【課題】停止しているロータの回転を規制する回転規制機構を備える回転アクチュエータにおいて、停止しているロータに回転方向の外力が作用しても、停止しているロータの停止位置からのずれを抑制することが可能な回転アクチュエータを提供する。
【解決手段】回転アクチュエータ2は、停止しているロータ14の回転を規制する回転規制機構25を備え、回転規制機構25は、ロータ14に固定される回転側規制部材45と、回転側規制部材45と係合してロータ14の周方向における回転側規制部材45の移動を規制する固定側規制部材46と、固定側規制部材46をロータ14の軸方向へ移動させる駆動機構47とを備えている。回転側規制部材45には、ロータ14の径方向の外側へ突出する複数の突起が形成され、固定側規制部材46には、周方向における突起の間に入り込んで周方向における回転側規制部材45の移動を規制する規制部46aが形成されている。
前記駆動機構は、前記固定側規制部材を前記軸方向の一方側へ付勢する付勢部材と、前記固定側規制部材を前記軸方向の他方側へ移動させるソレノイドとを備えることを特徴とする請求項1記載の回転アクチュエータ。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0018】
(産業用ロボットの概略構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかる産業用ロボット1の正面図である。
図2(A)は、
図1に示す産業用ロボット1の斜視図であり、
図2(B)は、
図2(A)に示す産業用ロボット1が動作している状態を示す斜視図である。
【0019】
本形態の産業用ロボット1(以下、「ロボット1」とする。)は、所定の製品の組立や製造等に用いられる多関節ロボットであり、組立ラインや製造ラインに設置されて使用される。ロボット1は、複数の関節部2と複数のアーム3とを備えている。本形態では、ロボット1は、6個の関節部2と、2本のアーム3とを備えている。以下では、6個の関節部2のそれぞれを区別して表す場合には、6個の関節部2のそれぞれを「第1関節部2A」、「第2関節部2B」、「第3関節部2C」、「第4関節部2D」、「第5関節部2E」および「第6関節部2F」とする。また、以下では、2本のアーム3のそれぞれを区別して表す場合には、2本のアーム3のそれぞれを「第1アーム3A」および「第2アーム3B」とする。
【0020】
また、ロボット1は、第1関節部2Aに相対回動可能に連結される支持部材4を備えている。支持部材4は、フランジ部4aを有する鍔付きの円筒状に形成されており、支持部材4の内周側には、支持部材4の軸方向に貫通する貫通孔(図示省略)が形成されている。フランジ部4aは、円環状に形成されており、ロボット1の底面部分を構成している。アーム3は、細長い円筒状に形成されている。
【0021】
ロボット1では、第1関節部2Aと第2関節部2Bとが相対回動可能に連結され、第2関節部2Bと第1アーム3Aの基端とが固定されている。また、第1アーム3Aの先端と第3関節部2Cとが固定され、第3関節部2Cと第4関節部2Dとが相対回動可能に連結され、第4関節部2Dと第2アーム3Bの基端とが相対回動可能に連結され、第2アーム3Bの先端と第5関節部2Eとが固定され、第5関節部2Eと第6関節部2Fとが相対回動可能に連結されている。また、第6関節部2Fには、ハンドや工具等が相対回動可能に取付可能となっている。
【0022】
以下、関節部2の具体的な構成を説明する。なお、
図1に示すように、本形態では、第1関節部2Aと第2関節部2Bと第3関節部2Cとが同じ大きさで形成され、第4関節部2Dと第5関節部2Eと第6関節部2Fとが同じ大きさで形成されている。また、第1関節部2A、第2関節部2Bおよび第3関節部2Cの大きさは、第4関節部2D、第5関節部2Eおよび第6関節部2Fの大きさよりも大きくなっている。ただし、第1関節部2A、第2関節部2Bおよび第3関節部2Cと、第4関節部2D、第5関節部2Eおよび第6関節部2Fとは、大きさが相違する点を除けば同様に構成されている。
【0023】
(関節部の構成)
図3は、
図1に示す関節部2の縦断面図である。
図4は、
図3のG部の構成を説明するための拡大図であり、(A)は固定側規制部材46が規制解除位置にある状態を示す図、(B)は固定側規制部材46が規制位置にある状態を示す図である。
