【解決手段】2つの蒸発器4、5と、2つの蒸発器4、5への冷媒供給状態を切り替える切り替え機構8と、冷凍用蒸発器5に設けられた蒸発器温度センサと、冷凍用蒸発器5に設けられた複数の加熱ヒータ91、92とを備え、冷凍用蒸発器5の除霜運転中において、切り替え機構8による冷媒供給状態の切り替えが、蒸発器温度センサの検出温度に基づいて少なくとも1回行われるとともに、複数の加熱ヒータ91、92の出力が、蒸発器温度センサの検出温度に基づいて制御される。
前記一方の蒸発器の除霜運転中において、前記蒸発器温度センサの検出温度が所定の判定温度未満の場合に、前記切り替え機構により少なくとも前記一方の蒸発器に冷媒が流れるようにし、前記検出温度が前記所定の判定温度以上となった場合に、前記切り替え機構により前記一方の蒸発器に冷媒が流れないようにする請求項1記載の冷蔵庫。
前記一方の蒸発器の除霜運転の開始後、前記切り替え機構により少なくとも前記一方の蒸発器に冷媒が流れるようにし、前記蒸発器温度センサの検出温度の時間変化の傾きが所定値以下となったことを検知して、前記切り替え機構により前記一方の蒸発器に冷媒が流れないようにする請求項1記載の冷蔵庫。
前記複数の加熱ヒータのうち少なくとも1つの加熱ヒータが、前記一方の蒸発器の下部又は当該一方の蒸発器の下方に設けられたドレンパンの近傍に設けられており、当該加熱ヒータの出力が、その他の加熱ヒータの出力よりも大きくなるように制御される請求項1、4又は7記載の冷蔵庫。
除霜運転の終了後において、庫内温度センサの検出温度及び前記蒸発器温度センサの検出温度が所定の関係となった場合に、前記ファンの運転を再開する請求項11乃至17の何れか一項に記載の冷蔵庫。
前記蒸発器温度センサの検出温度が所定の除霜開始温度になった場合に、少なくとも一方の前記蒸発器をさらにプレ冷却した後、前記加熱ヒータをオンする請求項1記載の冷蔵庫。
前記通常冷却運転から前記除霜運転に切り替わってから前記第2除霜ヒータがオンするまでの間、前記第2ファンが運転している請求項26乃至28のうち何れか一項に記載の冷蔵庫。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで本発明は、上記問題点を一挙に解決すべくなされたものであり、加熱ヒータにより除霜運転を実施する冷蔵庫において、除霜運転時間を短縮しつつ、庫内温度の上昇を抑制することを主たる課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち本発明に係る冷蔵庫は、2つの蒸発器と、前記2つの蒸発器への冷媒供給状態を切り替える切り替え機構と、前記2つの蒸発器のうち一方の蒸発器に設けられた蒸発器温度センサと、前記一方の蒸発器に設けられた複数の加熱ヒータとを備え、前記一方の蒸発器の除霜運転中において、前記切り替え機構による冷媒供給状態の切り替えが、前記蒸発器温度センサの検出温度に基づいて少なくとも1回行われるとともに、前記複数の加熱ヒータの出力が、前記蒸発器温度センサの検出温度に基づいて増減制御されることを特徴とする。
【0009】
このようなものであれば、一方の蒸発器の除霜運転中において、蒸発器温度センサの検出温度に基づいて、切り替え機構による冷媒供給状態の切り替えが行われるとともに複数の加熱ヒータの出力が増減制御されるので、除霜運転時間を短縮しつつ、庫内温度の上昇を抑制することができる。
【0010】
具体的な実施の態様としては、前記一方の蒸発器の除霜運転中において、前記蒸発器温度センサの検出温度が所定の判定温度未満の場合に、前記切り替え機構により少なくとも前記一方の蒸発器に冷媒が流れるようにし、前記検出温度が前記所定の判定温度以上となった場合に、前記切り替え機構により前記一方の蒸発器に冷媒が流れないようにすることが望ましい。
この構成であれば、所定の判定温度未満の場合に除霜される一方の蒸発器に冷媒を流しているので、当該一方の蒸発器の除霜運転時間を短縮することができる。また、所定の判定温度以上になった場合に、前記一方の蒸発器に冷媒が流れないようにしているので、一方の蒸発器の温度(蒸発器温度センサの検出温度)のオーバーシュートを抑えて庫内温度の上昇を抑制することができる。
なお、ここで、所定の判定温度未満の場合に他方の蒸発器にも冷媒が流れるようにすることで、圧縮機の差圧を無くすことができ、圧縮機の効率を向上させることができる。
【0011】
具体的な実施の態様としては、前記検出温度が前記所定の判定温度未満の場合に、前記複数の加熱ヒータの出力を最大とすることが望ましい。
この構成であれば、所定の判定温度未満の場合に一方の蒸発器に冷媒を流すとともに、複数の加熱ヒータの出力を最大としているので、一方の蒸発器の除霜運転時間をより一層短縮することができる。
【0012】
前記検出温度が前記所定の判定温度以上となった場合に、前記複数の加熱ヒータの出力を減少させることが望ましい。
この構成であれば、蒸発器の温度(蒸発器温度センサの検出温度)のオーバーシュートを抑えて庫内温度の上昇を抑制することができる。
【0013】
前記一方の蒸発器の除霜運転の開始後、前記切り替え機構により少なくとも前記一方の蒸発器に冷媒が流れるようにし、前記蒸発器温度センサの検出温度の時間変化の傾きが所定値以下となったことを検知して、前記切り替え機構により前記一方の蒸発器に冷媒が流れないようにすることが望ましい。
この構成であれば、一方の蒸発器に着霜した氷の潜熱変化部分を検知することができ、当該潜熱変化部分までは一方の蒸発器に冷媒を流しているので、当該一方の蒸発器の除霜運転時間を短縮することができる。
また、温度変化により検知しているので、蒸発器温度センサの測定誤差による影響を軽減することができる。
