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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-191161(P2017-191161A)
(43)【公開日】2017年10月19日
(54)【発明の名称】液晶表示画面保護シート
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1335 20060101AFI20170922BHJP
   G02F 1/1333 20060101ALI20170922BHJP
   B32B 17/06 20060101ALI20170922BHJP
   B32B 18/00 20060101ALI20170922BHJP
   G02B 5/08 20060101ALI20170922BHJP
【FI】
   G02F1/1335 520
   G02F1/1333
   B32B17/06
   B32B18/00 Z
   G02B5/08 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-79409(P2016-79409)
(22)【出願日】2016年4月12日
(71)【出願人】
【識別番号】504250820
【氏名又は名称】株式会社吉城光科学
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 俊夫
(72)【発明者】
【氏名】吉田 尚正
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 徳男
(72)【発明者】
【氏名】大槻 義雄
【テーマコード(参考)】
2H042
2H189
2H291
4F100
【Fターム(参考)】
2H042DA08
2H042DA12
2H042DA21
2H042DC02
2H042DE00
2H189HA02
2H189HA03
2H189LA02
2H189LA19
2H291FA33X
2H291FA94X
2H291FC03
2H291FD35
2H291GA22
2H291GA23
2H291LA02
4F100AA20D
4F100AA21C
4F100AA27E
4F100AD11B
4F100AG00A
4F100BA03
4F100BA05
4F100GB41
4F100JK09
4F100JK10
4F100JN06C
(57)【要約】
【課題】液晶表示画面に貼付されたときに、鏡面として優れた性能を得ることができる液晶表示画面保護シートを提供する。
【解決手段】液晶表示画面保護シート1は、基体3と、基体3の液晶表示画面2と反対側の表面に形成された保護被覆層4と、基体3の液晶表示画面2側の表面に形成された反射被覆層5とを備える。反射被覆層5は、50〜70nmのTi膜6aと、85〜105nmのSiO膜7と、130〜150nmのZrO膜6bとからなる。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶表示画面の表面に貼付される液晶表示画面保護シートであって、
化学強化ガラスからなる基体と、該基体の該液晶表示画面と反対側の表面に形成されたダイアモンドライクドカーボンからなる保護被覆層と、該基体の該液晶表示画面側の表面に形成され入射光を反射する反射被覆層とを備え、
該反射被覆層は、該基体上に形成され50〜70nmの範囲の厚さを備えるTi膜と、該Ti膜上に形成され85〜105nmの範囲の厚さを備えるSiO膜と、該SiO膜上に形成され130〜150nmの範囲の厚さを備えるZrO膜とからなることを特徴とする液晶表示画面保護シート。
【請求項2】
液晶表示画面の表面に貼付される液晶表示画面保護シートであって、
化学強化ガラスからなる基体と、該基体の該液晶表示画面と反対側の表面に形成されたダイアモンドライクドカーボンからなる保護被覆層と、該基体の該液晶表示画面側の表面に形成され入射光を反射する反射被覆層とを備え、
