特開2017-190636(P2017-190636A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-190636(P2017-190636A)
(43)【公開日】2017年10月19日
(54)【発明の名称】車両ドアラッチ装置
(51)【国際特許分類】
   E05B 81/14 20140101AFI20170922BHJP
   E05B 81/18 20140101ALI20170922BHJP
   B60J 5/00 20060101ALI20170922BHJP
   E05B 77/32 20140101ALI20170922BHJP
   E05B 81/36 20140101ALI20170922BHJP
【FI】
   E05B81/14
   E05B81/18
   B60J5/00 N
   E05B77/32
   E05B81/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-81580(P2016-81580)
(22)【出願日】2016年4月14日
(71)【出願人】
【識別番号】000148896
【氏名又は名称】三井金属アクト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089934
【弁理士】
【氏名又は名称】新関 淳一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100092945
【弁理士】
【氏名又は名称】新関 千秋
(72)【発明者】
【氏名】長岡 智治
(72)【発明者】
【氏名】野澤 秀晶
【テーマコード(参考)】
2E250
【Fターム(参考)】
2E250AA21
2E250HH01
2E250KK01
2E250KK02
2E250LL01
2E250PP12
2E250PP13
2E250QQ09
2E250QQ10
2E250RR13
2E250RR34
2E250RR44
(57)【要約】      (修正有)
【課題】出力ホイールがロック・アンロックの切替に際して回転する規定量を大幅に減少させて、ロックレバーの切替時間を大幅に短縮させる車両ドアラッチ装置を提供する。
【解決手段】車両ドアラッチ装置は、ラチェット14をラッチから開放させうるオープンリンク27と、ロック位置と可能とするアンロック位置とに切り替わるロックレバー28と、ロックレバー28をロック位置とアンロック位置とに切り替えるロックアクチュエータ39とを備え、ロックアクチュエータ39の出力ホイール42は凸状の第1連結部45と、ロックレバー28は第1連結部45が連結される凹状の第2連結部46を有し、出力ホイール42の回転範囲は第1連結部45と第2連結部46との係合が解除されない範囲とする構成とした。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ストライカ12と係合することで車両ドアをハーフラッチ状態またはフルラッチ状態に保持するラッチ13と、前記ラッチ13と係合して前記ストライカ12と前記ラッチ13との係合を保持するラチェット14と、外側開扉ハンドル24の開扉操作により開扉方向に変位すると前記ラチェット14のラチェットピン34に当接して前記ラチェット14を前記ラッチ13から開放させうるオープンリンク27と、前記オープンリンク27による前記ラチェット14の開放を不能にするロック位置と可能とするアンロック位置とに切り替わるロックレバー28と、前記ロックレバー28をロック位置とアンロック位置とに切り替えるロックアクチュエータ39とを備え、
前記ロックアクチュエータ39はモータ40の動力で回転する出力ホイール42を有し、前記出力ホイール42は凸状あるいは凹状の第1連結部45を設け、前記ロックレバー28には前記第1連結部45が連結される凹状あるいは凸状の第2連結部46を設け、前記出力ホイール42の回転範囲は前記第1連結部45と前記第2連結部46との係合が解除されない範囲とした車両ドアラッチ装置。
【請求項2】
請求項1において、前記出力ホイール42には、前記出力ホイール42が規定角度アンロック方向に回転すると前記ロックレバー28に当接して前記出力ホイール42のアンロック回転を停止させる第1当接ストッパー47と、前記出力ホイール42が規定角度ロック方向に回転すると前記ロックレバー28に当接して前記出力ホイール42のロック回転を停止させる第2当接ストッパー48とを設け、前記第1当接ストッパー47および前記第2当接ストッパー48並びに前記第1連結部45とは前記出力ホイール42の外周縁の片側に並設させた車両ドアラッチ装置。
