【実施例1】
【0019】
図1に、本発明の一実施形態に係るアタッチメントを有するサドル付分水栓交換器の外観構成を示す。同図を参照して本発明の一実施形態に係るアタッチメントがサドル付分水栓交換器において果たす役割を説明する。
【0020】
図1において、サドル付分水栓交換器10は、それぞれ中心軸部に挿通孔(同図において不図示)を有するハンドルユニット11及びアタッチメント12が主軸13に挿通される形で装着されている。なお、アタッチメント12の挿通孔は主軸13に挿通された場合に水密構造をとる。
主軸13は、中空構造を有する中空主軸(アウタースピンドルともいう。同図中、主軸の外観として表れている軸パーツである)と、中空主軸の内部に収まる内部栓棒(ハンドルユニット11が固着される回転可能な内部軸パーツである。同図において表れていない)とを有する。
【0021】
ハンドルユニット11は、ハンドル111とレバーガイド112とレバー113とから構成されている。レバーガイド111は、レバーガイド112に取り付けられたレバー113を図中右側(主軸の向かって左側から中心軸方向へ)に押し込むことでレバーガイド112を中空主軸に固定させ、内部栓棒に対して軸回りにすべり不能に取り付けられたハンドル111をレバーガイド112に対して回転させることにより、内部栓棒を中空主軸から独立して回転可能にする。
【0022】
また、中空主軸の内面上部と内部栓棒の外面上部には、それぞれ螺合する螺旋溝(不図示)が刻まれており、内部栓棒に固定されたハンドル111を左右に回転させることにより、前記螺旋溝の螺合によって内部栓棒は中空主軸に対して昇降可能となる。
【0023】
また、主軸13は、その先端部に、膨張作用(後述)により水道本管の分岐孔を完全に止水せしめるストッパユニット14を備える。ストッパユニット14は、中空主軸外面に設けられたパッキン受け141a及び141bと、これらのパッキン受けに挟持されたパッキン(ないし拡張パッキン)142とを含み、さらに、内部栓棒の先端部に設けられた六角袋ナット143と、この六角袋ナット143によって脱落しないように固定されたテーパ状栓体144を備える(テーパ状栓体144は、内部栓棒と一体的に形成されてもよい)。
【0024】
そして、ストッパユニット14の膨張作用は、内部栓棒に固定されたハンドル111を回転させてネジ進行により内部栓棒を中空主軸に対して単独で上昇させ、テーパ状栓体144を内部栓棒の端部内面に食い込ませて栓体144のテーパ面により拡張パッキン142を内側から膨張させるか、あるいは、図示しない公知の構造によりパッキン受け141aと141bとを間隔を縮ませて拡張パッキン142を圧縮して拡径方向に弾性膨張させる。
【0025】
ストッパユニット14は、その軸部(ちょうど拡張パッキンが取り付けられた部位)にプラスチック、金属などの素材を使用して全体として拡径方向に弾性変形するように構成されるが、一例として、軸部に軸方向のスリットを適宜形成するなどしてストッパ14の膨張作用及び復元作用を発揮させることができる。
【0026】
図2A及び
図2Bに、本発明の一実施形態に係るアタッチメントを有するサドル付分水栓交換器が装着されたサドル付分水栓(水道本管に装着済み)の外観構成を示す。
図2Aに示されたサドル付分水栓は、分水栓本体215の分水口219及び取付口(同図においてはアタッチメントが螺着されているため表れていない)の口径が25mmのものであり、
図2Bに示されたサドル付分水栓は、分水栓本体225の分水口229及び取付口(同図においてはアタッチメントが螺着されているため表れていない)の口径が50mmのものである。
なお、取付口には、図に示されるように交換器のアタッチメントが装着されるほか、この取付口を介して穿孔具や挿入工具を取り付け、水道本管に穿孔したり、防食スリーブないし防食コアを挿入するなどの作業を行うことができる。
【0027】
図2Aにおいて、交換器の主軸13に装着されたアタッチメント12は、底部に異なる径を有する2重の蓋部(後述)が備わっており、同図においてはその内側の蓋部によって螺合固定されている。
【0028】
図2Aにおけるサドル付分水栓の構造を説明すると、サドル付分水栓21は、大別して水道本管29を挟持固定する半弧状の上部サドル部211及び下部バンド部212(連結ボルト213a、213b及び固定ナット214a、214bにより2か所で固定されている)と、分水栓本体215とからなる。
