(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-189852(P2017-189852A)
(43)【公開日】2017年10月19日
(54)【発明の名称】工作機械
(51)【国際特許分類】
B23Q 11/08 20060101AFI20170922BHJP
B23Q 1/00 20060101ALI20170922BHJP
【FI】
B23Q11/08 Z
B23Q1/00 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-81617(P2016-81617)
(22)【出願日】2016年4月15日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 〔公開事由〕 博覧会名:メカトロテックジャパン2015 開催日 :2015年10月21日〜2015年10月24日 〔公開事由〕 発行者名:高松機械工業株式会社 刊行物名:T−new Vol.99 発行年月日:2016年1月5日 〔公開事由〕 発行者名:高松機械工業株式会社 刊行物名:MEX金沢2016 出展のご案内 発行年月日:2016年4月12日
(71)【出願人】
【識別番号】591014835
【氏名又は名称】高松機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092727
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 忠昭
(74)【代理人】
【識別番号】100146891
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 ひろ美
(72)【発明者】
【氏名】和田 弘光
【テーマコード(参考)】
3C011
3C048
【Fターム(参考)】
3C011DD02
3C048AA05
(57)【要約】 (修正有)
【課題】設置スペースを小さくすることができるとともに、簡単な操作でもって前開閉扉を開閉動することができる工作機械を提供すること。
【解決手段】旋盤本体(工作機械本体)の前面開口8に配設された前開閉扉10と、旋盤本体を作動制御するための操作情報を入力するための操作盤24と、を備えたNC旋盤(工作機械)。前開閉扉10及び操作盤24は、旋盤本体に上下方向に移動自在に支持され、前開閉扉10は、開位置と閉位置の間を移動自在であり、操作盤24は、上昇位置と下降位置との間を移動自在であり、この前開閉扉10と操作盤24との間には、更に、両者を連動して移動させるための連動機構62が設けられ、操作盤24を上昇位置に移動させると、連動機構62を介して前開閉扉10が開位置に位置付けられ、操作盤24を下降位置に移動させると、連動機構62を介して前開閉扉10が閉位置に位置付けられる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工域にて被加工物に所望の加工を施す工作機械本体と、前記工作機械本体の前記加工域を覆うためにその前面開口に配設された前開閉扉と、前記工作機械本体を作動制御するための操作情報を入力するための操作盤と、を備えた工作機械において、
前記前開閉扉及び前記操作盤は、前記工作機械本体に上下方向に移動自在に支持され、前記前開閉扉は、前記前面開口を開放する開位置及び前記前面開口を閉じる閉位置の間を移動自在であり、前記操作盤は、前記前開閉扉の前面側にて上方に移動した上昇位置及び下方に移動した下降位置の間を移動自在であり、前記前開閉扉と前記操作盤との間には、更に、両者を連動して移動させるための連動機構が設けられており、
前記操作盤を前記上昇位置に移動させると、前記連動機構を介して前記前開閉扉が前記開位置に位置付けられ、また前記操作盤を前記下降位置に移動させると、前記連動機構を介して前記前開閉扉が前記閉位置に位置付けられることを特徴とする工作機械。
【請求項2】
