【解決手段】ポリアミド系樹脂からなる強度保持層11と、オレフィン系樹脂からなるヒートシール層13と、ヒートシール層と強度保持層の間にエチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物を含有するガスバリア層12と、を有する多層フィルムを用いたバルーンの製造方法であって、一対の多層フィルムを貼り合わせてバルーン1を製造するバルーン形成工程を備えており、バルーン形成工程において、貼り合わされる一対の多層フィルムの水分含有量が0.7%以上となるように調整されている。
ポリアミド系樹脂からなる強度保持層と、オレフィン系樹脂からなるヒートシール層と、該ヒートシール層と前記強度保持層の間にエチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物を含有するガスバリア層と、を有する多層フィルムを用いたバルーンの製造方法であって、
一対の多層フィルムを貼り合わせてバルーンを製造するバルーン形成工程を備えており、
該バルーン形成工程において、貼り合わされる一対の多層フィルムの水分含有量が0.7%以上となるように調整されている
ことを特徴とするバルーンの製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかるに、上述した特許文献1〜2の多層フィルムは、シート状に形成した場合、多層フィルム断面が露出した部分において、ポリアミドからなる強度保持層とポリエチレンからなるシール層との収縮応力の差に起因したカール現象が発生する。具体的には、強度保持層が外面に、シール層が内面にそれぞれ位置するように配置した場合、両端縁が内方に向かって巻き込むようにカールしてしまう。
【0009】
そして、このようなカール現象が発生したフィルムを製造ライン(機械により自動的にバルーンを製造するためのライン)に流せば、上下の図柄が揃わない等の不具合を引き起こしてしまう。このため、上述した特許文献1〜2の多層フィルムを用いてバルーンを製造するに場合には、通常のバルーンの製造ラインを使用することができないという問題がある。
【0010】
したがって、現状では、特許文献1〜2の多層フィルムを用いてバルーンを製造する場合には、全て手作業で製造しなければならないので、生産性が非常に低いといった問題が発生している。しかも、手作業で製造する場合であっても、バルーン片の型抜き工程では、型抜きをしたバルーン片の周縁部にカール現象が発生するので、貼り合わせ作業や、絵柄等の位置合わせに非常に時間と手間がかかるといった問題が生じている。
【0011】
このため、特許文献1〜2のような透光性および高いガスバリア性を有しつつ、立体形状を球にすることができるフィルムを用いたバルーンを製造ラインを用いて自動的に製造することができる方法の開発が望まれている。
【0012】
本発明は上記事情に鑑み、透光性を有するバルーンを効率よく製造することができるバルーンの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
第1発明のバルーンの製造方法は、ポリアミド系樹脂からなる強度保持層と、オレフィン系樹脂からなるヒートシール層と、該ヒートシール層と前記強度保持層の間にエチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物を含有するガスバリア層と、を有する多層フィルムを用いたバルーンの製造方法であって、一対の多層フィルムを貼り合わせてバルーンを製造するバルーン形成工程を備えており、該バルーン形成工程において、貼り合わされる一対の多層フィルムの水分含有量が0.7%以上となるように調整されていることを特徴とする。
第2発明のバルーンの製造方法は、第1発明において、前記バルーン形成工程は、筒状の多層フィルムをカットして、一対の多層フィルムを形成するカット工程を備えており、カットする前の前記筒状の多層フィルムの水分含有量を調整する水分量調整工程を有していることを特徴とする。
第3発明のバルーンの製造方法は、第2発明において、前記水分量調整工程において、前記筒状の多層フィルムに対してミストを接触させることを特徴とする。
第4発明のバルーンの製造方法は、第1発明において、前記バルーン形成工程では、前記多層フィルムを巻き取った原反フィルムを巻き戻して該多層フィルムが供給されており、前記多層フィルムをロール状に巻き取って原反フィルムを形成する原反フィルム形成工程において、前記多層フィルムを巻き取る前に、該多層フィルムに対して水分を付与することを特徴とする。
第5発明のバルーンの製造方法は、第1発明において、前記バルーン形成工程に供給される前記多層フィルムに印刷が行われており、前記多層フィルムに印刷を行う印刷工程において、該多層フィルムに対して水分を付与することを特徴とする。
第6発明のバルーンの製造方法は、第1発明、第2発明、第3発明、第4発明または第5発明において、前記バルーン形成工程は、筒状の多層フィルムをカットして形成された、一対の多層フィルム間に逆止弁を配置する逆止弁取付工程を備えていることを特徴とする。
