【解決手段】第1の検査搬送部1は、表側搬送テーブル10をワークWの供給位置から表側撮影部2を経由して反転部3まで移動させる移動機構部と、ワークWを表側搬送テーブル10上の所定の位置に固定するホルダ17を備える。表側撮影部2は、ワークWの移動経路を挟んで配置された複数組のレーザ照射装置とカメラを備える。反転部3は、ワークWをその移動方向を軸として180°反転させる回動機構を備える。
前記移動経路を挟んで左右に、それぞれ前記移動方向一方側と他方側に配置されたレーザ照射装置とカメラは、ワークの移動経路上に交点を有する四角形の対角線上に設けられる請求項1に記載のワークの外観検査装置。
ワークは、その移動方向に沿って伸びる長尺部材であって、固定されたレーザ照射装置およびカメラが、長尺部材の前面と上面と側面或いは上面と側面と背面の3つの面の少なくとも2面を同時に撮影する角度に配置される請求項1から請求項3のいずれかに記載のワークの外観検査装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このような問題点を解決するために、ワークを搬送装置の定位置に設けられたホルダによって支持しながら撮影して検査を行うことも考えられる。しかし、そのような従来技術においては、ホルダが撮影の邪魔になって正確な画像データが得られない。また、ホルダを避けてワークを反転させねばならず、反転装置の構成が複雑になったり、反転作業に時間がかかる。特に、ワークの一辺が他辺に比べて長い部材である場合には、ワークの長さが邪魔になって、装置内の狭いスペースで迅速にワークを反転することが難しい。
【0008】
特に、従来技術は、1つの搬送装置によってワークを移動しながら表裏の画像データの撮影や、ワークの反転作業を行うため、1つのワークの検査が終わらないと次のワークの検査を行うことができない。その結果、従来技術においては、ワークの外観検査に長時間を有する問題があった。
【0009】
本発明は上記のような従来技術の問題点を解決するために提案されたものである。本発明の目的は、短時間に表裏両面の外観検査を実施できるワークの外観検査装置と外観検査方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、ワークを直線状に搬送し、前記ワークの外観をカメラによって撮像し、ワークの外観を検査するワークの外観検査装置において、次のような構成を有する。
(1)直線状に移動する前記ワークの移動方向に沿って配置された第1の検査用搬送部と、前記ワークの表側を撮像する表側撮影部と、前記ワークを表裏反転させる反転部と、前記ワークの裏側を撮像する裏側撮影部と、第2の検査用搬送部とを備える。
(2)前記第1の検査用搬送部は、表側搬送テーブルと、前記表側搬送デーブルを前記ワークの供給位置から前記表側撮影部を経由して前記反転部まで移動させる移動機構部と、前記ワークを前記表側搬送テーブル上の所定の位置に保持するホルダを備える。
(3)前記表側撮影部は、前記ホルダに固定された前記ワークの移動経路の上方に前記移動経路を挟んで左右に、それぞれ前記移動方向一方側と他方側に配置された複数組のレーザ照射装置とカメラを備える。
(4)前記反転部は、前記ホルダの下方から上方に向けて昇降する押上部材と、前記押上部材の昇降機構と、前記押上部材によって押し上げられたワークを支持する把持機構と、前記把持機構を180°反転させる回動機構とを備える。
(5)前記裏側撮影部は、前記ホルダに固定された前記ワークの移動経路の上方に前記移動経路を挟んで左右に、それぞれ前記移動方向一方側と他方側に配置された複数組のレーザ照射装置とカメラを備える。
(6)前記第2の検査用搬送部は、裏側搬送テーブルと、前記裏側搬送テーブルを前記反転部から前記裏側撮影部を経由して前記ワークの排出位置まで移動させる移動機構部と、前記ワークを裏側搬送テーブル上の所定の位置に保持するホルダを備える。
(7)前記表側撮影部と前記裏側撮像部は、各カメラで撮像された映像情報を用いて、前記ワークの形状の外観良否判定を行う良否判定処理部を備える。
【0011】
本発明の外観検査装置において、以下の構成とすると良い。