該反射被覆層は、該基体上に形成され130〜150nmの範囲の厚さを備える第1のZrO膜と、該第1のZrO膜上に形成され85〜105nmの範囲の厚さを備える第1のSiO膜と、該第1のSiO膜上に形成され50〜70nmの範囲の厚さを備えるTi膜と、該Ti膜上に形成され105〜125nmの範囲の厚さを備える第2のSiO膜と、該第2のSiO膜上に形成され1〜15nmの範囲の厚さを備える第2のZrO膜とからなることを特徴とする液晶表示画面保護シート。
【請求項3】
液晶表示画面の表面に貼付される液晶表示画面保護シートであって、
化学強化ガラスからなる基体と、該基体の該液晶表示画面と反対側の表面に形成されたダイアモンドライクドカーボンからなる保護被覆層と、該基体の該液晶表示画面側の表面に形成され入射光を反射する反射被覆層とを備え、
該反射被覆層は、該基体上に形成され60〜80nmの範囲の厚さを備える第1のZrO膜と、該第1のZrO膜上に形成され85〜105nmの範囲の厚さを備える第1のSiO膜と、該第1のSiO膜上に形成され50〜70nmの範囲の厚さを備えるTi膜と、該Ti膜上に形成され85〜105nmの範囲の厚さを備える第2のSiO膜と、該第2のSiO膜上に形成され130〜150nmの範囲の厚さを備える第2のZrO膜とからなることを特徴とする液晶表示画面保護シート。
【請求項4】
液晶表示画面の表面に貼付される液晶表示画面保護シートであって、
化学強化ガラスからなる基体と、該基体の該液晶表示画面と反対側の表面に形成されたダイアモンドライクドカーボンからなる保護被覆層と、該基体の該液晶表示画面側の表面に形成され入射光を反射する反射被覆層とを備え、
該反射被覆層は、該基体上に形成され60〜80nmの範囲の厚さを備える第1のZrO膜と、該第1のZrO膜上に形成され85〜105nmの範囲の厚さを備えるSiO膜と、該SiO膜上に形成され130〜150nmの範囲の厚さを備える第2のZrO膜とからなることを特徴とする液晶表示画面保護シート。
【請求項5】
液晶表示画面の表面に貼付される液晶表示画面保護シートであって、
化学強化ガラスからなる基体と、該基体の該液晶表示画面と反対側の表面に形成されたダイアモンドライクドカーボンからなる保護被覆層と、該基体の該液晶表示画面側の表面に形成され入射光を反射する反射被覆層とを備え、
該反射被覆層は、該基体上に形成され120〜140nmの範囲の厚さを備える第1のZrO膜と、該第1のZrO膜上に形成され75〜95nmの範囲の厚さを備える第1のSiO膜と、該第1のSiO膜上に形成され55〜75nmの範囲の厚さを備える第2のZrO膜と、該第2のZrO膜上に形成され75〜95nmの範囲の厚さを備える第2のSiO膜と、該第2のSiO膜上に形成され55〜75nmの範囲の厚さを備える第3のZrO膜とからなることを特徴とする液晶表示画面保護シート。
【請求項6】
液晶表示画面の表面に貼付される液晶表示画面保護シートであって、
化学強化ガラスからなる基体と、該基体の該液晶表示画面と反対側の表面に形成されたダイアモンドライクドカーボンからなる保護被覆層と、該基体の該液晶表示画面側の表面に形成され入射光を反射する反射被覆層とを備え、
該反射被覆層は、該基体上に形成され60〜80nmの範囲の厚さを備える第1のZrO膜と、該第1のZrO膜上に形成され85〜105nmの範囲の厚さを備える第1のSiO膜と、該第1のSiO膜上に形成され60〜80nmの範囲の厚さを備える第2のZrO膜と、該第2のZrO膜上に形成され85〜105nmの範囲の厚さを備える第2のSiO膜と、該第2のSiO膜上に形成され130〜150nmの範囲の厚さを備える第3のZrO膜とからなることを特徴とする液晶表示画面保護シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示画面保護シートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ等の液晶表示画面を擦過による傷つきや、衝撃による破損等から保護する液晶表示画面保護シートが知られている。
【0003】
前記液晶表示画面保護シートは、例えば、化学強化ガラスを基体とするものであり、前記液晶表示画面に貼付されて用いられる。このとき、前記基体自体に防汚性、耐擦性、耐傷性等を付与するために、前記液晶表示画面と反対側の表面にダイアモンドライクドカーボン(以下、DLCと略記することがある)層を設けることが考えられる。
【0004】
