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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-190732(P2017-190732A)
(43)【公開日】2017年10月19日
(54)【発明の名称】密閉型二段圧縮機
(51)【国際特許分類】
   F04C 29/00 20060101AFI20170922BHJP
   F04C 18/02 20060101ALI20170922BHJP
   F04C 23/00 20060101ALI20170922BHJP
   F04C 29/02 20060101ALI20170922BHJP
【FI】
   F04C29/00 B
   F04C18/02 311P
   F04C18/02 311B
   F04C23/00 F
   F04C29/02 351A
   F04C29/02 361A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-81000(P2016-81000)
(22)【出願日】2016年4月14日
(71)【出願人】
【識別番号】516299338
【氏名又は名称】三菱重工サーマルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134544
【弁理士】
【氏名又は名称】森 隆一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100108578
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 詔男
(74)【代理人】
【識別番号】100126893
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 哲男
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(72)【発明者】
【氏名】堀田 陽平
(72)【発明者】
【氏名】木全 央幸
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 創
(72)【発明者】
【氏名】後藤 利行
【テーマコード(参考)】
3H039
3H129
【Fターム(参考)】
3H039AA03
3H039AA04
3H039AA12
3H039BB08
3H039BB15
3H039BB16
3H039CC26
3H039CC27
3H039CC31
3H039CC33
3H129AA02
3H129AA04
3H129AA10
3H129AA12
3H129AA34
3H129AB03
3H129BB03
3H129BB32
3H129BB35
3H129CC09
3H129CC19
3H129CC23
3H129CC44
(57)【要約】
【課題】容易に製造可能であるとともに、ガス中の油を効果的に分離することができる密閉型二段圧縮機を提供する。
【解決手段】内部に油溜まりO1を有するハウジング11内の上部で回転軸15を支持する軸受本体31a、及び軸受本体31aをハウジング11に支持する軸受ケーシング31bを有する上部軸受31に対して上方に配置され、ロータリ圧縮機12から吐出された冷媒Rをさらに圧縮するスクロール圧縮機13を備え、軸受ケーシング31bには、スクロール圧縮機13へ冷媒Rを吸入するように設けられて下方に向かって開口する吸入開口FCaが設けられた吸入流路FCと、吸入開口FCaと電動モータ14との間に配置されて、径方向外側での吸入開口FCaへの冷媒Rの流れを制限するように、ハウジング11の内面から径方向内側に向かって設けられた制限面62と、が設けられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に油溜まりを有するハウジングと、
前記ハウジング内に配置された回転軸と、
前記ハウジング内に配置されて前記回転軸を回転させる径方向外側に設けられたステータ及び径方向内側に設けられたロータを有するモータと、
前記ハウジング内で前記モータに対して前記回転軸の軸線の方向の一方側に配置され、前記回転軸に接続されてガスを圧縮する低段側圧縮部と、
前記ハウジング内で前記モータに対して前記軸線の方向の他方側に配置され、前記回転軸を支持する軸受本体、及び該軸受本体を前記ハウジングに支持する軸受ケーシングを有する軸受装置と、
前記軸受装置に対して、前記軸線の方向の他方側に配置され、前記低段側圧縮部から吐出されたガスをさらに圧縮する高段側圧縮部と、
を備え、
前記軸受ケーシングには、
