特開2017-190207(P2017-190207A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ダイフクの特許一覧
<>
  • 特開2017190207-物品搬送装置 図000003
  • 特開2017190207-物品搬送装置 図000004
  • 特開2017190207-物品搬送装置 図000005
  • 特開2017190207-物品搬送装置 図000006
  • 特開2017190207-物品搬送装置 図000007
  • 特開2017190207-物品搬送装置 図000008
  • 特開2017190207-物品搬送装置 図000009
  • 特開2017190207-物品搬送装置 図000010
  • 特開2017190207-物品搬送装置 図000011
  • 特開2017190207-物品搬送装置 図000012
  • 特開2017190207-物品搬送装置 図000013
  • 特開2017190207-物品搬送装置 図000014
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-190207(P2017-190207A)
(43)【公開日】2017年10月19日
(54)【発明の名称】物品搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/04 20060101AFI20170922BHJP
   B66F 9/07 20060101ALI20170922BHJP
【FI】
   B65G1/04 537A
   B66F9/07 C
   B66F9/07 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2016-79546(P2016-79546)
(22)【出願日】2016年4月12日
(71)【出願人】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】塚本 邦博
【テーマコード(参考)】
3F022
3F333
【Fターム(参考)】
3F022JJ09
3F022NN21
3F022QQ03
3F333AA04
3F333AB08
3F333CA17
3F333DB02
3F333FA16
3F333FA20
(57)【要約】
【課題】上部フレームの重量の増加を抑制しながら、走行中のマストの振動の発生を抑制することができる物品搬送装置を提供すること。
【解決手段】下部レールに案内されて走行する走行体と、走行体に立設されたマスト5の上端部に連結された上部フレーム6と、上部フレーム6の移動を案内する上部レールR2と、移載装置を備えてマスト5に沿って昇降する昇降体と、を備え、上部フレーム6は、上下軸心Pg周りに回転自在な少なくとも2つの案内ローラ16を上部フレーム6に対する位置が固定された状態で上部レールR2の両側に備え、走行体を駆動及び制動する走行駆動装置を備え、上部フレーム6は、上部フレーム6を駆動するモータを備えておらず、かつ、上部フレーム6の移動を制動する上部制動装置12を備えている物品搬送装置。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
床面に設置された下部レールと、
前記下部レールに案内されて前記下部レールに沿って走行する走行体と、
前記走行体に立設されたマストと、
前記マストの上端部に連結された上部フレームと、
前記走行体の走行方向に沿って延在して前記上部フレームの移動を案内する上部レールと、
物品を移載する移載装置を備えて前記マストに沿って昇降する昇降体と、を備え、
前記上部フレームは、上下軸心周りに回転自在でかつ上下方向に見て前記上部レールの両側に配置されて前記上部レールに案内される少なくとも2つの案内ローラを、前記上部フレームに対する位置が固定された状態で備えている物品搬送装置であって、
前記走行体を駆動及び制動する走行駆動装置を備え、
前記上部フレームは、前記上部フレームを駆動するモータを備えておらず、かつ、前記上部フレームの移動を制動する上部制動装置を備えている物品搬送装置。
【請求項2】
前記上部制動装置は、前記上部レールに押し当てられた状態で取り付けられ前記走行方向と垂直な回転軸心周りに回転自在な制動ローラと、前記上部レールに対する押圧力を変更する押圧力変更部とを備え、
前記押圧力変更部の作動を制御する押圧制御部が設けられ、
前記押圧制御部は、前記走行体の走行状態に応じて前記押圧力変更部の作動を制御する
請求項1に記載の物品搬送装置。
【請求項3】
前記上部制動装置は、前記上部レールに押し当てられた状態で取り付けられ前記走行方向と垂直な回転軸心周りに回転自在な制動ローラと、前記制動ローラの回転軸に制動トルクを与えて前記制動ローラの回転を制動する上部ブレーキとを備え、
前記上部ブレーキの制動トルクを制御する制動制御部が設けられ、
前記制動制御部は、前記走行体の走行状態に応じて前記上部ブレーキの作動を制御する
請求項1に記載の物品搬送装置。
【請求項4】
前記上部制動装置は、前記制動ローラとして、前記走行方向で同じ位置でかつ前記走行方向と上下方向に見て直交する左右方向で前記上部レールに関して互いに反対側の位置に配置された第1ローラ及び第2ローラを備え、
前記第1ローラを上下方向に沿う前記回転軸心周りに回転自在に支持する第1支持部材が、上下方向に沿う第1揺動軸心周りに揺動自在に前記上部フレームに支持され、
前記第2ローラを上下方向に沿う前記回転軸心周りに回転自在に支持する第2支持部材が、上下方向に沿う第2揺動軸心周りに揺動自在に前記上部フレームに支持され、
前記第1揺動軸心及び前記第2揺動軸心は、前記走行方向で同じ位置でかつ前記左右方向で前記上部レールの中心となる仮想中心線上に位置する共通軸心である請求項2又は3に記載の物品搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床面に設置された下部レールと、前記下部レールに案内されて前記下部レールに沿って走行する走行体と、前記走行体に立設されたマストと、前記マストの上端部に連結された上部フレームと、前記走行体の走行方向に沿って延在して前記上部フレームの移動を案内する上部レールと、物品を移載する移載装置を備えて前記マストに沿って昇降する昇降体と、を備え、前記上部フレームは、上下軸心周りに回転自在でかつ上下方向に見て前記上部レールの両側に配置されて前記上部レールに案内される少なくとも2つの案内ローラを、前記上部フレームに対する位置が固定された状態で備えている物品搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このような、物品搬送装置に関する従来技術として、走行体が走行している最中に、マストの振動の発生を抑制することで、走行体が停止した後のマストの振動を抑制する技術が特開2003−237911号公報(特許文献1)に記載されている。特許文献1の物品搬送装置では、上部フレームにブレーキ付きの上部モータを備えて、走行中に上部モータ及びそのブレーキを作動させて走行体の走行中のマストの振動の発生を抑えるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−237911号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の物品搬送装置では、上部フレームにブレーキ付きの上部モータが備えられるため、マストの上端に接続される上部フレームの重量が増大し、マストの上端における慣性モーメントが大きくなる。そのため、マストに弾性変形が発生し易くなり、マストが振動し易くなるという問題がある。また、上部フレームにブレーキ付のモータという重量物を支持させるための支持構造も堅牢にする必要があり、上部フレームの構成が複雑化する要因となる。