(1)前記回動機構は,前記把持機構をワークの移動方向を軸として180°反転させる。
(2)前記移動経路を挟んで左右に、それぞれ前記移動方向一方側と他方側に配置されたレーザ照射装置とカメラは、ワークの移動経路上に交点を有する四角形の対角線上に設けられる。
(3)ワークは、その移動方向に沿って伸びる長尺部材であって、固定されたレーザ照射装置及びカメラが、長尺部材の前面と上面と側面或いは上面と側面と背面の3つの面の少なくとも2面を同時に撮影する角度に配置される。
(4)前記表側搬送テーブルと裏側搬送テーブルに設けられたホルダは、ワークの一端側と他端側を保持し、前記押上部材は前記ワークの中央部を押し上げて前記ワークを前記ホルダ上から持ち上げ、前記把持機構は、前記押上部材が持ち上げたワークの一端側と他端側を保持して、ワークを反転させる。
(5)前記反転部は、互いの間隔が変化する第1の支持部と第2の支持部を備え、第1の支持部には駆動源によって180°回転する駆動側の把持部が設けられ、第2の支持部には自由回転する従動側の把持部が設けられ、駆動側の把持部と従動側の把持部によってワークが保持された状態において、駆動側の把持部の回転に伴ってと従動側の把持部が回転する。
(6)前記良否判定処理部が,前記表側撮像部と前記裏側撮像部とにそれぞれ設けられている。
【0012】
本発明のワークの外観検査方法は、次のような構成を有する。
(1)記請求項1から請求項7のいずれかに記載の外観検査装置を用いたワークの外観検査方法である。
(2)前記表側搬送テーブルと裏側搬送テーブルは交互に反転部の位置に停止する。
(3)前記第1の検査用搬送部と第2の検査用搬送部は、それぞれが搬送するワークの撮影、移動、供給または排出、持ち上げまたは受け取りを、前記第1の検査用搬送部と第2の検査用搬送部によって搬送されるワークが干渉しない状態において、同時並行的に行う。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、短時間に表裏両面の外観検査を実施できるワークの外観検査装置と外観検査方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。本実施形態においては各部を支持する基台や支柱のみを表示し、基台や支柱を支持するフレーム全体については図示しない。また、ワークの供給側を装置の手前側、ワークの排出側を装置の奥側という。右側または左側については、特に言及しない限り、装置の手前側から見て右側または左側をいう。
【0016】
検査対象となるワークは、エンジンのピストンとクランクシャフトを連結するコンロッドである。コンロッドは、ピストンに接続する側のスモールエンド(本実施形態ではワークの一端側)と、クランクシャフトに接続する側のビッグエンド(本実施形態ではワークの他端側)と、両者を接続するロッド部を有する。本実施形態においては、ビッグエンドが検査装置の奥側に向くように、ロッド部をワークの移動方向と平行に配置した状態で、手前側から奥側に移動させることにより外観検査を行う。
【0017】
[1.実施形態の構成]
(1)全体構成…
図1、
図2
本実施形態の外観検査装置は、直線状に移動するワークWの移動方向に沿って配置された第1の検査用搬送部1、表側撮影部2、反転部3、裏側撮影部4、第2の検査用搬送部5及び排出装置6を備える。第1の検査用搬送部1はワークWの表側を検査し、第2の検査用搬送部5はワークWの裏側を検査する。そのため、第1の検査用搬送部1は表側搬送テーブル10を備え、第2の検査用搬送部5は裏側搬送テーブル50を備える。
【0018】
(2)第1の検査用搬送部1…
図3、
図4
図示しないフレーム上には、ワークWの搬送方向に沿って伸びる板状の基台11が設けられる。この基台11は、ワークWの供給位置から排出位置にまで達している。基台11の上面には、基台11の両側の縁に沿って2本のレール12が設けられる。表側搬送テーブル10と裏側搬送テーブル50はこの2本のレール12によって支持されて移動する。
【0019】