第7発明のバルーンの製造方法は、第1発明、第2発明、第3発明、第4発明、第5発明または第6発明において、前記ポリアミド系樹脂が、ナイロン66成分を含有するものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
第1発明によれば、バルーン形成工程に供給される一対の多層フィルムの水分含有量が所定の量に調整されているので、製造ラインにおいて、一対の多層フィルムの端縁がカールすることなく、ほぼ真っ直ぐな状態に維持される。このため、透光性を有しつつ強度とガスバリア性を備えた多層フィルムのライン適性を向上させることができる。すると、かかる機能(透光性およびガスバリア性)を備えたバルーンを効率よく生産することができる。
第2発明によれば、カットする前の筒状の多層フィルムの水分含有量が所定の量に調整されているので、カット後の一対の多層フィルムの端縁をほぼ真っ直ぐな伸びた状態に維持することができるから、一対の多層フィルムのライン適性をより向上させることができる。
第3発明によれば、筒状の多層フィルムに対して接触させるミストを調整することによって、筒状の多層フィルムの水分含有量を容易に調整することができる。
第4発明によれば、原反フィルムの状態で多層フィルムが所定の水分含有量に調整されているので、必要に応じてバルーン形成工程に水分含有量を調整した多層フィルムを供給することができる。このため、バルーンをより計画的かつ効率よく製造することが可能となる。
第5発明によれば、印刷しながら多層フィルムに対して簡単に水分を付与することができる。
第6発明によれば、帯状の多層フィルムが連続して流れている状態で逆止弁を取り付けることができる。しかも、かかる取付作業を機械を用いて行うことが可能となるので、逆止弁の取付作業を効率よく行うことができる。
第7発明によれば、強度保持層に吸湿性の高いナイロン66成分を含有しているので、多層フィルムの端縁がカールするのを確実に防止して、ほぼ真っ直ぐな状態を長時間に渡って維持させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明のバルーンの製造方法は、多層フィルムの水分含有量を調整することによって、透光性を有するバルーンを効率よく生産できるようにしたことに特徴を有している。
【0017】
(バルーン1について)
まず、本発明のバルーンの製造方法について説明する前に、
図2に基づいて、本発明のバルーンの製造方法により製造したバルーンについて説明する。
図2に示すように、本発明のバルーンの製造方法によって製造される風船(バルーン)1は、本体部10と、本体部10内に所定のガス(例えば、空気や、ヘリウムガスなどの浮遊性を有するガス)を供給するガス供給口に設けられた逆止弁2を備えている。
なお、バルーン1の本体部10のガス供給口には、その内部に浮遊性のガスを供給した際、空中で浮遊した状態を維持させておくための紐Stが設けられていてもよい。
【0018】
バルーン1の本体部10は、透光性を有する多層フィルムからなる部材であり、
図3に示すように、複数の層(強度保持層11、ガスバリア層12、ヒートシール層13)が積層した構造を有する多層フィルムから構成されている。
【0019】
(強度保持層11について)
図3に示すように、バルーン1の本体部10を構成する多層フィルムの強度保持層11は、ポリアミド系樹脂からなる層であり、バルーン1の本体部10の表面側に位置するように積層されている。
この強度保持層11の素材であるポリアミド系樹脂は、外部からの衝撃耐性を有するものであれば、とくに限定されない。例えば、ポリアミド系樹脂として、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン6とナイロン66の共重合体、ナイロン12、ナイロン6とナイロン66とナイロン12の三元共重合体などを挙げることができる。これらの化合物は、単独で使用されてもよく、2種以上を混合して使用してもよい。とくに、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン6とナイロン66の共重合体を主成分とすれば、引張強度や衝撃耐性を向上させることができるという利点がある。
また、ナイロン66成分を含有すれば、強度保持層11に対して高い吸水性を付与することができる。この場合、後述する水分量調整工程を行えば、より長い期間水分を保持させておくことができるから、後述するカール現象の発生をより確実に抑制することができる。
なお、ナイロン66成分を含有するとは、ナイロン66と他の樹脂とをブレンドしたものだけでなく、ナイロン66と他の樹脂を共重合したものを含む概念である。
【0020】
