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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-191301(P2017-191301A)
(43)【公開日】2017年10月19日
(54)【発明の名称】脳トレーニング運動療法システム
(51)【国際特許分類】
   G09B 19/00 20060101AFI20170922BHJP
   G09B 7/02 20060101ALI20170922BHJP
【FI】
   G09B19/00 Z
   G09B7/02
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2016-82541(P2016-82541)
(22)【出願日】2016年4月16日
(11)【特許番号】特許第5975502号(P5975502)
(45)【特許公報発行日】2016年8月23日
(71)【出願人】
【識別番号】516115784
【氏名又は名称】伊藤 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100150153
【弁理士】
【氏名又は名称】堀家 和博
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 真介
【テーマコード(参考)】
2C028
【Fターム(参考)】
2C028AA12
2C028BA01
2C028BA03
2C028BB04
2C028BB06
2C028BC01
2C028BD01
(57)【要約】
【課題】使用者が、運動と、質問に対する回答を同時に行って、「システムの簡素化」と「認知症の予防・抑制」の両立を実現する。
【解決手段】使用者Uが、運動Eと、質問Qに対する回答Aを同時に行うトレーニングシステム1である。使用者Uが運動Eを行う運動機器2と、使用者Uに質問Qを提示する提示部3と、使用者Uが回答Aを入力する入力部4を有していても良い。又、使用者Uに、運動Eと、質問Qに対する回答Aを同時に行わせるトレーニング方法である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者(U)が、運動(E)と、質問(Q)に対する回答(A)を同時に行うことを特徴とするトレーニングシステム。
【請求項2】
前記使用者(U)が運動(E)を行う運動機器(2)と、前記使用者(U)に質問(Q)を提示する提示部(3)と、前記使用者(U)が回答(A)を入力する入力部(4)を有していることを特徴とする請求項1に記載のトレーニングシステム。
【請求項3】
使用者(U)に、運動(E)と、質問(Q)に対する回答(A)を同時に行わせることを特徴とするトレーニング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者が、運動と、質問に対する回答を同時に行うトレーニングシステム、及び、トレーニング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、治療システムが知られている(特許文献1)。
この治療システムは、常圧で吸入される酸素富化気体を用いて患者の治療を行うものであって、身体活動状況により異なる患者の血中酸素飽和度を、測定時の身体活動状況とともに測定記録する記録手段と、前記記録手段が記録した情報を患者の身体活動状況の情報とともに出力することにより、患者の身体活動状況に応じた認知症治療に必要な酸素富化気体の流量を決定可能とする手段と、前記決定され且つ患者の現在の身体活動状況に適応する流量で酸素富化気体を患者へ供給する気体供給手段と、を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−320940号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された治療システムは、記録手段と、流量を決定可能とする手段と、気体供給手段の3つを同時に有する必要があるため、システム大型化の問題がある。
更に、特許文献1の治療システムにおいて、記録手段は、患者の血中酸素飽和度を、測定時の身体活動状況とともに測定記録するものであり、流量を決定可能とする手段は、記録手段が記録した情報を患者の身体活動状況の情報とともに出力することにより、患者の身体活動状況に応じた認知症治療に必要な酸素富化気体の流量を決定可能とするものであり、気体供給手段は、決定され且つ患者の現在の身体活動状況に適応する流量で酸素富化気体を患者へ供給するものであることから、治療システム自体が非常に複雑化し、製造効率の低下やコスト高を招く。
【0005】
そこで、本発明は、使用者が、運動と、質問に対する回答を同時に行うことで、システムの簡素化等を図りつつ、認知症を十分に予防・抑制できるトレーニングシステム及びトレーニングシ方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るトレーニングシステム1は、使用者Uが、運動Eと、質問Qに対する回答Aを同時に行うことを第1の特徴とする。
【0007】
本発明に係るトレーニングシステム1の第2の特徴は、上記第1の特徴に加えて、前記使用者Uが運動Eを行う運動機器2と、前記使用者Uに質問Qを提示する提示部3と、前記使用者Uが回答Aを入力する入力部4を有している点にある。
【0008】
これらの特徴により、使用者Uが、運動Eと質問Qに対する回答Aを同時に行うことで、表1、2や図4〜7に示すように、使用者Uに、質問Qへの回答Aのみを行わせた場合や、運動Eの質問Qへの回答Aの両方を行わせない場合と比べて有意差があり、回答Aそのものの数や、最高得点、平均得点、最低得点の何れもが向上した。
そして、特許文献1のように、複雑な記録手段や流量を決定可能とする手段、気体供給手段の3つを同時に有する必要はなく、システム大型化を抑制でき、製造効率の向上や、低コスト化を実現し易くなる。
つまり、簡素化されたシステムで、認知症を十分に予防・抑制できると少なくとも言える(「システムの簡素化」と「認知症の予防・抑制」の両立)。
【0009】
又、運動機器2と提示部3と入力部4を有することで、更なるシステム大型化の抑制や、製造効率の向上、低コスト化を実現できる。
【0010】
本発明に係るトレーニング方法は、使用者Uに、運動Eと、質問Qに対する回答Aを同時に行わせることを第1の特徴とする。
【0011】
この特徴により、使用者Uに、運動Eと質問Qへの回答Aを同時に行わせることで、表1、2や図4〜7に示すように、質問Qへの回答Aのみを行わせた場合や、何れも行わせない場合と比べて有意差があり、回答Aそのものの数等が向上すると同時に、特許文献1に比べて、トレーニング方法を行わせるシステムの大型化・複雑化を抑制でき、製造効率の向上や、低コスト化を実現し易くなる。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るトレーニングシステム及びトレーニング方法によると、使用者が、運動と、質問に対する回答を同時に行うことで、「システムの簡素化」と「認知症の予防・抑制」の両立を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】は、本発明に係るトレーニングシステムを示す概要図である。
図2】は、トレーニングシステムを示す図面代用写真である。
図3】は、トレーニングシステムの提示部で提示される内容を示す概要図であって、(a)は使用者への質問を示し、(b)はその質問に対する回答を示す。
図4】は、試験における検査の結果について、実施例と比較例1と比較例2における回答数の違いを示すグラフである。
図5】は、実施例と比較例1と比較例2における最高得点の違いを示すグラフである。
図6】は、実施例と比較例1と比較例2における平均得点の違いを示すグラフである。
図7】は、実施例と比較例1と比較例2における最低得点の違いを示すグラフである。
図8】は、トレーニングシステムが、質問等のコンテンツを入手可能にネットワークに接続された場合を示す概要図である。
図9】は、トレーニングシステムにおけるその他の運動機器を示す概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<トレーニングシステム1の全体構成>