前記高段側圧縮部へガスを吸入するように設けられて前記軸線の方向の一方側に向かって開口する吸入開口が設けられた吸入流路と、
前記吸入開口と前記モータとの間に配置されて、径方向外側での前記吸入開口へのガスの流れを制限するように、前記ハウジングの内面から径方向内側に向かって設けられた制限面と、
が設けられている密閉型二段圧縮機。
【請求項2】
前記軸受ケーシングに固定されるとともに板状をなし、前記軸線の一方側に前記制限面を有する流入制限プレートをさらに備える請求項1に記載の密閉型二段圧縮機。
【請求項3】
前記制限面は、
前記ハウジングの内面側となる径方向外側の端部に設けられ、前記軸線に直交して該軸線を中心とした環状をなす平面と、
前記平面から径方向内側に向かうに従って、前記軸線の方向の一方側へ向かって傾斜して前記軸線を中心とした円錐台状をなす傾斜面と、
を有する請求項1又は2に記載の密閉型二段圧縮機。
【請求項4】
前記制限面の径方向内側の内縁部は、前記ステータよりも径方向内側の位置に配置され、
かつ、前記制限面は、前記高段側圧縮部で必要となるガスの吸入量を確保可能に、前記吸入開口の一部を閉塞する請求項1から3のいずれか一項に記載の密閉型二段圧縮機。
【請求項5】
前記制限面の径方向外側の外縁部と前記ハウジングの内面との間の隙間に設けられたシール部材をさらに備える請求項1から4のいずれか一項に記載の密閉型二段圧縮機。
【請求項6】
前記軸受ケーシングには、径方向外側の端部の位置で、前記高段側圧縮部と前記ハウジング内の軸受ケーシングよりも前記軸線の方向の一方側とを連通し、前記高段側圧縮部からの油が流通可能な油落し部がさらに設けられている請求項1から5のいずれか一項に記載の密閉型二段圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、密閉型二段圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば冷凍空調用に用いられ、ハウジング内に密閉された低段側圧縮部、及び、高段側圧縮部を備える密閉型二段圧縮機が知られている。そして、このような密閉型二段圧縮機の一例が特許文献1に開示されている。
【0003】
特許文献1の密閉型二段圧縮機では、低段側圧縮部としてロータリ圧縮機を配置し、高段側圧縮部としてスクロール圧縮機を配置し、ハウジング内に供給されたガスをロータリ圧縮機で圧縮した後、さらにスクロール圧縮機で圧縮してハウジングから吐出する。ハウジング内には低段側圧縮部、及び高段側圧縮部の潤滑用の油が保持された状態で密閉型二段圧縮機が運転される。
【0004】
ここで、特許文献1の密閉型二段圧縮機では、上下分割タイプのハウジングの分割部分にベアリングブラケットを設け、油を多く含むハウジング内部の外周側領域のガスがスクロール圧縮機へ流入してしまうことを回避する一方で、油の含有量が小さい中心側領域のガスがスクロール圧縮機へ流入するようにして、冷凍サイクルでの油循環量(OC%)の低減を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−180107号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら特許文献1のベアリングブラケットのように、冷凍サイクルでの油循環量(OC%)の低減を目的とする部材をハウジングに溶接で設ける場合、ハウジングへの歪が生じる可能性がある。従って、精度よく密閉型二段圧縮機を製造することが難しく、製造に手間を要する。また特許文献1の密閉型二段圧縮機のベアリングブラケットは、ベアリングケースから荷重を受けるため、剛性確保のため肉厚を大きくする必要がある。この結果、ハウジングの内容積が小さくなってしまい、ガス中の油を分離する際に不利となる。
【0007】
そこで本発明は、容易に製造可能であるとともに、ガス中の油を効果的に分離することができる密閉型二段圧縮機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第一の態様に係る密閉型二段圧縮機は、内部に油溜まりを有するハウジングと、前記ハウジング内に配置された回転軸と、前記ハウジング内に配置されて前記回転軸を回転させる径方向外側に設けられたステータ及び径方向内側に設けられたロータを有するモータと、前記ハウジング内で前記モータに対して前記回転軸の軸線の方向の一方側に配置され、前記回転軸に接続されてガスを圧縮する低段側圧縮部と、前記ハウジング内で前記モータに対して前記軸線の方向の他方側に配置され、前記回転軸を支持する軸受本体、及び該軸受本体を前記ハウジングに支持する軸受ケーシングを有する軸受装置と、前記軸受装置に対して、前記軸線の方向の他方側に配置され、前記低段側圧縮部から吐出されたガスをさらに圧縮する高段側圧縮部と、を備え、前記軸受ケーシングには、前記高段側圧縮部へガスを吸入するように設けられて前記軸線の方向の一方側に向かって開口する吸入開口が設けられた吸入流路と、前記吸入開口と前記モータとの間に配置されて、径方向外側での前記吸入開口へのガスの流れを制限するように、前記ハウジングの内面から径方向内側に向かって設けられた制限面と、が設けられている。
