【解決手段】積層装置は、積層台29へシート体を吸着搬送する搬送装置と、積層台29に積層されたシート体を保持する保持機構30とを備えている。保持機構30は、積層台29の四隅に設けられた4つの保持部材31を備え、各保持部材31は、回転可能かつ上下方向に変位可能な軸部40と、該軸部40から延出し各シート体に対応して設けられた5つの押さえ爪42A〜42Eとを備えている。各保持部材31では、軸部40の周方向に対し、押さえ爪42Aから60°の間隔をあけて押さえ爪42Bが配置され、押さえ爪42Bから120°の間隔をあけて押さえ爪42Cが配置され、押さえ爪42Cから60°の間隔をあけて押さえ爪42Dが配置され、押さえ爪42Dから60°の間隔をあけて押さえ爪42Eが配置され、押さえ爪42Eから60°の間隔をあけて押さえ爪42Aが配置されている。
正極活物質の塗布された矩形シート状の正極箔と、負極活物質の塗布された矩形シート状の負極箔とが、絶縁性素材よりなる矩形シート状のセパレータを介して交互に積層されてなる積層体であって、その最上面及び最下面のうち少なくとも一方に矩形シート状の異種材料シートが積層されてなる積層体を製造するための積層装置であって、
前記正極箔、負極箔、セパレータ又は異種材料シートを所定の順序で所定の積層位置へと搬送し載置していく搬送手段と、
前記積層位置に積層される積層体の周囲の複数箇所にそれぞれ設けられると共に、当該各箇所にて上下方向を軸心として回転可能かつ上下方向に変位可能に設けられた複数の軸部と、
前記各軸部から水平方向に延出すると共に、前記搬送手段により前記積層位置へと搬送され載置された前記正極箔を上から押さえるための正極押さえ部材と、
前記各軸部から水平方向に延出すると共に、前記正極箔の上側に積層されるよう、前記搬送手段により前記積層位置へと搬送され載置された前記セパレータを上から押さえるための正極上セパレータ押さえ部材と、
前記各軸部から水平方向に延出すると共に、前記搬送手段により前記積層位置へと搬送され載置された前記負極箔を上から押さえるための負極押さえ部材と、
前記各軸部から水平方向に延出すると共に、前記負極箔の上側に積層されるよう、前記搬送手段により前記積層位置へと搬送され載置された前記セパレータを上から押さえるための負極上セパレータ押さえ部材と、
前記各軸部から水平方向に延出すると共に、前記搬送手段により前記積層位置へと搬送され載置された前記異種材料シートを上から押さえるための異種材料シート押さえ部材と、
前記軸部を回転させることにより、水平方向における前記各押さえ部材の位置を所定の一方向へ順次、旋回移動させる回転駆動手段と、
前記軸部を上下動させることにより、前記各押さえ部材の高さ位置を上下方向へ変位させる上下駆動手段とを備え、
前記正極押さえ部材、前記正極上セパレータ押さえ部材、前記負極押さえ部材、前記負極上セパレータ押さえ部材、及び、前記異種材料シート押さえ部材を前記軸部の周方向に対し所定順序で配置すると共に、
当該所定順序で並ぶ5つの押さえ部材のうちの1番目の押さえ部材から前記軸部の周方向に60°の間隔をあけて2番目の押さえ部材を配置し、
当該2番目の押さえ部材から前記軸部の周方向に60°の間隔をあけて3番目の押さえ部材を配置し、
当該3番目の押さえ部材から前記軸部の周方向に60°の間隔をあけて4番目の押さえ部材を配置し、
当該4番目の押さえ部材から前記軸部の周方向に60°の間隔をあけて5番目の押さえ部材を配置し、
当該5番目の押さえ部材から前記軸部の周方向に120°の間隔をあけて前記1番目の押さえ部材を配置したことを特徴とする積層装置。
前記押さえ位置に停止した際に前記積層体の所定の辺と直交しかつ前記軸部の回転軸心を通る線上における前記押さえ部材の径方向外端部が前記円弧上に位置することを特徴とする請求項3に記載の積層装置。
前記搬送手段により新たに前記積層位置へ前記正極箔、負極箔、セパレータ又は異種材料シートを搬送し載置する際には、当該新たに載置した前記正極箔、負極箔、セパレータ又は異種材料シートを当該搬送手段により押さえた状態で、
その下に既に載置された前記正極箔、負極箔、セパレータ又は異種材料シートの複数箇所を押さえている前記複数の正極押さえ部材、前記複数の正極上セパレータ押さえ部材、前記複数の負極押さえ部材、前記複数の負極上セパレータ押さえ部材、又は、前記複数の異種材料シート押さえ部材をそれぞれ、所定量上昇させると共に旋回移動させた後、
前記新たに載置した前記正極箔、負極箔、セパレータ又は異種材料シートの複数箇所を、これに対応する前記複数の正極押さえ部材、前記複数の正極上セパレータ押さえ部材、前記複数の負極押さえ部材、前記複数の負極上セパレータ押さえ部材、又は、前記複数の異種材料シート押さえ部材により押さえるよう構成されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の積層装置。
前記複数の軸部は、前記積層体の四隅のコーナー部のいずれかにそれぞれ対応して設けられると共に、該コーナー部を構成する直交する2辺のうちの一方の辺に対向する位置に設けられ、
前記搬送手段により新たに前記積層位置へ前記正極箔、負極箔、セパレータ又は異種材料シートを搬送し載置する際には、当該新たに載置した前記正極箔、負極箔、セパレータ又は異種材料シートを当該搬送手段により押さえた状態で、
その下に既に載置された前記正極箔、負極箔、セパレータ又は異種材料シートの複数のコーナー部近傍にて、該コーナー部を構成する前記2辺のうちの一方の辺を押さえている前記複数の正極押さえ部材、前記複数の正極上セパレータ押さえ部材、前記複数の負極押さえ部材、前記複数の負極上セパレータ押さえ部材、又は、前記複数の異種材料シート押さえ部材をそれぞれ、所定量上昇させると共に、該押さえ部材の径方向最外端部が少なくとも前記コーナー部を構成する前記2辺のうちの他方の辺の上を通り過ぎるように旋回移動させた後、
前記新たに載置した前記正極箔、負極箔、セパレータ又は異種材料シートの複数のコーナー部近傍にて、該コーナー部を構成する前記2辺のうちの一方の辺を、これに対応する前記複数の正極押さえ部材、前記複数の正極上セパレータ押さえ部材、前記複数の負極押さえ部材、前記複数の負極上セパレータ押さえ部材、又は、前記複数の異種材料シート押さえ部材により押さえるよう構成されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の積層装置。
前記各押さえ部材は、平板状をなし、少なくともその旋回方向側の側縁部において、該旋回方向へ向け下方傾斜した上傾斜面と、該旋回方向へ向け上方傾斜した下傾斜面とを備え、該旋回方向側の側縁部が該旋回方向へ向け先細りしていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の積層装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところが、積層体の中には、その最上面及び最下面の少なくとも一方に異種材料シートが積層されるタイプのものもある。
【0010】
かかる積層体を製造する場合、上記従来技術では、異種材料シート専用の押さえ爪が設けられていないため、異種材料シートに対して上記4つの専用の押さえ爪のうちのいずれかの爪を流用して使用することになり、異種材料シートに正極箔又は負極箔の活物質が付着してしまうおそれがある。
【0011】
これに鑑み、上記4つの専用の押さえ爪に異種材料シート専用の押さえ爪を加えた、5つの専用の押さえ爪を1つの回転軸に配置することも考えられる。
【0012】
この場合、通常であれば、
図21(a),(b)に示すように、5つの押さえ爪101が回転軸100の周りに72°の等間隔で設けられることとなる。かかる構成では、積層作業中において、回転軸100を中心に5つの押さえ爪101が72°ずつ間欠的に旋回移動し、停止位置Y1,Y2,Y3,Y4,Y5に順次停止し、積層体(シート体)103を押さえていくこととなる。
【0013】
尚、
図21(a)においては、5つの押さえ爪101を認識しやすくするため、各押さえ爪101に散点模様を付して図示している。また、
図21(b)では、簡素化のため、回転軸100を大きさを持たない点で表し、押さえ爪101を幅を持たない線(矢印)で表している。
【0014】
そして、積層作業の完了後には、各押さえ爪101を積層作業中の停止位置Y1,Y2,Y3,Y4,Y5から旋回方向に36°傾いた停止位置Y1´,Y2´,Y3´,Y4´,Y5´に停止させた状態で、積層体103の取出し作業を行うこととなる。
【0015】
ここで、各押さえ爪101に接触させることなく積層体103を取出すためには、取出時の停止位置Y1´,Y5´に停止する2つの押さえ爪101の先端を結ぶ直線Lcよりも外側に積層体103が位置するように、回転軸100の位置を設定する必要がある(
図21(b)参照)。
【0016】
その結果、上記構成では、回転軸100の位置が積層体103から遠くなり、積層装置が大型化すると共に、押さえ爪101により積層体103を押さえている範囲(押さえ代)が極めて小さくなるおそれがあった。
【0017】
図21(b)に示した例では、停止位置Y1に停止する押さえ爪101の先端から、当該押さえ爪101と上記直線Lcとの交点Pcまでの距離(押さえ爪101の長さ方向における最大押さえ代R1)は、回転軸100の回転軸心から押さえ爪101の先端までの距離(押さえ爪101の先端が通る円の半径R)の20%にも満たない。
【0018】
同様に、回転軸100の回転軸心から上記交点Pcまでの距離(回動軸100と積層体103との最短距離R2=R×cos36°)は、回転軸100の回転軸心から押さえ爪101の先端までの距離(押さえ爪101の先端が通る円の半径R)の80%以上にもなってしまう。
【0019】
さらに、積層体103をより安定して押さえるため、押さえ爪101の長さ方向における押さえ代R1を比較的大きく確保したい場合には、押さえ爪101の全体の長さR(回転軸100の回転軸心から押さえ爪101の先端までの距離)自体を長くする必要がある。その結果、回転軸100の位置がさらに積層体103から遠くなり、積層装置がさらに大型化するおそれがある。
【0020】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、装置の小型化等を図ることのできる積層装置を提供することを主たる目的の一つとしている。
【課題を解決するための手段】
【0021】
以下、上記課題を解決するのに適した各手段につき、項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果を付記する。
【0022】
手段1.正極活物質の塗布された矩形シート状の正極箔と、負極活物質の塗布された矩形シート状の負極箔とが、絶縁性素材よりなる矩形シート状のセパレータを介して交互に積層されてなる積層体であって、その最上面及び最下面のうち少なくとも一方に矩形シート状の異種材料シートが積層されてなる積層体を製造するための積層装置であって、
前記正極箔、負極箔、セパレータ又は異種材料シートを所定の順序で所定の積層位置へと搬送し載置していく搬送手段と、
前記積層位置に積層される積層体の周囲の複数箇所にそれぞれ設けられると共に、当該各箇所にて上下方向を軸心として回転可能かつ上下方向に変位可能に設けられた複数の軸部と、
前記各軸部から水平方向に延出すると共に、前記搬送手段により前記積層位置へと搬送され載置された前記正極箔を上から押さえるための正極押さえ部材と、
前記各軸部から水平方向に延出すると共に、前記正極箔の上側に積層されるよう、前記搬送手段により前記積層位置へと搬送され載置された前記セパレータを上から押さえるための正極上セパレータ押さえ部材と、
前記各軸部から水平方向に延出すると共に、前記搬送手段により前記積層位置へと搬送され載置された前記負極箔を上から押さえるための負極押さえ部材と、
前記各軸部から水平方向に延出すると共に、前記負極箔の上側に積層されるよう、前記搬送手段により前記積層位置へと搬送され載置された前記セパレータを上から押さえるための負極上セパレータ押さえ部材と、
前記各軸部から水平方向に延出すると共に、前記搬送手段により前記積層位置へと搬送され載置された前記異種材料シートを上から押さえるための異種材料シート押さえ部材と、
前記軸部を回転させることにより、水平方向における前記各押さえ部材の位置を所定の一方向へ順次、旋回移動させる回転駆動手段と、
前記軸部を上下動させることにより、前記各押さえ部材の高さ位置を上下方向へ変位させる上下駆動手段とを備え、
前記正極押さえ部材、前記正極上セパレータ押さえ部材、前記負極押さえ部材、前記負極上セパレータ押さえ部材、及び、前記異種材料シート押さえ部材を前記軸部の周方向に対し所定順序で配置すると共に、
当該所定順序で並ぶ5つの押さえ部材のうちの1番目の押さえ部材(例えば負極押さえ部材)から前記軸部の周方向に60°の間隔をあけて2番目の押さえ部材(例えば負極上セパレータ押さえ部材)を配置し、
当該2番目の押さえ部材から前記軸部の周方向に60°の間隔をあけて3番目の押さえ部材(例えば正極押さえ部材)を配置し、
当該3番目の押さえ部材から前記軸部の周方向に60°の間隔をあけて4番目の押さえ部材(例えば正極上セパレータ押さえ部材)を配置し、
当該4番目の押さえ部材から前記軸部の周方向に60°の間隔をあけて5番目の押さえ部材(例えば異種材料シート押さえ部材)を配置し、
当該5番目の押さえ部材から前記軸部の周方向に120°の間隔をあけて前記1番目の押さえ部材を配置したことを特徴とする積層装置。
【0023】