前記工作機械本体の一側部には連動レバーが揺動自在に連結され、前記連動レバーの先端部の後面側には第1連動コロが装着され、その軸方向中間部の前面側には第2連動コロが装着され、また前記前開閉扉の前面側には、第1受け案内溝を有する第1案内部材が取り付けけられ、前記連動レバーの前記第1連動コロが前記第1案内部材の前記第1受け案内溝に移動自在に受け入れられており、更に前記操作盤の後面側には、第2受け案内溝を有する第2案内部材が取り付けられ、前記連動レバーの前記第2連動コロが前記第2案内部材の前記第2受け案内溝に移動自在に受け入れられていることを特徴とする請求項1に記載の工作機械。
【請求項3】
前記前開閉扉は前記工作機械本体の前記前面開口の上部に対応して配設され、また前記前面開口の下部に対応して前下開閉扉が旋回自在に装着され、前記前下開閉扉は、前記前面開口の下部を開放する開角度位置と前記前面開口の下部を閉じる閉角度位置との間を旋回自在に、又は前記前面開口の下部を開閉するために着脱自在に前記工作機械本体に装着されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の工作機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被加工物に切削などの加工を施す工作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
工作機械の一例としてのNC旋盤には、前面開口を開閉するための前開閉扉及び操作情報を入力するための操作盤が設けられている。一般的に、前開閉扉は、旋盤本体の前面開口に対応して設けられ、前面開口を覆う閉位置とこの前面開口を開放する開位置との間を移動自在に旋盤本体に装着され、また操作盤は旋盤本体の前面側部に固定的に設けられている。このようなNC旋盤では、例えば、前開閉扉は旋盤本体の片側に移動されて開位置に位置付けられ、また操作盤は旋盤本体の他側部(前開閉扉の移動方向と反対方向の側部)に設けられ、このような構成のものでは、旋盤本体の幅が大きくなり、広い設置スペースが必要となる。
【0003】
そこで、旋盤本体の小型化を図るために、前開閉扉については、旋盤本体の片側に移動させて開位置に位置付けるが、操作盤については、旋盤本体の他側に操作角度位置と後退角度位置との間を回動自在に支持されたものが実用に供されている(例えば、非特許文献1参照)。このようなNC旋盤においては、操作盤は、操作角度位置においては旋盤本体の前面側に位置し、後退角度位置においては旋盤本体の他側面側に位置し、このように構成することによって、旋盤本体を小型化してその設置スペースを小さくすることができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】高松機械工業株式会社から製造販売されているNC旋盤(機種名:USL−480)の製品カタログ
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このNC旋盤においては、旋盤本体の設置スペース自体を小さくすることができるが、操作盤が操作角度位置と後退角度位置との間を旋回自在であるために、その旋回動を許容するための空間が必要となり、結果的に、旋盤本体の設置スペースを小さくすることができない。
【0006】
本発明の目的は、工作機械本体の小型化を図ってその設置スペースを小さくすることができるとともに、簡単な操作でもって前開閉扉を開閉動することができる工作機械を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1に記載の工作機械は、加工域にて被加工物に所望の加工を施す工作機械本体と、前記工作機械本体の前記加工域を覆うためにその前面開口に配設された前開閉扉と、前記工作機械本体を作動制御するための操作情報を入力するための操作盤と、を備えた工作機械において、
前記前開閉扉及び前記操作盤は、前記工作機械本体に上下方向に移動自在に支持され、前記前開閉扉は、前記前面開口を開放する開位置及び前記前面開口を閉じる閉位置の間を移動自在であり、前記操作盤は、前記前開閉扉の前面側にて上方に移動した上昇位置及び下方に移動した下降位置の間を移動自在であり、前記前開閉扉と前記操作盤との間には、更に、両者を連動して移動させるための連動機構が設けられており、