【0009】
このような密閉型二段圧縮機では、低段側圧縮部では油溜まりの油とともにガスが圧縮される。このため低段側圧縮部から吐出されたガスには油が含まれている。油を含むガスの一部は、モータに向かって流出した後にステータとロータとの隙間、あるいはロータに設けられた貫通孔を通じて高段側圧縮部に向かって流通する。そしてガスがモータを通過する際にはガス中の油はロータや、ロータの上部に設けられた油分離プレートに接触することでガス中の油含有量が低減される。一方で、ステータとハウジングとの間を通過したガスはロータに接触することなくそのまま高段側圧縮部に向かって流通する。このため、ガス中の油含有量は多いまま高段側圧縮部に向かって流通する。即ち、低段側圧縮部から吐出されたガス中の油量は、ハウジング内の径方向内側で少なく、径方向外側で多くなっている。
ここで、本態様では軸受ケーシングに制限面を設けるといった簡易な手法により、径方向外側で吸入開口へのガスの流入を制限できる。このため、径方向外側の油含有量の多いガスがそのまま吸入開口を通じて吸入流路に流入してしまうことを制限でき、かつ、油含有量の少ない径方向内側のガスを、吸入開口を通じて吸入流路へ流入させることが可能となる。この結果、高段側圧縮部へ油含有量の少ないガスを供給することができ、高段側圧縮部で圧縮されて吐出されるガス中の油量を低減することができる。よって密閉型二段圧縮機を含むシステム内の油循環量(OC%)を低減することが可能となる。
さらに、径方向外側のガスが制限面に接触すると、ガス中の油が制限面に付着し、油含有量が減ったガスが制限面によって径方向内側に案内されて吸入開口から吸入流路へ流入する。このように制限面によってガス中の油量が低減されて吸入流路から高段側圧縮部へ供給されるため、高段側圧縮部で圧縮されて吐出されるガス中の油量を低減することができ、システム内の油循環量(OC%)を低減することが可能となる。
【0010】
また、本発明の第二の態様に係る密閉型二段圧縮機は、上記第一の態様における前記軸受ケーシングに固定されるとともに板状をなし、前記軸線の一方側に前記制限面を有する流入制限プレートをさらに備えていてもよい。
【0011】
このように軸受ケーシングに流入制限プレートを設けることで、軸受ケーシングに制限面を設けることができるため、ハウジングに流入制限プレートに相当する部材を取り付けて制限面を設ける場合に比べ、非常に容易に制限面を軸受ケーシングに設けることができる。また、既存の軸受ケーシングにも容易に制限面を設けることができる。
【0012】
また、本発明の第三の態様に係る密閉型二段圧縮機では、上記第一又は第二の態様における前記制限面は、前記ハウジングの内面側となる径方向外側の端部に設けられ、前記軸線に直交して該軸線を中心とした環状をなす平面と、前記平面から径方向内側に向かうに従って、前記軸線の方向の一方側へ向かって傾斜して前記軸線を中心とした円錐台状をなす傾斜面と、を有していてもよい。
【0013】
このように制限面として円錐台状をなす傾斜面を設けることで、吸入開口から軸線の方向の一方側に延びるように軸線を中心とした環状をなす開口部を形成することができる。このように吸入開口から延びる開口部を環状に形成できるため、開口面積を確保することができ、ハウジング内から吸入流路へ流入するガスの流量を確保することができる。さらに、径方向外側領域の油含有量の多いガスは制限面の平面に沿って径方向内側に流通した後に傾斜面に衝突することで、傾斜面にも油を付着させることができる。よって、さらにガス中の油含有量を低減した状態で、ガスを吸入流路に流入させ、高段側圧縮部へ供給するガス中の油量を低減でき、高段側圧縮部で圧縮されて吐出されるガス中の油量を低減することができる。よってシステム内の油循環量(OC%)をさらに低減することが可能となる。
【0014】
また、本発明の第四の態様に係る密閉型二段圧縮機では、上記第一から第三の態様における前記制限面の径方向内側の内縁部は、前記ステータよりも径方向内側の位置に配置され、かつ、前記制限面は、前記高段側圧縮部で必要となるガスの吸入量を確保可能に、前記吸入開口の一部を閉塞していてもよい。
【0015】
