(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-189976(P2017-189976A)
(43)【公開日】2017年10月19日
(54)【発明の名称】抗菌性積層材の製造方法
(51)【国際特許分類】
B32B 27/18 20060101AFI20170922BHJP
A23L 3/358 20060101ALN20170922BHJP
A23L 3/3508 20060101ALN20170922BHJP
A23L 3/3472 20060101ALN20170922BHJP
【FI】
B32B27/18 F
A23L3/358
A23L3/3508
A23L3/3472
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-96069(P2016-96069)
(22)【出願日】2016年5月12日
(31)【優先権主張番号】105111710
(32)【優先日】2016年4月14日
(33)【優先権主張国】TW
(71)【出願人】
【識別番号】505018027
【氏名又は名称】財団法人食品工業發展研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100093779
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 雅紀
(72)【発明者】
【氏名】鄭 ▲育▼奇
(72)【発明者】
【氏名】李 湘▲儒▼
(72)【発明者】
【氏名】李 維倫
(72)【発明者】
【氏名】李 盈▲層▼
(72)【発明者】
【氏名】楊 炳輝
【テーマコード(参考)】
4B021
4F100
【Fターム(参考)】
4B021MC01
4B021MK02
4B021MK08
4B021MK20
4F100AK01A
4F100AK01B
4F100AK01C
4F100AK02C
4F100AK25B
4F100AT00A
4F100BA03
4F100BA07
4F100CA30B
4F100CB00B
4F100DG10A
4F100DG11A
4F100DG15A
4F100EH46B
4F100EJ86B
4F100GB23
4F100JB05C
4F100JC00
4F100JC00B
4F100JD16
4F100YY00C
(57)【要約】
【課題】湿度依存型抗菌性積層材を提供する。
【解決手段】基材と、前記基材の片面に塗布し乾燥された抗菌剤含有層と、前記抗菌剤含有層に塗布し乾燥された湿度トリガー層とを含む。前記抗菌剤含有層は揮発性の抗菌剤を含み、前記湿度トリガー層は親水性高分子を含み、且つ前記抗菌剤と前記親水性高分子とは混合されていない。本発明の積層材は、高湿度環境において、乾燥環境に比べて大量のガス状の揮発性抗菌剤を放出して、湿度依存型の放出挙動を有する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、前記基材の片面に塗布し乾燥された抗菌剤含有層と、前記抗菌剤含有層に塗布し乾燥された湿度トリガー層と、を含み、
前記抗菌剤含有層は揮発性の抗菌剤を含み、
前記湿度トリガー層は親水性高分子を含み、
前記抗菌剤と前記親水性高分子とは混合されておらず、
高湿度環境において、乾燥環境に比べて大量のガス状の前記揮発性抗菌剤を放出することを特徴とする積層材。
【請求項2】
前記親水性高分子はポリビニルピロリドンであることを特徴とする請求項1に記載の積層材。
【請求項3】
前記抗菌剤含有層はバインダー樹脂をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の積層材。
【請求項4】
前記湿度トリガー層はバインダー樹脂をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の積層材。
【請求項5】
前記バインダー樹脂はアクリル酸(エステル)モノマーの単独重合体又は共重合体であることを特徴とする請求項3又は4に記載の積層材。
【請求項6】
前記基材は、プラスチック、紙、布、又は不織布であることを特徴とする請求項1に記載の積層材。
【請求項7】
前記湿度トリガー層は測定厚さ1〜10μmを有し、
前記抗菌剤含有層は測定厚さ1〜10μmを有することを特徴とする請求項1に記載の積層材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、湿度依存型抗菌性積層材及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、湿度依存型抗菌性粉末組成物、その製造方法、湿度依存型抗菌性の食品保存用物品および食品の保存方法が開示されている。湿度依存型抗菌性粉末組成物は、揮発性油状抗菌物質、水溶性フィルム形成剤及び選択的粉末賦形剤を含み、湿度に依存して上記抗菌物質の放出挙動が変化する。水溶性フィルム形成剤は、揮発性油状抗菌物質を内包する吸湿性カプセル粒子の構成に用いられ、一定の湿度以上の雰囲気で揮発性油状抗菌物質を放出しうるものであればどのようなものであってもよく、具体的には、アラビアガム、ゼラチン、へミセルロース、微生物産生多糖類、及び改質デンプンが挙げられる。