【0005】
本発明は上記実状に鑑みて為されたものであって、その目的は、上部フレームの重量の増加を抑制しながら、走行中のマストの振動の発生を抑制することができる物品搬送装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る物品搬送装置の特徴構成は、床面に設置された下部レールと、前記下部レールに案内されて前記下部レールに沿って走行する走行体と、前記走行体に立設されたマストと、前記マストの上端部に連結された上部フレームと、前記走行体の走行方向に沿って延在して前記上部フレームの移動を案内する上部レールと、物品を移載する移載装置を備えて前記マストに沿って昇降する昇降体と、を備え、前記上部フレームは、上下軸心周りに回転自在でかつ上下方向に見て前記上部レールの両側に配置されて前記上部レールに案内される少なくとも2つの案内ローラを、前記上部フレームに対する位置が固定された状態で備えている物品搬送装置において、
前記走行体を駆動及び制動する走行駆動装置を備え、前記上部フレームは、前記上部フレームを駆動するモータを備えておらず、かつ、前記上部フレームを制動する上部制動装置を備えている点にある。
【0007】
本特徴構成によれば、走行体が走行駆動装置により走行方向に走行することで、走行体に立設されたマストが走行体と一体に走行方向に沿って移動し、上部フレームは、マストに牽引されて走行方向に移動することになる。
このように、走行体が走行するとマストが上部フレームを牽引するので、例えば、走行体が減速した場合には、上部フレーム及びマストの慣性モーメントによりマストが走行方向に弾性変形する現象が発生し、走行体の停止後のマストの振動の一因となる。
この点、本特徴構成では、上部フレームはモータを備えないため上部フレームの重量の増加が抑制されており、上部フレームにモータを備える場合に比べて上部フレームの慣性モーメントが小さくなるためマストの振動の抑制の点でも有利となっている。しかも、上部制動装置により上部フレームを制動することができるので、走行体の減速時等に発生する上部フレーム及びマストの慣性モーメントによる上部フレームの走行体に対する相対運動を抑制してマストの弾性変形量を抑制できる。したがって、走行中のマストの振動の発生を抑制することができる。
このように、本特徴構成によれば、上部フレームの重量の増加を抑制しながら、走行中のマストの振動の発生を抑制することができる。
【0008】
ここで、前記上部制動装置は、前記上部レールに押し当てられた状態で取り付けられ前記走行方向と垂直な回転軸心周りに回転自在な制動ローラと、前記上部レールに対して前記制動ローラの前記回転軸心を移動させることで前記制動ローラの前記上部レールに対する押圧力を変更する押圧力変更部とを備え、前記押圧力変更部の作動を制御する押圧制御部が設けられ、前記押圧制御部は、前記走行体の走行状態に応じて前記押圧力変更部の作動を制御すると好適である。
【0009】
この構成によれば、制動ローラの上部レールに対する押圧力を走行体の走行状態に応じて変更して、上部制動装置による上部フレームの制動力を調節できる。したがって、上部フレームを制動するにしても、走行体の走行を阻害するような過度の制動を極力回避する等して、上部フレームの制動を適切に行える。押圧制御部は、走行体の走行状態を、走行速度、走行加速度、走行減速度、走行位置、搬送対象物品の有無、その重量等の情報のいずれか又は複数の組み合わせに基づいて判断するのが好ましい。
【0010】
また、前記上部制動装置は、前記上部レールに押し当てられた状態で取り付けられ前記走行方向と垂直な回転軸心周りに回転自在な制動ローラと、前記制動ローラの回転軸に制動トルクを与えて前記制動ローラの回転を制動する上部ブレーキを備え、前記上部ブレーキの制動トルクを制御する制動制御部が設けられ、前記制動制御部は、前記走行体の走行状態に応じて前記上部ブレーキの作動を制御すると好適である。
【0011】
この構成によれば、制動ローラの回転軸に上部ブレーキにより与えられる制動トルクを走行体の走行状態に応じて変更して、上部制動装置による上部フレームの制動力を調節できる。したがって、上部フレームを制動するにしても、走行体の走行を阻害するような過度の制動を極力回避する等して、上部フレームの制動を適切に行える。制動制御部は、走行体の走行状態を、走行速度、走行加速度、走行減速度、走行位置、搬送対象物品の有無、その重量等の情報のいずれか又は複数の組み合わせに基づいて判断するのが好ましい。
【0012】
また、前記上部制動装置は、前記制動ローラとして、前記走行方向で同じ位置でかつ前記走行方向と上下方向に見て直交する左右方向で前記上部レールに関して互いに反対側の位置に配置された第1ローラ及び第2ローラとを備え、前記第1ローラを上下方向に沿う前記回転軸心周りに回転自在に支持する第1支持部材が、上下方向に沿う第1揺動軸心周りに揺動自在に前記上部フレームに支持され、前記第2ローラを上下方向に沿う前記回転軸心周りに回転自在に支持する第2支持部材が、上下方向に沿う第2揺動軸心周りに揺動自在に前記上部フレームに支持され、前記第1揺動軸心及び第2揺動軸心は、前記走行方向で同じ位置でかつ前記左右方向で前記上部レールの中心となる仮想中心線上に位置する共通軸心であると好適である。
【0013】
上部フレームに対して回転軸心が固定状態で取り付けられた少なくとも一対の案内ローラにより上部フレームの位置が上部レールに対して規制された状態となっているので、一対の案内ローラと第1ローラ及び第2ローラとの位置が走行方向で離れていると、走行体の走行に伴って第1ローラ及び第2ローラが上部レール上を転動する場合に、上部レールに対する第1ローラ及び第2ローラの左右方向の位置が走行に伴って変動するうねり現象が発生する場合が有り得る。なお、うねり現象が発生する原因としては、マストの左右方向の振動や、上部フレーム及び下部レール等、装置の直線性の製作上の誤差や、装置の組み付け誤差等の影響が考えられる。
