【解決手段】 本発明では、濾材を有する濾過部と、濾過部を保持し、且つ、濾過部の濾材を流体が通過する流路を形成するホルダと、を備え、濾過部の下流端位置における濾材の孔径は、該濾過部の上流端位置における濾材の孔径より小さいことを特徴とする。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態について、
図1〜
図5を参照しつつ説明する。
【0019】
本実施形態の濾過装置は、液体等の流体を通過させることで該流体に含まれる固形物を濾過(除去又は捕捉)できる。この濾過装置は、例えば、研磨パッドを製造するための材料を精製する材料精製システム(以下、「材料精製システム」と称する。)に組み込まれて使用される。
【0020】
この材料精製システムは、固形の材料を溶融することによって液体の材料を精製する。具体的に、材料精製システムは、
図1に示すように、投入された固形の材料を溶融する溶融装置2と、溶融装置2によって溶融された材料(液体の材料)を均質化する均質化装置3と、均質化装置3によって均質化された液体の材料を材料システム1外に吐出する吐出装置4と、を備える。尚、以下では、固形の材料を固形材料と称し、固形材料が溶融して固体から液体に変化した材料を液体材料と称する場合がある。また、本実施形態の固形材料は、例えば、ペレット状の4,4’−メチレンビス(o−クロロアニリン)(いわゆる、MOCA)である。この固形材料は、熱溶融性を有している。
【0021】
溶融装置2は、固形材料が投入される投入部20と、投入部20に投入された固形材料を溶融する溶融部21と、溶融部21によって溶融された材料(液体材料)を貯留する貯留部22と、貯留部22に貯留された液体材料が流通する第一の流通系23と、を備える。
【0022】
投入部20は、外部から投入された固形材料(本実施形態の例では、ペレット状のMOCA)を貯留すると共に、貯留された固形材料を溶融部21に供給する。溶融部21は、投入部20から供給された固形材料を加熱することによって、該固形材料を溶融する(即ち、固体から液体に変化させる)。貯留部22は、溶融部21の下方に配置され、溶融部21から流れ落ちる液体材料(固体材料が溶融されて液体になったもの)を貯留する。
【0023】
第一の流通系23は、貯留部22に接続され且つ液体材料が流通する第一の流通路230と、第一の流通路230に液体材料を流通させるための第一のポンプ234と、第一のポンプ234への固形物の流入を防ぐストレーナ235と、液体材料を濾過する濾過装置10と、を有する。
【0024】
第一の流通路230は、両端が貯留部22に接続される第一の循環流路管231と、第一の循環流路管231(詳しくは、第一の循環流路管231の途中位置)と均質化装置3とを接続する第一の接続管232と、第一の循環流路管231からの第一の接続管232の分岐位置に配置される第一の切替弁233と、を有する。
【0025】
第一の循環流路管231の一端は、貯留部22の下端に接続され、他端は、貯留部22の上部に接続される。これにより、第一の循環流路管231は、貯留部22に貯留された液体材料が第一の循環流路管231を通って再度貯留部22に戻る液体材料の循環流路を形成する。第一の切替弁233は、第一の流通路230において、該第一の切替弁233に流入してきた液体材料を、貯留部22に向けて流すか、第一の接続管232に向けて流すかの切り替えを行う。
【0026】
第一のポンプ234は、第一の循環流路管231における第一の切替弁233より上流位置に配置され、貯留部22に貯留された液体材料を第一の循環流路管231内に流入させる。具体的に、第一のポンプ234は、第一の循環流路管231の一端(貯留部22の下端に接続された端部)側から、貯留部22に貯留された液体材料を第一の循環流路管231内に吸引する。本実施形態の第一のポンプ234は、例えば、ギヤポンプである。尚、第一のポンプ234は、ギヤポンプに限定されない。第一のポンプ234は、貯留部22内の液体材料を第一の流通系23に流通させることができるポンプであればよい。
【0027】
