【解決手段】閉じた軌道に対し、互いに空間的位相差がある第1加振領域Z1および第2加振領域Z2に2つの波を時間的位相差をもって与えることで進行波を発生させ、軌道の少なくとも一部に搬送機能をもたせるようにしたものであり、その時間的位相差が、第1加振領域Z1と第2加振領域Z2との間で機械的な対称性を崩すことによる固有振動数f1、f2のずれに起因した機械的な位相差によって実現されており、これら第1加振領域Z1および第2加振領域Z2に設けた駆動手段たる圧電素子21に対して、共通の駆動源4から同相で電気的駆動を行うようにした。
閉じた軌道に対し、互いに空間的位相差のある第1加振領域および第2加振領域に2つの波を時間的位相差をもって与えることで進行波を発生させ、前記軌道の少なくとも一部に搬送機能をもたせるようにしたものであって、
前記時間的位相差が、第1加振領域と第2加振領域の間で機械的な対称性を崩すことによる固有振動数のずれに起因した機械的な位相差によって実現されており、これら第1加振領域および第2加振領域に設けた駆動手段に対して、共通の駆動源から同相で電気的駆動を行うようにしたことを特徴とする進行波搬送装置。
駆動源が、第1加振領域または第2加振領域の何れか一方の固有振動数に近い周波数で駆動を行なうように構成され、他方の振幅低下を補う加振補完手段を設けている請求項1に記載の進行波搬送装置。
軌道をトラック状に周回させて、一方向への主搬送路と、逆方向へのリターン路とにそれぞれ搬送力を付与するように構成され、主搬送路の先に排出口を設けている請求項1〜5の何れかに記載の進行波搬送装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年リニアフィーダでのワークの高速化が進んでおり、特許文献1,2に開示の構成でワークの搬送速度を上げるためには、リニアフィーダの振幅を大きくすることが考えられる。しかしながら、リニアフィーダの振幅を大きくすると、リニアフィーダ先端部の水平振幅が大きくなるので、リニアフィーダの先端部に設けられるインターフェース部と次工程設備との間の隙間を広げる必要があり、近年ワークの微細化が進んでいることとあいまって、次工程設備とリニアフィーダのインターフェース部との間にワークが落下したり、ワークの詰まりが生じるおそれがある。
【0006】
そこで、板バネの共振で振動されるリニアフィーダの駆動部の周波数を上げ、変位振幅を小さくすることで、搬送速度を上げることが考えられる。しかしながら、一般的に300Hz程度である駆動部の周波数をこれ以上に上げると、人間の耳の感度が高い1kHz〜4kHzの周波数に近づき、騒音が大きくなり、問題になる可能性がある。また、板バネで共振させる構造では、300Hzを超え、1kHz以上になると、搬送路などが弾性変形して、ワークを正常に搬送できなくなる(搬送路(シュート)を均一に平行振動させるのが困難になる)。
【0007】
これに対して、特許文献3(特開平06−127655号公報)では、同文献中の
図1に示されるように、駆動周波数を超音波領域にし、搬送路のたわみ進行波を利用して、ワークを搬送させるパーツフィーダが提案されている。同搬送装置はリターン路を有する構造ではないが、進行波を発生させるために、1/4波長ずらして配置された2つの領域の圧電素子に、それぞれ時間的90°異なった電圧を印加して加振させている。そのため、駆動源には、同文献中の
図6に示されるように、位相差の異なる2つの駆動源が必要になり、回路が複雑でコストも掛かるものとなっている。
【0008】
本発明は、リターン路の有無によらず、このような駆動系の簡易化を図った進行波搬送装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は以上のような問題点を鑑み、次のような手段を講じたものである。
【0010】