ドライブシャフト13は、ワークWの供給位置から反転部3を奥側に超えた位置にまで延長される。ドライブシャフト13の手前側の端部にはドライブシャフト13を回転させるためのモータ14が接続される。ドライブシャフト13の外周面には雄ねじが形成され、表側搬送テーブル10の下面に設けられた雌ネジ部15に挿通される。ドライブシャフト13は、モータ14によって正逆両方向に回転する。ドライブシャフト13の正転或いは逆転に伴い、表側搬送テーブル10は往復動する。
【0020】
表側搬送テーブル10はワークWの搬送方向と平行な二つの辺を有する四角形の部材である。表側搬送テーブル10の下面には、2本のレール12の位置に合わせてスライダ16が設けられる。スライダ16は2本のレール12によって支持され、このスライダ16がレール12上をスライドすることにより、表側搬送テーブル10はワークWの供給位置から反転位置まで移動する。
【0021】
搬送テーブルの上面にはホルダ17が設けられる。ホルダ17は表側搬送テーブル10の右側の表面に固定された台17aと、この台17aの上に固定された手前側の支持部17bと奥側の支持部17cを有する。手前側の支持部17bには、手前側に向かって半円状に凹んだ位置決め凹部17dが設けられる。この位置決め凹部17dにワークWの一端側がはめ込まれる。奥側の支持部17cには、ワークWであるコンロッドのビッグエンド(ワークの他端側)の内側に嵌り込むほぼ円形の位置決め突起17eが設けられる。
【0022】
裏側搬送テーブル50は、表側搬送テーブル10と同一の構成を有し、2本のレール12に支持された状態でワークWの反転位置から排出位置までの間を往復動する。そのため、裏側搬送テーブル50のドライブシャフト13は、反転部3よりもワークWの供給位置側にまで延長される。裏側搬送テーブル50のドライブシャフト13はその奥側に設けられたモータ14によって正逆両方向に回転する。ドライブシャフト13の正転或いは逆転に伴い、裏側搬送テーブル50は反転部3から排出装置6の間を往復動する。
【0023】
(3)表側撮影部2…
図5〜
図8
表側撮影部2は、図示しないフレームに指示された支柱21を備える。支柱21は、ワークWの移動経路を避けて、基台11の右側に固定される。支柱21の上端には、ワークWの移動経路上に向かって水平に伸びるブラケット22が設けられる。ブラケット22の下面には、4本のアーム23が設けられる。4本のアーム23は、その平面からみて、移動するワークWの中心軸とブラケット22の左右方向の中心軸の交点を中心とする四角形の対角線上に設けられる。4本のアーム23の上部はブラケット22に固定され、対角線の交点から斜め下方に向かって伸びる。
【0024】
各アームの下面、すなわちワークWの搬送方向に向かって傾斜した状態で向き合っている面には、レーザ照射装置24とカメラ25が固定される。レーザ照射装置24は、移動するワークWに対して斜め上方から所定の長さの細い幅のレーザ光を照射するものである。照射するレーザ光の幅は、ホルダ17に支持されるワークWの左右の幅及びホルダ17上に突出しているワークWの高さを十分にカバーする寸法である。カメラ25は、レーザ照射装置24の下方に設けられ、ワークWに照射された細い幅のレーザの反射光を撮影し、撮影された反射光の屈曲形状から、撮影したワークWの外観形状を検出する。
【0025】
各カメラ25のそれぞれは、各カメラ25で撮像された映像情報を用いて、前記ワークWの形状の外観良否判定を行う良否判定処理部に接続されている。この良否判定処理部は、
図17に示すように、撮影データからワークWの外観形状を検出する演算部26と、あらかじめ記憶された各カメラ位置における正常なワークWの外観形状を保存した記憶部27と、演算部26で検出した検査対象のワークWの外観形状と記憶部27によって記憶された正常なワークWの外観形状を比較して、検査対象のワークWの適否を判定する判定部28を備える。
【0026】
(4)反転部3…
図9〜
図12