【請求項3】
請求項2において、前記第1連結部45は、前記第1当接ストッパー47と前記第2当接ストッパー48の間に配置した車両ドアラッチ装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項において、前記第1連結部45と前記第2連結部46とは、それぞれの両側2点で常時接触当接させる構成とした車両ドアラッチ装置。
【請求項5】
請求項2〜4のいずれか一項において、前記出力ホイール42の規定回転角度は40度以内とした車両ドアラッチ装置。
【請求項6】
請求項2〜5のいずれか一項において、前記出力ホイール42は、温度が−30度〜80度の範囲で前記モータ40への電圧が9ボルト〜16ボルトの範囲において、28ミリ秒〜50ミリ秒以内で規定回転角度を回転する車両ドアラッチ装置。
【請求項7】
請求項2〜5のいずれか一項において、前記出力ホイール42は、温度が−30度〜80度の範囲で前記モータ40への電圧が9ボルト〜16ボルトの範囲において、15ミリ秒〜28ミリ秒以内で前記オープンリンク27を前記ラチェットピン34に対して当接可能位置に移動させる車両ドアラッチ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両ドアラッチ装置に関するものであり、特に、ドアラッチ装置のロックアクチュエータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ドアラッチ装置のロックレバーをロック位置とアンロック位置に切り替えるロックアクチュエータの出力は、バッテリー電圧や外気温の影響により大きく変動する。このため、ロックアクチュエータの減速比は安全を見込んで大きく設定される傾向があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−44360号公報
【特許文献2】特開2004−143864号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、ロックレバーの変位抵抗が少ない構成、即ち、ロックレバーを車内からの手動操作で切り替える際に使用するロックノブがロックレバーに連結されていない構成にあっては、減速比が過剰設定になってしまい、ロックレバーの切替に相当な時間を要する課題が生じ、操作フィーリングも低下する。加えて、ロックレバーの切替に不要に長い時間が掛かると、パニック状態(ロックレバーのアンロックへの切替操作と、開扉ハンドルによる開扉操作とがほぼ同時に行われたときに、アンロックへの切替および開扉の双方が無効になって双方の再操作が必要になる状態)の発生を招き易く、好ましくなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
よって、本発明は、ストライカ12と係合することで車両ドアをハーフラッチ状態またはフルラッチ状態に保持するラッチ13と、前記ラッチ13と係合して前記ストライカ12と前記ラッチ13との係合を保持するラチェット14と、外側開扉ハンドル24の開扉操作により開扉方向に変位すると前記ラチェット14のラチェットピン34に当接して前記ラチェット14を前記ラッチ13から開放させうるオープンリンク27と、前記オープンリンク27による前記ラチェット14の開放を不能にするロック位置と可能とするアンロック位置とに切り替わるロックレバー28と、前記ロックレバー28をロック位置とアンロック位置とに切り替えるロックアクチュエータ39とを備え、前記ロックアクチュエータ39はモータ40の動力で回転する出力ホイール42を有し、前記出力ホイール42は凸状あるいは凹状の第1連結部45を設け、前記ロックレバー28には前記第1連結部45が連結される凹状あるいは凸状の第2連結部46を設け、前記出力ホイール42の回転範囲は前記第1連結部45と前記第2連結部46との係合が解除されない範囲とした車両ドアラッチ装置の構成としたものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明の請求項1および請求項5に係る発明では、出力ホイール42がロック・アンロックの切替に際して回転する規定量を大幅に減少させて、ロックレバー28(オープンリンク27)の切替時間を大幅に短縮させ、上記課題を克服できる。