【0014】
この点、本特徴構成によれば、第1支持部材及び第2支持部材は、左右方向で上部レールの中心となる仮想中心線上に位置する共通軸心周りに夫々が揺動自在であるため、上部レールに押し当てられた状態で取り付けられている第1ローラ及び第2ローラは、うねり現象により上部レールに対する左右方向の位置が走行に伴って変動しても、上部レールに追従するように左右方向の位置が変化することができる。これにより、第1ローラ及び第2ローラは、上部レールに対して両側から適切に押圧された状態で上部レールを転動することになる。そのため、第1ローラ及び第2ローラの押圧状態での回転抵抗による制動力や回転軸を制動する上部ブレーキを設けた場合の制動トルクによる制動力といった、上部制動装置によるマスト上部に作用する制動力を走行中に安定して発生させることができる。
【0015】
さらに、好ましくは、第1支持部材において、左右方向で仮想中心線に関して第1ローラと同じ側で走行方向で共通軸心に関して第1ローラと反対側に位置する第1力点と、第2支持部材において、左右方向で仮想中心線に関して第2ローラと同じ側で走行方向で共通軸心に関して第2ローラと反対側に位置する第2力点との間に、第1付勢体及び第2付勢体としての弾性体が圧縮状態で配置され、共通軸心から第1力点までの走行方向での距離と共通軸心から第2力点までの走行方向での距離とが等しく、かつ、上下方向に見て、共通軸心から第1ローラの回転軸心までの距離と共通軸心から第2ローラの回転軸心までの距離とが等しいことが望まれる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】第1実施形態に係るスタッカークレーンの全体側面図
図2】第1実施形態に係るスタッカークレーンの上部拡大斜視図
図3】第1実施形態に係る押圧式制動ユニットの一部切欠き平面図
図4】第1実施形態に係る押圧式制動ユニットの押圧力の伝達モデルを示す平面図
図5】第1実施形態に係る制御ブロック図
図6】第1実施形態に係る押圧力変更カムによる押圧力の切り換えを説明する図
図7】第1実施形態に係るスタッカークレーンの走行速度の変化と押圧式制動ユニットの押圧力の変化との関係を示す図
図8】第1実施形態に係る上部押圧制御のフローチャート
図9】第2実施形態に係るブレーキ式制動ユニットの正面図
図10】第2実施形態に係る制御ブロック図
図11】第2実施形態に係るスタッカークレーンの走行速度の変化とブレーキ式制動ユニットのブレーキトルクの変化との関係を示す図
図12】第2実施形態に係る上部ブレーキ制御のフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0017】
〔第1実施形態〕
本発明に係る物品搬送装置の第1実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態の物品搬送装置は、図1に示すように、床面に設置された直線状に延在する下部レールR1と、下部レールR1と平行に配置されて直線状に延在する上部レールR2と、に案内されて走行するスタッカークレーン1を備えている。
【0018】
スタッカークレーン1は、下部レールR1上を転動する走行輪3を支持する走行体4と、当該走行体4の上部に走行方向(図1にてXで示す方向。以下、走行方向Xという。)に離間して、上下方向(図1にてZで示す方向。以下、上下方向Zという。)に沿って立設された一対のマスト5(第1マスト5A、第2マスト5B)と、第1マスト5A、第2マスト5Bの上端部同士を接続する上部フレーム6と、一対の駆動チェーン10により吊り下げ状態で昇降駆動されて一対のマスト5の間の昇降経路を昇降する昇降体7と、を備えている。
【0019】
走行体4が備える走行輪3として、ネガティブブレーキ及び減速機付の走行モータM1により駆動及び制動される走行駆動輪3aと、遊転自在な従動輪3bとが、走行体4の前端部と後端部とに設けられている。つまり、本実施形態では、走行体4を駆動及び制動する走行駆動装置として、走行体4に走行モータM1が設けられている。
【0020】
昇降体7には、移載対象箇所との間で搬送対象の物品Bを移載する移載装置8が設けられている。移載装置8は、搬送対象の物品Bを支持する物品支持部を平面視で走行経路に直交する方向(図1にて紙面前後に貫通する方向。以下、左右方向Yという。)に出退させることで、搬送対象の物品Bを移動させて、物品Bを移載対象箇所との間で授受する。本実施形態では、移載装置8は、物品Bを載置支持する物品支持部を出退自在に備えたフォーク式の移載装置により構成される。また、移載対象箇所としては、例えば、スタッカークレーン1の走行経路の左右方向Yの両側に配置される物品収納棚における各収納部や、物品収納棚の走行方向Xの端部外方に設けられる入出庫用の授受箇所等が設定される。
【0021】
一対のマスト5のそれぞれは、上下に長尺な中空の角筒状体に形成されている。第1マスト5A及び第2マスト5Bのそれぞれにおける4つの外側面のうちの3つの外側面は、昇降体7の昇降を案内する案内面を形成している。すなわち、第1マスト5A及び第2マスト5Bのそれぞれは、上下方向Zに沿いかつ互いに逆の向きを向く一対の案内面と、走行方向Xで昇降体7が存在する方向を向く案内面とを備えている。昇降体7が備える複数の昇降案内ローラ9が、第1マスト5Aの3つの案内面と第2マスト5Bの3つの案内面に案内された状態で、駆動チェーン10が昇降モータM2により巻回作動することで、昇降体7がマスト5に沿って昇降する。
【0022】
このように、本実施形態の物品搬送装置は、床面に設置された下部レールR1に案内されて下部レールR1に沿って走行する走行体4と、走行体4に立設されたマスト5と、マスト5の上端部に連結された上部フレーム6と、走行体4の走行方向Xに沿って延在して上部フレーム6の移動を案内する上部レールR2と、物品Bを移載する移載装置8を備えてマスト5に沿って昇降する昇降体7とを備えている。なお、上部レールR2は、例えば、走行体4の走行経路の側脇に配置される単一の物品収納棚又は走行経路を挟んで配置される一対の物品収納棚の上端に設けられる複数の支持部材により支持される。
【0023】
図2に示すように、上部フレーム6は、走行方向Xに分散して一対の案内ユニット11(第1案内ユニット11A及び第2案内ユニット11B)を備えている。第1案内ユニット11Aは、走行方向Xで第1マスト5Aに対応する位置に設けられ、第2案内ユニット11Bは、走行方向Xで第2マスト5Bに対応する位置に設けられている。
【0024】
上部フレーム6は、一対のマスト5の上端部に形成されたフランジ部5fが取付プレート13を介してボルト固定される底部6Bと、底部6Bの左右方向Yの両端縁から上下方向Zに沿って立ち上がる左右一対の側部6Sを備えている。なお、取付プレート13には上部アイドラ14が回転自在に支持されている。