反転部3は、表側撮影部2の後段に設けられる。すなわち、表側撮影部2の後段におけるワークWの移動経路の上方には、図示しないフレームによって支持された4本のブラケット31が設けられ、このブラケット31の下端に四角い支持枠32が固定される。支持枠32の下面には、ワークWの移動方向に沿って伸びる2本のレール33が固定される。2本のレール33の手前側、すなわちワークWの供給側には、ワークWの一端側を支持する第1の支持部34がレール33に沿って移動可能に吊り下げられる。
【0027】
2本のレール33の奥側、すなわちワークWの排出側には、ワークWの他端側を支持する第2の支持部35がレール33に沿って移動可能に吊り下げられる。第1の支持部34と第2の支持部35の上面にはそれぞれスライダ36が設けられ、これらのスライダ36がレール33に嵌り込むことで、第1の支持部34と第2の支持部35は両者の間隔が変化する方向で、レール33に沿って移動する。
【0028】
第1の支持部34の下面には、従動側の軸受34aが設けられる。従動側の軸受34aは、移動するワークWの長手方向の中心軸と平行な回転中心を有する。従動側の軸受34aには、反転機構がワークWを捕まえた場合に、ワークWの長手方向の中心軸と同軸となる把持部34bが回転可能に支持される。従動側の把持部34bは奥側が開口した箱状の部材であって、この開口部がワークWの一端側が挿入される挿入部である。把持部34bの回転軸の手前側の端部は、軸受34aの手前側に突出しており、その突出部分に把持部34bの回転角度を検出する円盤34cが固定される。
【0029】
第2の支持部35の下面には、第1の支持部34の軸受と同軸に、駆動側の軸受35aが設けられる。駆動側の軸受35aには、従動側の軸受34aに設けられた把持部34bと対向して、駆動側の把持部35bが回転可能に支持される。駆動側の把持部35bは、手前側が開口した箱状の部材であって、開口部分がワークWの他端側が挿入される挿入部である。把持部35bの回転軸の奥側の端部は、駆動側の軸受35aよりも奥側に突出し、その突出部分に歯車35cが固定される。
【0030】
駆動側の軸受35aの左側(
図6では右側)には、把持機構を反転させる回転機構が設けられる。すなわち、第2の支持部35の下面に、回転機構用の軸受35dが設けられ、この軸受35dにワークWの搬送方向に伸びる回転軸が支持される。回転軸の手前側の端部は軸受よりも手前側に突出し、その突出部分に駆動用のモータ35eの出力軸が連結される。駆動用のモータ35eは第2の支持部35の下面に固定される。回転軸の奥側の端部は軸受35dよりも奥側に突出し、その突出部分に歯車35fが固定される。このモータ側の歯車35fと把持部の歯車35cの間に、タイミングベルト35gが掛け渡される。
【0031】
支持枠32の上面左側には、手前側と奥側の2つのシリンダ37,38が設けられる。手前側のシリンダ37は第1の支持部34をワークWの搬送方向に沿って移動させるもので、シリンダロッドの先端が、第1の支持部34における支持枠32の上面に突出した部分に固定される。奥側のシリンダ38は第2の支持部35をワークWの搬送方向に沿って移動させるもので、シリンダロッドの先端が、第2の支持部35における支持枠32の上方に突出した部分に固定される。
【0032】
把持機構の方には、反転位置にまで搬送されたワークWをホルダ上から持ち上げる押上機構が配置される。押上機構は、図示しないフレームに固定された支持部材71と、この支持部材71の水平部分に所定の間隔を保って設けられた一対の筒状ガイド72と、筒状ガイド72に沿って昇降する一対のガイド棒73を備える。一対のガイド棒73の下端は連結板74によって互いに固定される。
【0033】
一対のガイド棒73の上端には押上板75が固定され、この押上板75の上面に、ワークWの中央部分の左右を保持する4個の位置決め突起76が設けられる。4個の位置決め突起76のワークWの移動方向の外寸は、搬送用ホルダ17に設けられた手前側の支持部17bと奥側の支持部17cとのワークWの移動方向の間隔よりも狭く、搬送用ホルダ17の手前側の支持部17bと奥側の支持部17cの間を通って、押上板75が搬送用ホルダ17の下面と上面との間を昇降可能である。
【0034】
