0057】
本発明において、前記トランスの1次巻線と2次巻線は互いに別の接地電位に接続されている(第1−6の構成)。
【0058】
本発明において、前記アイソレータはフォトカプラであってもよい(第1−7の構成)。
【0059】
本発明において、前記入力信号復元回路はRSフリップフロップにより構成されている(第1−8の構成)。
【0060】
こうした構成の信号伝達回路装置は、入力信号伝達部により入力側回路から出力側回路へ伝達された信号がRSフリップフロップのセット端子とリセット端子に各別に入力されるため、セット端子またはリセット端子に連続して信号が入力された場合であっても誤動作を生じる事なく制御入力信号と等価な制御出力信号を出力することができる。
【0061】
本発明において、前記帰還信号伝達部は、前記制御出力信号に同期して連続パルスを有する帰還パルスを生成する帰還パルス生成回路と、前記帰還パルスを波形整形する波形整形回路を有する(第1−9の構成)。
【0062】
こうした構成の信号伝達回路装置は、帰還信号伝達部におけるアイソレータの数がひとつで済み、さらに、帰還信号伝達部の耐ノイズ特性を高めることができる。
【0063】
本発明において、前記波形整形回路は、前記帰還パルスでオン、オフするスイッチングトランジスタと、前記スイッチングトランジスタと協働して前記帰還パルスとは異なる整形帰還信号を生成するための電流源およびキャパシタと、前記整形帰還信号が入力され前記整形帰還信号とは異なる前記帰還信号を生成するコンパレータを有する(第1−10の構成)。
【0064】
こうした構成の信号伝達回路装置は、比較的簡便な構成により帰還パルスの波形整形を行うことができる。
【0065】
本発明において、前記論理比較回路はエクスクルーシブOR回路を有する(第1−11の構成)。
【0066】
こうした構成の信号伝達回路装置は、論理比較回路の構成を簡便化することができる。
【0067】
本発明において、前記第1補正信号及び前記第2補正信号は連続パルスを有する信号であり、前記第1パルス生成回路は、前記制御入力信号と前記論理比較信号が前記第1の組み合わせとなった期間に連続パルスを有する前記第1補正信号を出力し、前記第2パルス生成回路は、前記制御入力信号と前記論理比較信号が前記第2の組み合わせとなった期間に連続パルスを有する前記第2補正信号を出力する構成としてもよい(第1−12の構成)。
【0068】
こうした構成の信号伝達回路装置は、第1パルス生成回路および第2パルス生成回路が入出力“不一致”の期間に連続パルスを生成するため、入出力の不一致が解消されるまでパルスが生成され続けることとなり、信号伝達回路装置の信頼性が向上する。
【0069】
本発明において、前記帰還信号伝達部は、前記制御出力信号の立ち上がりエッジを検出し第1帰還パルスを生成する第1出力エッジ検出回路と、前記制御出力信号の立ち下がりエッジを検出し第2帰還パルスを生成する第2出力エッジ検出回路と、前記第1帰還パルスおよび前記第2帰還パルスがセット端子およびリセット端子に各別に入力されるRSフリップフロップを有する構成としてもよい(第1−13の構成)。
【0070】
こうした構成の信号伝達回路装置は、制御出力信号に対する帰還信号の遅延を大幅に低減することができる。
【0071】
本発明において、前記帰還信号伝達部は、前記制御出力信号の立ち上がりエッジおよび立ち下がりエッジを検出し帰還パルスを生成する出力エッジ検出回路と、前記帰還パルスがクロック端子に入力されるDフリップフロップを有する構成としてもよい(第1−14の構成)。
【0072】
こうした構成の信号伝達回路装置は、制御出力信号に対する帰還信号の遅延を大幅に低減することができ、さらに、帰還信号伝達部のアイソレータの数を減らすことができる。
【0073】
本発明において、前記入力信号復元回路はDフリップフロップにより構成されていてもよい(第1−15の構成)。
【0074】
こうした構成の信号伝達回路装置は、入力信号復元回路に入力する信号数が一つで済み、入力信号復元回路にRSフリップフロップを用いた場合と比較して、入力信号伝達部のアイソレータの数を減らすことができる。
【0075】
本発明において、前記信号伝達回路装置はさらに、前記制御入力信号の立ち上がりエッジを検出し第1入力パルスを生成する第1エッジ検出回路と、前記制御入力信号の立ち下がりエッジを検出し第2入力パルスを生成する第2エッジ検出回路を備え、前記入力信号伝達部は、前記第1補正信号および前記第2補正信号とともに前記第1入力パルスおよび前記第2入力パルスを受信する構成としてもよい(第1−16の構成)。
【0076】
こうした構成の信号伝達回路装置は、入力信号伝達部が、第1補正信号及び第2補正信号とともに、第1入力パルスおよび第2入力パルスを受信し、入力信号復元部へ信号を送信するので、制御入力信号における電位の遷移は第1入力パルスおよび第2入力パルスに基づいて速やかに制御出力信号へと反映される。従って制御出力信号は、制御入力信号に対する帰還信号の遅延等の影響を受けることが無く、第1パルス生成回路および第2パルス生成回路に基づく出力信号補正機能を有したまま、制御入力信号の最小入力パルス幅を大幅に小さくすることができる。
【0077】
本発明において、前記入力信号伝達部は、前記第1補正信号と前記第1入力パルスを論理和処理する第1論理和回路と、前記第2補正信号と前記第2入力パルスを論理和処理する第2論理和回路を有し、前記入力信号復元回路は、前記第1論理和回路の出力がセット端子に入力され、前記第2論理和回路の出力がリセット端子に入力されるRSフリップフロップにより構成されていてもよい(第1−17の構成)。
【0078】
本発明において、前記第1論理和回路および前記第2論理和回路は前記入力側回路に設けられている(第1−18の構成)。
【0079】
こうした構成の信号伝達回路装置は、信号の論理和処理を行うことで入力信号伝達部のアイソレータの数を減らすことができるとともに、第1補正信号と第1入力パルス、第2補正信号と第2入力パルスがそれぞれ相互補完の関係となり、信号伝達回路装置の耐ノイズ特性がさらに向上する。
【0080】
本発明において、前記入力信号伝達部は、前記第1補正信号、前記第2補正信号、前記第1入力パルス、および前記第2入力パルスを論理和処理する論理和回路を有し、前記入力信号復元回路は、前記論理和回路の出力がクロック端子に入力されるDフリップフロップにより構成されていてもよい(第1−19の構成)。
【0081】
本発明において、前記論理和回路は前記入力側回路に設けられている(第1−20の構成)。
【0082】
こうした構成の信号伝達回路装置は、入力信号伝達部におけるアイソレータの数を減らすことができ、信号伝達回路装置の小型化を図ることができる。
【0083】
本発明の別の信号伝達回路装置は、
(a)入力側回路に入力された制御入力信号を受信し、第1補正信号を出力する第1論理積回路と、
(b)前記制御入力信号の反転信号を受信し、第2補正信号を出力する第2論理積回路と、
(c)前記第1補正信号および前記第2補正信号を受信し、前記入力側回路から出力側回路へ信号の伝達を行う入力信号伝達部と、
(d)前記入力信号伝達部の出力を受信し、前記制御入力信号と等価な制御出力信号を出力する入力信号復元回路と、
(e)前記制御出力信号を受信し、前記出力側回路から前記入力側回路へ信号の伝達を行い、帰還信号を出力する帰還信号伝達部と、
(f)前記制御入力信号および前記帰還信号を受信し、前記制御入力信号と前記帰還信号の論理比較を行い、論理比較信号を出力する論理比較回路と、
(g)前記論理比較信号を受信し、前記論理比較信号に同期した論理比較パルス信号を出力する比較パルス生成回路を備え、
(h)前記第1論理積回路は、前記制御入力信号とともに前記論理比較パルス信号を受信し、前記第2論理積回路は、前記制御入力信号の反転信号とともに前記論理比較パルス信号を受信する(第1−21の構成)。
【0084】
本発明のさらに別の信号伝達回路装置は、
(a)入力側回路に入力された制御入力信号の立ち上がりエッジを検出し第1入力パルスを生成する第1エッジ検出回路と、
(b)前記制御入力信号の立ち下がりエッジを検出し第2入力パルスを生成する第2エッジ検出回路と、
(c)前記制御入力信号、前記第1入力パルス、および前記第2入力パルスを受信し、前記第1入力パルスまたは前記第2入力パルスを受信したタイミングでセット信号またはリセット信号を出力する信号合成回路と、
(d)前記セット信号および前記リセット信号を受信し、前記入力側回路から前記出力側回路へ信号の伝達を行う入力信号伝達部と、
(e)前記入力信号伝達部の出力を受信し、前記制御入力信号と等価な制御出力信号を出力する入力信号復元回路と、
(f)前記制御出力信号を受信し、前記出力側回路から前記入力側回路へ信号の伝達を行い、帰還信号を出力する帰還信号伝達部と、
(g)前記制御入力信号および前記帰還信号を受信し、前記制御入力信号と前記帰還信号の論理比較を行い、論理比較信号を出力する論理比較回路と、
(h)前記論理比較信号を受信し、前記論理比較信号に同期した論理比較パルス信号を出力する比較パルス生成回路を備え、
(i)前記信号合成回路は、前記制御入力信号、前記第1入力パルス、および前記第2入力パルスとともに、前記論理比較パルス信号を受信し、前記論理比較パルス信号を受信したタイミングにおいても、前記セット信号または前記リセット信号の出力を行う(第1−22の構成)。
【0085】
本発明において前記信号合成回路は、
(a)前記第1入力パルス、前記第2入力パルス、および前記論理比較パルス信号を受信する論理和回路と、
(b)前記制御入力信号と前記論理和回路の出力を受信し、前記セット信号を出力する第1論理積回路と、
(c)前記制御入力信号の反転信号と前記論理和回路の出力を受信し、前記リセット信号を出力する第2論理積回路を有する構成としてもよい(第1−23の構成)。
【0086】
また、上記第1−21または第1−22の構成から成る信号伝達回路装置において、前記入力信号伝達部および前記帰還信号伝達部はそれぞれ少なくとも一つのトランスを有する構成(第1−24の構成)にするとよい。
【0087】
また、上記第1−21または第1−22の構成から成る信号伝達回路装置において、前記入力信号復元回路はRSフリップフロップにより構成されている構成(第1−25の構成)にするとよい。
【0088】
また、上記第1−21または第1−22の構成から成る信号伝達回路装置において、前記帰還信号伝達部は、前記制御出力信号に同期して連続パルスを有する帰還パルスを生成する帰還パルス生成回路と、前記帰還パルスを波形整形する波形整形回路とを有する構成(第1−26の構成)にするとよい。
【0089】
<第2の課題を解決するための手段>
上記目的を達成するために、本発明に係る半導体装置は、コイルを集積化した半導体装置であって、前記コイルの一端には、第1の電流供給用パッドと第1の電圧測定用パッドが接続されており、前記コイルの他端には、第2の電流供給用パッドと第2の電圧測定用パッドが接続されている構成(第2−1の構成)とされている。
【0090】
なお、上記第2−1の構成から成る半導体装置において、前記第1の電流供給用パッドと前記第1の電圧測定用パッドは、第1の電流供給用プローブと第1の電圧測定用プローブを同時に接触させることが可能な面積を有する第1の共用パッドとして一体的に形成されており、前記第2の電流供給用パッドと前記第2の電圧測定用パッドは、第2の電流供給用プローブと第2の電圧測定用プローブを同時に接触させることが可能な面積を有する第2の共用パッドとして一体的に形成されている構成(第2−2の構成)にするとよい。
【0091】
また、上記第2−1または第2−2の構成から成る半導体装置を検査する検査方法は、前記第1の電流供給用パッドと前記第2の電流供給用パッドとの間に所定の定電流を流すステップと、前記第1の電圧測定用パッドと前記第2の電圧測定用パッドとの間に発生する電圧を測定するステップと、を有する構成(第2−3の構成)にするとよい。
【0092】
また、上記第2−1または第2−2の構成から成る半導体装置を検査する検査装置は、前記第1の電流供給用パッドに接触させる第1の電流供給用プローブと、前記第1の電圧測定用パッドに接触させる第1の電圧測定用プローブと、前記第2の電流供給用パッドに接触させる第2の電流供給用プローブと、前記第2の電圧測定用パッドに接触させる第2の電圧測定用プローブと、前記第1の電流供給用プローブと前記第2の電流供給用プローブとの間に所定の定電流を流す定電流源と、前記第1の電圧測定用プローブと前記第2の電圧測定用プローブとの間に発生する電圧を測定する電圧計と、を有する構成(第2−4の構成)にするとよい。
【0093】
<第3の課題を解決するための手段>
上記目的を達成するために、本発明に係る信号伝達装置は、入力信号が第1論理レベルから第2論理レベルに変遷するパルスエッジに応じて第1トランス駆動信号に(N+a)発(ただし、N≧2、a≧0)のパルスを発生させ、前記入力信号が前記第2論理レベルから前記第1論理レベルに変遷するパルスエッジに応じて第2トランス駆動信号に(N+a)発のパルスを発生させるトランス駆動信号生成部と;一次側巻線に入力される前記第1トランス駆動信号に応じて二次側巻線に第1誘起信号を発生させる第1トランスと;一次側巻線に入力される前記第2トランス駆動信号に応じて二次側巻線に第2誘起信号を発生させる第2トランスと;前記第1誘起信号と所定の閾値電圧とを比較して第1比較信号を生成する第1コンパレータと;前記第2誘起信号と所定の閾値電圧とを比較して第2比較信号を生成する第2コンパレータと;前記第1比較信号にN発のパルスが発生したことを検出して第1検出信号にパルスを発生させる第1パルス検出部と;前記第2比較信号にN発のパルスが発生したことを検出して第2検出信号にパルスを発生させる第2パルス検出部と;前記第1検出信号に発生されたパルスに応じて出力信号を前記第1論理レベルから前記第2論理レベルに変遷させ、前記第2検出信号に発生されたパルスに応じて前記出力信号を前記第2論理レベルから前記第1論理レベルに変遷させるSRフリップフロップと;を有する構成(第3−1の構成)とされている。
【0094】
なお、上記第3−1の構成から成る信号伝達装置において、前記第1パルス検出部は、前記第1比較信号に発生されたパルス数をカウントし、そのカウント値がNに達したときに前記第1検出信号にパルスを発生させるカウンタであり、前記第2パルス検出部は、前記第2比較信号に発生されたパルス数をカウントし、そのカウント値がNに達したときに前記第2検出信号にパルスを発生させるカウンタである構成(第3−2の構成)にするとよい。
【0095】
また、上記第3−2の構成から成る信号伝達装置において、前記第1パルス検出部は、前記第2比較信号に発生されたパルスによってカウント値がリセットされ、前記第2パルス検出部は、前記第1比較信号に発生されたパルスによってカウント値がリセットされる構成(第3−3の構成)にするとよい。
【0096】
また、上記第3−3の構成から成る信号伝達装置において、前記トランス駆動信号生成部は所定周波数のパルス信号を生成するパルス生成部と;前記パルス信号のパルス数をカウントし、そのカウント値が(N+a)に達したときに前記パルス生成部の駆動を停止させるカウンタと;前記入力信号のパルスエッジを検出したときに、前記パルス生成部の駆動を開始させるとともに、前記カウンタのカウント値をリセットするエッジ検出部と;前記入力信号に応じて、前記パルス信号を前記第1トランス駆動信号及び前記第2トランス駆動信号のいずれか一方として分配するパルス分配部と;を有する構成(第3−4の構成)にするとよい。
【0097】
また、上記第3−4の構成から成る信号伝達装置において、前記パルス生成部は、前記エッジ検出部で前記入力信号のパルスエッジをが検出されてから、所定時間が経過するまでの間、前記パルス信号を生成しない構成(第3−5の構成)にするとよい。
【0098】
また、本発明に係る信号伝達装置は、入力信号のパルスエッジに応じてトランス駆動信号に(N+a)発(ただし、N≧2、a≧0)のパルスを発生させるトランス駆動信号生成部と;一次側巻線に入力される前記トランス駆動信号に応じて二次側巻線に誘起信号を発生させるトランスと;前記誘起信号と所定の閾値電圧とを比較して比較信号を生成するコンパレータと;前記比較信号にN発のパルスが発生したことを検出して出力信号にパルスを発生させるパルス検出部と;を有する構成(第3−6の構成)にするとよい。
【0099】
また、本発明に係るモータ駆動装置は、上記第3−1〜第3−6いずれかの構成から成る信号伝達装置を有し、前記出力信号を用いてモータの駆動制御を行う構成(第3−7の構成)とされている。
【発明の効果】
【0100】
<第1の技術的特徴の効果>
本発明の信号伝達回路装置は、制御出力信号を帰還する帰還信号伝達部、制御入力信号と帰還信号の論理比較を行う論理比較回路、第1補正信号を出力する第1パルス生成回路、第2補正信号を出力する第2パルス生成回路を備えているので、制御入力信号と制御出力信号の不一致を検知し、速やかに制御出力信号の補正を行うことができる。また、第1パルス生成回路および第2パルス生成回路は入出力信号が不一致の場合のみ補正信号を出力するので低消費電力による動作が可能である。
【0101】
また、本発明においてさらに、制御入力信号の立ち上がりエッジを検出し第1入力パルスを生成する第1エッジ検出回路、制御入力信号の立ち下がりエッジを検出し第2入力パルスを生成する第2エッジ検出回路を有する構成とすれば、制御入力信号における電位の遷移が速やかに制御出力信号に反映され、制御入力信号に対する帰還信号の遅延等の影響を受けること無く、制御入力信号の最小入力パルス幅を大幅に小さくすることができる。これにより、信号伝達回路装置の用途を拡大することができる。
【0102】
<第2の技術的特徴の効果>
本発明に係る半導体装置及びその検査方法であれば、コイルの抵抗値異常を検査することが可能となる。
【0103】
<第3の技術的特徴の効果>
本発明によれば、ノイズの影響を受けにくい信号伝達装置、及び、これを用いたモータ駆動装置を提供することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0105】
<第1の技術的特徴について>
(第1の実施の形態)
図1は第1の実施の形態にかかる信号伝達回路装置である。信号伝達回路装置200は、入力端子201、第1パルス生成回路202、第2パルス生成回路204、入力信号伝達部206、入力信号復元回路208、出力端子219、帰還信号伝達部210、論理比較回路212を備える。
【0106】
信号伝達回路装置200は入力信号伝達部206および帰還信号伝達部210を境にして入力側回路200Aと出力側回路200Bに分けることができる。また、入力信号伝達部206および帰還信号伝達部210は入力側回路200Aと出力側回路200Bに跨るように存在しており、入力信号伝達部206および帰還信号伝達部210は、アイソレータを有する構成とすることで、入力側回路200Aと出力側回路200Bを直流的に絶縁することができる。
【0107】
アイソレータとしては一般的にフォトカプラやトランスを用いる。近年、アイソレータは、ICチップ上にコイルを形成し、このコイルをトランスの1次巻線および2次巻線に適用したトランスが用いられてきている。本発明の各実施の形態はフォトカプラおよびトランスのどちらでも構成可能である。
【0108】
ただし、アイソレータの特性の違いによる不具合を回避するために、入力信号伝達部206におけるアイソレータと帰還信号伝達部210におけるアイソレータは同じ種類の素子を用いることが望ましい。すなわち、入力信号伝達部206においてアイソレータとしてトランスを用いた場合には、帰還信号伝達部210においてもトランスを用いる。
【0109】
アイソレータとしてトランスを用いる場合、入力側回路200A、トランス、出力側回路200Bをそれぞれ別の半導体基板上に形成する構成としてもよいし、入力側回路200A、出力側回路200Bをそれぞれ別の半導体基板上に形成し、トランスは入力側回路200Aまたは出力側回路200Bと同一の基板上に形成する構成としてもよい。これは、本明細書における他の実施例についても同様である。
【0110】
入力端子201に入力された制御入力信号Sinは第1パルス生成回路202および第2パルス生成回路204へ送信される。通常、制御入力信号Sinとしては矩形パルス信号が用いられる。
【0111】
第1パルス生成回路202および第2パルス生成回路204は、制御入力信号Sinの他に後述する論理比較回路212の出力である論理比較信号Scを受信し、それぞれ、制御入力信号Sinと論理比較信号Scが第1の組み合わせまたは第2の組み合わせとなった場合に、制御出力信号Soutを補正する第1補正信号Sa1または第2補正信号Sa2を出力するように構成されている。
【0112】
論理比較回路212は制御入力信号Sinと帰還信号Sfの論理比較を行い、両者の論理比較結果を論理比較信号Scとして出力している。帰還信号Sfは帰還信号伝達部210により制御出力信号Soutを入力側回路200Aへ帰還した信号である。
【0113】
論理比較信号Scはたとえば、制御入力信号Sinが第1電位(たとえばハイレベル)かつ帰還信号Sfが第1電位の場合や、制御入力信号Sinが第2電位(たとえばローレ
ベル)かつ帰還信号Sfが第2電位の場合に、制御入力信号Sinと帰還信号Sfの論理比較結果が“一致”であることを示す第2電位となり、制御入力信号Sinが第1電位かつ帰還信号Sfが第2電位の場合や、制御入力信号Sinが第2電位かつ帰還信号Sfが第1電位の場合に、制御入力信号Sinと帰還信号Sfが“不一致”であることを示す第1電位となる信号である。
【0114】
第1パルス生成回路202は、制御入力信号Sinと論理比較信号Scの組み合わせが第1の組み合わせとなった場合に、第1補正信号Sa1を出力する。第1の組み合わせとは論理比較回路212の論理比較結果が“不一致”であり、かつ制御入力信号Sinが第1電位となる組み合わせである。すなわち、第1補正信号Sa1は入出力が“不一致”かつ制御入力信号Sinが第1電位の場合に、後述する制御出力信号Soutを第1電位に補正するための信号である。
