特開2017-191733(P2017-191733A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2017-191733(P2017-191733A)
(43)【公開日】2017年10月19日
(54)【発明の名称】照明装置
(51)【国際特許分類】
   F21V 8/00 20060101AFI20170922BHJP
   F21S 6/00 20060101ALI20170922BHJP
   G02B 6/00 20060101ALI20170922BHJP
【FI】
   F21V8/00 282
   F21S6/00 501
   G02B6/00 326
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-81196(P2016-81196)
(22)【出願日】2016年4月14日
(71)【出願人】
【識別番号】591146734
【氏名又は名称】清水 忠男
(74)【代理人】
【識別番号】100166545
【弁理士】
【氏名又は名称】折坂 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】清水 忠男
【テーマコード(参考)】
2H038
3K243
【Fターム(参考)】
2H038BA42
3K243GA06
3K243HB03
(57)【要約】
【課題】光ファイバ編製体を構成する光ファイバの湾曲部からの漏光の輝度を抑制しつつ、漏光により光ファイバ編製体上に表現される模様を視認することが可能な照明装置を提供する。
【解決手段】複数の光ファイバを編製することにより形成された複数の湾曲部を備える光ファイバ編製体と、前記光ファイバ内に可視光を入射する光源部と、光ファイバ編製体が封入される外包体と、を備える照明装置において、湾曲部は、光ファイバ内に可視光を入射した際に光ファイバ外に漏光が生じる曲率半径で湾曲し、外包体は、光ファイバ編製体に近接又は接触して光ファイバ編製体を包み込み、漏光の一部を反射し、一部を透過しかつ拡散させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の光ファイバを編製することにより形成された複数の湾曲部を備える光ファイバ編製体と、
それぞれの前記光ファイバ内に可視光を入射する光源部と、
前記光ファイバ編製体が封入される外包体と、
を備える照明装置において、
前記湾曲部は、前記光ファイバ内に可視光を入射した際に前記光ファイバ外に漏光を生じる曲率半径で湾曲し、
前記外包体は、前記光ファイバ編製体に近接又は接触して前記光ファイバ編製体を包み込み、前記漏光の一部を反射し、一部を透過しかつ拡散させる
ことを特徴とする照明装置。
【請求項2】
前記光ファイバ編製体を結びの手法を用いて編製することを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記結びの手法はマクラメ結びの手法であることを特徴とする請求項2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記光ファイバ編製体は、平面的に編製されることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項5】
前記外包体の一部又は全部の材質は和紙であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項6】
前記光ファイバ編製体の長手方向の各端部を前記外包体とともにそれぞれ把持する一対の把持手段を備える請求項1から5のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項7】
前記把持手段を1以上の所定の角度で支持する支持手段を備える請求項6に記載の照明装置。
【請求項8】
前記把持手段の一方又は双方は略球形であり、
前記所定の角度は任意の角度である
ことを特徴とする請求項7に記載の照明装置。
【請求項9】
前記光ファイバ編製体の長手方向の一端を前記外包体とともに把持し、前記長手方向の他端に対して高所に固定される把持手段を備え、
前記光ファイバ編製体の長手方向の他端が前記外包体とともに、前記把持手段を支点に垂下される
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の照明装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明装置に関し、特に、光ファイバの湾曲部分からの漏光を利用し、これを和紙で包んで構成した照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
家庭などで用いられる照明装置では、装飾性を持たせたり照射態様を制御したりするために、光源に傘を掛けたり覆いなどの外包体が設けられたりすることが多い。
【0003】