図5は、
図3に示す回転側規制部材45および固定側規制部材46の平面図である。
図6(A)は、
図3に示す固定側規制部材46が規制位置にあるときのピン53の状態を説明するための拡大図であり、
図6(B)は、
図3に示す固定側規制部材46が規制解除位置にあるときのピン53の状態を説明するための拡大図である。以下では、説明の便宜上、
図3のZ1方向側を「上」側とし、その反対側であるZ2方向側を「下」側とする。
【0024】
関節部2は、モータ7と、モータ7に連結される減速機8と、モータ7の回転位置を検出するための位置検出機構9と、モータ7および位置検出機構9が電気的に接続される回路基板10と、モータ7と減速機8と位置検出機構9と回路基板10とが収容されるケース体11とを備えており、関節部2自体が回転アクチュエータとなっている。すなわち、関節部2は、回転アクチュエータによって構成されている。
【0025】
モータ7は、径方向の中心に貫通孔が形成された中空モータであり、中空状の回転軸13を備えている。また、モータ7は、ロータ14とステータ15とを備えている。減速機8は、径方向の中心に貫通孔が形成された中空減速機である。モータ7と減速機8とは上下方向で重なるように配置されている。具体的には、モータ7が上側に配置され、減速機8が下側に配置されている。また、モータ7と減速機8とは同軸上に配置されている。
【0026】
本形態の減速機8は、中空波動歯車装置であり、剛性内歯歯車16と可撓性外歯歯車17と波動発生部18とクロスローラベアリング19とを備えている。波動発生部18は、回転軸13に連結される中空状の入力軸20と、入力軸20の外周側に取り付けられるウエーブベアリング21とを備えている。本形態では、剛性内歯歯車16が減速機8の出力軸となっている。また、関節部2は、停止しているロータ14の回転を規制する回転規制機構25と、回転軸13および入力軸20の内周側に挿通される筒状の管状部材26と、剛性内歯歯車16に固定される出力側部材27とを備えている。
【0027】
モータ7は、上述のように、ロータ14とステータ15とを備えている。ロータ14は、回転軸13と、回転軸13に固定される駆動用磁石29とを備えている。回転軸13は、上下方向に細長い略円筒状に形成されており、回転軸13の軸方向と上下方向とが一致するように配置されている。すなわち、上下方向は、回転軸13の軸方向であるとともにロータ14の軸方向である。駆動用磁石29は、円筒状に形成されている。駆動用磁石29の長さ(上下方向の長さ)は、回転軸13よりも短くなっており、駆動用磁石29は、回転軸13の下端側部分の外周面に固定されている。
【0028】
ステータ15は、全体として略円筒状に形成されており、駆動用磁石29の外周面を覆うように、駆動用磁石29の外周側に配置されている。回転軸13の上端側部分は、ステータ15の上端面よりも上側に突出している。このステータ15は、駆動用コイルと、インシュレータを介して駆動用コイルが巻回される複数の突極を有するステータコアとを備えている。ステータコアの突極は、内周側に向かって突出するように形成されており、突極の先端面は、駆動用磁石29の外周面に対向している。モータ7は、ケース体11に固定されている。具体的には、ステータ15の外周面がケース体11に固定されている。
【0029】
減速機8は、上述のように、剛性内歯歯車16と可撓性外歯歯車17と波動発生部18とクロスローラベアリング19とを備えている。剛性内歯歯車16は、扁平な略円筒状に形成されており、剛性内歯歯車16の軸方向と上下方向とが一致するように配置されている。すなわち、上下方向は、減速機8の出力軸である剛性内歯歯車16の軸方向となっている。剛性内歯歯車16は、クロスローラベアリング19の内輪19aに固定されている。クロスローラベアリング19の外輪19bは、ケース体11の下端側部分に固定されており、剛性内歯歯車16は、クロスローラベアリング19を介してケース体11の下端側部分に回転可能に保持されている。
【0030】