強度保持層11の厚みは、とくに限定されない。例えば2μm以上が好ましく、より好ましくは、5μm以上10μm以下である。強度保持層11の厚みが2μmよりも薄くなると多層フィルムの強度が不足してしまう。その逆に、10μmよりも厚くなると多層フィルムが硬くなり、バルーンの形状がいびつに成り易い。また、多層フィルムが重くなるため、得られるバルーンが浮遊し難くなる。
【0021】
(ヒートシール層13について)
図3に示すように、バルーン1の本体部10を構成する多層フィルムのヒートシール層13は、オレフィン系樹脂からなる層であり、バルーン1の本体部10の内面側に位置するように積層されている。
このヒートシール層13の素材であるオレフィン系樹脂は、多層フィルムから所定の形状のバルーン片(
図2ではバルーン片10a、10b)を切り取ながらシールする溶断シールができるものであれば、とくに限定されない。例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、プロピレン−エチレンランダム共重合体などを挙げることができる。これらの化合物は、単独で使用されてもよく、2種以上を混合して使用してもよい。とくに、直鎖状低密度ポリエチレンを主成分とすれば、溶断シール可能な温度領域が広くすることができる。
【0022】
ヒートシール層13の厚みは、とくに限定されない。例えば、ヒートシール層13の厚みが5μm以上となるように調整するのが好ましく、より好ましくは、7μm以上20μm以下となるように調整する。ヒートシール層13の厚みが5μmよりも薄くなると、シール強度が不足し、バルーンにガスを充填した際にシール部から破袋する恐れが生じる。その逆に、20μmよりも厚くなると多層フィルムが重くなるため、得られるバルーンが浮遊し難くなる。
【0023】
(ガスバリア層12について)
そして、
図3に示すように、バルーン1の本体部10を構成する多層フィルムのガスバリア層12は、エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物(EVOH)を含有する層であり、強度保持層11とヒートシール層13の間に位置するように積層されている。
このガスバリア層12の素材の主成分であるエチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物(EVOH)は、バルーン1の本体部10内に充填したヘリウムガスなどの浮遊性のガスを通過させにくいものである。なお、このガスバリア層12には、必要に応じてエラストマー成分などを混合してもよい。
【0024】
例えば、バルーン1の本体部10の形状が球状の場合、その直径(膨らます前のフィルム片における直径)が約490mm、充填するガスがヘリウムガスの場合、バルーン1の本体部10を構成する多層フィルムの厚さは、約20〜40μmとなるように形成することができる。
そして、このときの多層フィルムを構成する各層の厚さは、それぞれの機能を発揮させることができる厚さとなるように形成されている。例えば、強度保持層、ガスバリア層およびヒートシール層のそれぞれの厚さは、2μm以上、2μm以上、5μm以上となるように形成することができる。多層フィルムは、各層の厚さが上記のごとき値となるように調整されていれば、各層間に後述するような別の層を設けてもよい。なお、この場合、多層フィルムは、多層フィルム全体の厚さが上記範囲内となるように調整するのが望ましい。
【0025】
以上のごとき構成を有する多層フィルムは、透光性、ガスバリア性およびヒートシール性を有するので、本発明の製造方法により製造したバルーン1の本体部10内にヘリウムガスなどを充填して膨張させれば、透光性を有するバルーン1を長期間(例えば、14日間)空中に浮遊させておくことができる。
しかも、このバルーン1は、高い透光性を有するので、色彩(色付け)の自由度を向上させることができる。このため、バルーン1の使用用途の自由度をより向上させることができる。
【0026】
また、バルーン1の本体部10を構成する多層フィルムは、後述するように各層が一体的に積層されている。かかる積層方法としては、公知の方法を採用することができる。例えば、後述する共押出機を用いれば、各層を所望の順に積層した多層フィルムを形成することができる。
そして、このバルーン1の本体部10内にヘリウムガスなどを充填して膨張させれば、いびつな形状になるのを防止することができる。例えば、一対の真円のバルーン片の周縁を溶着したバルーン1の本体部10内にヘリウムガスなどを充填して膨張させれば、バルーン1の本体部10を球状にすることができる。一方、各層を接着性樹脂等を用いてラミネート加工した多層フィルムは弾性に乏しいため、かかるフィルムを用いて同様に真円の一対のバルーン片を貼り合わせたバルーンの本体部の場合には、本体部を球状にすることができず、いびつな卵形もしくはバンズを連結させたような形状となる。
【0027】
本実施形態のバルーン1の製造方法により製造したバルーン1では、本体部10を膨張させた際にバルーン片の貼り合わせ部にしわが発生するのを防止することができる。つまり、貼り合わせた箇所がほとんど認識されないように形成することができる。