一方、スマートフォンの場合、利便性、ファッション性のための付加価値としてバックライトを消灯したときに、前記液晶表示画面に添付された前記液晶表示画面保護シートを鏡面として使用することが望まれている。そこで、前記基体の前記液晶表示画面側の表面に鏡面層を備える液晶表示画面保護シートが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012−153038号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記従来の液晶表示画面保護シートでは、鏡面としての性能が十分に得られないという不都合がある。
【0007】
本発明は、かかる不都合を解消して、液晶表示画面に貼付されたときに、鏡面として優れた性能を得ることができる液晶表示画面保護シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる目的を達成するために、本発明は、液晶表示画面の表面に貼付される液晶表示画面保護シートであって、化学強化ガラスからなる基体と、該基体の該液晶表示画面と反対側の表面に形成されたダイアモンドライクドカーボンからなる保護被覆層と、該基体の該液晶表示画面側の表面に形成され入射光を反射する反射被覆層とを備える。
【0009】
ここで、本発明の第1の態様の液晶表示画面保護シートは、前記反射被覆層が、前記基体上に形成され50〜70nmの範囲の厚さを備えるTi膜と、該Ti膜上に形成され85〜105nmの範囲の厚さを備えるSiO膜と、該SiO膜上に形成され130〜150nmの範囲の厚さを備えるZrO膜とからなることを特徴とする。
【0010】
本発明の第1の態様の液晶表示画面保護シートによれば、前記構成を備えることにより前記反射被覆層の反射率を15〜25%の範囲とすることができ、液晶表示画面に貼付されたときに、鏡面として優れた性能を得ることができる。
【0011】
また、本発明の第2の態様の液晶表示画面保護シートは、前記反射被覆層が、前記基体上に形成され130〜150nmの範囲の厚さを備える第1のZrO膜と、該第1のZrO膜上に形成され85〜105nmの範囲の厚さを備える第1のSiO膜と、該第1のSiO膜上に形成され50〜70nmの範囲の厚さを備えるTi膜と、該Ti膜上に形成され105〜125nmの範囲の厚さを備える第2のSiO膜と、該第2のSiO膜上に形成され1〜15nmの範囲の厚さを備える第2のZrO膜とからなることを特徴とする。
【0012】
本発明の第2の態様の液晶表示画面保護シートによれば、前記構成を備えることにより前記反射被覆層の反射率を25〜35%の範囲とすることができ、液晶表示画面に貼付されたときに、鏡面として優れた性能を得ることができる。
【0013】
また、本発明の第3の態様の液晶表示画面保護シートは、前記反射被覆層が、前記基体上に形成され60〜80nmの範囲の厚さを備える第1のZrO膜と、該第1のZrO膜上に形成され85〜105nmの範囲の厚さを備える第1のSiO膜と、該第1のSiO膜上に形成され50〜70nmの範囲の厚さを備えるTi膜と、該Ti膜上に形成され85〜105nmの範囲の厚さを備える第2のSiO膜と、該第2のSiO膜上に形成され130〜150nmの範囲の厚さを備える第2のZrO膜とからなることを特徴とする。
【0014】
本発明の第3の態様の液晶表示画面保護シートによれば、前記構成を備えることにより前記反射被覆層の反射率を35〜45%の範囲とすることができ、液晶表示画面に貼付されたときに、鏡面として優れた性能を得ることができる。
【0015】
また、本発明の第4の態様の液晶表示画面保護シートは、前記反射被覆層が、前記基体上に形成され60〜80nmの範囲の厚さを備える第1のZrO膜と、該第1のZrO膜上に形成され85〜105nmの範囲の厚さを備えるSiO膜と、該SiO膜上に形成され130〜150nmの範囲の厚さを備える第2のZrO膜とからなることを特徴とする。
【0016】
本発明の第4の態様の液晶表示画面保護シートによれば、前記構成を備えることにより前記反射被覆層の反射率を15〜25%の範囲とすることができ、液晶表示画面に貼付されたときに、鏡面として優れた性能を得ることができる。
【0017】