照明装置に用いる光源としては、電球や蛍光灯が一般的であるが、光源から光ファイバに入射した光を利用することも可能である。光ファイバに入射した光を利用する場合、ひとつの方法として、一端から光を入射し、発光させたい場所に出射端である他端を配置するという方法がある。しかし、この方法の場合、出射端でしか発光しないため、広範囲で発光させたい用途には適さない。また、光ファイバの側面に傷をつけてそこからの漏光を利用する方法がある。しかし、傷を適切につけることが難しく、かつ、強度が損なわれるという問題がある。
【0004】
そこで別の方法として、光ファイバ内に光を閉じ込めきれない曲率半径で光ファイバを湾曲させ、当該湾曲した部分からの漏光を利用する方法がある。例えば、特許文献1には複数の光ファイバを結びの手法により編製することにより形成された複数の湾曲部を単位発光部とし、この単位発光部を複数連結することで広範囲の発光を可能とする光ファイバ編製体である発光装飾体が開示されている。
【0005】
具体的には、図5(特許文献1の図1)に例示される発光装飾体10は、二つの単位発光部11a、12aが例えば硬質の棒材13を芯として当該棒材13の先端部13aから下端部13bに向かって順次連結されて構成される。単位発光部11aは2本の光ファイバ110を一組とした光ファイバ組11が例えばマクラメ結びの手法であるねじり結びされることにより形成されている。単位発光部12aについても同様に光ファイバ組12がねじり結びされることにより形成されている。単位発光部11aからのリード部11bの端部11c及び単位発光部12aからのリード部12bの端部12cから光Cが導入されると、単位発光部11a、12aにおいてねじり結びにより形成された湾曲部18で漏光し、単位発光部11a、12aが発光する。なお、芯は棒材の代わりに紐の束を利用してもよいし、芯無しで構成することも可能である。
【0006】
図6(特許文献1の図8)はマクラメ結びの手法である七宝結びを用いて発光装飾体80を構成した例を示したものである。発光装飾体80は、光ファイバ組11、12のみならず、光ファイバ組14、15を用い、光ファイバ組11、12、14、15を図中縦方向に所定組数ずつ順に七宝結びにより結びあわせることによって形成される。図中aの段、A〜Cの列から結び始められる光ファイバ組11を実線で示すと、a−b間、d−f間が湾曲部を有した単位発光部41aとなり、b−d間、f−g間はリード部41bとなる。また、同じくaの段、A〜Cの列から結び始められる光ファイバ組12を破線で示すと、a−c間、f−g間が単位発光部42aとなり、c−f間はリード部42bとなる。また、bの段、D〜Gの列から結び始められる光ファイバ組14を一点鎖線で示すと、b−d間、e−g間が単位発光部43aとなり、d−e間はリード部43bとなる。さらに、cの段、A〜Cの列から結び始められる光ファイバ組15を点線で示すと、図中c−e間が単位発光部44aとなり、e−g間はリード部44bとなる。このように、光ファイバ組11、12、14、15がそれぞれ単位発光部41a、42a、43a、44aを有し、また、それぞれのリード部41b、42b、43b、44bが互いの単位発光部41a、42a、43a、44a間に絡められた状態で発光装飾体80が構成されている。リード部41b、42b、43b、44bの各端部から光が導入されると、単位発光部41a、42a、43a、44aにそれぞれ形成された湾曲部で漏光し、単位発光部41a、42a、43a、44aが発光する。これにより、単位発光部41a、42a、43a、44aがあたかも同一の光ファイバ組で連続して形成された面体であるかの如く発光させることができる。
【0007】
このように、光ファイバ編製体に光を入射するとマクラメ結びにより形成された光ファイバの湾曲部からの漏光が明るく光るが、それとともに光ファイバ側面からの漏光が生じていない非発光部分を当該漏光が照射し、反射されることで、非発光部分についてもあたかも発光しているかのように光る。これにより、マクラメ結びの模様全体を明るく視認可能な装飾性の高い光ファイバ編製体を実現することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平10−63206号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
光ファイバの湾曲部からの漏光は輝度が高く、直視すると眩しすぎるため、住居用の照明装置に使用するためには輝度をある程度抑える必要があるが、漏光により光ファイバ編製体上に表現される模様には装飾性があるため、輝度を抑えつつこのパターンを視認できるようにするのが望ましい。
【0010】
本発明の目的は、光ファイバ編製体を構成する光ファイバの湾曲部からの漏光の輝度を抑制しつつ、漏光により光ファイバ編製体上に表現される模様を視認することが可能な照明装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の照明装置は、複数の光ファイバを編製することにより形成された複数の湾曲部を備える光ファイバ編製体と、それぞれの光ファイバ内に可視光を入射する光源部と、光ファイバ編製体が封入される外包体と、を備え、湾曲部は、光ファイバ内に可視光を入射した際に光ファイバ外に漏光を生じる曲率半径で湾曲し、外包体は、光ファイバ編製体に近接又は接触して光ファイバ編製体を包み込み、光ファイバからの漏光の一部を反射し、一部を透過しかつ拡散させることを特徴とする。