可撓性外歯歯車17は、上端にフランジ部17aを有する鍔付きの略筒状に形成されている。フランジ部17aは、略円環状に形成されており、フランジ部17aの外周側部分は、ケース体11に固定されている。すなわち、減速機8は、ケース体11に固定されている。剛性内歯歯車16は、減速機8の下端側部分を構成している。フランジ部17aは、減速機8の上端側部分を構成している。剛性内歯歯車16の内周面には、内歯が形成されている。可撓性外歯歯車17の下端側の外周面には、剛性内歯歯車16の内歯と噛み合う外歯が形成されている。
【0031】
波動発生部18は、上述のように、入力軸20とウエーブベアリング21とを備えている。入力軸20は、全体として上下方向に細長い筒状に形成されており、入力軸20の軸方向と上下方向とが一致するように配置されている。入力軸20の、下端側部分以外の部分は、細長い略円筒状に形成されている。入力軸20の下端側部分は、入力軸20の軸方向から見たときの内周面の形状が円形状となり、入力軸20の軸方向から見たときの外周面の形状が楕円形状となる楕円部20aとなっている。
【0032】
入力軸20の上端側部分は、回転軸13の下端側部分の内周側に挿入されて固定されている。具体的には、入力軸20の上端側部分は、回転軸13の、駆動用磁石29が固定された部分の内周側に挿入されて固定されている。回転軸13と入力軸20とは同軸上に配置されている。また、入力軸20の上端側部分は、接着によって回転軸13に固定されている。
【0033】
上下方向における入力軸20の中心部分は、ベアリング30に回転可能に支持されている。ベアリング30は、ボールベアリングである。このベアリング30は、軸受保持部材31に取り付けられ、軸受保持部材31は、ケース体11に固定されている。すなわち、入力軸20は、軸受保持部材31を介してケース体11に取り付けられるベアリング30に回転可能に支持されている。軸受保持部材31は、円環状かつ平板状に形成されており、可撓性外歯歯車17のフランジ部17aと上下方向で重なるようにケース体11に固定されている。
【0034】
ウエーブベアリング21は、可撓性の内輪および外輪を備えたボールベアリングである。このウエーブベアリング21は、楕円部20aの外周面に沿って配置されており、楕円状に撓んでいる。可撓性外歯歯車17の、外歯が形成される下端側部分は、ウエーブベアリング21を囲むようにウエーブベアリング21の外周側に配置されており、この部分は、楕円状に撓んでいる。可撓性外歯歯車17の外歯は、楕円状に撓む可撓性外歯歯車17の下端側部分の長軸方向の2か所で、剛性内歯歯車16の内歯と噛み合っている。
【0035】
出力側部材27は、フランジ部27aと筒部27bとを有する鍔付きの略円筒状に形成されている。この出力側部材27は、出力側部材27の軸方向と上下方向とが一致するように配置されており、出力側部材27の内周側には、上下方向に貫通する貫通孔27cが形成されている。フランジ部27aは、平板状かつ円環状に形成されており、筒部27bの下端に繋がっている。フランジ部27aは、フランジ部27aの上面が剛性内歯歯車16の下面に接触するように剛性内歯歯車16に固定されている。また、フランジ部27aは、ケース体11の下端よりも下側に配置されており、ケース体11の外側に配置されている。
【0036】
筒部27bの上端側には、筒部27bの下端側部分よりも外径の小さい小径部27dが形成されており、筒部27bの上端側部分の外周側には、上下方向に直交する円環状の段差面27eが形成されている。小径部27dは、管状部材26の下端側部分の内周側に挿入されており、管状部材26の下端面は、段差面27eに対向している。また、貫通孔27cは、管状部材26の内周側に通じている。筒部27bの上端側部分は、入力軸20の下端側部分の内周側に配置されている。筒部27bの外周面と入力軸20の下端側部分の内周面との間には、ベアリング34が配置されている。ベアリング34は、ボールベアリングである。
【0037】
管状部材26は、上下方向に細長い円筒状に形成されており、管状部材26の軸方向と上下方向とが一致するように配置されている。上述のように、管状部材26は、回転軸13および入力軸20の内周側に挿通されている。管状部材26の上端面は、回転軸13の上端面よりも上側に配置され、管状部材26の下端面は、入力軸20の下端面よりも上側に配置されている。また、上述のように、管状部材26の下端側部分の内周側に出力側部材27の小径部27dが挿入されるとともに管状部材26の下端面が段差面27eに対向しており、管状部材26の下端側は、出力側部材27に保持されている。