このため、外観上の見た目も非常にすっきりとさせることができるので、意匠性を向上させることができる。かかる理由は、本実施形態のバルーンの製造方法の特徴である水分量調整工程によって、本体部10を構成する多層フィルムの強度保持層11とヒートシール13との収縮応力の差を小さくすることができるからであるが、その詳細は後述する。
【0028】
なお、バルーン1の本体部10を構成する多層フィルムは、上記層構造を有していれば、各層間に他の原料からなる別の層を積層させてもよい。
例えば、ガスバリア層とヒートシール層の間に酸変性ポリエチレン等の接着性樹脂層を設ければ、ガスバリア層とヒートシール層との層間接着強度を高めることができる。また、ガスバリア層と接着性樹脂層の間に、第二のポリアミド層を設ければ、層間接着強度をさらに高めることができる。
【0029】
また、本明細書中の多層フィルムが透光性を有するとは、印刷が施される前の多層フィルムに光を照射した場合、光の透過率が極めて高く、多層フィルムを通して反対側のものが透けて見える状態のほか、透過する光が拡散されまたは透過率が低いため多層フィルムを通して反対側のものが見えにくい状態のものも含まれる概念である。
この透光性は、ヘイズメータを用いて測定することが可能である。例えば、ヘイズ値が10%以下の場合、透明性を有し、10%を超えると、透光性が低く不透明な状態を意味する。
【0030】
つぎに、
図1のフロー図に基づいて、上記のごときバルーン1を製造する方法について、説明する。
【0031】
図1に示すように、本実施形態のバルーン1の製造方法は、バルーン1の本体部10を構成する多層フィルムが、製造工程において所定の水分含有量となるように調整する水分量調整工程を含んでいることに特徴を有している。
【0032】
この多層フィルムの水分含有量は、例えば、0.7%以上となるように調整するのが好ましく、より好ましくは1%以上であり、さらに好ましくは1.1%以上となるように調整する。なお、水分含有量に上限はないが、通常2%以上含有させることは困難である。かかる多層フィルムの水分含有量が0.7%よりも低ければ、多層フィルムの端縁がカールすることを十分に抑制できない。したがって、水分量調整工程において、かかる多層フィルムの水分含有量が0.7%以上、より好ましくは上記範囲内となるように調整する。
【0033】
なお、多層フィルムの水分含有量の算出方法は、以下の方法により算出することができる。
まず、多層フィルムを1平方メートルの大きさに切り取り、その重量(a1)を測定する。ついで、この切り取ったフィルムを105℃で2時間乾燥して、乾燥後の重量(a2)を測定する。そして、得られた値をつぎの式に代入すれば、多層フィルムの水分含有量を算出することができる。
((a1−a2)/a1)×100(%)
【0034】
多層フィルムの水分含有量が、上記のごとく調整されているので、多層フィルムに発生するカール現象を抑制することができる。このため、後述するように、本実施形態のバルーン1の製造方法のバルーン形成工程に供給される筒状の多層フィルムをカットしても、カール現象が発生するのを防止できる。
すると、筒状の多層フィルムをカットした一対の多層フィルム間に機械的に逆止弁を取り付けることも可能となる。つまり、帯状の多層フィルムが連続して流れている状態で、逆止弁を取り付けることができる。
したがって、従来のように、人の手で型抜きされたバルーンに逆止弁を取り付ける作業をしなくてもよくなるので、以下に説明するように、バルーン1を効率よく製造することができる。言い換えれば、多層フィルムの水分量を調整することによって、多層フィルムのライン適性を向上させることができるのである。
【0035】
まず、本発明のバルーン1の製造方法の全体を説明する前に、
図1に基づいて、上記のごとき水分含有量が調整された多層フィルムを用いて、バルーン1を形成する工程について説明する。
【0036】
(バルーン形成工程について)
本実施形態のバルーン1の製造方法(以下、単に本製法という)のバルーン形成工程は、カット工程と、逆止弁取付工程と、型抜貼合工程とを順に行い、バルーン1を形成する工程である。
【0037】
(カット工程)
この本製法のバルーン形成工程では、まず、筒状の多層フィルムを巻き取った原反フィルムから巻き戻した筒状の多層フィルムをカットして、一対の多層フィルムを形成する。この際、筒状の多層フィルムの水分含有量が0.7%以上になっているので、カットされた端縁がカールせずに、ほぼ真っ直ぐな状態に維持される。なお、カール現象については、後述する。
【0038】
(逆止弁取付工程)