【0012】
光ファイバ編製体を外包体で包む際に、光ファイバ編製体と外包体の内面とを近接又は接触させることで、光ファイバの湾曲部からの漏光が外包体の内面で反射し拡散したとしても、その明るさより、光ファイバの湾曲部からの漏光による直接光及び当該漏光に照射された光ファイバの非発光部分からの反射光の明るさのほうが、外包体の外側において、より明るく観測される。そのため、漏光により光ファイバ編製体に表現される模様を外包体の外側から視認することが可能となる。
【0013】
なお、光ファイバの非発光部分は、光ファイバの湾曲部からの漏光を反射して光っているにすぎず、漏光そのものよりは暗いため、光ファイバ編製体を外包体で包むと、たとえ光ファイバ編製体と外包体の内面とを近接又は接触させても、外包体の外側での視認性向上の効果が十分に得られないように思える。しかし外包体で包むことで、非発光部分には、湾曲部からの漏光が直接照射されるだけでなく、外包体の内面で反射された当該漏光も照射されるため、外包体が無い場合よりも外包体の内部において明るく光る。そのため、光ファイバ編製体と外包体の内面とを近接又は接触させることによる外包体の外側での視認性向上の効果は、非発光部分についても十分に得ることができる。
【0014】
また、透過した光を拡散させる外包体を使用することで、透過光を柔らげることができる。
【0015】
以上により、漏光により光ファイバ編製体に表現される模様を外包体の外側で柔らかく視認することが可能な照明装置を提供することができる。
【0016】
光ファイバ編製体は、例えば、結びの手法を用いて編製するとよい。これにより、光ファイバの湾曲部の湾曲形状が保持されるため、安定した発光状態を得ることができる。また、伸縮の自由度が向上するため、曲げる、捻るなど、使用形状を変化させることが容易になる。
【0017】
結びの手法としては、例えば、マクラメ結びの手法を用いるとよい。これにより、より装飾性の高い模様を光ファイバ編製体に表現することができる。
【0018】
光ファイバ編製体は、例えば平面的に編製するとよい。これにより、曲げる、捻るなど、使用形状を変化させることが、より容易になる。
【0019】
外包体の一部又は全部の材質を和紙としてもよい。これにより、光ファイバの湾曲部からの漏光が繊維の隙間から透過し、その際に繊維が浮かび上がって特有の模様が形成されるとともに、光が拡散されて輝度が緩和されるため、柔らかく落ち着いた雰囲気を醸し出す効果を奏する。
【0020】
本発明の照明装置を床などに設置して使用する場合、例えば、光ファイバ編製体の長手方向の各端部を外包体とともにそれぞれ把持する一対の把持手段を備えるとよい。これにより、照明装置を安定的に設置して使用することができる。更に、当該把持手段を1以上の所定の角度で支持する支持手段を備えてもよい。各把持手段を支持手段を用いて所定の角度で支持できるようにすることで、立体感のある照明装置を構成することができる。特に、一方又は双方の把持手段を略球形とすれば、ドーナツ型などの凹部を有する支持手段により当該把持手段を任意の角度で支持することができ、柔軟に使用形状を変化させることができる。
【0021】
また、光ファイバ編製体の長手方向の一端を外包体とともに把持し長手方向の他端に対して高所に固定される把持手段を備え、把持手段を支点に光ファイバ編製体の長手方向の他端を外包体とともに垂下させてもよい。これにより、本発明の照明装置を天井などの高所から垂下させて間仕切りなどに使用することができ、使用環境を広げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】照明装置100の外観の一例を示す図である。
図2】照明装置100の使用状態の例を示す図である。
図3】照明装置100の使用状態の例を示す別の図である。
図4】照明装置100の実施例を示す図である。
図5】発光装飾体の一例を示す図である。
図6】発光装飾体の一例を示す別の図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は本発明の照明装置100の外観の一例を示す図であり、(a)は平面図、(b)は正面図である。照明装置100は、光ファイバ編製体110と光源部120と外包体130とを備える。
【0024】
光ファイバ編製体110は、図11に示す発光装飾体10や図12に示す発光装飾体80などのように、複数の光ファイバを編製しこれにより形成された複数の湾曲部を備える光ファイバの編製体である。照明装置100を図1に示すように構成したとき、複数の光ファイバの一端が紙面の右側に、他端が紙面の左側にくるように、紙面の左右方向を長手方向として光ファイバ編製体110が形成される。各光ファイバの一端はリード部111を構成し、光源部120に接続される。一方他端は、本発明における光ファイバの用途が通信ではなく湾曲部からの漏光の利用であるため、一端から光が入射されれば何も接続しなくてよいが、本発明の効果を妨げない範囲で任意に取り扱ってよい。