【0029】
分水栓本体215は、横T字型の分水路を有し、外側螺旋溝を有する分水口219と、栓筐216を挟んで分水口219とは反対側に設けられた開閉コック217とを備えており、開閉コック217は分水栓本体215内に回転可能に内嵌されたボール型弁体(同図には表れていない)と連結しており、コック217の開閉操作によってボール型弁体を回転させて分水栓本体215の上下方向(主軸13方向)の挿通/遮断を制御する。分水栓が挿通状態のときは、上部取付口から交換器の主軸13を挿入してその先端部を水道本管の穿孔まで到達させることができる(同図では、ちょうど六角袋ナット143が水道本管29の管内に到達している様子が表れている)。また、分水栓が遮断状態のときは、ボール型弁体の弁機能が発揮されて取付口からの漏水は遮断される(取付口には、同図に表れていないスクリュー栓を螺着させ完全に密封する)。
【0030】
分水栓本体215は、下部フランジ218の四隅をボルトで締め付けることによりサドル部211の載置台211bに立設される。
【0031】
図2Bにおいては、
図2Aと同様に、本発明の一実施形態に係るアタッチメントを有するサドル付分水栓交換器が装着されたサドル付分水栓(但し、分水口229及び取付口の口径が50mmのもの)が示されている。分水栓本体225上部の取付口の口径は50mmであるために、その取付口は、アタッチメント12底部の外側の蓋部(後述)と螺着されている。
【0032】
また、分水栓本体225は分水栓本体215よりも大型で重量も大きいために、サドル付分水栓22は、水道本管29を挟持固定するための半弧状の上部サドル部221及び下部バンド部222が、連結ボルト223a〜223d及び固定ナット224a〜224dにより計4か所で固定されている。
【0033】
(本発明の一実施形態に係るサドル付分水栓交換器用アタッチメント)
図4A〜
図8を参照して、本発明の一実施形態に係るサドル付分水栓交換器用アタッチメントの構造等について説明する。
【0034】
図4Aは、本発明の一実施形態に係るサドル付分水栓交換器用アタッチメントの外観構成である。同図において、アタッチメント40は、上部締結部41と、アタッチメント本体部42と外蓋部43とからなり、中心軸を挿通する挿通孔45を有する。なお、挿通孔45に主軸が挿通された場合には水密構造をとるように構成されている。
【0035】
同図において、外蓋部43の側面は多角形状をしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、軸方向の溝を有する円形状としてもよい。
【0036】
図4Bは、アタッチメント40が分解可能であることを例示する説明図である。同図において、アタッチメント40は、上部締結部41と、アタッチメント本体部42及び外蓋部43とに分解可能であり、両者は螺旋溝によって螺合連結することができる。
なお、アタッチメント本外部42及び外蓋部43は、もともとは別部品であってもよいが、ろう付けや他の接合ないし接着手段により一体的に形成されることが望ましい。
【0037】
図5は、本発明の一実施形態に係るサドル付分水栓交換器用アタッチメントの上面図である。同図に示されるように、アタッチメントは円形状の上部締結部41とアタッチメント本体部裾に形成されてなる八角形状の外蓋部43とが、それぞれの中心軸を一致させるように螺着されており、アタッチメントの中心軸を挿通する挿通孔45を確認することができる。同図においては、外蓋部43の側面は八角形状であることが確認できるが、本発明はこれに限定されることはなく、六角形状、四角形状、円形状等さまざまな形状のものを採用できる。また、外蓋部側面に溝を設けたりゴムバンドを圧着させたり摩擦係数の高い樹脂を蒸着させたりしてすべり止め効果を高めることもできる。
なお、同
図A−A線での断面構造については、
図8を参照して後述する。
【0038】
図6は、本発明の一実施形態に係るサドル付分水栓交換器用アタッチメントの正面ないし側面図である。同図において各寸法を例示すると、アタッチメントの全高H
0は、6〜10cm程度であり、外蓋部43の高さH
1は、2〜3.5cm程度であり、アタッチメント本体部の高さH
2は、4〜6.5cm程度である。但し、同図におけるH
1<H
2<H
3の関係は維持される。また、外蓋部43の幅(径)W