このように、制限面の内縁部がステータよりも径方向内側に位置することで、制限面がロータの位置まで延びていることになる。従って、ロータに接触して油量を十分に低減したガスを吸入開口から吸入流路に流入させることができる。よって、高段側圧縮部で圧縮されて吐出されるガス中の油量をさらに低減することができ、システム内の油循環量(OC%)をさらに低減することが可能となる。またこの際、高段側圧縮部で必要となるガスの吸入量を確保可能となっているため、高段側圧縮部での圧縮効率低下を回避できる。
【0016】
また、本発明の第五の態様に係る密閉型二段圧縮機は、上記第一から第四の態様における前記制限面の径方向外側の外縁部と前記ハウジングの内面との間の隙間に設けられたシール部材をさらに備えていてもよい。
【0017】
このようなシール部材によって、ハウジング内の径方向外側の領域で、ハウジングとステータとの間を通過した油含有量が多いガスが、そのまま制限面とハウジングとの間から高段側圧縮部に流入してしまうことを回避できる。従って、高段側圧縮部で圧縮されて吐出されるガス中の油量をさらに低減することができ、システム内の油循環量(OC%)をさらに低減することが可能となる。
【0018】
また、本発明の第六の態様に係る密閉型二段圧縮機では、上記第一から第五の態様における前記軸受ケーシングには、径方向外側の端部の位置で、前記高段側圧縮部と前記ハウジング内の軸受ケーシングよりも前記軸線の方向の一方側とを連通し、前記高段側圧縮部からの油が流通可能な油落し部がさらに設けられていてもよい。
【0019】
このような油落し部を設けることで、高段側圧縮部で潤滑に使用された油が油落し部を通じてハウジング内に戻される。従って高段側圧縮部で圧縮されて吐出されるガス中の油量をさらに低減することができ、システム内の油循環量(OC%)をさらに低減することが可能となる。
また、油落し部を軸受ケーシングの径方向外側の端部に設けることで、径方向内側に開口する吸入開口から離れた位置に油落し部を設けることになる。従って、油戻し部からハウジングへ戻される油が、吸入開口からそのまま吸入流路に流入してしまうことを回避できる。よって高段側圧縮部で圧縮されて吐出されるガス中の油量をさらに低減することができ、システム内の油循環量(OC%)をさらに低減することが可能となる。
【0020】
また、本発明の第七の態様に係る密閉型二段圧縮機では、上記第一から第六の態様における前記軸受ケーシングには、前記軸線の方向に延びるとともに前記モータの配線を挿通可能な収容部が設けられ、前記制限面と前記モータの配線との間の隙間に設けられたシール部材をさらに備えていてもよい。
【0021】
このようなシール部材によって、モータの配線が挿通される収容部を軸受ケーシングに形成したとしても、制限面とモータの配線との間の隙間をシールすることができる。よって、この隙間を通じて油を含むガスがそのまま高段側圧縮部に供給されてしまうことを抑制することができる。
【発明の効果】
【0022】
上記の密閉型二段圧縮機によれば、制限面を軸受ケーシングに設けるといった手法を用いることで、容易に製造可能であるとともに、制限面によってガス中の油を効果的に分離することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の第一実施形態に係る密閉型二段圧縮機を示す縦断面図である。
図2】本発明の第一実施形態に係る密閉型二段圧縮機を示し、図1とは周方向の異なる断面位置での縦断面図である。
図3】本発明の第一実施形態に係る密閉型二段圧縮機の軸受ケーシング及び流入制限プレートを示す図であって、図1のI−I断面を示す。
図4】本発明の第二実施形態に係る密閉型二段圧縮機を示す縦断面図である。
図5】本発明の第二実施形態に係る密閉型二段圧縮機の軸受ケーシング及び流入制限プレートを示す図であって、図4のIV−IV断面を示す。
図6】本発明の実施形態の変形例に係る密閉型二段圧縮機の軸受ケーシング及び流入制限プレートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
〔第一実施形態〕
以下、本発明の第一実施形態における密閉型二段圧縮機1(以下、二段圧縮機1とする)について説明する。
図1及び図2に示すように、二段圧縮機1は、例えば二酸化炭素等のガスである冷媒Rを圧縮する。二段圧縮機1はハウジング11と、ハウジング11の内部に設けられたロータリ圧縮機(低段側圧縮部)12、スクロール圧縮機(高段側圧縮部)13、電動モータ14、回転軸15、及び軸受装置30と、軸受装置30に固定された流入制限プレート61とを備えている。
【0025】
ハウジング11は、円筒状をなす本体部21と、本体部21の上下の開口を閉塞する上部蓋部22及び下部蓋部23とを備えている。そしてハウジング11は内部の空間を密閉している。
【0026】