【0115】
第2パルス生成回路204は、制御入力信号Sinと論理比較信号Scの組み合わせが第1の組み合わせとは異なる第2の組み合わせとなった場合に、第2補正信号Sa2を出力する。第2の組み合わせとは論理比較回路212の論理比較結果が“不一致”であり、かつ制御入力信号Sinが第2電位となる組み合わせである。すなわち、第2補正信号Sa2は入出力が“不一致”かつ制御入力信号Sinが第2電位の場合に、後述する制御出力信号Soutを第2電位に補正するための信号である。
【0116】
第1パルス生成回路202および第2パルス生成回路204は、制御入力信号Sinにおける電位の遷移に基づく入出力の不一致によって、各補正信号を出力し後述する制御出力信号Soutを遷移させることはもちろん、何らかの異常により、制御入力信号Sinと制御出力信号Soutに不一致が生じた場合にも同様に補正信号を出力し、入出力の不一致を解消する。
【0117】
第1補正信号Sa1および第2補正信号Sa2は入力信号伝達部206によって出力側回路200Bへ伝達され、出力側回路200Bにおいて入力信号復元回路208へと送信される。
【0118】
入力信号復元回路208は、入力信号伝達部206によって伝達された第1補正信号Sa1および第2補正信号Sa2を受信し、両者の信号を基に制御入力信号Sinと等価な制御出力信号Soutを出力端子219へと出力する。
【0119】
入力信号復元回路208は、たとえばDフリップフロップやRSフリップフロップを用いて構成することができる。
【0120】
制御出力信号Soutはさらに、帰還信号伝達部210にも送信され、帰還信号伝達部210は出力側回路200Bから入力側回路200Aへ信号の伝達を行い、入力側回路200Aにおいて帰還信号Sfを出力する。帰還信号Sfは論理比較回路212へ送信され、制御入力信号Sinとの論理比較が行われる。
【0121】
論理比較回路212はたとえばエクスクルーシブOR回路を用いて構成することができる。これは、本明細書における他の実施例についても同様である。
【0122】
帰還信号伝達部210は、信号伝達に伴う電力消費を低減させるため、出力側回路200Bにおいて制御出力信号Soutをパルス幅の小さい信号へと変換し、出力側回路200Bから入力側回路200Aへ信号の伝達を行った後、入力側回路200Aにおいて制御出力信号Soutと等価な帰還信号Sfへの復元を行うことが望ましい。これは、本明細書の他の実施例についても同様である。
【0123】
以上説明した、一連の信号経路によって制御出力信号Soutは常に制御入力信号Sinと一致した状態に保たれる。すなわち、第1パルス生成回路202および第2パルス生成回路204は制御入力信号Sinにおける電位の遷移を制御出力信号Soutへと反映させる機能と、回路内の異常による入出力の不一致を解消する機能の2つを兼ね備えている。
【0124】
(第2の実施の形態)
図2は第2の実施の形態にかかる信号伝達回路装置である。
図2は
図1の一部を具体的な回路で示したものである。
【0125】
信号伝達回路装置220は、入力端子221、第1パルス生成回路222、第2パルス生成回路224、第1トランス226、第2トランス228、RSフリップフロップ230、出力端子249、帰還パルス生成回路232、第3トランス234、波形整形回路236、論理比較回路238を備える。
【0126】
入力側回路220Aから出力側回路220Bへ信号を伝達する入力信号伝達部220Cは第1トランス226および第2トランス228により構成され、出力側回路220Bから入力側回路220Aへ信号を伝達する帰還信号伝達部220Dは、帰還パルス生成回路232、第3トランス234、および波形整形回路236により構成される。
【0127】
入力端子221に入力された制御入力信号Sinは、第1パルス生成回路222および第2パルス生成回路224へ送信される。
【0128】
第1パルス生成回路222は制御入力信号Sinと後述する論理比較信号Scが第1の組み合わせ(たとえば両方とも第1電位)となった場合に第1補正信号Sa1を出力する。すなわち、第1補正信号Sa1は、論理比較回路238における制御入力信号Sinと帰還信号Sfの論理比較結果が“不一致”であり、かつ制御入力信号Sinが第1電位の場合に制御出力信号Soutを第1電位に補正するための信号である。
【0129】
第2パルス生成回路224は制御入力信号Sinと後述する論理比較信号Scが第1の組み合わせとは異なる第2の組み合わせ(たとえば制御入力信号Sinが第2電位、論理比較信号Scが第1電位)となった場合に第2補正信号Sa2を出力する。すなわち、第2補正信号Sa2は、論理比較回路238における制御入力信号Sinと帰還信号Sfの論理比較結果が“不一致”であり、かつ制御入力信号Sinが第2電位の場合に制御出力信号Soutを第2電位に補正するための信号である。
【0130】
第1補正信号Sa1および第2補正信号Sa2のパルス幅は、信号伝達時の電力消費を低減するために、制御入力信号Sinのパルス幅と比較して小さく設定される。これは、本明細書における他の実施例についても同様である。
【0131】
第1パルス生成回路222および第2パルス生成回路224は制御入力信号Sinと論理比較信号Scが所定の組み合わせ(第1の組み合わせまたは第2の組み合わせ)となった時に単パルス(たとえばパルス幅25nsに設定する)を発生させる構成としてもよいし、制御入力信号Sinと論理比較信号Scが所定の組み合わせ(第1の組み合わせまたは第2の組み合わせ)となった期間に連続パルス信号を発生させる構成としてもよい(たとえばパルス幅25ns、周期200nsに設定する)。これは本明細書中の他の実施例についても同様である。
【0132】
単パルスを発生させる場合、第1パルス生成回路222および第2パルス生成回路224は、たとえば、論理積回路と立ち上がりエッジ検出回路を組み合わせる構成とすればよい。
【0133】
連続パルス信号を発生させる場合、第1パルス生成回路222および第2パルス生成回路224は、たとえば、論理積回路、リングオシレータ、および立ち上がりエッジ検出回路を組み合わせる構成とすればよい。
【0134】
連続パルス信号を発生させる構成とした場合、第1パルス生成回路222および第2パルス生成回路224は制御入力信号Sinと制御出力信号Soutの“不一致”が解消されるまでパルス信号を発生させることになり、信号伝達回路装置の信頼性が向上する。
【0135】
第1補正信号Sa1は第1トランス226によって出力側回路220Bへと伝達され、RSフリップフロップ230のセット端子Sへと入力される。
【0136】
第2補正信号Sa2は第2トランス228によって出力側回路220Bへと伝達され、RSフリップフロップ230のリセット端子Rへと入力される。
【0137】
RSフリップフロップ230は第1補正信号Sa1および第2補正信号Sa2を受信し、制御入力信号Sinと等価な制御出力信号Soutを出力する。
【0138】
制御出力信号Soutは出力端子249から取り出されるとともに、帰還パルス生成回路232へと送信される。帰還パルス生成回路232は制御出力信号Soutが第2電位となっている期間に、連続パルスを有する帰還パルスSfpを生成する。帰還パルスSfpはたとえばパルス幅25ns、周期600nsに設定される。もちろん、制御出力信号Soutが第1電位となっている期間に帰還パルスSfpを生成する構成としてもよいが、波形整形回路236での波形整形、および論理比較回路238での論理比較の利便性に考慮しなければならない。
【0139】
帰還パルス生成回路232はたとえば矩形波信号(連続パルス信号)を生成する発振器と、この発振器から生成された発振パルス信号と制御出力信号Soutとの論理積をとるための論理積回路と、必要に応じてインバータ回路を用いて構成することができる。
【0140】
帰還パルスSfpは第3トランス234によって入力側回路220Aへと伝達され、波形整形回路236へと送信される。波形整形回路236は帰還パルスSfpを制御出力信号Soutとほぼ等価な矩形波信号に整形する。
【0141】
波形整形回路236はたとえばスイッチングトランジスタ、電流源、キャパシタ、およびコンパレータ等を用いて構成することができる。回路の具体的な構成については後述する。
【0142】
波形整形回路236は整形された矩形波信号を帰還信号Sfとして出力し、出力された帰還信号Sfは論理比較回路238へ送信され、制御入力信号Sinと一致しているか否かの比較が行われる。両者の信号が比較され、制御入力信号Sinと帰還信号Sfの一致または不一致を示す論理比較信号Scが第1パルス生成回路222および第2パルス生成回路224へ送信される。論理比較回路238は例えばエクスクルーシブOR回路によって構成可能である。
【0143】
したがって、本構成の信号伝達回路装置220は、制御入力信号Sinと制御出力信号Soutが“不一致”となった場合に、その時の制御入力信号Sinの電位に応じて、第1補正信号Sa1または第2補正信号Sa2が生成され、制御出力信号Soutの補正が行われる。結果として制御入力信号Sinと制御出力信号Soutは常に同じ電位(第1電位または第2電位)に保たれる。
【0144】
図3は、
図2に示した信号伝達回路装置220の変形例である。信号伝達回路装置800は、論理比較信号Scを該論理比較信号Scに同期した論理比較パルス信号Scpに変換する比較パルス生成回路820を設け、第1パルス生成回路222、第2パルス生成回路224に代えて第1論理積回路802、第2論理積回路804を設けた点が
図2とは異なる。このように構成すれば、信号伝達回路装置の回路構成を簡略化することができる。
【0145】
比較パルス生成回路820は論理比較信号Scが第1電位となった時に単パルス(たとえばパルス幅25nsに設定する)を発生させる構成としてもよいし、論理比較信号Scが第1電位である期間に連続パルス信号を発生させる構成としてもよい(たとえばパルス幅25ns、周期200nsに設定する)。これは本明細書中の他の実施例についても同様である。
【0146】
単パルスを発生させる場合、比較パルス生成回路820は、たとえば、立ち上がりエッジ検出回路により構成すればよい。
【0147】
連続パルス信号を発生させる場合、比較パルス生成回路820は、たとえば、リングオシレータおよび立ち上がりエッジ検出回路を組み合わせる構成とすればよい。
【0148】
信号伝達回路装置800における、第1トランス806、第2トランス808、RSフリップフロップ810、帰還パルス生成回路812、第3トランス814、波形整形回路816、および論理比較回路818の構成は、
図2に示す信号伝達回路装置220における、第1トランス226、第2トランス228、RSフリップフロップ230、帰還パルス生成回路232、第3トランス234、波形整形回路236、論理比較回路238と同様であるから詳しい説明は省略する。
【0149】
図4は、
図2に示した信号伝達回路装置220の各部の信号を示すタイミングチャートである。タイミングチャート500は、信号伝達回路装置220における、前述した制御入力信号Sin、論理比較信号Sc、第1補正信号Sa1、第2補正信号Sa2、制御出力信号Sout、帰還パルスSfp、および帰還信号Sfの、時間経過に伴う電位(第1電位または第2電位)の遷移を示したものである。
【0150】
なお、この種の信号の送受信においては、信号形態や信号位置(位相)に何らかの変化や位相遅延が生じるが、本明細書においては、一部を除きこうしたことを無視しているので理解されたい。また、作図の都合上、各パルス幅の比率は必ずしも正確ではない。
【0151】
図4(a)に示す制御入力信号Sinは、信号伝達回路装置220の入力端子221に入力される制御入力信号Sinの一例であり、パルス幅25μs、周期50μsの信号を示している。
【0152】
制御入力信号Sinが第2電位から第1電位に遷移すると(
図4(a)、立ち上がりX1)、遷移の瞬間における帰還信号Sfは第2電位のままであるから、論理比較回路238での論理比較の結果は“不一致”となり、論理比較信号Scが第1電位となる(
図4(b)、立ち上がりA1)。
【0153】
論理比較信号Scが第1電位となると、第1パルス生成回路222は制御入力信号Sinと論理比較信号Scが第1の組み合わせ(たとえば両方とも第1電位)となったことに基づいて
図4(c)、パルスA2を生成する。
【0154】
信号伝達時の消費電力を低減させるために、第1補正信号Sa1および第2補正信号Sa2におけるパルス幅は制御入力信号Sinと比較して十分に小さく設定される。
【0155】
第1補正信号Sa1は第1トランス226を介してRSフリップフロップ230のセット端子Sに入力されるので、
図4(c)、パルスA2と同じタイミングで制御出力信号Soutは制御入力信号Sinと同じ第1電位へと補正される(
図4(e)、立ち上がりX2)。
【0156】
制御出力信号Soutが第1電位となると、それに伴い帰還パルスSfpの供給が停止され(
図4(f))、帰還信号Sfが第1電位へと遷移する(
図4(g))。
【0157】
図4(g)に示した帰還信号Sfの立ち上がりは波形整形回路236での波形整形時間の影響を受け遅延時間Tdだけ遅れるが、入力パルス幅が遅延時間Tdと比較して十分に大きい場合には、制御出力信号Soutへの影響は無い。入力パルス幅が短い場合については後述する。
【0158】
制御入力信号Sinが第1電位から第2電位に遷移すると(
図4(a)、立ち下がりY1)、遷移の瞬間における帰還信号Sfは第1電位のままであるから、論理比較回路238での論理比較の結果は“不一致”となり、論理比較信号Scが第1電位となる(
図4(b)、立ち上がりB1)。
【0159】
論理比較信号Scが第1電位となると、第2パルス生成回路224は制御入力信号Sinと論理比較信号Scが第2の組み合わせ(たとえば制御入力信号Sinが第2電位、論理比較信号Scが第1電位)となったことに基づいて
図4(d)、パルスB2を生成する。
【0160】
第2補正信号Sa2は第2トランス228を介してRSフリップフロップ230のリセット端子Rに入力されるので、
図4(d)、パルスB2と同じタイミングで制御出力信号Soutは制御入力信号Sinと同じ第2電位へと補正される(
図4(e)、立ち下がりY2)。
【0161】
結果的に、回路が正常に動作している状態において、制御入力信号Sinと制御出力信号Soutは常に一致した状態が保たれる。
【0162】
次に、第2補正信号Sa2に、
図4(d)、ノイズR1が混入した場合について説明する。
【0163】
第2補正信号Sa2にノイズR1が混入すると、制御出力信号Soutは一時的に第1電位から第2電位へと遷移する(
図4(e)、立ち下がりZ1)が、制御出力信号Soutにおける電位の遷移は帰還信号Sfにおける電位の遷移として、論理比較回路238へと送信され、論理比較回路238は制御入力信号Sinと帰還信号Sfが“不一致”となったことに基づいて
図4(b)、立ち上がりR2に示すように第1電位となる。
【0164】
すると、いま制御入力信号Sinは第1電位であるから、第1パルス生成回路222は
図4(c)、パルスR3を送信し、RSフリップフロップ230はパルスR3に基づき制御出力信号Soutを第1電位に補正する(
図4(e)、立ち上がりZ2)。
【0165】
結果的に、回路内にノイズが混入した場合、論理比較回路238において、制御入力信号Sinと制御出力信号Soutが“不一致”となったことが即座に検知され、第1補正信号Sa1または第2補正信号Sa2が送信されることにより、制御出力信号Soutは入出力が“不一致”となった直後に制御入力信号Sinと同じ電位(第1電位または第2電位)へと補正される。
【0166】
異常状態としては、前述したノイズ混入の他に、たとえば第1トランスまたは第2トランスにおいて、パルスが伝達されない場合等が考えられるが、その場合においても同様に出力信号補正機能が働き、制御出力信号Soutを制御入力信号Sinと同じ電位(第1電位または第2電位)に補正する。各部の信号の流れは同様であるから詳しい説明については省略する。
【0167】
ところで、波形整形回路236における帰還パルスSfpの波形整形時間の影響を受け、帰還信号Sfの立ち上がりは、厳密には遅延時間Tdだけ制御出力信号Soutよりも遅れる。
【0168】
遅延時間Tdの長さはたとえば1μsから2μs程度であり、制御入力信号Sinのパルス幅が遅延時間Tdよりも長い場合においては制御出力信号Soutに何ら影響を及ぼさないが、制御入力信号Sinのパルス幅が遅延時間Tdよりも短い場合、制御出力信号Soutのパルス幅が遅延時間Tdまで増大してしまう。以下に詳しく説明する。
【0169】
図5に信号伝達回路装置220に用いられる波形整形回路236の回路構成を示す。波形整形回路236は入力端子901に入力された帰還パルスSfpによりオン、オフするスイッチングトランジスタ904、スイッチングトランジスタ904と協働して帰還パルスSfpとは異なる整形帰還信号Sfcを生成するための電流源902およびキャパシタ906と、整形帰還信号Sfcが入力され、該整形帰還信号Sfcとは異なる帰還信号Sfを生成するコンパレータ910と、帰還信号Sfを取り出す出力端子949を有する。
【0170】
制御出力信号Soutと同期した帰還パルスSfpは制御出力信号Soutが第2電位の期間に連続パルスを有する信号であって、たとえばパルス幅は25ns、周期は600nsに設定される。
【0171】
帰還パルスSfpはスイッチングトランジスタ904のゲート電極へ入力される。帰還パルスSfpが第1電位の間、スイッチングトランジスタ904はオンされ、電流源902から供給される電流をGNDへと導く。その間、キャパシタ906は放電される。
【0172】
帰還パルスSfpが第2電位の間は、スイッチングトランジスタ904はオフされ、電流源902から供給される電流により、キャパシタ906に電荷が溜まっていき、整形帰還信号Sfcの電位が上昇する。
【0173】
整形帰還信号Sfcはコンパレータ910に入力される。コンパレータ910は整形帰還信号Sfcの電位が閾値電圧Vrefよりも高い場合に帰還信号Sfを第1電位とし、整形帰還パルスSfcの電位が閾値電圧Vrefよりも低い場合に帰還信号Sfを第2電位とする。
【0174】
すなわち、帰還パルスSfpとして定期的にパルス信号が送られてくる間は整形帰還信号Sfcの電位が閾値電圧Vrefに達することはなく、帰還信号Sfは第2電位に保たれるが、パルス信号が供給されなくなると、キャパシタ906に電荷が蓄積されていき、閾値電圧Vrefを超える電荷が蓄積されると帰還信号Sfは第1電位となる。
【0175】
図6は波形整形回路236の各部の信号、および制御出力信号Soutを示すタイミングチャートである。タイミングチャート950は、信号伝達回路装置220における、前述した制御出力信号Sout、帰還パルスSfp、整形帰還信号Sfc、および帰還信号Sfの、時間経過に伴う電位の遷移を示したものである。制御出力信号Soutとしては例えばパルス幅25μs、周期50μsの信号が帰還される。
【0176】
帰還パルスSfpは、帰還パルス生成回路232により生成される信号であり、制御出力信号Soutが第2電位の期間に連続パルスを有する信号である。例えばパルス幅25ns、周期600nsに設定される。
【0177】
整形帰還信号Sfcは帰還パルスSfpが第1電位の間は接地電位となり、帰還パルスSfpが第2電位の間はキャパシタ906に蓄積される電荷により電位が上昇してゆく。
【0178】
帰還信号Sfは整形帰還信号Sfcの電位がVref未満の場合は第2電位となり、整形帰還信号Sfcの電位がVrefを超えると第1電位となる。
【0179】
すなわち、制御出力信号Soutが第1電位となり、帰還パルスSfpによる連続パルスの供給が停止してから、キャパシタ906にVrefを超える電荷が蓄積されるまでの時間により、帰還信号Sfの立ち上がりは制御出力信号Soutの立ち上がりから遅延時間Tdだけ遅れる。
【0180】
図7は、
図4に示す信号伝達回路装置220に、前述した遅延時間Tdよりも短いパルス幅をもつ制御入力信号Sinを入力した場合の、各部の信号のタイミングチャートである。
【0181】
タイミングチャート550は、信号伝達回路装置220における、前述した制御入力信号Sin、論理比較信号Sc、第1補正信号Sa1、第2補正信号Sa2、制御出力信号Sout、帰還パルスSfp、および帰還信号Sfの、時間経過に伴う電位(第1電位または第2電位)の遷移を示したものである。
【0182】
図7(a)に示す信号は入力端子221に入力される制御入力信号Sinの一例であり、パルス幅1μs、周期5μsの信号を示している。制御入力信号Sinが第2電位から第1電位に遷移すると(
図7(a)、立ち上がりX1)、遷移の瞬間における帰還信号Sfは第2電位のままであるから、論理比較信号Scが制御入力信号Sinと帰還信号Sfの不一致を示す第1電位となる(
図7(b)、立ち上がりZ1)。
【0183】
論理比較信号Scが第1電位となったことに伴い、第1パルス生成回路222は第1補正信号Sa1として
図7(c)、パルスAを生成する。
【0184】
第1補正信号Sa1はRSフリップフロップ230のセット端子Sに入力され、制御出力信号Soutは第1電位に補正される(
図7(e)、立ち上がりX2)。
【0185】
制御出力信号Soutが第1電位となったことに伴い、帰還パルスSfpは連続パルスの供給を停止する(
図7(f))。
【0186】
制御入力信号Sinが第1電位から第2電位に遷移すると(
図7(a)、立ち下がりY1)、帰還信号Sfは遅延時間Tdの遅れにより第2電位のままであるから、論理比較信号Scが制御入力信号Sinと帰還信号Sfの一致を示す第2電位となってしまい(
図7(b)、立ち下がりZ2)、制御入力信号Sinの立ち下がり時には第2パルス生成回路224はパルスを生成しない(
図7(d))。
【0187】
制御出力信号Soutの立ち上がりから遅延時間Tdの経過後、帰還信号Sfは第1電位となり(