上記手段1によれば、正極箔、負極箔、セパレータ、異種材料シートなどのシート体を積層位置へ搬送し載置する搬送手段を備えると共に、正極箔を押さえる正極押さえ部材と、正極箔の上側のセパレータを押さえる正極上セパレータ押さえ部材と、負極箔を押さえる負極押さえ部材と、負極箔の上側のセパレータを押さえる負極上セパレータ押さえ部材と、異種材料シートを押さえる異種材料シート押さえ部材とを別々に備えた構成となっている。
【0024】
かかる構成により、例えば所定の押さえ部材が一方の電極箔(例えば正極箔)を押さえた際に付着した活物質(例えば正極活物質)が、他方の電極箔(例えば負極箔)に付着するおそれがないことは勿論のこと、異種材料シートにも活物質が付着するおそれがない。
【0025】
さらに、本手段では、1番目の押さえ部材(例えば負極押さえ部材)から軸部の周方向に60°の間隔をあけて2番目の押さえ部材(例えば負極上セパレータ押さえ部材)を配置し、当該2番目の押さえ部材から軸部の周方向に60°の間隔をあけて3番目の押さえ部材(例えば正極押さえ部材)を配置し、当該3番目の押さえ部材から軸部の周方向に60°の間隔をあけて4番目の押さえ部材(例えば正極上セパレータ押さえ部材)を配置し、当該4番目の押さえ部材から軸部の周方向に60°の間隔をあけて5番目の押さえ部材(例えば異種材料シート押さえ部材)を配置し、当該5番目の押さえ部材から軸部の周方向に120°の間隔をあけて1番目の押さえ部材を配置した構成となっている。つまり、5つの押さえ部材が72°の等間隔ではなく軸部の周方向に偏在した構成となっている。
【0026】
したがって、積層作業の完了後には、積層作業中に各押さえ部材が積層体を押さえる所定の押さえ位置に対し、最も間隔の広い上記120°間隔の空白区間(5番目の押さえ部材から1番目の押さえ部材までの押さえ部材が設けられていない区間)を停止させ、積層体の取出し作業を行うことができる。つまり、上記120°間隔の空白区間を取出し部として機能させることができる。
【0027】
これにより、仮に押さえ部材の長さが同一である場合には、5つの押さえ部材を72°間隔で配置する構成よりも積層体の近くに軸部を配置したとしても、各押さえ部材に接触させることなく積層体を取出すことができる。結果として、装置の小型化を図ることができる。さらに、積層作業中においては、押さえ部材が積層体を押さえられる範囲(押さえ代)が増え、積層体をより安定して押さえることができる。
【0028】
尚、シート体を4箇所(四隅)で押さえていない場合には、押さえていない箇所がめくれ、皺が寄ったり、折れ曲がった状態で、次のシート体が積層されてしまうことも懸念される。
【0029】
従って、上記手段1に係る「複数の軸部」として、「前記積層位置に積層される積層体の周囲の4箇所にそれぞれ設けられると共に、当該各箇所にて上下方向を軸心として回転可能かつ上下方向に変位可能に設けられた4つの軸部」を備えることがより好ましい。これにより、シート体の4箇所(四隅)を押さえる構成となるため、上記不具合の発生を抑制することができる。
【0030】
また、上記5つの押さえ部材のうち、「異種材料シート押さえ部材」を除く、少なくとも「正極押さえ部材」、「正極上セパレータ押さえ部材」、「負極押さえ部材」及び「負極上セパレータ押さえ部材」に関しては、「異種材料シート」を除く積層体の主要部を構成する「正極箔」、「負極箔」及び「セパレータ」を積層する順序に従い、軸部の周方向に対し所定順序で配置されていることが好ましい。
【0031】
例えば「異種材料シート」を除く積層体の主要部に関して「負極箔」、「セパレータ」、「正極箔」、「セパレータ」の順序でシート体を積層していく場合には、軸部の周方向に対し「負極押さえ部材」、「負極上セパレータ押さえ部材」、「正極押さえ部材」、「正極上セパレータ押さえ部材」の順に配置されることとなる。
【0032】
これにより、シート体が積層される毎に、軸部を所定の一方向へ順次回転させていくだけで、該シート体をそれぞれ専用の押さえ部材で押さえていくことができる。結果として、押さえ部材の切換え動作の高速化を図り、生産効率の向上を図ることができる。
【0033】
尚、「異種材料シート押さえ部材」に関しては、上記「1番目の押さえ部材」〜「5番目の押さえ部材」のいずれの位置に配置してもよい。
【0034】
例えば「5番目の押さえ部材」を「異種材料シート押さえ部材」とした場合には、少なくとも積層体の最上面に異種材料シートが積層される構成において、積層作業の完了後、所定位置に取出し部(上記120°間隔の空白区間)を位置合わせするまでの時間を短くすることができ、生産性の向上を図ることができる。
【0035】
また、「1番目の押さえ部材」を「異種材料シート押さえ部材」とした場合には、少なくとも積層体の最下面に異種材料シートが積層される構成において、前回の積層作業の完了後(積層体の取出作業の完了後)、次の積層作業において異種材料シート押さえ部材により最下面の異種材料シートを押さえるまでの時間を短くすることができ、生産性の向上を図ることができる。
【0036】
勿論、「2番目の押さえ部材」、「3番目の押さえ部材」又は「4番目の押さえ部材」を「異種材料シート押さえ部材」としてもよい。
【0037】
手段2.前記異種材料シート押さえ部材が前記3番目の押さえ部材であることを特徴とする手段1に記載の積層装置。
【0038】
上記手段2によれば、異種材料シートの積層時(積層体の積層作業の最初と最後)を除く、通常の積層作業中において、各押さえ部材を60°旋回させる第1旋回動作と、各押さえ部材を120°旋回させる第2旋回動作とを交互に繰り返す動作制御となるため、駆動制御の簡素化及び高速化を図ることができる。
【0039】
また、上記手段2の構成の下においては、「異種材料シート」を除く積層体の主要部(「正極箔」、「負極箔」及び「セパレータ」)のうち最も下層に積層されるシート体を押さえる押さえ部材を「4番目の押さえ部材」とし、最も上層に積層されるシート体を押さえる押さえ部材を「2番目の押さえ部材」とすることが好ましい。
【0040】
例えば積層体の主要部に関して「負極箔」、「セパレータ」、「正極箔」、「セパレータ」の順序でシート体を積層していく場合には、「4番目の押さえ部材」が「負極押さえ部材」となり、「2番目の押さえ部材」が「正極上セパレータ押さえ部材」となる。
【0041】
かかる構成とすれば、少なくとも積層体の最下面に異種材料シートが積層される場合において、3番目の押さえ部材(異種材料シート押さえ部材)により最下面の異種材料シートを押さえた状態から、4番目の押さえ部材により次のシート体(例えば負極箔)を押さえるまでの時間を短くすることができ、生産性の向上を図ることができる。
【0042】
また、少なくとも積層体の最上面に異種材料シートが積層される場合において、最上面の異種材料シートの前のシート体(例えば正極上セパレータ)を2番目の押さえ部材により押さえた状態から、3番目の押さえ部材(異種材料シート押さえ部材)により最上面の異種材料シートを押さえるまでの時間を短くすることができ、生産性の向上を図ることができる。
【0043】
手段3.前記各押さえ部材は、所定の押さえ位置に停止して前記積層体(正極箔、負極箔、セパレータ又は異種材料シート)を押さえる範囲(押さえ代)が、上下方向に視た平面視で、
前記軸部の回転軸心から径方向に最も離れた部位にあたる前記押さえ部材の径方向最外端部(例えば延出方向先端部)が旋回移動する際に通る軌跡により画定される円弧と、
前記軸部と対向しかつ前記押さえ位置に停止した前記押さえ部材により押さえられる前記積層体の所定の辺(辺α)により画定される線と、
前記積層体の所定の辺(辺α)、又は、前記積層体の所定の辺(辺α)及び当該所定の辺(辺α)と直交する辺(辺β)を、前記軸部を中心に前記所定の一方向(順方向)へ60°回転させることにより画定される線と、
前記積層体の所定の辺(辺α)、又は、前記積層体の所定の辺(辺α)及び当該所定の辺(辺α)と直交する辺(辺β)を、前記軸部を中心に前記所定の一方向とは逆方向へ60°回転させることにより画定される線とにより囲まれた領域内に含まれる形状を有していることを特徴とする手段1又は2に記載の積層装置。
【0044】
上記手段3によれば、押さえ部材を上記形状とすることで、積層作業や積層体の取出し作業を妨げることなく、軸部の位置をより積層体に近づけることができると共に、押さえ部材の押さえ代をより大きくすることができる。結果として、上記手段1,2の作用効果をより高めることができる。
【0045】
押さえ部材の押さえ代を大きくすることで、加圧力を広範囲に分散することができるため、シート体を傷つけることなく、保持力を高めることができる。結果として、積層体をより安定して押さえることができ、製品品質の低下抑制を図ることができる。
【0046】
手段4.前記押さえ位置に停止した際に前記積層体の所定の辺(辺α)と直交しかつ前記軸部の回転軸心を通る線上における前記押さえ部材の径方向外端部(例えば延出方向先端部)が前記円弧上に位置することを特徴とする手段3に記載の積層装置。
【0047】
上記手段4によれば、前記押さえ位置に停止した際に前記積層体の所定の辺(辺α)と直交しかつ前記軸部の回転軸心を通る線上における前記押さえ部材の径方向外端部が、上記「押さえ部材の径方向最外端部」となる。結果として、押さえ位置に停止した際に、押さえ部材の延出方向に最大の押さえ代を確保することができ、上記手段3の作用効果をより高めることができる。
【0048】
手段5.前記回転駆動手段は、
前記各押さえ部材を前記所定の一方向へ60°ずつ旋回移動可能な構成を有すると共に、
所定の場合において、前記各押さえ部材を前記所定の一方向へ120°旋回移動可能な構成、及び/又は、所定の場合において、前記各押さえ部材を前記所定の一方向へ180°旋回移動可能な構成を有していることを特徴とする手段1乃至4のいずれかに記載の積層装置。
【0049】
積層作業中、仮に各押さえ部材が常に60°ずつ旋回し、所定の押さえ位置に毎回、上記120°間隔の空白区間(5番目の押さえ部材から1番目の押さえ部材までの押さえ部材が設けられていない区間)や、異種材料シート押さえ部材が停止する構成では、押さえ部材が積層体を押さえないにも拘らず停止するといった無駄な停止動作が行われ、生産性が低下するおそれがある。
【0050】
この点、上記手段5によれば、所定の場合(例えば上記120°間隔の空白区間や異種材料シート押さえ部材を所定の押さえ位置に停止させずに通過させる場合など)において、各押さえ部材を60°旋回移動した位置で停止させることなく、さらに60°(又は120°)加えた120°(又は180°)旋回移動可能な構成を有している。
【0051】
これにより、所定の押さえ位置に上記120°間隔の空白区間や、異種材料シート押さえ部材を停止させることなく、1回の旋回移動動作で、所定の押さえ位置へ次の押さえ部材(例えば負極押さえ部材)を移動させることができる。結果として、無駄な停止動作をなくし、生産性の向上を図ることができる。
【0052】
手段6.前記搬送手段により新たに前記積層位置へ前記正極箔、負極箔、セパレータ又は異種材料シートを搬送し載置する際には、当該新たに載置した前記正極箔、負極箔、セパレータ又は異種材料シートを当該搬送手段により押さえた状態で、
その下に既に載置された前記正極箔、負極箔、セパレータ又は異種材料シートの複数箇所(例えば4箇所)を押さえている前記複数(例えば4つ)の正極押さえ部材、前記複数(例えば4つ)の正極上セパレータ押さえ部材、前記複数(例えば4つ)の負極押さえ部材、前記複数(例えば4つ)の負極上セパレータ押さえ部材、又は、前記複数(例えば4つ)の異種材料シート押さえ部材をそれぞれ、所定量上昇させると共に旋回移動させた後、
前記新たに載置した前記正極箔、負極箔、セパレータ又は異種材料シートの複数箇所(例えば4箇所)を、これに対応する前記複数(例えば4つ)の正極押さえ部材、前記複数(例えば4つ)の正極上セパレータ押さえ部材、前記複数(例えば4つ)の負極押さえ部材、前記複数(例えば4つ)の負極上セパレータ押さえ部材、又は、前記複数(例えば4つ)の異種材料シート押さえ部材により押さえるよう構成されていることを特徴とする手段1乃至5のいずれかに記載の積層装置。
【0053】
仮にシート体を搬送手段により押さえることなく、押さえ部材の切換えを行おうとした場合には、例えばシート体の複数箇所(例えば4箇所)においてそれぞれ、第1の押さえ部材(例えば正極押さえ部材)により所定のシート体(例えば正極箔)を押さえた状態で、さらにその上に別のシート体(例えばセパレータ)を重ね、当該シート体を第2の押さえ部材(例えば正極上セパレータ押さえ部材)により押さえた状態とし、その後、第1の押さえ部材を退避させるといったように、2種類の押さえ部材(第1の押さえ部材及び第2の押さえ部材)により同時に押さえた状態となるため、シート体に皺が発生するおそれがある。
【0054】
これに対し、本手段では、搬送手段によりシート体を押さえた状態で、複数箇所(例えば4箇所)の押さえ部材(正極押さえ部材、正極上セパレータ押さえ部材、負極押さえ部材、負極上セパレータ押さえ部材、異種材料シート押さえ部材)の切換えを行う構成となっている。すなわち、シート体の複数箇所(例えば4箇所)すべてを同時に解放し、当該シート体を一旦平らにした後、当該シート体を押さえる構成となっているため、皺などが発生しにくい。
【0055】
加えて、搬送手段によりシート体をより広い範囲で均一に押えつけることが可能となるため、上記作用効果をさらに高めると共に、シート体の位置ずれ等も発生しにくくなる。
【0056】
結果として、製品品質の低下抑制を図ることができる。
【0057】
手段7.前記複数(例えば4つ)の軸部は、前記積層体の四隅のコーナー部のいずれかにそれぞれ対応して設けられると共に、該コーナー部を構成する直交する2辺(辺α,β)のうちの一方の辺(辺α)に対向する位置に設けられ、