前記操作盤を前記上昇位置に移動させると、前記連動機構を介して前記前開閉扉が前記開位置に位置付けられ、また前記操作盤を前記下降位置に移動させると、前記連動機構を介して前記前開閉扉が前記閉位置に位置付けられることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の請求項2に記載の工作機械では、前記工作機械本体の一側部には連動レバーが揺動自在に連結され、前記連動レバーの先端部の後面側には第1連動コロが装着され、その軸方向中間部の前面側には第2連動コロが装着され、また前記前開閉扉の前面側には、第1受け案内溝を有する第1案内部材が取り付けけられ、前記連動レバーの前記第1連動コロが前記第1案内部材の前記第1受け案内溝に移動自在に受け入れられており、更に前記操作盤の後面側には、第2受け案内溝を有する第2案内部材が取り付けられ、前記連動レバーの前記第2連動コロが前記第2案内部材の前記第2受け案内溝に移動自在に受け入れられていることを特徴とする。
【0009】
更に、本発明の請求項3に記載の工作機械では、前記前開閉扉は前記工作機械本体の前記前面開口の上部に対応して配設され、また前記前面開口の下部に対応して前下開閉扉が配設され、前記前下開閉扉は、前記前面開口の下部を開放する開角度位置と前記前面開口の下部を閉じる閉角度位置との間を旋回自在に、又は前記前面開口の下部を開閉するために着脱自在に前記工作機械本体に装着されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の請求項1に記載の工作機械によれば、工作機械本体の前面開口を開閉するための前開閉扉及び操作情報を入力するための操作盤が工作機械本体に上下方向に移動自在に支持されているので、前開閉扉の開閉のためのスペース、また操作盤の移動を許容するためのスペースが工作機械本体の上下方向となり、従って、これらスペースを工作機械本体の幅方向に確保する必要がなくなり、生産ラインなどにおける設置スペースを小さくすることができる。また、前開閉扉及び操作盤の移動方向が上下方向であるので、工作機械本体の前面開口を大きくすることが可能となり、その結果、加工工具の取換えなどの段取り作業、メンテナンス作業などを容易に行うことができる。更に、前開閉扉と操作盤との間に連動機構が設けられているので、操作盤を上昇位置に移動させると、連動機構を介して前開閉扉が開位置に位置付けられ、またこの操作盤を下降位置に移動させると、連動機構を介して前開閉扉が閉位置に位置付けられ、かくして、前開閉扉の前側に配設される操作盤を移動させることにより前開閉扉を連動して所要の通りに移動させることができる。
【0011】
また、本発明の請求項2に記載の工作機械によれば、工作機械本体の一側部には連動レバーが揺動自在に連結され、この連動レバーの先端部の後面側に第1連動コロが装着され、その軸方向中間部の前面側に第2連動コロが装着され、この第1連動コロが前開閉扉の前面側に設けられた第1案内部材の第1受け案内溝に受け入れられ、また第2連動コロが操作盤の後面側に設けられた第2案内部材の第2受け案内溝に受け入れられているので、比較的簡単な構成でもって操作盤及び前開閉扉を連動して移動させることができる。また、揺動レバーの揺動を利用して連動させているために、第1及び第2連動コロの配設位置を適宜設定することにより、操作盤及び前開閉扉の移動量を変えることができる。
【0012】
更に、本発明の請求項3に記載の工作機械によれば、前開閉扉は工作機械本体の前面開口の上部に対応して配設され、またこの前面開口の下部に対応して前下開閉扉が旋回自在に(又は着脱自在に)装着されているので、前開閉扉を上昇位置に位置付けるとともに、前下開閉扉を開角度位置に位置付ける(又は取り外す)ことによって、工作機械本体の前面開口を大きく開放することができ、その結果、段取り作業、メンテナンス作業などを行うための大きなスペースを確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明に従う工作機械の一例としてのNC旋盤の一実施形態を示す斜視図。
【
図2】
図1のNC旋盤において、前開閉扉を上昇位置に、また前下開閉扉を開角度位置に位置付けた状態を示す斜視図。
【
図3】