図7(g)、立ち上がりB1)、この時制御入力信号Sinは既に第2電位となっているため、論理比較信号Scは、帰還信号Sfと制御入力信号Sinの“不一致”を示す第1電位となる(
図7(b)立ち上がりB2)。
【0188】
論理比較信号Scが第1電位となったことに伴い、第2パルス生成回路は第2補正信号Sa2を生成する(
図7(d)、パルスB3)。
【0189】
第2補正信号Sa2はRSフリップフロップ230のリセット端子Rに入力され、制御出力信号Soutは第2電位に補正される(
図7(e)、立ち下がりY2)。
【0190】
結果的に、信号伝達回路装置220に遅延時間Tdよりも短いパルス幅をもった制御入力信号Sinを入力すると、制御出力信号Soutのパルス幅は遅延時間Tdまで増大してしまうという不具合が生ずる。
【0191】
この不具合を克服するためには、帰還信号伝達部220Dに波形整形回路236を用いない構成とすることで遅延時間Tdを無くす方法や、第1パルス生成回路222および第2パルス生成回路224と並列に制御入力信号Sinのエッジ検出回路を設けることにより、制御入力信号Sinを直ちに制御出力信号Soutへ反映させる方法等が考えられる。帰還信号伝達部220Dに波形整形回路236を用いない構成については第3の実施の形態で、制御入力信号Sinのエッジ検出回路を設ける構成については第4の実施の形態で示す。
【0192】
(第3の実施の形態)
図8は第3の実施の形態にかかる信号伝達回路装置である。信号伝達回路装置250は、入力端子251、第1パルス生成回路252、第2パルス生成回路254、第1トランス256、第2トランス258、RSフリップフロップ260、出力端子279、第1出力エッジ検出回路262、第2出力エッジ検出回路264、第3トランス266、第4トランス268、第2RSフリップフロップ270、および論理比較回路272を備える。
【0193】
入力側回路250Aから出力側回路250Bへ信号を伝達する入力信号伝達部250Cは第1トランス256および第2トランス258により構成され、出力側回路250Bから入力側回路250Aへ信号を伝達する帰還信号伝達部250Dは、第1出力エッジ検出回路262、第2出力エッジ検出回路264、第3トランス266、第4トランス268、および第2RSフリップフロップ270により構成される。
【0194】
信号伝達回路装置250は
図2に示す信号伝達回路装置220における遅延時間Tdによる不具合を克服するために、帰還信号伝達部250Dを、第1出力エッジ検出回路262、第2出力エッジ検出回路264、第3トランス266、第4トランス268、第2RSフリップフロップ270により構成した点が
図2と異なる。
【0195】
信号伝達回路装置250における、第1パルス生成回路252、第2パルス生成回路254、第1トランス256、第2トランス258、RSフリップフロップ260、および論理比較回路272の構成については
図2に示す信号伝達回路装置220における、第1パルス生成回路222、第2パルス生成回路224、第1トランス226、第2トランス228、RSフリップフロップ230、および論理比較回路238、と同様であるから詳しい説明は省略する。
【0196】
出力側回路250Bにおいて復元された制御出力信号Soutは、該制御出力信号Soutの立ち上がりエッジを検出する第1出力エッジ検出回路262および制御出力信号Soutの立ち下がりエッジを検出する第2出力エッジ検出回路264により一時的に第1帰還パルスSfp1および第2帰還パルスSfp2に変換された後、第3トランス266および第4トランス268によって入力側回路250Aへ伝達される。
【0197】
第1帰還パルスSfp1および第2帰還パルスSfp2は、入力側回路250Aにおいて第2RSフリップフロップ270により、制御出力信号Soutと等価な帰還信号Sfに復元される。
【0198】
信号伝達回路装置250の帰還信号伝達部250Dは波形整形回路を持たないので、帰還信号Sfの立ち上がりは制御出力信号Soutに対してほとんど遅延しない。
【0199】
図9は、
図8に示した信号伝達回路装置250の変形例である。信号伝達回路装置280は帰還信号伝達部280Dを、出力エッジ検出回路292、第3トランス294、Dフリップフロップ296により構成した点が
図8と異なる。
【0200】
信号伝達回路装置280における、第1パルス生成回路282、第2パルス生成回路284、第1トランス286、第2トランス288、RSフリップフロップ290、および論理比較回路298の構成については
図8に示す信号伝達回路装置250における、第1パルス生成回路252、第2パルス生成回路254、第1トランス256、第2トランス258、RSフリップフロップ260、および論理比較回路272、と同様であるから詳しい説明は省略する。
【0201】
出力エッジ検出回路292は制御出力信号Soutの立ち上がりエッジおよび立ち下がりエッジを検出し、帰還パルスSfpを生成する。帰還パルスSfpは第3トランス294により入力側回路280Aへ伝達され、Dフリップフロップ296のクロック端子CLKへと入力される。
【0202】
Dフリップフロップ296はクロック端子CLKに入力されたパルスの立ち上がり時のタイミングで出力端子Qの出力電位(第1電位または第2電位)が遷移するように構成されており、結果的に、制御出力信号Soutは出力エッジ検出回路292によって一時的に帰還パルスSfpへと変化した後、Dフリップフロップ296により制御出力信号Soutと等価な帰還信号Sfへと復元される。
【0203】
このように構成すれば、帰還信号伝達部280Dにおけるトランスの数を一つにすることができ、信号伝達回路装置の小型化を図ることができる。
【0204】
ただし、信号伝達回路装置280においては制御出力信号Soutの立ち上がりエッジを示すパルスと制御出力信号Soutの立ち下がりエッジを示すパルスが一つのクロック端子CLKに入力されることとなるため、ノイズの発生に弱く、
図8と比較して信号伝達回路装置280の耐ノイズ特性は低下する。
【0205】
図10は、
図8に示した信号伝達回路装置250の別の変形例である。信号伝達回路装置300は、第1補正信号Sa1と第2補正信号Sa2を論理和処理する論理和回路306を備えることにより、入力信号伝達部300Cにおけるトランスの数をひとつにし、出力側回路300BにおいてRSフリップフロップ260の代わりにDフリップフロップ310を用いた構成が
図8と異なる。
【0206】
信号伝達回路装置300における、第1パルス生成回路302、第2パルス生成回路304、第1出力エッジ検出回路312、第2出力エッジ検出回路314、第2トランス316、第3トランス318、RSフリップフロップ320、および論理比較回路322の構成については、
図8に示す信号伝達回路装置250における、第1パルス生成回路252、第2パルス生成回路254、第1出力エッジ検出回路262、第2出力エッジ検出回路264、第3トランス266、第4トランス268、第2RSフリップフロップ270、および論理比較回路272と同様であるから詳しい説明は省略する。
【0207】
このように構成すれば、入力信号伝達部300Cにおけるトランスの数を一つにすることができ、回路の小型化を図ることができる。
【0208】
ただし、信号伝達回路装置300においては制御出力信号Soutを第1電位に補正する第1補正信号Sa1と制御出力信号Soutを第2電位に補正する第2補正信号Sa2が一つのクロック端子CLKに入力されることとなるため、各信号のパルス幅、位相遅れ等に配慮した設計が必要である。また、第1パルス生成回路302および第2パルス生成回路304は単パルスを発生する構成とする。
【0209】
図11は、
図8に示した信号伝達回路装置250の各部の信号を示すタイミングチャートである。タイミングチャート600は、信号伝達回路装置250における、前述した制御入力信号Sin、論理比較信号Sc、第1補正信号Sa1、第2補正信号Sa2、制御出力信号Sout、第1帰還パルスSfp1、第2帰還パルスSfp2、および帰還信号Sfの、時間経過に伴う電位(第1電位または第2電位)の遷移を示したものである。また、作図の都合上、各パルス幅の比率は必ずしも正確ではない。
【0210】
図11(a)に示す信号は、信号伝達回路装置250の入力端子251に入力される制御入力信号Sinの一例であり、パルス幅25μs、周期50μsの信号を示している。
【0211】
制御入力信号Sinが第2電位から第1電位に遷移すると(
図11(a)、立ち上がりX1)、遷移の瞬間における帰還信号Sfは第2電位のままであるから、論理比較回路272での論理比較の結果は“不一致”となり、論理比較信号Scが第1電位となる。(
図11(b)、立ち上がりA1)。
【0212】
論理比較信号Scが第1電位となると、第1パルス生成回路252は制御入力信号Sinと論理比較信号Scが第1の組み合わせ(たとえば両方とも第1電位)となったことに基づいて
図11(c)、パルスA2を生成する。
【0213】
ここで、信号伝達時の消費電力を低減させるために、第1補正信号Sa1および第2補正信号Sa2におけるパルス幅は制御入力信号Sinと比較して十分に小さく設定される。
【0214】
第1補正信号Sa1は第1トランス256を介してRSフリップフロップ260のセット端子Sに入力されるので、
図11(c)、パルスA2と同じタイミングで制御出力信号Soutは制御入力信号Sinと同じ第1電位へと補正される(
図11(e)、立ち上がりX2)。
【0215】
制御出力信号Soutが第2電位から第1電位へ遷移すると、それに伴い第1出力エッジ検出回路262が第1帰還パルスSfp1として
図11(f)、パルスX3を生成する。
【0216】
第1帰還パルスSfp1および第2帰還パルスSfp2のパルス幅はたとえば25nsに設定され、制御出力信号Soutのパルス幅と比較して十分に小さい。
【0217】
第1帰還パルスSfp1は第3トランス266により入力側回路250Aへ伝達され、第2RSフリップフロップ270のセット端子Sへと入力されるため、帰還信号Sfが第1電位へと遷移する(
図11(h)、立ち上がりX4)。
【0218】
信号伝達回路装置250の帰還信号伝達部250Dにおいては、波形整形回路による遅延が発生しないため、帰還信号Sfの立ち上がりは制御出力信号Soutの立ち上がりとほぼ同時である。
【0219】
制御入力信号Sinが第1電位から第2電位に遷移すると(
図11(a)、立ち下がりY1)、遷移の瞬間における帰還信号Sfは第1電位のままであるから、論理比較回路272での論理比較の結果は“不一致”となり、論理比較信号Scが第1電位となる(
図11(b)、立ち上がりB1)。
【0220】
論理比較信号Scが第1電位となると、第2パルス生成回路254は制御入力信号Sinと論理比較信号Scが第2の組み合わせ(たとえば制御入力信号Sinが第2電位、論理比較信号Scが第1電位)となったことに基づいて
図11(d)、パルスB2を生成する。
【0221】
第2補正信号Sa2は第2トランス258を介してRSフリップフロップ260のリセット端子Rに入力されるので、
図11(d)、パルスB2と同じタイミングで制御出力信号Soutは制御入力信号Sinと同じ第2電位へと補正される(
図11(e)、立ち下がりY2)。
【0222】
制御出力信号Soutが第1電位から第2電位へ遷移すると、それに伴い第2出力エッジ検出回路264が第2帰還パルスSfp2として
図11(g)、パルスY3を生成する。
【0223】
第2帰還パルスSfp2は第4トランス268により入力側回路250Aへ伝達され、第2RSフリップフロップ270のリセット端子Rへと入力されるため、帰還信号Sfが第2電位へと遷移する(
図11(h)、立ち下がりY4)。
【0224】
結果的に、回路が正常に動作している状態において、制御入力信号Sinと制御出力信号Soutの電位(第1電位または第2電位)は常に一致した状態が保たれる。
【0225】
また、帰還信号Sfは制御出力信号Soutに対してほとんど遅延しないので、
図8に示す信号伝達回路装置250は、
図2に示す信号伝達回路装置220と比較して短いパルス幅をもった制御入力信号Sinに対しても正確な制御出力信号Soutを出力することが可能である。
【0226】
次に、第2補正信号Sa2に
図11(d)、ノイズR1が混入した場合について説明する。
【0227】
第2補正信号Sa2にノイズR1が混入すると、制御出力信号Soutは一時的に第1電位から第2電位へと遷移するが(
図11(e)、立ち下がりZ1)、制御出力信号Soutにおける電位の遷移は第2帰還パルスSfp2(
図11(g)、パルスR2)により帰還信号Sfに反映され、論理比較回路272は制御入力信号Sinと帰還信号Sfが“不一致”となったことに基づいて第1電位となる(
図11(b)、立ち上がりR3)。
【0228】
すると、いま制御入力信号Sinは第1電位であるから、第1パルス生成回路252は第1補正信号Sa1として
図11(c)、パルスR4で示すパルスを送信し、RSフリップフロップ260はパルスR4に基づき制御出力信号Soutを第1電位に補正する(
図11(e)、立ち上がりZ2)。
【0229】
結果的に、回路内にノイズが混入した場合、論理比較回路272において、制御入力信号Sinと制御出力信号Soutが“不一致”となったことが即座に検知され、第1補正信号Sa1または第2補正信号Sa2が送信されることにより、制御出力信号Soutは入出力が“不一致”となった直後に制御入力信号Sinと同じ電位(第1電位または第2電位)へと補正される。
【0230】
異常状態としては、前述したノイズ混入の他に、たとえば第1トランス256または第2トランス258において、パルスが伝達されない場合等が考えられるが、その場合においても同様に出力信号補正機能が働き、制御出力信号Soutを制御入力信号Sinと同じ電位(第1電位または第2電位)に補正する。各部の信号の流れは同様であるから詳しい説明については省略する。
【0231】
ただし、信号伝達回路装置250においては、帰還信号伝達部250Dを第1出力エッジ検出回路262、第2出力エッジ検出回路264、第3トランス266、第4トランス268、および第2RSフリップフロップ270により構成したため、たとえば第1帰還パルスSfp1にノイズが混入した場合に、入力側回路250Aに正常な帰還信号Sfが帰還されないという不具合が生じ得る。こうした不具合を克服した信号伝達回路装置については後述する第4の実施の形態で示す。
【0232】
(第4の実施の形態)
図12は第4の実施の形態にかかる信号伝達回路装置である。信号伝達回路装置330は、入力端子331、第1エッジ検出回路332、第2エッジ検出回路334、第1論理和回路336、第2論理和回路338、第1トランス340、第2トランス342、RSフリップフロップ344、出力端子359、帰還パルス生成回路346、第3トランス348、波形整形回路350、論理比較回路352、第1パルス生成回路354、および第2パルス生成回路356を備える。
【0233】
入力側回路330Aから出力側回路330Bへ信号を伝達する入力信号伝達部330Cは第1論理和回路336、第2論理和回路338、第1トランス340、および第2トランス342により構成され、出力側回路330Bから入力側回路330Aへ信号を伝達する帰還信号伝達部330Dは、帰還パルス生成回路346、第3トランス348、および波形整形回路350により構成される。
【0234】
信号伝達回路装置330は、制御入力信号Sinの立ち上がりエッジを検出し第1入力パルスSb1を出力する第1エッジ検出回路332、制御入力信号Sinの立ち下がりエッジを検出し第2入力パルスSb2を出力する第2エッジ検出回路334、第1入力パルスSb1と第1補正信号Sa1を論理和処理する第1論理和回路336、第2入力パルスSb2と第2補正信号Sa2を論理和処理する第2論理和回路338を備える構成が
図2とは異なる。
【0235】
入力端子331に入力された制御入力信号Sinは第1エッジ検出回路332および第2エッジ検出回路334により、制御入力信号Sinの立ち上がりエッジを示す第1入力パルスSb1及び制御入力信号Sinの立ち下がりエッジを示す第2入力パルスSb2に変換される。第1入力パルスSb1及び第2入力パルスSb2のパルス幅は第1トランス340および第2トランス342での消費電力を低減させるために制御入力信号Sinのパルス幅よりも小さく設定される。
【0236】
第1入力パルスSb1は後述する第1補正信号Sa1とともに第1論理和回路336で論理和処理され第1入力パルスSb1と第1補正信号Sa1の論理和であるセット信号Ssetへと変換される。セット信号Ssetは第1トランス340によって出力側回路330Bへと伝達されRSフリップフロップ344のセット端子Sへ入力される。
【0237】
第2入力パルスSb2は後述する第2補正信号Sa2とともに第2論理和回路338で論理和処理され第2入力パルスSb2と第2補正信号Sa2の論理和であるリセット信号Sresへと変換される。リセット信号Sresは第2トランス342によって出力側回路330Bへと伝達されRSフリップフロップ344のリセット端子Rへ入力される。
【0238】
RSフリップフロップ344はセット信号Ssetおよびリセット信号Sresに基づいて、制御入力信号Sinと等価な制御出力信号Soutを出力する。
【0239】
RSフリップフロップ344から出力された制御出力信号Soutは出力端子359から取り出されるとともに、帰還パルス生成回路346へと送信される、帰還パルス生成回路346は制御出力信号Soutが第2電位となっている期間に連続パルスを有する帰還パルスSfpを生成する。
【0240】
帰還パルスSfpはたとえばパルス幅25ns、周期600nsに設定される。もちろん、制御出力信号Soutが第1電位となっている期間に帰還パルスSfpを生成する構成としてもよいが、波形整形回路350での波形整形、および論理比較回路352での論理比較の利便性に考慮しなければならない。
【0241】
帰還パルス生成回路346はたとえば矩形波信号(連続パルス信号)を生成する発振器と、この発振器から生成された発振パルス信号と制御出力信号Soutとの論理積をとるための論理積回路と、必要に応じてインバータ回路を用いて構成することができる。
【0242】
帰還パルスSfpは第3トランス348によって入力側回路330Aへと伝達され、波形整形回路350へと送信される。波形整形回路350は帰還パルスSfpを制御出力信号Soutとほぼ等価な矩形波信号に整形する。
【0243】
波形整形回路350はたとえばスイッチングトランジスタ、電流源、キャパシタ、およびコンパレータ等を用いて構成することができる。回路構成は第2の実施の形態と同様である。回路の具体的な構成については
図5に示した。
【0244】
波形整形回路350は整形された矩形波信号を帰還信号Sfとして出力し、出力された帰還信号Sfは論理比較回路352へ送信され、制御入力信号Sinと一致しているか否かの比較が行われる。両者の信号が比較され、制御入力信号Sinと帰還信号Sfの一致または不一致を示す論理比較信号Scが第1パルス生成回路354および第2パルス生成回路356へ送信される。論理比較回路352は例えばエクスクルーシブOR回路によって構成可能である。
【0245】
第1パルス生成回路354は制御入力信号Sinと論理比較信号Scが第1の組み合わせ(たとえば両方とも第1電位)となった場合に第1補正信号Sa1を出力する。すなわち、第1補正信号Sa1は、論理比較回路352における制御入力信号Sinと帰還信号Sfの論理比較結果が“不一致”であり、かつ制御入力信号Sinが第1電位の場合に制御出力信号Soutを第1電位に補正するための信号である。
【0246】
第1補正信号Sa1は第1入力パルスSb1と論理和処理され出力側回路330BにおけるRSフリップフロップ344のセット端子Sへと入力される。第1補正信号Sa1と第1入力パルスSb1は相互補完の関係にある。
【0247】
第2パルス生成回路356は制御入力信号Sinと論理比較信号Scが第1の組み合わせとは異なる第2の組み合わせ(たとえば制御入力信号Sinが第2電位、論理比較信号Scが第1電位)となった場合に第2補正信号Sa2を出力する。すなわち、第2補正信号Sa2は、論理比較回路352における制御入力信号Sinと帰還信号Sfの論理比較結果が“不一致”であり、かつ制御入力信号Sinが第2電位の場合に制御出力信号Soutを第2電位に補正するための信号である。
【0248】
第2補正信号Sa2は第2入力パルスSb2と論理和処理され出力側回路330BにおけるRSフリップフロップ344のリセット端子Rへと入力される。第2補正信号Sa2と第2入力パルスSb2は相互補完の関係にある。
【0249】
すなわち、信号伝達回路装置330において、制御入力信号Sinにおける電位の遷移は第1エッジ検出回路332または第2エッジ検出回路334によって第1入力パルスSb1または第2入力パルスSb2へと変換され、RSフリップフロップ344のセット端子Sまたはリセット端子Rに入力されることにより直ちに制御出力信号Soutへと反映される。
【0250】
また、回路内における何らかの異常により制御入力信号Sinが制御出力信号Soutへ正確に伝達されない場合であっても、論理比較回路352が制御入力信号Sinと帰還信号Sfの“不一致”を検出し、それに伴い第1パルス生成回路354または第2パルス生成回路356が第1補正信号Sa1または第2補正信号Sa2を出力するので、制御出力信号Soutは常に制御入力信号Sinと同じ電位(第1電位または第2電位)に保たれる。
【0251】
信号伝達回路装置330では、第1論理和回路336および第2論理和回路338が入力側回路330Aに設けられているが、出力側回路330Bに設ける構成としてもよい。上記変形例を
図13に示す。
【0252】