【0025】
案内ユニット11は、ブラケット15により上部フレーム6の側部6Sに取り付けられている。ブラケット15は、上部レールR2の左右方向Yで両側に配置された一対の案内ローラ16を左右方向Yに並ぶ状態で、かつ、上下軸心Pg周りに回転自在に支持している。一対の案内ローラ16の配置間隔は、本実施形態では、上部レールR2の左右方向Yの長さと案内ローラ16の直径に基づいて、各案内ローラ16の外周面と上部レールR2の案内面とに数ミリ(例えば1.5mm)の隙間が形成される規定値に設定されている。なお、一対の案内ローラ16の配置間隔を設計上の規定値通りに設置すると、上部レールR2及び上部フレーム6の製作精度等によっては、案内ローラ16が上部レールR2に押し付けられた状態となる場合があるが、その場合でも、各案内ローラ16が上部レールR2に対して左右方向Yに許容押圧力(本実施形態では150[Kgf])以下の力で押し当てられる距離に調整されている。
【0026】
このように、本実施形態の物品搬送装置における上部フレーム6は、上部レールR2に案内される上下軸心Pg周りに回転自在な2つの案内ローラ16を、上部フレーム6に対する位置が固定された状態で、走行方向Xの両端部に分散して2組備えており、各組における2つの案内ローラ16は、走行方向Xと平面視で直交する左右方向Yで上部レールR2の両側に配置されている。
【0027】
このような構成により、スタッカークレーン1は、走行体4の走行作動、昇降体7の昇降作動、移載装置8の移載作動の組み合わせにより、搬送元の移載対象箇所で搬送対象の物品Bを受け取って、当該物品Bを、搬送先の移載対象箇所に受け渡す搬送作業を行う。走行体4の走行作動、昇降体7の昇降作動、移載装置8の移載作動の各作動は、制御部Hにより制御される。
【0028】
図1に示すように、走行体4の走行位置を検出する走行位置検出部2として、走行経路の端部において経路長手方向で外方に設定された基準位置からの距離を計測するレーザ距離計が走行体4に設けられている。なお、走行位置検出部2としては、下部レールR1に当接して走行体4の走行量に対応する回転量で回転する回転体の回転量をロータリエンコーダ等により計測することで走行体4の基準位置からの位置を検出する構成してもよい。
【0029】
図5に示すように、走行位置検出部2の検出情報は制御部Hに入力される。制御部Hは、走行位置検出部2の検出情報に基づいて、走行体4の走行を制御する。制御部Hに対して上位コントローラから物品Bの搬送元と搬送先を指定する搬送指令が指令されると、制御部Hは、その搬送指令に基づいて、搬送元の移載対処箇所から移載装置8にて物品Bを受け取り、搬送先の移載対象箇所に移載装置8にて物品Bを供給するべく、搬送元の移載対象箇所や搬送先の移載対象箇所に対応した走行目標位置に走行体4を走行させる。ちなみに、便宜上、図1では制御部Hがスタッカークレーン1に設けられた構成としているが、実際には、制御部Hは、地上側に設置される地上コントローラと、スタッカークレーン1に設けられる移動側コントローラとで構成される。
【0030】
走行体4の走行開始から走行停止までの走行速度は、図7の上段に示す走行速度パターンのように変化する。すなわち、走行開始後から設定加速度で加速し、設定上限速度Vhに達したら定速走行し、減速開始時刻t1になったら設定減速度で減速し、走行体4が目標停止位置よりも所定距離だけ手前に設定されたクリープ走行開始位置に達してクリープ走行開始時刻t2になったら停止用クリープ速度Vcで走行し、走行体4が目標停止位置に達して停止時刻t3が到来したら停止する。
【0031】
搬送作業中における走行体4の減速時に発生するマスト5の走行方向Xでの弾性変形に起因する上部フレーム6の走行方向Xに沿う振動を抑制するために、スタッカークレーン1の上部フレーム6に制動ユニット12が設けられている。本実施形態では、制動ユニット12が、本発明の上部制動装置に対応する。
【0032】
図2に示すように、制動ユニットは、一対の案内ユニット11に走行方向Xで挟まれた位置、つまり、走行方向Xで第1マスト5A及び第2マスト5Bの中間の位置において上部フレーム6に取り付けられている。
【0033】
制動ユニット12は、制動ローラとして、上下軸心周りに回転自在な第1ローラ18A及び第2ローラ18Bを、走行方向Xで同じ位置において上部レールR2に関して互いに反対方向から同じ押圧力にて上部レールR2に押し当てられた状態で備えている。
【0034】
図2及び図3に示すように、制動ユニット12は、上部フレーム6から左右方向Yに突出する姿勢で取り付けられている。左右方向Yに長尺の取付ブラケット17の基部17Bが上部フレーム6の側部6Sに取り付けられ、取付ブラケット17の基部17Bと左右方向Yで反対側となる先端部17Tが上部レールR2の直下の位置まで突出している。
【0035】
取付ブラケット17の先端部17Tに、第1ローラ18Aを第1上下軸心P1周りに回転自在に支持する第1支持部材19と、第2ローラ18Bを第2上下軸心P2周りに回転自在に支持する第2支持部材20と、が共通軸心Pc周りに各別に揺動自在に設けられている。
【0036】
第1支持部材19及び第2支持部材20は、水平面に沿って延在する板状部材にて構成されている。第1支持部材19は下面から下方に膨出するボス部19Bを備え、第2支持部材20は下面から下方に膨出するボス部20Bを備え、取付ブラケット17の先端部17Tに設けられた上下方向Zに沿う揺動軸17Pに、第1支持部材19のボス部19B、及び、第2支持部材20のボス部20Bが、ベアリングを介して回転自在に嵌合している。そして、取付ブラケット17の揺動軸17P、第1支持部材19のボス部19B、第2支持部材20のボス部20Bの各軸心が、上部レールR2の左右方向Yでの中心となる仮想中心線21上に位置する上下方向Zに沿う共通軸心Pcに一致するように配置されていることにより、取付ブラケット17に対して第1支持部材19及び第2支持部材20が、共通軸心Pc周りに各別に揺動自在となっている。
【0037】
このように、本実施形態に係る物品搬送装置では、上部制動装置としての制動ユニット12は、制動ローラとして、走行方向Xで同じ位置でかつ走行方向Xと上下方向に見て直交する左右方向Yで上部レールR2に関して互いに反対側の位置に配置された第1ローラ18A及び第2ローラ18Bを備え、第1ローラ18Aを上下方向に沿う回転軸心P1周りに回転自在に支持する第1支持部材19は、上下方向に沿う第2揺動軸心(共通軸心Pc)周りに揺動自在に上部フレーム6に支持され、第2ローラ18Bを上下方向に沿う回転軸心P2周りに回転自在に支持する第2支持部材20は、上下方向に沿う第2揺動軸心(共通軸心Pc)周りに揺動自在に上部フレーム6に支持されている。そして、第1揺動軸心及び第2揺動軸心は、走行方向Xで同じ位置でかつ左右方向Yで上部レールR2の中心となる仮想中心線21上に位置する共通軸心Pcである。