好適な粉末賦形剤としては、例えば、非吸湿性のデンプンやデキストリンが挙げられる。その実験例1では、湿度依存型抗菌性粉末組成物をアクリル系バインダに均一混合し、得られた混合物を不織布の片面にロールを用いて塗布し、120℃に加熱したアイロンで塗布面を押圧乾燥して塗膜中に湿度依存型抗菌性粉末組成物が均一に分散混入した抗菌性シートを製造した。その実験例2では、実施例1において製造した湿度依存型抗菌性粉末組成物20重量%をポリエチレン樹脂に均一混合してマスターバッチ(master batch)を作製した。抗菌マス夕一バッチ5重量%をポリエチレン樹脂に均一混合し、得られた混合物をインフレーション(Inflation)加工して湿度依存型抗菌性粉末組成物が均一に分散混入した厚さ60μmの抗菌性ポリエチレン製袋(20×30cm)を製造した。以上の実験例から、粉末組成物に製造してから使用することなく、揮発性油状抗菌物質を抗菌性シート及び抗菌性ポリエチレン袋の作製に直接使用できれば、粉末賦形剤の使用及び粉末形成工程を省略できることが分かる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】台湾特許第357309号明細書
【特許文献2】米国特許第7923035号明細書
【特許文献3】日本特許第4683925号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の主な目的は、従来技術の問題点を有しない湿度依存型抗菌性積層材を提供することである。
【0005】
本発明の別の目的は、従来技術の問題点を有しない湿度依存型抗菌性積層材の製造方法を提供することである。
【0006】
本発明の更に別の目的は、湿度依存型抗菌性積層材を食物保存に使用する用途を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記本発明の目的を達成するために、本発明の積層材は、基材と、基材の片面に塗布し乾燥された抗菌剤含有層と、抗菌剤含有層に塗布し乾燥された湿度トリガー層とを含む。抗菌剤含有層は揮発性の抗菌剤を含み、湿度トリガー層は親水性高分子を含み、且つ抗菌剤と親水性高分子とは混合されていない。本発明の積層材は、高湿度環境において、乾燥環境に比べて大量のガス状の揮発性抗菌剤を放出して、湿度依存型の放出挙動を有する。本発明者らは、予想外に、基材には単一層が塗布され、抗菌剤と親水性高分子が共に単一層に含まれている場合、単一層が塗布された基材が湿度依存型の放出挙動を失うことを見出した。本発明では、相対湿度が20%以下である環境を「乾燥環境」といい、相対湿度が50%以上である環境を「高湿度環境は」という。
【0008】
好ましくは、親水性高分子はポリビニルピロリドンである。
【0009】
好ましくは、抗菌剤含有層はバインダー樹脂(binder resin)をさらに含む。
【0010】
好ましくは、湿度トリガー層はバインダー樹脂をさらに含む。
【0011】
好ましくは、バインダー樹脂はアクリル酸(エステル)モノマーの単独重合体又は共重合体である。
【0012】
好ましくは、基材はプラスチック、紙、布、又は不織布である。
【0013】
好ましくは、湿度トリガー層は測定厚さ1〜10μmを有し、抗菌剤含有層は測定厚さ1〜10μmを有する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
市販の揮発型抗菌包装材料が開封された後、食品工場又は消費者が使用する際に抗菌包装材料が所望する抗菌剤放出濃度を有するように、一定の期間内で使い切る必要がある問題を解決するために、本発明の好ましい具体的な実施例では、湿度トリガーの処方及び二層塗布によって抗菌シートを製造する。製造される抗菌シートは表面に良好な光沢を有し、低湿度での抗菌剤(抗菌成分)の放出量が低い。抗菌シートが食品と共に閉鎖空間で包装された後、食品中の水気によって抗菌シートの抗菌成分の放出を開始する。
【0015】
湿度トリガーの処方は、主に、抗菌剤と、コーティング剤(バインダー樹脂含有)と、水素結合能を有する高分子(親水性高分子)とを含む。適用できる抗菌剤は、揮発性を有する必要があり、トウガラシ、ニンニク、ワサビ、からし油、ローズマリー、ハッカ、ニッケイ、ハッカク、ヒャクリコウ、ビャクシンなどの天然精油、或いは、酢酸、プロピオン酸、エタノール、二酸化硫黄、二酸化塩素などの公知の抗菌又は殺菌成分、或いは、それらの混合成分から選択できる。
【0016】
本発明の湿度依存型抗菌性積層材の好適な製造方法は、抗菌剤をコーティング剤及び選択的乳化剤と混合した後、基材に塗布し、乾燥後にコーティング剤と親水性高分子との混合液を塗布し、乾燥後に基材、抗菌剤含有層、湿度トリガー層などを含む計三層の積層材を形成することを含む。塗布は、周知の方法、例えば、ナイフコート、スピンコート、スプレーコート、印刷、又は含浸などの方法を使用することができる。
【0017】
コーティング剤は、水性又は油性コーティング剤であってもよく、水性コーティング剤が好ましい。コーティング剤の好適な例としては、塗料、ワニス、ワックスエマルション、及び油墨が挙げられる(これらには限定されない)。