回転軸15は、ハウジング11の内部で上下に延びるように配置されている。
【0027】
電動モータ14は、回転軸15の外周側に配置されて回転軸15を軸線X回りに回転させる。即ち、電動モータ14は、回転軸15の外周面に固定されたロータ38と、ロータ38の外周面と隙間を空けてロータ38と径方向に対向し、ハウジング11の本体部21の内面に固定されたステータ39とを有している。
【0028】
電動モータ14は不図示の電源に配線14aによって接続されて、この電源からの電力によって回転軸15を回転させる。ステータ39は、周方向の一部でハウジング11の内面に固定されており、ハウジング11の内面に固定された以外の部分では、ハウジング11の内面とステータ39とは径方向に隙間Sを空けて配置されている。
【0029】
ロータリ圧縮機12は、ハウジング11の内部で、電動モータ14の軸線Xの方向の一方となる下方で、下部蓋部23に隣接した位置に配置されている。ロータリ圧縮機12は、回転軸15に設けられた偏心軸部41と、偏心軸部41に固定され、回転軸15の回転に伴って軸線Xに対して偏心して回転するピストンロータ42と、ピストンロータ42を収容する圧縮室C1が内部に形成されたシリンダ44とを備えている。
【0030】
シリンダ44には冷媒Rを内部に流入可能とする吸入孔44aが形成されている。吸入孔44aにはハウジング11の本体部21を貫通して設けられた吸入管33が接続されており、吸入管33を通じてハウジング11の外部から冷媒Rが供給される。また、シリンダ44には不図示の吐出孔が形成されており、この吐出孔からハウジング11内の電動モータ14が設けられた領域にロータリ圧縮機12で圧縮された冷媒Rが吐出されるようになっている。
【0031】
また、ハウジング11の底部には油Aが貯留されており、油溜まりO1が設けられている。油Aの初期封入時における油溜まりO1の液面は、ロータリ圧縮機12の上方に位置している。これによりロータリ圧縮機12は、油溜まりO1の中で駆動される。
【0032】
スクロール圧縮機13は、ハウジング11の内部で電動モータ14の上方に配置されている。スクロール圧縮機13は、上部軸受31に固定された固定スクロール51と、固定スクロール51の下方で固定スクロール51に対向して配置された旋回スクロール57とを備えている。
【0033】
固定スクロール51は、上部軸受31の上面に固定された端板52と、端板52から下方に突出する固定ラップ53とを有している。端板52の中央部(軸線X近傍)には、上下に貫通する吐出孔52aが形成されている。
【0034】
旋回スクロール57は、軸受装置30(後述する上部軸受31)と固定スクロール51の端板52とで軸線Xの方向に挟まれるようにして配置されて回転軸15に固定された端板58と、端板58から上方に突出する旋回ラップ59とを有している。
【0035】
端板58は、回転軸15の上端に設けられた偏心軸部56に固定されて、回転軸15の回転に伴って軸線Xに対して偏心して回転する。
【0036】
旋回ラップ59は、固定ラップ53と噛み合うことで固定ラップ53との間に冷媒Rを圧縮する圧縮室C2を形成している。
【0037】
ここで固定スクロール51には、ロータリ圧縮機12で圧縮されてハウジング11内に吐出された冷媒Rを、軸受装置30を介して圧縮室C2内に吸入可能とする不図示の吸入孔が形成されている。圧縮室C2で圧縮された冷媒Rは、固定スクロール51の吐出孔52aを通じて、ハウジング11内で固定スクロール51の上部に固定されて固定スクロール51とディスチャージカバー50とで囲まれた空間に開口するとともにハウジング11を貫通して外部に延びて設けられた吐出管34からハウジング11の外部へ吐出される。
【0038】
軸受装置30としては、ハウジング11の内部で上部に設けられた上部軸受31と、ハウジング11の内部で下部に設けられた下部軸受32A、32Bとが設けられている。
【0039】
下部軸受32A、32Bは、ハウジング11の下部で回転軸15をハウジング11に対して回転可能に支持している。具体的には下部軸受32A、32Bは、ロータリ圧縮機12を軸線Xの方向に上下から挟むようにして配置されて、シリンダ44にボルト48で固定されている。
【0040】
上部軸受31は、回転軸15をハウジング11に対して回転軸15の軸線X回りに回転可能に支持する軸受本体31aと、軸受本体31aと一体に軸受本体31aをハウジング11に支持する軸受ケーシング31bとを有している。
【0041】
図1から図3に示すように軸受ケーシング31bには、周方向に互いに間隔をあけて、軸受ケーシング31bの軸線Xの方向の全域にわたって軸線Xと平行に延びる複数の吸入流路FCが設けられている。本実施形態では、吸入流路FCは軸受ケーシング31bの外周面から径方向内側に凹む断面矩形状の凹状溝となっている。