【0038】
図2及び図3に示すように、走行方向Xで共通軸心Pcに関して第1ローラ18A及び第2ローラ18Bと反対側には、第1バネ受け板19Tと第2バネ受け板20Tが設けられており、図6にも示すように、第1バネ受け板19Tと第2バネ受け板20Tとの間には、圧縮状態のコイルバネ22が、左右方向Yに沿う軸心のスライド棒23に外嵌する状態で、配置されている。第1バネ受け板19T及び第2バネ受け板20Tにはスライド棒23のネジ部の外径よりも大きくかつコイルバネ22の内径よりも小さい貫通孔が形成されている。
【0039】
第1支持部材19には、スライド棒23の先端部がその周方向に隙間が形成された状態で移動自在に挿通する挿通孔が形成された第1バネ受け板19T及びこの第1バネ受け板19Tが取り付けられたスライド棒支持体25が設けられている。スライド棒支持体25はボールブッシュ25aによりスライド棒23の先端部を移動自在に支持している。スライド棒支持体25と第1バネ受け板19Tとは面接触しており、第1バネ受け板19Tに入力されるコイルバネ22による押圧力がスライド棒支持体25を介して第1支持部材19に伝達される。
【0040】
このような構成により、圧縮状態のコイルバネ22が、第1バネ受け板19Tと第2バネ受け板20Tとを左右方向Yで離間するように押圧し、その結果、共通軸心Pcを支点として力の方向が平面視で反転されて、第1ローラ18A及び第2ローラ18Bが左右方向Yに沿って互いに接近する方向の力で上部レールR2に対して押し当てられる。
【0041】
つまり、本実施形態の物品搬送装置では、圧縮状態のコイルバネ22の弾性力により、第1支持部材19は、図3で共通軸心Pcを中心に反時計回りに回転する方向に付勢され、第2支持部材20は、図3で共通軸心Pcを中心に時計回りに回転する方向に付勢されている。これにより、第1ローラ18A及び第2ローラ18Bが上部レールR2に左右方向Yで互いに反対方向から押し当てられる。第1支持部材19と第2支持部材20とは、第1ローラ18Aの押圧力と第2ローラ18Bの押圧力とが均衡するように共通軸心Pc周りに双方が揺動できるので、両者の押圧力の均衡が取れた状態が維持される。
【0042】
第2支持部材20には、スライド棒23の基端部に形成された被操作部23Hを左右方向Yに沿って第1支持部材19のスライド棒支持体25に向かって押し操作して、スライド棒23を移動させることでコイルバネ22の圧縮状態を変更して、第1ローラ18A及び第2ローラ18Bの上部レールR2に対する押圧力を変更する押圧力変更部24が設けられている。なお、図2図3及び図6に示すように、スライド棒23の被操作部23Hの基部側の円柱状部分の外周面には、複数のガイド棒支持ローラ33が当接しており、被操作部23Hの走行方向X及び上下方向Zの移動が規制されている。これにより、スライド棒23は、カム板27の回転に伴って、軸心の位置を維持した状態で左右方向Yに沿って円滑にスライドできるようになっている。
【0043】
図2図3及び図6に示すように、押圧力変更部24は、走行方向Xからみた形状が亜楕円形の板状部材にて構成され走行方向Xに沿う水平軸心Ph周りに回転するカム板27と、カム板27を先端部に備えて水平軸心Phに沿って配置される回転操作軸28と、回転操作軸28を正逆両方向に回転駆動自在な上部制動状態切換モータ29と、上部制動状態切換モータ29及びカム板27の間に配置されて回転操作軸28を回転自在に支持する軸受30とを備えている。
【0044】
図6に示すように、カム板27の外周端面がスライド棒23の被操作部23Hの先端に当接した状態でカム板27が回転操作されることで、スライド棒23が左右方向Yに沿って移動して、第2バネ受け板20Tが第1バネ受け板19Tに対して移動(接近・離間)操作される。なお、被操作部23Hの好ましい形態として、本実施形態では、カム板27の水平軸心Phと平行な軸心周りに遊転自在なローラを被操作部23Hの先端に設けている。
【0045】
第2バネ受け板20Tが第1バネ受け板19Tに対して接近することで、コイルバネ22が圧縮側に変形し、第1ローラ18A及び第2ローラ18Bの上部レールR2に対する押圧力が増大する。また、第2バネ受け板20Tが第1バネ受け板19Tに対して離間することで、コイルバネ22が伸長側に変形し、第1ローラ18A及び第2ローラ18Bの上部レールR2に対する押圧力が減少する。
【0046】
このように、上部制動装置としての制動ユニット12は、上部レールR2に押し当てられた状態で取り付けられ走行方向Xと垂直な上下方向に沿う回転軸心P1周りに回転自在な制動ローラとしての第1ローラ18A及び第2ローラ18Bと、上部レールR2に対する押圧力を変更する押圧力変更部24とを備えている。
【0047】
押圧力変更部24は、基準状態での第1ローラ18A及び第2ローラ18Bの押圧力を調整可能に構成されている。図3及び図6に示すように、スライド棒23には、押圧力調整用のダブルナット26bが螺合している。ダブルナット26bにより第2バネ受け板20Tは被操作部23H側への移動が規制されているので、第2バネ受け板20Tに入力されるコイルバネ22による押圧力がダブルナット26bに受け止められ、被操作部23Hを介してカム板27に伝達される。ダブルナット26bのスライド棒23における螺合位置を変更することで、基準状態でのコイルバネ22の圧縮状態を変更でき、基準状態での第1ローラ18A及び第2ローラ18Bの押圧力を調整できる。
【0048】
図3に示すように、第1支持部材19において、左右方向Yで仮想中心線21に関して第1ローラ18Aと同じ側で走行方向Xで共通軸心Pcに関して第1ローラ18Aと反対側に位置する第1力点T1と、第2支持部材20において、左右方向Yで仮想中心線21に関して第2ローラ18Bと同じ側で走行方向Xで共通軸心Pcに関して第2ローラ18Bと反対側に位置する第2力点T2との間に、第1付勢体及び第2付勢体としての弾性体であるコイルバネ22が圧縮状態で配置されている。
【0049】
さらに、図4に示すように、第1支持部材19及び第2支持部材20が基準姿勢である状態において、共通軸心Pcから第1力点T1までの走行方向Xでの距離L1と共通軸心Pcから第2力点T2までの走行方向Xでの距離L2とが等しい。基準姿勢とは、第2支持部材20が支持する回転操作軸28の軸心が走行方向Xに沿い、第1支持部材19のスライド棒支持体25が備えるボルト挿通孔の軸心が左右方向Yに沿う姿勢である。
【0050】
また、上下方向Zに見て、共通軸心Pcから第1ローラ18Aの回転軸心P1までの距離D1と共通軸心Pcから第2ローラ18Bの回転軸心P2までの距離D2とが等しい。基準姿勢では、上下方向Zに見た場合の共通軸心Pcから第1力点T1までの距離r1と共通軸心Pcから第2力点T2までの距離r2とが僅かに異なるため、第1ローラ18Aの押圧力と第2ローラ18Bの押圧力とが均衡するように、第1支持部材19及び第2支持部材20の双方が共通軸心Pc周りに基準姿勢から僅かに(1度〜3度程度)揺動した状態となっている。