さらに、検出温度の時間変化の傾きが前記所定値以下となった後に所定値よりも大きくなった場合に、一方の蒸発器に冷媒が流れないようにすることで、一方の蒸発器の温度(蒸発器温度センサの検出温度)のオーバーシュートを抑えて庫内温度の上昇を抑制することができる。
【0014】
除霜運転の開始後から前記蒸発器温度センサの検出温度の時間変化の傾きが所定値以下となるまでは、前記複数の加熱ヒータの出力を最大とすることが望ましい。
この構成であれば、潜熱変化部分までは一方の蒸発器に冷媒を流すとともに、複数の加熱ヒータの出力を最大としているので、一方の蒸発器の除霜運転時間をより一層短縮することができる。
【0015】
除霜運転の開始後、前記蒸発器温度センサの検出温度の時間変化の傾きが所定値以下となった場合に、前記複数の加熱ヒータの出力を減少させることが望ましい。
この構成であれば、蒸発器の温度(蒸発器温度センサの検出温度)のオーバーシュートを抑えて庫内温度の上昇を抑制することができる。
【0016】
前記複数の加熱ヒータのうち少なくとも1つの加熱ヒータが、前記一方の蒸発器の下部又は当該一方の蒸発器の下方に設けられたドレンパンの近傍に設けられており、当該加熱ヒータの出力が、その他の加熱ヒータの出力よりも大きくなるように制御されることが望ましい。
この構成であれば、除霜運転時に一方の蒸発器の上部から落ちてきた水や氷により、当該蒸発器の下部又はドレンパンが再度着霜してしまうことを防ぐことができる。
【0017】
前記複数の加熱ヒータは、互いに独立して制御されることが望ましい。
この構成であれば、それぞれの加熱ヒータが配置された部分に合わせて蒸発器を加熱することができる。
【0018】
前記複数の加熱ヒータは、互いに同期して制御されることが望ましい。
この構成であれば、複数の加熱ヒータの制御を簡単にすることができる。
【0019】
前記一方の蒸発器の冷気を前記一方の蒸発器よりも上側に位置する庫内へ導入するための通風路と、前記通風路に設けられ、前記冷気を庫内に送風するファンとを備え、前記通風路において前記ファンよりも上に、除霜運転により発生した暖気を滞留させるトラップ部が設けられていることが望ましい。
この構成であれば、除霜運転中に生じる暖気が通風路を通じて庫内に流入することを抑制することができる。
【0020】
具体的には、前記トラップ部は、前記一方の蒸発器よりも上に設けられ、前記通風路を形成するカバー体に形成されていることが望ましい。
【0021】
前記カバー体は、上下方向に間欠的に形成され、前記庫内に冷気を吹き出す複数の吹出し部と、前記複数の吹出し部の両側に形成された2つの仕切り部とを有し、前記2つの仕切り部の間の空間が前記通風路となり、前記2つの仕切り部の外側の空間が前記トラップ部となることが望ましい。
【0022】
前記通風路において前記ファン及び前記トラップ部の間に開閉機構が設けられており、前記開閉機構が閉じた状態において前記一方の蒸発器からの空気を前記トラップ部に導く案内流路が形成されていることが望ましい。
この構成であれば、除霜運転中に生じる暖気をトラップ部に流入し易くするとともに、暖気が通風路を通じて庫内に流入することをより一層抑制することができる。
【0023】
前記トラップ部に蓄熱材が設けられていることが望ましい。
これならば、蓄熱材によって暖気を冷やすことができ、暖気が通風路を通じて庫内に流入することをより一層抑制することができる。
【0024】
前記トラップ部は、入口及び出口を有する流路構造であることが望ましい。具体的には、入口が上向きの開口であり、出口が下向きの開口であることが望ましい。
この構成であれば、トラップ部の空気の置換を容易にすることができる。例えば、最初に入口から流入した暖気はトラップ部内で周囲の冷たい空気で冷やされて、その後、出口から流出する。
【0025】
除霜運転の終了後において、庫内温度センサの検出温度及び前記蒸発器温度センサの検出温度が所定の関係となった場合に、前記ファンの運転を再開することが望ましい。
この構成であれば、除霜運転後に蒸発器の温度が下がった後にファンの運転が再開されるので、庫内への暖気の流入を抑制することができる。
【0026】
除霜運転の終了時からの所定時間経過した場合に、前記ファンの運転を再開することが望ましい。
この構成であれば、除霜運転後に蒸発器の温度が下がった後にファンの運転が再開されるので、庫内への暖気の流入を抑制することができる。
【0027】
前記開閉機構は、除霜運転中に閉じた状態とされ、除霜運転の終了後に開いた状態とされることが望ましい。
この構成であれば、庫内への暖気の流入を抑制することができる。
【0028】
前記開閉機構は、開いた状態において、前記案内流路を閉止することが望ましい。
この構成であれば、通常の冷却運転において、冷気がトラップ部に流入することで庫内の冷却効率が悪くなることを防ぐことができる。
【0029】
また、除霜運転により庫内温度が上昇しすぎてしまうことを防ぐためには、前記蒸発器温度センサの検出温度が所定の除霜開始温度になった場合に、少なくとも一方の前記蒸発器をさらにプレ冷却した後、前記加熱ヒータをオンすることが好ましい。
【0030】
加熱ヒータをオンする具体的なタイミングとしては、前記プレ冷却によって前記蒸発器温度センサの検出温度が所定の加熱開始温度になった場合に、前記加熱ヒータをオンすることが望ましい。
【0031】
具体的な実施態様としては、前記プレ冷却される蒸発器が、冷凍用蒸発器である構成が挙げられる。
【0032】
ところで、従来の冷蔵庫には、互いに直列に接続された冷凍用蒸発器及び冷蔵用蒸発器と、冷凍用蒸発器を加熱するための第1除霜ヒータと、冷蔵用蒸発器を加熱するための第2除霜ヒータとを備えたものがある。
【0033】
具体的にかかる冷蔵庫は、冷凍用蒸発器が冷蔵用蒸発器よりも上流側に設けられており、各除霜ヒータは各蒸発器の下方に配置されている。そして、各除霜ヒータは、第1除霜ヒータがオンしてから所定時間経過後に第2除霜ヒータがオンするように制御されている。