また、本発明の第5の態様の液晶表示画面保護シートは、前記反射被覆層が、前記基体上に形成され120〜140nmの範囲の厚さを備える第1のZrO膜と、該第1のZrO膜上に形成され75〜95nmの範囲の厚さを備える第1のSiO膜と、該第1のSiO膜上に形成され55〜75nmの範囲の厚さを備える第2のZrO膜と、該第2のZrO膜上に形成され75〜95nmの範囲の厚さを備える第2のSiO膜と、該第2のSiO膜上に形成され55〜75nmの範囲の厚さを備える第3のZrO膜とからなることを特徴とする。
【0018】
本発明の第5の態様の液晶表示画面保護シートによれば、前記構成を備えることにより前記反射被覆層の反射率を25〜35%の範囲とすることができ、液晶表示画面に貼付されたときに、鏡面として優れた性能を得ることができる。
【0019】
また、本発明の第6の態様の液晶表示画面保護シートは、前記反射被覆層が、前記基体上に形成され60〜80nmの範囲の厚さを備える第1のZrO膜と、該第1のZrO膜上に形成され85〜105nmの範囲の厚さを備える第1のSiO膜と、該第1のSiO膜上に形成され60〜80nmの範囲の厚さを備える第2のZrO膜と、該第2のZrO膜上に形成され85〜105nmの範囲の厚さを備える第2のSiO膜と、該第2のSiO膜上に形成され130〜150nmの範囲の厚さを備える第3のZrO膜とからなることを特徴とする。
【0020】
本発明の第6の態様の液晶表示画面保護シートによれば、前記構成を備えることにより前記反射被覆層の反射率を35〜45%の範囲とすることができ、液晶表示画面に貼付されたときに、鏡面として優れた性能を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の液晶表示画面保護シートの一構成例を示す模式的断面図。
図2】本発明の液晶表示画面保護シートの他の構成例を示す模式的断面図。
図3】真空蒸着装置の構成を示す模式的断面図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に、添付の図面を参照しながら本発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。
【0023】
図1に示すように、本実施形態の第1の形態の液晶表示画面保護シート1は、液晶表示装置としてのスマートフォンの液晶表示画面2に貼付して用いられ、化学強化ガラスからなる基体3の液晶表示画面2と反対側の表面にDLCからなる保護被覆層4を備え、液晶表示画面2側の表面に反射被覆層5を備えている。
【0024】
基体3は、例えば、厚さ0.2〜0.4mmの範囲の市販の化学強化ガラスを用いることができる。また、保護被覆層4は、アセチレン等の炭化水素ガスを原料とするプラズマCVD法等の公知の方法により、基体3の表面に厚さ10〜30nmの範囲のDLC膜を形成することにより得ることができる。
【0025】
反射被覆層5は、例えば、基体3の表面に、より屈折率の大きな大屈折率金属酸化物と、該大屈折率金属酸化物より屈折率の小さな小屈折率金属酸化物とを交互に積層することにより形成される。前記大屈折率金属酸化物としてはTi、ZrOを挙げることができ、前記小屈折率金属酸化物としてはSiOを挙げることができる。
【0026】
図1に示す液晶表示画面保護シート1では、反射被覆層5は、例えば、基体3の表面に形成された大屈折率金属酸化物層6aと、大屈折率金属酸化物層6a上に形成された小屈折率金属酸化物層7と、小屈折率金属酸化物層7上に形成された大屈折率金属酸化物層6bとの3層からなるものとすることができる。
【0027】
ここで、液晶表示画面保護シート1は、反射被覆層5の大屈折率金属酸化物層6aをTi膜又はZrO膜とし、小屈折率金属酸化物層7をSiO膜とし、大屈折率金属酸化物層6bをZrO膜とし、各層の膜厚を調整することにより、液晶表示画面2に貼付されたときに、鏡面として優れた性能を得ることができる。
【0028】
また、反射被覆層5は、例えば、図2に液晶表示画面保護シート11として示すように、大屈折率金属酸化物層6a、小屈折率金属酸化物層7a、大屈折率金属酸化物層6b、小屈折率金属酸化物層7b、大屈折率金属酸化物層6cからなる5層構造としてもよい(以下、大屈折率金属酸化物層6a,6b,6cを「大屈折率金属酸化物層6」に代表させて示すことがあり、小屈折率金属酸化物層7a,7bを「小屈折率金属酸化物層7」に代表させて示すことがある)。尚、図2では図1と同一の構成には同一の符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0029】