ストレーナ235は、第一の循環流路管231における第一のポンプ234の上流位置に配置され、第一の循環流路管231を流通する液体材料に含まれる固形物(第一のポンプ234に供給された場合に該第一のポンプ234の故障の原因となりうる大きさの固形物)が第一のポンプ234に向かうのを阻止する。このストレーナ235は、金属製のメッシュ、パンチングメタル等によって構成される。
【0028】
濾過装置10は、第一の循環流路管231における第一のポンプ234と第一の切替弁233との間に配置される。この濾過装置10は、
図2〜
図5にも示すように、濾材11を有する濾過部12と、濾過部12を保持し、且つ、流体(本実施形態の例では液体材料)が濾過部12の濾材11を通過する流路(内部流路)を形成するホルダ13と、を備える。本実施形態の濾過部12では、内部流路における液体材料の流通方向(以下、単に「流通方向」と称する。)の下流端位置における濾材11の孔径が、上流端位置における濾材11の孔径より小さい。濾過装置10の具体的な構成は以下の通りである。
【0029】
濾過部12は、流通方向(
図5の矢印α参照)に重ねられる複数の濾材11を有する。本実施形態の濾材11は、濾紙であり、本実施形態の濾過部12では、四枚の濾紙11が流通方向に積層されている。これら四枚の濾紙11のうちの少なくとも一枚の濾紙11は、他の濾紙11の孔径と異なる孔径を有する。また、濾紙11の厚さ(流通方向の寸法)は、孔径の大きい濾紙11ほど大きい。
【0030】
詳しくは、本実施形態の濾過部12では、上流側から順に、第一濾紙111、第二濾紙112、第三濾紙113、及び第四濾紙114が積層されている。第一濾紙111の孔径は、1μmであり、第二〜第四濾紙112〜114の孔径は、それぞれ0.5μmである。各濾紙(第一〜第四濾紙111〜114)の輪郭は円形であり、直径は、それぞれ300mm程度である。また、第一濾紙111の厚さは、3mmであり、第二〜第四濾紙112〜114の厚さは、それぞれ0.6mmである。
【0031】
ホルダ13は、濾過部12を内部に収容するホルダ本体14と、ホルダ本体14を支持する支持脚15と、を有する。
【0032】
ホルダ本体14は、第一の循環流路管231に接続され、内部に液体材料が流れる流路(内部流路)を有する。このホルダ本体14は、濾過部12の下側(流通方向の一方側)を覆う底部16と、濾過部12を上側(流通方向の他方側)から開閉可能に覆う蓋部17と、底部16に配置されて濾過部12(濾材11)を下側から支持する濾材支持部18と、を有する。本実施形態のホルダ本体14では、液体材料が蓋部17側から内部流路に流入し、濾過部を通過した後、底部16側から外部に流出する。
【0033】
底部16は、上端部に、下方に凹む(即ち、上方に開口する)凹部160と、凹部160内の空間と外部とを連通する排出部161と、を有する。また、底部16は、凹部160の周囲を囲むリング状の密閉部材162を有する。この密閉部材162は、蓋部17が閉じた状態のときに底部16と蓋部17との間に位置し、これら底部16と蓋部17との間の液密性を確保する。本実施形態の底部16は、水平方向に広がる円盤状の部材であり、凹部160は、平面視において、底部16と同心の円形に凹んでいる。また、凹部160の底面は、平面視において円形の平面状であり、排出部161は、凹部160の底面の中央部に接続されている。この排出部161は、第一の循環流路管231に接続されている。
【0034】
この底部16は、蓋部17が回動可能に接続される底側接続部163を有する。この底側接続部163は、底部16の周縁部から延びる支持部163Aと、支持部163Aの先端部において底部16の径方向と直交する方向に延びる中心軸163Bと、を有する。
【0035】
また、底部16は、蓋部17を閉じた状態で該底部16に対して固定するための少なくとも一つの蓋固定部164を有する。本実施形態の底部16は、周方向に間隔をあけて複数(本実施形態の例では六つ)の蓋固定部164を有する。本実施形態の蓋固定部164は、所定の方向に延びると共に、一端部を回転中心にして回動し且つ他端部の周面に雄ねじが形成された回動部材165と、回動部材165の他端部に螺合する締め込み部材166と、を有する。
【0036】