【0051】
以上のように、本実施形態に係る物品搬送装置では、第1ローラ18Aを回転自在に支持する第1支持部材19が、第1ローラ18Aの回転軸心P1を左右方向Yで位置変更可能な状態でかつ第1ローラ18Aを上部レールR2に押し当てる方向にコイルバネ22により付勢された状態で取り付けられ、第2ローラ18Bを回転自在に支持する第2支持部材20が、第2ローラ18Bの回転軸心P2を左右方向Yで位置変更可能な状態でかつ第2ローラ18Bを上部レールR2に押し当てる方向にコイルバネ22により付勢された状態で取り付けられている。つまり、本実施形態では、第1ローラ18Aの第1揺動軸心と第2ローラ18Bの第2揺動軸心とが上下方向Zに見て上部レールR2の左右方向Yでの中心となる仮想中心線21上に位置する共通軸心Pcであり、第1付勢体と第2付勢体とが単一のコイルバネ22により兼用されている。
【0052】
第1ローラ18Aの回転軸心P1から共通軸心Pcまでの距離D1と、第2ローラ18Bの回転軸心P2から共通軸心Pcまでの距離D2とが等しく、しかも、第1支持部材19と第2支持部材20とは、第1ローラ18Aの押圧力と第2ローラ18Bの押圧力とが均衡するように共通軸心Pc周りに双方が揺動できるので、第1ローラ18A及び第2ローラ18Bの押圧力の均衡が取れた状態が維持される。そのため、第1ローラ18A及び第2ローラ18Bがバランスよく上部レールR2に押圧された状態が維持できる。
【0053】
押圧力変更部24の作動は走行体4の走行状態に応じて制御部Hにより制御される。つまり、本実施形態では、押圧力変更部24の作動を制御する押圧制御部として制御部Hが設けられており、制御部Hは、走行体4の走行状態に応じて押圧力変更部24の作動を制御する。
【0054】
図5に示すように、制御部Hには、制動ユニット12の制動状態を検出する上部制動状態検出部の検出情報が入力されており、制御部Hは、上部制動状態検出部の検出情報に基づいて、制動ユニット12の制動状態を制御している。本実施形態では、上部制動状態検出部として、図3及び図6に示すように、カム板27に設けられたドグプレート31を検出するセンサ32を備えており、制御部Hは、センサ32の検出情報に基づいて、制動ユニット12の制動状態(本実施形態では、カム板27の回転位置であり第1ローラ18A及び第2ローラ18Bの押圧力)を制御している。
【0055】
図3及び図6に示すように、センサ32は、カム板27が基準回転位置に位置しているときにドグプレート31を検出できる位置に、ブラケット34を介して第2支持部材20に取り付けられている。制御部Hは、センサ32の検出情報が入力されている状態から上部制動状態切換モータ29を回転させた場合の回転量に基づいて、カム板27の回転位置を判別している。
【0056】
図6に示すように、カム板27が基準回転位置に位置している状態(センサ32がドグプレート31を検出している状態)では、コイルバネ22の長さが設定押圧状態となる長さK1になっており、コイルバネの圧縮状態が後述する高圧縮状態よりも低い低圧縮状態となっている。本実施形態では、設定押圧状態は、第1ローラ18A及び第2ローラ18Bの押圧力が、案内ユニット11における案内ローラ16の許容押圧力(150[Kgf])と同じ第1押圧力F1となる状態としているが、設定押圧状態での第1ローラ18A及び第2ローラ18Bの押圧力は、上部フレーム6の重量やマスト5の長さやスタッカークレーン1の走行性能等に応じて適宜設定できる。
【0057】
また、図6に示すように、カム板27が基準回転位置から図6で時計回りに90度回転した状態に位置している状態では、コイルバネ22の長さが長さK1よりも短いK2になっており、コイルバネの圧縮状態が前述の低圧縮状態よりも高い高圧縮状態となっている。本実施形態では、高圧縮状態では、第1ローラ18A及び第2ローラ18Bの押圧力が、低圧縮状態での第1押圧力F1の倍の第2押圧力F2(300[Kgf])となる状態としている。
【0058】
次に、制御部Hが実行する上部押圧制御による押圧力変更部24の制御ついて、図7のタイミングチャート及び図8のフローチャートに基づいて説明する。
図7に示すように、制御部Hは、走行体4を設定上限速度Vhで走行させている状態で、走行体4の減速を開始する減速開始時刻t1の設定時間手間の減速前時刻t0になると、上部制動状態切換モータ29を制御して制動ユニット12による第1ローラ18A及び第2ローラ18Bの押圧力を第1押圧力F1から第2押圧力F2に切り換える(図8のステップ#101及び#102)。減速開始時刻t1の設定時間だけ手前の減速前時刻t0に制動ユニット12の制動力の切り換え作動を開始することで、走行体4の加速度が変化するタイミングである減速開始時刻t1が到来したときには適切な制動力が発生している状態とすることができる。
【0059】
走行体4の減速期間中は、制動ユニット12による第1ローラ18A及び第2ローラ18Bの押圧力が第2押圧力F2に維持される(図8のステップ#103でのループ)。そして、走行体4の減速を終了して停止用クリープ速度Vcでの走行を開始するクリープ走行開始時刻t2になると、上部制動状態切換モータ29を制御して制動ユニット12による第1ローラ18A及び第2ローラ18Bの押圧力を第2押圧力F2から第1押圧力F1に切り換える(図8のステップ#103及び#104)。
【0060】
このように、本実施形態では、上部フレーム6はモータを備えないため上部フレーム6の重量の増加が抑制されており、しかも、制御部Hが、走行体4の走行中において押圧力変更部24の作動を制御して走行中の制動ユニット12による第1ローラ18A及び第2ローラ18Bの押圧力を変更することで、走行体4の減速時等に発生する上部フレーム6及びマスト5の慣性モーメントによる上部フレーム6の運動を抑制して、マスト5の弾性変形量を抑制して、走行中のマスト5の振動の発生を抑制することができる。
【0061】
そして、第1ローラ18Aを回転自在に支持する第1支持部材19、及び、第2ローラ18Bを回転自在に支持する第2支持部材20の双方を、共通軸心Pc周りに揺動自在に備えているため、上部レールR2にうねりがあっても、マスト5の上部に作用する制動ユニット12による制動力を走行体4の走行中に安定して得ることができる。そのため、走行体4の減速時にマスト5が進行方向に傾倒するようなマスト5の弾性変形が適切に抑制され、走行体4が停止した後のマスト5の揺れが抑制でき、走行体4の停止後いち早く移載装置8により物品Bの移載を行うことができる。
【0062】
〔第2実施形態〕