また軸受ケーシング31bには、軸線Xの一方側となる下方に連続して吸入流路FCの下端から径方向内側に延び、軸受ケーシング31bを見た際に下方に向かって扇形形状に開口する吸入開口FCaが設けられている。
【0042】
さらに軸受ケーシング31bには、吸入開口FCaに干渉しない位置で、外周面から径方向内側に向かって軸線Xの方向の全域にわたって凹む凹部(収容部)31cが設けられている。この凹部の内部には電動モータ14の配線14aが配置されている。凹部31cと配線14aとハウジング11の内面との間の隙間にはシール部材65が設けられている。シール部材65には例えば樹脂等のシール材を用いることができる。
【0043】
さらに軸受ケーシング31bには、径方向に貫通して旋回スクロール57が偏心軸部56に固定された軸線Xの方向の位置で、ハウジング11の内部に開口する軸受流路31d(図2参照)が形成されている。
【0044】
さらに、そして軸受ケーシング31bには、吸入開口FCa及び凹部31cに干渉しない位置で、かつ、径方向外側の端部の位置で、軸受流路31dに連通するとともに電動モータ14に向かって軸受ケーシング31bを貫通してハウジング11の内面に沿って延び、軸受ケーシング31bから下方に突出しする油落し管(油落し部)72が設けられている。
【0045】
流入制限プレート61は、図3に示すように、軸受ケーシング31bに下方からボルト60によって固定されている。流入制限プレート61は軸線Xを中心とした環状をなしている。流入制限プレート61は、径方向内側の端部から径方向内側に向かって切り欠かれた複数の切欠部63を、吸入開口FCaに対応する位置に有している。流入制限プレート61の下面は制限面62となっており、切欠部63の底部が制限面62の内縁部62aを形成している。この内縁部62aは、周方向に沿って形成された曲線状をなしている。内縁部62aは吸入開口FCaの径方向の中途位置に位置されており、この結果、流入制限プレート61によって吸入開口FCaの径方向内側の位置のみが電動モータ14に向かって開口した状態となっている。これにより、制限面62によって径方向外側での吸入開口FCaへの冷媒Rの流れが制限されるようになっている。
また、流入制限プレート61には、配線14aに干渉しないように、配線14aの位置に対応する位置で外縁部62bから径方向内側に向かって凹む切欠部61aが設けられている。
制限面62は図1に示すように軸線Xを含む断面から見て、ハウジング11の内面から径方向内側に向かって突出するように設けられている。
【0046】
さらに本実施形態では、ハウジング11の内面と、制限面62の外縁部62b(ハウジング11の内面に沿う径方向外側の端縁)との間の隙間にはシール部材66が設けられている。このシール部材66には樹脂等のシール部材や、Oリング等を用いることができる。
【0047】
以上説明した本実施形態の二段圧縮機1では、ロータリ圧縮機12では油溜まりO1の油Aとともに冷媒Rが圧縮される。このためロータリ圧縮機12から吐出された冷媒Rには油Aが含まれている。油Aを含む冷媒Rの一部は、電動モータ14に向かって流出した後にステータ39とロータ38との隙間、あるいはロータ38に設けられた貫通孔37を通じてスクロール圧縮機13に向かって流通する。そして冷媒Rが電動モータ14を通過する際には、冷媒R中の油Aはロータ38や、ロータ38の上部に設けられて径方向に延びる油分離プレート38aに接触することで冷媒R中の油Aの含有量が低減される。
【0048】
一方で、ステータ39とハウジング11との間の隙間Sを通過した冷媒Rはロータ38に接触することなくそのままスクロール圧縮機13に向かって流通する。このため、冷媒R中の油Aの含有量は多いまま、冷媒Rがスクロール圧縮機13に向かって流通する。即ち、ロータリ圧縮機12から吐出された冷媒R中の油Aの量は、ハウジング11内の径方向内側で少なく、径方向外側で多くなっている。
【0049】
ここで、本実施形態では、軸受ケーシング31bに制限面62を有する流入制限プレート61を設けることで、径方向外側で吸入開口FCaへの冷媒Rの流れを制限できる。このため、径方向外側の油Aの含有量の多い冷媒Rがそのまま吸入開口FCaを通じて吸入流路FCに流入してしまうことを制限できる。さらに、油Aの含有量の少ない径方向内側の冷媒Rを、吸入開口FCaを通じて吸入流路FCへ流入させることが可能となる。
【0050】
この結果、スクロール圧縮機13へ油Aの含有量の少ない冷媒Rを供給することができ、スクロール圧縮機13で圧縮されて吐出される冷媒R中の油Aの量を低減することができる。二段圧縮機1を含むシステム内の油循環量(OC%)を低減することが可能となる。