【0034】
しかしながら、上述した構成では、冷凍用蒸発器が冷蔵用蒸発器の上流側に設けられているので、冷凍用蒸発器の全体を除霜するためには、少なくとも第1除霜ヒータの熱が冷凍用蒸発器の下方から上方に伝わるまでの間オンしている必要があり、その結果、冷凍室の庫内温度が上昇してしまうという問題が生じる。
【0035】
そこで本発明は、上記問題点を解決すべくなされたものであり、従来よりも短い時間で冷凍用蒸発器を除霜できるようにして、冷凍室の温度上昇を抑制することを主たる課題とするものである。
【0036】
すなわち本発明に係る冷蔵庫は、通常冷却運転と除霜運転とに切り替え可能に構成された冷蔵庫において、冷蔵用蒸発器と、前記冷蔵用蒸発器の下流側において前記冷蔵用蒸発器と直列に接続された冷凍用蒸発器と、前記冷蔵用蒸発器を除霜するための第1除霜ヒータと、前記冷凍用蒸発器を除霜するための第2除霜ヒータとを具備し、前記除霜運転時に前記第1除霜ヒータがオンしたあと第1所定時間経過後に前記第2除霜ヒータがオンすることを特徴とするものである。
【0037】
このようなものであれば、冷凍用蒸発器が冷蔵用蒸発器の下流側に設けられており、第1除霜ヒータにより加熱された冷蔵用蒸発器の熱が冷媒を介して下流側の冷凍用蒸発器に伝わるので、第1除霜ヒータがオンしたあと第1所定時間経過後に第2除霜ヒータがオンすることで、従来よりも短い時間で冷凍用蒸発器を除霜することができ、冷凍室の温度上昇を抑制することが可能となる。
【0038】
前記冷蔵用蒸発器に送風する第1ファン及び前記冷凍用蒸発器に送風する第2ファンをさらに具備し、前記除霜運転から前記通常冷却運転に切り替わってから第2所定時間経過するまでの間、前記第1ファンが停止している又は前記通常冷却運転における定常時よりも低風量で運転することが好ましい。
このような構成であれば、除霜運転において加熱された冷蔵用蒸発器の熱が冷蔵室に流れ込むことを抑えることができる。
【0039】
前記除霜運転から前記通常冷却運転に切り替わってから第3所定時間経過するまでの間、前記第2ファンが停止していることが好ましい。
このような構成であれば、除霜運転において加熱された冷凍用蒸発器の熱が冷凍室に流れ込むことを抑えることができる。
【0040】
具体的な実施態様としては、前記冷凍用蒸発器の温度を検出するための温度センサをさらに具備し、前記温度センサにより検出された温度が冷凍室の庫内温度よりも所定温度低くなった時点から、前記第2ファンが運転する構成が挙げられる。
【0041】
前記通常冷却運転から前記除霜運転に切り替わってから前記第2除霜ヒータがオンするまでの間、前記第2ファンが運転していることが好ましい。
このような構成であれば、除霜運転を開始してから第2除霜ヒータが冷凍用蒸発器を加熱し始めるまでの間、冷凍用蒸発器によって冷やされている空気を冷凍室に送り込むことができる。
【0042】
前記除霜運転において前記第1除霜ヒータがオンしている間、前記第1ファンが逆回転し、前記除霜運転において前記第2除霜ヒータがオンしている間、前記第2ファンが逆回転することが好ましい。
このような構成であれば、各除霜ヒータにより加熱されている各蒸発器の熱が冷蔵室や冷凍室に流れ込むことをより確実に抑えることができる。
【発明の効果】
【0043】
本発明によれば、加熱ヒータにより除霜運転を実施する冷蔵庫において、除霜運転時間を短縮しつつ、庫内温度の上昇を抑制することができる。
また、本発明によれば、従来よりも短い時間で冷凍用蒸発器を除霜することでき、冷凍室の温度上昇を抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0045】
<第1実施形態>
以下に本発明の第1実施形態について図面を参照して説明する。
【0046】
第1実施形態の冷蔵庫100は、
図1に示すように、圧縮機2、凝縮器3、冷蔵用蒸発器4及び冷凍用蒸発器5を有する冷凍サイクルを備えている。冷凍用蒸発器5の上流側には、減圧手段である第1のキャピラリーチューブ6が設けられている。また、凝縮器3及び第1のキャピラリーチューブ6の間から分岐した分岐流路に冷蔵用蒸発器4が設けられており、当該分岐点と冷蔵用蒸発器4との間には、減圧手段である第2のキャピラリーチューブ7が設けられている。そして、冷蔵用蒸発器4の下流は、第1のキャピラリーチューブ6と冷凍用蒸発器5との間に合流している。
【0047】
分岐点には、冷蔵用蒸発器4及び冷凍用蒸発器5への冷媒供給状態を切り替える切り替え機構8が設けられている。本実施形態の切り替え機構8は、三方弁からなる切替弁が設けられている。なお、切替弁8は、凝縮器側ポート、冷蔵側ポート及び冷凍側ポートを有する。なお、切替弁8は、制御部Cにより制御される。
【0048】
この切替弁8は、制御部Cにより制御されて、以下の3つの状態に切り替える。
(1)冷蔵用蒸発器4及び冷凍用蒸発器5の両方に冷媒が流れる状態
(2)冷蔵用蒸発器4に冷媒が流れずに、冷凍用蒸発器5のみに冷媒が流れる状態
(3)冷蔵用蒸発器4及び冷凍用蒸発器5の両方に冷媒が流れない状態
【0049】
しかして、本実施形態の冷蔵庫100において、
図2に示すように、一方の蒸発器である冷凍用蒸発器5に、除霜のために複数の加熱ヒータ91、92が設けられている。具体的には、冷凍用蒸発器5に上部加熱ヒータ91と下部加熱ヒータ92とが設けられている。なお、上部加熱ヒータ91及び下部加熱ヒータ92は、制御部Cにより制御される。
【0050】
本実施形態の上部加熱ヒータ91は、冷凍用蒸発器5のフィンFのピッチに合わせて配置されており、具体的には、フィンピッチの疎密とは反対となるように疎密に配置されている。詳細には、冷凍用蒸発器5のフィンピッチは上側が密であり、下側が疎であるため、上部加熱ヒータ91は、上側が疎であり、下側が密となるように、左右に蛇行して配置されている。