信号伝達回路装置360は第1入力パルスSb1を出力側回路360Bへ伝達する第1トランス366、第2入力パルスSb2を出力側回路360Bへ伝達する第2トランス368、第1補正信号Sa1を出力側回路360Bへ伝達する第3トランス388、第2補正信号Sa2を出力側回路360Bへ伝達する第4トランス390を備え、出力側回路360Bに、第1入力パルスSb1と第1補正信号Sa1を論理和処理する第1論理和回路370、第2入力パルスSb2と第2補正信号Sa2を論理和処理する第2論理和回路372を設けた構成が
図12と異なる。
【0253】
信号伝達回路装置360における、第1エッジ検出回路362、第2エッジ検出回路364、RSフリップフロップ374、帰還パルス生成回路376、第5トランス378、波形整形回路380、論理比較回路382、第1パルス生成回路384、第2パルス生成回路386の構成については、
図12に示す信号伝達回路装置330における、第1エッジ検出回路332、第2エッジ検出回路334、RSフリップフロップ344、帰還パルス生成回路346、第3トランス348、波形整形回路350、論理比較回路352、第1パルス生成回路354、第2パルス生成回路356と同様であるから詳しい説明は省略する。
【0254】
このように構成すれば、第1入力パルスSb1、第2入力パルスSb2、第1補正信号Sa1、第2補正信号Sa2はそれぞれ別のトランスによって出力側回路360Bへ伝達されるため、入力信号伝達部360Cにおけるトランスの寿命を延ばすことができる。
【0255】
図14は、
図12に示した信号伝達回路装置330の別の変形例である。信号伝達回路装置400は、第1論理和回路336、第2論理和回路338に代えて、第1入力パルスSb1、第2入力パルスSb2、第1補正信号Sa1、および第2補正信号Sa2を論理和処理する論理和回路406を備えることにより、入力信号伝達部400Cにおけるトランスの数をひとつにし、出力側回路400BにおいてRSフリップフロップ344の代わりにDフリップフロップ410を用いた構成が
図12と異なる。
【0256】
信号伝達回路装置400における、第1エッジ検出回路402、第2エッジ検出回路404、帰還パルス生成回路412、第2トランス414、波形整形回路416、論理比較回路418、第1パルス生成回路420、第2パルス生成回路422の構成については、
図12に示す信号伝達回路装置330における、第1エッジ検出回路332、第2エッジ検出回路334、帰還パルス生成回路346、第3トランス348、波形整形回路350、論理比較回路352、第1パルス生成回路354、第2パルス生成回路356と同様であるから詳しい説明は省略する。
【0257】
このように構成すれば、入力信号伝達部400Cにおけるトランスの数を一つにすることができ、信号伝達回路装置の小型化を図ることができる。
【0258】
ただし、信号伝達回路装置400においては、第1入力パルスSb1、第2入力パルスSb2、第1補正信号Sa1、および第2補正信号Sa2が全て一つのクロック端子CLKに入力されることとなるため、各信号のパルス幅、位相遅れ等に配慮した設計が必要である。また、第1パルス生成回路420および第2パルス生成回路422は単パルスを発生する構成とする。
【0259】
信号伝達回路装置400において、論理和回路406を出力側回路400Bに設ける構成としてもよい。上記変形例を
図15に示す。信号伝達回路装置430は第1入力パルスSb1を出力側回路430Bへ伝達する第1トランス436、第2入力パルスSb2を出力側回路430Bへ伝達する第2トランス438、第1補正信号Sa1を出力側回路430Bへ伝達する第3トランス456、第2補正信号Sa2を出力側回路430Bへ伝達する第4トランス458を備え、出力側回路430Bに、第1入力パルスSb1、第2入力パルスSb2、第1補正信号Sa1、および第2補正信号Sa2を論理和処理する論理和回路440を設けた構成が
図14と異なる。
【0260】
信号伝達回路装置430における、第1エッジ検出回路432、第2エッジ検出回路434、Dフリップフロップ442、帰還パルス生成回路444、第5トランス446、波形整形回路448、論理比較回路450、第1パルス生成回路452、第2パルス生成回路454の構成については、
図14に示す信号伝達回路装置400における、第1エッジ検出回路402、第2エッジ検出回路404、Dフリップフロップ410、帰還パルス生成回路412、第2トランス414、波形整形回路416、論理比較回路418、第1パルス生成回路420、第2パルス生成回路422と同様であるから詳しい説明は省略する。
【0261】
このように構成すれば、第1入力パルスSb1、第2入力パルスSb2、第1補正信号Sa1、第2補正信号Sa2はそれぞれ別のトランスによって出力側回路430Bへ伝達されるため、入力信号伝達部430Cにおけるトランスの寿命を延ばすことができる。
【0262】
図16は、
図12に示した信号伝達回路装置330のさらに別の変形例である。信号伝達回路装置850は、論理比較信号Scを該論理比較信号Scに同期した論理比較パルス信号Scpに変換する比較パルス生成回路876を設けたことにより、第1パルス生成回路354および第2パルス生成回路356を不要とした点が
図12と異なる。このように構成すれば、信号伝達回路装置の構成を簡略化することができる。
【0263】
比較パルス生成回路876の構成は
図3に示した信号伝達回路装置800における比較パルス生成回路820と同様である。
【0264】
信号伝達回路装置850における、第1エッジ検出回路852、第2エッジ検出回路854、第1トランス862、第2トランス864、RSフリップフロップ866、帰還パルス生成回路868、第3トランス870、波形整形回路872、および論理比較回路874の構成は、
図12に示す信号伝達回路装置330における、第1エッジ検出回路332、第2エッジ検出回路334、第1トランス340、第2トランス342、RSフリップフロップ344、帰還パルス生成回路346、第3トランス348、波形整形回路350、論理比較回路352と同様であるから詳しい説明は省略する。
【0265】
信号合成回路850Eは、制御入力信号Sin、第1入力パルスSb1、第2入力パルスSb2、および論理比較パルス信号Scpを受信し、第1入力パルスSb1、第2入力パルスSb2、または論理比較パルス信号Scpを受信したタイミングで、その時点での制御入力信号Sinの電位に基づいてセット信号Ssetまたはリセット信号Sresを出力する。
図16に示すように、第1入力パルスSb1、第2入力パルスSb2、および論理比較パルス信号Scpを受信する論理和回路856と、論理和回路856の出力と制御入力信号Sinを受信する第1論理積回路858と、論理和回路856の出力と制御入力信号Sinの反転信号を受信する第2論理積回路860により信号合成回路850Eを構成すれば、比較的簡便な構成により信号合成回路850Eを構成することが可能であるが、信号合成回路850Eの構成については
図16に示した構成に限定されるものではなく、種々の変形実施が可能である。
【0266】
図17は、
図12に示した信号伝達回路装置330の各部の信号を示すタイミングチャートである。タイミングチャート700は、信号伝達回路装置330における、前述した制御入力信号Sin、第1入力パルスSb1、第2入力パルスSb2、セット信号Sset、リセット信号Sres、第1補正信号Sa1、第2補正信号Sa2、制御出力信号Sout、帰還パルスSfp、帰還信号Sf、および論理比較信号Scの、時間経過に伴う電位(第1電位または第2電位)の遷移を示したものである。なお、作図の都合上、各パルス幅の比率は必ずしも正確ではない。
【0267】
第1補正信号Sa1、第2補正信号Sa2、帰還パルスSfp、帰還信号Sf、および論理比較信号Scの動作については第2の実施の形態と同様であるから詳しい説明については省略する。
【0268】
ここで、信号伝達回路装置330における帰還信号伝達部330Dの構成は
図2と同様であるから、帰還信号Sfの立ち上がりは制御出力信号Soutの立ち上がりから遅延時間Tdだけ遅れる。
【0269】
図17(a)に示す制御入力信号Sinは、信号伝達回路装置330の入力端子331に入力される制御入力信号Sinの一例であり、パルス幅25μs、周期50μsの信号を示している。
【0270】
制御入力信号Sinが第2電位から第1電位へ遷移すると(
図17(a)、立ち上がりX1)、第1エッジ検出回路332が制御入力信号Sinの立ち上がりエッジを検出し、第1入力パルスSb1として
図17(b)、パルスA1を生成する。ここで、信号伝達時の消費電力を低減させるために、第1入力パルスSb1および第2入力パルスSb2におけるパルス幅は制御入力信号Sinと比較して十分に小さく設定される。
【0271】
第1入力パルスSb1は第1論理和回路336に入力され、第1論理和回路336はセット信号Ssetとして
図17(d)、パルスA2を送信する。
【0272】
セット信号Ssetは第1トランス340を介してRSフリップフロップ344のセット端子Sに入力されるので、
図17(d)、パルスA2と同じタイミングで制御出力信号Soutは第1電位へと遷移する(
図17(h)、立ち上がりX2)。
【0273】
制御入力信号Sinが第1電位から第2電位へ遷移すると(
図17(a)、立ち下がりY1)、第2エッジ検出回路334が制御入力信号Sinの立ち下がりエッジを検出し、第2入力パルスSb2として
図17(c)、パルスB1を生成する。
【0274】
第2入力パルスSb2は第2論理和回路338に入力され、第2論理和回路338はリセット信号Sresとして
図17(e)、パルスB2を送信する。
【0275】
リセット信号Sresは第2トランス342を介してRSフリップフロップ344のリセット端子Rに入力されるので、
図17(e)、パルスB2と同じタイミングで制御出力信号Soutは第2電位へと遷移する(
図17(h)、立ち下がりY2)。
【0276】
したがって、入力側回路330Aから出力側回路330Bへの信号伝達が正常に行われている状態において、制御入力信号Sinは常に制御出力信号Soutと同じ電位(第1電位または第2電位)に保たれる。
【0277】
次に、リセット信号Sresに
図17(e)、ノイズR1が混入した場合について説明する。
【0278】
リセット信号SresにノイズR1が混入すると、制御出力信号Soutは一時的に第1電位から第2電位へと遷移する(
図17(h)、立ち下がりZ1)が、制御出力信号Soutにおける電位の遷移は帰還信号Sfにおける電位の遷移として、論理比較回路352へと送信され、論理比較回路352は制御入力信号Sinと帰還信号Sfが“不一致”となったことに基づいて第1電位となる(
図17(k)、立ち上がりR2)。
【0279】
すると、いま制御入力信号Sinは第1電位であるから、第1パルス生成回路354は第1補正信号Sa1として
図17(f)、パルスR3を生成し、第1論理和回路336は入力された第1補正信号Sa1に基づき、セット信号Ssetとして
図14(d)、パルスR4を送信する。セット信号Ssetは第1トランス340を介してRSフリップフロップ344のセット端子Sに入力され、制御出力信号Soutを第1電位に補正する(
図17(h)、立ち上がりZ2)。
【0280】
結果的に、回路内にノイズが混入した場合、論理比較回路352において、制御入力信号Sinと制御出力信号Soutが“不一致”となったことが即座に検知され、第1パルス生成回路または第2パルス生成回路により、第1補正信号Sa1または第2補正信号Sa2が送信される。したがって、制御出力信号Soutは入出力が“不一致”となった直後に制御入力信号Sinと同じ電位(第1電位または第2電位)へと補正される。
【0281】
異常状態としては、前述したノイズ混入の他に、たとえば第1トランスまたは第2トランスにおいて、パルスが伝達されない場合等が考えられるが、その場合においても同様に出力信号補正機能が働き、制御出力信号Soutを制御入力信号Sinと同じ電位(第1電位または第2電位)に補正する。各部の信号の流れは同様であるから詳しい説明については省略する。
【0282】
次に、
図12に示す信号伝達回路装置330に帰還信号Sfの遅延時間Tdよりも短いパルス幅をもつ制御入力信号Sinを入力した場合の各部の信号のタイミングチャートを
図18に示す。タイミングチャート750は、信号伝達回路装置330における、前述した制御入力信号Sin、第1入力パルスSb1、第2入力パルスSb2、セット信号Sset、リセット信号Sres、第1補正信号Sa1、第2補正信号Sa2、制御出力信号Sout、帰還パルスSfp、帰還信号Sf、および論理比較信号Scの、時間経過に伴う電位(第1電位または第2電位)の遷移を示したものである。
【0283】
図18(a)に示す信号は信号伝達回路装置330の入力端子331に入力される制御入力信号Sinの一例であり、パルス幅1μs、周期5μsの信号を示している。
【0284】
制御入力信号Sinが第2電位から第1電位に遷移すると(
図18(a)、立ち上がりX1)、第1エッジ検出回路332が制御入力信号Sinの立ち上がりエッジを検出し、第1入力パルスSb1として
図18(b)、パルスA1を生成する。
【0285】
この時、制御入力信号Sinの遷移の瞬間における帰還信号Sfは第2電位のままであるから、論理比較回路352での論理比較の結果は“不一致”となり、論理比較信号Scは第1電位となる(
図18(k)、立ち上がりX3)。それに伴い第1パルス生成回路は
図18(f)、パルスA2を生成する。第1入力パルスSb1におけるパルスA1と、第1補正信号Sa1におけるパルスA2は相互補完の関係にある。
【0286】
第1論理和回路336は第1入力パルスSb1と第1補正信号Sa1を論理和処理し、セット信号Ssetとして
図18(d)、パルスA3を送信する。セット信号Ssetは第1トランス340を介してRSフリップフロップ344のセット端子Sに入力されるので、
図18(d)、パルスA3と同じタイミングで制御出力信号Soutは第1電位へと遷移する(
図18(h)、立ち上がりX2)。
【0287】
この時、制御出力信号Soutが第1電位となったことに伴い、帰還パルス生成回路346は連続パルスの供給を停止する(
図18(i))が、帰還信号Sfは遅延時間Tdの遅れにより第2電位のままとなる(
図18(j))。
【0288】
制御入力信号Sinが第1電位から第2電位に遷移すると(
図18(a)、立ち下がりY1)、第2エッジ検出回路334が制御入力信号Sinの立ち下がりエッジを検出し、第2入力パルスSb2として
図18(c)、パルスB1を生成する。
【0289】
第2入力パルスSb2は第2論理和回路338に入力され、第2論理和回路338はリセット信号Sresとして
図18(e)、パルスB2を送信する。リセット信号Sresは、第2トランス342を介してRSフリップフロップ344のリセット端子Rに入力されるので、
図18(e)、パルスB2と同じタイミングで制御出力信号Soutは第2電位へと遷移する(
図18(h)、立ち下がりY2)。
【0290】
この時、制御出力信号Soutの立ち上がりから遅延時間Tdが経過する前に、制御出力信号Soutが第2電位となってしまうため、帰還信号Sfは第2電位のままとなり、論理比較信号Scは、制御入力信号Sinの立ち下がりのタイミングで第2電位となる(
図18(k)、立ち下がりY3)。
【0291】
したがって、制御入力信号Sinの立ち下がりのタイミングで第2パルス生成回路356はパルスを生成しないが(
図18(g))、制御出力信号Soutは第2入力パルスSb2によって既に第2電位へと遷移しているため、制御出力信号Soutのパルス幅が増大することは無い。
【0292】
結果的に、信号伝達回路装置330に遅延時間Tdよりも小さいパルス幅を有する制御入力信号Sinを入力しても制御出力信号Soutのパルス幅は増大せず、
図2に示した信号伝達回路装置220と比較して、制御入力信号Sinの最小入力パルス幅を大幅に小さくすることができる。
【0293】
以上、第4の実施の形態について説明した。信号伝達回路装置330は、第1パルス生成回路354および第2パルス生成回路356とともに第1エッジ検出回路332および第2エッジ検出回路334を備えているので、出力信号補正機能を有したまま、遅延時間Tdの影響を受けることなく制御入力信号Sinの最小入力パルス幅を大幅に小さくすることができる。
【0294】
さらに、帰還信号伝達部330Dを帰還パルス生成回路346、第3トランス348、波形整形回路350により構成したので、帰還信号伝達部250Dを第1出力エッジ検出回路262、第2出力エッジ検出回路264、第3トランス266、第4トランス268、および第2RSフリップフロップ270により構成した
図8と比較して帰還信号伝達部330Dにおけるトランスの数を一つにすることができ、信号伝達回路装置の小型化を図るとともに帰還信号伝達部の耐ノイズ特性が向上する。
【0295】
<第2の技術的特徴について>
図22は、本発明に係る半導体装置の第1実施形態を示す模式図である。本実施形態の半導体装置X10Aは、コイルL1を集積化した半導体装置であって、コイルL1の一端には、第1の電流供給用パッドX11aと第1の電圧測定用パッドX11bが接続されており、コイルL1の他端には、第2の電流供給用パッドX12aと第2の電圧測定用パッドX12bが接続されている。
【0296】
図23は、半導体装置X10Aの不良品検査を説明するための模式図である。半導体装置X10Aの不良品検査に用いられる検査装置X20は、第1の電流供給用パッドX11aに接触させる第1の電流供給用プローブX21aと、第1の電圧測定用パッドX11bに接触させる第1の電圧測定用プローブX21bと、第2の電流供給用パッドX12aに接触させる第2の電流供給用プローブX22aと、第2の電圧測定用パッドX12bに接触させる第2の電圧測定用プローブX22bと、第1の電流供給用プローブX21aと第2の電流供給用プローブX22aとの間に所定の定電流Iを流す定電流源X23と、第1の電圧測定用プローブX21bと第2の電圧測定用プローブX22bとの間に発生する電圧を測定する電圧計X24と、を有して成る。
【0297】
半導体装置X10Aの不良品検査では、定電流源X23からコイルL1に所定の定電流Iが流され、そのときに発生するコイルL1の両端間電圧(コイルL1の直列抵抗成分RLに起因して発生する電圧降下)を電圧計X24で測定される。
【0298】
ここで、定電流源X23からコイルL1に定電流Iを流すためには、パッドX11a及びX12aにそれぞれプローブX21a及びX22aを接触させる必要があり、接触抵抗成分Rxa及びRyaが不可避的に発生する。従って、定電流源X23からコイルL1に定電流Iを流す経路上では、接触抵抗成分Rxa及びRyaに起因する電圧降下(=I×(Rxa+Rya))が発生する。
【0299】
一方、コイルL1の両端間電圧を電圧計X24で測定するためには、パッドX11b及びX12bにそれぞれプローブX21b及びX22bを接触させる必要があり、上記と同様、接触抵抗成分Rxb及びRybが不可避的に発生する。しかし、電圧計X24の内部インピーダンスは極めて高く、電圧計X24の両端間には殆ど電流が流れないため、接触抵抗成分Rxb及びRybに起因する電圧降下はほぼゼロとなる。
【0300】
すなわち、本実施形態の半導体装置X10Aの不良品検査に際して、電圧計X24で得られる検出電圧Vdetの電圧値は、下記(2)式で表される通り、上記した接触抵抗成分の影響を何ら受けることなく、コイルL1の直列抵抗成分RLのみに応じて変動する。
【0302】
従って、本実施形態の半導体装置X10Aであれば、その不良品検査に際して、コイルL1の直列抵抗成分RLを正確に測定することができるので、コイルL1の断線が生じている不良品をリジェクトすることはもちろん、コイルL1の抵抗値異常(例えば、巻線同士の中途短絡)が生じている不良品についても、これを適切にリジェクトすることが可能となり、不良品の市場流出を未然に防止することが可能となる。
【0303】
図24は、本発明に係る半導体装置の第2実施形態を示す模式図であり、
図25は、半導体装置X10Bの不良品検査を説明するための模式図である。
【0304】
本実施形態の半導体装置X10Bにおいて、先に述べた第1の電流供給用パッドX11aと第1の電圧測定用パッドX11bは、第1の共用パッドX11cとして一体的に形成されている。なお、第1の共用パッドX11cは、第1の電流供給用プローブX21aと第1の電圧測定用プローブX21bを同時に接触させることが可能な面積(第1の電流供給パッドX21aや第1の電圧測定用パッドX11bの面積に比べて2倍程度の大きさ)を有するように形成されている。
【0305】
また、本実施形態の半導体装置X10Bにおいて、先に述べた第2の電流供給用パッドX12aと第2の電圧測定用パッドX12bは、第2の共用パッドX12cとして一体的に形成されている。なお、第2の共用パッドX12cは、第2の電流供給用プローブX22aと第2の電圧測定用プローブX22bを同時に接触させることが可能な面積(第2の電流供給パッドX12aや第2の電圧測定用パッドX12bの面積に比べて2倍程度の大きさ)を有するように形成されている。
【0306】
このように、1つのパッドサイズを十分に大きく設計できるのであれば、1つのパッドに2つのプローブを接触させる検査方法を採用してもよい。
【0307】
なお、半導体装置X10Bの不良品検査に用いられる検査装置X20の構成や検査方法については、先に述べた通りであるため、重複した説明は省略する。
【0308】
次に、ハイブリッド自動車に搭載されるモータ駆動装置に本発明を適用した構成を例に挙げて詳細な説明を行う。
【0309】
図26は、本発明に係る半導体装置を用いたモータ駆動装置の一構成例を示すブロック図である。本構成例のモータ駆動装置は、ハイサイドスイッチSWHと、ローサイドスイッチSWLと、ハイサイドスイッチSWHの制御手段であるスイッチ制御装置1と、エンジンコントロールユニット2(以下では、ECU[Engine Control Unit]2と呼ぶ)と、直流電圧源E1及びE2と、npn型バイポーラトランジスタQ1と、pnp型バイポーラトランジスタQ2と、キャパシタC1〜C3と、抵抗R1〜R8と、ダイオードD1とを有して成る。