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
図1〜3、8、9には、本発明に係るトレーニングシステム1(以下、「システム1」とも言う)が示されており、システム1の使用者Uが、運動Eと、質問Qに対する回答Aを同時に行うものである。
【0015】
システム1は、その使用者Uが、運動Eと、質問Qに対する回答Aを同時に行うものであれば、何れの構成でも良いが、例えば、運動機器2、提示部3、入力部4を有していても構わない。
この他、システム1は、運動機器2や提示部3、入力部4を制御する制御部10や、運動Eをしている使用者Uの心拍数などを計測する計測部11、運動機器2の強度などを調整する調整部12、運動機器2等の外部と通信する通信部13、運動機器2等の外部に設けられたサーバ14などのうち、少なくとも1つを有していても良い。
【0016】
<運動機器2、運動E>
図1〜3、8、9に示すように、運動機器2は、システム1の使用者Uが運動Eを行うものである。
運動機器2は、使用者Uが運動Eを行うのであれば、何れの構成でも良く、例えば、ランニングやウォーキングを行えるトレッドミルや、エアロバイク(登録商標)、ステッパー、クロストレーナー(登録商標)などの他、腹筋、胸筋等のトレーニング器具や、ツイスト器具(使用者Uの腰を捻るトレーニング器具)、開脚器具(使用者Uが脚を開いたり、閉じたりするトレーニング器具)、ぶら下がり健康器、ゴムチューブ、バランスボール、鉄アレイ、ダンベル、バーベル、ウエイトトレーニングマシン、爪先立ちをして履く踵のないサンダルなどでも構わない。
【0017】
尚、後述する提示部3や入力部4等は、運動機器2に設けられていても良いし、これら提示部3等と運動機器2は別体として構成されていても良い。
その他、制御部10や計測部11、調整部12、通信部13等は、運動機器2に設けられていたり、運動機器2とは別体であっても良い。
【0018】
尚、本発明における「運動E」は、使用者Uが行う運動であれば、何れの種類のものでも良いが、例えば、トレッドミルを用いて行うランニング運動やウォーキング運動、エアロバイク(登録商標)を用いて行うバイク(自転車漕ぎ)運動、ステッパーを用いて行うステップ(踏台昇降)運動、クロストレーナー(登録商標)を用いて行うウォーキング運動、各トレーニング器具を用いて行う腹筋運動(腹筋収縮運動)・胸筋収縮運動、ツイスト器具を用いて行うツイスト運動、開脚器具を用いて行う開脚運動、ぶら下がり健康器を用いて行うぶら下がり運動の他、ゴムチューブ、バランスボール、鉄アレイ、ダンベル、バーベル、ウエイトトレーニングマシンを用いて行う運動や、踵のないサンダルを用いて行う爪先立ち運動などでも構わない。尚、運動Eには、上述した運動機器2を用いて行うものだけでなく、使用者Uが、ただ走ったり、歩いたり、階段を上り下りしたり、腕立て伏せや、ヒンズースクワットなどを行う運動も含まれる。
以下、運動機器2として、まずはトレッドミルであるものとし、運動Eとしては、ランニングやウォーキングであるとして述べる(図1参照)。
【0019】
<提示部3、質問Q>
図1〜3、8、9に示したように、提示部3は、使用者Uに質問Qを提示するものである。
提示部3は、使用者Uに質問Qを提示するものであれば、何れの構成であっても良いが、例えば、映像提示部31と音提示部32を同時に備えていたり、映像提示部31と音提示部32のうち、何れかを備えていても良い。
以下は、まず映像提示部31について述べる。
【0020】
映像提示部31は、使用者Uに対して映像で質問Qを提示するものであって、運動Eを行っている使用者Uが視認可能な位置にあるものであれば、何れでも良いが、例えば、ディスプレイなどであっても構わない。
映像提示部(ディスプレイ)31は、テレビ画面や、ノート型やデスクトップ型のパソコン(PC)などにおけるディスプレイ画面、スマートホンや携帯電話、タブレット、PDAなどの携帯端末におけるディスプレイ画面などであっても良い。
【0021】
尚、本発明における「映像」とは、静止画である「画像」、動く画像である「動画」の他、これらの画像、動画と同時に流れる「音」や「文字」などの他、これらの組合せを含む。
又、映像が音を含む場合には、提示部3は、映像提示部31と共に音提示部32も同時に備えていることとなる。
【0022】
これら映像提示部31は、上述した運動機器2に対して、運動Eを行っている使用者Uが視認可能な位置に取り付けられていても良く、その他、運動機器2とは切り離して床面上や台上に載置されていたり、壁面や天井等に取り付けられていても良い。
その他、映像提示部31は、使用者Uの運動Eに支障がない映像の提示機器(運動中の使用者Uが身に着ける眼鏡型等のウェアラブル端末)などであっても良い。
【0023】
一方、音提示部32は、使用者Uに対して音で質問Qを提示するものであって、運動Eを行っている使用者Uが聴取可能な構成であれば、何れでも良いが、例えば、使用者Uの運動Eに支障がないヘッドホン、イヤホンであったり、スピーカなどであっても構わない。
又、音提示部32も、上述した運動機器2にコード等を介して取り付けられていても良く、その他、運動機器2とは切り離して床面上や台上に載置されていたり、壁面や天井等に取り付けられていても良い。
尚、本発明における「音」とは、使用者Uが質問Qそのものを認識できる「音声」の他、音楽のイントロや、動物の鳴き声や、車など物の音であっても良い。
【0024】
又、本発明における「質問Q」は、使用者Uに提示されるのであれば、何れの内容でも良いが、例えば、たし算、ひき算、かけ算、わり算などの計算問題や、○×式のクイズ(なぞなぞ)、選択式(選択肢を選ぶ形式)のクイズ、フリースタイル形式(回答Aそのものを使用者Uに自由に考えさせる形式)のクイズ、これら以外の形式(映像を見て答える形式や、順次ヒントが提示させる形式)のクイズ、その他、音楽のイントロを答えたり、動物の鳴き声や物の音等を当てる質問(クイズ)であっても良い。
尚、計算問題は、その計算結果を、テンキーやキーボードから入力させる形式でも良いが、計算結果を例示した○×式や選択式であっても構わない。
【0025】
又、質問Qの総数、頻度、難易度、ジャンル、形式なども、特に限定がなく、例えば、質問Qの総数についてであれば、1問のみや、2問や3問、5問や10問、20問、30問、50問、100問などの複数問であっても構わない。
質問Qの頻度についても、例えば、1秒ごとに1問であったり、2秒、3秒、5秒、10秒ごとに1問などや、各質問Qによって頻度が変わっても良く、質問Qの難易度についても、低レベル(易しい)ものから、中レベル(一般常識など)、高レベル(専門知識など)ものや、複数のレベルが混在するものであっても良い。
【0026】
質問Qのジャンル(出題範囲)も、学問(地理・歴史・科学・文学など)、政治・経済、時事、スポーツ、芸能、雑学、その他のジャンルなど何れでも良く、複数のジャンルが混在しても構わない。
質問Qの形式も、同様で、上述した計算問題、○×式のクイズ、選択式のクイズ、フリースタイル形式のクイズ、映像を見て答える形式や、順次ヒントが提示させる形式などのその他の形式のクイズ、音楽のイントロクイズ、動物の鳴き声や物の音等を当てるクイズなど、何れでも良く、これらの形式が混在していても構わない。
【0027】
<入力部4、回答A>
図1〜3、8、9に示したように、入力部4は、使用者Uが、質問Qに対する回答Aを入力するものである。
入力部4は、使用者Uが質問Qに対する回答Aを入力するものであれば、何れの構成でも良いが、例えば、ボタンや、映像提示部31の画面に組み込まれたタッチパネル、マウス、キーボード、手書きの他、マイク及びマイクからの使用者Uの音声を認識する音声認識装置や、使用者Uの視線を認識する視線入力装置、使用者Uの脳波を認識する脳波入力装置などであっても良い。
【0028】
このうち、入力部4がボタンで、質問Qが○×式や選択式である場合、運動Eを行っている使用者Uが入力し易いように、○か×や選択肢を選ぶ選択ボタン4aと、選択した○×や選択肢を決定する決定ボタン4bを備えていても良い。
入力部4は、使用者Uの運動Eに支障がない又は少ない構成とされていても良く、例えば、入力部4がボタンであれば、運動機器2において運動Eをしている使用者Uの手元に取り付けられていても良い。
【0029】