回動部材165の一端部は、底部16の周方向の所定位置における周縁部の下面側に設けられた中心軸167を回転中心にして回動する。この中心軸167は、該中心軸167の長さ方向の中心を通る底部16の直径方向と直交する方向に延びている。
【0037】
締め込み部材166は、回動部材165の他端部に螺合した状態で該回動部材165の軸周りに回転させることで、中心軸167に対して接離する。
【0038】
蓋部17は、閉じた状態のときに底部16と共同して、液体材料が濾過部12の各濾紙111〜114を厚さ方向に通過する内部流路を形成する。具体的に、蓋部17は、上方に凹む凹部171Aを有する蓋本体171と、蓋本体171の凹部171A内の空間と外部とを連通する流入部172と、底側接続部163と回動可能に係合する蓋側接続部173と、蓋本体171の周縁から水平方向に広がる鍔部174と、を有する。
【0039】
凹部171Aは、平面視において、底部16の凹部160と対応した大きさ(本実施形態の例では、底部16の凹部160の直径より僅かに大きい寸法)を有する。本実施形態の凹部171Aは、球面状の内面を有する。流入部172は、凹部171Aの内面における中央部に接続されている。この流入部172は、第一の循環流路管231に接続されている。本実施形態の蓋本体171は、厚さが略一定の部材によって構成されている。このため、蓋本体171は、上方に膨出するドーム状である。
【0040】
蓋側接続部173は、鍔部174における底側接続部163と対応する位置から径方向に延び、且つ底側接続部163の中心軸163B周りに回動可能に該中心軸163Bと係合する。これにより、蓋部17は、底側接続部163の中心軸163Bを回転中心にして回動でき、底部16に対して開閉する。
【0041】
鍔部174は、底部16の複数の蓋固定部164と周方向において対応する位置のそれぞれに、水平方向の内側に向って凹む切り欠き部174Aを有する。各蓋固定部164において、切り欠き部174Aに蓋固定部164の回動部材165が入り込んだ状態で、締め込み部材166を回転させて底部16側(中心軸167側)に移動させることで、底部16と締め込み部材166とによって鍔部174が強固に挟み込まれ、蓋部17が閉じた状態(
図2及び
図4参照)で底部16に対して固定される。一方、蓋部17を開く時には、各蓋固定部164において、蓋部17が閉じて固定された状態から締め付け部材111を回転させて底部16と反対側の方向に移動させ、続いて、回動部材165を回動させて蓋部17の切り欠き部174Aから外す(
図4において符号165で示す二点鎖線部分参照)。これにより、蓋部17は、底側接続部163の中心軸163Bを中心に回動可能となり、蓋部17を開く(中心軸163Bを回転中心にして回動させる)ことができる。
【0042】
また、蓋部17は、底部16と蓋部17とによって画定された内部流路を流通する液体材料の流れを均一にするための散水部材175と、蓋部17の開閉を補助するための開閉補助部176と、を有する。
【0043】
散水部材175は、蓋部17の凹部171A内に配置され、流入部172から凹部171A内に流入する液体材料の流れを水平方向に分散させる。具体的に、散水部材175は、水平方向に広がる対向面175Aを上端に有し、該対向面175Aが流入部172の接続位置(流入部172から凹部171A内に液体材料が流入する位置)と間隔をあけて対向する位置に配置される。この散水部材175の対向面175Aに、流入部172から凹部171A内に流入してきた液体材料がぶつかると、液体材料の流れが水平方向に分散される。これにより、蓋部17と底部16とによって画定される空間(内部流路)を下方に向かって流れる液体材料の水平面方向における流速のムラが抑えられる。
【0044】
開閉補助部176は、蓋側接続部173から、底側接続部163の中心軸163Bを超えた位置まで延びる延出部176Aと、延出部176Aの先端部に配置された錘部176Bと、を有する。このように、底側接続部163の中心軸163Bを挟んで蓋本体171と反対側の位置に錘部176Bが配置されることで、開閉補助部176がない場合に比べ、蓋部17を開閉するときの力を小さくすることができる。