【0310】
スイッチ制御装置1は、第1半導体チップ10と、第2半導体チップ20と、第3半導体チップ30と、を一のパッケージに封止して成る。
【0311】
スイッチ制御装置1に関する第1の特長は、入出力間絶縁耐圧が1200Vという点である。第2の特長は、UVLOを内蔵している点である。第3の特長は、ウォッチドッグタイマ機能を内蔵している点である。第4の特長は、過電流保護機能(自動復帰型)を内蔵している点である。第5の特長は、過電流保護動作時におけるスローオフ機能を内蔵している点である。第6の特長は、外部エラー検出機能(ERRIN)を内蔵している点である。第7の特長は、異常状態出力機能(FLT、OCPOUT)を内蔵している点である。第8の特長は、アクティブミラークランプ機能を内蔵している点である。第9の特長は、ショートサーキットクランプ機能を内蔵している点である。
【0312】
第1半導体チップ10は、直流電圧源E1から第1電源電圧VCC1(GND1基準で5[V]や3.3[V]など)の供給を受けて駆動され、入力信号INに基づいてスイッチ制御信号S1及びS2を生成するコントローラが集積化されたコントローラチップである。第1半導体チップ10の主な機能としては、スイッチ制御信号S1、S2の生成機能ないし出力機能、トランス伝達異常監視機能(入力信号INの入出力論理監視機能)、エラー状態出力機能、UVLO機能、及び、外部エラー入力信号処理機能を挙げることができる。なお、第1半導体チップ10の耐圧は、第1電源電圧VCC1(GND1基準)を考慮して、適切な耐圧(例えば7[V]耐圧)に設計すればよい。
【0313】
第2半導体チップ20は、直流電圧源E2から第2電源電圧VCC2(GND2基準で10〜30[V])の供給を受けて駆動され、第1半導体チップ10から第3半導体チップ30を介して入力されるスイッチ制御信号S1及びS2に基づいて、一端に数[kV]の高電圧が印加されるハイサイドスイッチSWHの駆動制御を行うドライバが集積化されたドライバチップである。第2半導体チップ20の主な機能としては、出力信号OUTの生成機能ないし出力機能、過電流/過電圧保護機能、及び、UVLO機能を挙げることができる。なお、第2半導体チップ20の耐圧は、第2電源電圧VCC2(GND2基準)を考慮して、適切な耐圧(例えば40[V]耐圧)に設計すればよい。
【0314】
第3半導体チップ30は、第1半導体チップ10と第2半導体チップ20との間を直流的に絶縁しながら、スイッチ制御信号S1及びS2、ウォッチドッグ信号S3、及び、フォルト信号S4の受け渡しを行うトランスが集積化されたトランスチップである。
【0315】
上記したように、本構成例のスイッチ制御装置1は、コントローラが集積化される第1半導体チップ10やドライバが集積化される第2半導体チップ20とは別に、トランスのみを搭載する第3半導体チップ30を独立に有して成り、これらを一のパッケージに封止して成る構成とされている。
【0316】
このような構成とすることにより、第1半導体チップ10、及び、第2半導体チップ20については、いずれも一般の低耐圧プロセス(数[V]耐圧〜数十[V]耐圧)で作成することが可能となるので、専用の高耐圧プロセス(数[kV]耐圧)を用いる必要がなくなり、製造コストを低減することが可能となる。
【0317】
また、第1半導体チップ10、及び、第2半導体チップ20については、いずれも実績のある既存プロセスで作成することが可能であり、新たに信頼性試験を行う必要がないので、開発期間の短縮や開発コストの低減に貢献することができる。
【0318】
また、トランス以外の直流絶縁素子(例えばフォトカプラ)を用いる場合であっても、第3半導体チップ30のみを載せ換えることにより、容易に対応することが可能となるので、コントローラチップやドライバチップまで開発し直す必要がなくなり、開発期間の短縮や開発コストの低減に貢献することができる。
【0319】
ECU2は、エンジン運転及びモータ運転における電気的な制御を総合的に行うための手段であり、スイッチ制御装置1との間で、各種信号(IN、RST、FLT、OCPOUT)のやり取りを行うマイクロコントローラである。
【0320】
ハイサイドスイッチSWH、及び、ローサイドスイッチSWLは、それぞれ、第1モータ駆動電圧VD1の印加端とモータコイルの一端との間、及び、第2モータ駆動電圧VD2の印加端とモータコイルの一端との間に接続され、各々のオン/オフ制御に応じて、モータ駆動電流の供給制御を行う手段である。なお、本構成例のモータ駆動装置では、ハイサイドスイッチSWH及びローサイドスイッチSWLとして、それぞれ、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT[Insulated Gate Bipolar Transistor])を用いているが、本発明の構成はこれに限定されるものではなく、SiC[Silicon Carbide]半導体を用いたMOS[Metal Oxide Semiconductor]電界効果トランジスタや、Si半導体を用いたMOS電界効果トランジスタを採用しても構わない。特に、SiC半導体を用いたMOS電界効果トランジスタは、Si半導体を用いたMOS電界効果トランジスタよりも消費電力が小さく、耐熱温度が高いため、ハイブリッド自動車への搭載に好適である。
【0321】
次に、スイッチ制御装置1の内部構成について詳細に説明する。
【0322】
第1半導体チップ10は、第1送信部11と、第2送信部12と、第1受信部13と、第2受信部14と、ロジック部15と、第1低電圧ロックアウト部16(以下では第1UVLO[Under Voltage Lock Out]部16と呼ぶ)と、外部エラー検出部(外部エラー検出用コンパレータ)17と、Nチャネル型MOS電界効果トランジスタNa及びNbと、を有して成る。
【0323】
第2半導体チップ20は、第3受信部21と、第4受信部22と、第3送信部23と、第4送信部24と、ロジック部25と、ドライバ部26と、第2低電圧ロックアウト部27(以下では、第2UVLO部27と呼ぶ)と、過電流検出部(過電流検出用コンパレータ)28と、OCP[Over Current Protection]タイマ29と、Pチャネル型MOS電界効果トランジスタP1及びP2と、Nチャネル型MOS電界効果トランジスタN1〜N3と、SRフリップフロップFFと、を有して成る。
【0324】
第3半導体チップ30は、第1トランス31と、第2トランス32と、第3トランス33と、第4トランス34と、を有して成る。
【0325】
第1送信部11は、ロジック部15から入力されるスイッチ制御信号S1を第1トランス31経由で第3受信部21に送信する手段である。第2送信部12は、ロジック部15から入力されるスイッチ制御信号S2を第2トランス32経由で第4受信部22に送信する手段である。第1受信部13は、第3送信部23から第3トランス33経由で入力されるウォッチドッグ信号S3を受信してロジック部15に伝達する手段である。第4受信部14は、第4送信部24から第4トランス34経由で入力されるドライバ異常信号S4を受信してロジック部15に伝達する手段である。
【0326】
ロジック部15は、ECU2との間で、各種信号(IN、RST、FLT、OCPOUT)のやり取りを行うとともに、第1送信部11、第2送信部12、第1受信部13、及び、第2受信部14を用いて、第2半導体チップ20との間で、各種信号(S1〜S4)のやり取りを行う手段である。
【0327】
なお、ロジック部15は、入力信号INがハイレベルであるときには、出力信号OUTをハイレベルとするようにスイッチ制御信号S1、S2を生成し、逆に、入力信号INがローレベルであるときには、出力信号OUTをローレベルとするようにスイッチ制御信号S1、S2を生成する。より具体的に述べると、ロジック部15は、入力信号INのポジティブエッジ(ローレベルからハイレベルへの立上がりエッジ)を検出してスイッチ制御信号S1にパルスを立てる一方、入力信号INのネガティブエッジ(ハイレベルからローレベルへの立下がりエッジ)を検出してスイッチ制御信号S2にパルスを立てる。
【0328】
また、ロジック部15は、リセット信号RSTがローレベルであるときには、出力信号OUTの生成動作をディセーブルとするように、すなわち、出力信号OUTをローレベルで固定するようにスイッチ制御信号S1、S2を生成し、逆に、リセット信号RSTがハイレベルであるときには、出力信号OUTの生成動作をイネーブルとするように、すなわち、出力信号OUTを入力信号INに応じた論理レベルとするようにスイッチ制御信号S1、S2を生成する。なお、リセット信号RSTが所定時間(例えば500[ns])にわたってローレベルに維持された場合、ロジック部15は、過電流検出部28による保護動作を復帰させるようにスイッチ制御信号S1、S2を生成する。
【0329】
また、ロジック部15は、スイッチ制御装置1の正常時には、トランジスタNaをオフとして、第1状態信号FLTをオープン(抵抗R1によるプルアップ状態)とし、スイッチ制御装置1の異常時(第1半導体チップ10側での低電圧異常やスイッチ制御信号S1及びS2のトランス伝達異常、或いは、ERRIN信号異常が検出された時)には、トランジスタNaをオンとして、第1状態信号FLTをローレベルとする。このような構成であれば、ECU2は、第1状態信号FLTを監視することにより、スイッチ制御装置1の状態を把握することが可能となる。なお、第1半導体チップ10側での低電圧異常については、第1UVLO部16での検知結果に基づいて判断すればよく、また、スイッチ制御信号S1、S2のトランス伝達異常については、入力信号IN(スイッチ制御信号S1、S2)とウォッチドッグ信号S3との比較結果に基づいて判断すればよい。また、ERRIN信号異常については、外部エラー検出部17の出力結果に基づいて判断すればよい。
【0330】
また、ロジック部15は、スイッチ制御装置1の正常時には、トランジスタNbをオフとして、第2状態信号OCPOUTをオープン(抵抗R2によるプルアップ状態)とし、スイッチ制御装置1の異常時(第2半導体チップ20側での低電圧異常やハイサイドスイッチSWHに流れるモータ駆動電流の過電流が検出された時)には、トランジスタNbをオンとして、第2状態信号OCPOUTをローレベルとする。このような構成であれば、ECU2は、第2状態信号OCPOUTを監視することにより、スイッチ制御装置1の状態を把握することが可能となる。なお、第2半導体チップ20側での低電圧異常やハイサイドスイッチSWHに流れるモータ駆動電流の過電流については、ドライバ異常信号S4に基づいて判断すればよい。
【0331】
第1UVLO部16は、第1電源電圧VCC1が低電圧状態であるか否かを監視し、その監視結果をロジック部15に伝達する手段である。
【0332】
外部エラー検出部17は、抵抗R3と抵抗R4の接続ノードからERRIN端子に入力される電圧(監視対象となるアナログ電圧を抵抗分割して得られる分圧電圧)と所定の閾値電圧とを比較し、その比較結果をロジック部15に伝達する手段である。
【0333】
第3受信部21は、第1送信部11から第1トランス31経由で入力されるスイッチ制御信号S1を受信してSRフリップフロップFFのセット入力端(S)に伝達する手段である。第4受信部22は、第2送信部12から第2トランス32経由で入力されるスイッチ制御信号S2を受信してSRフリップフロップFFのリセット入力端(R)に伝達する手段である。第3送信部23は、ロジック部25から入力されるウォッチドッグ信号S2を第3トランス33経由で第1受信部13に送信する手段である。第4送信部24は、ロジック部25から入力されるドライバ異常信号S4を第4トランス34経由で第2受信部14に送信する手段である。
【0334】
SRフリップフロップFFは、セット入力端(S)に入力されるスイッチ制御信号S1のパルスエッジをトリガとして出力信号をハイレベルにセットし、リセット入力端(R)に入力されるスイッチ制御信号S2のパルスエッジをトリガとして出力信号をローレベルにリセットする。すなわち、上記の出力信号は、ECU2からロジック部15に入力される入力信号INと同一信号となる。なお、上記の出力信号は、SRフリップフロップFFの出力端(Q)からロジック部25に送出される。
【0335】
ロジック部25は、SRフリップフロップFFの出力信号(入力信号INと同一信号)に基づいて、ドライバ部26の駆動信号を生成する。
【0336】
また、ロジック部25は、第2UVLO部27及び過電流検出部28での検知結果に基づいて、低電圧異常や過電流が生じていると判断した場合、その旨を異常検知信号でドライバ部26に伝達するとともに、ドライバ異常信号S4でロジック部15にも伝達する。このような構成とすることにより、第2半導体チップ20に異常が生じた場合でも、ドライバ部26は速やかに保護動作を行うことが可能となり、ロジック部15はECU2への異常通知動作(第2状態信号OCPOUTのローレベル遷移)を行うことが可能となる。なお、ロジック部25は、過電流保護動作後、所定時間が経過した時点で過電流保護動作からの自動復帰を行う機能を有している。
【0337】
また、ロジック部25は、SRフリップフロップFFの出力信号をそのままウォッチドッグ信号S3として第3送信部23に出力する。このように、第2半導体チップ20から第1半導体チップ10に向けてウォッチドッグ信号S3を返信する構成であれば、ロジック部15において、第1半導体チップ10に入力された入力信号INと、これに対して第2半導体チップ20から返信されたウォッチドッグ信号S3を比較することにより、トランス伝達異常の有無を判定することが可能となる。
【0338】
ドライバ部26は、ロジック部25から入力される駆動信号に基づいて、トランジスタP1とトランジスタN1のオン/オフ制御を行い、トランジスタP1とトランジスタN1との接続ノードから出力信号OUTを出力する手段である。出力信号OUTは、トランジスタQ1及びQ2から成る駆動回路を介して、ハイサイドスイッチSWHに入力されている。上記の駆動回路は、出力信号OUTにハイサイドスイッチSWHの駆動能力を持たせるべく、出力信号OUTの立上がり/立下がり時間(スルーレート)を調整する手段である。なお、出力信号OUTがハイレベルであるときには、ハイサイドスイッチSWHがオンとされ、逆に、出力信号OUTがローレベルであるときには、ハイサイドスイッチSWHがオフとされる。
【0339】
なお、ドライバ部26は、出力信号OUTの電圧レベル(GND2基準)がローレベルとなったとき、ハイサイドスイッチSWHのゲートからCLAMP端子を介して電荷(ミラー電流)を吸い込むように、トランジスタN2をオンとする機能(アクティブミラークランプ機能)を有している。このような構成とすることにより、ハイサイドスイッチSWHをオフする際には、上記の駆動回路で設定されるスルーレートに依ることなく、トランジスタN2を介してハイサイドスイッチSWHのゲート電位を速やかにローレベルへ立ち下げることが可能となる。
【0340】
また、ドライバ部26は、出力信号OUTの電圧レベル(GND2基準)がハイレベルとなったとき、CLAMP端子を介してハイサイドスイッチSWHのゲートを電源電圧VCC2にクランプするように、トランジスタP2をオンとする機能(ショートサーキットクランプ機能)を有している。このような構成とすることにより、ハイサイドスイッチSWHをオンする際、ハイサイドスイッチSWHのゲート電位が電源電圧VCC2よりも高電位まで上昇することはなくなる。
【0341】
また、ドライバ部26は、ロジック部25から入力される異常検知信号に基づいて保護動作を行う必要があると判断した場合、トランジスタP1、P2及びトランジスタN1、N2をいずれもオフとする一方、トランジスタN3をオンとする機能(スローオフ機能)を有している。このようなスイッチ制御により、保護動作時には、ハイサイドスイッチSWHのゲートから抵抗R5を介して、通常動作時よりも緩やかに電荷を引き抜くことができる。このような構成とすることにより、保護動作時にモータ電流が瞬断されることを回避できるので、モータコイルの逆起電力によって生じるサージを抑制することが可能となる。なお、抵抗R5の抵抗値を適宜選択することにより、保護動作時の立ち下がり時間を任意に調整することができる。
【0342】
第2UVLO部27は、第2電源電圧VCC2が低電圧状態であるか否かを監視し、その監視結果をロジック部25に伝達する手段である。
【0343】
過電流検出部28は、抵抗R7と抵抗R8の接続ノードからOCP/DESATIN端子に入力される電圧(ダイオードD1のアノード電圧を抵抗分割して得られる分圧電圧)と所定の閾値電圧とを比較し、その比較結果をロジック部25に伝達する手段である。なお、ハイサイドスイッチSWHに流れるモータ駆動電流が大きいほど、ハイサイドスイッチSWHとして用いられている絶縁ゲートバイポーラトランジスタのコレクタ・エミッタ間電圧が大きくなる。従って、ハイサイドスイッチSWHに流れるモータ駆動電流が大きいほど、ダイオードD1のアノード電圧が上昇し、延いては、OCP/DESATIN端子に入力される電圧が上昇する。そこで、過電流検出部28は、OCP/DESATINに入力される電圧(GND2基準)が所定の閾値(例えば0.5[V])に達したとき、ハイサイドスイッチSWHに流れるモータ駆動電流が過電流状態であると判定する。
【0344】
なお、本構成例では、ハイサイドスイッチSWHとして用いられている絶縁ゲートバイポーラトランジスタのコレクタ・エミッタ間電圧を検出することで、モータ駆動電流の検出を行う方式(電圧検出方式)を採用した構成を例に挙げて説明を行ったが、モータ駆動電流の検出方式はこれに限定されるものではなく、例えば、ハイサイドスイッチSWHに流れるモータ駆動電流(或いは、これと同等の挙動を示すミラー電流)をセンス抵抗に流して電圧信号を生成し、これをOCP/DESATIN端子に入力する方式(電流検出方式)を採用しても構わない。
【0345】
OCPタイマ29は、過電流保護動作後の経過時間をカウントする手段である。
【0346】
第1トランス31は、第1半導体チップ10から第2半導体チップ20にスイッチ制御信号S1を伝達するための直流絶縁素子である。第2トランス32は、第1半導体チップ10から第2半導体チップ20にスイッチ制御信号S2を伝達するための直流絶縁素子である。第3トランス33は、第2半導体チップ20から第1半導体チップ10にウォッチドッグ信号S3を伝達するための直流絶縁素子である。第4トランス34は、第2半導体チップ20から第1半導体チップ10にドライバ異常信号S4を伝達するための直流絶縁素子である。
【0347】
このように、第1半導体チップ10と第2半導体チップ20との間で、スイッチ制御信号S1及びS2だけでなく、ウォッチドッグ信号S3やドライバ異常信号S4をやり取りする構成であれば、ハイサイドスイッチSWHのオン/オフ制御だけでなく、種々の保護機能を適切に実現することが可能となる。
【0348】
図27は、トランス31〜34を介した送受信回路部分の詳細図である。本図に示すように、第1半導体チップ10側に設けられる第1送信部11、第2送信部12、第1受信部13、及び、第2受信部14は、いずれもVCC1−GND1間の電源電圧で駆動されるものであり、第2半導体チップ20側に設けられる第3受信部21、第4受信部22、第3送信部23、及び、第4送信部24は、いずれもVCC2−GND2間の電源電圧で駆動されるものである。
【0349】
このような構成であれば、先にも述べた通り、第1半導体チップ10、及び、第2半導体チップ20については、いずれも一般の低耐圧プロセス(数[V]耐圧〜数十[V]耐圧)で作成することが可能となるので、専用の高耐圧プロセス(数[kV]耐圧)を用いる必要がなくなり、製造コストを低減することが可能となる。
【0350】
なお、
図27では、第1受信部13、第2受信部14、第3受信部21、及び、第4受信部22のいずれについても、ヒステリシス特性を有するコンパレータを用いた構成が描写されているが、ヒステリシス特性の有無については任意である。
【0351】
上記構成から成るスイッチ制御装置1の諸機能の詳細について、総括的に説明する。
【0352】
[UVLO1(コントローラ側低電圧時誤動作防止機能)]
スイッチ制御装置1は、コントローラ側電源電圧(VCC1−GND1間電圧)が所定の下側閾値電圧V
UVLO1L以下になると、ハイサイドスイッチSWHをオフとし、FLT端子をローレベルとする。一方、スイッチ制御装置1は、コントローラ側電源電圧(VCC1−GND1間電圧)が所定の上側閾値電圧V
UVLO1H以上になると、通常動作を開始し、FLT端子をオープン(ハイレベル)とする。
【0353】
[UVLO2(ドライバ側低電圧時誤動作防止機能)]
スイッチ制御装置1は、ドライバ側電源電圧(VCC2−GND2間電圧)が所定の下側閾値電圧V
UVLO2L以下になると、ハイサイドスイッチSWHをオフとし、OCPOUT端子をローレベルとする。一方、スイッチ制御装置1は、ドライバ側電源電圧(VCC2−GND2間電圧)が所定の上側閾値電圧V
UVLO2H以上になると通常動作を開始し、OCPOUT端子をオープン(ハイレベル)とする。
【0354】
[アナログエラー入力]
スイッチ制御装置1は、ERRIN端子への入力電圧が所定の閾値電圧V
ERRDET以上になると、ハイサイドスイッチSWHをオフとし、FLT端子をローレベルとする。このような構成とすることにより、スイッチ制御装置1の周辺回路に生じる異常についても、これを監視して適切な保護動作を行うことができるので、例えば、モータ電源の過電圧保護動作に利用することが可能である。なお、上記の閾値電圧
ERRDETには、所定のヒステリシス(V
ERRHYS)を持たせるとよい。
【0355】
[過電流保護]
スイッチ制御装置1は、OCP/DESATIN端子への入力電圧が所定の閾値電圧V
OCDET(対GND2)以上になると、ハイサイドスイッチSWHをオフとし、OCPOUT端子をローレベルとする。
【0356】