ここで、液晶表示画面保護シート11は、反射被覆層5の大屈折率金属酸化物層6aをZrO膜とし、小屈折率金属酸化物層7aをSiO膜とし、大屈折率金属酸化物層6bをTi膜又はZrO膜とし、小屈折率金属酸化物層7bをSiO膜とし、大屈折率金属酸化物層6cをZrO膜とし、各層の膜厚を調整することにより、液晶表示画面2に貼付されたときに、鏡面として優れた性能を得ることができる。
【0030】
さらに、液晶表示画面保護シート1,11は、液晶表示画面2側の最外層に光学透明(OCA)両面シート8を備えており、OCA両面シート8を介して液晶表示画面2に、貼付される。OCA両面シート8としては、市販のものを用いることができる。
【0031】
大屈折率金属酸化物層6と小屈折率金属酸化物層7とは、それぞれ図3に示す真空蒸着装置21を用いて形成することができる。
【0032】
真空蒸着装置21は、イオンアシスト真空蒸着を行う装置であり、内部を排気可能とした真空チャンバ22の底部に、電子銃23a,23b、イオン銃24を備えている。電子銃23a,23b、イオン銃24は、その上方にシャッタ25a,25b,25cを備えており、シャッタ25a,25b,25cは水平方向にスライドすることにより電子銃23a,23b、イオン銃24の上方を選択的に遮蔽することができる。
【0033】
真空チャンバ22の上部には、基板ドーム26と、上下に90°の角度で揺動自在とされた補正板27とが備えられており、基板ドーム26は真空チャンバ22の外部に設けられたモータ28により回転駆動される。さらに、真空チャンバ22はその天面に図示しないヒータを備えている。
【0034】
真空蒸着装置21によれば、例えば、真空チャンバ22内部を3.0×10−3Pa程度の真空とし、図示しないヒータにより例えば300℃程度の高温に加熱した状態で電子銃23a,23bから金属酸化物分子を放射する。また、真空蒸着装置21によれば、真空チャンバ22内部を前記真空とし、前記ヒータにより例えば70℃程度に加熱した状態で電子銃23a,23bから金属酸化物分子を放射することもできる。
【0035】
このとき、例えば、電子銃23aからはSiO、電子銃23bからはTi又は、ZrOを放射する。一方、イオン銃24からは、酸素又はアルゴンのイオンが放射される。
【0036】
前記金属酸化物分子は、イオン銃24から放射されるイオンに補助されて、上方に向かい、補正板27に案内されて、基板ドーム26の内面に配設された基体3(図示せず)の表面に堆積され、大屈折率金属酸化物層6又は小屈折率金属酸化物層7を形成する。このとき、電子銃23a,23bに配設されたシャッタ25a,25bにより、電子銃23a又は電子銃23bの上方を選択的に遮蔽することにより、基体3の表面に大屈折率金属酸化物層6又は小屈折率金属酸化物層7のいずれか一方を堆積させることができる。また、堆積させる時間を調整することにより、大屈折率金属酸化物層6又は小屈折率金属酸化物層7を所望の膜厚とすることができる。
【0037】
そこで、反射被覆層5は、大屈折率金属酸化物層6と小屈折率金属酸化物層7との材料、膜厚を変えることにより、その反射率を15〜45%の範囲で調整することができ、液晶表示画面保護シート1,11が液晶表示画面2に貼付されたときに、鏡面として優れた性能を付与することができる。
【0038】
次に、本実施形態の液晶表示画面保護シート1,11における反射被覆層5の具体的な構成について説明する。
【0039】
まず、図1に示す液晶表示画面保護シート1において、反射被覆層5は、基体3上に形成される大屈折率金属酸化物層6aを、50〜70nmの範囲、好ましくは55〜65nmの範囲の厚さを備えるTi膜とし、該Ti膜上に形成される小屈折率金属酸化物層7を、85〜105nmの範囲、好ましくは90〜100nmの範囲の厚さを備えるSiO膜とし、該SiO膜上に形成される大屈折率金属酸化物層6bを、130〜150nmの範囲、好ましくは135〜145nmの範囲の厚さを備えるZrO膜とすることができる。