【0051】
また、本実施形態の下部加熱ヒータ92は、冷凍用蒸発器5において上部加熱ヒータ91よりも下側に配置されている。具体的に下部加熱ヒータ92は、冷凍用蒸発器5の下面に沿って配置されるとともに、冷凍用蒸発器5の下方に設けられたドレンパンPの底面に沿うように配置されている。
【0052】
また、冷凍用蒸発器5には、当該冷凍用蒸発器5の外面温度を検知するための蒸発器温度センサ10が設けられている。この蒸発器温度センサ10は、冷凍用蒸発器5の冷媒配管に設けられている。なお、蒸発器温度センサ10の検出温度(検出信号)は、前記制御部Cに出力される。
【0053】
次に、この冷蔵庫100の動作について、
図3を参照して説明する。
通常の冷却運転では、冷凍温度帯(冷凍室)を冷却する場合、制御部Cは、冷凍用蒸発器5に冷媒を流すために切替弁8の冷凍側ポートを開状態にし、冷蔵側ポートを閉状態にする。また、冷蔵温度帯(冷蔵室)を冷却する場合、制御部Cは、冷蔵用蒸発器4に冷媒を流すために切替弁8の冷蔵側ポートを開状態にし、冷凍側ポートを閉状態にする。
【0054】
通常の冷却運転から除霜運転に切り替える際に、制御部Cは、切替弁8の少なくとも冷凍側ポートを開状態にする。なお、この際、冷蔵側ポートは開状態でも閉状態でも良いが、圧縮機2の吸入側と吐出側との差圧を無くすためには、冷蔵側ポートは開状態とすることが望ましい。また、この除霜運転への切り替えは、制御部Cが、蒸発器温度センサ10の検出温度Dが所定の除霜開始温度(例えば−10℃)になったと検知した時に行われる。
【0055】
さらに、除霜運転に切り替える際に、制御部Cは、上部加熱ヒータ91及び下部加熱ヒータ92への通電を開始する。具体的に制御部Cは、上部加熱ヒータ91及び下部加熱ヒータ92の出力を最大(100%)にして、冷凍用蒸発器5に付着した霜を融解させる。
【0056】
そして、この除霜運転において、制御部Cは、蒸発器温度センサ10の検出温度Dが第1判定温度T
1(例えば、潜熱変化が終了したと判定できる温度(例えば0.5℃)に到達したことを検知すると、少なくとも切替弁8の冷凍側ポートを閉状態に切り替えて冷凍用蒸発器5に冷媒が流れないようにする。
【0057】
また、制御部Cは、蒸発器温度センサ10の検出温度Dが第1判定温度T
1に到達したことを検知すると、上部加熱ヒータ91及び下部加熱ヒータ92を増減制御(例えばデューティ制御)を開始する。このとき、上部加熱ヒータ91及び下部加熱ヒータ92の増減制御は、蒸発器温度センサ10の検出温度Dに基づいたものであり、互いに独立したものであっても良いし、互いに同期したものであっても良い。
【0058】
その後、制御部Cは、蒸発器温度センサ10の検出温度Dが、第2判定温度T
2(例えば、10℃)に到達したことを検知すると、上部加熱ヒータ91及び下部加熱ヒータ92への通電を停止し、除霜運転を終了する。その後、制御部Cは、再び通常の冷却運転を開始する。
【0059】
このように構成した第1実施形態の冷蔵庫100によれば、冷凍用蒸発器5の除霜運転中において、蒸発器温度センサ10の検出温度Dに基づいて、切替弁8による冷媒供給状態の切り替えが行われるとともに上部加熱ヒータ91及び下部加熱ヒータ92の出力が増減制御されるので、除霜運転時間を短縮しつつ、庫内温度の上昇を抑制することができる。
【0060】
具体的には、第1判定温度T
1未満の場合に、冷凍用蒸発器5に冷媒を流すとともに、上部加熱ヒータ91及び下部加熱ヒータ92の出力を最大としているので、当該冷凍用蒸発器5の除霜運転時間を短縮することができる。
【0061】
また、第1判定温度T
1以上になった場合に、冷凍用蒸発器5に冷媒が流れないようにするとともに、上部加熱ヒータ91及び下部加熱ヒータ92を増減制御しているので、冷凍用蒸発器5の温度のオーバーシュートを抑えて庫内温度の上昇を抑制することができる。
【0062】
<第2実施形態>
次に本発明の第2実施形態について図面を参照して説明する。
第2実施形態の冷蔵庫100は、前記第1実施形態とは、除霜運転の制御内容が異なる。
具体的な制御内容を
図4及び
図5を参照して説明する。
【0063】
通常の冷却運転から除霜運転に切り替える際に、制御部Cは、切替弁8の少なくとも冷凍側ポートを開状態にする。また、制御部Cは、上部加熱ヒータ91及び下部加熱ヒータ92への通電を開始して、その出力を最大(100%)にする。
【0064】
そして、除霜運転において、制御部Cは、蒸発器温度センサ10の検出温度Dが第1判定温度T
1(例えば、潜熱変化が終了したと判定できる温度(例えば0.5℃)に到達したことを検知すると、少なくとも切替弁8の冷凍側ポートを閉状態に切り替えて冷凍用蒸発器5に冷媒が流れないようにする。
【0065】
また、制御部Cは、蒸発器温度センサ10の検出温度が第1判定温度T
1に到達したことを検知すると、上部加熱ヒータ91及び下部加熱ヒータ92の出力を、以下の出力制御関数により減少させる。
【0066】
上部加熱ヒータ91の出力制御関数:100−100×(D−T
1)/(T
2−D)
下部加熱ヒータ92の出力制御関数:100−100×(D−T
1)/(X×T
2−D)
【0067】
ここで、Dは、蒸発器温度センサ10の検出温度である。
T
1は、第1判定温度であり、本実施形態では0.5℃である。
T
2は、第2判定温度であり、本実施形態では10℃である。
Xは、下部加熱ヒータ92の出力を上部加熱ヒータ91の出力よりも大きくするための係数である。なお、X=2とした場合、第2判定温度T
2に到達して除霜運転を終了する直前における下部加熱ヒータ92の出力は50%となる。
【0068】
その後、制御部Cは、蒸発器温度センサ10の検出温度Dが、第2判定温度T