カット工程で形成された一対の帯状の多層フィルムは、互いに離間されて、両者間に隙間を形成する。具体的には、上下一対の帯状の多層フィルムの内面(つまりヒートシール層が位置する面)同士を対向させた状態で両者間に所定の距離が形成されるように離間させる。かかる状態で、帯状の多層フィルムの流れ方向(つまり長軸方向)と交差する方向(例えば、帯状の多層フィルムの側方側)から逆止弁2を両者間に挿入して、下方に位置する帯状の多層フィルムの所定の箇所に設置する。その後、上下一対の帯状の多層フィルムの内面が略接触するように接近させながら、次の型抜貼合工程に送り出す。
【0039】
(型抜貼合工程)
逆止弁取付工程で逆止弁が取付られた一対の帯状の多層フィルムは、互いの内面(つまり、ヒートシール層)が略接触するように接近させた状態で、かかる一対の帯状の多層フィルムを型抜きされながら、その周縁を熱を加えて溶着される。
この型抜貼合工程は、一般的な方法を採用することができる。例えば、所定の形状に形成された型に熱を加え、重ね合わせた一対の帯状の多層フィルムの上方から下方に向かって押圧すれば、型抜きと同時にその周縁を溶着することができる。その後、所定の形状に溶着した帯状の多層フィルムを進行方向に送り出しながら、所定のサイズ毎に切断した後、かかる多層フィルムから溶着周辺のフィルムを切り取れば、所定の形状のバルーン1を形成することができる。
【0040】
なお、逆止弁取付工程において、逆止弁2を取り付ける手段は、とくに限定されず、手作業でも機械を用いてもよい。また、かかる逆止弁2を帯状の多層フィルムに固定する方法もとくに限定されない。例えば、ヒートシール等で固定すれば、製造ライン上で逆止弁2が外れることがない。
また、カット工程において、筒状の多層フィルムの両端から切り開く方法は、とくに限定されない。例えば、筒状の多層フィルムの両端の所定の位置にトリミング装置を配設する。このトリミング装置には、多層フィルムの幅方向に向かって出没可能なブレードが設けられている。このため、トリミング装置からブレードを多層フィルムの両端から若干内方に位置するように突出させれば、筒状の多層フィルムを両端から切り開くことができる。
【0041】
(カール現象について)
上述したように、カット工程に供給される筒状の多層フィルムは、水分量調整工程によって所定の水分含有量となるように調整されている。
このため、筒状の多層フィルムの両端を切り開いて一対の帯状の多層フィルムを形成した際、かかる帯状の多層フィルムの両端がカールするカール現象が発生するのを抑制することができる。
【0042】
以下では、カール現象についての概略を説明する。
筒状の多層フィルムを切り開いて帯状の多層フィルムを形成したときに、切り開いた部分には収縮応力が働く。多層フィルムは、上述したように、その外面側にポリアミド系樹脂からなる強度保持層が位置する一方、その内面側にオレフィン系樹脂からなるヒートシール層が位置するように形成されている。そして、オレフィン系樹脂からなるヒートシール層は、その収縮応力がポリアミド系樹脂からなる強度保持層と比べて大きくなるという性質を有している。
【0043】
したがって、上記のごとき水分量の調整を行わなければ、帯状の多層フィルムの両端部では、両者間の収縮応力の差によって両端縁が内方に向かって巻き込んだ状態となる。つまり、帯状の多層フィルムの両端部において、強度保持層が位置する面を凸にしてカールするという現象が発生するのである。
このカール現象は、帯状の多層フィルムの両端部において、帯状の多層フィルムの幅方向の長さの約10%の長さをそれぞれ巻き込む場合がある。例えば、帯状の多層フィルムの幅方向の長さが約600mmの場合、両端部において、それぞれ約60mmのカールが発生してしまう。しかも、その高さが約20〜30mm程度になる。このため、上述した逆止弁取付工程では、かかるカール現象によって一対の帯状の多層フィルム間に形成された隙間が塞がれてしまい、上述した逆止弁の取付が行うことができないという状態になる。
【0044】
しかしながら、本実施形態のバルーン1の製造方法では、上記のごとき多層フィルムの水分含有量を調整することによって、両者間(強度保持層11とヒートシール層13間)に発生する収縮応力の差を小さくすることができる。このため、筒状の多層フィルムを切り開いて帯状の多層フィルムを形成した場合、帯状の多層フィルムの両端部にカール現象が発生するのを抑制することができる。つまり、筒状の多層フィルムは、その両端をカットしたとしても、カットされた端縁がカールせずに、ほぼ真っ直ぐに伸びた状態(多層フィルムが扁平な状態)に維持させる。
【0045】
すると、カール現象に起因して発生する上記のような不具合の発生を防止することができるので、バルーン1の製造をスムースに行うことができる。しかも、帯状に形成した多層フィルムが幅方向においてほぼ真っ直ぐに伸びた状態でバルーン形成工程における各工程に連続して送り出すことができる。このため、カール現象に起因した不具合を製造ラインに発生させるおそれがなく、しかも逆止弁の取付作業等の従来手作業で行っていた作業を機械的に行うことが可能となる。すると、透光性を有しつつ強度とガスバリア性を備えたバルーン1を効率よく生産することができる。
【0046】