その他、入力部4が映像提示部31に組み込まれたタッチパネルであれば、映像提示部31自体を運動機器2において運動Eをしている使用者Uが操作可能(入力可能)な位置に取り付けられていても良く、入力部4がマウス、キーボード、手書きであれば、これらの入力部4を運動Eをしている使用者Uが操作可能な範囲に載置していたり、入力部4がマイク及び音声認識装置、視線入力装置、脳波入力装置であれば、ヘッドホンなどの使用者Uの運動Eに支障がないウェアラブルな機器に取り付けていても構わない。
尚、入力部4は、上述した具体例(ボタン、タッチパネル、マウス、キーボード、手書き、マイク及び音声認識装置、視線入力装置、脳波入力装置)のうち、2つ以上のものを同時に有していても良い。
又、入力部4は、使用者Uからの回答Aの入力を、全て受け付ける構成でも良いが、その他、質問Qに所定時間内に応えられていない場合や、使用者Uが休憩して運動Eをしていない場合などには、回答Aの入力を受け付けない構成であっても良い。
【0030】
又、本発明における「回答A」は、質問Qに対して使用者Uが入力するのであれば、何れの内容でも良いが、例えば、質問Qが計算問題であれば、その計算結果が回答Aであり、質問Qが○×式のクイズであれば、○か×が回答Aとなる。
以下同様に、質問Qが選択式のクイズであれば、選択した選択肢が回答Aとなり、質問Qがフリースタイル形式のクイズであれば、使用者Uが自由に考えたその答えが回答Aであり、質問Qが映像を見て答える形式や順次ヒントが提示させる形式などのクイズ、音楽のイントロクイズ、動物の鳴き声や物の音等を当てるクイズである場合にも、使用者Uが考えたその答えが回答Aとなる。
【0031】
ここまで述べたように、本発明に係るトレーニングシステム1で、使用者Uが、運動Eと質問Qに対する回答Aを同時に行うことで、後述する表1、2や図4〜7に示すように、使用者Uに、質問Qへの回答Aのみを行わせた場合や、運動Eの質問Qへの回答Aの両方を行わせない場合と比べて有意差があり、回答Aそのものの数や、最高得点、平均得点、最低得点の何れもが向上する。
又、特許文献1のように、複雑な記録手段や流量を決定可能とする手段、気体供給手段の3つを同時に有する必要はなく、システム大型化を抑制でき、製造効率の向上や、低コスト化を実現し易くなる。
このようなトレーニングシステム1は、「脳トレーニング運動療法システム(救(Q)脳システム)」であるとも言える。
【0032】
つまり、簡素化されたシステムで、認知症を十分に予防・抑制できると少なくとも言える(「システムの簡素化」と「認知症の予防・抑制」の両立)。
更に、トレーニングシステム1が、運動機器2と提示部3と入力部4を有することで、更なるシステム大型化の抑制や、製造効率の向上、低コスト化を実現できる。
【0033】
<制御部10>
図1〜3、8、9に示したように、制御部10は、上述した運動機器2や提示部3、入力部4を制御するものである。
制御部10は、運動機器2、提示部3、入力部4それぞれを、個別に制御する以外に、運動機器2と提示部3と入力部4における互いの関係性を制御するものであっても良い。
【0034】
詳解すれば、制御部10は、運動機器2に対して、使用者Uが行う運動Eの強度、時間などを制御したり、提示部3に対して、質問Qの総数、頻度、難易度、ジャンル、形式などを制御したり、入力部4に対して、使用者Uからの回答Aの入力受付を制御する構成であっても良い。
その他、制御部10が制御する運動機器2と提示部3と入力部4における互いの関係性とは、例えば、制御部10は、使用者Uが運動機器2での運動Eを始めた(又は、運動Eが一定強度を超えた)時に、提示部3に対して使用者Uに質問Qを提示させる制御や、入力部4に対して使用者Uからの回答Aの入力受付を開始する制御をしたり、使用者Uが運動機器2での運動Eを止めた(又は、運動Eが一定強度を下回った)時には、提示部3に対して使用者Uへの質問Qの提示を止める制御や、入力部4に対して使用者Uからの回答Aの入力受付を停止する制御をしても良い。
【0035】
尚、制御部10が、このように、運動機器2と提示部3と入力部4における互いの関係性を制御することによって、システム1が、使用者Uが、運動Eと、質問Qに対する回答Aを同時に行わせるものとなると言える。
制御部10は、運動機器2、提示部3、入力部4それぞれに設けられた構成でも良く、又、運動機器2、提示部3、入力部4をまとめて1つで制御する構成であっても良い。
【0036】
<計測部11>
図1〜3、8、9に示したように、計測部11は、運動機器2で運動Eをしている使用者Uの心拍数などを計測するものである。
計測部11は、運動Eをしている使用者Uの心拍数以外にも、運動機器2で運動Eをしている使用者Uの脈拍、血圧、体温などを計測するものであっても良い。
【0037】
このように、計測部11が使用者Uの心拍数などを計測する場合、計測部11は、本体と、運動Eをしている使用者Uに取り付けるセンサ端子部(電極など)を有していても良く、このセンサ端子部は、使用者Uの運動Eに支障がないプレート型や腕時計型、ブレスレット型など使用者Uの運動Eに支障がないウェアラブルな形状であっても良い。
又、計測部11は、センサ端子部と本体との間を、有線か無線の何れで接続されていても良く、計測部11の本体は、運動機器2に取り付けられていたり、運動機器2とは切り離して床面上や台上に載置されていたり、壁面や天井等に取り付けられていても構わない。
【0038】
その他、計測部11は、本体がセンサ端子部と一体となって使用者Uの運動Eに支障がないウェアラブルな形状であっても良い。
このような計測部11で計測した使用者Uの心拍数などや、心拍数などに基づいて計算した消費カロリー等が、上述した提示部3で使用者Uに(例えば、リアルタイムに)提示される構成でも良い。
【0039】
又、計測部11は、運動機器2において、使用者Uが行っている運動Eの強度や時間の実測値を計測するものであっても良く、例えば、運動機器2がトレッドミルであれば、使用者Uが乗る無限軌道(無端ベルト)の回転速度や、回転する無限軌道にかかる回転トルクを計測するセンサ(ロータリエンコーダ等)であっても良く、同様に、運動機器2がエアロバイク(登録商標)であっても、使用者Uが漕ぐペダルの回転速度や、ペダルの回転軸にかかる回転トルク等を計測するセンサ(ロータリエンコーダ等)であっても良い。
このような計測部11で計測した無限軌道やペダルの回転速度などに基づいて計算した消費カロリーや、走っている速度、歩いている速度、漕いでいる自転車の速度等が、上述した提示部3で使用者Uに(例えば、リアルタイムに)提示される構成でも良い。
【0040】
又、運動機器2がステッパー、クロストレーナー(登録商標)、腹筋、胸筋等のトレーニング器具、ツイスト器具、開脚器具、ウエイトトレーニングマシンなど回転する部分を有するものであれば、これらの回動する部分の回転速度や回転トルク等を計測するセンサを取り付けていても良い。
これら以外に、運動機器2が、ぶら下がり健康器、ゴムチューブ、バランスボール、鉄アレイ、ダンベル、バーベル、踵のないサンダルなど回転する部分を有さないものであっても、これらの運動機器2を用いた時にかかる力などを計測する加速度センサ等を内蔵させていても良い。
【0041】
<調整部12>
図1〜3、8、9に示したように、調整部12は、使用者Uが運動Eをする運動機器2の強度などを調整するものである。
調整部12は、使用者Uがする運動Eの強度以外にも、運動Eの時間や、運動Eの種類を調整するものであっても良い。
【0042】
調整部12が調整する運動Eの強度とは、運動Eをする時に使用者Uにかかる負荷(重さ)や、当該負荷のかかる方向(角度、向き)であって、具体的には、運動機器2がトレッドミルであれば、無限軌道を使用者Uが回転させるのに必要な無限軌道を蹴る力(換言すれば、無限軌道の回転し難さ)であったり、運動機器2がエアロバイク(登録商標)であれば、使用者Uがペダルを漕ぐのに必要な力(換言すれば、ペダルの回転し難さ)である。
又、運動機器2がステッパー、クロストレーナー(登録商標)、腹筋、胸筋等のトレーニング器具、ツイスト器具、開脚器具、ウエイトトレーニングマシン、ゴムチューブなどであれば、これらの運動機器2を用いて行う運動Eをするのに必要な力が運動Eの強度であり、運動機器2が鉄アレイ、ダンベル、バーベルなどであれば、これら鉄アレイ等の重さ(自重)そのものが運動Eの強度であり、運動機器2がぶら下がり健康器、バランスボール、踵のないサンダルなどであれば、使用者U自身の体重(重さ)が運動Eの強度であるとも言える。
【0043】