【0038】
管状部材26の上端側は、保持部材32に保持されている。保持部材32は、支柱33に固定され、支柱33は、ケース体11に固定されている。すなわち、保持部材32は、支柱33を介してケース体11に固定されている。保持部材32は、管状部材26の上端側を保持する円筒状の保持部32aを備えている。保持部32aは、保持部32aの軸方向と上下方向とが一致するように配置されており、保持部32aの内周側には、上下方向に貫通する貫通孔32bが形成されている。
【0039】
保持部32aの下端側には、保持部32aの上端側よりも内径の大きい大径部32cが形成されており、保持部32aの下端側部分の内周側には、上下方向に直交する円環状の段差面32dが形成されている。管状部材26の上端側は、大径部32cの内周側に挿入されており、管状部材26の上端面は、段差面32dに対向している。また、貫通孔32bは、管状部材26の内周側に通じている。
【0040】
位置検出機構9は、ステータ15の上側に配置されている。この位置検出機構9は、回転軸13の上端側に固定されるスリット板36と、センサ37とを備えている。センサ37は、互いに対向するように配置される発光素子と受光素子とを備える透過型の光学式センサである。センサ37は、支持部材38に固定されている。支持部材38は、ケース体11に固定されている。すなわち、センサ37は、支持部材38を介してケース体11に固定されている。スリット板36は、薄い平板状に形成されるとともに円環状に形成されている。スリット板36には、スリット板36の周方向に一定の間隔で複数のスリット孔が形成されている。スリット板36は、スリット板36の周方向の一部分がセンサ37の発光素子と受光素子との間に配置されるように回転軸13に固定されている。
【0041】
ケース体11は、上下の両端が開口するケース本体41と、ケース本体41の上端側の開口を塞ぐカバー42とから構成されている。ケース本体41の下端側の開口は、減速機8によって塞がれている。ケース本体41の側面には、上下方向に直交する方向で開口する開口部41aが形成されている。すなわち、ケース体11には、上下方向に直交する方向で開口する開口部41aが形成されている。開口部41aは、ケース本体41の側面部分を貫通するように形成されている。
【0042】
カバー42の上面部分には、回転規制機構25を構成する後述のピン53が配置される貫通孔42aが形成されている。すなわち、ケース体11には、貫通孔42aが形成されている。貫通孔42aは、上下方向でカバー42の上面部分を貫通するように形成されており、貫通孔42aを介してケース体11の内部と外部とが通じている。また、貫通孔42aは、丸孔状に形成されている。
【0043】
回転規制機構25は、停止しているロータ14をその停止位置で保持するために設けられており、ケース体11に収容されている。この回転規制機構25は、ロータ14に固定される平板状かつ略円環状の回転側規制部材45と、回転側規制部材45と係合してロータ14の周方向における回転側規制部材45の移動を規制する固定側規制部材46と、固定側規制部材46を上下方向へ移動させる駆動機構47と、固定側規制部材46を上下方向へ案内するリニアブッシュ48とを備えている。駆動機構47は、固定側規制部材46を上側へ付勢する付勢部材としての圧縮コイルバネ49と、固定側規制部材46を下側へ移動させるソレノイド50とを備えている。
【0044】
ソレノイド50は、ソレノイド50が通電状態となったときにソレノイド50のプランジャ50aが下側へ突出するようにケース体11に固定されている。プランジャ50aの上端部は、ソレノイド50の本体部50bよりも上側に突出している。本体部50bから上側へ突出しているプランジャ50aの上端部には、ピン53が固定されている。ピン53は、円柱状の軸部53aと、軸部53aの一端から径方向の外側へ広がる円環状のフランジ部53bとを備える鍔付きの円柱状に形成されている。
【0045】