とくに、強度保持層11のポリアミド系樹脂として、ナイロン66成分を含有すれば、両者間に発生する収縮応力の差をより低減することができる。
【0047】
なお、
図4(A)に示すように、逆止弁2の中心軸が帯状の多層フィルムの移動軸に平行となるように配設することができる。この場合、バルーン1の縦軸も帯状の多層フィルムの移動軸と平行となる。
一方、逆止弁2の中心軸が帯状の多層フィルムの移動軸に対して交差するように配置してもよい。例えば、
図4(B)または
図4(C)に示すように、逆止弁2の中心軸と帯状の多層フィルムの移動軸のなす角が、90°よりも小さくなるように配置することができる。このとき、バルーン1の縦軸も帯状の多層フィルムの移動軸に対して交差するようになる。この場合、帯状の多層フィルムの移動軸方向におけるバルーン1の距離L2は、バルーン1の縦軸が帯状の多層フィルムの移動軸と平行となるように形成する場合(
図4(A)では距離L1)と比べて、短くすることができる。したがって、逆止弁2の中心軸(つまりバルーン1の縦軸)が帯状の多層フィルムの移動軸に対して交差するように配置すれば、帯状の多層フィルムを有効に利用することができるので、歩留まりを向上させることができるという利点がある。
【0048】
(水分量調整工程の配置箇所について)
水分量調整工程は、本実施形態のバルーン1の製造方法のバルーン形成工程において貼り合わされる多層フィルムの水分含有量が、上述したように、所定の量となるように調整することができれば、その設置箇所はとくに限定されないし、多層フィルムに対して水分を付与する方法もとくに限定されない。
例えば、
図1に示すように、バルーン形成工程の直前や、バルーン形成工程内のカット工程の直前、印刷工程内、原反フィルム形成工程の巻取工程の直前など、様々な箇所に設けることができる。
【0049】
(カット工程の直前に水分量調整工程を設ける場合)
例えば、バルーン形成工程内のカット工程の直前に水分量調整工程を設ける場合には、次工程に対する水分の影響が小さくなる方法が好ましい。例えば、筒状の多層フィルムに対してミストを接触させる方法を挙げることができる。この場合、ミストの状態を調整するだけで、多層フィルムに付与する水分量を簡単に調整することが可能となる、また、ミストの粒子の大きさを調整すれば、短い接触時間で強度保持層の内部まで水分を供給することが可能となるので、短い接触時間で多層フィルムの水分含有量が所定の状態となるように調整することが可能となる。しかも、多層フィルムに対して接触させる水分がミスト状であるので、多層フィルムを特別に乾燥させないままで次工程に供給しても、次工程の作業に影響を与える可能性が低い。以上のごとき構成とすれば、水分量調整工程の構造をコンパクトにすることが可能となる。
【0050】
(印刷工程内に水分量調整工程を設ける場合)
筒状の多層フィルムに対して被印刷物を印刷する方法は、とくに限定されず、公知の方法、例えば、グラビア印刷法、フレキソ印刷法、ドライオフセット印刷法、凸版印刷法、シルクスリーン印刷法などを採用することができる。しかし、印刷工程内に水分量調整工程を設ける場合には、絵柄等を筒状の多層フィルムに対して印刷する際に水分を付与する構造とすることが望ましい。例えば、グラビア印刷法やフレキソ印刷法を用い、インキに代えて水を印刷すれば、特別な装置を用いなくてもよいので、その構造をより単純化することができる。
【0051】
(原反フィルム形成工程内に水分量調整工程を設ける場合)
原反フィルム形成工程の巻取工程の直前に水分量調整工程を設けた場合、バルーン形成工程を既存の設備をそのまま利用することができるという利点がある。
また、かかる水分量調整工程において、ロール状に巻かれる筒状の多層フィルムの水分含有量を調整すれば、ある程度の期間原反フィルムを保管しておいても、カール現象が発生しない筒状の多層フィルムをバルーン形成工程に供給することができる。すると、必要に応じてバルーン形成工程に所定の筒状の多層フィルムを供給することができるので、より計画的かつ効率よくバルーン1を製造することが可能となる。
【0052】
とくに、多層フィルムの強度保持層11が原料としてナイロン66を含有するのが望ましい。ナイロン66は、他のナイロン(例えば、ナイロン6やナイロン12など)と比べて高い吸湿性を有している。このため、他のナイロンを原料とする場合と比べてより長期間所定の水分量を多層フィルム(強度保持層)に保持させておくことができる。すると、原反フィルムの保管の自由度を向上させることができるので、さらに計画的なバルーン1の製造が可能となる。
【0053】
以下では、
図1に基づいて、原反フィルム形成工程の巻取工程の直前に水分量調整工程を設けた場合について、具体的に説明する。
【0054】
本製法の原反フィルム形成工程は、多層フィルムの原料となる樹脂から多層フィルムを形成した後、ロール状の原反フィルムにする工程であり、製膜工程、延伸工程、水分量調整工程、巻取工程の順に行われる。
【0055】
(製膜工程)