【0025】
編製、すなわち編むという製法は、繊維に曲げを加えて複数の繊維を絡ませることで複数の繊維を一体化する技術である。広義の繊維の一種である光ファイバを編製する場合、光ファイバの物理的強度の範囲で比較的緩やかに編製されるため、光ファイバ編製体110は縦横の伸縮、曲げや捻りに対する自由度が比較的大きい。そのため、例えば光ファイバ編製体110を図1に示すように平面的に編製することで、照明装置100の使用形状を、図1(b)に示す平面的な正面形状のほか、図2(a)に示すアーチ型の正面形状や図2(b)に示す捻れた波型の正面形状や図2(c)に示す半楕円型の正面形状など、柔軟に変化させることができる。
【0026】
編製に用いる光ファイバは、本発明では曲げを積極的に利用するため、可撓性が高いプラスラック光ファイバが好ましい。ガラス系の光ファイバを用いても構わないが、一般に可撓性が高くないため湾曲部を形成する際に破損しやすく、接続や取り扱いも容易ではない。光ファイバの外径は、形成する光ファイバ編製体110の大きさや湾曲部の形成態様に応じ任意に決定してよい。光ファイバの損失特性については、光源部120からの発光強度、光源部120から漏光させる所定の湾曲部までの距離、所望の漏光強度などに応じ任意に決定してよい。
【0027】
本発明でいう光ファイバの湾曲部は、光ファイバ内に可視光を入射した際に光ファイバ外に漏光が生じる曲率半径で湾曲された部分であり、より緩やかに湾曲した部分は含まれない。
【0028】
光源部120から光ファイバ内に入射された可視光は、光ファイバの中心部にあるコアとコアの周囲にあり屈折率がコアより低いクラッドとの境界面で全反射を繰り返しつつ伝搬していくが、光ファイバを湾曲させることで光の境界面への入射角が小さくなり、ある曲率半径以上に湾曲させると全反射する入射角の条件を満たさなくなって光ファイバ外に漏れ出す。湾曲部からの漏光の量は、光源部120から光ファイバを経て湾曲部に到達した光の強度が大きいほど、また、湾曲部の曲率半径が小さいほど大きくなる。そのため、同じ仕様の光ファイバに同じ強度の光を入射しても、湾曲部の曲率半径を相違させることで、漏光の明るさを相違させることができる。
【0029】
湾曲部は、例えば光ファイバを結びの手法により編製して形成するとよい。これにより、結びの形状に応じて漏光の明るさを調整できるとともに、湾曲部の形状が保持され安定した発光状態を維持することができる。結びの手法は、装飾性の高さからマクラメ結びが好適であり、例えば線状の発光を形成したい場合はねじり結びや平結びなどを、また、光ファイバ編製体110を平面的に構成した場合など面状の発光を形成したい場合は七宝結びなどを採用するとよい。また、マクラメ結びの他の結びやマクラメ結び以外の結びの手法を用いても構わない。
【0030】
光ファイバ編製体110の形成に際し、必要に応じた組数の光ファイバ組を用いることにより、所望の箇所に所望の発光強度を有する発光を呈することができる。1組を構成する光ファイバの本数は2本に限らず、3本以上でも構わない。
【0031】
また、複数の湾曲部が設けられた或る光ファイバに注目したとき、当該光ファイバに光を入射すると湾曲部を経るごとに漏光により入射光が減衰していくため、設けることができる湾曲部の数には自ずと限界がある。そのため、広範囲に発光を形成したい場合には、背景技術として図5図6を参照して説明したように、異なる光ファイバ組によりそれぞれ編製された単位発光部を順次連結することにより光ファイバ編製体110を形成するとよい。
【0032】
光源部120は可視光源を備え、当該可視光源に光ファイバ編製体110を構成する各光ファイバのリード部111が接続されて、各光ファイバに可視光を入射する。可視光源の種類及び各光ファイバのリード部111への光の入射方法は任意である。また、光源部120には商用電源などから電源コード121を介して給電される。なお、光源部120は蓄電池により駆動してもよく、このときは電源コード121は不要であり、代わりに蓄電池を備えればよい。
【0033】
外包体130は、光ファイバ編製体110に近接又は接触して光ファイバ編製体110を包み込み、光ファイバからの漏光の一部を反射し、一部を透過しかつ拡散させる。
【0034】
漏光の一部を透過することで、照明装置100の基本機能たる照明機能が実現されるとともに、透過した光を拡散することで輝度が緩和され、柔らかく落ち着いた雰囲気を醸し出す効果を奏する。
【0035】
また、光ファイバ編製体110を外包体130で包む際に、光ファイバ編製体110と外包体130の内面とを近接又は接触させることで、光ファイバの湾曲部からの漏光が外包体130の内面で反射し拡散したとしても、その明るさよりも、光ファイバの湾曲部からの漏光による直接光及び当該漏光に照射された光ファイバの非発光部分からの反射光の明るさのほうが、外包体130の外側においてより明るく観測される。そのため、光ファイバ編製体110に表現されている模様を外包体130の外部から視認することが可能となる。
【0036】
