特開2017-189159(P2017-189159A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特開2017-189159木質材料と鉄鋼スラグとの融合による漁礁
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-189159(P2017-189159A)
(43)【公開日】2017年10月19日
(54)【発明の名称】木質材料と鉄鋼スラグとの融合による漁礁
(51)【国際特許分類】
   A01K 61/77 20170101AFI20170922BHJP
   C04B 28/08 20060101ALI20170922BHJP
   C04B 18/26 20060101ALI20170922BHJP
   A01K 61/73 20170101ALI20170922BHJP
【FI】
   A01K61/00 313
   C04B28/08
   C04B18/26
   A01K61/00 315
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】書面
【全頁数】4
(21)【出願番号】特願2016-96482(P2016-96482)
(22)【出願日】2016年4月12日
(71)【出願人】
【識別番号】516140465
【氏名又は名称】柴田 博文
(71)【出願人】
【識別番号】515143005
【氏名又は名称】宮後 親治
(72)【発明者】
【氏名】柴田 博文
(72)【発明者】
【氏名】宮後 親治
【テーマコード(参考)】
2B003
4G112
【Fターム(参考)】
2B003AA01
2B003BB01
2B003BB03
2B003CC04
2B003CC05
2B003DD00
2B003DD02
2B003EE00
2B003EE04
4G112PA34
(57)【要約】
【課題】従来の人工漁礁は、コンクリートを用いたものが主流であったが、材質が無機質で、魚の棲み家として定着するには自然な環境とはほど遠いものがあった。
また、山林の間伐材の活用は間伐手入れが追い付かず、山林が荒廃するという課題があった。
更に、鉄鋼スラグの活用面でも新たな需要が求められていた。
【解決手段】鉄鋼スラグを活用し、型枠ブロックを製作する際に、木材丸太を埋め込んで漁礁を製作し、固形化したのち海中に敷設する。海中に敷設した後は経年と共に木材丸太は腐蝕消失しそのあとに空洞の穴が残る。
木材丸太は海中において腐蝕消失する際、海中生物への有機質の供給をつかさどり、その効果によりブロックの表面は藻の繁殖に適する環境を作る。木材丸太の腐蝕消失の跡にできた穴は、魚類の棲み家として格好の場所となる。
この技術により間伐材と鉄鋼スラグの有効利用を促進し、また、沿岸漁業の振興に寄与できる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄鋼スラグで製作する任意の大きさのブロックに任意の大きさの木材丸太を埋め込んだ漁礁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有効利用を求められている間伐材等の木質材料とリサイクル品である鉄鋼スラグとのそれぞれの長所を融合することにより、環境保全に合致した漁礁をはじめとする海中生物礁の製作に関する分野の技術である。
【背景技術】
【0002】
林業労働者の高齢化に伴う後継者不足により、戦後営々と築いてきた我が国の人工林は、荒廃の一途を辿っている。現在のところこの傾向に対する決定的な対策は見られない。
【0003】
良質の木材を生産するためには、その生育過程において適宜、技術と労力を伴う手入れの必要があるが、現在、林地の多くが放置された状態にある。中でも間伐がなされていなければ良質の木材生産は出来ないし、国土保全の観点からも問題がある。間伐材の有用な活用が種々模索されてはいるが、間伐材を伐採搬出し種々の加工を施しても全体的な需要の規模が小さく、その殆どが事業として採算がとれないのが現実である。
【0004】
このような状況の中で、事業として成立する間伐材の有効利用の技術開発が強く求められている。間伐材の大々的な有効利用が図られることは森林の荒廃を防ぎ、国土の保全はもとより弱体化した林業の活性化に期待できる。
【0005】