支持部材71の水平部分における一対の筒状ガイド72の間には、昇降シリンダ77が固定される。昇降シリンダ77のシリンダロッドの先端は、押上板75の下面中央に固定される。シリンダロットの先端の下降側の停止位置は、押上板75の上面に設けた位置決め突起76が表側搬送テーブル10の移動を妨げない高さであり、上昇側の停止位置は、反転機構の把持部に設けた挿入部にワークWの手前側と奥側の端部が挿入可能な高さである。
【0035】
(5)裏側撮影部4
反転部3の後段には裏側撮影部4が設けられる。裏側撮影部4の構成は、表側撮影部2と同一の構成である。
【0036】
(6)排出装置6…
図13〜
図16
裏側撮影部4の後段には、排出装置6が設けられる。排出装置6は、反転部3に設けられるのと同様な構成を有する押上機構と、その上方に設けられた吊り下げ移動機構を有する。押上機構の構成は、反転部3の押上機構と同様であるので説明は省略する。
【0037】
吊り下げ移動機構は、図示しないフレームに対して、ワークWの移動方向と直交する方向、すなわち検査装置の左右方向に設けられた1本の固定レール61を備える。固定レール61には、固定レール61に対して直交する方向に2本の移動レール62,63が支持される。2本の移動レール62,63は固定レール61に対して独立して移動可能に支持される。固定レール61には、2本の移動レール62,63を固定レール61に沿って移動させるための機構が設けられる。本実施形態において、この移動機構は図示しないシリンダであるが、リニア型の電動アクチュエータなども使用することができる。
【0038】
第1の移動レール62は、不合格品と判定されたワークWを取り出すもので、第2の移動レール63は合格品として判定されたワークWを取り出す。各移動レール62,63には、下方に向かって垂直に伸びるアーム64が、各移動レール62,63の長さ方向に沿って移動可能に設けられる。各アーム64には、各アーム64を移動させるための機構が設けられる。本実施形態において、この移動機構は図示しないシリンダであるが、リニア型の電動アクチュエータなどを使用することができる。
【0039】
各アーム64の下端には、排出位置に停止したワークWを上方から掴んで持ち上げる把持部65が設けられる。すなわち、各アーム64の下端には水平に支持板65aが設けられ、この支持板65aの下面に左右に伸びるレール65bが固定される。レール65bには左右一対の移動ブロック65cが吊り下げられ、各移動ブロック65cの対向する面にはワークWを左右から挟むための凹部65dが形成される。支持板65aの下面には、各移動ブロック65cをレール65bに沿って移動させるためのシリンダ65eが固定され、そのシリンダロッドの先端が各移動ブロック65cに連結される。
【0040】
不合格品の取出位置には、第1の移動レール62の把持部65によって搬送されたワークWを回収するための、図示しないシュートが設けられる。合格品の取出位置には、第2の移動レール63の把持部65によって搬送されたワークWを、一時的に溜めておくホルダ66が複数設けられる。
【0041】
[2.実施形態の作用]
上記のような構成を有する本実施形態の外観検査装置によってワークWの外観を検査するには、次のように行う。
【0042】
(1)ワークWの供給
表側搬送テーブル10のホルダ17にワークWをセットする場合には、表側搬送テーブル10を外観検査装置の一番手前側にある供給位置にまで移動させる。表側搬送テーブル10の移動は、モータ14によってドライブシャフト13を回転させ、ドライブシャフト13の外周の雄ねじを雌ねじ部15の内部で回転させることにより行う。表側搬送テーブル10が供給位置に停止した状態において、そのホルダ17の上部にワークWをセットする。ワークWのセットは、ワークWのロッド部の長手方向がその移動方向と一致するように、コンロッドのスモールエンドを半円状の位置決め凹部17dに嵌め込み、ビッグエンドの内側にほぼ円形の位置決め突起17eを嵌め込む。
【0043】
(2)表側の検査