図1のNC旋盤において、操作盤を下降位置に、前開閉扉を閉位置に位置付けた状態を示す部分正面図。
【
図4】
図1のNC旋盤において、操作盤を上昇位置に、前開閉扉を開位置に位置付けた状態を示す部分正面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して、本発明に従う工作機械の一実施形態について説明する。
図1及び
図2において、図示のNC旋盤は、工場の床面などに設置される旋盤本体2(工作機械本体を構成する)を備えている。この旋盤本体2内の加工域4には、主軸(図示せず)に取り付けられて一体的に回転するチャック手段6が設けられ、このチャック手段6に加工すべき被加工物(図示せず)が着脱自在に取り付けられる。
【0015】
旋盤本体2の前面には前面開口8が設けられ、この前面開口8を通して加工工具(図示せず)の取換え、被加工物の着脱などが行われる。この形態では、前面開口8の上部に対応して前開閉扉10が設けられ、その下部に対応して前下開閉扉12が設けられている。前開閉扉10は前扉本体14を備え、この前扉本体14の中央大部分に上窓16が設けられ、この上窓16を通して加工域4における加工状態を目視することができる。この前開閉扉10の具体的構成及びその開閉動については、後述する。
【0016】
また、前下開閉扉12は、前下扉本体18を備え、この前下扉本体18の中央大部分に下窓20が設けられ、この下窓20を通して加工域4における加工状態を目視することができる。前下開閉扉12は、前面開口8の下端部内側付近に設けられた旋回軸(図示せず)を中心として旋回自在に旋盤本体2に装着されている。前下扉本体18の上端部には一対の開閉用把持部材22が設けられ、これら開閉用把持部材22を把持して、
図1に示す閉角度位置と
図2に示す開角度位置との間を開閉動させることができる。前下開閉扉12を手前側に旋回させて開角度位置に位置付けると、
図2に示すように、旋盤本体2の前面開口8の下部が開放され、また後側に旋回させて閉角度位置に位置付けると、
図1に示すように、この前面開口8の下部が閉じられる。
【0017】
この前下開閉扉12については、上述したように旋回自在に装着することに代えて、旋盤本体2の前面開口8の下部に着脱自在に装着するようにしてもよく、この場合、前下開閉扉12を取り付けると前面開口8の下部が閉じられ、この前下開閉扉12を取り外すと前面開口8の下部が開放される。尚、このように着脱自在に構成した場合、例えば、旋盤本体2の前面開口8内に、具体的には旋盤本体2の前パネルの内側に、取り外した前下開閉扉12を収容するための収容空間を設けることができる。
【0018】
このNC旋盤は、旋盤本体2を作動制御するための操作情報を入力するための操作盤24を備え、この操作盤24は、前開閉扉10の前面側に配設されている。操作盤24は略矩形状の操作盤本体26を備え、その中央部に入力情報などを表示するための表示手段28(例えば、液晶表示装置などから構成される)が設けられ、またこの表示手段28の横に各種操作ボタン30が設けられている。この操作盤本体26の下面には、一対の上下動用把持部材32が設けられ、これら上下動用把持部材32を把持して操作盤24を後述するように上下動させることができる。
【0019】
次に、
図1及び
図2とともに
図3及び
図4を参照して、操作盤24及び前開閉扉10の具体的構成について説明する。旋盤本体2と前開閉扉10との間には、この前開閉扉10を上下方向に開閉自在に支持するための扉開閉支持機構32が設けられている。扉開閉支持機構32は、旋盤本体2の前面開口8の両側に配設された一対の扉支持手段34から構成され、一対の扉支持手段34の各々は、旋盤本体2側に取り付けられた固定支持部材36と、前開閉扉10の両側部側に設けられた可動支持部材38とから構成され、固定支持部材36及び可動支持部材38が相互に移動自在に装着されている。
【0020】
一対の固定支持部材36は、旋盤本体2の前面開口8の両側にて上下方向に延びており、従って、前開閉扉10は、その後面側に取り付けられた一対の可動支持部材38を介して一対の固定支持部材36に移動自在に支持されている。この前開閉扉10は、矢印40(
図4参照)で示す上方に開位置(