また、本発明の請求項2に係る発明では、出力ホイール42は小さな回転量でロックレバー28を切り替えられるから、第1当接ストッパー47および第2当接ストッパー48並びに第1連結部45を出力ホイール42の外周縁の片側に並設させることができる。
また、本発明の請求項3に係る発明では、出力ホイール42の構成が合理的で、実施化が容易である。
また、本発明の請求項4に係る発明では、第1連結部45と第2連結部46とは、それぞれの両側2点で常時接触当接させるから、チャダリングなどの不快音の発生を抑止できる。
また、本発明の請求項5に係る発明では、第1連結部45と第2連結部46とは、それぞれの両側2点で常時接触当接させるから、チャダリングなどの不快音の発生を抑止できる。
また、本発明の請求項6、7に係る発明では、出力ホイール42の作動時間は従来に比べて半分程度になり、素早い切替作業が期待でき、また、パニック状態の発止を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の車両ドアラッチ装置の全体斜視図。
図2】前記車両ドアラッチ装置のラッチ部を車両後方から見た後面図。
図3】前記車両ドアラッチ装置のラッチボディの裏側に設けられる操作部の概要図。
図4】前記操作部を車両外側から見た側面図。
図5】ロック状態における車両ドアラッチ装置のロックアクチュエータとロックレバーを車両外側から見た側面図。
図6】前記操作部のオープンリンクの拡大図。
図7】前記オープンリンクと前記ロックレバーの拡大斜視図。
図8】前記ロックアクチュエータの出力ホイールと前記ロックレバーの拡大図。
図9】前記出力ホイールの拡大斜視図。
図10】環境別に測定した本願の出力ホイールの作動時間と従来装置の作動時間の比較対比図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明に係る車両ドアラッチ装置の好適な実施形態を図面により説明する。本車両ドアラッチ装置の一般的な構成は、ラッチ・ラチェット機構を備えたラッチ部10と、ラッチ部10に一体的若しくは別体的に接続される操作部11と、前記ラッチ部10に噛合することでドアを閉扉状態に維持するストライカ12(図2)とで構成される。操作部11とはオープン機構やロック機構等を含んでいる。ラッチ部10と操作部11とは、一体型の場合には上方視概略L型を呈することが多い。
【0009】
前記ラッチ部10は、図2のように、ドアが閉じられるとストライカ12と係合するラッチ13と、ラッチ13とストライカ12との係合を保持するラチェット14とを有し、ラッチ13は、車両前後方向のラッチ軸15に軸止され、樹脂製のラッチボディ16の正面(車両を基準にした後側)に形成された収納スペース17に収納され、また、前記ラチェット14はラチェット軸18に軸止され、収納スペース17に収納される。
【0010】
前記ラッチ13はラッチバネ(図示なし)の弾力により図2において時計回転方向に付勢され、前記ラチェット14は、ラチェットバネ(図示なし)の弾力により反時計回転方向に付勢される。閉扉移動により、ストライカ12がラッチボディ16のストライカ通路19内に進入し、アンラッチ位置のラッチ13のU型溝20に当接すると、ラッチ13は反時計回転し、ラッチ13がハーフラッチ位置まで回転すると、前記ラチェット14の爪はラッチ13の第1ステップ21に係合してハーフラッチ状態となり、更に、ラッチ13が回転してフルラッチ位置になると、ラチェット14の爪はラッチ13の第2ステップ22に係合して、ドアはフルラッチ状態に保持される。
【0011】
前記ラッチボディ16の裏面側には、図3のように、オープンレバー23が軸止される。オープンレバー23の左方近傍には、外側開扉ハンドル24にロッド等の連結具25を介して連結されるアウターレバー26が配設され、外側開扉ハンドル24の開扉操作は、アウターレバー26を介してオープンレバー23に伝達される。前記オープンレバー23の右端はオープンリンク27(図6)の下部に連結し、外側開扉ハンドル24が開扉操作されると、オープンリンク27は初期位置(待機位置)から上動する。
【0012】