[過電流保護自動復帰]
スイッチ制御装置1は、過電流保護動作後、一定時間(t
OCPRLS)経過すると、自動復帰し、OCPOUT端子をオープン(ハイレベル)とする。なお、復帰時間は、スイッチ制御装置1の内部で固定的に設定してもよいし、装置外部から調整可能としてもよい。
【0357】
[ウォッチドッグタイマ]
スイッチ制御装置1は、ECU2から第1半導体チップ10に入力される入力信号INと、第2半導体チップ20から第1半導体チップ10にフィードバックされたウォッチドッグ信号S3とを比較し、両信号の論理が不一致である場合には、ハイサイドスイッチSWHをオフとし、FLT端子をローレベルとする。
【0358】
[保護動作時スローオフ]
スイッチ制御装置1は、過電流保護動作時、PROOUT端子をローレベルとし、OUT端子をオープンとする。このような制御により、ハイサイドスイッチSWHをゆっくりとオフすることが可能となる。なお、オフ時のスルーレートは、外付けの抵抗R5の抵抗値を適宜選択することによって任意に調整することが可能である。
【0359】
[アクティブミラークランプ]
スイッチ制御装置1は、ハイサイドスイッチSWHのゲート電位が所定の閾値電圧V
AMC以下になったとき、CLAMP端子をLとする。このような制御により、ハイサイドスイッチSWHを確実にオフすることが可能となる。
【0360】
[ショートサーキットクランプ]
スイッチ制御装置1は、CLAMP端子の印加電圧がVCC2−V
SCC以上になると、CLAMP端子をハイレベルとする。このような制御により、ハイサイドスイッチSWHのゲート電位が第2電源電圧VCC2よりも上昇してしまうことがなくなる。
【0361】
図28は、端子配置及びパッケージ内におけるチップ配列の一例を示す模式図である。
図28に示すように、本構成例のスイッチ制御装置1において、パッケージは、相対する2辺にそれぞれ複数のピンが配列されるものであり、第1半導体チップ10、第2半導体チップ20、及び、第3半導体チップ30は、前記ピンの配列方向に対して垂直(紙面の横方向)に並べられている。
【0362】
このようなチップ配列を採用することにより、第1半導体チップ10に接続されるピン11〜20と第2半導体チップ20に接続されるピン1〜10を相対する2辺に分配して配列することができるので、ピン間隔を最小限に維持したまま、ピン11〜20とピン1〜10との短絡を防止することが可能となる。
【0363】
また、
図28で示すように、本構成例のスイッチ制御装置1において、第1半導体チップ10及び第3半導体チップ30は、第1アイランド40上に搭載されており、第2半導体チップ20は、第2アイランド50上に搭載されている。このような構成とすることにより、第1アイランド40を低圧側アイランド(GND1固定)、第2アイランド50を高圧側アイランド(VEE2固定)というように、互いに電源系を分離して用いることが可能となる。なお、第1アイランド40と第2アイランド50は、いずれも非磁性素材(例えば銅)から成るが、磁性素材(例えば鉄)を用いても構わない。
【0364】
図29は、外部端子の説明テーブルである。ピン1(NC)はノンコネクション端子である。ピン2(VEE2)は負電源端子(例えば、最低:−15V)である。ピン3(GND2)はGND端子であり、スイッチ制御装置1の外部において絶縁ゲートバイポーラトランジスタTr1のエミッタに接続される。ピン4(OCP/DESATIN)は過電流検出端子である。ピン5(OUT)は出力端子である。ピン6(VCC2)は正電源端子(例えば、最高:30V)である。ピン7(CLAMP)はクランプ端子である。ピン8(PROOUT)はスローOFF出力端子である。ピン9(VEE2)は負電源端子である。ピン10(NC)はノンコネクション端子である。ピン11(GND1)はGND端子である。ピン12(IN)は制御入力端子である。ピン13(RST)はリセット入力端子である。ピン14(FLT)は第1状態信号(コントローラチップ側の異常状態検出信号)の出力端子である。ピン15(OCPOUT)は第2状態信号(ドライバチップ側の異常状態検出信号)の出力端子である。ピン16(ERRIN)はエラー検出端子である。ピン17(VCC1)は電源端子(例えば5V)である。ピン18(NC)及びピン19(NC)はいずれもノンコネクション端子である。ピン20(GND1)はGND端子である。
【0365】
図30は、スイッチ制御装置1の電気的特性テーブルである。なお、本テーブル中の数値は、特に指定のない限り、Ta=25℃、VCC1=5V、VCC2=20V、VEE2=−8Vとした場合の数値である。
【0366】
次に、第3半導体チップ30におけるトランス配列について、
図31及び
図32を参照しながら詳細に説明する。
図31は、トランス31〜34のレイアウト例を示す模式図であり、
図32は、トランス31の縦構造を示すチップ断面図である。
【0367】
第1トランス31を形成する一次側コイルL11の一端には、パッドa1及びb1が接続されており、一次側コイルL11の他端には、パッドc1及びd1が接続されている。第2トランス32を形成する一次側コイルL21の一端には、パッドa2及びb2が接続されており、一次側コイルL21の他端には、パッドc1及びd1が接続されている。
【0368】
第3トランス33を形成する二次側コイルL32の一端には、パッドa3及びb3が接続されており、二次側コイルL32の他端には、パッドc2及びd2が接続されている。第4トランス34を形成する二次側コイルL42の一端には、パッドa4及びb4が接続されており、二次側コイルL42の他端には、パッドc2及びd2が接続されている。
【0369】
なお、第1トランス31を形成する二次側コイルL12、第2トランス32を形成する二次側コイルL22、第3トランス33を形成する一次側コイルL31、及び、第4トランス34を形成する一次側コイルL41については、
図32に二次側コイルL12の一部が描写されている以外、いずれも
図31及び
図32に明示されていないが、基本的には、上記と同様の構成を有している。
【0370】
すなわち、第1トランス31を形成する二次側コイルL12の一端には、パッドa5及びb5が接続されており、二次側コイルL12の他端には、パッドc3及びd3が接続されている。第2トランス32を形成する二次側コイルL22の一端には、パッドa6及びb6が接続されており、二次側コイルL22の他端には、パッドc3及びd3が接続されている。
【0371】
第3トランス33を形成する一次側コイルL31の一端には、パッドa7及びb7が接続されており、一次側コイルL31の他端には、パッドc4及びd4が接続されている。第4トランス34を形成する一次側コイルL41の一端には、パッドa8及びb8が接続されており、一次側コイルL41の他端には、パッドc4及びd4が接続されている。
【0372】
ただし、上記のパッドa5〜a8、パッドb5〜b8、パッドc3及びc4、並びにパッドd3及びd4については、不図示のビアを介して第3半導体チップ30の内部から表面まで引き出されている。
【0373】
上記複数のパッドのうち、パッドa1〜a8は、それぞれ、第1の電流供給用パッドX11aに相当するものであり、パッドb1〜b8は、それぞれ、第1の電圧測定用パッドX11bに相当するものである。また、パッドc1〜c4は、それぞれ、第2の電流供給用パッドX12aに相当するものであり、パッドd1〜d4は、それぞれ、第2の電圧測定用パッドX12bに相当するものである。
【0374】
従って、本構成例の第3半導体チップ30であれば、
図23で説明した不良品検査を実施し、各コイルの直列抵抗成分を正確に測定することができるので、各コイルの断線が生じている不良品をリジェクトすることはもちろん、各コイルの抵抗値異常(例えば、巻線同士の中途短絡)が生じている不良品についても、これを適切にリジェクトすることが可能となり、不良品の市場流出を未然に防止することが可能となる。
【0375】
なお、上記の不良品検査を通過した第3半導体チップ30については、上記複数のパッドを第1半導体チップ10及び第2半導体チップ20との接続用に用いればよい。
【0376】
具体的に述べると、パッドa1及びb1は、第1送信部11の信号出力端に接続すればよく、パッドa2及びb2は、第2送信部12の信号出力端に接続すればよい。また、パッドc1及びd1は、を第1半導体チップ10側のコモン電圧印加端(GND1)に接続すればよい。
【0377】
また、パッドa3及びb3は、第1受信部13の信号入力端に接続すればよく、パッドa4及びb4は、第2受信部14の信号入力端に接続すればよい。また、パッドc2及びd2は、第1半導体チップ10側のコモン電圧印加端(GND1)に接続すればよい。
【0378】
一方、パッドa5及びb5は、第3受信部21の信号入力端に接続すればよく、パッドa6及びb6は、第4受信部22の信号入力端に接続すればよい。また、パッドc3及びd3は、第2半導体チップ20側のコモン電圧印加端(GND2)に接続すればよい。
【0379】
また、パッドa7及びb7は、第3送信部23の信号出力端に接続すればよく、パッドa8及びb8は、第4送信部24の信号出力端に接続すればよい。また、パッドc4及びd4は、を第2半導体チップ20側のコモン電圧印加端(GND2)に接続すればよい。
【0380】
ここで、第1トランス31〜第4トランス34は、
図31に示すように、各々の信号伝達方向毎にカップリングして並べられている。より具体的に述べると、第1半導体チップ10から第2半導体チップ20に向けて信号を伝達する第1トランス31と第2トランス32が第1ガードリング35によって第1のペアとされており、また、第2半導体チップ20から第1半導体チップ10に向けて信号を伝達する第3トランス33と第4トランス34が第2ガードリング36によって第2のペアとされている。
【0381】
このようなカップリングを行った理由は、第1トランス31〜第4トランス34を各々形成する一次側コイルと二次側コイルを第3半導体チップ30の基板上下方向に積み重ねる形で積層形成した場合において、一次側コイルと二次側コイルとの間で耐圧を確保するためである。ただし、第1ガードリング35、及び、第2ガードリング36については、必ずしも必須の構成要素ではない。
【0382】
なお、第1ガードリング35及び第2ガードリング36は、それぞれ、パッドe1及びe2を介して、接地端などの低インピーダンス配線に接続すればよい。
【0383】
また、本構成例の第3半導体チップ30において、パッドc1及びd1は、コイルL11とコイルL21との間で共有されている。また、パッドc2及びd2は、コイルL32とコイルL42との間で共有されている。また、パッドc3及びd3は、コイルL12とコイルL22との間で共有されている。また、パッドc4及びd4は、コイルL31とコイルL41との間で共有されている。このような構成とすることにより、パッド数を削減して、第3半導体チップ30の小型化を図ることが可能となる。
【0384】
また、
図31に示したように、第1トランス31〜第4トランス34を各々形成する一次側コイルと二次側コイルは、チップ正面から見たときに長方形状となるように巻き回すことが望ましい。このような構成とすることにより、一次側コイルと二次側コイルが互いに重複する部分の面積が大きくなり、トランスの伝達効率を高めることが可能となる。
【0385】
なお、上記の実施形態では、ハイブリッド自動車に搭載されるモータ駆動装置に本発明を適用した構成を例に挙げて説明を行ったが、本発明の適用対象はこれに限定されるものではなく、チップ上にコイルを集積化した半導体装置全般に適用することが可能である。
【0386】
また、本発明の構成は、上記実施形態のほか、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。
【0387】
例えば、半導体装置のレイアウトに関して、コイルの個数、形状、配置や、パッドの配置は任意である。
【0388】
<第3の技術的特徴について>
以下では、本発明に係る信号伝達装置を用いたモータ駆動装置(特に、高電圧を用いるハイブリッド自動車に搭載されるモータ駆動用IC)を例に挙げて詳細な説明を行う。なお、本発明に係る信号伝達装置が搭載されるモータ駆動装置の全体的な構成や動作については、先出の
図26〜
図30を参照しながら既に説明した通りであるため、以下では、重複した説明を割愛し、信号伝達装置の構成及び動作について重点的な説明を行う。
【0389】
[信号伝達装置の第1実施形態]
図35は、本発明に係る信号伝達装置の第1実施形態を示す回路ブロック図である。本実施形態の信号伝達装置は、一次側回路の接地電圧GND1と二次側回路の接地電圧GND2とを互いに絶縁させた状態で、一次側回路から二次側回路にスイッチ制御信号S1、S2を伝達するための回路ブロックとして、ロジック部15と、第1送信部11と、第2送信部12と、第1トランス31と、第2トランス32と、第3受信部21と、第4受信部22と、SRフリップフロップFFと、を有する。これらの回路ブロックはいずれも
図26や
図27で先出のものであるが、本実施形態の信号伝達装置においては、ノイズ等に起因する誤動作を回避するために、ロジック部15、並びに、第3受信部21及び第4受信部22の構成に創意工夫が凝らしてある。以下では、その特徴的な構成部分について重点的に説明する。
【0390】
ロジック部15は、インバータ15−1及び15−2と、第1パルス生成部15−3と、第2パルス生成部15−4と、を有している。
【0391】
インバータ15−1の入力端は、入力信号INの入力端に接続されている。インバータ15−1の出力端は、インバータ15−2の入力端に接続される一方、第2パルス生成部15−4の入力端にも接続されている。インバータ15−2の出力端は、第1パルス生成部15−3の入力端に接続されている。
【0392】
第1パルス生成部15−3は、インバータ15−2及び15−3を介して入力される入力信号INのポジティブエッジに応じて、第1トランス駆動信号S1aにN発(ただしN≧2)のパルスを発生させる。なお、第1トランス駆動信号S1aは、第1送信部11を形成するバッファ11−1を介して第1トランス31の一次側巻線に出力される。
【0393】
第2パルス生成部15−4は、インバータ15−2から入力される反転入力信号INBのポジティブエッジ(すなわち、入力信号INのネガティブエッジ)に応じて、第2トランス駆動信号S2aにN発(ただしN≧2)のパルスを発生させる。なお、第2トランス駆動信号S2aは、第2送信部12を形成するバッファ12−1を介して第2トランス32の一次側巻線に出力される。
【0394】
このように、第1実施形態の信号伝達装置において、ロジック部15は、入力信号INがローレベルからハイレベルに変遷するポジティブエッジに応じて第1トランス駆動信号S1aにN発のパルスを連続的に発生させ、入力IN信号がハイレベルからローレベルに変遷するネガティブエッジに応じて第2トランス駆動信号S2aにN発のパルスを連続的に発生させるトランス駆動信号生成部として機能する。
【0395】
第1トランス31は、一次側巻線に入力される第1トランス駆動信号S1aに応じて二次側巻線に第1誘起信号S1bを発生させる。
【0396】
第2トランス32は、一次側巻線に入力される第2トランス駆動信号S2aに応じて二次側巻線に第2誘起信号S2bを発生させる。
【0397】
第3受信部21は、第1誘起信号S1bと所定の閾値電圧とを比較して第1比較信号S1cを生成する第1コンパレータ21−1と、第1比較信号1cにN発のパルスが連続的に発生したことを検出して第1検出信号1dにパルスを発生させる第1パルス検出部21−2と、を有している。
【0398】
第4受信部22は、第2誘起信号S2bと所定の閾値電圧とを比較して第2比較信号S2cを生成する第2コンパレータ22−1と、第2比較信号2cにN発のパルスが連続的に発生したことを検出して第2検出信号2dにパルスを発生させる第2パルス検出部22−2と、を有している。
【0399】
SRフリップフロップFFは、セット入力端(S)に入力される第1検出信号S1dに発生されたパルスに応じて出力信号OUTをローレベルからハイレベルに変遷させ、リセット入力端(R)に入力される第2検出信号S2dに発生されたパルスに応じて出力信号OUTをハイレベルからローレベルに変遷させる。
【0400】
すなわち、先に説明されたスイッチ制御信号S1は、第1トランス駆動信号S1a、第1誘起信号S1b、第1比較信号S1c、及び、第1検出信号S1dという種々の信号形態を取りつつ、ロジック部15からSRフリップフロップFFに伝達される。同様に、先に説明されたスイッチ制御信号S2は、第2トランス駆動信号S2a、第2誘起信号S2b、第2比較信号S2c、及び、第2検出信号S2dという種々の信号形態を取りつつ、ロジック部15からSRフリップフロップFFに伝達される。
【0401】
図36は、第1実施形態の信号伝達装置で実現されるノイズキャンセル動作の一例を示すタイミングチャートであり、上から順に、入力信号IN、第1トランス駆動信号S1a、第1誘起信号S1b、第1比較信号S1c、第2トランス駆動信号S2a、第2誘起信号S2b、第2比較信号S2c、第1検出信号S1d、第2検出信号S2d、及び、出力信号OUTが描写されている。
【0402】
時刻t11において、入力信号INがローレベルからハイレベルに立ち上げられると、第1パルス生成部15−3は、第1トランス駆動信号S1aのパルス駆動を開始する。これに伴い、第1トランス31の二次側巻線には、第1トランス駆動信号S1aに応じた第1誘起信号S1bが発生し、第1コンパレータ21−1から出力される第1比較信号S1cには、第1トランス駆動信号S1aと同数のパルスが発生する。なお、第1パルス検出部21−2は、時刻t11以降、第1比較信号S1cにN発のパルスが連続的に発生されるまで第1検出信号S1dをローレベルに維持する。
【0403】
時刻t12において、第1トランス駆動信号S1aにN発目のパルスが発生され、これに伴って、第1比較信号S1cにN発目のパルスが発生されると、第1パルス検出部21−2は、第1検出信号S1dにパルスを発生させる。SRフリップフロップFFは、このパルスに応じて出力信号OUTをローレベルからハイレベルに立ち上げる。
【0404】
時刻t13において、入力信号INがハイレベルに維持されている状態で、第2誘起信号S2bにノイズが重畳し、第2比較信号S2cに誤パルスが発生した場合を考える。このような場合でも、第2パルス検出部222は、第2比較信号S2cにN発のパルスが連続的に発生されない限り、第2検出信号S2dをローレベルに維持するため、出力信号OUTが意図せずローレベルに立ち下げられることはない。
【0405】
時刻t14において、入力信号INがハイレベルからローレベルに立ち下げられると、第2パルス生成部15−4は、第2トランス駆動信号S2aのパルス駆動を開始する。これに伴い、第2トランス32の二次側巻線には、第2トランス駆動信号S2aに応じた第2誘起信号S2bが発生し、第2コンパレータ22−1から出力される第2比較信号S2cには、第2トランス駆動信号S2aと同数のパルスが発生する。なお、第2パルス検出部22−2は、時刻t14以降、第2比較信号S2cにN発のパルスが連続的に発生されるまで第2検出信号S2dをローレベルに維持する。
【0406】
時刻t15において、第2トランス駆動信号S2aにN発目のパルスが発生され、これに伴って、第2比較信号S2cにN発目のパルスが発生されると、第2パルス検出部22−2は、第2検出信号S2dにパルスを発生させる。SRフリップフロップFFは、このパルスに応じて出力信号OUTをハイレベルからローレベルに立ち下げる。
【0407】
時刻t16において、入力信号INがローレベルに維持されている状態で、第1誘起信号S1bにノイズが重畳し、第1比較信号S1cに誤パルスが発生した場合を考える。このような場合でも、第1パルス検出部21−2は、第1比較信号S1cにN発のパルスが連続的に発生されない限り、第1検出信号S1dをローレベルに維持するため、出力信号OUTが意図せずハイレベルに立ち下げられることはない。
【0408】
このように、一次側回路で生成されるトランス駆動信号にN発のパルスを連続的に生じさせ、二次側回路で生成される比較信号にN発のパルスが連続的に生じたときだけ出力信号OUTの論理レベルを変遷させる構成であれば、トランスがノイズの影響を受けて誤パルスを生じた場合であっても、その発生数が(N−1)回までであれば、出力信号OUTに意図しない論理変遷を生じさせずに済む。従って、ハイサイドスイッチSWHの誤オン/誤オフをなくして、ハイサイドスイッチSWHやローサイドスイッチSWLとして用いられるパワートランジスタの破壊を未然に防止することが可能となる。
【0409】
なお、第1実施形態の信号伝達装置では、ノイズに起因する誤パルスが発生しても、正常時のNパルスカウント動作に影響がないように、第1パルス検出部21−2及び第2パルス検出部22−2の構成に何らかの対策(1発目のパルスを検出してから所定期間内にN発目のパルスが検出されなければ、それまでの検出結果をリセットするなど)を施しておく必要がある点に留意すべきである。
【0410】
ただし、上記の対策を施したとしても、入力信号INのパルスエッジ近傍でトランスにノイズが重畳すると、誤パルスと正当パルスを区別することができなくなり、誤パルスのカウント値を正当パルスのカウント値に含めてしまうため、入力信号INの論理レベルに変遷が生じてから出力信号OUTの論理レベルに変遷が生じるまでの所要時間にバラツキが生じて、出力信号OUTのジッタ成分が大きくなるという問題が稀ながらも生じ得る。
【0411】
そこで、以下では、上記の問題を解消すべく、本発明に係る信号伝達装置の第2実施形態を提案する。
【0412】
[信号伝達装置の第2実施形態]
図37は、本発明に係る信号伝達装置の第2実施形態を示す回路ブロック図である。本実施形態の信号伝達装置は、基本的に先出の第1実施形態と同様の構成であるが、トランス31及び32が近接して配置されている場合には、第1誘起信号S1b及び第2誘起信号S2bの両方に同一のノイズが発生するであろうという想定の下、ロジック部15、並びに、第3受信部21及び第4受信部22の内部構成に変更が加えられている。そこで、以下では、上記の変更部分について重点的な説明を行う。