搬送ホルダ17上にワークWがセットされた後は、モータ14によりドライブシャフト13を駆動して、表側搬送テーブル10を検査装置の奥側に移動させる。表側搬送テーブル10の移動に伴い、ホルダ17上のワークWは表側撮影部2の下方を通過する。表側撮影部2には、対角線上に4組のレーザ照射装置24とカメラ25が設けられるため、ワークWはその前後左右の4つの斜め方向からレーザ照射を受ける。その結果、いずれかの組のレーザ照射装置24とカメラ25において死角があっても、他の組のレーザ照射装置24とカメラ25によってその死角部分も撮影されることになり、ワークWの全周囲を検査することができる。
【0044】
4個のカメラ25によって撮影されたワークWの斜め4方向の画像データは、それぞれのカメラ25に接続された演算部26に出力される。演算部26においては、各カメラ25の画像データを別々に処理し、判定部28に出力する。判定部28では、演算部26から得られた検査対象の画像データを、あらかじめ記憶部27に保存されていた合格品の画像データと比較し、あらかじめ定めた一定の基準に基づいて検査対象のワークWの合否を判定する。
【0045】
(3)ワークWの反転
供給位置から移動を開始した表側搬送テーブル10は、ワークWが表側撮影部2を通過した後、反転位置に達すると停止する。ワークWが反転位置に停止すると、押上機構の昇降シリンダ77が作動し、そのシリンダロッドの先端に固定される押上板75が基台11下方の待機位置から上昇を開始する。押上板75は搬送用ホルダ17の手前側の支持部17bと奥側の支持部17cの間を通過する際に、押上板75の表面に設けられる4個の位置決め突起76がワークWのロッド部を挟んで、搬送用ホルダ17上からワークWを持ち上げる。
【0046】
押上板75がさらに上昇し、反転機構の把持部34b,35bの高さに達すると、2つのシリンダ37,38によって、第1の支持部34と第2の支持部35が、両者の間隔が狭まる方向に移動される。その結果、押上板75に支持されるワークWの手前側のスモールエンドに、第1の支持部34に設けられた従動側の把持部34bが被さるように嵌り込むと共に、ワークWの奥側のビッグエンドに第2の支持部35に設けられた駆動側の把持部35bが被さるように嵌り込む。ワークWが2つの把持部34b,35dによって両側から保持された後は、昇降シリンダ77を下降側に駆動することにより、押上板75を基台11下方の待機位置まで下降させる。
【0047】
この場合、両方の把持部34b,35dの角度が水平でないと、押上板75上のワークWの両端が把持部34b,35dの挿入部内に入り込むことができない。そのため、本実施形態では、駆動側の把持部35bについては、回転用のモータ35eを制御することで水平を確保し、従動側の把持部34bについては、その回転軸に固定した円盤34cの角度を図示しないスイッチによって検出することで水平を確保する。
【0048】
押上板75が下降すると、表側搬送テーブル10はワークWの供給位置に向かって戻る。表側搬送テーブル10がワークWの反転位置を離れると、裏側搬送テーブル50がワークWの反転位置に進入し、そこで停止する。この間に、反転部3においては、従動側の把持部34bと駆動側の把持部35bがワークWを挟んだままの状態で、両者の回転軸を中心として180°回転する。すなわち、第2の支持部35に固定されたモータ35eの回転力が歯車35f、タイミングベルト35g及び歯車35cの順に伝達されることにより、歯車35cに固定された駆動側の把持部35bが回転する。従動側の把持部34bは、軸受34aに対して自由に回転自在に支持されるため、駆動側の把持部35bの回転に伴い、ワークWと共に回転する。
【0049】
ワークWが反転した後は、裏側搬送テーブル50の搬送用ホルダ17の内側を通って再び押上板75が反転部3の位置にまで上昇し、押上板75に設けられた4個の位置決め突起76によってワークWのロッド部を挟む。その状態で、2つのシリンダによって第1の支持部34と第2の支持部35の間隔を広げることによって、ワークWの両端から把持部34b,35bを引き離す。ワークWが把持部34b,35bから自由になった後は、押上板75を降下させて、押上板75上のワークWを裏側搬送テーブル50のホルダ17上に移し替える。
【0050】
(4)裏側の検査