【0051】
さらに、径方向外側の冷媒Rが制限面62に接触すると、冷媒R中の油Aが制限面62に付着し、油Aの含有量が減った冷媒Rが制限面62によって径方向内側に案内され、吸入開口FCaから吸入流路FCへ流入する。このように制限面62によって冷媒R中の油Aの量が低減されて、吸入流路FCからスクロール圧縮機13へ供給される。このため、スクロール圧縮機13で圧縮されて吐出管34からハウジング11の外部へ吐出される冷媒R中の油Aの量を低減することができ、システム内の油循環量(OC%)を低減することが可能となる。
【0052】
また、軸受ケーシング31bに流入制限プレート61を設けることで、軸受ケーシング31bに制限面62を設けることができる。このため、ハウジング11に流入制限プレート61に相当する部材を取り付けて設ける場合に比べ、ハウジング11への溶接作業等が不要となり、非常に容易に制限面62を軸受ケーシング31bに設けることができる。よって、制限面62を有する二段圧縮機1を容易に製造しつつ、冷媒R中の油Aを効果的に冷媒Rから分離することができる。
【0053】
また、油落し管72を設けることで、高段側圧縮部で潤滑に使用された油が油落し管72を通じてハウジング11内に戻される。従って、スクロール圧縮機13で圧縮されて吐出される冷媒R中の油Aの量をさらに低減することができる。また、油落し管72を軸受ケーシング31bの径方向外側の端部に設けることで、径方向内側の吸入開口FCaにおける径方向内側の開口部分から離れた位置に油落し管72を設けることになる。従って、油戻し管72からハウジング11へ戻される油Aが吸入開口FCaからそのまま吸入流路FCに流入してしまうことを回避できる。従ってスクロール圧縮機13で圧縮されて吐出される冷媒R中の油Aの量をさらに低減することができる。
【0054】
さらに、シール部材66によって、ハウジング11の内部の径方向外側の領域で、ハウジング11とステータ39との間の隙間Sを通過した油Aの含有量が多い冷媒Rが、そのまま制限面62とハウジング11の内面との間からスクロール圧縮機13に流入してしまうことを回避できる。従って、スクロール圧縮機13で圧縮されて吐出される冷媒R中の油Aの量をさらに低減することができる。
【0055】
また、電動モータ14の配線14aが挿通される凹部31cを軸受ケーシング31bに形成したとしても、シール部材65によって、凹部31cと配線14aとハウジング11の内面との間の隙間をシールすることができる。よって、この隙間を通じて油Aを含む冷媒Rがそのままスクロール圧縮機13に供給されてしまうことを抑制することができる。
【0056】
〔第二実施形態〕
次に、図4及び図5を参照して、本発明の第二実施形態における二段圧縮機80について説明する。なお、図4では説明の便宜上、電動モータ14の配線14a、及び油落し管72は図示を省略している。
第二実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付して詳細説明を省略する。
本実施形態の二段圧縮機80は、制限面82を有する流入制限プレート81が第一実施形態の流入制限プレート61とは異なっている。
【0057】
流入制限プレート81は、ハウジング11の内面に沿うように径方向外側に配置されて軸線Xを中心とした円環状をなす環状部83と、環状部83の径方向内側に連続して環状部83と一体に設けられた円錐部84とを有している。
【0058】
環状部83の下面は、軸線Xを中心とした円環状をなす平面86となっている。また円錐部84の外面は、軸線Xを中心とした円錐台状をなす傾斜面87となっている。傾斜面87は、平面86から径方向内側に向かうに従って、下方に向かって傾斜している。
【0059】
このように本実施形態の制限面82は、平面86と傾斜面87とを有している。傾斜面87の径方向内側の端縁である内縁部87aはステータ39よりも径方向内側で、かつ、軸受ケーシング31b及び回転軸15よりも径方向外側に位置している。
【0060】
また本実施形態では、この流入制限プレート81の内縁部87aは、スクロール圧縮機13で必要となる冷媒Rの吸入量を確保可能に、即ち、吸入開口FCaの開口面積を確保可能な位置に配置されている。
【0061】
以上説明した本実施形態の二段圧縮機80では、制限面82が傾斜面87を有することで、吸入開口FCaから軸線Xの方向に下方に延びるように、軸線Xを中心とした環状をなす開口部OPを形成することができる。従って、第一実施形態よりも吸入開口FCaが電動モータ14に向かって開口する面積を大きくすることができる。従ってハウジング11の内部から吸入流路FCへ流入する冷媒Rの流量を確保することができる。
【0062】