前記搬送手段により新たに前記積層位置へ前記正極箔、負極箔、セパレータ又は異種材料シートを搬送し載置する際には、当該新たに載置した前記正極箔、負極箔、セパレータ又は異種材料シートを当該搬送手段により押さえた状態で、
その下に既に載置された前記正極箔、負極箔、セパレータ又は異種材料シートの複数(例えば四隅)のコーナー部近傍にて、該コーナー部を構成する前記2辺(辺α,β)のうちの一方の辺(辺α)を押さえている前記複数(例えば4つ)の正極押さえ部材、前記複数(例えば4つ)の正極上セパレータ押さえ部材、前記複数(例えば4つ)の負極押さえ部材、前記複数(例えば4つ)の負極上セパレータ押さえ部材、又は、前記複数(例えば4つ)の異種材料シート押さえ部材をそれぞれ、所定量上昇させると共に、該押さえ部材の径方向最外端部(軸部の回転軸心から径方向に最も離れた部位)が少なくとも前記コーナー部を構成する前記2辺(辺α,β)のうちの他方の辺(辺β)の上を通り過ぎるように旋回移動させた後、
前記新たに載置した前記正極箔、負極箔、セパレータ又は異種材料シートの複数(例えば四隅)のコーナー部近傍にて、該コーナー部を構成する前記2辺(辺α,β)のうちの一方の辺(辺α)を、これに対応する前記複数(例えば4つ)の正極押さえ部材、前記複数(例えば4つ)の正極上セパレータ押さえ部材、前記複数(例えば4つ)の負極押さえ部材、前記複数(例えば4つ)の負極上セパレータ押さえ部材、又は、前記複数(例えば4つ)の異種材料シート押さえ部材により押さえるよう構成されていることを特徴とする手段1乃至5のいずれかに記載の積層装置。
【0058】
上記手段7によれば、上記手段6と同様の作用効果が奏される。さらに、本手段では、新たなシート体を載置する際(押さえ部材の切換えを行う際)、その下に既に載置されたシート体の複数(例えば四隅)のコーナー部近傍にて、該コーナー部を構成する2辺(辺α,β)のうちの一方の辺(辺α)を押さえている押さえ部材を、該押さえ部材の径方向最外端部が少なくとも前記コーナー部を構成する前記2辺(辺α,β)のうちの他方の辺(辺β)の上を通り過ぎるように旋回移動させる構成となっている。すなわち、押さえ部材がシート体のコーナー部の上を通り過ぎるように旋回移動する構成となっている。
【0059】
これにより、仮に新たに載置されたシート体のコーナー部に下側への折れ曲がりが発生した場合や、その下に既に載置されたシート体のコーナー部に上側への折れ曲がりが発生している場合には、上記押さえ部材の旋回動作により、かかる折れ曲がりを真っ直ぐに延ばすことができる。結果として、製品品質の低下抑制を図ることができる。
【0060】
手段8.前記各押さえ部材は、平板状をなし、少なくともその旋回方向側の側縁部において、該旋回方向へ向け下方傾斜した上傾斜面と、該旋回方向へ向け上方傾斜した下傾斜面とを備え、該旋回方向側の側縁部が該旋回方向へ向け先細りしていることを特徴とする手段1乃至7のいずれかに記載の積層装置。
【0061】
仮に押さえ部材の旋回方向側の側縁部が、旋回方向へ向け下方傾斜した上傾斜面のみを有する(旋回方向へ向け上方傾斜した下傾斜面がない)先細り形状となっている構成では、その上に新たに載置されたシート体に下側への折れ曲がりが発生した場合、該折れ曲がったシート体の先端部の下側に押さえ部材が入り込んでしまい、かかる折れ曲がりを真っ直ぐに延ばすことができないおそれがある。
【0062】
逆に、押さえ部材の旋回方向側の側縁部が、旋回方向へ向け上方傾斜した下傾斜面のみを有する(旋回方向へ向け下方傾斜した上傾斜面がない)先細り形状となっている構成では、その下に既に載置されたシート体に上側への折れ曲がりが発生した場合、該折れ曲がったシート体の先端部の上側に押さえ部材が回り込んでしまい、かかる折れ曲がりを真っ直ぐに延ばすことができないおそれがある。
【0063】
これに対し、本手段では、押さえ部材の旋回方向側の側縁部が、旋回方向へ向け下方傾斜した上傾斜面と、旋回方向へ向け上方傾斜した下傾斜面とを備えた先細り形状となっているため、シート体に上側又は下側へのどちらの折れ曲がりが発生した場合でも、上傾斜面又は下傾斜面により、折れ曲がったシート体の先端部を適正に誘導し、より確実に折れ曲がり部分を真っ直ぐに延ばすことができる。
【0064】
また、押さえ部材の切換え等を行う際に、シート体がめくれるのを抑制する観点から見れば、押さえ部材の上昇量を比較的小さくすることが好ましい。しかしながら、1つの回動軸に対し複数の押さえ部材を一体形成し、これが旋回動作を行う構成においては、押さえ部材の切換え等を行う際、退避位置へ退避する第1の押さえ部材と、押さえ位置へ近づいてくる第2の押さえ部材とが同じ高さで動作するため、第1の押さえ部材により浮き上がったシート体の縁に、押さえ位置へ近づいてくる第2の押さえ部材が引っかかり、シート体がめくれてしまい、折れ曲がりや皺の原因となるおそれがある。
【0065】
この点、本手段では、上記下傾斜面を備えることにより、上述した不具合の発生を抑制し、より円滑に押さえ部材の切換え等を行うことができる。
【0066】
手段9.前記押さえ部材の上下方向における前記上傾斜面の形成幅が、前記下傾斜面の形成幅よりも大きくなっていることを特徴とする手段8に記載の積層装置。
【0067】
仮に押さえ部材の上に新たに載置されたシート体に下側への折れ曲がりが発生した場合、該折れ曲がったシート体の先端部は、その下に既に載置されたシート体に当接した状態となる。そのため、押さえ部材が浮き上がることを考慮すれば、押さえ部材の下傾斜面がそれほど大きくなくとも十分にその機能を果たすことが可能となる。一方、押さえ部材の下に既に載置されたシート体に上側への折れ曲がりが発生する場合、その折れ曲がり量はその都度異なり、折れ曲がりが比較的小さい場合もある。そのため、押さえ部材の上傾斜面が比較的小さい場合には、十分にその機能を果たさないおそれがある。
【0068】
この点、本手段によれば、シート体に上側又は下側へのどちらの折れ曲がりが発生した場合にもバランスよく対応することができる。
【0069】
手段10.前記押さえ部材の旋回方向側の先端部に面取り部を形成したことを特徴とする手段8又は9に記載の積層装置。
【0070】
上記手段10によれば、押さえ部材がシート体の折れ曲がりを延ばす際に、該シート体を傷つけてしまうおそれを低減することができる。
【発明を実施するための形態】
【0072】
以下、一実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図1に示すように、リチウムイオン二次電池等の積層電池を構成する積層体4は、負極箔1、セパレータ2、正極箔3、セパレータ2がこの順序で下から順に繰り返し積み上げられることで、その主要部が形成されている。そして、積層体4の最下面及び最上面には、それぞれ異種材料シート5が積層されている。
【0073】
負極箔1及び正極箔3は、矩形状の金属箔よりなる極箔本体1A,3Aの表裏両面に活物質1B,3Bが塗布形成されることにより構成されており、活物質1B,3Bが塗布形成されてなる塗工部と、極箔本体1A,3Aが露出してなる未塗工部とを有している。
【0074】
具体的に、負極箔1の極箔本体1Aは、例えば銅により構成され、正極箔3の極箔本体3Aは、例えばアルミニウムにより構成されている。また、負極箔1の表裏両面には、負極活物質として、例えばケイ素等を含有する粒子が塗布され、正極箔3の裏表両面には、正極活物質として、例えばコバルト酸リチウム等を含有する粒子が塗布されている。
【0075】
以下、特に正・負を区別する必要のないときには、負極箔1、正極箔3を総称して「電極箔1,3」と称することもある。同様に、電極箔1,3と、セパレータ2とを区別する必要のないときには、電極箔1,3、セパレータ2を総称して「シート体」と称することもある。
【0076】
セパレータ2は、絶縁性を有する矩形シート状の多孔質樹脂フィルムにより構成されており、負極箔1及び正極箔3の平面矩形状の塗工部(活物質1B,3B)よりも一回り大きい矩形状をなしている。
【0077】
適正な積層状態において、負極箔1及び正極箔3の塗工部は、セパレータ2によって完全に覆われ、はみ出しておらず、負極箔1及び正極箔3の未塗工部のみが、それぞれ異なる位置においてセパレータ2からはみ出すようにして突出している。当該各未塗工部は、負極タブ、正極タブに相当するものであり、積層電池の内部で電極端子の負極及び正極に対しそれぞれ電気的に接続される領域となる。
【0078】
異種材料シート5は、積層体4の厚みの調整や積層体4の保護であったり、あるいは電池性能を向上の場合など、その目的に応じて材質や処理、形状あるいは厚さや大きさ等が選択される。
【0079】
例えば、異種材料シート5が保護の機能を主に果たす場合には、負極箔1及び正極箔3の塗工部、並びにセパレータ2よりも一回り大きい矩形状をなしていて、適正に積層された積層体4の最下面及び最上面において、負極箔1の塗工部及びセパレータ2を異種材料シート5が完全に覆った状態になれば効果的である。また、厚みの調整をする上では、セパレータ2あるいは負極箔1及び正極箔3の塗工部よりも小さくてもよい。
【0080】
異種材料シート5は材質によっては電極の活物質の付着を嫌うものや、または異種材料シート5の表面に剥離するような物質が塗布されている場合もあり、電極箔1,3やセパレータ2に接触しない爪によって保持される必要がある。
【0081】
図2は、積層装置(積層電池の製造装置)9の主要部分を示す概略構成図(平面図)である。同図に示すように、積層装置9は、異種材料シート供給ステージ10、セパレータ供給ステージ11、電極箔供給ステージ12、及び、積層ステージ13を備えている。
【0082】
異種材料シート供給ステージ10上には、積層の都度(積層作業の最初と最後に)、図示しない異種材料シート供給手段によって、所定のパレット49に蓄積されている上記異種材料シート5が1枚ずつ供給される。
【0083】
セパレータ供給ステージ11上には、積層の都度、図示しないセパレータ供給手段によって、所定のパレット50に蓄積されている上記セパレータ2が1枚ずつ供給される。
【0084】
電極箔供給ステージ12上には、積層の都度、図示しない電極箔供給手段によって、所定のパレット60,61に蓄積されている負極箔1又は正極箔3が、交互に1枚ずつ供給される。
【0085】
積層装置9は、異種材料シート供給ステージ10、セパレータ供給ステージ11又は電極箔供給ステージ12から積層ステージ13へ、異種材料シート5、セパレータ2又は電極箔1,3を搬送する搬送手段としての搬送装置14を備えている。
【0086】
搬送装置14は、上記各ステージ10〜13の上方を通るように設けられたガイドレール15と、当該ガイドレール15に垂下状態で支持された搬送アーム16と、当該搬送アーム16の下端に設けられた吸着手段としての吸着部17とを備えている。
【0087】
搬送アーム16は、図示しないモータ等の駆動手段によりガイドレール15に沿って移動可能に設けられていると共に、シリンダ等の駆動手段の作動により上下方向(
図2では紙面奥行方向)に伸縮可能となっている。
【0088】
搬送アーム16がガイドレール15に沿って移動することにより、吸着部17もまた、ガイドレール15に沿って移動し、搬送アーム16が伸縮することにより、吸着部17が上下動するようになっている。
【0089】
吸着部17は、搬送アーム16の下端に固定されたベース部18と、当該ベース部18の下側に設けられた多孔質体からなる吸着板19とを有している(
図14参照)。
【0090】
ベース部18の内部には、吸着板19に連通する吸引経路(図示略)が形成されている。また、ベース部18の外部には、前記吸引経路に連通するバキュームホース20が接続されている。バキュームホース20の他端側には、図示しないバキュームポンプが接続されている。そして、バキュームポンプが図示しない制御装置によってオンオフ制御されることにより、吸着部17(吸着板19)における吸着及び吸着解除を切替可能となっている。
【0091】
バキュームポンプがオン状態となると、バキュームホース20及び前記吸引経路を介して吸着板19から吸引が行われ、吸着板19の下面(吸着面)に、異種材料シート5、セパレータ2又は電極箔1,3が吸着される〔
図14(a)参照〕。
【0092】
尚、本実施形態では、後述する保持部材31(押さえ爪42)と干渉しないように、吸着部17の四隅にそれぞれ切欠き部21が形成されている(
図3等参照)。
【0093】
一方、積層ステージ13上には、電極箔1,3、セパレータ2及び異種材料シート5を積層していく積層位置において、これらを載置し積層していくための積層台29が設けられている(
図2,3等参照)。
【0094】
積層台29は、電極箔1,3、セパレータ2及び異種材料シート5よりも一回り大きな平面視略矩形状をなし、電極箔1,3、セパレータ2及び異種材料シート5は、自身の各辺が、積層台29の各辺に対し略平行するように載置される。
【0095】
尚、上述したように、電極箔1,3、セパレータ2及び異種材料シート5は、それぞれ大きさが異なり、適正な積層状態においても、例えば電極箔1,3の未塗工部がセパレータ2からはみ出し、完全にはその周囲が一致しないように構成されているが、便宜上、
図1を除く、その他の図面においては、電極箔1,3、セパレータ2及び異種材料シート5を同一矩形状で図示している。
【0096】
また、積層台29の周囲には、当該積層台29に積層された積層体4(電極箔1,3、セパレータ2及び異種材料シート5)を保持するための保持機構30が設けられている。
【0097】
保持機構30は、積層台29(積層体4)の四隅のコーナー部に対応して設けられた4つの保持部材31A,31B,31C,31Dを備えている。本実施形態に係る4つの保持部材31A,31B,31C,31Dは同期して動くように構成されている。以下、特に区別する必要のないときには、保持部材31A,31B,31C,31Dを総称して「保持部材31」と称することもある。