【0018】
コーティング剤が水性コーティング剤の場合、例えば、アクリル樹脂系の水性塗料であるが、抗菌剤が油性の場合、乳化剤は抗菌剤とコーティング剤との乳化液の形成に使用される。コーティング剤の好適な例は、特許文献1に記載されている。
【0019】
基材は、紙又はプラスチックであってもよく、プラスチックは、PET、VMPET、PP、PE、EVOHなどの材質であってもよく、特に限定されるものではない。
【0020】
親水性高分子は、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、EVOH、又は天然高分子などの水素結合を有する高分子であってもよい。水素結合の水和作用を利用して湿度トリガーの効果を実現する。ここで、「湿度トリガー」とは、湿度が抗菌剤含有層の中の抗菌剤の放出をオンにすることを意味する。好ましくは、親水性高分子は、ポリビニルピロリドンである。より好ましくは、親水性高分子は、平均重量分子量が1万ダルトンのポリビニルピロリドンである。
【0021】
(実施例1)
1−1:湿度トリガー型抗菌シートの作製 16gハッカ精油、5g乳化剤(レシチン、振芳公司(Gemfont Corporation)、台湾台北市)を、84gアクリル水性塗料(三皇化工公司(3RCHEM CO., LTD.)、台湾台北市、型番W−6203D8M)に添加し、5分間均質化させ、真空排気後、処方Aを調製した。33gアクリル水性塗料(三皇化工公司、W−6203D8M)に、10gポリビニルピロリドン水溶液(Sigma−Aldrich、PVP10)を添加し、400rpmで完全溶解するまで攪拌した後、処方Bとした。
【0022】
適量の処方Aを取り、No.6巻線ロッド(wire−wound rod)でPETフィルムに塗布し、100℃のオーブンに入れて20秒乾燥させた。適量の処方Bを取り、処方Aが塗布されているPETフィルムに塗布し、No.6巻線ロッドで第二層を塗布した。硬化乾燥するまで加熱した後、湿度トリガー型抗菌シートが得られた(No.6巻線ロッドで塗布した未乾燥塗膜の厚さが15.2μm、第一層乾燥後の理論膜厚が8.6μm、実際に測定された膜厚が3μm(処方A)、第二層乾燥後の理論膜厚が8.9μm、実際に測定された膜厚が2μm(処方B)、総理論膜厚が17.5μm)。
【0023】
(1−2:抗菌シートの放出テスト)
1−1で調製された抗菌シートを、7×9cm
2の大きさに切断し、7×9cm
2の大きさを有する抗菌シートを、湿度調整機能を有する異なる飽和塩溶液が入っている容器と共に、1Lのサンプリング孔付きアルミ箔気密袋に入れて密封した後、30℃の恒温室に放置した。一定の時間を経た後、サンプリング孔から上部の空気を採取し、ガスクロマトグラフで精油濃度を分析し、異なる湿度での包装内の精油濃度を記録した。
【0024】
(実施例2)
(2−1:湿度トリガー型抗菌紙の作製)
1−1の方法に準じて、適量の処方Aを取り、No.6巻線ロッドで紙に塗布し、100℃のオーブンに入れて20秒乾燥させた。適量の処方Bを取り、処方Aが塗布されている紙に塗布し、No.6巻線ロッドで第二層を塗布した。硬化乾燥するまで加熱した後、湿度トリガー型抗菌シートが得られた(No.6巻線ロッドで塗布した未乾燥塗膜の厚さが15.2μm、第一層乾燥後の理論膜厚が8.6μm(処方A)、第二層乾燥後の理論膜厚が8.9μm(処方B)、総理論膜厚が17.5μm)。
【0025】
2−2:抗菌紙の放出テスト2−1で調製された抗菌シートを、7×9cm
2の大きさに切断し、1−2の方法に準じてテストを行った。
【0028】
16gハッカ精油を、84gアクリル水性塗料に添加し、5分間均質化させ、真空排気後、No.6巻線ロッドでPETフィルムに塗布し、100℃のオーブンに入れて20秒乾燥させて、比較例1が得られた(No.6巻線ロッドで塗布した未乾燥塗膜の厚さが15.2μm、乾燥後の理論膜厚が7.9μm、実際に測定された膜厚が3μm)。
【0029】
(比較例2)
16gハッカ精油、5g乳化剤、10gポリビニルピロリドンを、84gアクリル水性塗料に添加し、5分間均質化させ、真空排気後、No.6巻線ロッドでPETフィルムに塗布し、100℃のオーブンに入れて20秒乾燥させて、比較例2が得られた(No.6巻線ロッドで塗布した未乾燥塗膜の厚さが15.2μm、乾燥後の理論膜厚が9.2μm、実際に測定された膜厚が3μm)。
【0031】
表1及び表2のデータから、本発明の実施例1及び2の湿度トリガー型抗菌シートは、100%湿度雰囲気での抗菌剤の放出濃度が明らかに50%湿度雰囲気での放出濃度よりも高いことが分かる。比較例1及び2の抗菌シートには、このことが見られない。抗菌シートの基材が共にPETフィルムである場合、本発明の実施例1と比較例1及び2の抗菌シートでは、50%湿度雰囲気での表現も明らかに異なり、本発明の実施例1は、比較例1及び2よりも明らかに低い抗菌剤の放出濃度を有し、これは、本発明の実施例1の湿度トリガー型抗菌シートが50%湿度雰囲気で比較的長く保存できることを意味する。
【手続補正書】