調整部12が調整する運動Eの時間とは、運動Eを継続する時間(運動継続時間)、運動Eを休止する時間(運動休止時間、インターバル)などである。
又、調整部12は、運動継続時間や、運動休止時間ごとに、アラーム等の音や、映像提示部31における映像にて、それぞれの開始・終了を使用者Uに知らせても良い。
【0044】
調整部12が調整する運動Eの種類とは、運動機器2がトレッドミルであれば、ランニング又はウォーキングかであって、調整部12は、所定間隔ごとに出す音を変化させて(ピッチを上げ下げして)、使用者Uにランニングやウォーキングをさせても良い。
尚、調整部12は、この所定間隔ごとに音を出す構成でなくとも良い。
【0045】
その他、運動Eの種類とは、運動機器2がバーベル、ダンベル、鉄アレイ、ゴムチューブなどであれば、各運動機器2で行えるトレーニング種目(ベンチプレス、スクワット、デッドリフト、カール、ピッチング等)であって、複数種の運動Eを行える運動機器2におけるそれぞれの運動Eを意味する。
調整部12は、運動機器2に設けられていても良く、その他、運動機器2とは切り離して床面上や台上に載置されていたり、壁面や天井等に取り付けられていたり、使用者Uの運動Eに支障がないウェアラブルな機器に設けられていても良い。
【0046】
<通信部13>
図8に示したように、通信部13は、運動機器2(運動機器2や提示部3、入力部4)等の外部と通信するもの(例えば、ルータ、モデム、ONUや、携帯電話、スマートホン、タブレット型端末、PDA(携帯情報端末)など)である。
詳解すれば、通信部13は、使用者Uの回答A、実際に運動Eを行っている使用者Uの心拍数、脈拍、血圧、体温や、実際に行われている運動Eの強度、時間、種類などを運動機器2等の外部へ送信したり、使用者Uへの質問Qや、使用者Uに実際に行わせたい運動Eの強度、時間、種類などを運動機器2等の外部から受信する。
【0047】
通信部13は、後述するネットワークWを介して接続しても良く、有線通信でも無線通信でも構わない。無線通信であれば、Bluetooth(登録商標)や、Wi−Fi(登録商標の少なくとも一部)など、何れの無線通信手法でも良い。
通信部13は、運動機器2や提示部3等に設けられていても良く、その他、運動機器2とは切り離して床面上や台上に載置されていたり、壁面や天井等に取り付けられていたり、使用者Uの運動Eに支障がないウェアラブルな機器に設けられていても良い。
【0048】
<サーバ14>
図8に示したように、サーバ14は、運動機器2等の外部に設けられたものであって、上述した通信部13が外部と通信する使用者Uの回答A、使用者Uの心拍数、脈拍、血圧、体温や、実際に行われている運動Eの強度、時間、種類、そして、使用者Uへの質問Q(質問コンテンツ)や、使用者Uに実際に行わせたい運動Eの強度、時間、種類(運動コンテンツ)などをアクセス可能に保持するアプリケーションサーバ(クラウドサーバ)である。
このサーバ14も含めて、トレーニングシステム1であるとも言える。
【0049】
サーバ14は、上述した通信部13に対して、ネットワークWを介して、質問コンテンツや運動コンテンツのうち少なくとも1つを入手可能にネットワークWに接続されていても良い。
尚、本発明における「ネットワークW」とは、個々のコンピュータネットワーク(ローカルエリアネットワーク(LAN))を接続して、データのやりとりにTCP/IPというプロトコルを用いて、世界的規模で通信サービスを行えるようにしたローカルエリアネットワーク(LAN)の集合体である「インターネット」(オープンネットワーク)をはじめ、各「ローカルエリアネットワーク(LAN)」や、「メトロポリタンエリアネットワーク(MAN)」、「ワイドエリアネットワーク(WAN)」など、何れのコンピュータネットワークであっても構わない。
【0050】
本発明における「ローカルエリアネットワーク(LAN)」とは、JIS−X−0009:1997で規定された「利用者の構内に設置され、地理的に限られた範囲のコンピュータネットワーク」を言い、クローズドネットワークであるとも言える。
本発明における「メトロポリタンエリアネットワーク(MAN)」も、JIS−X−0009:1997で規定された「同じ都市内のローカルエリアネットワークを接続するための網」を言い、本発明における「ワイドエリアネットワーク(WAN)」は、JIS−X−0009:1997の規定による「ローカルエリアネットワーク又はメトロポリタンネットワークよりも広域に通信サービスを提供するネットワーク」を言う。
又、本発明においては、Wi−Fi(登録商標の少なくとも一部)や、Bluetooth(登録商標)などの無線通信手法も含め「LAN」として扱う。
【0051】
又、本発明における「サーバ」とは、JIS−X−0009:1997で規定された「データ網を介して、ワークステーション、その他の機能装置に共有サービスを提供する機能装置」を言う。
又、ネットワークW上に様々な質問コンテンツや運動コンテンツを保有したサーバ14が設けられていることから、トレーニングシステム1は、ネットワークW上にそれらのコンテンツを置いたままで、使用者Uに、質問コンテンツ、運動コンテンツを提示・提供させることが可能となる。
従って、使用者Uは、場所・時間を問わず、提示されるコンテンツを選択することが出来る。又、システム1は、ネットワークWを介して、病院、消防、警察、その他の関係機関と通信したり、質問コンテンツや運動コンテンツをやりとりしても良い。
【0052】
ここで、システム1が、ネットワークW上に質問コンテンツや運動コンテンツを置いたままで、選択したコンテンツを使用者Uに提示するシステムであることを鑑みれば、これらのコンテンツを「共用の構成可能なコンピュータリソース」とみることが出来、本発明は、「クラウドコンピューティング」システムであると言える。
尚、本発明における「クラウドコンピューティング」システムとは、米国国立標準技術研究所(NIST)による定義から、「共用の構成可能なコンピューティングリソース(ネットワーク、サーバ、ストレージ、アプリケーション、サービス)の集積に、どこからでも、簡便に、必要に応じて、ネットワーク経由でアクセスすることを可能とするモデルであり、最小限の利用手続きまたはサービスプロバイダとのやりとりで速やかに割当てられ提供される(翻訳は、独立行政法人情報処理推進機構(IPA))」システムを言う。
【0053】
<トレーニング方法>
本発明に係るトレーニング方法は、使用者Uに、運動Eと、質問Qに対する回答Aを同時に行わせるものである。
このトレーニング方法は、上述した運動機器2と提示部3と入力部4を有するトレーニングシステム1を用いて行っても良いが、使用者Uに、運動Eと、質問Qに対する回答Aを同時に行わせるのであれば、それ以外の構成でも良い。
【0054】
例えば、トレーニング方法は、運動機器2で運動Eを行っている使用者Uに対して、使用者U以外の質問者が、口頭や手書き等で、当該使用者Uに質問Qを提示し(問いかけ)たり、その質問Qに対して、使用者Uも、口頭等で回答Aを質問者に伝える構成でも構わない。
トレーニング方法は、使用者Uに、運動Eと、質問Qに対する回答Aを同時に行わせるのであれば、使用者Uが運動機器2すらも用いず、ただ走ったり、歩いたり、階段を上り下りしたり、腕立て伏せや、ヒンズースクワットなどの運動Eを行う構成でも良い。
ここまで述べたように、本発明に係るトレーニング方法で、使用者Uに、運動Eと質問Qへの回答Aを同時に行わせることで、後述する表1、2や図4〜7に示すように、質問Qへの回答Aのみを行わせた場合や、何れも行わせない場合と比べて有意差があり、回答Aそのものの数等が向上すると同時に、特許文献1に比べて、トレーニング方法を行わせるシステムの大型化・複雑化を抑制でき、製造効率の向上や、低コスト化を実現し易くなる。
このようなトレーニング方法は、「脳トレーニング運動療法」であるとも言える。
【0055】
<試験>
ここからは、本発明に係るトレーニングシステム1を用いて行った本発明に係るトレーニング方法における実施例と、その比較例1、2について言及する。
これらの実施例と比較例を用いて、後述する試験を行う。
【0056】
<実施例>
実施例のトレーニングシステム1及びトレーニング方法における運動機器2及び運動E、提示部3及び質問Q、入力部4及び回答Aを以下に示す。
運動機器2としては、使用者Uの心拍数が計測可能な計測部12を備えたトレッドミルを用い(図1、2、9)、運動Eとしては、このトレッドミル2を使用して1分間に使用者Uの心拍数を通常値から20上昇させる程度の運動(心拍数を20上昇させる運動であれば、ランニング運動でもウォーキング運動など何れでも良い)をさせる。