【0098】
次に保持部材31の構成について
図3〜
図8を参照して詳しく説明する。保持部材31は、上下方向(
図3〜
図8の紙面奥行方向)を軸心として回転可能かつ上下方向に変位可能に設けられた軸部40と、該軸部40の上端に設けられた平面視正六角形状の基部41と、該基部41の6辺のうちの5辺から軸部40の径方向外側に向け延出した平板状の5つの押さえ爪42A,42B,42C,42D,42Eとを備えている。以下、特に区別する必要のないときには、押さえ爪42A,42B,42C,42D,42Eを総称して「押さえ爪42」と称することもある。
【0099】
保持部材31の軸部40は、積層台29(積層体4)の四隅の各コーナー部を構成する直交する2辺α,βのうちの一方の辺α〔本実施形態では、積層台29(積層体4)の4辺のうち、吸着部17の移動方向と平行する
図2の左右方向に沿った2つの辺を辺αとする〕に対向する位置に設けられている。つまり、積層台29(積層体4)の4辺のうち、搬送装置14のガイドレール15を挟んで相対向する2つの辺αに沿って、2つの保持部材31(軸部40)がそれぞれ1組ずつ配置されている。
【0100】
軸部40は所定の駆動機構(
図10等参照)と接続されている。かかる駆動機構は、本実施形態における回転駆動手段及び上下駆動手段を構成するものであり、その詳細は後述する。これにより、押さえ爪42を水平方向に旋回移動させると共に、上下動させることができる。
【0101】
但し、本実施形態では、保持部材31がそれぞれ所定の一方向へのみ回転するように構成されている。より詳しくは、上記1組の保持部材31のうち、積層台29(積層体4)の側面(辺α)に向かって左側に位置する保持部材31A,31Cは平面視で反時計回り方向に回転する一方、右側に位置する保持部材31B,31Dは平面視で時計回り方向に回転する。
【0102】
また、本実施形態では、保持部材31が上記一方向に60°(360°/6)ずつ間欠的に回転可能に構成されている。これにより、押さえ爪42A,42B,42C,42D,42Eがこの順序で第1停止位置X1から第6停止位置X6に対し順に移動可能となる。
【0103】
つまり上記1組の保持部材31のうち、回転方向の異なる左側の保持部材31A(31C)と、右側の保持部材31B(31D)とでは、押さえ爪42A,42B,42C,42D,42E及び停止位置X1,X2,X3,X4,X5,X6の並び順が逆方向となっている(
図9参照)。
【0104】
より詳しくは、基部41の6辺のうちの所定の辺に押さえ爪42Aが設けられ、ここから反回転方向1つ隣りの辺に押さえ爪42Bが設けられている。また、押さえ爪42Bから反回転方向1つ隣りの辺は、押さえ爪42が設けられていない空白部(以下、空白部Kという)となっている。
【0105】
さらに、空白部Kから反回転方向1つ隣りの辺に押さえ爪42Cが設けられ、ここから反回転方向1つ隣りの辺に押さえ爪42Dが設けられている。また、押さえ爪42Dから反回転方向1つ隣りの辺に押さえ爪42Eが設けられている。
【0106】
従って、本実施形態においては、押さえ爪42Aから軸部40の周方向に60°の間隔をあけて押さえ爪42Bが配置され、当該押さえ爪42Bから軸部40の周方向に120°の間隔をあけて押さえ爪42Cが配置され、当該押さえ爪42Cから軸部40の周方向に60°の間隔をあけて押さえ爪42Dが配置され、当該押さえ爪42Dから軸部40の周方向に60°の間隔をあけて押さえ爪42Eが配置され、当該押さえ爪42Eから軸部40の周方向に60°の間隔をあけて押さえ爪42Aが配置された構成となっている。
【0107】
そして、押さえ爪42が第1停止位置X1に停止した場合に、該押さえ爪42の延出方向と、軸部40が対向する積層台29(積層体4)の辺αとが平面視で直交した状態となる。
【0108】
また、各保持部材31において、1つの押さえ爪42が第1停止位置X1に停止している場合には、他の4つの押さえ爪42が平面視で積層体4と重ならない位置に停止するように構成されている。つまり、押さえ爪42が第2停止位置X2〜第6停止位置X6にある場合には、該押さえ爪42は平面視で積層体4と重ならない状態となる。
【0109】
従って、積層台29(積層体4)上に載置されたシート体を押さえる場合には、該シート体のコーナー部近傍において該コーナー部を構成する直交する2辺α,βのうちの一方の辺αを、第1停止位置X1に停止した1つの押さえ爪42により押さえることとなる。
【0110】
また、軸部40が上下動することにより、上下方向における押さえ爪42の位置が、積層体4から上方へ離間した離間位置〔
図11、
図12参照〕と、積層体4に当接可能な当接位置〔
図10、
図13、
図14(a)〜(c)参照〕とに変位可能となる。尚、
図10〜
図14においては、積層台29に積層されたシート体の相互の間隔をあけ、積層体4を簡素化して図示している。
【0111】
本実施形態では、積層作業中の積層体4の最上面(積層開始時には積層台29上)に載置されたシート体の種類に応じて、積層体4を押さえる押さえ爪42A,42B,42C,42D,42Eの種類が切換わる構成となっている。
【0112】
より詳しくは、積層体4の最上面に載置されたシート体が負極箔1である場合には、5つの押さえ爪42A〜42Eのうち、押さえ爪42Aが使用される。以下、「押さえ爪42A」を「負極押さえ爪42A」という。「負極押さえ爪42A」が本実施形態における「負極押さえ部材」及び「4番目の押さえ部材」に相当する。
【0113】
積層体4の最上面に載置されたシート体が、負極箔1の上側に積層されるセパレータ2である場合には、5つの押さえ爪42A〜42Eのうち、押さえ爪42Bが使用される。以下、「押さえ爪42B」を「負極上セパレータ押さえ爪42B」という。「負極上セパレータ押さえ爪42B」が本実施形態における「負極上セパレータ押さえ部材」及び「5番目の押さえ部材」に相当する。
【0114】
積層体4の最上面に載置されたシート体が正極箔3である場合には、5つの押さえ爪42A〜42Eのうち、押さえ爪42Cが使用される。以下、「押さえ爪42C」を「正極押さえ爪42C」という。「正極押さえ爪42C」が本実施形態における「正極押さえ部材」及び「1番目の押さえ部材」に相当する。
【0115】
積層体4の最上面に載置されたシート体が、正極箔3の上側に積層されるセパレータ2である場合には、5つの押さえ爪42A〜42Eのうち、押さえ爪42Dが使用される。以下、「押さえ爪42D」を「正極上セパレータ押さえ爪42D」という。「正極上セパレータ押さえ爪42D」が本実施形態における「正極上セパレータ押さえ部材」及び「2番目の押さえ部材」に相当する。
【0116】
積層体4の最上面(積層開始時には積層台29上)に載置されたシート体が異種材料シート5である場合には、5つの押さえ爪42A〜42Eのうち、押さえ爪42Eが使用される。以下、「押さえ爪42E」を「異種材料シート押さえ爪42E」という。「異種材料シート押さえ爪42E」が本実施形態における「異種材料シート押さえ部材」及び「3番目の押さえ部材」に相当する。
【0117】
次に、各保持部材31(軸部40)を駆動する駆動機構について、保持部材31Aに係る駆動機構を例に
図10〜
図13を参照して説明する。本実施形態では、4つの保持部材31A,31B,31C,31Dに係る4つの駆動機構が連動することにより、4つの保持部材31A,31B,31C,31Dが同期して動くように構成されている。
【0118】
図10等に示すように、軸部40は、積層台29の側面に設けられた支持部50により支持されている。より詳しくは、支持部50には上下方向に沿って挿通孔51が形成されており、ここに軸部40が挿通されている。これにより、軸部40は、支持部50に対し回転可能かつ上下動可能な状態となっている。
【0119】
支持部50の上面には、円筒状の規制カム55が、軸部40を挿通した状態で取付固定されている。規制カム55には、その上縁部を切欠くようにして形成されたU字状の溝部56が周方向に60°間隔で6箇所に設けられている。
【0120】
これに対応して、軸部40の周面には、径方向外側に向け突出しかつ溝部56に対し挿込み可能な規制突部57が形成されている。但し、規制突部57は、軸部40の周方向の1箇所にのみ設けられている。そして、6箇所の溝部56のうちのいずれかに規制突部57が挿し込まれることで、押さえ爪42が停止位置X1〜X6のいずれかに停止した状態となる。
【0121】
また、軸部40には、支持部50よりも下方位置において、その周面から径方向外側に突出形成されたフランジ部60が設けられている。フランジ部60と支持部50の下面との間にはコイルばね61が取付けられている。かかる構成により、軸部40が下方に押し下げられ、押さえ爪42によって積層体4を押さえることができる。
【0122】
一方、軸部40の下方位置には、円筒状の作動カム63が配置されている。作動カム63は、図示しない駆動手段により、上下方向を軸心として回転可能かつ上下方向に変位可能に設けられている。
【0123】
尚、作動カム63を駆動する駆動手段としては、作動カム63を上下動させるための直動型の流体圧シリンダ(上下駆動手段)や、作動カム63を回転させるためのロータリシリンダ(回転駆動手段)などを組み合わせた構成が一例に挙げられる。勿論、駆動手段の構成はこれに限定されるものではなく、他の駆動手段を採用してもよい。
【0124】
作動カム63には、その上縁部を切欠くようにして形成された一対のカム面64が設けられている。一対のカム面64は、作動カム63の軸心を挟んで相対向する位置、すなわち周方向に180°の間隔をあけて形成されている。
【0125】
カム面64は、それぞれ作動カム63の周方向における中心角60°分の範囲に形成されると共に、所定の一回転方向(保持部材31Aでは反時計回り方向)に沿って上から下に傾斜していくスロープ形状となっている。
【0126】
これに対応して、軸部40の下端部には、径方向外側に向け突出しかつ作動カム63のカム面64と当接可能な一対の作動ピン65が設けられている。一対の作動ピン65は、軸部40の軸心を挟んで相対向する位置、すなわち周方向に180°の間隔をあけて形成されている。
【0127】
次に上記駆動機構の動作について
図10〜
図13を参照して詳しく説明する。保持部材31の停止中(各押さえ爪42が停止位置X1〜X6のいずれかに停止している間)は、作動カム63は待機状態となり、最下端の基準位置にて停止している(
図10参照)。かかる状態では、コイルばね61の付勢力により、軸部40及び押さえ爪42が下方に押し下げられた状態となっている。
図10に示す例では、第1停止位置X1に負極押さえ爪42Aが停止し積層体4を押さえている。
【0128】
そして、押さえ爪42を旋回移動させる際には、作動カム63を上昇させる。作動カム63を上昇させていくと、作動カム63(カム面64)が軸部40の作動ピン65と当接し、これを介して軸部40が押し上げられていく。
【0129】
これにより、各押さえ爪42が上方へ移動し、第1停止位置X1においては積層体4から離間する。但し、上昇開始当初は、規制突部57が規制カム55の溝部56内に挿し込まれた状態が維持されており、軸部40は回転しないため、各押さえ爪42の旋回方向における位置は変わらない。
【0130】
各押さえ爪42が所定の高さ位置まで押し上げられると、規制突部57が規制カム55の溝部56から抜け出した状態となる(
図11参照)。かかる状態となると、軸部40の回転が許容されるため、作動カム63が上昇していくにつれ、作動ピン65の位置が作動カム63のカム面64に沿って移動していく。つまり、軸部40が所定の一方向(保持部材31Aでは反時計回り方向)に回転し、各押さえ爪42が所定の高さ位置で水平方向に旋回移動する。
【0131】
そして、各押さえ爪42が軸部40の周方向に60°旋回移動したところで、作動ピン65がカム面64の下端部に到達し、各押さえ爪42の旋回移動が停止する(
図12参照)。
【0132】
ここで、作動カム63を降下させていくと、コイルばね61の付勢力により、軸部40が下方に押し下げられる。これにより、規制突部57が旋回移動前に位置した規制カム55の溝部56とは異なる1つ隣の溝部56に挿し込まれることとなる。つまり、各押さえ爪42が旋回移動前に位置した停止位置X1〜X6とは異なる1つ隣の停止位置X1〜X6にて降下し停止することとなる(
図13参照)。
図13に示す例では、第1停止位置X1に負極上セパレータ押さえ爪42Bが停止し積層体4を押さえている。
【0133】
尚、作動カム63は基準位置に戻ると同時に、所定の一方向(保持部材31Aでは反時計回り方向)に60°回転する。これにより、作動カム63(カム面64)と軸部40の作動ピン65と相対位置関係が上記待機状態における位置関係となる(
図10参照)。
【0134】
上記一連の動作を繰り返すことで、各押さえ爪42を所定の一方向へ60°ずつ旋回移動させることができる。
【0135】
但し、本実施形態では、積層作業の開始時において「空白部K」を第1停止位置X1(押さえ位置)から旋回移動させ、かつ「異種材料シート押さえ爪42E」を第1停止位置X1へ旋回移動させる際(
図5の状態から
図8の状態へ旋回移動させる際)、及び、積層作業の終了時(積層体4の取出し作業の開始時)において「異種材料シート押さえ爪42E」を第1停止位置X1から旋回移動させ、かつ「空白部K」を第1停止位置X1へ旋回移動させる際(
図8の状態から
図5の状態へ旋回移動させる際)には、上述した作動ピン65がカム面64の下端部に到達するタイミング(