ホルダ17上にワークWを支持した裏側搬送テーブル50は、ドライブシャフト13に駆動された状態で外観検査装置の奥側に移動する。その移動の途中において、ワークWは裏側撮影部4の下方を通過し、前記した表側撮影部2と同様に、レーザ光の照射と、その反射光のカメラによる撮影を受ける。その結果、ワークWの裏側についても、斜め上方の4方向から見た画像データが取得され、その画像データを記憶部27に格納される基準データと比較することにより、ワークWの裏側についての合否判定が行われる。この裏側の検査は,裏側撮影部4と表側撮影部2がそれぞれ独立して設けられているため、裏側検査時に表側検査を独立して同時に行える。
【0051】
(5)ワークの排出
裏側撮影部4を通過したワークWは、裏側搬送テーブル50によって排出位置に送られる。排出位置に裏側搬送テーブル50が停止すると、排出位置の下方に設けられた押上機構が作動し、前記反転部の押上機構と同様にして、裏側搬送テーブル50の搬送用ホルダ17からワークWを持ち上げる。
【0052】
ワークWが不合格品である場合には、第1の移動レール62が固定レール61に沿ってワークWの上方に移動し、第1の移動レール62の下端に設けられた把持部65により、押上板75上のワークWを掴む。すなわち、押上板75が把持部65の移動ブロック65cの間にまでワークWの持ち上げると、シリンダ67によって移動ブロック65cの間隔が狭くなり、ワークWのロッド部を左右から挟み込んで保持する。
【0053】
ワークWが第1の移動レール62に保持された後は、押上板75は基台11の下方の待機位置にまで下降する。押上板75が下降すると、押上板75と搬送用ホルダ17が干渉しなくなるので、裏側搬送テーブル50は次のワークWを受け取るために反転部の位置にまで戻る。
【0054】
同時に第1の移動レール62は基台11の右側に設けられた図示しないシュートに向かって移動し、シュートに達した状態で把持部65の移動ブロック65cを開くことで、移動ブロック65cで掴んでいるワークWをシュート内に排出する。この場合、シュートの位置に合わせて移動レール62は固定レール61に沿って外観検査装置の左右の幅方向に移動すると共に、移動レール62に設けられた垂直なアーム64が移動レール62に沿って装置の手前から奥に移動することにより、裏側搬送テーブル50のホルダ17に支持されたワークWを前後左右いずれの方向にも移動させることができる。
【0055】
ワークWが合格品である場合には、第2の移動レール63によって、裏側搬送テーブル50のホルダ17に支持されたワークWを、不合格品のシュートとは基台11の反対側に設けられたホルダ66に移動させる。この第2の移動レール63によるワークWの移動は、第1の移動レール62と同様な動作である。
【0056】
[3.実施形態の効果]
本実施形態の外観検査装置は、次のような効果を有する。
【0057】
(1)第1の検査用搬送部1と、ワークWの表側を撮像する表側撮影部2と、ワークWの裏側を撮像する裏側撮影部4と、第2の検査用搬送部5とを独立して備えているので、第2の検査用搬送部5によってワークWの裏側の検査をしている間に、第1の検査用搬送部1によって次のワークWの検査を行うことができる。その結果、ワークWの検査待ちの時間をなくし、検査速度も向上させることができる。
【0058】
(2)本実施形態の外観検査装置は、ワークWが常に一定の経路を通って移動するため、4つのカメラ25が常にワークWの同じ部分の撮影することになる。そのため、ワークWの全体形状のカメラ25によって把握する必要がなく、カメラ25ごとに用意された専用の基準データと検査データと比較して、ワークWの合否を判定することができる。その結果、複数の画像データを合成する処理が不要となると共に、比較する画像データが個々のカメラ25ごとの少ない量で済むので、ワークWがコンロッドのように凹凸が多い複雑な形状であっても、その合否を迅速に判定することができる。また、表側撮影部と裏側撮影部とにそれぞれ良否判定処理部を備えることで、表側の判定と裏側の判定を分離して行っているため、判定作業時間を早めることが可能である。
【0059】