【0045】
濾材支持部18は、液体材料が上方から下方に向けて通過するのを許容しつつ、濾過部12(本実施形態の例では、積層された第一〜第四濾紙111〜114)を下方から支持する。本実施形態の濾材支持部18は、水平方向に広がるパンチングプレート181と、パンチングプレート181と底部16の凹部160における底面との間に所定の間隔を形成する間隔維持部材182と、を有する。
【0046】
このように構成される濾材支持部18によって支持された濾過部12(積層された状態の複数の濾紙111〜114)は、該濾過部12(積層された状態の濾紙111〜114)の周縁部が底部16と蓋部17とによって挟持されることで、ホルダ本体14の内部で固定される。
【0047】
図1に戻り、溶融装置2は、貯留部22及び第一の循環流路管231を内部に収容する筐体24と、該筐体24の内部の温度を所定の温度(液体材料が固化しない温度)に保つ保温部25と、を備える。この筐体24は、内部の気体を外部に排出可能な排出口241と、保温部25が接続される接続口242と、を有する。また、保温部25は、接続口242を通じて筐体24内に熱風を供給する。この保温部25から接続口242を通じて筐体24内に送り込まれた熱風によって、筐体24内の温度が、所定の温度(本実施形態の例では、120℃)に維持される。これにより、溶融装置2では、貯留部22に貯留されている液体材料、及び第一の循環流路管231を流通する液体材料が冷えて固まるのを防ぐことができる。
【0048】
均質化装置3は、溶融装置2から第一の接続管232を通じて供給される液体材料を貯留する貯留槽30と、貯留槽30内の液体材料を流通させる第二の流通系31と、を有する。
【0049】
第二の流通系31は、貯留槽30に接続され且つ液体材料が流通する第二の流通路310と、第二の流通路310に液体材料を流通させる第二のポンプ311と、を有する。
【0050】
第二の流通路310は、両端が貯留槽30に接続される第二の循環流路管312と、第二の循環流路管312(詳しくは、第二の循環流路管312の途中位置)と吐出装置4とを接続する第二の接続管313と、第二の循環流路管312からの第二の接続管313の分岐位置に配置される第二の切替弁314と、を有する。
【0051】
第二の循環流路管312の一端は、貯留槽30内の底面近傍に配置され、他端は、貯留槽30の上部に接続される。これにより、第二の循環流路管312は、貯留槽30に貯留された液体材料が第二の循環流路管312を通って再度貯留槽30に戻る液体材料の循環流路を形成する。第二の切替弁314は、第二の流通路310において、該第二の切替弁314に流入してきた液体材料を、貯留槽30に向けて流すか、第二の接続管313に向けて流すかの切り替えを行う。
【0052】
第二のポンプ311は、第二の循環流路管312における途中位置(本実施形態の例では、貯留槽30の外側における貯留槽30の上部位置)に接続され、貯留槽30に貯留された液体材料を第二の循環流路管312内に流入させる。
【0053】
以上のように構成される均質化装置3において均質化可能な材料の処理量(循環させられる液体材料の量)は、溶融装置2における材料の溶融等の処理量(循環させられる液体材料の量)よりも多い。
【0054】
吐出装置4は、均質化装置3の第二の流通路310(詳しくは、第二の接続管313)に接続され、第二の流通路310から供給された液体材料を第二の流通系31の系外に吐出する。尚、吐出装置4は、均質化装置3から供給される液体材料に加え、該液体材料とは別の一又は複数種の材料を供給され、これら複数種の材料(均質化装置3から供給される液体材料を含む)を一つの吐出口から吐出する構成等であってもよい。
【0055】
本実施形態の材料精製システム1は、以上のように構成される。以下では、この材料精製システム1の動作について説明する。
【0056】