2(例えば、10℃)に到達したことを検知すると、上部加熱ヒータ91及び下部加熱ヒータ92への通電を停止し、除霜運転を終了する。その後、制御部Cは、再び通常の冷却運転を開始する。
【0069】
このように構成した第2実施形態の冷蔵庫100によれば、前記第1実施形態の効果に加えて、除霜運転時に冷凍用蒸発器5の上部から落ちてきた水や氷により、当該冷凍用蒸発器5の下部又はドレンパンが再度着霜してしまうことを防ぐことができる。
【0070】
<第3実施形態>
次に本発明の第3実施形態について図面を参照して説明する。
第3実施形態の冷蔵庫100は、前記第1、第2実施形態とは、除霜運転の制御内容が異なる。
具体的な制御内容を
図6及び
図7を参照して説明する。
【0071】
通常の冷却運転から除霜運転に切り替える際に、制御部Cは、切替弁8の少なくとも冷凍側ポートを開状態にする。また、制御部Cは、上部加熱ヒータ91及び下部加熱ヒータ92への通電を開始して、その出力を最大(100%)にする。
【0072】
そして、除霜運転の開始後から、制御部Cは、蒸発器温度センサ10の検出温度Dを保存する。そして制御部Cは、除霜運転の開始後、検出温度Dの時間変化の傾きが所定値以下となった場合に、少なくとも切替弁8の冷凍側ポートを閉状態に切り替えて冷凍用蒸発器5に冷媒が流れないようにするとともに、上部加熱ヒータ91及び下部加熱ヒータ92の出力を増減制御する。
【0073】
より詳細に制御部Cは、検出温度Dの時間変化の傾きが所定値以下となった後に、当該傾きが所定値よりも大きくなった場合に、潜熱変化が終了したと判断して、少なくとも切替弁8の冷凍側ポートを閉状態に切り替えて冷凍用蒸発器5に冷媒が流れないようにするとともに、上部加熱ヒータ91及び下部加熱ヒータ92の出力を増減制御する。
【0074】
図6には、上部加熱ヒータ91及び下部加熱ヒータ92を同じ出力可変制御で制御した場合を示している。また、除霜運転の開始後、検出温度の時間変化の傾きが所定値以下となった場合とは、検出温度の時間変化において潜熱変化部分を検知することを意味し、例えば検出温度の1分間の時間変化が0.5℃以下の場合である。
【0075】
その後、制御部Cは、蒸発器温度センサ10の検出温度が、第2判定温度T
2(例えば、10℃)に到達したことを検知すると、上部加熱ヒータ91及び下部加熱ヒータ92への通電を停止し、除霜運転を終了する。その後、制御部Cは、再び通常の冷却運転を開始する。
【0076】
このように構成した第3実施形態の冷蔵庫100によれば、前記第1実施形態の効果に加えて、冷凍用蒸発器5に着霜した氷の潜熱変化部分を検知することができ、当該潜熱変化部分までは冷凍用蒸発器5に冷媒を流しているので、当該冷凍用蒸発器5の除霜運転時間を短縮することができる。
また、温度変化により検知しているので、蒸発器温度センサ10の測定誤差による影響を軽減することができる。
さらに、上部加熱ヒータ91及び下部加熱ヒータ92を同じ出力可変制御で制御しているので、制御回路を簡単化できるとともにコストダウンできる。
【0077】
<第4実施形態>
次に本発明の第4実施形態について図面を参照して説明する。
【0078】
第4実施形態の冷蔵庫100は、
図8に示すように、一方の蒸発器である冷凍用蒸発器5の冷気を冷凍用蒸発器5よりも上側に位置する庫内(冷凍室内)へ導入するための通風路11と、通風路11に設けられ、冷気を冷凍室内に送風するファン12と、当該ファン12の上方に設けられ、通風路11を開放又は閉止する開閉機構である開閉ダンパ13とを備えている。なお、通風路11は、冷凍用蒸発器5の収容空間と冷凍室とを連通する流路である。なお、ファン12及び開閉ダンパ13は、制御部Cにより制御される。また、冷蔵庫100は、蒸発器は必ずしも複数設けてある必要はなく、蒸発器を1つのみ備える構成でも良い。
【0079】
そして、この冷蔵庫100では、通風路11においてファン12よりも上に、除霜運転により発生した暖気を滞留させるトラップ部14が設けられている。具体的にトラップ部14は、冷凍用蒸発器5よりも上に設けられたカバー体15に形成されている。
【0080】
カバー体15は、通風路11の一部を形成するものであり、冷凍室の奥面を形成する奥面カバー体である。具体的にカバー体15は、
図9に示すように、上下方向に間欠的に形成され、庫内(冷蔵室内)に冷気を吹き出す複数の吹出し部15xが形成されている。本実施形態の各吹出し部15xは、例えば矩形状をなす1つの開口から形成されている。
【0081】
そして、カバー体15は、複数の吹出し部15xの両側に形成された2つの仕切り部151を有している。この2つの仕切り部151の間の空間が通風路11の一部となる。また、2つの仕切り部151の左右両側に形成された空間が、除霜運転により発生した暖気をトラップするトラップ部14となる。具体的にトラップ部14は、仕切り部151及びカバー体15の外壁部15aとの間に形成されている。
【0082】
さらに、カバー体15により形成された通風路11において、トラップ部14よりも下側に開閉ダンパ13が設けられている。この開閉ダンパ13は、カバー体15に設けられた2つの仕切り部151よりも下側に設けられている。この開閉ダンパ13が開くことによって、カバー体15に形成された通風路11が開放されて、当該通風路11を下方から上方に向かって空気が流れる状態となる。また、開閉ダンパ13が閉じることによって、前記通風路11が閉止されてカバー体15に形成された通風路11に下方からの空気が流れない状態となる。
【0083】