0は、6〜11cm程度である。
【0039】
図7Aは、本発明の一実施形態に係るサドル付分水栓交換器用アタッチメントの底面図である。既に説明しているとおり、本発明に係るアタッチメントはその底部に異なる径を有する2重の蓋部を備えているが、同図ではその様子がよく説明されている。同図において、外蓋部43の内側(内面)には、外蓋内螺旋溝431が形成されており、内蓋部44の内側(内面)には、内蓋内螺旋溝441が形成されている。45は、挿通孔であり、46は、挿通孔45に挿通された主軸13などを安定支持するためのガスケットである。
【0040】
図7Aにおいて、外蓋部43の内径L
1は、例示的に50mmであり、内蓋部44の内径L
2は、例示的に25mmである。外蓋部及び内蓋部の内径はこれらに限定されることなく、様々な径をとることができる。
【0041】
図7Bは、本発明の一実施形態に係るサドル付分水栓交換器用アタッチメントの底面斜視図である。
図7Bでは、
図7Aで示したよりもさらに詳細に本発明に係るアタッチメントの構造が示されている。つまり、同図において、外蓋部43の内側には外蓋内螺旋溝431が示されており、内蓋部44の内側には内蓋内螺旋溝441が示されている。
本発明の一実施形態においては、25mm径(より小さい径)の取付口を有する分水栓に対しては内蓋部44と螺合してアタッチメントが取り付けられ、50mm径(より大きい径)の取付口を有する分水栓に対しては外蓋部43と螺合してアタッチメントが取り付けられることなる。つまり、分水栓の栓径の異なる他のサドル付分水栓に交換する場合であっても、本発明の一実施形態に係るアタッチメント1つで交換作業を完了させることができる。
【0042】
図8は、
図5に示した本発明の一実施形態に係るサドル付分水栓交換器用アタッチメントのA−A線での断面を説明する断面図である。
【0043】
図8において、アタッチメント80は、大別して、上部締結部81とアタッチメント本体部82と外蓋部83とからなり、アタッチメント本体部82の下部が内蓋部とされ、その内側に内蓋内螺旋溝821が形成され、外蓋部83の内側には外蓋内螺旋溝831が形成されている。84は、挿通孔に挿通された主軸などを安定支持するためのガスケットである。
【0044】
ここで、アタッチメント80を底面側から見た場合の内蓋内螺旋溝821及び外蓋内螺旋溝831の開始位置(開始面)は、それぞれの蓋部の入口面(
図8において、アタッチメントの底面をなす一線)に一致するように合わされている。
【0045】
また、内蓋内螺旋溝821及び外蓋内螺旋溝831の溝深さh
1及びh
2は、
図8においては、h
1<h
2となるように構成されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、h
1=h
2となるように、つまり、内蓋内螺旋溝821及び外蓋内螺旋溝831の溝深さを同じになるように構成することもできる。この場合の「同じ」とは完全な同一に限らず、製造上の誤差を範囲のものである(この意味で、「略同一」または「略同じ」とも言える)。
【0046】
特に、内蓋内螺旋溝及び外蓋内螺旋溝の溝深さを同じになるように構成した場合には、同じ深さで形成された外螺旋溝を有する異なる径の取付口に対し同じように螺合固着させることができるという利点がある。
【0047】
(さらなる応用)
本実施例では、内蓋部及び外蓋部という2重の蓋部を備えるアタッチメントについて説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、同様の考え方で、3重の蓋部やそれ以上の蓋部を備えるアタッチメントを構成することができる。
【0048】
また、本発明はサドル付分水栓交換器用アタッチメントのみならず、挿通孔のない通常の蓋に応用して、異なる複数種類の口径に適用可能な多重螺旋蓋(多重スクリュー栓)を構成することもできる。
【0049】
(サドル付分水栓の交換手順)
図3A〜
図3Eを参照して、念のために、本発明の一実施形態に係るアタッチメントを有するサドル付分水栓交換器を使用してサドル分水栓を交換する手順を説明する。なお、
図3A〜
図3Eは、25mm径のサドル付分水栓を取り外すまでの工程を示しているが、その後の50mm径のサドル付分水栓を取り付ける工程は、略
図3E〜