図4は、操作部11の内部構造を車外側から示しており、各種レバー類は車幅方向の軸により支持されることになる。前記オープンリンク27の側方にはロックレバー28を配設する。オープンリンク27の上部には車外方向に膨出させた摺動突起29を形成し、摺動突起29はロックレバー28の裏面側(室内面側)に形成した上下方向の当接壁30に当接させる(図7参照)。オープンリンク27はアンチパニックバネ31の弾力により、図4において、反時計回転方向に付勢させ、この付勢力により摺動突起29は当接壁30に対して当接した状態に保たれる。
【0013】
前記ロックレバー28はロックレバー軸32に軸止され、図4のアンロック位置と図5のロック位置とに切り替わり、前記ロックレバー28がロック回転(時計回転)するときは、当接壁30と摺動突起29との当接により直接的にロックレバー28の回転がオープンリンク27に伝達されて、両者は連動して変位するが、ロックレバー28がアンロック回転(反時計回転)するときは、アンチパニックバネ31の弾力を介して回転力がオープンリンク27に伝達されることになる。
【0014】
図4のアンロック状態においては、前記オープンリンク27の中程に形成した開扉係合部33が前記ラチェット14のラチェットピン34に対して上下方向において対峙し、オープンレバー23の回転によりオープンリンク27が上動すると、開扉係合部33がラチェットピン34に下方から当接してラチェットピン34を押し上げ、もって、ラチェット14がラッチ13から離脱して開扉可能状態になる。しかし、ロックレバー28がロック回転(時計回転)してロック位置になると、オープンリンク27の開扉係合部33はラチェット14のラチェットピン34に対して側方に移動するため、オープンリンク27の上動による開扉操作は不能になる。
【0015】
前記アンチパニックバネ31は、ロックレバー28のアンロック回転をバネ弾力を介してオープンリンク27に伝達する。このため、オープンリンク27が所謂パニック状態になって、アンロック方向への変位が物理的に妨げられる事態になっても、ロックレバー28はアンチパニックバネ31を圧縮させながらアンロック位置への変位を完了することができ、これにより、アンロック操作のやり直しを回避できる。なお、パニック状態およびこれを回避するアンチパニック機構の詳細については、特開2004−44360号公報・特開2004−143864号公報の記載を参照できる。
【0016】
図4に示したように、前記オープンリンク27の下方にはインナーレバー35が配置され、インナーレバー35にはロッド等の連結具36を介して内側開扉ハンドル37が連結される。インナーレバー35には押圧片38が設けられ、内側開扉ハンドル37の開扉操作によりインナーレバー35が回転すると、押圧片38がオープンリンク27の下端に当接してオープンリンク27を押し上げる。これにより、アンロック状態であれば、ラチェット14がラッチ13から離脱して開扉可能状態になる。
【0017】
前記ロックレバー28の上方には、ロックレバー28をロック位置とアンロック位置とに変位させるロックアクチュエータ39が配設される。ロックアクチュエータ39は、モータ40と、モータ40の回転軸に固定された円筒ウォーム41と、円筒ウォーム41に噛合する出力ホイール42とを備えている。
【0018】
前記出力ホイール42はギア軸43に軸止され、一方側外周には円筒ウォーム41に噛合するギア部44が形成され、他方側には半径方向に突出する凸状連結部45を形成し、凸状連結部45は前記ロックレバー28に形成した凹状連結部46に凹凸係合させ、モータ40の動力が凹凸連結を介してロックレバー28に伝達されるように構成する。なお、凹凸関係は一方他方の関係となるから、凹状連結部46を出力ホイール42に、凸状連結部45をロックレバー28に形成することも可能である。
【0019】
前記出力ホイール42の他方側には一対の当接ストッパー47、48を形成し、出力ホイール42がアンロック方向(図4において時計回転方向)に規定量回転し、ロックレバー28も規定量回転すると、アンロック用の当接ストッパー47がロックレバー28の外周壁に当接し、反対に、出力ホイール42がロック方向(図4において反時計回転方向)に規定量回転し、ロックレバー28も規定量回転すると、ロック用の当接ストッパー48がロックレバー28の外周壁に当接し、ロックアクチュエータ39はそれぞれ作動停止する。
【0020】