図12参照)に合わせて、作動カム63を所定の一方向(保持部材31Aでは反時計回り方向)に120°回転する。これにより、各押さえ爪42を60°旋回移動した位置で停止させることなく、さらに120°加えた180°旋回移動することができる。
【0136】
また、本実施形態では、上記積層作業の開始時及び終了時を除く、通常の積層作業中において、「負極上セパレータ押さえ爪42B」を第1停止位置X1(押さえ位置)から旋回移動させ、かつ「正極押さえ爪42C」を第1停止位置X1へ旋回移動させる際(
図4の状態から
図6の状態へ旋回移動させる際)、及び、「正極上セパレータ押さえ爪42D」を第1停止位置X1から旋回移動させ、かつ「負極押さえ爪42A」を第1停止位置X1へ旋回移動させる際(
図7の状態から
図3の状態へ旋回移動させる際)には、上述した作動ピン65がカム面64の下端部に到達するタイミング(
図12参照)に合わせて、作動カム63を所定の一方向(保持部材31Aでは反時計回り方向)に60°回転する。これにより、各押さえ爪42を60°旋回移動した位置で停止させることなく、さらに60°加えた120°旋回移動することができる。
【0137】
但し、積層作業の開始当初、最下面の異種材料シート5を押さえていた「異種材料シート押さえ爪42E」を第1停止位置X1から旋回移動させ、かつ「負極押さえ爪42A」を第1停止位置X1へ旋回移動させる際(
図8の状態から
図3の状態へ旋回移動させる際)、及び、積層作業の最終段階で、「正極上セパレータ押さえ爪42D」を第1停止位置X1から旋回移動させ、かつ「異種材料シート押さえ爪42E」を第1停止位置X1へ旋回移動させる際(
図7の状態から
図8の状態へ旋回移動させる際)には、所定の一方向へ60°旋回移動させることとなる。
【0138】
次に、上記の積層装置9を用いた積層体4の積層手順について説明する。本実施形態では、まず最初に最下面の異種材料シート5を積層する最下面異種材料シート積層工程を行う。その後、負極箔1を積層する負極箔積層工程、その上にセパレータ2を積層する第1セパレータ積層工程、その上に正極箔3を積層する正極箔積層工程、その上にセパレータ2を積層する第2セパレータ積層工程をこの順序で所定回数繰り返す。そして、最後に最上面の異種材料シート5を積層する最上面異種材料シート積層工程を行うことで、積層体4が完成する。
【0139】
最下面異種材料シート積層工程が開始されると、先ず搬送装置14の吸着部17が異種材料シート供給ステージ10上へと案内される。ここで、吸着部17は、下降して、異種材料シート供給ステージ10上に供給された異種材料シート5を吸着する。
【0140】
続いて、異種材料シート5を吸着した吸着部17が、積層ステージ13の積層台29上へと案内される〔
図14(a)参照〕。ここで、吸着部17は、異種材料シート5を吸着した状態のまま下降して、当該異種材料シート5を積層台29上へ載置する。そして、吸着部17は、異種材料シート5を下方(積層台29)へ押さえ付けた状態で停止する。
【0141】
尚、
図10〜
図16では、既に積層台29上に複数のシート体が積層され、積層体4が存在する場合が図示されているが、最下面異種材料シート積層工程が開始された段階では、積層台29上に積層体4は存在せず、異種材料シート5は積層台29上に直接載置されることとなる。
【0142】
最下面異種材料シート積層工程の開始当初、第1停止位置X1(押さえ位置)には、前回の積層作業の完了時(積層体4の取出し時)のまま、空白部Kが停止した状態となっている(
図5参照)。つまり、第2停止位置X2に負極上セパレータ押さえ爪42Bが停止し、第3停止位置X3に負極押さえ爪42Aが停止し、第4停止位置X4に異種材料シート押さえ爪42Eが停止し、第5停止位置X5に正極上セパレータ押さえ爪42Dが停止し、第6停止位置X6に正極押さえ爪42Cが停止している。
【0143】
積層台29上に異種材料シート5が載置されると、保持部材31が上昇し(
図11参照)、押さえ爪42の高さ位置が、載置された異種材料シート5の高さ位置よりも高い位置となる。
【0144】
続いて、保持部材31が180°回転し(
図12参照)、異種材料シート押さえ爪42Eを第4停止位置X4から第1停止位置X1(押さえ位置)へと旋回移動させる(
図8参照)。同時に第2停止位置X2に正極上セパレータ押さえ爪42Dが移動し、第3停止位置X3に正極押さえ爪42Cが移動し、第4停止位置X4に空白部Kが移動し、第5停止位置X5に負極上セパレータ押さえ爪42Bが移動し、第6停止位置X6に負極押さえ爪42Aが移動する。
【0145】
異種材料シート押さえ爪42Eが第1停止位置X1(押さえ位置)へ移動すると、ここで保持部材31が下降する(
図13参照)。これにより、異種材料シート押さえ爪42Eが、異種材料シート5上方に離間した離間位置から、異種材料シート5に当接可能な当接位置へと変位する。そして、異種材料シート5の四隅の各コーナー部近傍が異種材料シート押さえ爪42Eにより押さえられた状態となる〔
図10、
図14(c)参照〕。
【0146】
異種材料シート押さえ爪42Eにより異種材料シート5の四隅が押さえられた状態となると、吸着部17による吸引を停止し、異種材料シート5の吸着を解除する。そして、吸着部17が上昇し、負極箔積層工程へと移行する。
【0147】
尚、以下の各積層工程でも同様であるが、吸着部17による吸引停止(シート体の吸着解除)のタイミングは、上記タイミングによらず、吸着部17がシート体を下方へ押さえ付け、シート体が位置ズレ等を起こさない状態となった後であれば、いつでもよい。
【0148】
負極箔積層工程が開始されると、先ず搬送装置14の吸着部17が電極箔供給ステージ12上へと案内される。ここで、吸着部17は、下降して、電極箔供給ステージ12上に供給された負極箔1を吸着する。
【0149】
続いて、負極箔1を吸着した吸着部17が、積層ステージ13の積層台29上へと案内される〔
図14(a)参照〕。ここで、吸着部17は、負極箔1を吸着した状態のまま下降して、当該負極箔1を上記異種材料シート5上へ載置する。そして、吸着部17は、負極箔1を下方(異種材料シート5)へ押さえ付けた状態で停止する。
【0150】
この際、異種材料シート5の各コーナー部近傍が異種材料シート押さえ爪42Eにより押さえられた状態が維持されており、吸着部17の周縁部より外方へはみ出した負極箔1のはみ出し部分は、異種材料シート5を押さえている異種材料シート押さえ爪42Eの上に載った状態となる〔
図14(b)参照〕。
【0151】
異種材料シート5上に負極箔1が載置されると、各保持部材31は所定量上昇すると共に、回転する(
図11,12参照)。これにより、異種材料シート押さえ爪42Eは、異種材料シート5から若干浮き上がった状態で、第1停止位置X1から第2停止位置X2へと旋回移動する(
図9参照)。
【0152】
この際、異種材料シート押さえ爪42Eの先端部43は、少なくとも積層体4(異種材料シート5)の各コーナー部を構成する2辺α,βのうち、第1停止位置X1にて異種材料シート押さえ爪42Eが押さえていた一方の辺αとは異なる他方の辺βの上を通り過ぎるように旋回移動する。
【0153】
換言すれば、積層体4の1つの辺αに沿って設けられた上記1組の保持部材31においては、それぞれ押さえ爪42の先端部43が、該1つの辺αに対し直交する積層体4の2つの辺βのうち、軸部40からの距離が短い方の辺βの上を通り過ぎるように旋回移動する。つまり、上記1組の保持部材31のうち、左側に位置する保持部材31A,31Cにおいては、該1つの辺αに対し直交する2つの辺βのうち、左側の辺βの上を押さえ爪42の先端部43が通り過ぎるように旋回し、右側に位置する保持部材31B,31Dにおいては、該1つの辺αに対し直交する2つの辺βのうち、右側の辺βの上を押さえ爪42の先端部43が通り過ぎるように旋回する。
【0154】
これにより、仮に異種材料シート5のコーナー部に上側への折れ曲がりM1が発生している場合(
図9,16参照)や、異種材料シート5の上に載置された負極箔1のコーナー部に下側への折れ曲がりM2が発生した場合(
図15参照)には、異種材料シート押さえ爪42Eの旋回動作により、かかる折れ曲がりM1,M2が真っ直ぐに延ばされる。結果として、かかる異種材料シート5及び負極箔1は、波打つことなく平坦な状態となり、適正に重なり合った状態となる。
【0155】
異種材料シート押さえ爪42Eと入れ替わるように、第1停止位置X1(押さえ位置)には、負極押さえ爪42Aが第6停止位置X6から旋回移動してくる(
図3参照)。同時に第3停止位置X3に正極上セパレータ押さえ爪42Dが移動し、第4停止位置X4に正極押さえ爪42Cが移動し、第5停止位置X5に空白部Kが移動し、第6停止位置X6に負極上セパレータ押さえ爪42Bが移動する。
【0156】
負極押さえ爪42Aが第1停止位置X1(押さえ位置)へ移動すると、ここで保持部材31が下降する(
図13参照)。これにより、負極押さえ爪42Aが、負極箔1上方に離間した離間位置から、負極箔1に当接可能な当接位置へと変位する。そして、負極箔1の四隅の各コーナー部近傍が負極押さえ爪42Aにより押さえられた状態となる〔
図10、
図14(c)参照〕。
【0157】
負極押さえ爪42Aにより負極箔1の四隅が押さえられた状態となると、吸着部17による吸引を停止し、負極箔1の吸着を解除する。そして、吸着部17が上昇し、第1セパレータ積層工程へと移行する。
【0158】
第1セパレータ積層工程が開始されると、吸着部17がセパレータ供給ステージ11上へと案内される。ここで、吸着部17は、下降して、セパレータ供給ステージ11上に供給されたセパレータ2を吸着する。
【0159】
続いて、セパレータ2を吸着した吸着部17が、積層ステージ13の積層台29上へと案内される〔
図14(a)参照〕。ここで、吸着部17は、セパレータ2を吸着した状態のまま下降して、当該セパレータ2を上記負極箔1上へ載置する。そして、吸着部17は、セパレータ2を下方(負極箔1)へ押さえ付けた状態で停止する。
【0160】
この際、負極箔1の各コーナー部近傍が負極押さえ爪42Aにより押さえられた状態が維持されており、吸着部17の周縁部より外方へはみ出したセパレータ2のはみ出し部分は、負極箔1を押さえている負極押さえ爪42Aの上に載った状態となる〔
図14(b)参照〕。
【0161】
負極箔1上にセパレータ2が載置されると、各保持部材31は所定量上昇すると共に、回転する(
図11,12参照)。これにより、負極押さえ爪42Aは、負極箔1から若干浮き上がった状態で、第1停止位置X1から第2停止位置X2へと旋回移動する。
【0162】
この際、負極押さえ爪42Aの先端部43は、少なくとも積層体4(負極箔1)の各コーナー部を構成する2辺α,βのうち、第1停止位置X1にて負極押さえ爪42Aが押さえていた一方の辺αとは異なる他方の辺βの上を通り過ぎるように旋回移動する。
【0163】
これにより、仮に負極箔1のコーナー部に上側への折れ曲がりM1が発生している場合(
図9,16参照)や、負極箔1の上に載置されたセパレータ2のコーナー部に下側への折れ曲がりM2が発生した場合(
図15参照)には、負極押さえ爪42Aの旋回動作により、かかる折れ曲がりM1,M2が真っ直ぐに延ばされる。結果として、かかる負極箔1及びセパレータ2は、波打つことなく平坦な状態となり、適正に重なり合った状態となる。
【0164】
負極押さえ爪42Aと入れ替わるように、第1停止位置X1(押さえ位置)には、負極上セパレータ押さえ爪42Bが第6停止位置X6から旋回移動してくる(
図4参照)。同時に第3停止位置X3に異種材料シート押さえ爪42Eが移動し、第4停止位置X4に正極上セパレータ押さえ爪42Dが移動し、第5停止位置X5に正極押さえ爪42Cが移動し、第6停止位置X6に空白部Kが移動する。
【0165】
負極上セパレータ押さえ爪42Bが第1停止位置X1(押さえ位置)へ移動すると、ここで保持部材31が下降する(
図13参照)。これにより、負極上セパレータ押さえ爪42Bが、セパレータ2上方に離間した離間位置から、セパレータ2に当接可能な当接位置へと変位する。そして、セパレータ2の四隅の各コーナー部近傍が負極上セパレータ押さえ爪42Bにより押さえられた状態となる〔
図10、
図14(c)参照〕。
【0166】
負極上セパレータ押さえ爪42Bによりセパレータ2の四隅が押さえられた状態となると、吸着部17による吸引を停止し、セパレータ2の吸着を解除する。そして、吸着部17が上昇し、正極箔積層工程へと移行する。
【0167】
正極箔積層工程が開始されると、吸着部17が電極箔供給ステージ12上へと案内される。ここで、吸着部17は、下降して、電極箔供給ステージ12上に供給された正極箔3を吸着する。
【0168】
続いて、正極箔3を吸着した吸着部17が、積層ステージ13の積層台29上へと案内される〔
図14(a)参照〕。
【0169】
ここで、吸着部17は、正極箔3を吸着した状態のまま下降して、当該正極箔3を上記セパレータ2上へ載置する。そして、吸着部17は、正極箔3を下方(セパレータ2)へ押さえ付けた状態で停止する。
【0170】
この際、セパレータ2の各コーナー部が負極上セパレータ押さえ爪42Bにより押さえられた状態が維持されており、吸着部17の周縁部より外方へはみ出した正極箔3のはみ出し部分は、セパレータ2を押さえている負極上セパレータ押さえ爪42Bの上に載った状態となる〔
図14(b)参照〕。
【0171】
セパレータ2上に正極箔3が載置されると、各保持部材31は所定量上昇すると共に、回転する(
図11,12参照)。これにより、負極上セパレータ押さえ爪42Bは、セパレータ2から若干浮き上がった状態で、第1停止位置X1から第2停止位置X2へと旋回移動する。
【0172】