図2、
図4及び
図5に示す位置)まで移動させると、
図2及び
図4に示すように、旋盤本体2の上方に大きく突出し(
図5参照)、その前面開口8の上部が開放され、また矢印42(
図3参照)で示す下方に閉位置(
図1及び
図3に示す位置)まで移動させると、
図1及び
図3に示すように、旋盤本体2の上部に位置し、この前面開口8の上部が閉じられる。
【0021】
また、この前開閉扉10の前面側に配置された操作盤24も上下方向に移動自在に支持され、旋盤本体2と操作盤24との間に移動支持機構44が設けられている。移動支持機構44は、旋盤本体2の前面開口8の両側に配設された一対の移動支持手段46から構成され、一対の移動支持手段46の各々は、旋盤本体2側に取り付けられた固定レール48と、操作盤24の両側部の後面側に上下方向に間隔をおいて取り付けられた一対の移動部材50とから構成され、一対の移動部材50が対応する固定レール48に移動自在に装着されている。
【0022】
一対の固定レール48は、扉開閉支持機構32の固定支持部材36と同様に、旋盤本体2の前面開口8の両側にて上下方向に延びており、従って、操作盤24は、その後面側に取り付けられた移動部材50を介して一対の固定レール48に移動自在に支持されている。この操作盤24は、矢印52(
図4参照)で示す上方に上昇位置(
図2、
図4及び
図5に示す位置)まで移動させると、
図2及び
図4に示すように、旋盤本体2の上方に幾分突出した状態に位置し、また矢印54(
図3参照)で示す下方に下降位置(
図1及び
図3に示す位置)まで移動させると、
図1及び
図3に示すように、旋盤本体2の上部(具体的には、前面開口8の上側の部位)に位置し、作業者は、この操作盤24の各種操作ボタン30を容易に入力操作することができ、また表示手段28に表示された表示情報を容易に見ることができる。
【0023】
この操作盤24と前開閉扉10との間には、操作盤24の上下動に伴い前開閉扉10を連動して移動させるための連動機構62が設けられている。
図5をも参照して、図示の連動機構62は、揺動自在に装着された連動レバー64を備えている。この形態では、旋盤本体2の一側部(
図3及び
図4において左側部)に取付ブラケット66が取り付けられ、この取付ブラケット66に揺動軸68を介して連動レバー64の一端部が矢印70及び72(
図4参照)で示す方向に揺動自在に連結されている。連動レバー64における先端部の後面に第1支持軸74を介して第1連動コロ76が回動自在に装着され、その軸方向中間部の前面に第2支持軸78を介して第2連動コロ80が回動自在に装着されている。
【0024】
この連動アーム64に関連して、前開閉扉10(前扉本体14)の上端部の前面に第1案内部材82が取り付けられ、第1案内部材82は、横方向(
図3及び
図4において左右方向)に延びている。第1案内部材82には、前面側に開口する第1受け案内溝84が設けられ、連動アーム64に装着された第1連動コロ76が、この第1受け案内溝84内にこれに沿って移動自在に且つ回動自在に受け入れられている。また、操作盤24(操作盤本体26)の上端部の後面に第2案内部材86が取り付けられ、この第2案内部材86は横方向に延びている。第2案内部材86には、後面側に開口する第2受け案内溝88が設けられ、連動アーム64に装着された第2連動コロ80が、この第2受け案内溝88内にこれに沿って移動自在に且つ回動自在に受け入れられている。
【0025】
このように構成されているので、操作盤24を二点矢印52(
図4参照)で示す上方に移動させると、これに伴って、第2連動コロ80が第2案内部材86の第2受け案内溝88内を
図4において左方に移動し、これによって、連動アーム64が揺動軸68を中心として
図4において反時計方向に矢印70(
図4参照)で示す方向に揺動される。連動アーム64がこのように揺動されると、第1連動コロ76が第1案内部材82の第1受け案内溝84内を
図4において左方に移動し、これによって、前開閉扉10は矢印40で示す上方に移動され、かくして、操作盤24の上方への移動に連動して前開閉扉10が上方に移動される。
【0026】
また、操作盤24を二点矢印54(