提示部3としては、運動機器2とは別のノート型のパソコン(PC)におけるディスプレイ画面(映像提示部31)を用い(図2)、質問Qとしては、2桁のたし算(計算問題)の3択式の質問(図3(a))であり、各質問Qの制限時間は5秒間(つまり、質問Qの総数は、1分間に12問、4分間で48問)である。
入力部4としては、ボタンであり、質問Qの選択肢を選ぶ選択ボタン4aと、選択した○×や選択肢を決定する決定ボタン4bを備えている(図2図3(b))。
上述した運動機器2・提示部3・入力部4を備えたトレーニングシステム1を用いて、使用者U(被験者)は、上述した運動Eと、質問Qに対する回答Aを同時に4分間行うトレーニング方法を、休憩をはさんで2回行い、その後、改めて、脳トレーニング(クレペリン検査(内田クレペリン検査))を行って実施例のトレーニング方法を得た。
この実施例のトレーニング方法は、使用者U(被験者)4人(F値、p値の導出では3人として計算)に対して、週3回(月曜日、水曜日、木曜日)を3週間、合計9回行った。
尚、このクレペリン検査は、検査全体の時間(制限時間)は15分であって、1行につき15秒で28問まで、全20行で合計560問である。
【0057】
<比較例1>
実施例において、本発明に係るトレーニング方法を行わない(本発明に係るトレーニングシステム1も用いない)で、実施例と同様のクレペリン検査だけを行って比較例1の方法を得た。
この比較例1の方法は、使用者U(被験者)19人(F値、p値の導出では12人として計算)に対して、週3回(月曜日、水曜日、木曜日)を3週間、合計9回行った。
【0058】
<比較例2>
実施例において、本発明に係るトレーニング方法を行わず(本発明に係るトレーニングシステム1も用いず)、更には、クレペリン検査も行わないことで、比較例2の方法を得た。
つまり、この比較例2の方法は、使用者U(被験者)4人(F値、p値の導出では3人として計算)に対して、実施例や比較例1のように、週3回(月曜日、水曜日、木曜日)を3週間、合計9回行うことはなく、3週間、本発明に係るトレーニング方法もクレペリン検査も行わなかった。
【0059】
<試験(運動Eと、質問Qに対する回答Aを同時に行うことに関する試験)>
上述した実施例と比較例1、2の方法を行ったそれぞれの使用者U(被験者)全員に対して、試験を開始した日(平成28年1月12日)と、それから3週間後の試験を終了した日(平成28年2月2日)に、上述した実施例・比較例1、2の方法とは別に、クレペリン検査を行い、試験を開始した日を基準として、実施例と比較例1と比較例2における回答数、最高得点、平均得点、最低得点の増減(違い)を示す検査結果を、以下の表1、2と図4〜7に示す。
尚、表1は、実施例と比較例1と比較例2の回答数における1要因分散分析の比較結果を示し、表1において、「SS」は「平方和」であり、「MS」は「平均平方(SS÷df1)」であり、「MSe」は「誤差の平方和(SS÷df2)」であり、「df1」は「群間の自由度(群数は実施例、比較例1、比較例2の3つで、ここから1を引いた数)」であり、「df2」は「郡内の自由度(各群の合計被験者数(実施例の3人、比較例1の12人、比較例2の3人)から群数3を引いた数)」であり、「補正df1」と「補正df2」は「df1」と「df2」をそれぞれ補正したものであり、「F値」は「MS÷MSe」であり、「偏η2 (効果量である偏η2 (partial η2 ))」とその「95%CI(95%信頼区間)」と「p値」は、「SS」や「MS」や「F値」や「df1」や「df2」などに基づきエクセルなどで算出したものである。
又、表2は、実施例と比較例1と比較例2の1要因分散分析の多重比較結果を示し、表2において、「差」は「比較している群(実施例、比較例1、比較例2)間の平均の差」であり、「標準誤差」は「比較している群(実施例、比較例1、比較例2)間の平均の差の標準偏差」であり、「効果量d」と「95%CI(95%信頼区間)」は、「差」や「標準誤差」や「df」などに基づき算出したものであり、「df」は「誤差自由度(各群の合計被験者数(実施例の3人、比較例1の12人、比較例2の3人)から群数3を引いた数)」であり、「t値」は「差÷標準誤差」であり、「p値」は、「差」や「標準誤差」や「df」などに基づきエクセルなどで算出したものであり、「調整p値」は「Holm法による調整後のp値(具体的には、調整前で最も小さいp値には群数(=3)を掛け、次に小さいp値には群数から1を引いた数(=2)を掛け、最も大きいp値はそのままとしたもの)」である。尚、表2の右上に示された「主効果p値0.001」とは、p値が0.001以下であれば、本発明に係るトレーニング方法を行う(本発明に係るトレーニングシステム1を用いる)ことが、試験を終了した日(平成28年2月2日)に行ったクレペリン検査を向上させる主効果であることを意味する。
更に、図4は、実施例と比較例1と比較例2ごとの使用者U(被験者)が行った回答Aの数(回答数)の違い(増減)を示すグラフであり、図5は、実施例と比較例1と比較例2ごとの使用者U(被験者)が行った回答Aにおける最高得点の違い(増減)を示すグラフであり、図6は、実施例と比較例1と比較例2ごとの使用者U(被験者)が行った回答Aにおける平均得点の違い(増減)を示すグラフであり、図7は、実施例と比較例1と比較例2ごとの使用者U(被験者)が行った回答Aにおける最低得点の違い(増減)を示すグラフである。
【0060】
【表1】
【0061】
【表2】
【0062】
<試験の評価(運動Eと、質問Qに対する回答Aを同時に行うことの評価)>
表1に示された1要因分散分析の比較結果に対する評価を述べる。
この比較結果における帰無仮説は「実施例と比較例1と比較例2の回答数の増減の平均は、どの組合せにおいても差はない」となる。
しかし、表1中の「F値」は「13.038」であり、この「13.038」は、5%有意水準のF分布表における「df1」が「2」で「df2」が「15(厳しめに20として算出)」の棄却域の境界値「3.49」より大きいことから、帰無仮説である「実施例と比較例1と比較例2の回答数の増減の平均は、どの組合せにおいても差はない」は、5%有意水準で棄却される。
つまり、「実施例と比較例1と比較例2の回答数の増減の平均は、5%有意水準で有意差がある(実施例と比較例1と比較例2の回答数の増減の平均のうち、少なくとも1つの組合せにおいて、5%有意水準で有意差がある)」ことが分かる。
同様に、「F値13.038」は、1%有意水準のF分布表における「df1」が「2」で「df2」が「15(厳しめに20として算出)」の棄却域の境界値「5.85」よりやはり大きいことから、帰無仮説は1%有意水準でも棄却され、「実施例と比較例1と比較例2の回答数の増減の平均は、1%有意水準でも有意差がある(実施例と比較例1と比較例2の回答数の増減の平均のうち、少なくとも1つの組合せにおいて、1%有意水準でも有意差がある)」ことが分かる。
又、効果量である「偏η2 」が「0.635」であるところ、効果量が「η2 」である場合の目安が、「0.01」で効果「小」、「0.06」で効果「中」、「0.14」で効果「大」であることから、十分な効果があるとも言える。
更に、「p値」の面から見ても、この値が「0.001」であることから、5%有意水準(p値=0.05)でも、1%有意水準(p値=0.01)でも、帰無仮説が棄却される。
尚、表1における「p値」が「0.001」であることから、本発明に係るトレーニング方法を行う(本発明に係るトレーニングシステム1を用いる)ことが、試験を終了した日(平成28年2月2日)に行ったクレペリン検査を向上させる主効果、すなわち、認知症を予防・抑制する主効果であることを意味する。
【0063】
表2に示された1要因分散分析の多重比較結果に対する評価を述べる。
この多重比較結果における帰無仮説は、「比較例1と比較例2の回答数の増減の平均において差はない」、「実施例と比較例1の回答数の増減の平均において差はない」、「実施例と比較例2の回答数の増減の平均において差はない」の3つとなる。