すなわち、本発明の進行波搬送装置は、閉じた軌道に対し、互いに空間的位相差のある第1加振領域および第2加振領域に2つの波を時間的位相差をもって与えることで進行波を発生させ、前記軌道の少なくとも一部に搬送機能をもたせるようにしたものであって、前記時間的位相差が、第1加振領域と第2加振領域の間で機械的な対称性を崩すことによる固有振動数のずれに起因した機械的な位相差によって実現されており、これら第1加振領域および第2加振領域に設けた駆動手段に対して、共通の駆動源から同相で電気的駆動を行うようにしたことを特徴とする。
【0011】
このように構成すれば、1軸のみの加振で第1加振領域と第2加振位置に時間的位相差の下に進行波を発生させることができるので、駆動源を別個に設けて位相差で駆動したり、共通の駆動源と駆動手段の間に位相調整部を設ける必要がなくなり、駆動系の簡易化を図ることが可能となる。
【0012】
駆動源が、第1加振領域または第2加振領域の何れか一方の固有振動数に一致若しくはそれに近い周波数で駆動を行なうように構成される場合に、第1加振領域と第2加振領域の振幅を揃えるためには、他方の振幅低下を補う加振補完手段を設けていることが望ましい。
【0013】
実質的な加振力を補完するためには、加振補完手段が駆動手段を構成する駆動要素の併設数または面積の差によって実現されていることが望ましい。
【0014】
調整を簡単に行うためには、加振補完手段が駆動手段と駆動源の間に介在させるアンプのゲイン差によって実現されていることが望ましい。
【0015】
加振補完手段を不要とするためには、駆動源が、第1加振領域または第2加振領域の各固有振動数のほぼ中間の周波数で駆動を行なうように構成されていることが望ましい。
【0016】
本発明の好適な適用例としては、軌道をトラック状に周回させて、一方向への主搬送路と、逆方向へのリターン路とにそれぞれ搬送力を付与するように構成され、主搬送路の先に排出口を設けている搬送装置が挙げられる。
【発明の効果】
【0017】
以上、説明した本発明によれば、1軸のみで進行波を発生させることができるので、駆動源を別個に設けて位相差で駆動したり、共通の駆動源と駆動手段の間に位相調整部を設ける必要がなくなり、駆動系が単純となって、小型化およびコスト低減を図ることが可能な進行波搬送装置を提供することができる。そして勿論、上下方向の進行波で搬送を行なうため、水平振幅が0に近づき、この進行波搬送装置を次工程に接近させて配置できワークの落下防止を図ることができる。周波数を超音波領域とすれば、駆動音が聞こえることもなく、無音化も図れるものとなる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0020】
図1に示すように、本実施形態に係る進行波搬送装置としてのパーツフィーダ100は、ワーク供給用のボウルフィーダ1と、ボウルフィーダ1に接続されたリニアフィーダ2とを備える。
【0021】
ボウルフィーダ1は、ワークWを収容可能なボウル本体10と、ボウル本体10の下部に配置されてボウル本体10をねじり振動により加振させるボウル駆動手段11とを含んで構成される。
【0022】
ボウル本体10は、上部が開口したほぼ部分逆円錐状の部材であり、その内周壁には螺旋状に上昇するボウル搬送路12が形成されている。ボウル駆動手段11によってボウル本体10がねじり方向に振動すると、ワークWはボウル搬送路12に沿ってリニアフィーダ2に向けて上方に搬送される。
【0023】
一方、リニアフィーダ2は、
図1及び
図2に示すように、進行波を発生させるための弾性を有しその一部にワークを走行させる軌道20zを形成した振動板20と、軌道20zに沿って振動板20に超音波振動による進行波を発生させる加振手段たる圧電素子21とを有する。
【0024】
振動板20は、素材として左右略対称な長円形状をなす弾性体が用いてあり、弾性体は20kHz以上の加振によって撓み波を形成することができる弾性を有する。この振動板は、中央に長円状の凹部20aが設けてあり、その外側が進行波の周回するトラック形状の軌道20zとなっている。凹部20aには、当該凹部20aよりも一回り小さい長円形状の押さえ板20bが収められており、押さえ板20bは、長手方向に並ぶ複数の止着具20eにより、凹部20aの底面20aaの中央を支持台22に固定されている。凹部20aの底部20aaにおいて、押さえ板20bが固定された固定部分20gと軌道20zとの間の位置に、他の部分よりも薄く、固定部分20gおよび軌道20zよりも剛性が小さい低剛性部分20cが形成されており、その外周側のトラック状に閉じた軌道20zに沿って効果的に撓み進行波を発生させるものとなっている。