ピン53は、ピン53の軸方向と上下方向とが一致するように、かつ、フランジ部53bが下側に配置されるようにプランジャ50aに固定されている。また、ピン53は、プランジャ50aと同軸上に配置されている。軸部53aは、貫通孔42aの中に配置されている。軸部53aの外径は、貫通孔42aの内径よりもわずかに小さくなっている。なお、フランジ部53bの下面には、プランジャ50aの上端部が挿入されて固定される凹部が形成されている。
【0046】
回転側規制部材45は、回転側規制部材45の厚さ方向と上下方向とが一致するように回転軸13の上端面に固定されており、位置検出機構9よりも上側に配置されている。
図5に示すように、回転側規制部材45には、ロータ14の径方向の外側へ突出する複数の突起45aがロータ14の周方向において一定の間隔で形成されている。本形態では、12個の突起45aが、回転側規制部材45の中心に対して30°ピッチで形成されている。また、突起45aは、上下方向から見たときの形状が略等脚台形状となるように形成されている。なお、回転側規制部材45に形成される突起45aの数は、11個以下であっても良いし、13個以上であっても良い。
【0047】
固定側規制部材46は、上端にフランジ部46aを有する鍔付きの円柱状に形成されており、固定側規制部材46の軸方向と上下方向とが一致するように配置されている。フランジ部46aは、円環状に形成されており、上下方向から見たときのフランジ部46aの外形は、円形状となっている。固定側規制部材46は、固定側規制部材46の上側に配置されるプランジャ50aに固定されている。具体的には、固定側規制部材46は、プランジャ50aの下端部に固定されている。固定側規制部材46の下端面には、
図4に示すように、上側に向かって窪む凹部46bが形成されており、凹部46bの中には、圧縮コイルバネ49の上端側部分が配置されている。
【0048】
固定側規制部材46は、上下方向から見たときに、回転側規制部材45の外周側に配置されている。具体的には、上下方向から見たときに、
図5に示すように、回転側規制部材45の複数の突起45aの先端面を結ぶ仮想円VCよりもフランジ部46aの一部がロータ14の径方向の内側に配置されるように、固定側規制部材46が配置されている。上下方向から見たときのフランジ部46aの直径D1(
図5参照)は、ロータ14の周方向における突起45a間の距離L(
図5参照)の略半分になっている。
【0049】
リニアブッシュ48は、上端にフランジ部48aを有する鍔付きの円筒状に形成されており、リニアブッシュ48の軸方向と上下方向とが一致するように配置されている。リニアブッシュ48の、フランジ部48aよりも下側の部分は、支持部材38の上面に形成される凹部38a(
図4参照)の中に配置されている。凹部38aの底面には、圧縮コイルバネ49の下端側部分が配置される窪み38bが下側に向かって窪むように形成されている。リニアブッシュ48の内周側には、固定側規制部材46の、フランジ部46aよりも下側の部分が配置されている。
【0050】
本形態では、ソレノイド50は、モータ7の停止時に非通電状態となっており、モータ7の駆動時に通電状態となる。ソレノイド50が通電状態でないときには、
図4(B)に示すように、圧縮コイルバネ49の付勢力によって、ロータ14の周方向における回転側規制部材45の突起45aの間に固定側規制部材46のフランジ部46aが配置されるように固定側規制部材46が上昇している。そのため、回転側規制部材45の突起45aとフランジ部46aとによって、停止しているロータ14の回転が規制される。一方、ソレノイド50が通電状態となると、
図4(A)に示すように、プランジャ50aが下側へ突出して、ロータ14の周方向における回転側規制部材45の突起45aの間からフランジ部46aが外れるまで、固定側規制部材46が下降する。そのため、ロータ14が回転可能となる。
【0051】
このように、駆動機構47は、ロータ14の周方向における突起45aの間にフランジ部46aが配置される規制位置(
図4(B)に示す位置)と、ロータ14の周方向における突起45aの間からフランジ部46aが外れる規制解除位置(
図4(A)に示す位置)との間で固定側規制部材46を移動させる。また、圧縮コイルバネ49は、規制位置に向かって固定側規制部材46を付勢し、ソレノイド50は、規制位置にある固定側規制部材46を規制解除位置に向かって移動させる。
【0052】
固定側規制部材46が規制位置にあるときには、