この際、負極上セパレータ押さえ爪42Bの先端部43は、少なくとも積層体4(セパレータ2)の各コーナー部を構成する2辺α,βのうち、第1停止位置X1にて負極上セパレータ押さえ爪42Bが押さえていた一方の辺αとは異なる他方の辺βの上を通り過ぎるように旋回移動する。
【0173】
これにより、仮にセパレータ2のコーナー部に上側への折れ曲がりM1が発生している場合(
図9,16参照)や、セパレータ2の上に載置された正極箔3のコーナー部に下側への折れ曲がりM2が発生した場合(
図15参照)には、負極上セパレータ押さえ爪42Bの旋回動作により、かかる折れ曲がりM1,M2が真っ直ぐに延ばされる。結果として、かかるセパレータ2及び正極箔3は、波打つことなく平坦な状態となり、適正に重なり合った状態となる。
【0174】
負極上セパレータ押さえ爪42Bと入れ替わるように、第1停止位置X1(押さえ位置)には、空白部Kが第6停止位置X6から旋回移動してくる(
図5参照)。同時に第3停止位置X3に負極押さえ爪42Aが移動し、第4停止位置X4に異種材料シート押さえ爪42Eが移動し、第5停止位置X5に正極上セパレータ押さえ爪42Dが移動し、第6停止位置X6に正極押さえ爪42Cが移動する。
【0175】
尚、正極箔積層工程においては、負極上セパレータ押さえ爪42Bは、第1停止位置X1から第2停止位置X2へと旋回移動した後(
図5参照)、第2停止位置X2に停止することなく、続けて第3停止位置X3へと旋回移動する(
図6参照)。つまり、空白部Kは、第6停止位置X6から第1停止位置X1(押さえ位置)へと旋回移動した後、第1停止位置X1に停止することなく、続けて第2停止位置X2へと旋回移動する。これにより、空白部Kと入れ替わるように、第1停止位置X1(押さえ位置)には、正極押さえ爪42Cが第6停止位置X6に停止することなく第5停止位置X5から旋回移動してくる。同時に負極押さえ爪42Aが第3停止位置X3に停止することなく第2停止位置X2から第4停止位置X4に移動し、異種材料シート押さえ爪42Eが第4停止位置X4に停止することなく第3停止位置X3から第5停止位置X5に移動し、正極上セパレータ押さえ爪42Dが第5停止位置X5に停止することなく第4停止位置X4から第6停止位置X6に移動する。
【0176】
正極押さえ爪42Cが第1停止位置X1(押さえ位置)へ移動すると、ここで保持部材31が下降する(
図13参照)。これにより、正極押さえ爪42Cが、正極箔3上方に離間した離間位置から、正極箔3に当接可能な当接位置へと変位する。そして、正極箔3の四隅の各コーナー部近傍が正極押さえ爪42Cにより押さえられた状態となる〔
図10、
図14(c)参照〕。
【0177】
正極押さえ爪42Cにより正極箔3の四隅が押さえられた状態となると、吸着部17による吸引を停止し、正極箔3の吸着を解除する。そして、吸着部17が上昇し、第2セパレータ積層工程へと移行する。
【0178】
第2セパレータ積層工程が開始されると、吸着部17がセパレータ供給ステージ11上へと案内される。ここで、吸着部17は、下降して、セパレータ供給ステージ11上に供給されたセパレータ2を吸着する。
【0179】
続いて、セパレータ2を吸着した吸着部17が、積層ステージ13の積層台29上へと案内される〔
図14(a)参照〕。
【0180】
ここで、吸着部17は、セパレータ2を吸着した状態のまま下降して、当該セパレータ2を上記正極箔3上へ載置する。そして、吸着部17は、セパレータ2を下方(正極箔3)へ押さえ付けた状態で停止する。
【0181】
この際、正極箔3の各コーナー部近傍が正極押さえ爪42Cにより押さえられた状態が維持されており、吸着部17の周縁部より外方へはみ出したセパレータ2のはみ出し部分は、正極箔3を押さえている正極押さえ爪42Cの上に載った状態となる〔
図14(b)参照〕。
【0182】
正極箔3上にセパレータ2が載置されると、各保持部材31は所定量上昇すると共に、回転する(
図11,12参照)。これにより、正極押さえ爪42Cは、正極箔3から若干浮き上がった状態で、第1停止位置X1から第2停止位置X2へと旋回移動する。
【0183】
この際、正極押さえ爪42Cの先端部43は、少なくとも積層体4(正極箔3)の各コーナー部を構成する2辺α,βのうち、第1停止位置X1にて正極押さえ爪42Cが押さえていた一方の辺αとは異なる他方の辺βの上を通り過ぎるように旋回移動する。
【0184】
これにより、仮に正極箔3のコーナー部に上側への折れ曲がりM1が発生している場合(
図9,16参照)や、正極箔3の上に載置されたセパレータ2のコーナー部に下側への折れ曲がりM2が発生した場合(
図15参照)には、正極押さえ爪42Cの旋回動作により、かかる折れ曲がりM1,M2が真っ直ぐに延ばされる。結果として、かかる正極箔3及びセパレータ2は、波打つことなく平坦な状態となり、適正に重なり合った状態となる。
【0185】
正極押さえ爪42Cと入れ替わるように、第1停止位置X1(押さえ位置)には、正極上セパレータ押さえ爪42Dが第6停止位置X6から旋回移動してくる(
図7参照)。同時に第3停止位置X3に空白部Kが移動し、第4停止位置X4に負極上セパレータ押さえ爪42Bが移動し、第5停止位置X5に負極押さえ爪42Aが移動し、第6停止位置X6に異種材料シート押さえ爪42Eが移動する。
【0186】
正極上セパレータ押さえ爪42Dが第1停止位置X1(押さえ位置)へ移動すると、ここで保持部材31が下降する(
図13参照)。これにより、正極上セパレータ押さえ爪42Dが、セパレータ2上方に離間した離間位置から、セパレータ2に当接可能な当接位置へと変位する。そして、セパレータ2の四隅の各コーナー部近傍が正極上セパレータ押さえ爪42Dにより押さえられた状態となる〔
図10、
図14(c)参照〕。
【0187】
正極上セパレータ押さえ爪42Dによりセパレータ2の四隅が押さえられた状態となると、吸着部17による吸引を停止し、セパレータ2の吸着を解除する。そして、吸着部17が上昇し、2順目の負極箔積層工程へと移行する。
【0188】
2順目の負極箔積層工程が開始されると、吸着部17が電極箔供給ステージ12上へと案内される。ここで、吸着部17は、下降して、電極箔供給ステージ12上に供給された負極箔1を吸着する。
【0189】
続いて、負極箔1を吸着した吸着部17が、積層ステージ13の積層台29上へと案内される〔
図14(a)参照〕。ここで、吸着部17は、負極箔1を吸着した状態のまま下降して、当該負極箔1をセパレータ2上へ載置する。そして、吸着部17は、負極箔1を下方(セパレータ2)へ押さえ付けた状態で停止する。
【0190】
この際、セパレータ2の各コーナー部が正極上セパレータ押さえ爪42Dにより押さえられた状態が維持されており、吸着部17の周縁部より外方へはみ出した負極箔1のはみ出し部分は、セパレータ2を押さえている正極上セパレータ押さえ爪42Dの上に載った状態となる〔
図14(b)参照〕。
【0191】
セパレータ2上に負極箔1が載置されると、各保持部材31は所定量上昇すると共に、回転する(
図11,12参照)。これにより、正極上セパレータ押さえ爪42Dは、セパレータ2から若干浮き上がった状態で、第1停止位置X1から第2停止位置X2へと旋回移動する。
【0192】
この際、正極上セパレータ押さえ爪42Dの先端部43は、少なくとも積層体4(セパレータ2)の各コーナー部を構成する2辺α,βのうち、第1停止位置X1にて正極上セパレータ押さえ爪42Dが押さえていた一方の辺αとは異なる他方の辺βの上を通り過ぎるように旋回移動する。
【0193】
これにより、仮にセパレータ2のコーナー部に上側への折れ曲がりM1が発生している場合(
図9,16参照)や、セパレータ2の上に載置された負極箔1のコーナー部に下側への折れ曲がりM2が発生した場合(
図15参照)には、正極上セパレータ押さえ爪42Dの旋回動作により、かかる折れ曲がりM1,M2が真っ直ぐに延ばされる。結果として、かかるセパレータ2及び負極箔1は、波打つことなく平坦な状態となり、適正に重なり合った状態となる。
【0194】
正極上セパレータ押さえ爪42Dと入れ替わるように、第1停止位置X1(押さえ位置)には、異種材料シート押さえ爪42Eが第6停止位置X6から旋回移動してくる(
図8参照)。同時に第3停止位置X3に正極押さえ爪42Cが移動し、第4停止位置X4に空白部Kが移動し、第5停止位置X5に負極上セパレータ押さえ爪42Bが移動し、第6停止位置X6に負極押さえ爪42Aが移動する。
【0195】
尚、2順目以降の負極箔積層工程においては、正極上セパレータ押さえ爪42Dは、第1停止位置X1から第2停止位置X2へと旋回移動した後(
図8参照)、第2停止位置X2に停止することなく、続けて第3停止位置X3へと旋回移動する(
図3参照)。つまり、異種材料シート押さえ爪42Eは、第6停止位置X6から第1停止位置X1(押さえ位置)へと旋回移動した後、第1停止位置X1に停止することなく、続けて第2停止位置X2へと旋回移動する。これにより、異種材料シート押さえ爪42Eと入れ替わるように、第1停止位置X1(押さえ位置)には、負極押さえ爪42Aが第6停止位置X6に停止することなく第5停止位置X5から旋回移動してくる。同時に正極押さえ爪42Cが第3停止位置X3に停止することなく第2停止位置X2から第4停止位置X4に移動し、空白部Kが第4停止位置X4に停止することなく第3停止位置X3から第5停止位置X5に移動し、負極上セパレータ押さえ爪42Bが第5停止位置X5に停止することなく第4停止位置X4から第6停止位置X6に移動する。
【0196】
以降、上述したように、「負極箔積層工程」→「第1セパレータ積層工程」→「正極箔積層工程」→「第2セパレータ積層工程」をこの順序で所定回数繰り返すことで、下から順に負極箔1、セパレータ2、正極箔3、セパレータ2が繰り返し積み上げられた状態となる。
【0197】
そして、最後の第2セパレータ積層工程が終了すると、最上面異種材料シート積層工程へと移行する。最上面異種材料シート積層工程が開始されると、吸着部17が異種材料シート供給ステージ10上へと案内される。ここで、吸着部17は、下降して、異種材料シート供給ステージ10上に供給された異種材料シート5を吸着する。
【0198】
続いて、異種材料シート5を吸着した吸着部17が、積層ステージ13の積層台29上へと案内される〔
図14(a)参照〕。ここで、吸着部17は、異種材料シート5を吸着した状態のまま下降して、当該異種材料シート5をセパレータ2上へ載置する。そして、吸着部17は、異種材料シート5を下方(セパレータ2)へ押さえ付けた状態で停止する。
【0199】
この際、セパレータ2の各コーナー部近傍が正極上セパレータ押さえ爪42Dにより押さえられた状態が維持されており、吸着部17の周縁部より外方へはみ出した異種材料シート5のはみ出し部分は、セパレータ2を押さえている正極上セパレータ押さえ爪42Dの上に載った状態となる〔
図14(b)参照〕。
【0200】
セパレータ2上に異種材料シート5が載置されると、各保持部材31は所定量上昇すると共に、回転する(
図11,12参照)。これにより、正極上セパレータ押さえ爪42Dは、セパレータ2から若干浮き上がった状態で、第1停止位置X1から第2停止位置X2へと旋回移動する。
【0201】
この際、正極上セパレータ押さえ爪42Dの先端部43は、少なくとも積層体4(セパレータ2)の各コーナー部を構成する2辺α,βのうち、第1停止位置X1にて正極上セパレータ押さえ爪42Dが押さえていた一方の辺αとは異なる他方の辺βの上を通り過ぎるように旋回移動する。
【0202】
これにより、仮にセパレータ2のコーナー部に上側への折れ曲がりM1が発生している場合(
図9,16参照)や、セパレータ2の上に載置された異種材料シート5のコーナー部に下側への折れ曲がりM2が発生した場合(
図15参照)には、正極上セパレータ押さえ爪42Dの旋回動作により、かかる折れ曲がりM1,M2が真っ直ぐに延ばされる。結果として、かかるセパレータ2及び異種材料シート5は、波打つことなく平坦な状態となり、適正に重なり合った状態となる。
【0203】
正極上セパレータ押さえ爪42Dと入れ替わるように、第1停止位置X1(押さえ位置)には、異種材料シート押さえ爪42Eが第6停止位置X6から旋回移動してくる(
図8参照)。同時に第3停止位置X3に正極押さえ爪42Cが移動し、第4停止位置X4に空白部Kが移動し、第5停止位置X5に負極上セパレータ押さえ爪42Bが移動し、第6停止位置X6に負極押さえ爪42Aが移動する。
【0204】
異種材料シート押さえ爪42Eが第1停止位置X1(押さえ位置)へ移動すると、ここで保持部材31が下降する(
図13参照)。これにより、異種材料シート押さえ爪42Eが、異種材料シート5上方に離間した離間位置から、異種材料シート5に当接可能な当接位置へと変位する。そして、異種材料シート5の四隅の各コーナー部近傍が異種材料シート押さえ爪42Eにより押さえられた状態となる〔
図10、
図14(c)参照〕。
【0205】
異種材料シート押さえ爪42Eにより異種材料シート5の四隅が押さえられた状態となると、吸着部17による吸引を停止し、異種材料シート5の吸着を解除する。そして、吸着部17が上昇し、積層体4の取出し工程へと移行する。
【0206】
当該取出し工程が開始されると、図示しない取出装置により積層体4が把持される。続いて、各保持部材31が所定量上昇すると共に、180°回転する(
図11,12参照)。これにより、異種材料シート押さえ爪42Eは、異種材料シート5から若干浮き上がった状態で、第1停止位置X1から第4停止位置X4へと旋回移動する(
図5参照)。
【0207】