また、開閉ダンパ13が閉じた状態において、冷凍用蒸発器5からの空気をトラップ部14に導く案内流路16が形成されている。具体的に案内流路16は、下端が開閉ダンパ13の左右両側に形成され、上端がトラップ部14に連通している。この案内流路16は、カバー体15に設けられた案内壁部152により形成されている。この案内壁部152の下端部は、開閉ダンパ13と隙間無く接触しており、当該案内壁部152の外側にある外壁部15aとの間で案内流路16の開口部16Hを形成している。ここで、除霜運転時に生じる暖気がトラップ部14に流入しやすくするために、開閉ダンパ13の左右に形成された開口部16Hは、その幅が10mm以上となるように形成されている。
【0084】
案内壁部152の上端部は、仕切り部151及び外壁部15aの間に位置している。これにより、トラップ部14に入口14aと出口14bが形成される。つまり、案内壁部152の外側に位置する空間部分が、案内流路16を通過した空気の入口14aとなり、案内壁部152の内側に位置する空間部分が、トラップ部14を通過した空気の出口14bとなる。この出口14bは通風路11に連通している。ここで、トラップ部14の入口14aから流入した暖気が、上に流れずに出口14bから流出することを防ぐために、案内壁部152をトラップ部14の下端、つまり、仕切り部151の下端から20mm以上上側に位置するように構成されている。また、各トラップ部14の横断面積を通風路11横断面積の1/2以下にしている。
【0085】
このように構成された冷蔵庫100における冷却運転及び除霜運転における空気の流れについて
図10を参照して説明する。
【0086】
通常の冷却運転時においては、開閉ダンパ13は開いた状態である。これにより、冷凍用蒸発器5により冷やされた冷気は、ファン12によって通風路11を通過して、複数の吹出し部15xから冷凍室内に供給される。
【0087】
一方、除霜運転時、つまりヒータ91、92の通電中においては、開閉ダンパ13は閉じた状態である。この状態では、冷凍用蒸発器5に設けられたヒータ91、92により暖められた空気(暖気)が通風路11を通じて開閉ダンパ13まで到達する。このとき、開閉ダンパ13は閉じられているため、暖気は、開閉ダンパ13の左右両側の開口部16Hから案内流路16を通じてトラップ部14に流れる。これにより、除霜運転により生じる暖気はトラップ部14に滞留し、庫内(冷凍室内)に流入しない。
【0088】
また、トラップ部14の入口14aと出口14bとを別々に設けているので、最初に侵入した暖気は周囲の冷たい空気で冷やされた後、下に降りて出口14bから通風路11に流れる。その後に、新しく流入した暖気も、同じメカニズムによってトラップ部14で滞留するとともに冷やされる。
【0089】
この除霜運転の終了後、つまりヒータ91、92の通電オフ後に、制御部Cは開閉ダンパ13を開き、冷凍用蒸発器5からの冷気をトラップ部14を介さずに冷凍室内に送風して、通常の冷却運転に移行する。
【0090】
このように構成した第4実施形態の冷蔵庫100によれば、通風路11においてファン12よりも上に、除霜運転により発生した暖気を滞留させるトラップ部14が設けられているので、除霜運転中に生じる暖気が通風路11を通じて庫内に流入することを抑制することができる。ここで、ファン12及びトラップ部14の間に開閉ダンパ13を設けており、開閉ダンパ13が閉じた状態において暖気をトラップ部14に導く案内流路16が形成されているので、除霜運転中に生じる暖気をトラップ部14に流入し易くするとともに、暖気が通風路11を通じて庫内に流入することをより一層抑制することができる。
【0091】
なお、このトラップ部14に蓄熱材を設けることによって、暖気を冷やすことができ、暖気が通風路11を通じて庫内に流入することをより一層抑制することができる。
【0092】
また、開閉ダンパ13は、開いた状態において、案内流路16を閉止するように構成しても良い。これならば、通常の冷却運転において、冷気がトラップ部14に流入することで庫内の冷却効率が悪くなることを防ぐことができる。
【0093】
なお、前記第4実施形態において、開閉ダンパ13は、冷蔵庫の運転状態に応じて開度が制御されるものであっても良い。具体的に制御部Cとしては、除霜運転では開閉ダンパ13を全閉状態にし、冷却運転における冷凍モード(例えば庫内温度が−18℃)では開閉ダンパ13を全開状態にし、冷却運転における解凍モード(例えば庫内温度が−1℃〜−5℃)では全開状態と全閉状態との間の開度となる半開状態とする構成が挙げられる。
【0094】
<第5実施形態>
次に本発明の第5実施形態について図面を参照して説明する。
【0095】
第5実施形態の冷蔵庫100は、前記第4実施形態の冷蔵庫100の制御方法に関するものである。
【0096】
具体的に制御部Cは、冷凍室内に設けられた庫内温度センサ(不図示)の検出温度及び蒸発器温度センサ10の検出温度によって、開閉ダンパ13及びファン12の運転を制御する。
【0097】
制御部Cは、例えば、除霜運転の終了後において、庫内温度センサの検出温度と蒸発器温度センサ10の検出温度が所定の関係(例えばそれらの差が2度以上)となった場合に、ファン12の運転を再開させる。このとき、制御部は、開閉ダンパ13を、ヒータ91、92の通電終了後から、ファン12の運転再開までの間に開状態となるように制御する。
なお、制御部Cは、庫内温度センサの検出温度と蒸発器温度センサ10の検出温度に関わらず、除霜運転の終了時からの所定時間経過した場合に、ファン12の運転を再開するようにしても良い。
【0098】
以下、各運転(冷却運転、除霜運転等)の制御内容について、
図11を参照して説明する。
【0099】
通常冷却運転においては、制御部Cは、圧縮機2及びファン12の運転を庫内温度センサの検出温度に基づいて制御する。そして、制御部Cは、蒸発器温度センサ10の検出温度が所定の除霜開始温度(例えば−10℃)になったと検知した時に除霜運転を開始する。
【0100】