なお、光ファイバの非発光部分は、光ファイバの湾曲部からの漏光を反射して光っているにすぎず、漏光そのものよりは暗いため、光ファイバ編製体110を外包体130で包むと、たとえ光ファイバ編製体110と外包体130の内面とを近接又は接触させても、外包体130の外側からの視認性向上の効果が十分に得られないように思える。しかし、漏光の一部を反射する外包体130で光ファイバ編製体110を包むことで、非発光部分には、湾曲部からの漏光が直接照射されるだけでなく、外包体130の内面で反射された当該漏光も照射されるため、外包体130が無い場合よりも外包体130の内部において明るく光る。そのため、光ファイバ編製体110と外包体130の内面とを近接又は接触させることによる外包体130の外側における視認性向上の効果は、非発光部分についても十分に得ることができる。
【0037】
外包体130の一部又は全部の材質を和紙としてもよい。これにより、光ファイバの湾曲部からの漏光が繊維の隙間から透過し、その際に繊維が浮かび上がって特有の模様が形成されるとともに、光が拡散されて輝度が緩和されるため、柔らかく落ち着いた雰囲気を醸し出す効果を奏する。また、和紙は燃えやすいが、漏光を発生する光ファイバの湾曲部は全く発熱しないため、光ファイバ編製体110を接触させて使用しても火災発生の心配はない。
【0038】
以上により、漏光により光ファイバ編製体に表現される装飾性ある模様を、外包体の外側から柔らかく視認することが可能な照明装置を提供することができる。
【0039】
本発明の照明装置100を床などに設置して使用する場合、例えば、光ファイバ編製体110の長手方向の各端部を外包体130とともにそれぞれ把持する一対の把持手段140a、140bを備えるとよい。このとき図1に示すように、光源部120を一方の把持手段140a内に収容すると、照明装置100の一体性が確保される。把持手段140a、140bを設けることで、照明装置100を安定的に設置して使用することができる。把持手段140a、140bの形状は任意であるが、安定性を高めるために、例えば平面部分を設けて設置するとよい。
【0040】
また、把持手段140a、140bを1以上の所定の角度で支持し、設置面上に安定的に設置する支持手段150を備えてもよい。例えば、把持手段140a、140bを正多面体とし、当該正多面体の凸部分を受ける凹部分を備える支持手段150と組み合わせて使用することで、正多面体の複数の凸部分のうちいずれかの凸部分を凹部分に乗せることで、把持手段140a、140bを複数の所定の角度で安定的に支持することができる。これにより、1つの照明装置100を立体感のある様々な形状で使用することができる。また、図1図2に示すように把持手段140a、140bの形状を略球形とし、かつ、支持手段150を凹部を有する、例えばドーナツ型のものとし、当該凹部に把持手段140a、140bを乗せて使用するとよい。これにより、把持手段140a、140bを任意の角度で支持することができ、より柔軟に使用形状を変化させることができる。
【0041】
本発明の照明装置100は、天井などの高所から吊り下げて使用してもよい。例えば、図3に示すように、光ファイバ編製体110の長手方向の一端を外包体130とともに把持し長手方向の他端に対して高所である天井Cに固定される把持手段140aを備え、把持手段140aを支点に光ファイバ編製体110の長手方向の他端を外包体130とともに垂下させてもよい。これにより、間仕切りに使用するなど、照明装置100の使用環境を広げることができる。
【0042】
本発明は、上記の実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また上記実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることによって種々の発明を形成できる。また例えば、実施形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除した構成も考えられる。さらに、異なる実施形態に記載した構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0043】
<実施例>
光ファイバの湾曲部からの漏光により発光する光ファイバ編製体を和紙で包んだ本発明の照明装置の実施例を図4(a)、(b)に示す。図4(a)、(b)から光ファイバ編製体に表現されている模様を外包体の外側から柔らかく視認できることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明の照明装置は、住宅など居心地のよさが求められる空間での利用に好適である。
【符号の説明】
【0045】
10、80…発光装飾体
11、12、14、15…光ファイバ組
11a、12a、41a、42a、43a、44a…単位発光部
100…照明装置
110…光ファイバ編製体
111…リード部
120…光源部
121…電源コード
130…外包体
140a、140b…把持手段
150…支持手段
C…天井

図1
図2
図3
図4
図5
図6