【0413】
ロジック部15は、パルス生成部15−5と、パルスカウンタ15−6と、エッジ検出部15−7と、パルス分配部15−8と、を有している。
【0414】
パルス生成部15−5は、所定周波数のパルス信号SBを生成し、これをパルスカウンタ15−6とパルス分配部15−8に各々出力する。なお、パルス生成部15−5には、エッジ検出部15−7からエッジ検出信号SAが入力されており、このエッジ検出信号SAがハイレベルとされたときにその駆動が開始される。また、パルス生成部15−5には、パルスカウンタ15−6からカウンタ出力信号SCが入力されており、このカウンタ出力信号SCがローレベルとされたときにその駆動が停止される。
【0415】
パルスカウンタ15−6は、パルス信号SBのパルス数をカウントし、そのカウント値がNに達するまでカウンタ出力信号SCをハイレベルに維持し、そのカウント値がNに達したときにカウンタ出力信号SCをハイレベルからローレベルに変遷させる。なお、パルスカウンタ15−6には、エッジ検出部15−7からエッジ検出信号SAが入力されており、このエッジ検出信号SAがハイレベルとされたときに、そのカウント値がリセットされる。
【0416】
エッジ検出部15−7は、入力信号INのパルスエッジを検出したときに、エッジ検出信号SAにパルスを発生させる。具体的に述べると、入力信号INがローレベルからハイレベルに立ち上げられたとき、逆に、ハイレベルからローレベルに立ち下げられたとき、いずれの場合においても、エッジ検出信号SAは、それまでのローレベルから所定期間だけハイレベルに立ち上げられ、その後、再びローレベルに立ち下げられる。
【0417】
パルス分配部15−8は、入力信号INの論理レベルに応じて、パルス信号SBを第1トランス駆動信号S1a及び第2トランス駆動信号S2bのいずれか一方として分配する。具体的に述べると、入力信号INがハイレベルである場合、パルス分配部15−8は、パルス信号SBを第1トランス駆動信号S1aとして出力し、第2トランス駆動信号S2aをローレベルに維持する。逆に、入力信号INがローレベルである場合、パルス分配部15−8は、パルス信号SBを第2トランス駆動信号S2aとして出力し、第1トランス駆動信号S1aをローレベルに維持する。
【0418】
図38は、トランス駆動信号S1a及びS2aの第1生成動作を示すタイミングチャートであり、上から順に、入力信号IN、エッジ検出信号SA、パルス信号SB、カウンタ出力信号SC、第1トランス駆動信号S1a、及び、第2トランス駆動信号S2aが描写されている。
【0419】
時刻t21において、入力信号INがローレベルからハイレベルに立ち上げられると、エッジ検出部157は、エッジ検出信号SAをそれまでのローレベルからハイレベルに立ち上げ、その後、再びローレベルに立ち下げる。パルス生成部15−5は、エッジ検出信号SAがハイレベルとされたときにその駆動を開始し、時刻t21の時点から遅滞なくパルス信号SBを出力し始める。パルスカウンタ15−6は、エッジ検出信号SAがハイレベルとされたときにそのカウント値がリセットされ、パルス信号SBのパルス数を一から数え始める。また、パルスカウンタ15−6のカウント値がリセットされたことに伴い、カウンタ出力信号SCはローレベルからハイレベルに立ち上げられており、時刻t21以降、パルス信号SBのパルス数がNに達するまで、カウンタ出力信号SCはハイレベルに維持される。パルス分配部15−8は、時刻t21以降、入力信号INがハイレベルとされている間、パルス信号SBを第1トランス駆動信号S1aとして出力し、第2トランス駆動信号S2aをローレベルに維持する。
【0420】
時刻t22において、パルス信号SBのパルス数がNに達すると、パルスカウンタ15−6は、カウンタ出力信号SCをハイレベルからローレベルに立ち下げ、これを受けたパルス生成部15−5は、その駆動を停止する。従って、時刻t22以降、入力信号INがローレベルに立ち下げられるまでの間、第1トランス駆動信号S1a及び第2トランス駆動信号S2aは、いずれもローレベルに維持された状態となる。
【0421】
時刻t23において、入力信号INがハイレベルからローレベルに立ち下げられると、エッジ検出部15−7は、エッジ検出信号SAをそれまでのローレベルからハイレベルに立ち上げ、その後、再びローレベルに立ち下げる。パルス生成部15−5は、エッジ検出信号SAがハイレベルとされたときにその駆動を開始し、時刻t23の時点から遅滞なくパルス信号SBを出力し始める。パルスカウンタ15−6は、エッジ検出信号SAがハイレベルとされたときにそのカウント値がリセットされ、パルス信号SBのパルス数を一から数え始める。また、パルスカウンタ15−6のカウント値がリセットされたことに伴い、カウンタ出力信号SCはローレベルからハイレベルに立ち上げられており、時刻t23以降、パルス信号SBのパルス数がNに達するまで、カウンタ出力信号SCはハイレベルに維持される。パルス分配部15−8は、時刻t23以降、入力信号INがローレベルとされている間、パルス信号SBを第2トランス駆動信号S2aとして出力し、第1トランス駆動信号S1aをローレベルに維持する。
【0422】
時刻t24において、パルス信号SBのパルス数がNに達すると、パルスカウンタ15−6は、カウンタ出力信号SCをハイレベルからローレベルに立ち下げ、これを受けたパルス生成部15−5はその駆動を停止する。従って、時刻t24以降、入力信号INがハイレベルに立ち上げられるまでの間、第1トランス駆動信号S1a及び第2トランス駆動信号S2aは、いずれもローレベルに維持された状態となる。
【0423】
このように、第2実施形態の信号伝達装置においても、ロジック部15は、入力信号INがローレベルからハイレベルに変遷するポジティブエッジに応じて第1トランス駆動信号S1aにN発のパルスを連続的に発生させ、入力IN信号がハイレベルからローレベルに変遷するネガティブエッジに応じて第2トランス駆動信号S2aにN発のパルスを連続的に発生させるトランス駆動信号生成部として機能する。この点については、先述の第1実施形態と同様である。
【0424】
図37に戻り、第3受信部21及び第4受信部22の内部構成についての説明を行う。
【0425】
第3受信部21は、第1コンパレータ21−1と、第1カウンタ21−3を有している。第1カウンタ21−3は、第1比較信号S1cに発生されたパルス数をカウントして、そのカウント値がNに達したときに第1検出信号S1dにパルスを発生させる回路ブロックである。また、第1カウンタ21−3は、第2比較信号S2cに発生されたパルスによってカウント値がリセットされる構成とされている。この作用効果については、後ほど説明する。
【0426】
第4受信部22は、第2コンパレータ22−1と、第2カウンタ22−3を有している。第2カウンタ22−3は、第2比較信号S2cに発生されたパルス数をカウントして、そのカウント値がNに達したときに第2検出信号S2dにパルスを発生させる回路ブロックである。また、第2カウンタ22−3は、第1比較信号S1cに発生されたパルスによってカウント値がリセットされる構成とされている。この作用効果については、後ほど説明する。
【0427】
このように、第2実施形態では、第1実施形態で挙げられた第1パルス検出部21−2及び第2パルス検出部22−2に各々相当する回路ブロックとして、それぞれ、第1カウンタ21−3及び第2カウンタ22−3が用いられている。
【0428】
図39は、第2実施形態の信号伝達装置で実現されるノイズキャンセル動作の一例を示すタイミングチャートであり、上から順番に、入力信号IN、第1トランス駆動信号S1a、第1誘起信号S1b、第1比較信号S1c、第2トランス駆動信号S2a、第2誘起信号S2b、第2比較信号S2c、第1検出信号S1d、第2検出信号S2d、及び、出力信号OUTが描写されている。
【0429】
時刻t31において、入力信号INがローレベルからハイレベルに立ち上げられると、ロジック部15は、先出の
図38で示した信号生成動作により、第1トランス駆動信号S1aのパルス駆動を開始する。これに伴い、第1トランス31の二次側巻線には、第1トランス駆動信号S1aに応じた第1誘起信号S1bが発生し、第1コンパレータ21−1から出力される第1比較信号S1cには、第1トランス駆動信号S1aと同数のパルスが発生する。なお、第1カウンタ21−3は、時刻t31以降、第1比較信号S1cのパルス数がNに達するまで、第1検出信号S1dをローレベルに維持する。また、時刻t31において、第1比較信号S1cに発生した1発目のパルスにより、第2カウンタ22−3のカウント値がリセットされるので、第2検出信号S2dはハイレベルからローレベルに立ち下げられる。時刻t31以降についても、第1比較信号S1cにパルスが発生する毎に、第2カウンタ22−3のカウント値が逐一リセットされ、第2検出信号S2dがローレベルに維持される。
【0430】
時刻t32において、第1トランス駆動信号S1aにN発目のパルスが発生され、第1比較信号S1cのパルス数がNに達すると、第1カウンタ21−3は、第1検出信号S1dをローレベルからハイレベルに立ち上げる。SRフリップフロップFFは、このポジティブエッジに応じて出力信号OUTをローレベルからハイレベルに立ち上げる。
【0431】
時刻t33において、入力信号INがハイレベルからローレベルに立ち下げられると、ロジック部15は、先出の
図38で示した信号生成動作により、第2トランス駆動信号S2aのパルス駆動を開始する。これに伴い、第2トランス32の二次側巻線には、第2トランス駆動信号S2aに応じた第2誘起信号S2bが発生し、第2コンパレータ22−1から出力される第2比較信号S2cには、第2トランス駆動信号S2aと同数のパルスが発生する。なお、第2カウンタ22−3は、時刻t33以降、第2比較信号S2cのパルス数がNに達するまで、第2検出信号S2dをローレベルに維持する。また、時刻t33において、第2比較信号S2cに発生した1発目のパルスにより、第1カウンタ21−3のカウント値がリセットされるので、第1検出信号S1dはハイレベルからローレベルに立ち下げられる。時刻t33以降についても、第2比較信号S2cにパルスが発生する毎に、第1カウンタ21−3のカウント値が逐一リセットされ、第1検出信号S1dがローレベルに維持される。
【0432】
時刻t34において、第2トランス駆動信号S2aにN発目のパルスが発生され、第2比較信号S2cのパルス数がNに達すると、第2カウンタ22−3は、第2検出信号S2dをローレベルからハイレベルに立ち上げる。SRフリップフロップFFは、このポジティブエッジに応じて出力信号OUTをハイレベルからローレベルに立ち下げる。
【0433】
時刻t35において、入力信号INがローレベルに維持されている状態で、第1誘起信号S1b及び第2誘起信号S2bの両方に同一のノイズが重畳し、第1比較信号S1c及び第2比較信号S2cの両方に誤パルスが発生した場合を考える。このような場合でも、第1カウンタ21−3及び第2カウンタ22−3は、それぞれ、第1比較信号S1c及び第2比較信号S2cのパルス数がNに達しない限り、第1検出信号S1d及び第2検出信号S2dをローレベルに維持するため、出力信号OUTが意図しない論理レベルに変遷することはない。
【0434】
また、第1カウンタ21−3のカウント値は、第2比較信号S2cに発生した誤パルスによってリセットされ、第2カウンタ22−3のカウント値は、第1比較信号S1cに発生した誤パルスによってリセットされる。従って、時刻t36において、入力信号INがローレベルからハイレベルに立ち上げられた際、仮にその直前でトランスにノイズが重畳した場合(すなわち、時刻t35と時刻t36が時間的に近接している場合)であっても、第1カウンタ21−3では、上記ノイズに起因して発生する誤パルスをカウント値に含めることなく、正常な信号伝達動作に伴って第1比較信号S1cに発生する正当パルスの数のみを一から数え始めることができるので、N発目のパルスが検出されるタイミングにバラツキを生じることなく、出力信号OUTのジッタ特性を良好に維持することが可能となる。
【0435】
なお、
図39では、入力信号INがローレベルに維持されている状態でノイズが重畳した場合を例に挙げて説明を行ったが、これとは逆に、入力信号INがハイレベルに維持されている状態(例えば時刻t32と時刻t33との間)でノイズが重畳した場合については、第2カウンタ22−3のカウント値が第1比較信号S1cに発生した誤パルスによってリセットされていることが奏功し、時刻t33において、入力信号INがハイレベルからローレベルに立ち下げられた際には、第2カウンタ22−3において、上記ノイズに起因して発生する誤パルスをカウント値に含めることなく、正常な信号伝達動作に伴って第2比較信号S2cに発生する正当パルスの数のみを一から数え始めることが可能となる。
【0436】
このように、第2実施形態の信号伝達装置では、第1カウンタ21−3のカウンタ値が第2比較信号S2cに発生されたパルスによってリセットされ、第2カウンタ22−3のカウンタ値が第1比較信号S1cに発生されたパルスによってリセットされるので、第1コンパレータ21−1のみで第1誘起信号S1bがN回連続して検出されるか、或いは、第2コンパレータ22−1のみで第2誘起信号S2bがN回連続して検出されない限り、第1検出信号S1d及び第2検出信号S2dにパルスが発生されることはなく、延いては、出力信号OUTの論理レベルが変遷されることもない。
【0437】
すなわち、第2実施形態の信号伝達装置であれば、一方のトランスのみにN回連続で生成されるパルスを正常な信号伝達動作に伴って発生する正当パルス、両方のトランスに同時に生成されるパルスをノイズに起因して発生する誤パルスとして区別することができるので、誤パルスのカウント値を正当パルスのカウント値に含めずに済む。
【0438】
従って、第2実施形態の信号伝達装置であれば、先述の第1実施形態と同様の作用効果を享受し得るだけでなく、入力信号INの論理レベルに変遷が生じてから出力信号OUTの論理レベルに変遷が生じるまでの所要時間を一定に保ち、出力信号OUTのジッタ特性を良好に維持することが可能となる。
【0439】
なお、上記の第1実施形態及び第2実施形態では、いずれも、一次側回路で生成されるトランス駆動信号にN発のパルスを連続的に生じさせ、二次側回路で生成される比較信号にN発のパルスが連続的に生じたときだけ出力信号OUTの論理レベルを変遷させる構成を例に挙げて説明を行ったが、本発明の構成はこれに限定されるものではなく、一次側回路で生成されるトランス駆動信号については、(N+a)発(ただしN≧2、a≧0)のパルスを連続的に生じさせる構成としても構わない。このような構成とすることにより、二次側回路でのパルス検出動作に冗長性を持たせることができるので(a=0では冗長性なし)、信号伝達動作の安定性を高めることが可能となる。
【0440】
ただし、第1トランス駆動信号S1a及び第2トランス駆動信号S2aの生成動作として、先出の
図38で示した第1生成動作を採用した場合、入力信号INの論理レベルが変遷するタイミングによっては、出力信号OUTのジッタ成分が増大する懸念がある。この懸念について、
図40A及び
図40Bを比較参照しながら説明する。
【0441】
図40A及び
図40Bは、いずれも、出力ジッタの発生理由を説明するためのタイミングチャートであり、上から順に、入力信号IN、エッジ検出信号SA、パルス信号SB、カウンタ出力信号SC、第1トランス駆動信号S1a、第1誘起信号S1b、第1比較信号S1c、第2トランス駆動信号S2a、第2誘起信号S2b、第2比較信号S2c、第1検出信号S1d、第2検出信号S2d、及び、出力信号OUTが描写されている。
【0442】
まず、
図40Aを参照しながら、入力信号INの論理レベルが変遷する直前のタイミングで、第1トランス駆動信号S1aに(N+b)発目(ただし0≦b≦a)のパルスが発生されている場合について説明する。
【0443】
時刻t41において、入力信号INがローレベルからハイレベルに立ち上げられると、エッジ検出部15−7は、エッジ検出信号SAをそれまでのローレベルからハイレベルに立ち上げ、その後、再びローレベルに立ち下げる。パルス生成部15−5は、エッジ検出信号SAがハイレベルとされたときにその駆動を開始し、時刻t41の時点から遅滞なくパルス信号SBを出力し始める。パルスカウンタ15−6は、エッジ検出信号SAがハイレベルとされたときにそのカウント値がリセットされ、パルス信号SBのパルス数を一から数え始める。また、パルスカウンタ15−6のカウント値がリセットされたことに伴い、カウンタ出力信号SCはローレベルからハイレベルに立ち上げられており、時刻t41以降、パルス信号SBのパルス数が(N+a)に達するまで、カウンタ出力信号SCはハイレベルに維持される。パルス分配部15−8は、時刻t41以降、入力信号INがハイレベルとされている間、パルス信号SBを第1トランス駆動信号S1aとして出力し、第2トランス駆動信号S2aをローレベルに維持する。
【0444】
上記の信号生成動作により、時刻t41において、ロジック部15は第1トランス駆動信号S1aのパルス駆動を開始する。これに伴い、第1トランス31の二次側巻線には、第1トランス駆動信号S1aに応じた第1誘起信号S1bが発生し、第1コンパレータ21−1から出力される第1比較信号S1cには、第1トランス駆動信号S1aと同数のパルスが発生する。なお、第1カウンタ21−3は、時刻t41以降、第1比較信号S1cのパルス数がNに達するまで、第1検出信号S1dをローレベルに維持する。また、時刻t41において、第1比較信号S1cに発生した1発目のパルスにより、第2カウンタ22−3のカウント値がリセットされるので、第2検出信号S2dはハイレベルからローレベルに立ち下げられる。時刻t41以降についても、第1比較信号S1cにパルスが発生する毎に、第2カウンタ22−3のカウント値が逐一リセットされ、第2検出信号S2dがローレベルに維持される。
【0445】
時刻t42において、第1トランス駆動信号S1aにN発目のパルスが発生され、第1比較信号S1cのパルス数がNに達すると、第1カウンタ21−3は、第1検出信号S1dをローレベルからハイレベルに立ち上げる。SRフリップフロップFFは、このポジティブエッジに応じて出力信号OUTをローレベルからハイレベルに立ち上げる。
【0446】
一方、パルスカウンタ15−6は、パルス信号SBのパルス数が(N+a)に達するまでカウンタ出力信号SCをハイレベルに維持する。従って、パルス生成部15−5におけるパルス信号SB(延いては第1トランス駆動信号S1a)の生成が継続される。
【0447】
その後、時刻t43において、入力信号INがハイレベルからローレベルに立ち下げられると、エッジ検出部15−7は、エッジ検出信号SAをそれまでのローレベルからハイレベルに立ち上げ、その後、再びローレベルに立ち下げる。パルス生成部15−5は、エッジ検出信号SAがハイレベルとされた時点で(N+b)発目以降のパルス生成を中断し、新たに1発目からパルス生成を開始する。パルスカウンタ15−6は、エッジ検出信号SAがハイレベルとされたときにそのカウント値がリセットされ、パルス信号SBのパルス数を一から数え始める。また、パルスカウンタ15−6のカウント値がリセットされたことに伴い、時刻t43以降、パルス信号SBのパルス数が(N+a)に達するまで、カウンタ出力信号SCはハイレベルに維持される。パルス分配部15−8は、時刻t43以降、入力信号INがローレベルとされている間、パルス信号SBを第2トランス駆動信号S2aとして出力し、第1トランス駆動信号S1aをローレベルに維持する。
【0448】
上記の信号生成動作により、時刻t43において、ロジック部15は第2トランス駆動信号S2aのパルス駆動を開始する。これに伴い、第2トランス32の二次側巻線には、第2トランス駆動信号S2aに応じた第2誘起信号S2bが発生し、第2コンパレータ22−1から出力される第2比較信号S2cには、第2トランス駆動信号S2aと同数のパルスが発生する。なお、第2カウンタ22−3は、時刻t43以降、第2比較信号S2cのパルス数がNに達するまで、第2検出信号S2dをローレベルに維持する。また、時刻t43において、第2比較信号S2cに発生した1発目のパルスにより、第1カウンタ21−3のカウント値がリセットされるので、第1検出信号S1dはハイレベルからローレベルに立ち下げられる。時刻t43以降についても、第2比較信号S2cにパルスが発生する毎に、第1カウンタ21−3のカウント値が逐一リセットされ、第1検出信号S1dがローレベルに維持される。
【0449】
ここで問題となるのは、入力信号INがハイレベルからローレベルに立ち下げられる直前のタイミングで、第1トランス駆動信号S1aに(N+b)発目のパルスが発生されている点である。この場合、第1トランス駆動信号S1aに発生された(N+b)発目のパルスに応じて第1比較信号S1cにも(N+b)発目のパルスが発生され、このパルスによって第2カウンタ22−3のカウント値をリセットする形となるが、第1コンパレータ21−1の応答能力によっては、第1誘起信号S1bに現れるパルスが消滅した後も、しばらくの間、第1比較信号S1cがハイレベルに維持されることがある。
【0450】
上記の現象により、時刻t43以降も第1比較信号S1cがハイレベルに維持されていた場合、第2カウンタ22−3のリセット状態が解消されないため、第2カウンタ22−3では、時刻t43以降、第2比較信号S2cに発生される1発目のパルスをカウントすることができなくなる。
【0451】
その結果、時刻t44において、第2トランス駆動信号S2aにN発目のパルスが発生され、これに応じたパルスが第2比較信号S2cに生じても、第2カウンタ22−3のカウント値は(N−1)となるため、第2検出信号S2dがローレベルに維持されてしまい、SRフリップフロップFFで生成される出力信号OUTは、ハイレベルのままとなる。
【0452】