【提出日】2017年8月16日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高湿度環境において、乾燥環境に比べて大量のガス状の揮発性抗菌剤を放出する湿度依存型抗菌性積層材の製造方法であって、
揮発性の抗菌剤を、バインダー樹脂を含有するコーティング剤と混合し、処方Aを調整する工程と、
前記処方Aを基材の片面に塗布した後、乾燥させ、第一層である抗菌剤含有層を形成する工程と、
前記コーティング剤と親水性高分子との混合液である処方Bを調整する工程と、
前記処方Bを前記第一層上に塗布し、乾燥させ、第二層である湿度トリガー層を形成する工程と、
を含むことを特徴とする抗菌性積層材の製造方法。
【請求項2】
前記処方Aを調整する工程において、
前記抗菌剤が油性の場合、前記抗菌剤及び前記コーティング剤をさらに乳化剤と混合することを特徴とする請求項1に記載の抗菌性積層材の製造方法。
【請求項3】
前記親水性高分子はポリビニルピロリドンであることを特徴とする請求項1または2に記載の抗菌性積層材の製造方法。
【請求項4】
前記コーティング剤は水性であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の抗菌性積層材の製造方法。
【請求項5】
前記バインダー樹脂はアクリル酸(エステル)モノマーの単独重合体又は共重合体であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の抗菌性積層材の製造方法。
【請求項6】
前記基材は、プラスチック、紙、布、又は不織布であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の抗菌性積層材の製造方法。
【請求項7】
前記湿度トリガー層は測定厚さ1〜10μmを有し、
前記抗菌剤含有層は測定厚さ1〜10μmを有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の抗菌性積層材の製造方法。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0001】
本発明は、湿度依存型抗菌性積層
材の製造方法に関するものである。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0003
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0003】
【特許文献1】台湾特許第1357305号明細書
【特許文献2】米国特許第7923035号明細書
【特許文献3】日本特許第4683925号明細書
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0004
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0005】
本発明
の目的は、従来技術の問題点を有しない湿度依存型抗菌性積層材の製造方法を提供することである。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
本発明は
、高湿度環境において、乾燥環境に比べて大量のガス状の揮発性抗菌剤を放出する
湿度依存型抗菌性積層材の製造方法に関する。この製造方法は、以下の工程を含む。
揮発性の抗菌剤を、バインダー樹脂(binder resin)を含有するコーティング剤と混合し、処方Aを調整する工程。
処方Aを基材の片面に塗布した後、乾燥させ、第一層である抗菌剤含有層を形成する工程。
コーティング剤と親水性高分子との混合液である処方Bを調整する工程。
処方Bを第一層上に塗布し、乾燥させ、第二層である湿度トリガー層を形成する工程。
本発明の製造方法で製造された積層材は、基材と、基材の片面に塗布し乾燥された抗菌剤含有層と、抗菌剤含有層に塗布し乾燥された湿度トリガー層とを含む。抗菌剤含有層は揮発性の抗菌剤を含み、湿度トリガー層は親水性高分子を含み、且つ抗菌剤と親水性高分子とは混合されていない。
この積層材は、高湿度環境において、乾燥環境に比べて大量のガス状の揮発性抗菌剤を放出して、湿度依存型の放出挙動を有する。
本発明者らは、予想外に、基材には単一層が塗布され、抗菌剤と親水性高分子が共に単一層に含まれている場合、単一層が塗布された基材が湿度依存型の放出挙動を失うことを見出した。本発明では、相対湿度が20%以下である環境を「乾燥環境」といい、相対湿度が50%以上である環境を「高湿度環
境」という。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
好ましくは、
処方Aを調整する工程において、抗菌剤が油性の場合、抗菌剤及びコーティング剤をさらに乳化剤と混合する。
好ましくは、親水性高分子はポリビニルピロリドンである。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
好ましくは、
コーティング剤は水性である。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】削除
【補正の内容】