次に、本発明に係る物品搬送装置の第2実施形態を説明する。第2実施形態は、第1実施形態で説明した物品搬送装置における上部制動装置として制動ユニット12に代えてブレーキユニット35が備えられている点、及び、制御部Hが押圧制御部として制動ユニット12における押圧力変更部24の作動を制御することに代えて、制御部Hが制動制御部としてブレーキユニット35における上部ブレーキ36の作動を制御する点において異なっている。そこで、以下では、ブレーキユニット35及び制御部Hの構成を説明し、その他の構成は、第1実施形態の物品搬送装置と同じ構成となっているため説明は省略する。
【0063】
図9に示すように、ブレーキユニット35は、上部レールR2に押し当てられた状態で取り付けられ走行方向Xと垂直な回転軸心周りに回転自在な制動ローラとしての第1ローラ18A及び第2ローラ18Bと、これらの制動ローラのうち第2ローラ18Bの回転軸に制動トルクを与えて第2ローラ18Bの回転を制動する上部ブレーキ36とを備えている。図10に示すように、上部ブレーキ36は制御部Hに電気的に接続されており、制御部Hが上部ブレーキ36を制御する。
【0064】
第1ローラ18Aは、第1支持部材39により上下方向に沿う回転軸心P1周りに回転自在に支持されており、第1支持部材39は、上下方向に沿う第1揺動軸心(共通軸心Pc)周りに揺動自在にブラケット37に支持されている。ブラケット37は、その基部37Bが上部フレーム6の側部6Sに取り付けられている。また、第2ローラ18Bは、第2支持部材40により上下方向に沿う回転軸心P2周りに回転自在に支持されており、第2支持部材40は、上下方向に沿う第2揺動軸心(共通軸心Pc)周りに揺動自在にブラケット37に支持されている。
【0065】
このように、ブレーキユニット35は、制動ローラとして、走行方向Xで同じ位置でかつ左右方向Yで上部レールR2に関して互いに反対側の位置に配置された第1ローラ18A及び第2ローラ18Bを備えており、第1ローラ18Aを上下方向に沿う回転軸心P1周りに回転自在に支持する第1支持部材39が、上下方向に沿う第1揺動軸心(共通軸心Pc)周りに揺動自在に上部フレーム6に支持され、第2ローラ18Bを上下方向に沿う回転軸心P2周りに回転自在に支持する第2支持部材40が、上下方向に沿う第2揺動軸心(共通軸心Pc)周りに揺動自在に上部フレーム6に支持されている。そして、第1揺動軸心及び第2揺動軸心は、走行方向Xで同じ位置でかつ左右方向で上部レールR2の中心となる仮想中心線21上に位置する共通軸心Pcとなっている。
【0066】
第1ローラ18A及び第2ローラ18Bを、上部レールR2に押し当てる付勢手段としてコイルバネ42が設けられている。コイルバネ42は、ボルト43のネジ部に嵌装されている。ボルト43は、第2支持部材40が備えるボルト支持体44に基端側部分が固定状態で支持され、第1支持部材39が備えるボルト挿通体45に先端側部分が走行方向Xに沿って移動自在に支持されている。
【0067】
ボルト43は、ボルト支持体44よりも基端側においてボルト43に螺合するボルト位置設定用のナット46aを締め付けることにより、ボルト支持体44に対する基端側への移動が規制されている。ボルト43のナット46aより先端側には、コイルバネ42による押圧力を調整する押圧力調整用のダブルナット46bが設けられている。ダブルナット46bにより第2バネ受け板40Tは基端側への移動が規制されているので、第2バネ受け板20Tに入力されるコイルバネ42による押圧力がダブルナット46bに受け止められ、ボルト支持体44を介して第2支持部材40に伝達される。
【0068】
コイルバネ42は、第1バネ受け板39Tと第2バネ受け板40Tとの間に圧縮状態で配置されているので、第1バネ受け板39Tと第2バネ受け板40Tとは走行方向Xで離間するように押圧され、その結果、第1ローラ18A及び第2ローラ18Bが左右方向Yに沿って互いに接近する方向の力で上部レールR2に対して押し当てられる。このように、ブレーキユニット35は、第1ローラ18A及び第2ローラ18Bを、上部レールR2に関して互いに反対方向から同じ押圧力にて上部レールR2に押し当てられた状態で備えている。
【0069】
詳細な図示は省略するが、第1実施形態と同様に、第1ローラ18Aの回転軸心P1から共通軸心Pcまでの距離と、第2ローラ18Bの回転軸心P2から共通軸心Pcまでの距離とが等しく、しかも、第1支持部材39と第2支持部材40とは、第1ローラ18Aの押圧力と第2ローラ18Bの押圧力とが均衡するように共通軸心Pc周りに双方が揺動できるので、第1ローラ18A及び第2ローラ18Bの押圧力の均衡が取れた状態が維持される。そのため、走行体4の走行中に、第1ローラ18A及び第2ローラ18Bがバランスよく上部レールR2に押圧された状態が維持できる。
【0070】
上部ブレーキ36は、上下方向の存在範囲が上部レールR2のそれと重複しないように、第2支持部材40の下方において、第2支持部材40に固定状態で取り付けられている。上部ブレーキ36は、制動力取り出し用の出力軸41を本体部から突出する状態で備えており、出力軸41は、軸受47により回転自在に支持され、突出側の端部が備える第1ベベルギヤ48が第2ローラ18Bの回転軸が備える第2ベベルギヤ49と連動連結されている。これにより上部ブレーキ36の出力軸41の制動トルクにより第2ローラ18Bの回転軸の回転動作を制動することができる。本実施形態では、上部ブレーキ36として制動トルクの制御のし易さの観点からパウダーブレーキを用いているが、ヒステリシスブレーキ等、他の種別のブレーキを用いてもよい。
【0071】
次に、上部ブレーキ36の制動トルクを制御する制動制御部としての制御部Hの動作について説明する。制御部Hは、走行体4の走行状態に応じて上部ブレーキ36に通電する電力の電流値を変化させることで上部ブレーキ36の作動を制御する上部ブレーキ制御を実行する。以下に、上部ブレーキ制御ついて、図11のタイミングチャート及び図12のフローチャートに基づいて説明する。
【0072】
図11に示すように、制御部Hは、走行体4を設定上限速度Vhで走行させている状態で、走行体4の減速を開始する減速開始時刻t1になると、上部ブレーキ36を制御してブレーキユニット35による第2ローラ18Bの回転軸に対する制動トルクを減速用トルクTr1に設定してブレーキユニット35によるブレーキを開始する(図12のステップ#201及び#202)。なお、減速開始時刻t1の設定時間だけ手前の減速前時刻にブレーキユニット35の制動トルクを減速用トルクTr1より小さい制動トルク値で制動を開始してもよい。この場合、走行体4の加速度が変化するタイミングである減速開始時刻t1が到来したときには適切な制動力が発生している状態とすることができる。
【0073】