【0025】
そして、かかる軌道20zの機械的な左右対称構造を崩す目的も兼ねて、一端側と他端側とで振動板20の軌道20zに沿ったトラフ構造に相違を設けている。具体的には、振動板20の幅方向(
図1におけるトラックの長軸と直交する方向)の一端側に、ワークWを整列させて搬送する主搬送路たる整列トラフ部31および整列トラフ部31よりも低位置にあって不良ワークを回収する回収トラフ32を設ける一方、振動板20の幅方向の他端側にリターントラフ33を設け、これら回収トラフ32の終端側とリターントラフ33の始端側との間をU字状の折り返しトラフ34で接続している。回収トラフ32、折り返しトラフ33およびリターントラフ34は長円形状をなす振動板20の長軸に対して左右対称位置にほぼ同じ深さで設けてあり、対する整列トラフ31は回収トラフ32の外側にあって底浅かつ外側に傾斜させて設けてある。
図2において符号25で示すところは振動板20の上面であり、少なくとも整列トラフ31の肉抜き分だけでも左右の構造や剛性が非対称となっている。整列トラフ31ではこの上面25との段差に沿ってワークWがガイドされつつ搬送され、その間にワークWを一列に整列させて次工程装置に供給する。
【0026】
なお、この整列トラフ31には
図1に示す選別部23が設けてある。この選別部23は、姿勢判別に利用されるセンサ23aと、姿勢判別の結果に基づいてエアを噴出させるエア噴出部23bとを有する。エア噴出部23bは
図2に示すように段差部分からワークWに向けてエアを噴きつけることができる位置に開口し、
図1に示すセンサ23aが異方向と判別したワークに対して、エア噴出部23bからエアを噴出することで、ワークWを搬送トラフ31から排除し、低位置にある回収トラフ32に落下させることができる。回収トラフ32に排除された異方向のワークWは、折り返しトラフ34及びリターントラフ33を経てボウルフィーダ1のボウル本体10に戻される。適正と判別されたワークWは、整列トラフ31の終端に設けた排出口31aから排出される。
【0027】
一方、加振手段である圧電素子21は、振動板20のうち軌道20zの直線部分の裏側に張り付けられている。圧電素子21は、軌道20zに沿って伸縮することで振動板20にたわみを発生させるものであり、整列トラフ31及び回収トラフ32に沿った位置、およびリターントラフ33に沿った位置に、
図3に示すように互いに空間的位相差をもって設けられている。
図3は振動板20を裏面から見た模式図である。具体的には、整列トラフ31及び回収トラフ32が設けられた振動板20の一端側には0°モードの波を発生させるための第1加振領域Z1を設定し、リターントラフ33が設けられた振動板20の他端側には90°モードの波を発生させるための第2加振領域Z2を設定しており、それぞれの振動モードの腹の位置にλ/2間隔で複数の圧電素子21を張り付けている。各加振領域Z1、Z2において隣り合う圧電素子21、21は、振幅の山と谷の関係となることから、同じ駆動をした場合に逆方向の変位(
図3で「+」と「−」で表現)となるように構成されている。第1加振領域Z1と第2加振領域Z2とでは、周波数を同じにしつつ、空間的に波の位相が90°ずれた2つのたわみ定在波モード(
図4(a)に示す0°定在波モードと
図4(b)に示す90°モード)の波を発生させる必要があるため、例えば第2加振領域Z2に対して第1加振領域Z1は軌道20zの方向に沿って(n+1/4)λ(n=0又は整数)の空間的位相差が設定され、第1加振領域Z1と第2加振領域Z1とで同じ極性の圧電素子21同士の配置が実質的にλ/4ずれるように取り付けられている。
【0028】