さらに、ハウジング11内の径方向外側の領域の油Aの含有量の多い冷媒Rは、平面86に沿って径方向内側に流通した後に傾斜面87に衝突することで、傾斜面87にも油Aを付着させることができる。よって、さらに冷媒R中の油Aの含有量を低減した状態で冷媒Rを吸入流路FCに流入させ、スクロール圧縮機13へ供給することができる。この結果、スクロール圧縮機13で圧縮されてハウジング11の外部へ吐出される冷媒R中の油Aの量をさらに低減することができ、二段圧縮機80を含むシステム内の油循環量(OC%)をさらに低減することが可能となる。
【0063】
また、本実施形態では、傾斜面87の径方向内側の内縁部87aはステータ39よりも径方向内側に位置しているため、制限面82がロータ38の位置まで延びていることになる。従って、ハウジング11内で径方向内側を流通する冷媒R、及び冷媒R中の油Aをロータ38に接触させ、ロータ38で油Aの量を十分に低減した冷媒Rを、吸入開口FCaから吸入流路FCに流入させることができる。
【0064】
また、流入制限プレート81の内縁部87aを、スクロール圧縮機13で必要となる冷媒Rの吸入量を確保可能となる位置に配置することで、スクロール圧縮機13での圧縮効率低下を回避できる。
【0065】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、各実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態によって限定されることはなく、特許請求の範囲によってのみ限定される。
例えば、軸受ケーシング31bと流入制限プレート61、81とは一体となっていてもよい。即ち、制限面62、82を軸受ケーシング31bに直接設けてもよい。
【0066】
さらに、第一実施形態でも第二実施形態と同様に、制限面62の内縁部62aをステータ39よりも径方向内側に配置してもよい。さらに、この場合、スクロール圧縮機13で必要となる冷媒Rの吸入量を確保可能なように内縁部62aの位置を決定するとよい。
【0067】
また、軸受ケーシング31bには凹部31cに代えて、軸線Xの方向に貫通する貫通孔を形成し、この貫通孔に配線14aを挿通して配置してもよい。
【0068】
また、図6に示すように、制限面62Aには上方に凹み、軸線Xを中心として環状をなす環状凹部90を設けてもよい。このような環状凹部によって、径方向外側の冷媒Rが制限面62Aに接触することで制限面62Aに付着した油Aが径方向内側に向かって流れて、吸入開口FCaに吸い込まれないようにすることができる。このような環状凹部90は、第一実施形態の制限面62、及び、第二実施形態の制限面82のいずれにも設けることができる。
【0069】
また、ハウジング11内には低段側の圧縮機としてロータリ圧縮機12を設け、高段側の圧縮機としてスクロール圧縮機13を設けたが、これに限定されない。例えば、低段側の圧縮機としてスクロール圧縮機13を設け、高段側の圧縮機としてロータリ圧縮機12を用いてもよい。また低段側、高段側ともにスクロール圧縮機13を設けてもよいし、低段側、高段側ともにロータリ圧縮機12を設けてもよい。さらに、スクロール圧縮機13及びロータリ圧縮機12以外の圧縮機を設けてもよい。
【0070】
また回転軸の軸線が水平方向に延びるように横置きで使用する二段圧縮機にも、上記の制限面62、82を設けてもよい。
【符号の説明】
【0071】
1、80…密閉型二段圧縮機
11…ハウジング
12…ロータリ圧縮機(低段側圧縮部)
13…スクロール圧縮機(高段側圧縮部)
14…電動モータ
14a…配線
15…回転軸
21…本体部
22…上部蓋部
23…下部蓋部
30…軸受装置
31…上部軸受
31a…軸受本体
31b…軸受ケーシング
31c…凹部(収容部)
31d…軸受流路
32A、32B…下部軸受
33…吸入管
34…吐出管
37…貫通孔
38…ロータ
38a…油分離プレート
39…ステータ
41…偏心軸部
42…ピストンロータ
44…シリンダ
44a…吸入孔
48…ボルト
50…ディスチャージカバー
51…固定スクロール
52…端板
52a…吐出孔
53…固定ラップ
56…偏心軸部
57…旋回スクロール
58…端板
59…旋回ラップ
60…ボルト
61…流入制限プレート
61a…切欠部
62、62A…制限面
62a…内縁部
62b…外縁部
63…切欠部
65…シール部材
66…シール部材
72…油落し管(油落し部)
81…流入制限プレート
82…制限面
83…環状部
84…円錐部
86…平面
87…傾斜面
87a…内縁部
90…環状凹部
C1…圧縮室
C2…圧縮室
O1…油溜まり
R…冷媒
X…軸線
A…油
S…隙間
FC…吸入流路
FCa…吸入開口
OP…開口部
図1
図2
図3
図4
図5
図6