本製法の原反フィルム形成工程の製膜工程は、原料である複数の樹脂から未延伸の多層フィルムを製膜する工程である。この未延伸の多層フィルムは、原料である複数の樹脂を共押出機に供給し、共押出機により溶融され所定の順に積層されてサーキュラーダイスによりチューブ状に押し出される。このチューブ状の溶融樹脂は、サーキュラーダイスの下流側でインフレーション法等を用いて所定の径に膨らませた後、水冷リングにより冷却されて膜状に形成される。そして、筒状に形成された膜状の多層フィルム(つまり未延伸状態の多層フィルム)は、扁平に折り畳まれて、次工程の延伸工程へ送り出される。
【0056】
なお、未延伸の多層フィルムは、上述したようにサーキュラーダイス等を用いて筒状に形成するほか、共押出のT―ダイ法を用いることも可能である。しかし、上述したように、多層フィルムは、両端が露出するように形成すれば、強度保持層とヒートシール層の収縮応力の差によってカール現象が発生する可能性がある。このため、原反フィルムを形成するまでの工程において、不具合の発生を抑制する上では、多層フィルムが無縁端の筒状となるように形成するのが望ましい。
【0057】
(延伸工程)
製膜工程で形成された未延伸の多層フィルムは、加温された後、所定の延伸倍率となるように延伸される。
この延伸工程では、未延伸状態の筒状の多層フィルムを所定の延伸倍率となるように調整することができる延伸方法であれば、とくに限定されない。例えば、公知のテンター式延伸機や、ロール延伸などの1軸延伸機を用いた1軸延伸方法、ロール式延伸機とテンター式延伸機を用いた逐次2軸延伸方法、テンター式同時2軸延伸機やチューブラー同時二軸延伸機を用いた同時二軸延伸方法などを採用することができる。しかしながら、筒状の多層フィルムを筒状のまま延伸するには、チューブラー同時二軸延伸機を用いた方法が最も適する。
【0058】
以下では、延伸工程の延伸機としてチューブラー同時二軸延伸機を用いた同時二軸延伸方法により、未延伸の筒状の多層フィルムを延伸する工程を代表として説明する。
【0059】
延伸方法として、チューブラー同時二軸延伸方法を採用すれば、縦横の物性バランスが整ったフィルムを形成することができる。つまり、かかる延伸方法により延伸した筒状の多層フィルムを用いれば、バルーン1の本体部10にヘリウムガスなどを充填して膨張させた場合、膨張前の形状(例えば、真円)に対して膨張後の形状がいびつな形状(例えば、卵形)になるのを防止することができる。
【0060】
チューブラー同時二軸延伸装置を用いた場合、その縦横の延伸倍率は同程度であることが好ましく、それぞれ1.5倍以上5倍以下であることが望ましい。延伸倍率が1.5倍未満であれば、縦横の物性のバランスが整わない(近似しない)ため、膨張後の形状がいびつに成り易い。一方、5倍よりも大きくなれば、バルーン1の本体部10にヘリウムガスなどを充填する際に、シール部分が裂ける恐れが生じる。
【0061】
チューブラー同時二軸延伸装置を用いて延伸された筒状の多層フィルムは、所定の温度で熱固定処理(熱セット)が行われて、縦横の物性バランスが整った安定した状態のフィルムとなる。ついで、この筒状に形成された多層フィルムは、扁平に折り畳まれて、次工程の水分量調整工程へ送り出される。
【0062】
(水分量調整工程)
延伸工程で所定の延伸倍率となるように調整された筒状の多層フィルムに対して水分を付与することによって、筒状の多層フィルムの水分含有量が所定の量となるように調整する。水分を調整する方法は、とくに限定されないが、例えば、以下のような方法を採用することができる。
【0063】
まず、この水分量調整工程では、延伸工程から供給された筒状に形成された多層フィルムを水槽に満たされた水の中に浸漬させる。ついで、水槽から排出した筒状の多層フィルムの表面に付着した水滴を温風で吹き飛ばす。そして、所定の水分含有量に調整された筒状の多層フィルムは、折り畳まれた状態で次工程の巻取工程へ送り出される。
【0064】
この水分量調整工程において、筒状の多層フィルムを浸漬させる時間は、多層フィルムの層構成に応じで適宜変更することができる。例えば、強度保持層の材質がナイロン66成分を含むポリアミドであり、厚みが2〜10μm、ヒートシール層の材質が直鎖状低密度ポリエチレン、厚みが5〜20μm、ガスバリア層の主成分がエチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物、厚みが2〜10μmの多層フィルムの場合、浸漬時間を約5〜60秒間とすれば、かかる多層フィルムの水分含有量が約0.7%以上となるように調整することができる。そして、かかる筒状の多層フィルムは、下流側に位置する温風発生装置に供給される。この温風発生装置は、扁平な筒状の多層フィルムに風を吹き付けて余分な水分を除去するために設けられている。なお、温風の温度や強度を調整することによって、排出時の多層フィルムの水分含有量を調整することが可能となる。
【0065】