【0040】
このとき、さらに具体的には、反射被覆層5は、基体3上に形成される大屈折率金属酸化物層6aを60nmの厚さを備えるTi膜とし、該Ti膜上に形成される小屈折率金属酸化物層7を94nmの厚さを備えるSiO膜とし、該SiO膜上に形成される大屈折率金属酸化物層6bを141nmの厚さを備えるZrO膜とする。
【0041】
また、図1に示す液晶表示画面保護シート1において、反射被覆層5は、基体3上に形成される大屈折率金属酸化物層6aを、60〜80nmの範囲、好ましくは65〜75nmの範囲の厚さを備える第1のZrO膜とし、該第1のZrO膜上に形成される小屈折率金属酸化物層7を、85〜105nmの範囲、好ましくは90〜100nmの範囲の厚さを備えるSiO膜とし、該SiO膜上に形成される大屈折率金属酸化物層6bを、130〜150nmの範囲、好ましくは135〜145nmの範囲の厚さを備える第2のZrO膜とすることができる。
【0042】
このとき、さらに具体的には、反射被覆層5は、基体3上に形成される大屈折率金属酸化物層6aを71nmの厚さを備える第1のZrO膜とし、該第1のZrO膜上に形成される小屈折率金属酸化物層7を95nmの厚さを備えるSiO膜とし、該SiO膜上に形成される大屈折率金属酸化物層6bを142nmの厚さを備える第2のZrO膜とする。
【0043】
図1に示す液晶表示画面保護シート1は、前記いずれかの構成により、反射被覆層5の反射率を15〜25%の範囲とすることができ、液晶表示画面2に貼付されたときに、鏡面として優れた性能を得ることができる。
【0044】
次に、図2に示す液晶表示画面保護シート11において、反射被覆層5は、基体3上に形成される大屈折率金属酸化物層6aを、130〜150nmの範囲、好ましくは135〜145nmの範囲の厚さを備える第1のZrO膜とし、該第1のZrO膜上に形成される小屈折率金属酸化物層7aを、85〜105nmの範囲、好ましくは90〜100nmの範囲の厚さを備える第1のSiO膜とし、該第1のSiO膜上に形成される大屈折率金属酸化物層6bを、50〜70nmの範囲、好ましくは55〜65nmの範囲の厚さを備えるTi膜とし、該Ti膜上に形成される小屈折率金属酸化物層7bを、105〜125nmの範囲、好ましくは110〜120nmの範囲の厚さを備える第2のSiO膜とし、該第2のSiO膜上に形成される大屈折率金属酸化物層6cを、1〜15nmの範囲、好ましくは5〜10nmの範囲の厚さを備える第2のZrO膜とすることができる。
【0045】
このとき、さらに具体的には、反射被覆層5は、基体3上に形成される大屈折率金属酸化物層6aを141nmの厚さを備える第1のZrO膜とし、該第1のZrO膜上に形成される小屈折率金属酸化物層7aを95nmの厚さを備える第1のSiO膜とし、該第1のSiO膜上に形成される大屈折率金属酸化物層6bを60nmの厚さを備えるTi膜とし、該Ti膜上に形成される小屈折率金属酸化物層7bを114nmの厚さを備える第2のSiO膜とし、該第2のSiO膜上に形成される大屈折率金属酸化物層6cを7nmの厚さを備える第2のZrO膜とする。
【0046】
また、図2に示す液晶表示画面保護シート11において、反射被覆層5は、基体3上に形成される大屈折率金属酸化物層6aを、120〜140nmの範囲、好ましくは125〜135nmの範囲の厚さを備える第1のZrO膜とし、該第1のZrO膜上に形成される小屈折率金属酸化物層7aを、75〜95nmの範囲、好ましくは80〜90nmの範囲の厚さを備える第1のSiO膜とし、該第1のSiO膜上に形成される大屈折率金属酸化物層6bを、55〜75nmの範囲、好ましくは60〜70nmの範囲の厚さを備える第2のZrO膜とし、該第2のZrO膜上に形成される小屈折率金属酸化物層7bを、75〜95nmの範囲、好ましくは80〜90nmの範囲の厚さを備える第2のSiO膜とし、該第2のSiO膜上に形成される大屈折率金属酸化物層6cを、55〜75nmの範囲、好ましくは60〜70nmの範囲の厚さを備える第3のZrO膜とすることができる。
【0047】