前記出力ホイール42からロックレバー28に伝達されるロックアクチュエータ39の出力は、バッテリー電圧や外気温の影響により大きく変動する。このため、ロックアクチュエータ39の減速比は安全を見込んで大きく設定される傾向があり、ロックレバー28の変位抵抗が少ない構成の時は、減速比が過剰設定になってしまい、ロックレバー28(オープンリンク27)の切替に相当な時間を要し、操作フィーリングの低下をもたらすと共に、前述したパニック状態の発生を招き易く、好ましいものではなかった。このような事態を避けるために、ギアの減速比を機種毎に変更することも考慮されたが、コスト的に不利があった。
【0021】
そこで、本発明では、ロックアクチュエータ39の減速比は量産品と共有とし、代わりに、前記出力ホイール42がロック・アンロックの切替に際して回転する規定量を大幅に減少させることで、ロックレバー28(オープンリンク27)の切替時間を大幅に短縮させるようにしている。なお、本発明において、ロックレバー28の変位抵抗が少ない構成とは、ロックレバー28を車内からの手動操作で切り替える際に使用するロックノブを備えないドアラッチ装置が対象となる。
【0022】
本実施例では、出力ホイール42の切替作動に必要な規定回転量(角度)は約40度としている。このため、前記凸状連結部45を当接ストッパー47と当接ストッパー48との中間位置に設けるとともに、凸状連結部45、当接ストッパー47および当接ストッパー48の3個を出力ホイール42の他方側(ロックレバー28側)に並設させることが出来る。更に、出力ホイール42の回転角が狭いので、凸状連結部45はロックレバー28の凹状連結部46から外れることなく常時係合させることが出来る。加えて、凸状連結部45と凹状連結部46とは、それぞれの両側2点で常時接触当接させることも可能となり、チャダリングなどの不快音の発生を抑止できる。
【0023】
図10は、出力ホイール42が規定量回転するのに要する作動時間(モータ40の作動時間)に対するバッテリー電圧および外気温の影響についての測定結果を示している。これによると、最大作動時間は、外気温80度で9ボルトの時、49.3ミリ秒となっているが、これは、出力ホイールが大きく回転する従来型の約半分の時間となり、また、各種条件下においても、出力ホイールの作動時間は約半分以下に抑え込まれていて、ロックレバー28(オープンリンク27)の切替時間の大幅短縮が達成されている。このように、本願では、温度が−30度〜80度の範囲で前記モータ40への電圧が9ボルト〜16ボルトの範囲の条件下において、出力ホイール42(モータ40)の作動時間を28ミリ秒〜50ミリ秒以内に設定できる。
【0024】
また、図10に示した「アンロック切替最少時間」とは、ロックレバー28と共に変位するオープンリンク27が、ロック位置からアンロック位置に切り替わる際において、オープンリンク27の開扉係合部33が前記ラチェット14のラチェットピン34に対して上下方向において係合可能位置(メカアンロック位置)まで移動する時間を示している。オープンリンク27がメカアンロック位置まで変位すれば、ロックアクチュエータ39の作動が完了する前であっても、外側開扉ハンドル24の開扉操作によるオープンリンク27の上動により、ラチェット14をラッチ13から離脱させることが出来るので、パニック状態になることは防止される。本願実施例では、温度が−30度〜80度の範囲で前記モータ40への電圧が9ボルト〜16ボルトの範囲の条件下において、メカアンロック状態を得るまでに掛かる出力ホイール42(モータ40)の作動時間は15ミリ秒〜28ミリ秒以内に設定できる。このように、本発明では、パニック状態を避けるのに必要な「アンロック切替最少時間」も、従来に比べて大幅に短縮される。
【符号の説明】
【0025】
10…ラッチ部、11…操作部、12…ストライカ、13…ラッチ、14…ラチェット、15…ラッチ軸、16…ラッチボディ、17…収納スペース、18…ラチェット軸、19…ストライカ通路、20…U型溝、21…第1ステップ、22…第2ステップ、23…オープンレバー、24…外側開扉ハンドル、25…連結具、26…アウターレバー、27…オープンリンク、28…ロックレバー、29…摺動突起、30…当接壁、31…アンチパニックバネ、32…ロックレバー軸、33…開扉係合部、34…ラチェットピン、35…インナーレバー、36…連結具、37…内側開扉ハンドル、38…押圧片、39…ロックアクチュエータ、40…モータ、41…円筒ウォーム、42…出力ホイール、43…ギア軸、44…ギア部、45…凸状連結部、46…凹状連結部、47…当接ストッパー、48…当接ストッパー。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10