しかし、表2中におけるこれら3つの「t値」は、「比較例1と比較例2」が「2.588」、「実施例と比較例1」が「3.796」、「実施例と比較例2」が「5.047」であり、これら「2.588」、「3.796」、「5.047」の全ては、5%有意水準のt分布表における「df」が「15」の棄却域の境界値「2.131」より大きいことから、3つの帰無仮説「比較例1と比較例2の回答数の増減の平均において差はない」、「実施例と比較例1の回答数の増減の平均において差はない」、「実施例と比較例2の回答数の増減の平均において差はない」は、何れも5%有意水準で棄却される。
つまり、「比較例1と比較例2の回答数の増減の平均は、5%有意水準で有意差がある」、「実施例と比較例1の回答数の増減の平均は、5%有意水準で有意差がある」、「実施例と比較例2の回答数の増減の平均は、5%有意水準で有意差がある」(実施例と比較例1と比較例2の回答数の増減の平均は、どの組合せにおいても、5%有意水準で有意差がある)ことが分かる。
同様に、3つのt値のうち、「実施例と比較例1」の「t値3.796」と、「実施例と比較例2」の「t値5.047」は、1%有意水準のt分布表における「df」が「15」の棄却域の境界値「2.977」より大きいことから、2つの帰無仮説「実施例と比較例1の回答数の増減の平均において差はない」、「実施例と比較例2の回答数の増減の平均において差はない」は、1%有意水準でも棄却される。
つまり、「実施例と比較例1の回答数の増減の平均は、1%有意水準でも有意差がある」、「実施例と比較例2の回答数の増減の平均は、1%有意水準でも有意差がある」ことが分かる。
又、「効果量d」については、「比較例1と比較例2」が「1.572」、「実施例と比較例1」が「2.306」、「実施例と比較例2」が「3.878」であるところ、「効果量d」の目安が、「0.20」で効果「小」、「0.50」で効果「中」、「0.80」で効果「大」であることから、「比較例1と比較例2」、「実施例と比較例1」、「実施例と比較例2」の全てに、十分な効果があるとも言える。
更に、「調整p値」の面から見ても、この値が「比較例1と比較例2」が「0.021」、「実施例と比較例1」が「0.004」、「実施例と比較例2」が「0.000」であることから、5%有意水準(p値=0.05)で、3つ全ての帰無仮説が棄却され、同様に、3つの調整p値のうち、「実施例と比較例1」の「調整p値0.004」と、「実施例と比較例2」の「調整p値0.000」は、1%有意水準(p値=0.01)でも、帰無仮説が棄却される。
尚、表2における「実施例と比較例2」の「調整p値」が「0.000」と、「0.001」より小さいことから、本発明に係るトレーニング方法を行う(本発明に係るトレーニングシステム1を用いる)ことが、試験を終了した日(平成28年2月2日)に行ったクレペリン検査を向上させる主効果、すなわち、認知症を予防・抑制する主効果であることを意味する。
【0064】
図4〜7に示されたように、実施例と比較例1と比較例2ごとの使用者U(被験者)の回答Aにおける回答数・最高得点・平均得点・最低得点の増減は、何れのグラフにおいても、実施例の増加具合(実施例を表す直線の傾き)が、比較例1や比較例2の増加具合(比較例1や比較例2を表す直線の傾き)より大きいことからも、本発明に係るトレーニング方法を行う(本発明に係るトレーニングシステム1を用いる)ことが、試験を終了した日(平成28年2月2日)に行ったクレペリン検査を向上させる、すなわち、認知症を予防・抑制することを示している。
尚、図7で示されたように、比較例1と比較例2の使用者Uの回答Aにおける最低得点は、日を追うごとに低下しているにも関わらず、実施例の使用者Uの回答Aにおける最低得点だけは、増加しており、クレペリン検査を十分に行い難い使用者Uに対しても、本発明に係るトレーニング方法を行う(本発明に係るトレーニングシステム1を用いる)ことが有効であることを示している。
【0065】
<その他>
尚、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではない。トレーニングシステム1、トレーニング方法等の各構成又は全体の構造、形状、寸法などは、本発明の趣旨に沿って適宜変更することが出来る。
トレーニングシステム1は、使用者Uが、運動Eと、質問Qに対する回答Aを同時に行うものであれば、運動機器2、提示部3、入力部4のみを有し、制御部10や計測部11、調整部12、通信部13、サーバ14などを有していなくとも良い。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明のトレーニングシステム及びトレーニング方法は、実際に、認知症(痴呆症)を発症した使用者に用いることで、症状の悪化を抑制したり、症状の改善を図るだけでなく、認知症予備軍に対して用いることで、発症の予防にも利用可能である。
【符号の説明】
【0067】
1 トレーニングシステム
2 運動機器
3 提示部
4 入力部
U 使用者
E 運動
Q 質問
A 回答
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2016年6月10日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者(U)が、運動(E)と、質問(Q)に対する回答(A)を同時に行うトレーニングシステムであって、
前記使用者(U)が運動(E)を行う運動機器(2)と、前記使用者(U)に質問(Q)を提示する提示部(3)と、前記使用者(U)が回答(A)を入力する入力部(4)と、前記運動機器(2)、提示部(3)及び入力部(4)を制御する制御部(10)を有し、
前記制御部(10)は、
前記使用者(U)が運動機器(2)で行う運動(E)が一定強度を超えた時に、前記提示部(3)に対して使用者(U)に質問(Q)を提示させる制御と、
前記使用者(U)が運動機器(2)で始めた運動(E)が一定強度を超えた時に、前記入力部(4)に対して使用者(U)からの回答(A)の入力受付を開始させる制御と、
前記使用者(U)が運動機器(2)で行う運動(E)が一定強度を下回った時に、前記提示部(3)に対して使用者(U)への質問(Q)の提示を止めさせる制御と、
前記使用者(U)が運動機器(2)で行う運動(E)が一定強度を下回った時に、前記入力部(4)に対して使用者(U)からの回答(A)の入力受付を停止させる制御のうち、少なくとも1つの制御をしていることを特徴とするトレーニングシステム。
【請求項2】
前記提示部(3)は、前記使用者(U)に対して音で質問(Q)を提示する音提示部(32)を備えていることを特徴とする請求項1に記載のトレーニングシステム。
【請求項3】
前記入力部(4)は、マイク、及び、前記マイクからの使用者(U)の音声を認識する音声認識装置を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載のトレーニングシステム。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0001】
本発明は、使用者が、運動と、質問に対する回答を同時に行うトレーニングシステムに関する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0005】
そこで、本発明は、使用者が、運動と、質問に対する回答を同時に行うことで、システムの簡素化等を図りつつ、認知症を十分に予防・抑制できるトレーニングシステムを提供することを目的とする。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
本発明に係るトレーニングシステム1は、使用者Uが、運動Eと、質問Qに対する回答Aを同時に行うトレーニングシステムであって、前記使用者Uが運動Eを行う運動機器2と、前記使用者Uに質問Qを提示する提示部3と、前記使用者Uが回答Aを入力する入力部4と、前記運動機器2、提示部3及び入力部4を制御する制御部10を有し、前記制御部10は、前記使用者Uが運動機器2で行う運動Eが一定強度を超えた時に、前記提示部3に対して使用者Uに質問Qを提示させる制御と、前記使用者Uが運動機器2で始めた運動Eが一定強度を超えた時に、前記入力部4に対して使用者Uからの回答Aの入力受付を開始させる制御と、前記使用者Uが運動機器2で行う運動Eが一定強度を下回った時に、前記提示部3に対して使用者Uへの質問Qの提示を止めさせる制御と、前記使用者Uが運動機器2で行う運動Eが一定強度を下回った時に、前記入力部4に対して使用者Uからの回答Aの入力受付を停止させる制御のうち、少なくとも1つの制御をしていることを第1の特徴とする。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