図3参照)で示す下方に移動させると、これに伴って、第2連動コロ80が第2案内部材86の第2受け案内溝88内を
図4において右方に移動し、これによって、連動アーム64が揺動軸68を中心として
図4において時計方向に矢印72(
図4参照)で示す方向に揺動される。連動アーム64がこのように揺動されると、第1連動コロ76が第1案内部材82の第1受け案内溝84内を
図4において右方に移動し、これによって、前開閉扉10は矢印42(
図3参照)で示す下方に移動され、かくして、操作盤24の下方への移動に連動して前開閉扉10が下方に移動される。
【0027】
このとき、前開閉扉10の移動量は、揺動軸68と第2支持軸78との間の距離D2と揺動軸68と第1支持軸74との間の距離D1との比となり、例えば操作盤24を上方(又は下方)に距離L1だけ移動させると、前開閉扉10は、上方(又は下方)に距離L2〔L2=L1X(D1/D2)〕移動し、前開閉扉10を大きく移動させることができる。このことから理解される如く、上記距離D1及び上記距離D2を適宜に設定することにより、操作盤24の移動量に対する前開閉扉10の移動量を調整することができる。
【0028】
次に、上述したNC旋盤における前開閉扉10の開閉操作について説明する。前開閉扉10を開方向に移動させて旋盤本体2の前面開口8の上部を開放するには、操作盤24の上下動用把持部材32を把持して上方に上記上昇位置まで移動させればよい。操作盤24を上方に移動させると、これに伴って、連動機構62(即ち、連動アーム64並びに第1及び第2連動コロ76,80)を介して前開閉扉10が上方に移動され、この操作盤24を上記上昇位置まで移動させると、
図2及び
図4に示すように、前開閉扉10が上記開位置まで移動される。
【0029】
このように開位置に位置付けると、
図2に示すように、旋盤本体2の前面開口8の上部が開放される。このような前開閉扉10の開状態において、更に、この前面開口8の下部を開放するには、前下開閉扉12の開閉用把持部材22を把持して手前側に開角度位置まで旋回させればよい。かくすると、前面開口8の下部も開放され、この前面開口8全体を開放することができ、大きく開放された前面開口8を通して段取り作業、メンテナンス作業などを容易に行うことができる。
【0030】
また、前開閉扉10を閉方向に移動させて旋盤本体2の前面開口8の上部を閉じるには、操作盤24の上下動用把持部材32を把持して下方に上記下降位置まで移動させればよい。操作盤24を下方に移動させると、これに伴って、連動機構62を介して前開閉扉10が下方に移動され、この操作盤24を上記下降位置まで移動させると、
図1及び
図3に示すように、前開閉扉10が上記閉位置まで移動される。このように閉位置に位置付けると、
図1に示すように、旋盤本体2の前面開口8の上部が閉じられ、前下開閉扉12が上記閉角度位置に保持されている状態では、旋盤本体2の前面開口8全体が閉じられ、加工域4での加工を安全に行うことができる。
【0031】
以上、本発明に従う工作機械をNC旋盤に適用して説明したが、本発明は、このようなNC旋盤に限定されず、他の形態の工作機械にも同様に適用することができ、また本発明の範囲を逸脱することなく、種々の変更乃至修正が可能である。
【0032】
例えば、上述した実施形態では省略しているが、操作盤24(又は前開閉扉10)に関連して、この操作盤24を上記下降位置に(又は前開閉扉10を上記閉位置に)解除自在にロック保持するためのロック手段を設けるようにしてもよい。
【0033】
また、例えば上述した実施形態では省略しているが、操作盤24(又は前開閉扉10)に関連して、この操作盤24を上記上昇位置に(又は前開閉扉10を上記開位置に)保持ためのシリンダ機構(例えば、エアシリンダ機構)を設けるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0034】
2 旋盤本体(工作機械本体)
4 加工域
8 前面開口
10 前開閉扉
12 前下開閉扉
24 操作盤
32 扉開閉支持機構
44 移動支持機構
62 連動機構
64 連動アーム
76 第1連動コロ
80 第2連動コロ
82 第1案内部材
86 第2案内部材