先ず、固形材料が溶融装置2の投入部20に投入される。本実施形態では、固形材料が投入部20にバッチ投入される。この投入部20に投入された固形材料が溶融部21に供給されると、溶融部21が供給された固形材料を溶融する。溶融された固体材料(即ち、液体材料)は、貯留部22に流れ込んで貯留され、所定量の液体材料が貯留部22に溜まると、第一のポンプ234が作動し始め、貯留部22に貯留された液体材料が第一の循環流路管231を流通し始める。このとき、第一の切替弁233が、該第一の切替弁233に流入してきた液体材料を貯留部22に向けて流すように切り替えられているため、液体材料は、貯留部22と第一の循環流路管231との間を循環する。また、保温部25が作動して筐体24内の温度が所定の温度(液体材料が固化しない温度:本実施形態の例では120℃)に維持されている。
【0057】
第一の循環流路管231を流通し始めた液体材料は、ストレーナ235を通過した後、濾過装置10を通過する。具体的に、液体材料は、濾過装置10において、ホルダ13内に形成された内部流路を流れることで濾過部12(詳しくは、複数の積層された濾紙11(第一〜第四濾紙111〜114))を通過する。このとき、液体材料に含まれる固形物(異物や、溶融部で溶融仕切れなかった固形材料等)は、濾過部12によって捕捉され、該液体材料から分離される(濾過される)。
【0058】
濾過装置10を通過した液体材料は、再度、貯留部22に戻り、この貯留部22と第一の循環流路管231との間を循環し続ける。この循環により、液体材料が撹拌され、貯留部22に貯留された液体材料が均質化される。また、循環によって同じ液体材料が濾過装置10を複数回通過するため、液体材料からの固形物の除去がより確実に行われる。尚、濾過部12に引っ掛かっている固形物の一部(溶融部21で溶融仕切れなかった固形材料)は、筐体24内の温度を所定の温度(本実施形態の例では120℃)に保つことで高温(本実施形態の例では120℃程度)に維持された液体材料が循環することにより、しだいに溶ける。
【0059】
投入部20に投入された固形材料(1バッチ分の固形材料)が溶融部21によって全て溶融され、貯留部22と第一の循環流路管231との間の循環によって、貯留部22に貯留された液体材料に含まれていた固形物の除去、及び循環による液体材料の均質化が終了すると、第一の切替弁233が切り替えられる。これにより、貯留部22と第一の循環流路管231との間を循環していた液体材料が、第一の接続管232を通じて、均質化装置3に供給される。
【0060】
均質化装置3では、第一の接続管232から供給された液体材料が、貯留槽30に貯留される。この貯留槽30に貯留された液体材料は、第二の切替弁314が該第二の切替弁314に流入してきた液体材料を貯留槽30に向けて流すように切り替えられた状態で第二のポンプ311が作動することによって、貯留槽30と第二の循環流路管312との間を循環する。ここで、上述のように、均質化装置3において均質化可能な材料の処理量(均質化装置3において循環させられる液体材料の量、即ち、投入部20に投入される固形材料の数バッチ分に相当する量)は、溶融装置2における材料の溶融等の処理量(溶融装置2において循環させられる液体材料の量、即ち、投入部に投入される固形材料の1バッチ分に相当する量)よりも多い。このため、溶融装置2において溶融された固形材料(液体材料)は、均質化装置3の貯留槽30に送り出されると、溶融装置2から均質化装置3に先に供給されている液体材料(先に溶融させた材料)と共に貯留槽30と第二の循環流路管312との間を循環する。これにより、均質化装置3において、先に溶融させた材料と、後に溶融させた材料とが撹拌されて混ぜ合わされ、その結果、液体材料のさらなる均質化が図られる。
【0061】
均質化装置3において液体材料の均質化が十分に行われると、第二の切替弁314が切り替えられ、循環していた液体材料が、研磨パッド用の材料として吐出装置4から第二の流通系31の系外に吐出される。
【0062】
以上の材料精製システム1の濾過装置10では、濾過部12の下流端位置における濾材11(第四濾紙114)の孔径は、該濾過部12の上流端位置における濾材11(第一濾紙111)の孔径より小さい。かかる構成によれば、大きな固形物(濾過対象物)を濾過部12の上流端側の部位で捕捉し、小さい固形物を下流端側の部位で捕捉する、即ち、該方向における濾過部12の全域で固形物を捕捉することができる。これにより、主に流通方向の上流端側の部位で固形物を捕捉等する場合に比べ、濾過能力を維持しつつ目詰まりを抑えて長期間の使用を可能とする(即ち濾過性能を向上させる)ことができる。