この除霜運転においては、制御部Cは、圧縮機2及びファン12を停止させる。また、ヒータ91、92への通電を開始するとともに、開閉ダンパ13を開状態にする。その他の制御内容については、前記実施形態と同様である。そして、制御部Cは、蒸発器温度センサ10の検出温度Dが所定の除霜終了温度(例えば、10℃)に到達したことを検知すると、ヒータ91、92への通電を停止し、除霜運転を終了する。
【0101】
除霜運転が終了すると、制御部Cは、圧縮機2を運転させてリカバリー冷却運転を行う。
そして、リカバリー冷却運転において、制御部Cは、庫内温度センサの検出温度と蒸発器温度センサ10の検出温度との差が2度以上となった場合に、ファン12の運転を再開させる。また、リカバリー冷却運転を開始してから、所定時間後に開閉ダンパ13を開状態にする。なお、所定時間は、庫内温度センサの検出温度と蒸発器温度センサ10の検出温度との差が2度以上となるまでの時間に設定する。
このリカバリー冷却運転によりファン12の運転を開始した後に、制御部Cは、通常の冷却運転を行う。
【0102】
このように構成した第5実施形態の冷蔵庫100によれば、除霜運転後において庫内温度センサの検出温度と蒸発器温度センサ10の検出温度との差が2度以上となった場合、つまり、蒸発器5の温度が下がった後にファン12の運転を再開するので、冷蔵室内への暖気の流入を抑制することができる。
また、制御部Cは、除霜運転後においてファン12の運転を再開させる前に開閉ダンパ13を開状態にするので、開閉ダンパ13が冷気により冷やされて氷結が生じて、動作不良となることを防ぐことができる。
【0103】
なお、本発明は前記各実施形態に限られるものではない。
【0104】
例えば前記実施形態では、冷凍用蒸発器5に2つの加熱ヒータを設けた場合について説明したが、3つ以上の加熱ヒータを設けても良い。
【0105】
複数の加熱ヒータは、上下方向に配置する構成の他、左右方向に配置する構成であっても良い。
【0106】
前記各実施形態では、第1判定温度の到達時に切替弁8による冷媒供給状態の切り替えと加熱ヒータの制御切り替えとを同時に行うように構成しているが、切替弁8による冷媒供給状態の切り替えと加熱ヒータの制御切り替えとは同時でなくとも良い。
【0107】
さらに、冷蔵用蒸発器4と冷凍用蒸発器5とを互いに並列接続したものであっても良い。
【0108】
加えて、前記実施形態では、冷蔵用蒸発器及び冷凍用蒸発器の2つの蒸発器を有するものであったが、3つ以上の蒸発器を有するものであっても良い。
【0109】
さらに加えて、前記第4及び第5実施形態においては、冷凍用蒸発器5に設ける加熱ヒータは1つであっても良い。
【0110】
<第6実施形態>
次に本発明の第6実施形態について図面を参照して説明する。
【0111】
第6実施形態の冷蔵庫100は、
図12に示すように、冷蔵用蒸発器4を除霜するための第1除霜ヒータh1と、冷凍用蒸発器5を除霜するための第2除霜ヒータh2と、冷蔵用蒸発器4に送風する第1ファンf1と、冷凍用蒸発器5に送風する第2ファンf2とをさらに具備している。各除霜ヒータh1、h2は、それぞれ対応する蒸発器4、5の下方に設けられている。なお、各除霜ヒータh1、h2や各ファンf1、f2は、制御部Cにより制御される。
【0112】
また、冷凍用蒸発器5には、当該冷凍用蒸発器5の外面温度を検知するための図示しない蒸発器温度センサが設けられている。この蒸発器温度センサは、例えば冷凍用蒸発器5の冷媒配管に設けられており、検出された検出温度(検出信号)は前記制御部Cに出力される。
【0113】
前記制御部Cは、物理的にはCPU、メモリ、A/Dコンバータ等を備えたものであり、機能的には前記メモリの所定領域に格納されたプログラムに従ってCPUや周辺機器が協働することにより、冷蔵庫100の運転を通常冷却運転又は除霜運転に切り替えるものである。
以下、制御部Cの動作について説明する。
【0114】
通常の冷却運転では、冷凍温度帯(冷凍室)を冷却する場合、制御部Cは、冷凍用蒸発器5に冷媒を流すために切替弁8の冷凍側ポートを開状態にし、冷蔵側ポートを閉状態にする。また、冷蔵温度帯(冷蔵室)を冷却する場合、制御部Cは、冷蔵用蒸発器4に冷媒を流すために切替弁8の冷蔵側ポートを開状態にし、冷凍側ポートを閉状態にする。
【0115】
通常の冷却運転から除霜運転に切り替える際に、制御部Cは、切替弁8の少なくとも冷凍側ポートを開状態にする。なお、この際、冷蔵側ポートは開状態でも閉状態でも良いが、圧縮機2の吸入側と吐出側との差圧を無くすためには、冷蔵側ポートは開状態とすることが望ましい。また、この除霜運転への切り替えは、制御部Cが、上述した蒸発器温度センサの検出温度が所定の除霜開始温度(例えば−10℃)になったと検知した時に行われる。
【0116】
そして、本実施形態の制御部Cは、
図13に示すように、除霜運転が開始されると第1除霜ヒータh1をオンしたあと第1所定時間t1経過後に第2除霜ヒータh2をオンするように構成されている。すなわち、制御部Cは、除霜運転が開始されると第1除霜ヒータh1に通電して、その後、第1所定時間t1経過した時点で第2除霜ヒータh2に通電する。なお、除霜運転時において、圧縮機2は稼動していない。
【0117】
上述した第1所定時間t1は、除霜運転が開始された時に冷蔵用蒸発器4内で加熱された冷媒が冷凍用蒸発器5に到達するまでに要する時間よりも長く設定されており、ここでは例えば300秒に設定してある。
【0118】
その後、前記制御部Cは、まず第1除霜ヒータh1をオフして、その後第2除霜ヒータh2をオフする。第1除霜ヒータh1をオフしてから第2除霜ヒータをオフするまでの時間は、第1所定時間t1と同じ長さであっても良いし、異なる長さであっても良い。
【0119】
また、前記制御部Cは、