この際、異種材料シート押さえ爪42Eの先端部43は、少なくとも積層体4(異種材料シート5)の各コーナー部を構成する2辺α,βのうち、第1停止位置X1にて異種材料シート押さえ爪42Eが押さえていた一方の辺αとは異なる他方の辺βの上を通り過ぎるように旋回移動する。
【0208】
これにより、仮に異種材料シート5のコーナー部に上側への折れ曲がりM1が発生している場合(
図9,16参照)には、異種材料シート押さえ爪42Eの旋回動作により、かかる折れ曲がりM1が真っ直ぐに延ばされる。結果として、かかる異種材料シート5は、波打つことなく平坦な状態となり、適正に重なり合った状態となる。
【0209】
異種材料シート押さえ爪42Eと入れ替わるように、第1停止位置X1(押さえ位置)には、空白部Kが第4停止位置X4から旋回移動してくる(
図5参照)。空白部Kが第1停止位置X1(押さえ位置)へ移動すると、各保持部材31の動作が停止する。かかる状態で、上記取出装置により、完成した積層体4を積層台29から取り出すこととなる。
【0210】
以上詳述したように、本実施形態によれば、シート体を積層台29へ搬送し押さえつける搬送装置14(吸着部17)を備えると共に、負極箔1を押さえる「負極押さえ爪42A」と、負極箔1の上側のセパレータ2を押さえる「負極上セパレータ押さえ爪42B」と、正極箔3を押さえる「正極押さえ爪42C」と、正極箔1の上側のセパレータ2を押さえる「正極上セパレータ押さえ爪42D」と、異種材料シート5を押さえる「異種材料シート押さえ爪42E」とを別々に備えた構成となっている。
【0211】
かかる構成により、所定の押さえ爪42が一方の電極箔(例えば正極箔3)を押さえた際に付着した活物質(例えば正極活物質)が、他方の電極箔(例えば負極箔1)に付着するおそれがないことは勿論のこと、異種材料シート5にも活物質が付着するおそれがない。
【0212】
また、本実施形態では、シート体の四隅すべてを押さえる構成となっているため、シート体の四隅のうちいずれかがめくれ、折れ曲がった状態で、次のシート体が積層されてしまうといった不具合の発生を抑制することができる。
【0213】
さらに、本実施形態では、吸着部17によりシート体を押さえた状態で、シート体の四隅すべてを同時に解放し、当該シート体を一旦平らにした後、当該シート体を押さえる構成となっているため、皺や折れ曲がりなどの発生を抑制することができる。
【0214】
加えて、吸着部17によりシート体をより広い範囲で均一に押さえつけることが可能となるため、上記作用効果をさらに高めると共に、シート体の位置ずれ等も発生しにくくなる。
【0215】
また、本実施形態では、新たなシート体を載置する際(押さえ爪42の切換えを行う際)、その下に既に載置されたシート体の四隅の各コーナー部近傍にて、該コーナー部を構成する2辺α,βのうちの一方の辺αを第1停止位置X1にて押さえていた押さえ爪42の先端部43が、少なくとも前記2辺α,βのうちの他方の辺βの上を通り過ぎるように旋回移動する構成となっている。
【0216】
これにより、仮に新たに載置されたシート体のコーナー部に下側への折れ曲がりM2が発生した場合や、その下に既に載置されたシート体のコーナー部に上側への折れ曲がりM1が発生している場合には、押さえ爪42の旋回動作により、かかる折れ曲がりM1,M2を真っ直ぐに延ばすことができる。結果として、製品品質の低下抑制を図ることができる。
【0217】
また、本実施形態では、最上面及び最下面の異種材料シート5を除く積層体4の主要部を構成するシート体の積層順序に従い、軸部40の周方向に対し、「負極押さえ爪42A」、「負極上セパレータ押さえ爪42B」、「正極押さえ爪42C」、「正極上セパレータ押さえ爪42D」がこの順序で配置されている。これにより、シート体が積層される毎に、軸部40を所定の一方向へ順次回転させていくだけで、該シート体をそれぞれ専用の押さえ爪42で押さえていくことができる。結果として、動作制御の簡素化を図ると共に、押さえ爪42の切換え動作の高速化を図り、生産効率の向上を図ることができる。
【0218】
加えて、本実施形態では、「負極押さえ爪42A」から軸部40の周方向に60°の間隔をあけて「負極上セパレータ押さえ爪42B」が配置され、当該「負極上セパレータ押さえ爪42B」から軸部40の周方向に120°の間隔をあけて「正極押さえ爪42C」が配置され、当該「正極押さえ爪42C」から軸部40の周方向に60°の間隔をあけて「正極上セパレータ押さえ爪42D」が配置され、当該「正極上セパレータ押さえ爪42D」から軸部40の周方向に60°の間隔をあけて「異種材料シート押さえ爪42E」が配置され、当該「異種材料シート押さえ爪42E」から軸部40の周方向に60°の間隔をあけて「負極押さえ爪42A」が配置された構成となっている。つまり、5つの押さえ爪42が72°の等間隔ではなく軸部40の周方向に偏在した構成となっている。
【0219】
したがって、積層作業の完了後には、積層作業中に各押さえ爪42が積層体4を押さえる第1停止位置X1(押さえ位置)に対し空白部K(上記120°間隔の空白区間)を停止させ、積層体4の取出し作業を行うことができる。つまり、空白部Kを取出し部として機能させることができる。
【0220】
これにより、本実施形態(
図22参照)では、5つの押さえ爪42を72°の等間隔で配置する構成(
図21参照)よりも積層体4の近くに軸部40を配置したとしても、各押さえ爪42に接触させることなく積層体4を取出すことができる。結果として、装置の小型化を図ることができる。さらに、積層作業中においては、押さえ爪42が積層体4を押さえられる範囲(押さえ代)が増え、積層体4をより安定して押さえることができる。
【0221】
図22に示すように、本実施形態では、積層作業の完了後、空白部Kを第1停止位置X1に停止させると共に、各押さえ爪42を停止位置X2,X3,X4,X5,X6に停止させた状態で、積層体4の取出し作業を行う。尚、
図22では、簡素化のため、回転軸40を大きさを持たない点で表し、押さえ爪42を幅を持たない線(矢印)で表している。
【0222】
従って、本実施形態では、停止位置X2,X6に停止する2つの押さえ爪42(負極上セパレータ押さえ爪42B,正極押さえ爪42C)の先端部43を結ぶ直線Lcよりも外側に積層体4が位置するように、回転軸40の位置を設定すればよい。
【0223】
このため、積層作業中に第1停止位置X1に停止する押さえ爪42の先端部43から、当該押さえ爪42と上記直線Lcとの交点Pcまでの距離(押さえ爪42の長さ方向における最大押さえ代R1)を、回転軸40の回転軸心から押さえ爪42の先端部43までの距離(押さえ爪42の先端部43が通る円の半径R)の約50%程度の距離に設定することができる。
【0224】
また、回転軸40の回転軸心から上記交点Pcまでの距離(回動軸40と積層体4との最短距離R2=R×cos60°)を、回転軸40の回転軸心から押さえ爪42の先端部43までの距離(押さえ爪42の先端部43が通る円の半径R)の約50%程度の距離に設定することができる。
【0225】
さらに、本実施形態では、積層作業中、「負極上セパレータ押さえ爪42B」が第1停止位置X1から第2停止位置X2へと60°旋回移動した後、第2停止位置X2に停止することなく、続けて第3停止位置X3へと60°旋回移動する構成となっている。同様に、「正極上セパレータ押さえ爪42D」が第1停止位置X1から第2停止位置X2へと60°旋回移動した後、第2停止位置X2に停止することなく、続けて第3停止位置X3へと60°旋回移動する構成となっている。
【0226】
これにより、第1停止位置X1(押さえ位置)に「空白部K」や「異種材料シート押さえ爪42E」を停止させることなく、1回の旋回移動動作で、第1停止位置X1へ次の押さえ爪42(「正極押さえ爪42C」又は「負極押さえ爪42A」)を移動させることができる。結果として、無駄な停止動作をなくし、生産性の向上を図ることができる。
【0227】
また、本実施形態では、保持部材31(押さえ爪42)と干渉しないように、吸着部17の四隅にそれぞれ切欠き部21が形成されている(
図3等参照)。これにより、シート体をより広範囲で吸着することが可能となり、折れ曲がり等が発生し得るシート体の吸着板19からのはみ出し部分の面積を極力少なくすることができる。換言すれば、押さえ爪42の延出長をより長くし、押さえ爪42の旋回範囲をより大きくすることができるため、より広範囲でシート体の折れ曲がりを真っ直ぐに延ばすことができる。
【0228】
尚、上述した実施形態の記載内容に限定されることなく、例えば次のように実施してもよい。
【0229】
(a)上記実施形態では、積層装置9により積層電池に係る積層体4が製造される構成となっているが、これに限らず、例えば積層装置9によって、リチウムイオンキャパシタや電解コンデンサ等に係る積層体を製造する構成としてもよい。
【0230】
(b)上記実施形態に係る積層体4は、異種材料シート5を除く主要部において、負極箔1、セパレータ2、正極箔3、セパレータ2がこの順序で、下から順に繰り返し積み上げられるようにして積層形成されているが、勿論、主要部の積層順序はこれに限定されるものではない。例えば、正極箔3、セパレータ2、負極箔1、セパレータ2の順序で、下から順に繰り返し積み上げられるようにしてもよい。
【0231】
また、主要部の最下層にセパレータ2が位置する構成としてもよい。つまり、セパレータ2、負極箔1、セパレータ2、正極箔3の順序で、下から順に繰り返し積み上げられるようにしてもよいし、セパレータ2、正極箔3、セパレータ2、負極箔1の順序で、下から順に繰り返し積み上げられるようにしてもよい。
【0232】
勿論、上記のように主要部の積層順序を異ならせた場合には、軸部40の周方向に対する「負極押さえ爪42A」、「負極上セパレータ押さえ爪42B」、「正極押さえ爪42C」及び「正極上セパレータ押さえ爪42D」の配置順序も、当該積層順序に従い異なるものとなる。
【0233】
また、上記実施形態に係る積層体4の最上面及び最下面には、それぞれ異種材料シート5が積層されているが、これに限らず、積層体4の最上面又は最下面のいずれか一方にのみ異種材料シート5が積層される構成としてもよい。
【0234】
また、上記実施形態では、5つの押さえ爪42A〜42Eのうち、押さえ爪42Eが「異種材料シート押さえ爪」として設定されているが、これに限らず、5つの押さえ爪42A〜42Eのうち、いずれの押さえ爪42を「異種材料シート押さえ爪」としてもよい。
【0235】
例えば積層体4の主要部に関して、負極箔1、セパレータ2、正極箔3、セパレータ2がこの順序で下から順に繰り返し積層される構成の下、仮に「押さえ爪42A」を「異種材料シート押さえ爪」とした場合には、「押さえ爪42B」を「負極押さえ爪」とし、「押さえ爪42C」を「負極上セパレータ押さえ爪」とし、「押さえ爪42D」を「正極押さえ爪」とし、「押さえ爪42E」を「正極上セパレータ押さえ爪」とすることができる。
【0236】
(c)シート体としての電極箔1,3、セパレータ2及び異種材料シート5の材質や形状等は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば上記実施形態では、セパレータ2が多孔質樹脂フィルムにより構成されているが、絶縁性の不織布により構成してもよい。
【0237】
(d)搬送手段や吸着手段の構成は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、多孔質体からなる吸着板(多孔質吸着板)19を採用しているが、これに限らず、多孔式吸着板を採用してもよい。
【0238】
また、上記実施形態では、押さえ爪42と干渉しないように、吸着部17の四隅にそれぞれ略円弧状の切欠き部21が形成された構成となっているが、これに代えて、直線状に切り欠いた切欠き部を採用してもよい。また、切欠き部を省略し、平面視略長方形状の吸着部を採用してもよい。
【0239】
また、上記実施形態では、負極箔1及び正極箔3共通の電極箔供給ステージ12が設けられているが、これに限らず、それぞれ別の電極箔供給ステージ12が設けられる構成としてもよい。すなわち、負極箔供給ステージ及び正極箔供給ステージがそれぞれ別に設けられていてもよい。
【0240】
また、上記実施形態では、各供給ステージ10,11,12に供給された各シート体を、1つの搬送装置14を用いて積層ステージ13へ搬送する構成となっているが、これに代えて、例えば各シート体にそれぞれ対応した複数の搬送装置を用意し、各搬送装置を用いて、積層ステージ13に対し各シート体を順次搬送し積層する構成としてもよい。かかる場合には、これら複数の搬送装置により、本実施形態における搬送手段が構成されることとなる。
【0241】
加えて、積層ステージ13(積層台29)がターンテーブル等の移動手段により前記複数の搬送装置に対応する位置へ順次移動していく構成としてもよい。
【0242】
(e)上記実施形態では、保持部材31(軸部40)を駆動する駆動機構として、カム構造を採用しているが、これに限定されるものではない。回転駆動手段や上下駆動手段として、各種サーボモータなど他の駆動機構を採用してもよい。
【0243】
(f)上記実施形態では、積層台29(積層体4)の4辺のうち、吸着部17の移動方向と平行する2つの辺αに沿って、2つの保持部材31がそれぞれ1組ずつ配置された構成となっている。保持部材31の設置数及び配置構成は、これに限定されるものではない。
【0244】
例えば、積層台29(積層体4)の4辺のうち、吸着部17の移動方向と直交する2つの辺βに沿って、2つの保持部材31がそれぞれ1組ずつ配置された構成としてもよい。
【0245】