鉄鋼スラグはリサイクル製品として、セメント原料、コンクリート骨材、土木建築資材、肥料など多方面に有効利用されている。しかし、需給のバランスは依然として供給過剰の状態にあり、スラグの種類によっては利用範囲を更に広く求めて開発されなければならない
【0006】
従来、水産資源の生育環境の保全あるいは改良を図るため、漁礁、藻場を人工的に設置する方法がとられてきた。一般的にはコンクリートブロック、鉄製構造物、自然石等を海底に投入設置する方法である。
【0007】
最近は鉄鋼スラグをブロック化し漁礁、藻場造成に活用する取り組みがなされている。
【0008】
漁礁には、魚介類の棲みかを与える役目以外に、海中生物の生育に必要な有機物を与える必要もある。
【0009】
一例として、藻類の生育に必要な腐植酸鉄を供給するため廃木材チップを発酵させた腐植土とスラグの混合物を袋詰めしたものを海中に投入する技術も見られる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】「鐵鋼スラグ協会 環境資材鉄鋼スラグパンフレット2011」鐵鋼スラグ協会、2011年7月発行、p53
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
海中生物に必要な有機物を与える目的で、木質材料だけを使用して製作した漁礁を海底に設置しようとすれば浮力が働き、漁礁を安定して設置するための固定操作が非常に困難である。固定がしっかりとできなければ漁礁が波力、浮力で破損され逆に海浜の損傷を招きかねない、という課題が生じる。
【0012】
比重が大きく且つ無機成分である鐵鋼スラグだけで製作した漁礁では、固定操作は容易にできるが、海中生物の生育に必要な有機物の供給が不十分であると同時に、小魚の棲み家も不十分である、という課題が生じる。
【0013】
本発明は、以上の課題を解決しようとするものであり、その方法、手段について以下に述べる。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、型枠を使用し鉄鋼スラグでブロックを製作する段階で、スラリー状の中に適量の木材丸太をブロックの中に埋め込むことによって上記課題を解決するものである。即ち比重2.1〜2.2の鉄鋼スラグを使用することにより、漁礁として設置した場合の安定性を確保できる。また木材丸太を埋め込むことにより藻の繁殖に必要な有機物の供給が出来る。
【0015】
更に、この木材丸太は2〜3年で腐蝕消失するので、消失した後には空洞の穴が出来る。この穴は、小魚の格好の棲み家として自然に出来ることになる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の効果は、まず第一に間伐材の有効利用を促進させることにより、採算の取れる山林経営に役立つと同時に間伐の促進により国土の保全に大きく貢献できる。
【0017】
第二に鉄鋼スラグをリサイクル品として更に広く利用できる。
【0018】
第三に海浜の藻場の造成を促進させる。
【0019】
第四に従来の漁礁を凌駕する効果を得ることができ沿岸漁業の発展に寄与できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】 本発明の実施形態を示す正面図
図2】 同木材丸太を埋め込んだ平面図
図3】 同木材丸太が腐蝕消失した平面図
【発明を実施するための形態】
以下、本発明の形態を図1図3に基づいて説明する。
【0021】
図においては、1はスラグを用いたブロック本体で大きさは状況に応じて任意とする。2は鉄鋼スラグのスラリーを型枠に投入した時点で木材丸太を埋め込んだ状態を示す。木材丸太の大きさは樹種、直径、長さ何れも任意とする。3は木材丸太がスラグスラリーに埋め込まれた状態を示す。4は木材丸太が経年と共に腐蝕消失し、そのあとに穴が残った状態を示す。
【0022】
漁礁として海中に敷設するのは図2の状態で、横並び、縦並び、積み上げ等敷設面の地形に応じて任意に敷設する。この際、木材丸太が腐蝕消失した後の穴を他のブロックでふさがないよう、敷設に注意を要する。
【符号の説明】
【0023】
1 鉄鋼スラグを使用したブロック
2 ブロックに埋め込んだ木材丸太
3 ブロックに埋め込まれて見えない部分の木材丸太
4 埋め込んだ木材丸太が経年と共に腐蝕消失し、そのあとに残った穴
図1
図2
図3