(3)ワークWの移動経路の斜め上方に、ワークWに対して対角線上になるように4組のレーザ照射装置24とカメラ25を配置したため、ワークWがその移動方向に沿った長尺部材であっても、レーザ照射装置24やカメラ25の位置を固定したまま、長尺部材の前面と上面と側面或いは上面と側面と背面の3つの面を、1台のカメラ25で切れ目なく撮影することができる。そのため、比較的大型な長尺部材であっても、簡単な構成でしかも小型化された装置により外観の検査が可能である。
【0060】
(4)ワークWの供給位置、表側撮影部2、反転部3、裏側表側撮影装置4及び排出装置6のすべてをワークWの移動方向に沿って直線状に配置したため、装置の左右の幅が少なくて済み、装置全体を小型化することができる。
【0061】
(5)反転部3がワークWの長手方向の手前側と奥側とを掴んで、ワークWの長手方向及び移動方向軸として180°回転させている。そのため、ワークWの反転に要するスペースが幅の狭い小さな面積で済むので、装置を小型化することができる。
【0062】
(6)搬送用のホルダ17がワークWの両端を保持するものであり、押上板75がワークWの中央部を持ち上げるものであるため、押上板75がホルダ17の上方にワークWを持ち上げる場合に、押上板75とホルダ17が干渉することがない。また押上板75がワークWの中央部を持ち上げるため、反転部3によって手前側と奥側を掴んでワークWを簡単に反転させることもできる。このように搬送用のホルダ17、押上装置75及び反転部3の構成を工夫することで、簡単な構成でしかもワークWを確実に取り扱うことが可能になる。
【0063】
(7)本実施形態は、ワークWとして、両端にリングを有するコンロッド使用し、表側搬送テーブル10や裏側搬送テーブル5のホルダ17として、リングの内側に嵌り込む位置決め突起17eを使用したため、ワークWの位置決め突起17eがカメラ25による撮影の妨げとならず、ワークWの外観を精度よく検査することができる。また、ワークWのスモールエンドを嵌め込む位置決め凹部17dもワークWの高さの2分の1以下とすることで、位置決め凹部17dに隠れた部分もワークWを反転することで裏側撮影部4によって外観検査を行うことができる。
【0064】
(8)反転部3と排出装置6とで、同一構成の押上機構を使用することにより、部品の共通化によるコストダウンを図ることができる。
【0065】
[4.他の実施形態]
本発明は、以上の実施形態に限定されるものではない。以上の実施形態は例として提示したもので、その他の様々な形態で実施されることが可能である。発明の範囲を逸脱しない範囲で、種々の省略や置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲、要旨、その均等の範囲に含まれる。以下、その一例を示す。
【0066】
(1)表側搬送テーブル10や裏側搬送テーブル5の駆動機構、その他図示の実施形態において使用される各部の駆動機構としては、ドライブシャフト13に限定されるものではなく、油圧或いは空気シリンダ、電動モータを駆動源とするラックピニオンやリニア型の電動アクチュエータなどを使用することができる。
【0067】
(2)複数のレーザ照射装置24とカメラ25は必ずしも四角形の対角線上に配置しなくても良い。例えば、ワークWの移動経路の右側と左側の2組のレーザ照射装置24とカメラ25を、移動経路の長手方向に沿ってずらした位置に設置することもできる。また、各カメラ25の斜め方向の角度は45度に限るものではなく、ワークWの高さや幅に合わせて、適宜変更することができる。好ましくは、ワークWの移動方向と直交する断面形状の対角線の延長上に配置すると良い。レーザ照射装置24とカメラ25も少なくとも4組あればよく、判定精度を向上するために移動するワークの真上などにさらに多くの組数設けることも可能である。
【0068】
(3)反転部3の把持部34b,35bとして、開口部を有する箱型部材を使用したが、ワークWを上下または左右から挟んで反転させるものも使用できる。また、一方の把持部35bを駆動側とし、他方の把持部34bを従動側としたが、両方の把持部をシリンダやモータによって同期して回転させても良い。