そして本実施形態は、前述したように振動板20の左右対称構造を崩すことによって、第1加振領域Z1を設定した振動板20の一端側の固有振動数f1と第2加振領域Z2を設定した振動板20の他端側の固有振動数f2とのずれ(f1<f2)に起因して、ほぼ90°の機械的位相差を実現し、この機械的な位相差を、進行波を発生させるための時間的位相差として利用することとしている。すなわち、第1加振領域Z1及び第2加振領域Z2の各圧電素子21には、
図3に示すように、正弦波を発生する共通の駆動源4がアンプ5を介して接続されて、それぞれ同相で電気的駆動がなされるようにしてあり、駆動源4を2つ設けて位相差で駆動したり、共通の駆動源4から位相調整部を介して位相差で駆動するといった事はしていない。
【0029】
図5に2つの定在波モードの加振力(発生力)に対するたわみ変位量の伝達特性、及び、位相特性を示す。加振周波数fを第1加振領域Z1(0°モード)の固有周波数f
1とすると、位相特性について、第1加振領域Z1(0°モード)では、共振駆動であるため、力に対する変位の位相差は90°になる。一方、第2加振領域Z2(90°モード)では、固有振動数がf2であるため共振からずれ、力に対する変位の位相差がほぼ0°になる(f
1<f
2)。その結果、第1加振領域Z1(0°モード領域)と第2加振領域Z2(90°モード領域)を同相で加振すると、両者の変位には時間的位相差90°が発生する。その結果、2つの定在波が合成され、たわみ進行波が生成される。すなわち、時間的位相差が、固有振動数のずれに起因した機械的な位相差によって実現される。
【0030】
一方、
図5の変位/力の特性をみると、第1加振領域Z1(0°モード)の波は、共振点f1で駆動されるが、第2加振領域Z2(90°モード)の波は、共振点から外れ、振幅が低減する。そこで、本実施形態は、
図3に示すように第1加振領域Z1よりも第2加振領域Z2側に圧電素子21をより多く貼り付けている。例えば、変位が1/2になれば圧電素子21の併設数を2倍にするといった具合に加振力のバランスをとり、第1加振領域Z1(0°モード)側と第2加振領域Z2(90°モード)側とで変位量を同じにしている。
図3に示す例では、第1加振領域Z1側が2枚であるのに対して、第2加振領域Z2側には4枚を貼り付けている。この併設数の差分が、本発明の電圧補完手段6に相当している。なお、ここでは全ての圧電素子21がほぼ同一形状、同一性能であるとして説明している。
【0031】
このようにして、軌道20zに沿って生成された進行波により、ワークWと軌道20zの搬送面との間に摩擦力が発生し、ワークWの供給と回収が行なわれる。
【0032】
以上のように、本実施形態の進行波搬送装置は、閉じた軌道20zに対し、互いに空間的位相差がある第1加振領域Z1および第2加振領域Z2に2つの波を時間的位相差をもって与えることで進行波を発生させ、軌道20zの少なくとも一部に搬送機能をもたせるようにしたものであり、その時間的位相差が、第1加振領域Z1と第2加振領域Z2との間で機械的な対称性を崩すことによる固有振動数f1、f2のずれに起因した機械的な位相差によって実現されており、これら第1加振領域Z1および第2加振領域Z2に設けた駆動手段たる圧電素子21に対して、共通の駆動源4から同相で電気的駆動を行うようにしたものである。
【0033】
このように構成すれば、1軸のみの加振で第1加振領域Z1と第2加振領域Z2に時間的位相差の下で進行波を発生させることができるので、駆動源4を別個に設けて位相差で駆動したり、駆動源4を共通にし駆動源4と圧電素子21の間に位相調整部を設けるといった必要がなくなり、駆動系が単純となって、小型化およびコスト低減を図ることが可能となる。
【0034】
特に、駆動源4が、第1加振領域Z1の固有振動数f1にほぼ一致する周波数で駆動を行なうように構成され、第2加振領域Z2側の振幅低下を補う加振補完手段6を設けているので、第1加振領域Z1と第2加振領域Z2に振幅の揃った定在波を発生させることができ、うねりのない進行波を形成することができる。
【0035】
具体的に加振補完手段6は、駆動手段を構成する駆動要素たる圧電素子21の併設数に差を設けたものであるので、実質的な加振力の補完が可能になる。
【0036】