本発明に係るトレーニングシステム1の第2の特徴は、上記第1の特徴に加えて、前記提示部3は、前記使用者Uに対して音で質問Qを提示する音提示部32を備えている点にある。
本発明に係るトレーニングシステム1の第3の特徴は、上記第1又は2の特徴に加えて、前記入力部4は、マイク、及び、前記マイクからの使用者Uの音声を認識する音声認識装置を備えている点にある。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
その他、トレーニング方法として、使用者Uに、運動Eと、質問Qに対する回答Aを同時に行わせても良い
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
使用者Uに、運動Eと質問Qへの回答Aを同時に行わせた際には、表1、2や図4〜7に示すように、質問Qへの回答Aのみを行わせた場合や、何れも行わせない場合と比べて有意差があり、回答Aそのものの数等が向上すると同時に、特許文献1に比べて、トレーニング方法を行わせるシステムの大型化・複雑化を抑制でき、製造効率の向上や、低コスト化を実現し易くなる。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
本発明に係るトレーニングシステムによると、使用者が、運動と、質問に対する回答を同時に行うことで、「システムの簡素化」と「認知症の予防・抑制」の両立を実現できる。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0053
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0053】
<トレーニング方法>
その他、トレーニング方法としては、使用者Uに、運動Eと、質問Qに対する回答Aを同時に行わせるものであっても良い
このトレーニング方法は、上述した運動機器2と提示部3と入力部4を有するトレーニングシステム1を用いて行っても良いが、使用者Uに、運動Eと、質問Qに対する回答Aを同時に行わせるのであれば、それ以外の構成でも良い。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0054
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0054】
例えば、トレーニング方法は、運動機器2で運動Eを行っている使用者Uに対して、使用者U以外の質問者が、口頭や手書き等で、当該使用者Uに質問Qを提示し(問いかけ)たり、その質問Qに対して、使用者Uも、口頭等で回答Aを質問者に伝える構成でも構わない。
トレーニング方法は、使用者Uに、運動Eと、質問Qに対する回答Aを同時に行わせるのであれば、使用者Uが運動機器2すらも用いず、ただ走ったり、歩いたり、階段を上り下りしたり、腕立て伏せや、ヒンズースクワットなどの運動Eを行う構成でも良い。
ここまで述べたように、上述したトレーニング方法で、使用者Uに、運動Eと質問Qへの回答Aを同時に行わせることで、後述する表1、2や図4〜7に示すように、質問Qへの回答Aのみを行わせた場合や、何れも行わせない場合と比べて有意差があり、回答Aそのものの数等が向上すると同時に、特許文献1に比べて、トレーニング方法を行わせるシステムの大型化・複雑化を抑制でき、製造効率の向上や、低コスト化を実現し易くなる。
このようなトレーニング方法は、「脳トレーニング運動療法」であるとも言える。
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0055
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0055】
<試験>
ここからは、本発明に係るトレーニングシステム1を用いて行ったトレーニング方法における実施例と、その比較例1、2について言及する。
これらの実施例と比較例を用いて、後述する試験を行う。
【手続補正13】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0057
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0057】
<比較例1>
実施例におけるトレーニング方法を行わない(本発明に係るトレーニングシステム1も用いない)で、実施例と同様のクレペリン検査だけを行って比較例1の方法を得た。
この比較例1の方法は、使用者U(被験者)19人(F値、p値の導出では12人として計算)に対して、週3回(月曜日、水曜日、木曜日)を3週間、合計9回行った。
【手続補正14】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0058
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0058】
<比較例2>
実施例におけるトレーニング方法を行わず(本発明に係るトレーニングシステム1も用いず)、更には、クレペリン検査も行わないことで、比較例2の方法を得た。
つまり、この比較例2の方法は、使用者U(被験者)4人(F値、p値の導出では3人として計算)に対して、実施例や比較例1のように、週3回(月曜日、水曜日、木曜日)を3週間、合計9回行うことはなく、3週間、実施例におけるトレーニング方法もクレペリン検査も行わなかった。
【手続補正15】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0059
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0059】
<試験(運動Eと、質問Qに対する回答Aを同時に行うことに関する試験)>
上述した実施例と比較例1、2の方法を行ったそれぞれの使用者U(被験者)全員に対して、試験を開始した日(平成28年1月12日)と、それから3週間後の試験を終了した日(平成28年2月2日)に、上述した実施例・比較例1、2の方法とは別に、クレペリン検査を行い、試験を開始した日を基準として、実施例と比較例1と比較例2における回答数、最高得点、平均得点、最低得点の増減(違い)を示す検査結果を、以下の表1、2と図4〜7に示す。
尚、表1は、実施例と比較例1と比較例2の回答数における1要因分散分析の比較結果を示し、表1において、「SS」は「平方和」であり、「MS」は「平均平方(SS÷df1)」であり、「MSe」は「誤差の平方和(SS÷df2)」であり、「df1」は「群間の自由度(群数は実施例、比較例1、比較例2の3つで、ここから1を引いた数)」であり、「df2」は「郡内の自由度(各群の合計被験者数(実施例の3人、比較例1の12人、比較例2の3人)から群数3を引いた数)」であり、「補正df1」と「補正df2」は「df1」と「df2」をそれぞれ補正したものであり、「F値」は「MS÷MSe」であり、「偏η2 (効果量である偏η2 (partial η2 ))」とその「95%CI(95%信頼区間)」と「p値」は、「SS」や「MS」や「F値」や「df1」や「df2」などに基づきエクセルなどで算出したものである。
又、表2は、実施例と比較例1と比較例2の1要因分散分析の多重比較結果を示し、表2において、「差」は「比較している群(実施例、比較例1、比較例2)間の平均の差」であり、「標準誤差」は「比較している群(実施例、比較例1、比較例2)間の平均の差の標準偏差」であり、「効果量d」と「95%CI(95%信頼区間)」は、「差」や「標準誤差」や「df」などに基づき算出したものであり、「df」は「誤差自由度(各群の合計被験者数(実施例の3人、比較例1の12人、比較例2の3人)から群数3を引いた数)」であり、「t値」は「差÷標準誤差」であり、「p値」は、「差」や「標準誤差」や「df」などに基づきエクセルなどで算出したものであり、「調整p値」は「Holm法による調整後のp値(具体的には、調整前で最も小さいp値には群数(=3)を掛け、次に小さいp値には群数から1を引いた数(=2)を掛け、最も大きいp値はそのままとしたもの)」である。尚、表2の右上に示された「主効果p値0.001」とは、p値が0.001以下であれば、実施例におけるトレーニング方法を行う(本発明に係るトレーニングシステム1を用いる)ことが、試験を終了した日(平成28年2月2日)に行ったクレペリン検査を向上させる主効果であることを意味する。