このとき、さらに具体的には、反射被覆層5は、基体3上に形成される大屈折率金属酸化物層6aを128nmの厚さを備える第1のZrO膜とし、該第1のZrO膜上に形成される小屈折率金属酸化物層7aを86nmの範囲の厚さを備える第1のSiO膜とし、該第1のSiO膜上に形成される大屈折率金属酸化物層6bを64nmの厚さを備える第2のZrO膜とし、該第2のZrO膜上に形成される小屈折率金属酸化物層7bを86nmの厚さを備える第2のSiO膜とし、該第2のSiO膜上に形成される大屈折率金属酸化物層6cを64nmの厚さを備える第3のZrO膜とする。
【0048】
図2に示す液晶表示画面保護シート11は、前記いずれかの構成により、反射被覆層5の反射率を25〜35%の範囲とすることができ、液晶表示画面2に貼付されたときに、鏡面として優れた性能を得ることができる。
【0049】
次に、図2に示す液晶表示画面保護シート11において、反射被覆層5は、基体3上に形成される大屈折率金属酸化物層6aを、60〜80nmの範囲、好ましくは65〜75nmの範囲の厚さを備える第1のZrO膜とし、該第1のZrO膜上に形成される小屈折率金属酸化物層7aを、85〜105nmの範囲、好ましくは90〜100nmの範囲の厚さを備える第1のSiO膜とし、該第1のSiO膜上に形成される大屈折率金属酸化物層6bを、50〜70nmの範囲、好ましくは55〜65nmの範囲の厚さを備えるTi膜とし、該Ti膜上に形成される小屈折率金属酸化物層7bを、85〜105nmの範囲、好ましくは90〜100nmの範囲の厚さを備える第2のSiO膜とし、該第2のSiO膜上に形成される大屈折率金属酸化物層6cを、130〜150nmの範囲、好ましくは135〜145nmの範囲の厚さを備える第2のZrO膜とすることができる。
【0050】
このとき、さらに具体的には、反射被覆層5は、基体3上に形成される大屈折率金属酸化物層6aを70nmの厚さを備える第1のZrO膜とし、該第1のZrO膜上に形成される小屈折率金属酸化物層7aを94nmの厚さを備える第1のSiO膜とし、該第1のSiO膜上に形成される大屈折率金属酸化物層6bを60nmの厚さを備えるTi膜とし、該Ti膜上に形成される小屈折率金属酸化物層7bを94nmの厚さを備える第2のSiO膜とし、該第2のSiO膜上に形成される大屈折率金属酸化物層6cを141nmの厚さを備える第2のZrO膜とする。
【0051】
また、図2に示す液晶表示画面保護シート11において、反射被覆層5は、基体3上に形成される大屈折率金属酸化物層6aを、60〜80nmの範囲、好ましくは65〜75nmの範囲の厚さを備える第1のZrO膜とし、該第1のZrO膜上に形成される小屈折率金属酸化物層7aを、85〜105nmの範囲、好ましくは90〜100nmの範囲の厚さを備える第1のSiO膜とし、該第1のSiO膜上に形成される大屈折率金属酸化物層6bを、60〜80nmの範囲、好ましくは65〜75nmの範囲の厚さを備える第2のZrO膜とし、該第2のZrO膜上に形成される小屈折率金属酸化物層7bを、85〜105nmの範囲、好ましくは90〜100nmの範囲の厚さを備える第2のSiO膜とし、該第2のSiO膜上に形成される大屈折率金属酸化物層6cを、130〜150nmの範囲、好ましくは135〜145nmの範囲の厚さを備える第3のZrO膜とすることができる。
【0052】
このとき、さらに具体的には、反射被覆層5は、基体3上に形成される大屈折率金属酸化物層6aを70nmの厚さを備える第1のZrO膜とし、該第1のZrO膜上に形成される小屈折率金属酸化物層7aを94nmの範囲の厚さを備える第1のSiO膜とし、該第1のSiO膜上に形成される大屈折率金属酸化物層6bを70nmの厚さを備える第2のZrO膜とし、該第2のZrO膜上に形成される小屈折率金属酸化物層7bを94nmの厚さを備える第2のSiO膜とし、該第2のSiO膜上に形成される大屈折率金属酸化物層6cを140nmの厚さを備える第3のZrO膜とする。
【0053】
図2に示す液晶表示画面保護シート11は、前記いずれかの構成により、反射被覆層5の反射率を35〜45%の範囲とすることができ、液晶表示画面2に貼付されたときに、鏡面として優れた性能を得ることができる。
【符号の説明】
【0054】
1,11…液晶表示画面保護シート、 2…液晶表示画面、 3…基体、 4…保護被覆層、 5…反射被覆層、 6…大屈折率金属酸化物層、 7…小屈折率金属酸化物層。
図1
図2
図3