図6(A)に示すように、ピン53の上端側の一部は、ケース体11の外部に突出している。また、ケース体11の外部に突出しているピン53の上端側の一部がケース体11の内部に向かって押されると(すなわち、下側に向かって押されると)、
図6(B)に示すように、規制位置にある固定側規制部材46は、規制解除位置へ移動する。
【0053】
本形態のフランジ部46aは、ロータ14の周方向における突起45aの間に入り込んでロータ14の周方向における回転側規制部材45の移動を規制する規制部となっている。なお、固定側規制部材46が規制解除位置にあるときには、回転側規制部材45の外周側に配置されるプランジャ50aは、突起45aに接触しない位置に配置されている。
【0054】
回路基板10は、ガラスエポキシ基板等のリジッド基板であり、平板状に形成されている。この回路基板10は、回路基板10の厚さ方向と上下方向とが一致するようにケース体11に固定されている。また、回路基板10は、ケース体11の上端側に固定されており、回転側規制部材45よりも上側に配置されている。管状部材26の上端は、回路基板10の上面よりも上側に配置されている。
【0055】
回路基板10には、モータ7を駆動するためのモータ駆動回路や、回路基板10に入力される信号を回路基板10の外部へ出力するための信号伝達回路が実装されている。また、回路基板10には、少なくとも2個のコネクタが実装されている。2個のコネクタのうちの一方のコネクタに接続される配線は、管状部材26の内周側を通過するように引き回された後、出力側部材27の貫通孔27cから引き出され、他方のコネクタに接続される配線は、ケース体11の開口部41aから引き出されている。
【0056】
(関節部、アームの連結構造)
上述のように、支持部材4と第1関節部2Aとが相対回動可能に連結され、第1関節部2Aと第2関節部2Bとが相対回動可能に連結され、第2関節部2Bと第1アーム3Aの基端とが固定され、第1アーム3Aの先端と第3関節部2Cとが固定され、第3関節部2Cと第4関節部2Dとが相対回動可能に連結され、第4関節部2Dと第2アーム3Bの基端とが相対回動可能に連結され、第2アーム3Bの先端と第5関節部2Eとが固定され、第5関節部2Eと第6関節部2Fとが相対回動可能に連結されている。具体的には、たとえば、
図2(B)に示す動作をロボット1が行うことが可能となるように、以下のように、各関節部2およびアーム3が連結されている。
【0057】
なお、以下の説明では、第1関節部2Aの剛性内歯歯車16の軸方向を「第1関節部2Aの軸方向」とし、第2関節部2Bの剛性内歯歯車16の軸方向を「第2関節部2Bの軸方向」とし、第3関節部2Cの剛性内歯歯車16の軸方向を「第3関節部2Cの軸方向」とし、第4関節部2Dの剛性内歯歯車16の軸方向を「第4関節部2Dの軸方向」とし、第5関節部2Eの剛性内歯歯車16の軸方向を「第5関節部2Eの軸方向」とし、第6関節部2Fの剛性内歯歯車16の軸方向を「第6関節部2Fの軸方向」とする。
【0058】
まず、支持部材4と第1関節部2Aとは、第1関節部2Aのフランジ部27aに、支持部材4の、フランジ部4aが形成されていない側の端面が固定されることで連結されている。すなわち、第1関節部2Aの軸方向と支持部材4の軸方向とが一致するように支持部材4と第1関節部2Aとが連結されている。第1関節部2Aと第2関節部2Bとは、第1関節部2Aの軸方向と第2関節部2Bの軸方向とが直交するように連結されている。また、第2関節部2Bのフランジ部27aに、第1関節部2Aのケース本体41の、開口部41aが形成された側面が固定されている。
【0059】
第2関節部2Bと第1アーム3Aとは、第2関節部2Bの軸方向と第1アーム3Aの長手方向(軸方向)とが直交するように連結されている。また、第2関節部2Bのケース本体41の、開口部41aが形成された側面に第1アーム3Aの基端が固定されている。第1アーム3Aと第3関節部2Cとは、第1アーム3Aの長手方向と第3関節部2Cの軸方向とが直交するように連結されている。また、第3関節部2Cのケース本体41の、開口部41aが形成された側面に第1アーム3Aの先端が固定されている。
【0060】