また、積層台29(積層体4)の4辺(2つの辺αと、2つの辺β)に対し、それぞれ1つずつ保持部材31が配置された構成としてもよい。例えば積層台29(積層体4)の各辺α,βに向かって、該辺α,βの右端部近傍位置に1つずつ保持部材31を設けた構成としてもよい。かかる場合、各保持部材31の回転方向は、全て時計回り方向となる。勿論、各辺α,βに向かって、該辺α,βの左端部近傍位置に1つずつ保持部材31を設けた構成としてもよい。
【0246】
また、4つの保持部材31のうち、1つの保持部材31だけが1つ辺βに設けられ、残り3つの保持部材31が辺α(一方の辺αに2つと、他方の辺αに1つ)に設けられた構成としてもよいし、2つの保持部材31が1つの辺βに設けられ、2つの辺αに対しそれぞれ1つずつ保持部材31が設けられた構成としてもよい。
【0247】
要するに、積層台29(積層体4)の四隅のコーナー部に対応して、それぞれ1つずつ保持部材31が設けられていれば、上記実施形態と同様の作用効果が奏される。
【0248】
勿論、保持部材31は4つに限定されるものではなく、保持部材31を2箇所、3箇所又は5箇所以上に設けた構成としてもよい。例えば積層台29(積層体4)の四隅のコーナー部のうち、対角線上にある一対(2つ)のコーナー部に対応してそれぞれ1つずつ、計2つの保持部材31を備えた構成としてもよい。
【0249】
(g)上記実施形態では、積層台29(積層体4)の四隅のコーナー部に対応して保持部材31が設けられ、新たなシート体を載置する際(押さえ爪42の切換えを行う際)、その下に既に載置されたシート体の四隅の各コーナー部近傍にて、該コーナー部を構成する2辺α,βのうちの一方の辺αを第1停止位置X1にて押さえていた押さえ爪42の先端部43が、少なくとも前記2辺α,βのうちの他方の辺βの上を通り過ぎるように旋回移動する構成となっている。
【0250】
これに限らず、シート体のコーナー部の折れ曲がりM1,M2をその都度、押さえ爪42により修復する構成としないのであれば、押さえ爪42の先端部43が、2辺α,βのうちの他方の辺βの上を通り過ぎない構成としてもよい(
図19参照)。つまり、積層台29(積層体4)の四隅のコーナー部ではない所定の4箇所に対応して、それぞれ1つずつ保持部材31が設けられた構成を採用してもよい。勿論、上記同様、保持部材31は4つに限定されるものではなく、保持部材31を2箇所、3箇所又は5箇所以上に設けた構成としてもよい。
【0251】
また、シート体のコーナー部の折れ曲がりM1,M2をその都度、押さえ爪42により修復する構成としないのであれば、各保持部材31の回転方向はどちらでもよい。例えば上記実施形態の構成の下、積層台29(積層体4)の側面(辺α)に向かって左側に位置する保持部材31A,31Cが平面視で時計回り方向に回転する一方、右側に位置する保持部材31B,31Dが平面視で反時計回り方向に回転する構成であってもよい。
【0252】
(h)上記実施形態では、積層体4の積層作業の開始当初、第1停止位置X1(押さえ位置)に押さえ爪42が停止しておらず、積層台29上に直接シート体が載置される構成となっている。
【0253】
これに代えて、積層体4の積層作業の開始当初、所定の押さえ爪42が第1停止位置X1に事前に停止している構成としてもよい。
【0254】
かかる構成により、積層台29上に最初に載置されるシート体(例えば異種材料シート5)の下側への折れ曲がりM2に対応することができる。但し、積層体4の最上面や最下面は、積層体4の完成後においても折れ曲がりM1,M2を検出しやすく、修復することが容易な部分であるため、積層過程において、その都度、押さえ爪42により修復する必要性は低い。
【0255】
(i)上記実施形態では、特に言及していないが、押さえ爪42の断面形状は上記実施形態に限定されるものではない。
【0256】
例えば上記実施形態では、押さえ爪42は、上下方向かつ旋回方向に沿った断面視で略長方形状に形成されている。
【0257】
これに代えて、例えば
図17に示すように、押さえ爪42の旋回方向側(
図17左側)の側縁部120において、該旋回方向へ向け下方傾斜した上傾斜面121と、該旋回方向へ向け上方傾斜した下傾斜面122とを備え、該旋回方向側の側縁部120が該旋回方向へ向け先細りした構成としてもよい。これにより、シート体のコーナー部に上側又は下側へのどちらの折れ曲がりM1,M2(
図15,16参照)が発生した場合でも、上傾斜面121又は下傾斜面122により、折れ曲がったシート体の先端部を適正に誘導し、より確実に折れ曲がり部分を真っ直ぐに延ばすことができる。
【0258】
(j)
図17に示す例では、押さえ爪42の上下方向における上傾斜面120の形成幅H1と、下傾斜面122の形成幅H2とが同一となっているが、
図18に示すように、押さえ爪42の上下方向における上傾斜面120の形成幅H1が、下傾斜面122の形成幅H2よりも大きくなった構成としてもよい。
【0259】
仮に押さえ爪42の上に新たに載置されたシート体のコーナー部に下側への折れ曲がりM2が発生した場合、該折れ曲がったシート体の先端部は、その下に既に載置されたシート体に当接した状態となる(
図15参照)。そのため、押さえ爪42が浮き上がることを考慮すれば、押さえ爪42の下傾斜面122がそれほど大きくなくとも十分にその機能を果たすことが可能となる。一方、押さえ爪42の下に既に載置されたシート体のコーナー部に上側への折れ曲がりM1が発生する場合、その折れ曲がり量はその都度異なり、折れ曲がりM1が比較的小さい場合もある。そのため、押さえ爪42の上傾斜面121が比較的小さい場合には、十分にその機能を果たさないおそれがある。
【0260】
この点、前記構成によれば、シート体のコーナー部に上側又は下側へのどちらの折れ曲がりM1,M2が発生した場合にもバランスよく対応することができる。
【0261】
(k)上述した(i),(j)に記載したように、押さえ爪42の旋回方向側の側縁部120が該旋回方向へ向け先細りした構成の下では、その旋回方向側の先端部に面取り部125を形成した構成としてもよい。かかる構成により、押さえ爪42がシート体の折れ曲がりM1,M2を延ばす際に、該シート体を傷つけてしまうおそれを低減することができる。勿論、面取り部125の形状も
図17,18に示すような略円弧状に限定されるものではなく、他の形状を採用してもよい。
【0262】
(l)押さえ爪の平面視形状は、上記実施形態の押さえ爪42に限定されるものではない。
【0263】
保持部材が、例えば
図19に示すように、上下方向を軸心として回転可能かつ上下方向に変位可能に設けられた軸部240と、該軸部240の上端に設けられた平面視正六角形状の基部241と、該基部241の6辺のうちの5辺から軸部240の径方向外側に向け延出した平面視略台形状の5つの押さえ爪242とを備えた構成としてもよい。尚、
図19においては、5つの押さえ爪242を認識しやすくするため、各押さえ爪242に散点模様を付して図示している。
【0264】
本実施形態では、押さえ爪242が、第1停止位置X1(押さえ位置)に停止して、積層体4のコーナー部を構成する2辺α,βのうち一方の辺αを押さえると共に、そこから旋回移動する際には、押さえ爪242の先端部242aが他方の辺βの上を通過しない構成となっている。
【0265】
尚、本実施形態では、押さえ爪242の先端部242aが、第1停止位置X1(押さえ位置)に停止した際に積層体4の辺αと直交しかつ軸部240の回転軸心を通る線上における押さえ爪242の径方向外端部であると共に、軸部240の回転軸心から径方向に最も離れた部位でもある。
【0266】
本実施形態では、押さえ爪242の形状と、押さえ爪242が第1停止位置X1(押さえ位置)に停止して積層体4を押さえる範囲(押さえ代)とが平面視で同一となるように構成されている(
図19の散点模様を付した範囲参照)。
【0267】
より詳しくは、押さえ爪242は、軸部240の回転軸心から径方向に最も離れた部位にあたる押さえ爪242の先端部(径方向最外端部)242aが旋回移動する際に通る軌跡により画定される円弧E1と、軸部240と対向しかつ第1停止位置X1に停止した押さえ爪242により押さえられる積層体4の辺αにより画定される線と、積層体4の辺αを軸部240を中心に所定の回転方向F1へ60°回転させることにより画定される線α´と、積層体4の辺αを軸部240を中心に所定の回転方向F1とは逆方向へ60°回転させることにより画定される線α´´とにより囲まれた領域G1をすべて含む形状を有している。
【0268】
尚、これに限らず、押さえ爪242の径方向最外端部が上記円弧E1に位置し、かつ、上記領域G1に含まれる形状であれば、押さえ爪242の形状(押さえ代)が、
図19に示す形状とは異なる形状を採用してもよい。例えば、第1停止位置X1(押さえ位置)に停止した際に積層体4の辺αと直交しかつ軸部240の回転軸心を通る線上における押さえ爪242の径方向外端部が、押さえ爪242の径方向最外端部とならない(円弧E1上にない)形状としてもよい。
【0269】
勿論、基部241の大きさや形状次第で、押さえ爪242の全体形状と、これにより積層体4を押さえる範囲(押さえ代)の形状は異なってくる。つまり、必ずしも基部241の各辺が積層体4の辺αと平面視で重なるように構成される必要はない。積層体4の取出し作業を考慮すれば、基部241の各辺が積層体4の辺αよりも外側に位置することがより好ましい。また、基部241を省略し、軸部240から直接4つの押さえ爪242が延出した構成としてもよい。
【0270】
尚、
図19において、仮に第1停止位置X1に停止する押さえ爪242の先端部242aと軸部240の回転軸心とを結ぶ直線と、第2停止位置X2及び第6停止位置X6に停止する2つの押さえ爪242の先端部242aを結ぶ直線との交点をPaとすると、第1停止位置X1に停止する押さえ爪242の先端部242aから前記交点Paまでの距離は、軸部240の回転軸心から押さえ爪242の先端部242aまでの距離(押さえ爪242の先端部242aが通る円の半径)の約50%になると共に、軸部240の回転軸心から前記交点Paまでの距離も、軸部240の回転軸心から押さえ爪242の先端部242aまでの距離(押さえ爪242の先端部242aが通る円の半径)の約50%になる。つまり、押さえ爪242の長さ方向(延出方向)における押さえ代を最大で、押さえ爪242の先端部242aが通る円の半径の約50%程度の長さに設定できると共に、軸部240と積層体4との距離を最短で、押さえ爪242の先端部242aが通る円の半径の約50%程度の距離に設定することができる(後述する
図20においても同様)。これにより、仮に押さえ爪の長さ方向における押さえ代が同じであれば、5つの押さえ爪を72°間隔で配置する構成よりも、保持部材を小型化することができる。
【0271】
(m)上記
図19の例に代えて、保持部材が、例えば
図20に示すように、上下方向を軸心として回転可能かつ上下方向に変位可能に設けられた軸部340と、該軸部340の上端に設けられた平面視正六角形状の基部341と、該基部341の6辺のうちの5辺から軸部340の径方向外側に向け延出した平面視鉤形状の5つの押さえ爪342とを備えた構成としてもよい。尚、
図20においては、5つの押さえ爪342を認識しやすくするため、各押さえ爪342に散点模様を付して図示している。
【0272】
本実施形態では、押さえ爪342が、第1停止位置X1(押さえ位置)に停止して、積層体4のコーナー部を構成する2辺α,βのうち一方の辺αを押さえると共に、そこから旋回移動する際には、押さえ爪342の先端部342aが他方の辺βの上を通過する構成となっている。
【0273】
尚、本実施形態では、押さえ爪342の先端部342aが、第1停止位置X1(押さえ位置)に停止した際に積層体4の辺αと直交しかつ軸部340の回転軸心を通る線上における押さえ爪342の径方向外端部であると共に、軸部340の回転軸心から径方向に最も離れた部位でもある。
【0274】
本実施形態では、押さえ爪342の形状と、押さえ爪342が第1停止位置X1(押さえ位置)に停止して積層体4を押さえる範囲(押さえ代)とが平面視で同一となるように構成されている(
図20の散点模様を付した範囲参照)。
【0275】
より詳しくは、押さえ爪342は、軸部340の回転軸心から径方向に最も離れた部位にあたる押さえ爪342の先端部(径方向最外端部)342aが旋回移動する際に通る軌跡により画定される円弧E2と、軸部340と対向しかつ第1停止位置X1に停止した押さえ爪342により押さえられる積層体4の辺αにより画定される線と、積層体4の辺α及び当該辺αと直交する辺βを軸部340を中心に所定の回転方向F2へ60°回転させることにより画定される線α´,β´と、積層体4の辺α及び当該辺αと直交する辺βを軸部340を中心に所定の回転方向F2とは逆方向へ60°回転させることにより画定される線α´´,β´´とにより囲まれた領域G2をすべて含む形状を有している。
【0276】
尚、これに限らず、押さえ爪342の径方向最外端部が上記円弧E2に位置し、かつ、上記領域G2に含まれる形状であれば、押さえ爪342の形状(押さえ代)が、
図20に示す形状とは異なる形状を採用してもよい。例えば、第1停止位置X1(押さえ位置)に停止した際に積層体4の辺αと直交しかつ軸部340の回転軸心を通る線上における押さえ爪342の径方向外端部が、押さえ爪342の径方向最外端部とならない(円弧E2上にない)形状としてもよい。
【0277】
勿論、基部341の大きさや形状次第で、押さえ爪342の全体形状と、これにより積層体4を押さえる範囲(押さえ代)の形状は異なってくる。つまり、必ずしも基部341の各辺が積層体4の辺αと平面視で重なるように構成される必要はない。積層体4の取出し作業を考慮すれば、基部341の各辺が積層体4の辺αよりも外側に位置することがより好ましい。また、基部341を省略し、軸部340から直接4つの押さえ爪342が延出した構成としてもよい。