図13に示すように、除霜運転から通常冷却運転に切り替わってから第2所定時間t2経過するまでの間、第1ファンf1を定常時よりも低風量で運転している。より具体的にこの制御部Cは、第1ファンf1の風量を除霜運転から通常冷却運転に切り替わった時点から徐々に増加させていき、第2所定時間t2経った時点で定常時の風量になるように制御している。
【0120】
一方、前記制御部Cは、除霜運転から通常冷却運転に切り替わってから第3所定時間t3経過するまでの間、第2ファンf2を停止させている。より具体的にこの制御部Cは、上述した蒸発器温度センサの検出温度が冷凍室の庫内温度よりも所定温度(例えば2℃)低くなるまでの間、第2ファンf2を停止させている。
【0121】
さらに、前記制御部Cは、
図13に示すように、通常冷却運転から除霜運転に切り替わってから第2除霜ヒータh2をオンするまでの間、すなわち通常冷却運転から除霜運転に切り替わってから第1所定時間t1、第2ファンf2を運転させている。なお、第2ファンf2を運転させる時間は第1所定時間t1よりも短くても構わない。
【0122】
本実施形態の冷蔵庫100は、除霜運転において第1除霜ヒータh1がオンしている間、第1ファンf1が逆回転し、除霜運転において第2除霜ヒータh2がオンしている間、第2ファンf2が逆回転するように構成されている。すなわち、制御部Cは、除霜運転において、オンしている第1除霜ヒータh1及び/又は第2除霜ヒータh2に対応する第1ファンf1及び/又は第2ファンf2を逆回転させる。なお、ここでいう逆回転とは、各蒸発器4、5の周りの空気を冷蔵室や冷凍室に送り込む際の回転と反対の回転であり、各蒸発器4、5の周囲の空気が冷蔵室や冷凍室に送り込まれないようにした回転である。
【0123】
このように構成された本実施形態の冷蔵庫100によれば、冷凍用蒸発器5が冷蔵用蒸発器4の下流側に設けられているので、第1除霜ヒータh1により加熱された冷蔵用蒸発器4の熱が冷媒を介して下流側の冷凍用蒸発器5に伝わる。これにより、冷媒の熱によって冷凍用蒸発器5を上流側から除霜するとともに、第2除霜ヒータh2によって冷凍用蒸発器5を下流側から除霜することができる。その結果、第1除霜ヒータがオンしたあと第1所定時間t1経過後に第2除霜ヒータがオンすることで、従来よりも短い時間で冷凍用蒸発器5を確実に除霜することができ、冷凍室の温度上昇を抑制することが可能となる。
【0124】
また、除霜運転から通常冷却運転に切り替わってから第2所定時間t2経過するまでの間、第1ファンf1を定常時よりも低風量で運転しているので、除霜運転において加熱された冷蔵用蒸発器4の熱が冷蔵室に流れ込むことを抑えることができる。
【0125】
さらに、蒸発器温度センサの検出温度が冷凍室の庫内温度よりも所定温度低くなるまでの間、第2ファンf2を停止させているので、除霜運転において加熱された冷凍用蒸発器5の熱が冷凍室に流れ込むことを抑えることができる。
【0126】
加えて、通常冷却運転から除霜運転に切り替わってから第1所定時間t1、第2ファンf2を運転させているので、除霜運転を開始してから第2除霜ヒータh2が冷凍用蒸発器5を加熱し始めるまでの間、冷凍用蒸発器5によって冷やされている空気を冷凍室に送り込むことができ、冷却効率の低下を防げる。
【0127】
そのうえ、除霜運転において第1除霜ヒータh1がオンしている間、第1ファンf1が逆回転し、除霜運転において第2除霜ヒータh2がオンしている間、第2ファンf2が逆回転するように構成されているので、各除霜ヒータh1、h2により加熱されている各蒸発器4、5周りの熱が冷蔵室や冷凍室に流れ込むことをより確実に抑えることができる。
【0128】
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
【0129】
例えば、前記実施形態の制御部は、除霜運転から通常冷却運転に切り替わってから第2所定時間経過するまでの間、第1ファンの風量を徐々に増加させるように構成されていたが、除霜運転から通常冷却運転に切り替わってから第2所定時間経過するまでの間、第1ファンを停止させても良い。
【0130】
また、前記実施形態の制御部は、除霜運転において第1除霜ヒータ及び/又は第2除霜ヒータがオンしている間、対応する第1ファン及び/又は第2ファンを逆回転させていたが、第1ファン及び/又は第2ファンを逆回転させずに停止させても良い。
【0131】
さらに、前記実施形態の冷蔵庫は、冷蔵用蒸発器及び冷凍用蒸発器を互いに直列に設けたものであったが、
図14に示すように、冷蔵用蒸発器4及び冷凍用蒸発器5を互いに並列に設けたものであっても良い。
かかる構成において、制御部Cは、除霜運転時に第1除霜ヒータh1をオンしたあと所定時間経過後に第2除霜ヒータh2をオンすることにより、第1除霜ヒータによって加熱された冷蔵用蒸発器4の熱が冷媒を介して冷凍用蒸発器5に伝わるので、第2除霜ヒータh2のオン時間を従来よりも短くすることができ、冷凍室の温度上昇を抑制することが可能となる。
【0132】
そのうえ、制御部は、蒸発器温度センサの検出温度が所定の除霜開始温度(例えば−10℃)になった場合に、冷凍用蒸発器をさらにプレ冷却した後、加熱ヒータをオンするように構成されていても良い。
具体的にこの制御部は、蒸発器温度センサの検出温度が除霜開始温度(例えば−10℃)になった場合に、加熱ヒータをオフにしたまま圧縮機を停止させることなくプレ冷却を開始して、検出温度が所定の加熱開始温度(例えば−12℃)になった場合に、加熱ヒータをオンにする。
このような構成であれば、除霜運転により庫内温度が上昇しすぎてしまうことを防ぐことができる。
なお、除霜開始温度や加熱開始温度は適宜変更して構わないし、冷蔵用蒸発器をプレ冷却するようにしても構わない。
【0133】
以上、図面を参照してこの発明の一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。