時刻t45において、第2トランス駆動信号S2aに(N+1)発目のパルスが発生され、これに応じたパルスが第2比較信号S2cに生じると、第2カウンタ22−3のカウント値がNとなり、第2検出信号S2dがローレベルからハイレベルに立ち上げられる。従って、SRフリップフロップFFでは、このポジティブエッジに応じて出力信号OUTがハイレベルからローレベルに立ち下げられる。
【0453】
その後、時刻t46において、パルス信号SBのパルス数が(N+a)に達すると、パルスカウンタ15−6は、カウンタ出力信号SCをハイレベルからローレベルに立ち下げ、これを受けたパルス生成部15−5は、その駆動を停止する。従って、時刻t46以降、入力信号INがハイレベルに立ち上げられるまでの間、第1トランス駆動信号S1a及び第2トランス駆動信号S2aは、いずれもローレベルに維持された状態となる。
【0454】
このように、
図40Aの場合、実質的には、第2比較信号S2cに(N+1)発目のパルスが発生されるまで、出力信号OUTをハイレベルからローレベルに立ち下げることができない状態となる。
【0455】
次に、
図40Bを参照しながら、入力信号INの論理レベルが変遷する直前のタイミングで、第1トランス駆動信号S1aに(N+b)発目のパルスが発生されていない場合について説明する。
【0456】
この場合でも、第1トランス駆動信号S1aに発生された(N+b)発目のパルスに応じて第1比較信号S1cに(N+b)発目のパルスが発生され、このパルスによって第2カウンタ22−3のカウント値をリセットする形となる点については、
図40Aと同様である。また、第1コンパレータ21−1の応答能力によっては、第1誘起信号S1bに現れるパルスが消滅した後も、しばらくの間、第1比較信号S1cがハイレベルに維持されることがある点についても、
図40Aと同様である。
【0457】
図40Aと異なるのは、第1比較信号S1cが時刻t43よりも前にローレベルに戻っており、第2カウンタ22−3のリセット状態が解消されている点である。このような状態で入力信号INがハイレベルからローレベルに立ち下げられた場合、第2カウンタ22−3では、時刻t43以降、第2比較信号S2cに発生される1発目のパルスを適切にカウントすることが可能となる。
【0458】
その結果、時刻t44において、第2トランス駆動信号S2aにN発目のパルスが発生され、これに応じたパルスが第2比較信号S2cに生じた時点で、第2カウンタ22−3のカウント値がNとなり、第2検出信号S2dがローレベルからハイレベルに立ち上げられる。従って、SRフリップフロップFFでは、このポジティブエッジに応じて出力信号OUTがハイレベルからローレベルに立ち下げられる。
【0459】
その後、時刻t46において、パルス信号SBのパルス数が(N+a)に達すると、パルスカウンタ15−6は、カウンタ出力信号SCをハイレベルからローレベルに立ち下げ、これを受けたパルス生成部15−5は、その駆動を停止する。従って、時刻t46以降、入力信号INがハイレベルに立ち上げられるまでの間、第1トランス駆動信号S1a及び第2トランス駆動信号S2aは、いずれもローレベルに維持された状態となる。
【0460】
このように、
図40Bの場合、第2比較信号S2cにN発目のパルスが発生された時点で、出力信号OUTをハイレベルからローレベルに立ち下げることが可能となる。
【0461】
なお、上記では、出力信号OUTをハイレベルからローレベルに立ち下げる場合を例に挙げて説明を行ったが、これとは逆に、出力信号OUTをローレベルからハイレベルに立ち上げる場合についても、同様であることは言うまでもない。
【0462】
図40A及び
図40Bを比較参照することで分かるように、先出の
図38で示した第1生成動作を採用した場合、入力信号INの論理レベルが変遷するタイミングによっては、出力信号OUTの論理レベルを変遷させるタイミングがずれてしまい、出力信号OUTのジッタ成分が増大する懸念がある。
【0463】
このような不具合を解消するためには、第1トランス駆動信号S1a及び第2トランス駆動信号S2aの生成動作として、
図38で示した第1生成動作ではなく、
図41で示した第2生成動作を採用することが望ましい。
【0464】
図41は、第1トランス駆動信号S1a及び第2トランス駆動信号S2aの第2生成動作を示すタイミングチャートであり、上から順に、入力信号IN、エッジ検出信号SA、パルス信号SB、カウンタ出力信号SC、第1トランス駆動信号S1a、及び、第2トランス駆動信号S2aが描写されている。
【0465】
時刻t51において、入力信号INがローレベルからハイレベルに立ち上げられると、エッジ検出部15−7は、エッジ検出信号SAをローレベルからハイレベルに立ち上げる。パルス生成部15−5は、エッジ検出信号SAがハイレベルとされたときにその駆動を開始するが、時刻t51の時点でパルス信号SBを出力し始めるのではなく、所定時間Twaitが経過するまでの間(ここでは、エッジ検出信号SAがハイレベルに維持されている間)パルス信号SBを生成しない。パルスカウンタ15−6は、エッジ検出信号SAがハイレベルとされたときにそのカウント値がリセットされ、パルス信号SBのパルス数を一から数え始める。また、パルスカウンタ15−6のカウント値がリセットされたことに伴い、カウンタ出力信号SCはローレベルからハイレベルに立ち上げられており、時刻t51以降、パルス信号SBのパルス数が(N+a)に達するまで、カウンタ出力信号SCはハイレベルに維持される。パルス分配部15−8は、時刻t51以降、入力信号INがハイレベルとされている間、パルス信号SBを第1トランス駆動信号S1aとして出力し、第2トランス駆動信号S2aをローレベルに維持する。
【0466】
時刻t52において、時刻t51から所定時間Twaitが経過すると、エッジ検出部15−7は、エッジ検出信号SAをハイレベルから再びローレベルに立ち下げる。パルス生成部15−5は、エッジ検出信号SAがローレベルとされた時点で遅滞なくパルス信号SBを出力し始める。
【0467】
時刻t53において、パルス信号SBのパルス数がNに達しても、パルスカウンタ15−6は、カウンタ出力信号SCをハイレベルに維持する。従って、パルス生成部15−5におけるパルス信号SBの生成は継続される。
【0468】
時刻t54において、パルス信号SBのパルス数が(N+a)に達すると、パルスカウンタ15−6は、カウンタ出力信号SCをハイレベルからローレベルに立ち下げ、これを受けたパルス生成部15−5はその駆動を停止する。従って、時刻t54以降、入力信号INがローレベルに立ち下げられるまでの間、第1トランス駆動信号S1a及び第2トランス駆動信号S2aは、いずれもローレベルに維持された状態となる。
【0469】
時刻t55において、入力信号INがハイレベルからローレベルに立ち下げられると、エッジ検出部15−7は、エッジ検出信号SAをローレベルからハイレベルに立ち上げる。パルス生成部15−5は、エッジ検出信号SAがハイレベルとされたときにその駆動を開始するが、時刻t55の時点でパルス信号SBを出力し始めるのではなく、所定時間Twaitが経過するまでの間(ここでは、エッジ検出信号SAがハイレベルに維持されている間)パルス信号SBを生成しない。パルスカウンタ15−6は、エッジ検出信号SAがハイレベルとされたときにそのカウント値がリセットされ、パルス信号SBのパルス数を一から数え始める。また、パルスカウンタ15−6のカウント値がリセットされたことに伴い、カウンタ出力信号SCはローレベルからハイレベルに立ち上げられており、時刻t55以降、パルス信号SBのパルス数が(N+a)に達するまで、カウンタ出力信号SCはハイレベルに維持される。パルス分配部15−8は、時刻t55以降、入力信号INがローレベルとされている間、パルス信号SBを第2トランス駆動信号S2aとして出力し、第1トランス駆動信号S1aをローレベルに維持する。
【0470】
時刻t56において、時刻t55から所定時間Twaitが経過すると、エッジ検出部15−7は、エッジ検出信号SAをハイレベルから再びローレベルに立ち下げる。パルス生成部15−5は、エッジ検出信号SAがローレベルとされた時点で遅滞なくパルス信号SBを出力し始める。
【0471】
時刻t57において、パルス信号SBのパルス数がNに達しても、パルスカウンタ15−6は、カウンタ出力信号SCをハイレベルに維持する。従って、パルス生成部15−5におけるパルス信号SBの生成は継続される。
【0472】
時刻t58において、パルス信号SBのパルス数が(N+a)に達すると、パルスカウンタ15−6は、カウンタ出力信号SCをハイレベルからローレベルに立ち下げ、これを受けたパルス生成部15−5はその駆動を停止する。従って、時刻t58以降、入力信号INがハイレベルに立ち上げられるまでの間、第1トランス駆動信号S1a及び第2トランス駆動信号S2aは、いずれもローレベルに維持された状態となる。
【0473】
次に、第1トランス駆動信号S1a及び第2トランス駆動信号S2aの生成動作として
図41で示した第2生成動作を採用したことにより、出力信号OUTのジッタ成分を低減することが可能な理由について、
図42A及び
図42Bを比較参照しながら説明する。
【0474】
図42A及び
図42Bは、いずれも、出力ジッタの解消理由を説明するためのタイミングチャートであり、上から順に、入力信号IN、エッジ検出信号SA、パルス信号SB、カウンタ出力信号SC、第1トランス駆動信号S1a、第1誘起信号S1b、第1比較信号S1c、第2トランス駆動信号S2a、第2誘起信号S2b、第2比較信号S2c、第1検出信号S1d、第2検出信号S2d、及び、出力信号OUTが描写されている。
【0475】
まず、
図42Aを参照しながら、入力信号INの論理レベルが変遷する直前のタイミングで、第1トランス駆動信号S1aに(N+b)発目のパルスが発生されている場合について説明する。
【0476】
時刻t61において、入力信号INがローレベルからハイレベルに立ち上げられると、エッジ検出部15−7は、エッジ検出信号SAをローレベルからハイレベルに立ち上げる。パルス生成部15−5は、エッジ検出信号SAがハイレベルとされたときにその駆動を開始するが、時刻t61の時点でパルス信号SBを出力し始めるのではなく、所定時間Twaitが経過するまでの間(ここでは、エッジ検出信号SAがハイレベルに維持されている間)パルス信号SBを生成しない。パルスカウンタ15−6は、エッジ検出信号SAがハイレベルとされたときにそのカウント値がリセットされ、パルス信号SBのパルス数を一から数え始める。また、パルスカウンタ15−6のカウント値がリセットされたことに伴い、カウンタ出力信号SCはローレベルからハイレベルに立ち上げられており、時刻t61以降、パルス信号SBのパルス数が(N+a)に達するまで、カウンタ出力信号SCはハイレベルに維持される。パルス分配部15−8は、時刻t61以降、入力信号INがハイレベルとされている間、パルス信号SBを第1トランス駆動信号S1aとして出力し、第2トランス駆動信号S2aをローレベルに維持する。
【0477】
上記の信号生成動作により、時刻t62において、ロジック部15は第1トランス駆動信号S1aのパルス駆動を開始する。これに伴い、第1トランス31の二次側巻線には、第1トランス駆動信号S1aに応じた第1誘起信号S1bが発生し、第1コンパレータ21−1から出力される第1比較信号S1cには、第1トランス駆動信号S1aと同数のパルスが発生する。なお、第1カウンタ21−3は、時刻t62以降、第1比較信号S1cのパルス数がNに達するまで、第1検出信号S1dをローレベルに維持する。また、時刻t62において、第1比較信号S1cに発生した1発目のパルスにより、第2カウンタ223のカウント値がリセットされるので、第2検出信号S2dはハイレベルからローレベルに立ち下げられる。時刻t62以降についても、第1比較信号S1cにパルスが発生する毎に、第2カウンタ22−3のカウント値が逐一リセットされ、第2検出信号S2dがローレベルに維持される。
【0478】
時刻t63において、第1トランス駆動信号S1aにN発目のパルスが発生され、第1比較信号S1cのパルス数がNに達すると、第1カウンタ21−3は、第1検出信号S1dをローレベルからハイレベルに立ち上げる。SRフリップフロップFFは、このポジティブエッジに応じて出力信号OUTをローレベルからハイレベルに立ち上げる。
【0479】
一方、パルスカウンタ15−6は、パルス信号SBのパルス数が(N+a)に達するまでカウンタ出力信号SCをハイレベルに維持する。従って、パルス生成部15−5におけるパルス信号SB(延いては第1トランス駆動信号S1a)の生成が継続される。
【0480】
その後、時刻t64において、入力信号INがハイレベルからローレベルに立ち下げられると、エッジ検出部15−7は、エッジ検出信号SAをそれまでのローレベルからハイレベルに立ち上げる。パルス生成部15−5は、エッジ検出信号SAがハイレベルとされた時点で(N+b)発目以降のパルス生成を中断するが、時刻t64の時点で新たなパルス信号SBの出力を開始するのではなく、所定時間Twaitが経過するまでの間(ここではエッジ検出信号SAがハイレベルに維持されている間)パルス信号SBの生成を行わず、時刻t65から改めてパルス信号SBの生成を開始する。パルスカウンタ15−6は、エッジ検出信号SAがハイレベルとされたときにそのカウント値がリセットされ、パルス信号SBのパルス数を一から数え始める。また、パルスカウンタ15−6のカウント値がリセットされたことに伴い、時刻t64以降、パルス信号SBのパルス数が(N+a)に達するまで、カウンタ出力信号SCはハイレベルに維持される。パルス分配部15−8は、時刻t64以降、入力信号INがローレベルとされている間、パルス信号SBを第2トランス駆動信号S2aとして出力し、第1トランス駆動信号S1aをローレベルに維持する。
【0481】
上記の信号生成動作により、時刻t65において、ロジック部15は第2トランス駆動信号S2aのパルス駆動を開始する。これに伴い、第2トランス32の二次側巻線には、第2トランス駆動信号S2aに応じた第2誘起信号S2bが発生し、第2コンパレータ22−1から出力される第2比較信号S2cには、第2トランス駆動信号S2aと同数のパルスが発生する。なお、第2カウンタ22−3は、時刻t65以降、第2比較信号S2cのパルス数がNに達するまで、第2検出信号S2dをローレベルに維持する。また、時刻t65において、第2比較信号S2cに発生した1発目のパルスにより、第1カウンタ21−3のカウント値がリセットされるので、第1検出信号S1dはハイレベルからローレベルに立ち下げられる。時刻t65以降についても、第2比較信号S2cにパルスが発生する毎に、第1カウンタ21−3のカウント値が逐一リセットされ、第1検出信号S1dがローレベルに維持される。
【0482】
ここで、第1トランス駆動信号S1aに発生された(N+b)発目のパルスに応じて第1比較信号S1cに(N+b)発目のパルスが発生され、このパルスによって第2カウンタ22−3のカウント値をリセットする形となる点については、
図40Aと同様である。また、第1コンパレータ21−1の応答能力によっては、第1誘起信号S1bに現れるパルスが消滅した後も、しばらくの間、第1比較信号S1cがハイレベルに維持されることがある点についても、
図40Aと同様である。
【0483】
図40Aと異なるのは、第1比較信号S1cがハイレベルに維持されている間、第2トランス駆動信号S2aにパルスが発生されず、第1比較信号S1cがローレベルに戻り、第2カウンタ22−3のリセット状態が解消されてから、第2トランス駆動信号S2aにパルスが発生され始める点である。
【0484】
このような信号生成動作を採用することにより、入力信号INの論理レベルが変遷する直前のタイミングで、第1トランス駆動信号S1aに(N+b)発目のパルスが発生された場合であっても、第2カウンタ22−3では、時刻t65以降、第2比較信号S2cに発生される1発目のパルスを適切にカウントすることが可能となる。
【0485】
その結果、時刻t66において、第2トランス駆動信号S2aにN発目のパルスが発生され、これに応じたパルスが第2比較信号S2cに生じた時点で、第2カウンタ22−3のカウント値がNとなり、第2検出信号S2dがローレベルからハイレベルに立ち上げられる。従って、SRフリップフロップFFでは、このポジティブエッジに応じて出力信号OUTがハイレベルからローレベルに立ち下げられる。
【0486】
その後、時刻t67において、パルス信号SBのパルス数が(N+a)に達すると、パルスカウンタ15−6は、カウンタ出力信号SCをハイレベルからローレベルに立ち下げ、これを受けたパルス生成部15−5は、その駆動を停止する。従って、時刻t67以降、入力信号INがハイレベルに立ち上げられるまでの間、第1トランス駆動信号S1a及び第2トランス駆動信号S2aは、いずれもローレベルに維持された状態となる。
【0487】
このように、
図42Aの場合、第2比較信号S2cにN発目のパルスが発生された時点で、出力信号OUTをハイレベルからローレベルに立ち下げることが可能となる。
【0488】
次に、
図42Bを参照しながら、入力信号INの論理レベルが変遷する直前のタイミングで、第1トランス駆動信号S1aに(N+b)発目のパルスが発生されていない場合について説明する。
【0489】
図42Aと異なるのは、第1比較信号S1cが時刻t64よりも前にローレベルに戻っており、所定時間Twaitの経過を待たずして、第2カウンタ22−3のリセット状態が解消されている点である。このような状態で入力信号INがハイレベルからローレベルに立ち下げられた場合、第2カウンタ22−3では、時刻t64以降、第2比較信号S2cに発生される1発目のパルスを適切にカウントすることが可能となる。ただし、先にも述べたように、第2トランス駆動信号S2aのパルス駆動が実際に開始されるタイミングは、
図42Aと同様、所定時間Twaitが経過された時刻t65となる。
【0490】
その結果、時刻t66において、第2トランス駆動信号S2aにN発目のパルスが発生され、これに応じたパルスが第2比較信号S2cに生じた時点で、第2カウンタ22−3のカウント値がNとなり、第2検出信号S2dがローレベルからハイレベルに立ち上げられる。従って、SRフリップフロップFFでは、このポジティブエッジに応じて出力信号OUTがハイレベルからローレベルに立ち下げられる。
【0491】
その後、時刻t67において、パルス信号SBのパルス数が(N+a)に達すると、パルスカウンタ15−6は、カウンタ出力信号SCをハイレベルからローレベルに立ち下げ、これを受けたパルス生成部15−5は、その駆動を停止する。従って、時刻t67以降、入力信号INがハイレベルに立ち上げられるまでの間、第1トランス駆動信号S1a及び第2トランス駆動信号S2aは、いずれもローレベルに維持された状態となる。
【0492】
このように、
図42Bの場合でも、
図42Aと同様、第2比較信号S2cにN発目のパルスが発生された時点で、出力信号OUTをハイレベルからローレベルに立ち下げることが可能となる。
【0493】
なお、上記では、出力信号OUTをハイレベルからローレベルに立ち下げる場合を例に挙げて説明を行ったが、これとは逆に、出力信号OUTをローレベルからハイレベルに立ち上げる場合についても、同様であることは言うまでもない。
【0494】
図42A及び
図42Bを比較参照することで分かるように、先出の
図41で示した第2生成動作を採用した場合、入力信号INの論理レベルが変遷するタイミングに依らず、出力信号OUTの論理レベルを変遷させるタイミングを一致させることができるので、出力信号OUTのジッタ成分を低減することが可能となる。
【0495】
なお、上記の実施形態では、本発明に係る信号伝達装置を用いたモータ駆動装置を例に挙げて説明を行ったが、本発明の適用対象はこれに限定されるものではなく、トランスを用いた信号伝達装置全般に適用することが可能である。例えば、本発明をトランスカプラに適用した場合であれば、信号の誤伝送を防止することによって、システムの破綻を回避することが可能となる。
【0496】
また、本発明の構成は、上記実施形態のほか、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。すなわち、上記実施形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきであり、本発明の技術的範囲は、上記実施形態の説明ではなく、特許請求の範囲によって示されるものであり、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内に属する全ての変更が含まれると理解されるべきである。
【0497】
例えば、上記実施形態では、入力信号INがローレベルからハイレベルに立ち上げられたときに、出力信号OUTをローレベルからハイレベルに立ち上げるためのスイッチ制御信号S1と、入力信号INがハイレベルからローレベルに立ち下げられたときに、出力信号OUTをハイレベルからローレベルに立ち下げるためのスイッチ制御信号S2と、をトランス31及び32を用いて個別に伝達する信号伝達装置を例に挙げて説明を行ったが、ノイズ等に起因する誤動作を回避するために、一次側回路で生成されるトランス駆動信号にN発のパルスを連続的に生じさせ、二次側回路で生成される比較信号にN発のパルスが連続的に生じたときだけ出力信号OUTの論理レベルを変遷させるという技術思想については、単一のトランスを用いる信号伝達装置にも適用することが可能である。
【0498】
その場合、本発明が適用された信号伝達装置は、入力信号のパルスエッジに応じてトランス駆動信号に(N+a)発(ただし、N≧2、a≧0)のパルスを発生させるトランス駆動信号生成部と;一次側巻線に入力される前記トランス駆動信号に応じて二次側巻線に誘起信号を発生させるトランスと;前記誘起信号と所定の閾値電圧とを比較して比較信号を生成するコンパレータと;前記比較信号にN発のパルスが発生したことを検出して出力信号にパルスを発生させるパルス検出部と;を有する構成とすればよい。