第3関節部2Cと第4関節部2Dとは、第3関節部2Cの軸方向と第4関節部2Dの軸方向とが直交するように連結されている。また、第3関節部2Cのフランジ部27aに、第4関節部2Dのケース本体41の、開口部41aが形成された側面が固定されている。より具体的には、第4関節部2Dのケース本体41の開口部41aが形成された側面に固定される連結部材63を介して、第3関節部2Cのフランジ部27aに、第4関節部2Dのケース本体41の開口部41aが形成された側面が固定されている。連結部材63は、第3関節部2Cのフランジ部27aに固定されるフランジ部63aを備える鍔付きの円筒状に形成されている。
【0061】
第4関節部2Dと第2アーム3Bとは、第4関節部2Dの軸方向と第2アーム3Bの長手方向とが一致するように連結されている。また、第4関節部2Dのフランジ部27aに第2アーム3Bの基端が固定されている。なお、第2アーム3Bの基端には、第4関節部2Dのフランジ部27aに第2アーム3Bの基端を固定するためのフランジ部3aが形成されており、第4関節部2Dのフランジ部27aとフランジ部3aとが互いに固定されている。
【0062】
第2アーム3Bと第5関節部2Eとは、第2アーム3Bの長手方向と第5関節部2Eの軸方向とが直交するように連結されている。また、第5関節部2Eのケース本体41の、開口部41aが形成された側面に第2アーム3Bの先端が固定されている。第5関節部2Eと第6関節部2Fとは、第5関節部2Eの軸方向と第6関節部2Fの軸方向とが直交するように連結されている。また、第5関節部2Eのフランジ部27aに、第6関節部2Fのケース本体41の、開口部41aが形成された側面が固定されている。
【0063】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、ロータ14に固定される回転側規制部材45に、ロータ14の径方向の外側へ突出する複数の突起45aが周方向に一定の間隔で形成され、固定側規制部材46に、ロータ14の周方向における突起45aの間に入り込んでロータ14の周方向における回転側規制部材45の移動を規制するフランジ部46aが形成されている。また、本形態では、モータ7の停止時(すなわち、ロータ14の停止時)に、固定側規制部材46は、ロータ14の周方向における突起45aの間にフランジ部46aが配置される規制位置にある。
【0064】
そのため、本形態では、停止しているロータ14に回転方向の外力が作用した場合、ロータ14の周方向における突起45aとフランジ部46aとの隙間分はロータ14が回転することがあっても、この隙間以上にロータ14が回転することはない。したがって、本形態では、停止しているロータ14に回転方向の外力が作用しても、規制位置に配置される固定側規制部材46と回転側規制部材45とを用いて、停止しているロータ14の停止位置からのずれを抑制することが可能になる。その結果、本形態では、停止しているロータ14に回転方向の外力が作用しても、停止しているロボット1の姿勢のずれを抑制することが可能になる。
【0065】
本形態では、上下方向から見たときのフランジ部46aの直径D1は、ロータ14の周方向における突起45a間の距離Lの略半分になっている。そのため、本形態では、ロータ14の径方向においてフランジ部46aを小型化しつつ、停止しているロータ14の停止位置からのずれを抑制することが可能になる。したがって、本形態では、ロータ14の径方向で関節部2を小型化しつつ、停止しているロータ14の停止位置からのずれを抑制することが可能になる。
【0066】
本形態では、突起45aが、ロータ14の径方向の外側へ突出するように形成されている。そのため、本形態では、比較的広いスペースを確保しやすい回転側規制部材45の外周側に固定側規制部材46および駆動機構47を配置することが可能になる。したがって、本形態では、固定側規制部材46および駆動機構47を配置しやすくなる。
【0067】
本形態では、圧縮コイルバネ49は、規制位置に向かって固定側規制部材46を付勢している。そのため、本形態では、ロボット1の電源がオフになっていても、停止しているロータ14の停止位置からのずれを抑制することが可能になり、その結果、停止しているロボット1の姿勢のずれを抑制することが可能になる。
【0068】