更に、図4は、実施例と比較例1と比較例2ごとの使用者U(被験者)が行った回答Aの数(回答数)の違い(増減)を示すグラフであり、図5は、実施例と比較例1と比較例2ごとの使用者U(被験者)が行った回答Aにおける最高得点の違い(増減)を示すグラフであり、図6は、実施例と比較例1と比較例2ごとの使用者U(被験者)が行った回答Aにおける平均得点の違い(増減)を示すグラフであり、図7は、実施例と比較例1と比較例2ごとの使用者U(被験者)が行った回答Aにおける最低得点の違い(増減)を示すグラフである。
【手続補正16】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0062
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0062】
<試験の評価(運動Eと、質問Qに対する回答Aを同時に行うことの評価)>
表1に示された1要因分散分析の比較結果に対する評価を述べる。
この比較結果における帰無仮説は「実施例と比較例1と比較例2の回答数の増減の平均は、どの組合せにおいても差はない」となる。
しかし、表1中の「F値」は「13.038」であり、この「13.038」は、5%有意水準のF分布表における「df1」が「2」で「df2」が「15(厳しめに20として算出)」の棄却域の境界値「3.49」より大きいことから、帰無仮説である「実施例と比較例1と比較例2の回答数の増減の平均は、どの組合せにおいても差はない」は、5%有意水準で棄却される。
つまり、「実施例と比較例1と比較例2の回答数の増減の平均は、5%有意水準で有意差がある(実施例と比較例1と比較例2の回答数の増減の平均のうち、少なくとも1つの組合せにおいて、5%有意水準で有意差がある)」ことが分かる。
同様に、「F値13.038」は、1%有意水準のF分布表における「df1」が「2」で「df2」が「15(厳しめに20として算出)」の棄却域の境界値「5.85」よりやはり大きいことから、帰無仮説は1%有意水準でも棄却され、「実施例と比較例1と比較例2の回答数の増減の平均は、1%有意水準でも有意差がある(実施例と比較例1と比較例2の回答数の増減の平均のうち、少なくとも1つの組合せにおいて、1%有意水準でも有意差がある)」ことが分かる。
又、効果量である「偏η2 」が「0.635」であるところ、効果量が「η2 」である場合の目安が、「0.01」で効果「小」、「0.06」で効果「中」、「0.14」で効果「大」であることから、十分な効果があるとも言える。
更に、「p値」の面から見ても、この値が「0.001」であることから、5%有意水準(p値=0.05)でも、1%有意水準(p値=0.01)でも、帰無仮説が棄却される。
尚、表1における「p値」が「0.001」であることから、実施例におけるトレーニング方法を行う(本発明に係るトレーニングシステム1を用いる)ことが、試験を終了した日(平成28年2月2日)に行ったクレペリン検査を向上させる主効果、すなわち、認知症を予防・抑制する主効果であることを意味する。
【手続補正17】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0063
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0063】
表2に示された1要因分散分析の多重比較結果に対する評価を述べる。
この多重比較結果における帰無仮説は、「比較例1と比較例2の回答数の増減の平均において差はない」、「実施例と比較例1の回答数の増減の平均において差はない」、「実施例と比較例2の回答数の増減の平均において差はない」の3つとなる。
しかし、表2中におけるこれら3つの「t値」は、「比較例1と比較例2」が「2.588」、「実施例と比較例1」が「3.796」、「実施例と比較例2」が「5.047」であり、これら「2.588」、「3.796」、「5.047」の全ては、5%有意水準のt分布表における「df」が「15」の棄却域の境界値「2.131」より大きいことから、3つの帰無仮説「比較例1と比較例2の回答数の増減の平均において差はない」、「実施例と比較例1の回答数の増減の平均において差はない」、「実施例と比較例2の回答数の増減の平均において差はない」は、何れも5%有意水準で棄却される。
つまり、「比較例1と比較例2の回答数の増減の平均は、5%有意水準で有意差がある」、「実施例と比較例1の回答数の増減の平均は、5%有意水準で有意差がある」、「実施例と比較例2の回答数の増減の平均は、5%有意水準で有意差がある」(実施例と比較例1と比較例2の回答数の増減の平均は、どの組合せにおいても、5%有意水準で有意差がある)ことが分かる。
同様に、3つのt値のうち、「実施例と比較例1」の「t値3.796」と、「実施例と比較例2」の「t値5.047」は、1%有意水準のt分布表における「df」が「15」の棄却域の境界値「2.977」より大きいことから、2つの帰無仮説「実施例と比較例1の回答数の増減の平均において差はない」、「実施例と比較例2の回答数の増減の平均において差はない」は、1%有意水準でも棄却される。
つまり、「実施例と比較例1の回答数の増減の平均は、1%有意水準でも有意差がある」、「実施例と比較例2の回答数の増減の平均は、1%有意水準でも有意差がある」ことが分かる。
又、「効果量d」については、「比較例1と比較例2」が「1.572」、「実施例と比較例1」が「2.306」、「実施例と比較例2」が「3.878」であるところ、「効果量d」の目安が、「0.20」で効果「小」、「0.50」で効果「中」、「0.80」で効果「大」であることから、「比較例1と比較例2」、「実施例と比較例1」、「実施例と比較例2」の全てに、十分な効果があるとも言える。
更に、「調整p値」の面から見ても、この値が「比較例1と比較例2」が「0.021」、「実施例と比較例1」が「0.004」、「実施例と比較例2」が「0.000」であることから、5%有意水準(p値=0.05)で、3つ全ての帰無仮説が棄却され、同様に、3つの調整p値のうち、「実施例と比較例1」の「調整p値0.004」と、「実施例と比較例2」の「調整p値0.000」は、1%有意水準(p値=0.01)でも、帰無仮説が棄却される。
尚、表2における「実施例と比較例2」の「調整p値」が「0.000」と、「0.001」より小さいことから、実施例におけるトレーニング方法を行う(本発明に係るトレーニングシステム1を用いる)ことが、試験を終了した日(平成28年2月2日)に行ったクレペリン検査を向上させる主効果、すなわち、認知症を予防・抑制する主効果であることを意味する。
【手続補正18】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0064
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0064】
図4〜7に示されたように、実施例と比較例1と比較例2ごとの使用者U(被験者)の回答Aにおける回答数・最高得点・平均得点・最低得点の増減は、何れのグラフにおいても、実施例の増加具合(実施例を表す直線の傾き)が、比較例1や比較例2の増加具合(比較例1や比較例2を表す直線の傾き)より大きいことからも、実施例におけるトレーニング方法を行う(本発明に係るトレーニングシステム1を用いる)ことが、試験を終了した日(平成28年2月2日)に行ったクレペリン検査を向上させる、すなわち、認知症を予防・抑制することを示している。
尚、図7で示されたように、比較例1と比較例2の使用者Uの回答Aにおける最低得点は、日を追うごとに低下しているにも関わらず、実施例の使用者Uの回答Aにおける最低得点だけは、増加しており、クレペリン検査を十分に行い難い使用者Uに対しても、実施例におけるトレーニング方法を行う(本発明に係るトレーニングシステム1を用いる)ことが有効であることを示している。
【手続補正19】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0066
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0066】
本発明のトレーニングシステムは、実際に、認知症(痴呆症)を発症した使用者に用いることで、症状の悪化を抑制したり、症状の改善を図るだけでなく、認知症予備軍に対して用いることで、発症の予防にも利用可能である。