【0063】
本実施形態の濾過装置10では、濾過部12は、流体の流通方向に重ねられる孔径の異なる複数の濾材11(本実施形態の例では、第一〜第四濾紙111〜114)を有している。このため、濾過部12における流通方向の一部(対応する位置に配置された濾材11)の交換が可能となる。これにより、濾過部12における流通方向の一部が目詰まりしたときの該部分(目詰まりした部分)のみの濾材11の交換が可能となり、また、濾過部12において流通方向の一部の孔径の変更等も可能となる。
【0064】
また、本実施形態の濾過装置10では、濾紙111〜114における液体材料の流通方向の寸法(厚さ寸法)は、孔径の大きい濾紙111〜114ほど大きい。このように、孔径の大きな濾紙111〜114ほど厚さ寸法を大きくする、即ち、該濾紙111〜114を通過するために必要な距離を大きくすることで、該孔径より僅かに大きな固形物を、より確実に捕捉することができる。
【0065】
濾紙は、PTFE等の樹脂製の濾材に比べて熱に強い。このため、本実施形態の濾過装置10では、高温の流体の濾過が可能である。しかも、複数の濾紙(第一〜第四濾紙111〜114)が重ねられることによって一枚では剛性の小さな濾紙を用いても濾過部12において所定の剛性を確保することが可能となる。
【0066】
尚、本発明の濾過装置は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を追加することができ、また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることができる。さらに、ある実施形態の構成の一部を削除することができる。
【0067】
上記実施形態の濾過装置10では、濾過部12は、濾材11(上記実施形態の例では、第一〜第四濾紙111〜114)のみによって構成されているが、この構成に限定されない。例えば、濾過部12は、複数の濾材11と、濾材11同士の相対位置のズレを抑える固定部材(ホルダー等)と、によって構成されていてもよい。
【0068】
また、上記実施形態の濾過装置10では、濾過部12は、重ねられた四つの濾材11(上記実施形態の例では、第一〜第四濾紙111〜114)を有しているが、一の濾材11、又は、重ねられた二〜三つ又は五つ以上の濾材11を有していてもよい。濾過部12が一つの濾材11によって構成される場合、この濾材11は、下流端位置における孔径が上流端位置における孔径より小さくなるように形成されている、即ち、上流端位置の孔径と下流端位置の孔径とが異なるように形成される。
【0069】
上記実施形態の濾過装置10では、濾過部12に配置される濾材11の孔径は、2種類であるが、この構成に限定されない。例えば、濾過部12に配置される濾材11の孔径は、3種類以上でもよい。また、濾過部12は、上流から下流に向けて、孔径が濾材毎に小さくなる構成であってもよい。即ち、複数の濾材11は、上流端位置に配置される濾材11の孔径より下流端位置に配置される濾材11の孔径が小さく、且つ、流体の通過する方向に隣り合う二つの濾材11において、上流側の濾材11の孔径に対し、下流側の濾材11の孔径が同じ又は小さければよい。
【0070】
上記実施形態の濾過装置10では、孔径が大きい濾材11ほど、厚さ寸法(流体が通過する方向の寸法)が大きいが、この構成に限定されない。濾過部12に配置される複数の濾材11において、各濾材11の厚さ寸法が同じであってもよい。この場合、孔径の大きな濾材11において濾過性能が十分確保される厚さ寸法に、孔径の小さな濾材11の厚さ寸法を合わせることが好ましい。
【0071】
ホルダ13の具体的な構成は限定されない。ホルダ13は、内部に濾過部12を保持し、且つ供給された流体が濾過部12を通過する内部流路を形成する構成であればよい。
【0072】
上記実施形態の濾過装置10では、濾材11は、濾紙であるが、この構成に限定されない。濾材11は、不織布や織り布等によって構成されてもよい。