本形態では、固定側規制部材46が規制位置にあるときに、ピン53の上端側の一部は、ケース体11の外部に突出しており、ケース体11の外部に突出しているピン53の上端側の一部がケース体11の内部に向かって押されると、規制位置にある固定側規制部材46は、規制解除位置へ移動する。そのため、本形態では、ロボット1の電源がオフになっていても、規制位置にある固定側規制部材46を手動等で規制解除位置へ移動させることが可能になる。したがって、本形態では、ロボット1の電源がオフになっていても、ロータ14を回転させて、ロボット1を動作させることが可能になる。
【0069】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0070】
上述した形態では、圧縮コイルバネ49が固定側規制部材46を上側へ付勢し、ソレノイド50が固定側規制部材46を下側へ移動させているが、圧縮コイルバネ49が固定側規制部材46を下側へ付勢し、ソレノイド50が固定側規制部材46を上側へ移動させても良い。また、上述した形態では、圧縮コイルバネ49によって固定側規制部材46が付勢されているが、引張りコイルバネ等の他のバネ部材によって固定側規制部材46が付勢されても良い。
【0071】
上述した形態では、突起45aは、ロータ14の径方向の外側へ突出するように形成されているが、突起45aは、ロータ14の径方向の内側へ突出するように形成されても良い。また、上述した形態では、上下方向から見たときのフランジ部46aの直径D1は、ロータ14の周方向における突起45a間の距離Lの略半分になっているが、直径D1は、距離Lの半分以下となっていても良い。また、直径D1は、距離L以下となっているのであれば、距離Lの半分以上となっていても良い。
【0072】
上述した形態では、プランジャ50aの上端部にピン53が固定されているが、プランジャ50aの上端部にピン53が固定されていなくても良い。この場合には、ソレノイド50の本体部50bよりも上側に突出するプランジャ50aの上端部の長さが長くなっており、プランジャ50aの上端部は、貫通孔42aの中に配置されている。また、固定側規制部材46が規制位置にあるときには、プランジャ50aの上端部は、ケース体11の外部に突出しており、ケース体11の外部に突出しているプランジャ50aの上端部がケース体11の内部に向かって押されると、規制位置にある固定側規制部材46が規制解除位置へ移動する。
【0073】
なお、プランジャ50aの上端部にピン53が固定されていない場合には、固定側規制部材46が規制位置にあるときにプランジャ50aの上端部がケース体11の内部に配置されていても良い。この場合には、カバー42に貫通孔42aが形成されていなくても良い。
【0074】
上述した形態では、剛性内歯歯車16が減速機8の出力軸となっているが、可撓性外歯歯車17が減速機8の出力軸となっていても良い。この場合には、剛性内歯歯車16がケース体11およびクロスローラベアリング19の内輪19aに固定され、可撓性外歯歯車17がクロスローラベアリング19の外輪19bおよび出力側部材27のフランジ部27aに固定される。また、上述した形態では、減速機8は、中空波動歯車装置であるが、減速機8は、中空波動歯車装置以外の中空減速機であっても良い。また、減速機8は、中空減速機以外の減速機であっても良い。また、上述した形態では、モータ7は、中空モータであるが、モータ7は、中空モータ以外のモータであっても良い。また、上述した形態では、モータ7は、いわゆるインナーロータ型のモータであるが、モータ7は、アウターロータ型のモータであっても良い。
【0075】
上述した形態では、ロボット1は、6個の関節部2を備えているが、ロボット1が備える関節部2の数は、5個以下であっても良いし、7個以上であっても良い。また、上述した形態では、ロボット1は、2本のアーム3を備えているが、ロボット1が備えるアーム3の数は、1本であっても良いし、3本以上であっても良い。また、上述した形態では、ロボット1の関節部2が、モータ7および減速機8等を有する回転アクチュエータによって構成されているが、回転アクチュエータは、ロボット1の関節部2以外に使用されても良い。たとえば、回転アクチュエータは、θステージ(回転ステージ)の駆動部等に使用されても良い。また、上述した形態では、ロボット1は、産業用ロボットであるが、ロボット1は、様々な用途に適用可能である。たとえば、ロボット1は、サービス用ロボットであっても良い。