本製法の原反フィルム形成工程の最後の工程である巻取工程は、水分量調整工程から供給された筒状の多層フィルムを折り畳んだ状態でロール状の原反フィルムに巻き取る工程である。
【0066】
以上のごとき工程により形成した筒状の多層フィルムは、原反フィルムにした状態で水分含有量が0.7%以上の状態をある程度の期間維持させることができる。例えば、上記水分量調整工程において、乾燥後の筒状の多層フィルムの水分含有量が0.7%以上となるように調整した場合、常温の保管庫内で約6カ月間保管しておくことができる。
【0067】
上記例では、バルーン形成工程に供給される多層フィルムが、筒状に形成された状態の場合について説明したが、帯状の状態で供給されるようにしてもよい。
具体的には、原反フィルム形成工程において、水分調整工程と巻取工程の間に上述したようなカット工程を設ける。この場合、かかるカット工程によって、水分調整工程から送り出された筒状の多層フィルムの一端をカットして広幅の多層フィルムに形成することができる。そして、このカット工程から送り出された広幅の多層フィルムは、巻取工程において、ロール状の広幅原反フィルムに形成される。このように多層フィルムを広幅に形成すれば、以下のような効果を奏する。
【0068】
印刷工程において、多層フィルムが広幅に形成されているので、その片面に、バルーンの表柄と裏柄を並べて一度に印刷することができる。このため、印刷工程の作業性を向上させることができる。しかも、片面しか印刷できない印刷機を用いて印刷を行うことができるので、両面印刷機等の特別の装置を設けなくてもよい利点も得られる。なお、多層フィルムを広幅に形成した場合、バルーン形成工程では、広幅原反フィルムを巻き戻して、半折にして内面同士を対向させた状態の広幅の多層フィルムを逆止弁取付工程に供給される。逆止弁取付工程に供給された半折状態の広幅の多層フィルムは、離間した端縁同士の隙間から、上述した一対の多層フィルムを用いた場合と同様の方法で逆止弁が取り付けられる。
【実施例】
【0069】
(実験1)
本発明のバルーンの製造方法によってバルーン製造すれば、製造時におけるカール現象の発生を防止できることを確認した。
【0070】
実験では、まず、インフレーション法を用いて、筒状の多層フィルムを製造した(製膜工程に相当)。この多層フィルムは、外側の面から内側の面に向かって順に、ナイロン6とナイロン66の共重合体層(強度保持層に相当)、エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物層(ガスバリア層に相当)、ナイロン6とナイロン66の共重合体層、酸変性ポリエチレン層、直鎖状低密度ポリエチレン層(ヒートシール層に相当)の5層構造となるように製造した。
【0071】
ついで、筒状の多層フィルムをチューブラー同時二軸延伸機にて縦横それぞれ3倍延伸したのち(延伸工程に相当)、この多層フィルムを扁平に折り畳み、水槽にくぐらせ(水分量調整工程に相当)、ロール状の原反フィルムに巻き取った(巻取工程に相当)。そして、この原反フィルムを印刷工程に供給して、多層フィルムに印刷を施した。
【0072】
印刷が施された多層フィルムをバルーン形成工程に供給した。バルーン形成工程では、供給された多層フィルムの両端をカット(カット工程に相当)して、一対の多層フィルムを形成した後、一対の多層フィルム間に逆止弁を取り付けた(逆止弁取付工程に相当)。そして、逆止弁を取り付けた多層フィルムを次工程に供給した。この工程では、逆止弁取付工程から供給された多層フィルムを所定のバルーンの形状に型抜しながら、端縁を溶着し貼り合わせて、バルーンを形成した(型抜貼合工程に相当)。
【0073】
(実験1の結果)
バルーン形成工程において、多層フィルムの両端をカットする前の多層フィルムの水分含有量を算出した結果、かかる多層フィルムの水分含有量は、0.7%を超えていた。
また、バルーン形成工程において、カット後の多層フィルムにカール現象が発生することは確認されなかった。
【0074】
(比較例)
筒状の多層フィルムを水槽にくぐらせなかったこと以外は、実験1と同様にしてバルーンを形成した。
【0075】
(比較例の結果)
比較例では、バルーン形成工程における多層フィルムの水分含有量は、0.7%未満であった。
また、バルーン形成工程において、カット後の多層フィルムは、各端縁が数cmカールすることが確認された。このため、逆止弁を取り付ける作業に時間を要した。またバルーンの形状に型抜きしながら端縁を溶着する工程においても、上下の多層フィルムの図柄を合わせることが難しく、時間を要した。
【0076】
以上の結果から、本発明のバルーンの製造方法を採用すれば、バルーンの形成工程において、多層フィルムにカール現象が発生するのを防止できることが確認できた。つまり、製造ラインにおいて、ライン適性を備えた多層フィルムを供給することができることが確認できた。したがって、本発明のバルーンの製造方法によってバルーンを形成すれば、効率よくバルーンを生産できることが確認できた。