図3Aへ向かって逆の手順となる。さらに、本実施形態では、25mm径のサドル付分水栓から50mm径のサドル付分水栓へ交換することを想定しているので、その後の穿孔工程及び管全体の埋め込みについても簡単に説明する。
【0050】
図3Aでは、水道本管29にサドル付分水栓21(25mm径)が既に設置されている状態である。分水栓本体上部には、上部キャップ31が螺合取り付けされている。開閉コック217は開かれた状態である(つまり、同図において分水口には図示しない25mm径の分水管が接続されており、水道本管29からの水が供給されている)。
【0051】
次に、同図において、開閉コック217を閉め(この時点で、25mm径の分水管への給水は止まり、分水管を取り外すことができる)、取付口の上部キャップ31を外す。
【0052】
そして、ハンドルユニット11及び本発明の一実施形態に係るアタッチメント12が主軸13に挿通されたサドル付分水栓交換器をセットし、ハンドルユニット11のレバーを押し込むことによってレバーガイドを主軸の中空主軸(アウタースピンドル)に固定させる(
図3B)。このとき、ハンドルは主軸の内部栓棒とすべり不能に組み合わさっており、ハンドルの回転により内部栓棒を中空主軸に対して回転させることができる状態となっている。
【0053】
次に、開閉コック217の栓を開き、主軸部を分水栓本体深くに進行させ、主軸先端部(ストッパユニット)を水道本管の穿孔まで到達させる(
図3C)。
【0054】
図3Cでは、さらに、内部栓棒に固定されたハンドルを回転させてネジ進行により内部栓棒を中空主軸に対して単独で上昇させて主軸のストッパユニットを膨張させ止水する。
【0055】
次に、主軸13からハンドルユニット11及びアタッチメント12を取り外す(
図3D)。
図3Dでは、取付口32が伸びる主軸の先端が六角ナット形状をしており、同形状凹部を有するハンドル下部に連結してこのハンドルの回転操作により主軸もすべり不能に回転するものとなっている。また、同図には、レバーが押し込まれた際にレバーガイドを固定する固定溝が主軸(中空主軸)の先端部に設けられている様子も伺える。
【0056】
そして、サドル付分水栓21(25mm径)を取り外し、主軸とストッパユニットだけが残った状態となる(
図3E)。
【0057】
このあとは、サドル付分水栓(50mm径)を取り付け(
図3Dと同様の状態)、サドル付分水栓交換器のアタッチメント(本発明の一実施形態に係るアタッチメント12)及びハンドルユニットを再セットし(
図3Cと同様の状態)。ストッパユニットの膨張作用を緩めて主軸を抜く。このとき水密構造のアタッチメントにより漏水はない(
図3Bと同様の状態)。
次に、開閉コックを閉め、サドル付分水栓交換器を全て取り外す(
図3Aと同様の状態で取付口にはキャップが無い状態)。
【0058】
ここまでで、径の異なるサドル付分水栓への交換はほぼ完了しているが、本実施形態では、その後の穿孔工程及び管全体の埋め込みについても簡単に説明する。
【0059】
すわなち、その後は、図示しない50mm径用の穿孔機を取り付け、開閉コックの栓を開き、穿孔機の先端ドリルを分水栓本体深くに進行させ、穿孔機の先端を水道本管の穿孔まで到達させ、穿孔機ドリルにより水道本管の穿孔を拡大する。そして、穿孔機の先端ドリルを分水栓本体まで引き上げ(水密構造のアタッチメントにより漏水はない)、開閉コックを閉め、取付口にキャップを付ける。
【0060】
次に、分水口から50mm用管の延長を行い、延長先をいったん止水し、開閉コックの栓を開ける(このとき、分水口から50mm用管延長先まで水が到達する)。
【0061】
最後に、サドル付分水栓を含む管全体を地中に埋め込み、作業の全工程が終了する。
【0062】
[組み合わせ]
本明細書(特許請求の範囲、要約、及び図面を含む)に記載された構成要件については、これらの特徴が相互に排他的である組合せを除き、任意の組合せで組み合わせることができる。
【0063】
[特徴の一例]
本明細書(特許請求の範囲、要約、及び図面を含む)に記載された特徴の各々(例えば、貫通孔が上下に貫通するように設けられるか、或いは左右に貫通するように設けられるか等)は、明示的に否定されない限り、同一の目的、同等の目的、または類似する目的のために作用する代替の特徴に置換することができる。したがって、明示的に否定されない限り、開示された特徴の各々は、包括的な一連の同一又は均等となる特徴の一例にすぎない。