走行体4の減速期間中は、ブレーキユニット35による第2ローラ18Bの制動トルクが減速用トルクTr1に維持される(図12のステップ#203でのループ)。そして、走行体4の減速を終了して停止用クリープ速度Vcでの走行を開始するクリープ走行開始時刻t2になると、上部ブレーキ36を制御してブレーキユニット35による第2ローラ18Bの回転軸に対する制動トルクを減速用トルクTr1から、この減速用トルクTr1よりも小さいクリープ用トルクTr2に切り換える(図12のステップ#203及び#204)。そして、走行体4が走行停止位置に達して停止時刻t3が到来すると、上部ブレーキ36を制御してブレーキユニット35による第2ローラ18Bの回転軸に対する制動トルクをクリープ用トルクTr2から、ゼロトルクに切り換えて、上部ブレーキ36を開放する(図12のステップ#205及び#206)。
【0074】
このように、本実施形態では、上部フレーム6はモータを備えないため上部フレーム6の重量の増加が抑制されており、しかも、制御部Hが、走行体4の走行中において上部ブレーキ36の作動を制御して走行中のブレーキユニット35による第2ローラ18Bの回転軸に対する制動トルクを変更することで、走行体4の減速時等に発生する上部フレーム6及びマスト5の慣性モーメントによる上部フレーム6の運動を抑制して、マスト5の弾性変形量を抑制して、走行中のマスト5の振動の発生を抑制することができる。
【0075】
〔別の実施形態〕
(1)上記第1及び第2実施形態では、第1支持部材及び第2支持部材が上下軸心周りに揺動することで、第1ローラ及び第2ローラの回転軸心が左右方向で変更されるものを例示したが、第1支持部材及び第2支持部材が左右方向に平行移動することで、第1ローラ及び第2ローラの回転軸心が左右方向で変更されるように構成してもよい。
【0076】
(2)上記第1及び第2実施形態では、第1ローラを上部レールに押し当てるように第1支持部材を付勢する第1付勢体、及び、第2ローラを上部レールに押し当てるように第2支持部材を付勢する第2付勢体が、単一の弾性体により兼用されるものを例示したが、第1付勢体と第2付勢体とを各別に設けてもよい。
【0077】
(3)上記第1及び第2実施形態では、走行体が走行方向に並ぶ前後一対のマストを備えたものを例示したが、走行体が単一のマストを備えたものでもよい。単一のマストの上端に連結される上部フレームは、一対のマストに連結される場合に比べて走行方向の長さを短くでき、走行方向で案内ローラに対して第1ローラ及び第2ローラを近付けて配置できる。そのため、案内ユニットにおける一対の案内ローラの上下軸心の左右方向での中心位置と、制動ユニットにおける第1ローラの第1上下軸心及び第2ローラの第2上下軸心の左右方向での中心位置との差が左右方向で小さくなり、第1ローラ及び第2ローラによりマスト上部を制動する場合に比較的有利となる。
【0078】
(4)上記第1及び第2実施形態では、走行体を走行駆動する走行モータが走行体に設けられた物品搬送装置を例示したが、走行モータを、例えば床面に固定する等、走行レールに対する位置が固定された状態で設けて、走行体と走行モータとを、例えばベルトやチェーン等を用いた動力伝達機構により連結して、走行体を走行駆動するように構成してもよい。
【0079】
(5)上記第1及び第2実施形態では、上部制動装置が備える制動ローラが上下軸心周りに回転自在であるものを例示したが、制動ローラが水平軸心周りに回転自在であってもよい。この場合、第1支持部材及び第2支持部材の共通軸心も水平に沿うことになる。
【0080】
(6)上記第1及び第2実施形態では、上部制動装置が制動ローラを備えるものを例示したが、上部制動装置が、上部レールに当接した状態で摺動する摺動体を備えて、押圧力変更部が上部レールに対して摺動体を移動させることで摺動体の上部レールに対する押圧力を変更するように構成してもよい。なお、上部制動装置は制動ローラや摺動体を上部レールに対して走行方向に直交する方向のうち一方側にだけ備えるように構成してもよい。
【0081】
(7)上記第1実施形態では、押圧力変更部が、カム機構を備えて、上部制動状態切換モータがこのカム機構を作動させるものを例示したが、押圧力変更部は、種々の構成が採用できる。例えば、押圧力変更部が、リンク機構を備えて、上部制動状態切換モータがこのリンク機構を作動させるものであってもよいし、押圧力変更部が、電磁シリンダを備えて、押圧制御部がこの電磁シリンダの作動を制御するものであってもよい。
【0082】
(8)上記第1実施形態では、押圧制御部が走行体の走行状態に応じて第1ローラ及び第2ローラの押圧力を第1押圧力及び第2押圧力の何れかに切り換えるものを例示したが、これに限らず、押圧制御部が走行体の走行状態に応じて、第1ローラ及び第2ローラの押圧力を3つ以上の押圧力の何れかに切り換えるものであってもよいし、第1ローラ及び第2ローラの押圧力を無段階に変更するものであってもよい。その場合、第1実施形態において、カム板27が基準回転位置に位置している状態でコイルバネ22が自然長になるようにしてもよい。
【0083】
(9)上記第2実施形態では、上部ブレーキとして負作動型、すなわち通電しない状態でブレーキがかかる構造の無励磁作動型電磁ブレーキを用いて、制動制御部が、無励磁作動型電磁ブレーキを低周波のPWM制御におけるデューティ比の制御のみで、上部ブレーキの制動トルクを制御してもよい。
【0084】
(10)上記第1及び第2実施形態では、制御部が、制御装置Hにより構成されるものを例示したが、制御部が、走行体の走行作動を制御する走行制御部と、上部制動装置の作動を制御する制動制御部とを備えた構成としてもよい。この場合、走行制御部と制動制御部とが通信線又は無線により通信自在に接続し、制動制御部が走行体の走行状態情報を取得自在に構成されていることが望ましい。さらに、走行体の走行状態を検出する例えば加速度センサ等の走行状態検出部を上部制動装置に設けて、制御部が走行状態検出部の検出情報に基づいて上部制動装置を制御(具体的には、押圧力変更部やブレーキを制御)するように構成してもよい。この場合、制御部は、走行体の作動を制御する機能は備えていなくてもよい。
【0085】
以上、発明者によってなされた発明を発明の実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。また、上記各実施形態は、矛盾の生じない範囲で組み合わすことができる。
【符号の説明】
【0086】
4 :走行体
5 :マスト
6 :上部フレーム
7 :昇降体
8 :移載装置
12 :制動ユニット(上部制動装置)
16 :案内ローラ
18A :第1ローラ
18B :第2ローラ
19 :第1支持部材
20 :第2支持部材
21 :仮想中心線
24 :押圧力変更部
35 :ブレーキユニット(上部制動装置)
36 :上部ブレーキ
39 :第1支持部材
40 :第2支持部材
B :物品
H :制御部
P1、P2:回転軸心
Pc :共通軸心
R1 :下部レール
R2 :上部レール
X :走行方向
Y :左右方向
Z :上下方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12