さらに、本実施形態の進行波搬送装置たるパーツフィーダ100のリニアフィーダ2部分では、軌道20zをトラック状に周回させて、一方向への主搬送路たる整列トラフ31及び回収トラフ32と、逆方向へのリターン路たるリターントラフ33とにそれぞれ搬送力を付与するように構成され、整列トラフ31の先に排出口31aを設けたものであるが、このようにトラック状であるからこそ、機械的な対称性を崩すことによる固有振動数のずれを形成し易く、本発明の適用に極めて適したものとなっている。
【0037】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではない。
【0038】
例えば、本発明の基本的な機能を発揮するうえでは、加振力補完手段を設けることをせず、加振力0°モードと90°モードで第1、第2加振領域を加振する圧電素子の枚数(加振力)を同じにしてもよい。定在波成分に対し、進行波成分が1/3(定在波比3)程度あれば、ある程度有効な搬送力が得られるため、目的・用途によっては簡素化を図ることができる。また、2つのモード間の位相差を必ずしも90°にする必要はないし、第1加振領域と第2加振領域とで振幅を完全に一致させる必要もない。
【0039】
ただし、固有振動数の差の観点から見た場合、離れすぎると本発明が成立し難くなるため、せいぜい駆動周波数の1%未満であることが望ましい。
【0040】
また、第1、第2加振領域のうちのどちらかの定在波モードの固有振動数で駆動する必要もない。2つのモードの間の周波数で駆動すれば、ある程度の振幅が得られ、位相差が発生するため、進行波が発生する。特に、2つのモードの中間の周波数で駆動すれば、2つのモードを同振幅で駆動できる。さらに、減衰を調製することで位相差を90°にすることも可能である。敢えて言えば、加振周波数は2つの固有振動数の間である必要もない。
【0041】
さらに、第1、第2加振領域の加振力が同じであれば、0°モードの固有振動数で加振する場合と、90°モードの固有振動数で加振周波数を切り替えることで、両者の時間位相が反転するため、搬送方向を同速度で逆送させることが可能である。これは特に一方向のみ搬送を行なう場合に適している。
【0042】
また、加振力補完手段としては、
図6に示す圧電素子21と121の関係のように、サイズ(電極面積)を変えることによって面積差の部分を加振力補完手段としてもよいし、
図7に示すようにアンプ51、52を別々にしてゲイン差を生じさせる構成を加振力補完手段とすることもできる。
【0043】
或いは、加振力補完手段の他の態様として、
図8に示すように、0°モードと90°モードを1枚の圧電素子221の貼り付け箇所を変えることで実現する構成も考えられ、圧電素子221の中心を90°モード(0°モード)の腹の位置からずらし、両方のモードを1枚の圧電素子221で加振できるようにする。圧電素子221の中心から腹の位置のずれ量が大きくなるほど、圧電による加振力が小さくなるので、そのずれ量を90°モードと0°モードに差を付けることで、加振力に差をつけることができる。図示例の場合、90°モードの方の加振力が大きくなる。
【0044】
その他、ワークが跳躍しにくいようにするために、
図9に示す軌道120zのように搬送面をスリットSを設けた形状にしたり、
図10に示す軌道220zのように台形形状にしたり、
図11に示す軌道320zのようにその一部を立面側に折り曲げて場所をとらないようにする等の変形実施が可能である。
図10、
図11は、軌道の一部にスリットSを設ける点で
図9と同じであるほか、直線部分にのみ搬送機能のみをもたせる変形例でもある。スリットSは跳躍を防ぐとともに軌道の機械的な対称性を崩すためにも有効である。さらに、
図12に示すように、軌道420zの形状としてトラフ131から排出口131aを経てワークが取り出し易い形状にすることも有効である。
【0045】
その他、軌道の機械的な対称性を崩すために、振動板の適宜箇所に孔を設けたり、振動板の適宜箇所にボルト等の部材を取り付けたり、振動面の一端側と他端側とでトラフの幅を変えるなど、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。